(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
泥水の生成装置より供給される泥水を貯留し、タンク底付近の底部口とタンク上部の越流口とを備えた泥水タンクを、流動化処理装置の上方に配置し、前記泥水の生成装置から供給される泥水を前記底部口で受け入れ、一定の貯留量以上の泥水について前記越流口からオーバーフローさせることで、タンク底から上に向かう水流を泥水タンク内で発生させて泥水の撹拌を行い、当該撹拌された泥水をタンク下部に備わるバルブから流動化処理装置に供給し、当該流動化処理装置にて前記泥水と適宜な改良材との混合を行って流動化処理土を製造する、ことを特徴とする流動化処理土の製造方法。
泥水の生成装置より供給される泥水を、タンク底付近の底部口で受け入れ、一定の貯留量以上の泥水についてタンク上部の越流口からオーバーフローさせることで、タンク底から上に向かう水流を泥水タンク内で発生させて泥水の撹拌を行い、当該撹拌された泥水をタンク下部に備わるバルブから排出する泥水タンクと、
前記泥水タンクの下方に配置され、上方の前記泥水タンクのバルブから排出される泥水を得て、当該泥水と適宜な改良材との混合を行って流動化処理土を製造する流動化処理装置と、
を含むことを特徴とする流動化処理土の製造装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来における流動化処理土の製造に際しては、工事で生じた土砂のうち一部粒径分を利用するに留まっており、その他の粒径分については利用されていなかった。一方、従来利用してきた土粒子より比較的大きな径の土粒子と清水等を混合し、流動化処理土製造用の泥水を生成しようとしても、従来技術においては泥水内での土粒子沈降が生じて、土粒子が均一に分布した泥水を得ることは難しかった。つまり、従来利用されている一部粒径分以外の土粒子を用いて流動化処理土の製造を行うことは困難であったと言える。
また、工事で生じた土砂のうち一部の粒径分しか流動化処理土の製造に利用しないとなると、それ以外の粒径分は残土となって工事現場外に搬出する必要がある。そのため、残土搬出のためのコストや手間が生じていた。
そこで本発明では、土砂を効率良く利用して流動化処理土を製造する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明の流動化処理土の製造方法は、泥水の生成装置より供給される泥水を貯留し、タンク底付近の底部口とタンク上部の越流口とを備えた泥水タンクを、流動化処理装置の上方に配置し、前記泥水の生成装置から供給される泥水を前記底部口で受け入れ、一定の貯留量以上の泥水について前記越流口からオーバーフローさせることで、タンク底から上に向かう水流を泥水タンク内で発生させて泥水の撹拌を行い、当該撹拌された泥水をタンク下部に備わるバルブから流動化処理装置に供給し、当該流動化処理装置にて前記泥水と適宜な改良材との混合を行って流動化処理土を製造する、ことを特徴とする。
【0007】
上記の構成によれば、泥水タンク内では自然と底部から上部へ向かう泥水の水流が生じ、またこれに加えて、一定の貯留量以上の泥水について越流口からオーバーフローするため、越流口からのオーバーフローが連続的に生じ、ひいてはタンク内でに生じる底部から上部への水流も維持され、タンク内での効率的な撹拌作用が連続することになる。従って、工事等で生じる土砂のうち従来利用されてきた一部粒径分に留まらず、その他の粒径分についても流動化処理土製造に利用できることになる。このことは、工事で生じた土砂を効率よく利用して、工事現場外に搬出する残土量を低減することにつながり、残土搬出のためのコストや手間も削減する効果を生じさせる。
【0008】
また、前記泥水タンクは、越流口までの水位が常に保たれることになるから、タンク下部での水圧も一定となり、タンク下部に備わるバルブの開度を調整するだけで、流動化処理装置に供給する泥水量も安定的に一定となる。
【0009】
また、前記流動化処理土の製造方法において、前記泥水タンクはタンク底に水流発生機構を備えるものであり、前記水流発生機構によって泥水タンク内の前記水流を増大させて泥水の撹拌を行うとしてもよい。
