特許第5671783号(P5671783)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5671783
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】詰替え容器用口栓および詰替え容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/50 20060101AFI20150129BHJP
   B65D 33/38 20060101ALI20150129BHJP
   B65D 47/06 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
   B65D41/50BRG
   B65D33/38
   B65D47/06 F
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2009-85367(P2009-85367)
(22)【出願日】2009年3月31日
(65)【公開番号】特開2010-235153(P2010-235153A)
(43)【公開日】2010年10月21日
【審査請求日】2012年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】野口 裕雄
(72)【発明者】
【氏名】原田 拓治
【審査官】 八木 誠
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−022352(JP,U)
【文献】 特開平10−129688(JP,A)
【文献】 特開2004−099082(JP,A)
【文献】 特開2008−133009(JP,A)
【文献】 実開平02−011058(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D35/44−35/54、39/00−55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注出用ノズルを備えた剛性容器に内容物を補充するために用いる詰替え容器の口栓であって、詰替え容器本体を固着するための容器本体装着部と、前記剛性容器の注出用ノズルを挿入可能な筒状のスパウト部と、容器を密封するとともに前記注出用ノズルによって開封可能なシール板を有し、該シール板は、弾性材料からなり、開封用スコアを有し、該容器本体装着部は、内容物の流出量を規制する流量規制孔を有することを特徴とする詰替え容器用口栓。
【請求項2】
前記シール板は、ゴムまたは熱可塑性エラストマーからなることを特徴とする請求項記載の詰替え容器用口栓。
【請求項3】
前記スパウト部を覆うオーバーキャップを有することを特徴とする請求項1または2に記載の詰替え容器用口栓。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか1項に記載の口栓の容器本体装着部に、内容物の排出に伴って変形可能な容器本体を固着したことを特徴とする詰替え容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗剤、柔軟剤などのトイレタリー用品や、食用油、インスタントコーヒーなどの食品の詰替え容器に関し、詰替え操作の容易な、詰替え容器を実現する新規な構造の口栓ならびにこれを用いた詰替え容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体洗剤などの容器は、洗剤を使用する時にその都度適切な量を計量して取り出す必要があるため、計量カップに注ぎやすいように、注出口にノズルを備えた剛性のあるプラスチック容器が、繰り返し使用容器として用いられている。この容器に対して、内容物を補充するための詰め替え用の容器としては、軟包装フィルムからなる柔軟な容器に、注出口を形成した容器や、口栓を取付けた容器が一般的に使用されている。
【0003】
これら繰り返し使用する剛性の容器は、もっぱら注出し易いように設計されているため、繰り返し使用する容器に対して、詰替え容器から内容物を補充する詰替え操作の利便性を考慮したものでは、必ずしもなかった。
【0004】