【0010】
これによれば、前記泥水のオーバーフローによって連続的に生じる、泥水タンク内の底部から上部へ向かう泥水の水流に加えて、水流発生機構による前記水流の増大が図られるから、比較的粒径の大きな土粒子が含まれる泥水であっても、その撹拌が更に確実に実行される。従って、工事等で生じる土砂のうち従来利用されてきた一部粒径分に留まらず、その他の粒径分についても更に幅広く流動化処理土製造に利用できることになる。このことは、工事で生じた土砂をより効率よく利用して、工事現場外に搬出する残土量を低減することにつながり、残土搬出のためのコストや手間を更に削減する効果を生じさせる。
【0012】
また、前記流動化処理土の製造方法において、前記泥水の生成装置を、前記泥水タンクより貯留量の大きい一次泥水貯留タンクとし、所定装置から供給される土砂、水、および前記泥水タンクのオーバーフロー分の泥水を受け入れて、これらをタンク底に備わる撹拌機構により撹拌して泥水を生成し、生成した泥水を送泥水ポンプにより前記泥水タンクに圧送する、としてもよい。
【0013】
この一次泥水貯留タンクは、例えば、工事等で発生する土砂や泥水等をひとまとめに受け入れて大容量で貯留しつつ、送泥水ポンプで一定量の泥水の連続的な供給を前記泥水タンクに行うというバッファの役割を果たし、更には、前記泥水タンクのオーバーフロー分の泥水を受け入れることで、効率的な泥水の循環経路を形成する役割も果たす。つまり、工事等での土砂発生、発生土砂の受入、土砂を利用した泥水の生成・貯留、一定量の泥水供給、余剰泥水の回収、泥水流動化処理土の製造、といったサイクルを連続的に確立できる。
【0014】
また、本発明の流動化処理土の製造装置は、泥水の生成装置より供給される泥水を、タンク底付近の底部口で受け入れ、一定の貯留量以上の泥水についてタンク上部の越流口からオーバーフローさせることで、タンク底から上に向かう水流を泥水タンク内で発生させて泥水の撹拌を行い、当該撹拌された泥水をタンク下部に備わるバルブから排出する泥水タンクと、前記泥水タンクの下方に配置され、上方の前記泥水タンクのバルブから排出される泥水を得て、当該泥水と適宜な改良材との混合を行って流動化処理土を製造する流動化処理装置とを含むことを特徴とする。
なお、上記各発明において、前記泥水は掘削土を塊砕した土砂を含むこととしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、土砂を効率良く利用して流動化処理土を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
−−−流動化処理土の製造装置例−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施形態における流動化処理土の製造装置例を示す図である。本実施形態における流動化処理土の製造装置50の具体的な構成について説明する。
【0018】
本実施形態における流動化処理土の製造装置50(以下、製造装置50と称する)は、一例として、トンネル工事で稼働するシールドマシンなどの掘削機から得られる土砂すなわち掘削土を原料に流動化処理土を製造するものを示す。シールドマシンは、その稼働中に連続的に掘削土を排出するから、前記製造装置50も、掘削土が供給される間は連続的に流動化処理土を生成するシステムとなる。勿論、流動化処理土の原料として利用する掘削土は他の経路から供給されるものであってもよい。
【0019】
こうした製造装置50は、前記シールドマシンから排出される掘削土を当該製造装置50に継続的に搬入する搬送手段たる原料土搬送コンベヤー60と、この原料土搬送コンベヤー60により搬送されてきた掘削土を混練しながら必要量(例えば、流動化処理土の使用現場への供給量に応じた量)だけ次工程に送り、その他は不要分として原料土排出コンベヤー63に供給する、スクリューフィーダー61と連係している。
【0020】
また、製造装置50は、スクリューフィーダー61から送られてくる掘削土を、適宜な供給源から得た清水ないし泥水(例:後述する連続流動化処理装置70=流動化処理装置等での洗浄泥水)と混ぜ合わせて破砕するロール塊砕機62と連係している。このロール塊砕機62は、所定径(例:20mmから40mm)の孔を回転面に多数配置して内部空洞のロールを、互いの回転面が当接し合うよう並べて配置したものである。互いに噛み合う回転面の上方から供給された前記掘削土は、前記回転面に強く押圧され、角を落としたり、崩れたりしながら前記孔を強制的に通過し、前記所定径の粒となってロール内に落下する。ロール内に落下した所定径の掘削土等は、次に述べる一次泥水貯留タンク64に供給される。
【0021】
製造装置50は、一次泥水貯留タンク64、および二次泥水タンク66(=泥水タンク)という容量の異なる2つのタンクを備えている。一次泥水貯留タンク64は、ロール塊砕機62から供給される所定径の掘削土砂、清水貯留タンク65から供給される清水、二次泥水タンク66のオーバーフロー分、および、後述する連続流動化処理装置70等での洗浄泥水を受け入れるタンクとなり、二次泥水タンク66より貯留量が大きなタンクである。この一次泥水貯留タンクは、二次泥水タンク66のオーバーフロー分の泥水を受け入れることで、効率的な泥水の循環経路を形成する役割も果たす。つまり、工事等での土砂発生、発生土砂の受入、土砂を利用した泥水の生成・貯留、一定量の泥水供給、余剰泥水の回収、泥水流動化処理土の製造、といったサイクルを連続的に確立するために必要なタンクと言える。
【0022】
なお、清水貯留タンク65は、液面計88で貯留量を検知し、貯留量の増減に応じて適宜なバルブ80で清水供給源からの供給量を制御している。同様に、一次泥水貯留タンク64も、液面計88で貯留量を検知し、貯留量の増減に応じて適宜なバルブ80で清水貯留タンク65からの清水供給量を制御している。
【0023】
この一次泥水貯留タンク64には、撹拌ポンプ86が備わっている。撹拌ポンプ86は、上述した所定径の掘削土砂、清水、二次泥水タンク66のオーバーフロー分、および、連続流動化処理装置70等での洗浄泥水らを吸入し、適宜な圧力で吐出することで、タンク内に強い水流を生み出し、土粒子等が沈降して不均一な泥水とならぬよう図っている。また、一次泥水貯留タンク64には、他にも送泥水ポンプ87が備わっている。この送泥水ポンプ87は、一次泥水貯留タンク64に貯留されている泥水を二次泥水タンク66に圧送するポンプとなる。
【0024】
他方、一次泥水貯留タンク64の上方に設置されるのが泥水タンクたる二次泥水タンク66となる。一次泥水貯留タンク64が、掘削土や泥水等をひとまとめに受け入れて、大容量で貯留しておくバッファの役割を果たすタンクであるのに対し、この二次泥水タンク66は、連続流動化処理装置70に一定量の泥水を安定的に供給するためのタンクとなる。この二次泥水タンク66は、一次泥水貯留タンク64の送泥水ポンプ87から送られてくる泥水を、底部口83で受け入れて、タンク底に泥水を流入させる構造となっている。こうした構造となっていることで、タンク内では自然と底部から上部へ向かう泥水の水流が生じることになる。またこれに加えて、二次泥水タンク66はタンク上部に越流口84を備えており、一定の貯留量以上の泥水については、送泥水ポンプ87からの泥水の連続供給に伴って、越流口84からオーバーフローする構造となっている。従って、越流口84からのオーバーフローが連続的に生じることで、タンク内に生じる底部から上部への水流も維持され、タンク内での撹拌作用が連続することになる。
【0025】
また、二次泥水タンク66のタンク底には、水流発生機構90が設置されている。設置する水流発生機構90としては、撹拌ポンプや、ドラムミキサー、スクリューミキサーなど、状況に応じて種々採用すればよく、特に限定はしない。上述のように、二次泥水タンク66においては、タンク底部から上部への水流が生じて泥水に対する撹拌作用が連続しているが、前記水流発生機構90により前記水流を増大させて泥水の撹拌を行うことができる。例えば、二次泥水タンク66に貯留されている泥水が、比較的大きな径の土粒子を含んでいるものであって、前記水流とオーバーフローの働きだけでは撹拌作用が不足するような場合であっても、十分に撹拌がなされ、土粒子が均一に分布した泥水を確保することができる。
【0026】