繰り返し使用する容器に設けられたノズルを利用して、詰替え容器の開封を行うことができ、さらに詰替え中に、詰替え容器が自立するために、手で保持しなくてもよい詰替え容器が提案されている。この手放し詰め替え容器は、繰り返し使用容器の開口部に着脱可能かつ脱落不能に連結される結合部材と、詰め替え容器本体を密封する容器密封部材とを備えた詰め替え容器である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-99082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された詰め替え容器は、繰り返し使用容器と詰め替え容器を結合するために、口栓部に、結合部材と容器密封部材という2つの部材を用いているため、容器のコストが高いものとならざるを得ない。また詰め替え容器を、繰り返し使用容器の開口部にねじ込んで使用する構造であるため、両者の結合は確実であるが、反面、操作が面倒であるばかりでなく、口栓のコスト面においても不利であるという欠点があった。
【0007】
詰替え容器が繰り返し使用する剛性容器に対して、専用の詰替え容器である場合には、結合部の構造をうまく適合するように設計することが可能であるが、いろいろな形状を持った剛性容器に対して、汎用的に適用できる詰替え容器を実現しようとした場合、この方法は採用できなかった。
【0008】
本発明の解決しようとする課題は、さまざまな形状の剛性容器に対して適用でき、簡単な操作で詰替え操作が円滑に実施できるワンタッチ開封詰め替え容器用口栓ならびにこの口栓を用いた詰替え容器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、注出用ノズルを備えた剛性容器に内容物を補充するために用いる詰替え容器の口栓であって、詰替え容器本体を固着するための容器本体装着部と、前記剛性容器の注出用ノズルを挿入可能な筒状のスパウト部と、容器を密封するとともに前記注出用ノズルによって開封可能なシール板を有し、該シール板は、弾性材料からなり、開封用スコアを有し、該容器本体装着部は、内容物の流出量を規制する流量規制孔を有することを特徴とする詰替え容器用口栓である。
【0011】
また、請求項に記載の発明は、前記シール板が、ゴムまたは熱可塑性エラストマーからなることを特徴とする請求項記載の詰替え容器用口栓である。
【0012】
また、請求項に記載の発明は、前記スパウト部を覆うオーバーキャップを有することを特徴とする請求項1または2に記載の詰替え容器用口栓である。
【0013】
また、請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか1項に記載の口栓の容器本体装着部に、内容物の排出に伴って変形可能な容器本体を固着したことを特徴とする詰替え容器である。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る詰替え容器用口栓は、注出用ノズルを備えた剛性容器に内容物を補充するために用いる詰替え容器の口栓であって、詰替え容器本体を固着するための容器本体装着部と、前記剛性容器の注出用ノズルを挿入可能な筒状のスパウト部と、容器を密封するとともに前記注出用ノズルによって開封可能なシール板を有する詰替え容器用口栓であるから、詰替え容器を倒立させ、繰り返し使用する剛性容器のノズルに被せるように挿入することにより、ノズルによってシール板が自動的に開封されるため、極めて簡単な操作で、詰替え作業を実行できる。
【0015】
また、本発明に係る詰替え容器用口栓は、シール板が弾性材料からなり、さらに開封用スコアを有するため、ノズル先端によって容易に開封のきっかけができ、さらに開口部がノズルの形状に合わせて伸張し、ノズルに密着するので、さまざまな形状のノズルに対して適合性があり、繰り返し使用する剛性容器を選ばないので、汎用性のある詰替え容器用口栓として使用できる。またシール板がノズルに密着するので、詰替え操作中に、内容物が漏れ出したりすることがない。
【0016】
また、前記容器本体装着部が、内容物の流出量を規制する流量規制孔を有する場合には、内容物の流動性に合わせて流量規制孔の開口を調整することにより、内容物が一度に大量に流出して溢れたりすることを防止できる。
【0017】
また、前記シール板が、ゴムまたは熱可塑性エラストマーからなる場合には、シール板の材質や固さを内容物に合わせて選択することにより、さまざまな内容物に対して適合する口栓を備えた詰替え容器を実現できる。
【0018】
また口栓が、スパウト部を覆うオーバーキャップを有する場合には、スパウト部の内部にほこりが進入するのを防ぐことができる。またオーバーキャップをねじで固定するようにした場合には、使い残しを密封して安全に保存することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る詰替え容器用口栓の一実施態様を示した断面模式図であり、(1)図は、(2)図のAA断面を示した断面模式図である。(2)図は、(1)図の平面模式図である。