従って、前記シールドマシン等から生じた掘削土のうち従来利用されてきた一部粒径分に留まらず、その他の粒径分についても流動化処理土製造に利用できることになる。このことは、工事で生じた土砂を効率よく利用して、工事現場外(例えば、トンネル坑外)に搬出する残土量を低減することにつながり、残土搬出のためのコストや手間も削減する効果を生じさせる。
【0027】
なお、二次泥水タンク66では、上述のように、一定の貯留量以上の泥水については越流口84からオーバーフローすることで、越流口84までのタンク内水位が常に保たれることになる。タンク内水位が一定であるから、タンク下部での水圧も一定となる。従って、タンク下部に備わるバルブ85の開度を調整するだけで、連続流動化処理装置70に供給する泥水量も安定的に一定とできる。
【0028】
バルブ85としては、例えば、スクリューバルブやボールバルブを適用でき、泥水が含む粒子径が比較的大きい場合(例:40mm程度)には特にスクリューバルブを採用すれば好適である。スクリューバルブを採用すれば、例えば泥水が含む土粒子の径が比較的大きい場合であっても、下方の連続流動化処理装置70に円滑に泥水供給を行える。
【0029】
また、製造装置50は、このほかにもセメント等の改良材を貯える改良材サイロ67と連係している。改良材サイロ67は、計量器82で計量しつつ一定量の改良材(例:セメントなど)を連続流動化処理装置70に供給し続けることになる。
【0030】
他方、製造装置50における連続流動化処理装置70は、二次泥水タンク66から安定的に連続供給される一定量の泥水と、改良材サイロ67から安定的に連続供給される一定量の改良材と適宜混合するなどして流動化処理土30を生成する。ここで生成される流動化処理土30は、圧送ポンプ51に供給され、流動化処理土の使用現場に搬送される。また、連続流動化処理装置70で生じた洗浄泥水は、ピット72、73で受けて送泥水ポンプ87でもって一次泥水貯留タンク64に還流する。
【0031】
−−−流動化処理土の製造手順例−−−
続いて、流動化処理土の製造手順について説明する。
図2は、本実施形態における流動化処理土製造方法の手順例を示すフロー図である。この場合、まず、前記シールドマシンから排出される掘削土を、原料土搬送コンベヤー60より製造装置50に継続的に搬入し、この原料土搬送コンベヤー60により搬送されてきた掘削土をスクリューフィーダー61に供給する(s100)。
【0032】
スクリューフィーダー61では、前記掘削土の混練をしながら必要量(例えば、流動化処理土の使用現場への供給量に応じた量)だけ次工程のロール塊砕機62に送り、その他は不要分として原料土排出コンベヤー63に供給する(s101)。
【0033】
また、ロール塊砕機62は、スクリューフィーダー61から送られてくる掘削土を、適宜な供給源から得た清水ないし泥水(例:連続流動化処理装置70での洗浄泥水)と混ぜ合わせて破砕する(s102)。このロール塊砕機62は、前記破砕により得た所定径の掘削土等を一次泥水貯留タンク64に供給する(s103)。
【0034】
一方、一次泥水貯留タンク64は、ロール塊砕機62から供給される所定径の掘削土砂、清水貯留タンク65から供給される清水、二次泥水タンク66のオーバーフロー分、および、連続流動化処理装置70等での洗浄泥水を受け入れる(s104)。また、この一次泥水貯留タンク64は、具備する撹拌ポンプ86により、上述した所定径の掘削土砂、清水、二次泥水タンク66のオーバーフロー分、および、連続流動化処理装置70等での洗浄泥水らを吸入し、適宜な圧力で吐出することで、タンク内に強い水流を生み出して泥水撹拌を行う(s105)。この前記泥水撹拌の処理によって、土粒子等が均一に分布することとなった泥水は、送泥水ポンプ87により二次泥水タンク66に圧送する(s106)。
【0035】
他方、二次泥水タンク66は、一次泥水貯留タンク64の送泥水ポンプ87から送られてくる泥水を、底部口83で受け入れて、タンク底に泥水を流入させ、また、タンク底に備わる水流発生機構90で水流を強める(s107)。これにより、タンク内で生じる底部から上部へ向かう泥水の水流が強められることになる。二次泥水タンク66に泥水が貯留していき、越流口84の水位まで達した場合、送泥水ポンプ87からの泥水の連続供給に伴って、当該越流口84からオーバーフローが生じる。従って、越流口84からのオーバーフローが連続的に生じることで、タンク内に生じる底部から上部への水流も維持され、タンク内での良好な撹拌作用が連続することになる。