図2図1に示した詰替え容器用口栓を用いた詰替え容器の一実施態様を示した断面模式図である。
図3図1に示した詰替え容器用口栓を用いた詰替え容器の他の実施態様を示した断面模式図である。
図4図1に示した詰替え容器用口栓を用いた詰替え容器から、繰り返し使用する剛性容器に内容物を詰め替える詰め替え操作を示した断面説明図である。
図5】本発明に係る詰替え容器用口栓の他の実施態様を示した断面模式図である。(1)図は、(2)図のBB断面を示した断面模式図である。(2)図は、(1)図の平面模式図である。
図6】本発明に係る詰替え容器用口栓の他の実施態様を示した断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面に従って、本発明に係る詰替え容器用口栓について、詳細に説明する。
図1は、本発明に係る詰替え容器用口栓の一実施態様を示した断面模式図であり、(1)図は、(2)図のAA断面を示した断面模式図である。(2)図は、(1)図の平面模式図である。
本発明に係る口栓1は、注出用ノズルを備えた繰り返し使用する剛性容器に内容物を補充するために用いる詰替え容器の口栓であって、詰替え容器本体を固着するための容器本体装着部2と、前記剛性容器の注出用ノズルを挿入可能な筒状のスパウト部3と、容器を密封するとともに前記注出用ノズルによって開封可能なシール板5を有し、該シール板5は、弾性材料からなり、開封用スコア6を有することを特徴とする詰替え容器用口栓である。
【0021】
図1に示された実施態様においては、容器本体装着部2とスパウト部3とシール板5はそれぞれ別の部品として作成され、容器本体装着部2とスパウト部3の間にシール板5を挟んで打栓によって一体化してある。一体化する方法としては、ねじによる方法の他、インサートモールド法により、容器本体装着部2とスパウト部3を一体に成形する時、シール板も同時に一体化する方法もある。また容器本体装着部2やスパウト部3は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂を用いて、インジェクション成型法によって成形することができる。
【0022】
またこの実施態様においては、容器本体装着部2に流量規制孔7が設けられている。流量規制孔7は、想定される剛性容器のノズル断面積と同等もしくはノズル断面積よりも小さな断面積となるように、口径を絞る働きをする。こうすることにより、詰替え容器内の内容物が一度に大量に供給され、ノズルから溢れることを防止することができる。また容器本体装着部2は、紡錘形をしており、軟包装フィルムからなる軟包装袋の開口部に挿入して熱シールしやすい形状となっている。
【0023】
シール板5は、ゴム、熱可塑性エラストマー等の弾性材料からなり、開封用スコア6を有する。この実施態様においては、開封用スコア6は、シール板5の厚さのほぼ半分に達する切り込みであり、3本の切り込みが60°づつ回転した角度に交差している。開封用スコア6の形状や個数については、特に制約はない。切り込みではなく、V字型の溝でも良い。またシール板5の表裏どちら側から設けるかについても制約はない。スパウト部3にオーバーキャップがねじなどによって固定されており、しかも内容物の粘度が高いものである場合には、開封用スコア6は、シール板5の全厚にわたって貫通する切れ込みでも
良い場合もある。
【0024】
シール板5の材質については、天然ゴム、合成ゴム等のゴム材料や熱可塑性エラストマーが使用できる。合成ゴムとしては、アクリルゴム(ACM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(ニトリルゴム、NBR)、イソプレンゴム(IR)、ウレタンゴム(U)、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)、クロロプレンゴム(CR)、シリコーンゴム(Q)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、フッ素ゴム(FKM)、ポリイソブチレンゴム(ブチルゴム IIR)等が挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系(SBC)、塩ビ系(TPVC)、オレフィン系(TPO)、ウレタン系、ポリエステル系、ニトリル系、ポリアミド系(TPAE)、フッ素系、塩素化ポリエチレン(CPE)、1・2ポリブタジエン、トランス1・4IR、シリコーン系、塩素化エチレンコポリマー架橋体アロイ、エステルハロゲン系ポリマーアロイ等が挙げられる。どのような材質を選択するかは、コストや内容物の種類や性状によって決定される。
【0025】
図2図3は、図1に示した詰替え容器用口栓を用いた詰替え容器の実施態様の例を示した断面模式図である。
図2図3に示した詰替え容器は、いずれも表裏2枚の軟包装フィルムと底面フィルムを周縁シールして作成したいわゆるスタンディングパウチである。図2に示した容器は、容器本体4の上端開口部に口栓1が固着してあるが、図3に示した容器は、容器本体4の上角部の開口部に口栓1が固着してある。
【0026】
これらの詰替え容器を用いた包装体を製造するには、まず詰替え容器本体4の袋を作成し、この開口部に容器本体装着部2を熱融着した後、容器本体装着部の開口部から内容物を注入し、最後にシール板5と共にスパウト部3を打栓して密封することによって包装体製品を製造することができる。
【0027】
詰替え容器本体4としては、特に制約はなく、図2図3に示したような軟包装袋であってもよいし、プラスチックボトルのような剛性の容器でもよい。また紙とプラスチックフィルムをラミネートした複合容器やプラスチック製のチューブ等でもよい。しかし本発明に係る詰替え容器用口栓の特性上、軟包装袋やチューブのように、詰替えに当たって、内容物の流出に伴って変形して萎むような、気液交換の必要のない容器である方が好ましい。
【0028】
図4は、図1に示した詰替え容器用口栓を用いた詰替え容器から、繰り返し使用する剛性容器に内容物を詰め替える詰め替え操作を示した断面説明図である。
繰り返し使用する剛性容器は、プラスチックボトル等からなる剛性容器本体10の開口部にノズルキャップ11を取付けた構造を持っている。ノズルキャップ11には、中央にノズル12があり、ノズル12の片側はノズルスリット14となっており、容器の内部と外部とは、通気可能な構造である。
【0029】
詰替え容器を倒立させ、詰替え容器の口栓1を下にして保持し、スパウト部3をノズル12に被せるように詰替え容器挿入方向の矢印15の方向に挿入する。図では、容器本体装着部2に固着された詰替え容器本体や、内容物は省略してある。ノズル先端13がシール板5に突き当たると共に、シール板5に設けられた開封用スコア6が裂け、ノズル先端13は、図のようにシール板5を突き抜けて進入する。この時、シール板5は、弾性を有するので、シール板5の開口部は、ノズル先端13の形状に沿って伸びて変形し、常にノズル12に密着した状態を保っている。この時、詰替え容器内の内容物は、ノズル12から合成容器本体内に向かって流出するが、ノズル12の外側にはシール板5が密着しているので、内容物が漏れ出すことがない。この時、容器本体装着部2に設けた流量規制孔7
によって、流入する内容物の量が規制されるので、ノズルスリット14から内容物が溢れ出すことを防止することができる。
【0030】
図5は、本発明に係る詰替え容器用口栓の他の実施態様を示した断面模式図である。(1)図は、(2)図のBB断面を示した断面模式図である。(2)図は、(1)図の平面模式図である。
図5に示した実施態様においては、容器本体装着部2とスパウト部3の固着方法がねじによるものであり、シール板5に設けた開封用スコアが、1本の切り込みだけである点を除いては、図1に示した口栓と変わるところはない。
【0031】
図6は、本発明に係る詰替え容器用口栓の他の実施態様を示した断面模式図である。
図6に示した実施態様においては、口栓1のスパウト部3を覆うオーバーキャップ16が設けられている以外は、図1に示した口栓と同様である。オーバーキャップ16は、口栓1の内部にごみやほこりが進入するのを防ぐものである。オーバーキャップの固定方法は、摩擦による方法や、嵌合突起による方法やねじによる方法等が用いられる。ねじを用いて容器を密封できるようにすると、容器の再封止が可能となるため、詰め残しが生じたりした場合であっても、保存が可能となる。
【0032】
以上、本発明に係る詰替え容器用口栓およびこれを用いた詰替え容器は、繰り返し使用する剛性容器のノズル部分に、詰替え容器のスパウト部を挿入して押し込むだけの極めて簡単な操作によって詰め替えが完了するものであり、剛性容器のノズル形状によらず、さまざまな容器に適用可能であることから、汎用の詰替え容器として有用である。
【符号の説明】
【0033】
1・・・口栓
2・・・容器本体装着部
3・・・スパウト部
4・・・詰替え容器本体
5・・・シール板
6・・・開封用スコア
7・・・流量規制孔
10・・・剛性容器本体
11・・・ノズルキャップ
12・・・ノズル
13・・・ノズル先端
14・・・ノズルスリット
15・・・詰替え容器挿入方向の矢印
16・・・オーバーキャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6