【0036】
したがって、二次泥水タンク66に貯留されている泥水が、比較的大きな径の土粒子を含んでいるものであって、前記水流とオーバーフローの働きだけでは撹拌作用が不足するような場合であっても、十分に撹拌がなされ、土粒子が均一に分布した泥水を確保することができる。
【0037】
また、二次泥水タンク66で良好に撹拌されている泥水を、タンク下部に備わるバルブ85の開度を調整することで、連続流動化処理装置70に供給する(s108)。他方、改良材サイロ67にて、計量器82で計量しつつ一定量の改良材(例:セメントなど)を連続流動化処理装置70に供給する(s109)。
【0038】
連続流動化処理装置70は、二次泥水タンク66から安定的に連続供給される一定量の泥水と、改良材サイロ67から安定的に連続供給される一定量の改良材と適宜混合するなどして流動化処理土30を生成する(s110)。ここで生成される流動化処理土30は、圧送ポンプ51に供給され、流動化処理土の使用現場に搬送される。また、連続流動化処理装置70で生じた洗浄泥水は、ピット72、73で受けて送泥水ポンプ87でもって一次泥水貯留タンク64に還流する(s111)。こうした処理は、シールドマシンから掘削土が供給される限り継続できる(s112:Yes→s100)。
【0039】
−−−製造した流動化処理土の利用例−−−
続いて、上述のように製造した流動化処理土30の利用形態について述べておく。
図3は、本実施形態における流動化処理土の利用例1を示す図である。流動化処理土30は、様々な用途に利用できるが、ここでは一例として、トンネル道床部の構築部材として利用する状況を例にあげることとする。ここで、シールドマシン35が掘削機としてトンネル切羽面に位置しており、掘削時の発生物である掘削土を後方に排出しているとする。この掘削土は、ベルトコンベヤや圧送管などの搬送手段60を介して、製造装置50に投入されるものとする。
【0040】
シールドマシン35の後方における壁面はセグメント36で覆われてトンネル駆体が形成されている。また、シールドマシン35の後方空間には、トンネル掘進の進行に応じて、坑口から順次配置されたボックスカルバート20が列を成している。配置済みのボックスカルバート上にはレール21が敷設され、このレール上を運搬車輌37が走行する。運搬車輌37は坑口からボックスカルバート20などを搬入する。シールドマシン35の後方に搬入されたボックスカルバート20は、トンネル天井面に設置されたテルハ22など適宜なクレーンにより、先頭のボックスカルバート20の先に吊下・設置されることとなる。このボックスカルバート20の追加配置に伴って、レール21も適宜延伸される。
【0041】
一方、運搬車輌37の後方には、製造装置50が配置されている。この製造装置50は、上述のように流動化処理土30を生成する。この製造装置50で生成した流動化処理土30は、圧送ポンプ51により圧送管52を介して打設現場53まで搬送されて打設される。図示した例では、ボックスカルバート20の側面24とトンネル内壁15、および堰板45とで囲まれた領域が打設現場53となり、例えば、ボックスカルバート天端面23を適宜覆う高さまで流動化処理土30が打設される。なお、ボックスカルバート20を坑内に設置しない例の場合、トンネル底部3の全体が打設現場53となり、トンネル底部3における所定高さ=道床部5として必要な高さまで流動化処理土30が打設されることになる。また、シールドマシン35による掘削が進み、それに応じて運搬車輌37も前進するにつれ、製造装置50もトンネル前方に向けて移設される。以後、工事完了まで、シールドマシン35のトンネル掘進に伴って、上述した、製造装置50に対する掘削土の投入から、トンネル掘進の進行に伴う製造装置50の移設を繰り返すこととなる。
【0042】
流動化処理土30の打設は、トンネル底部3からボックスカルバート天端面23を適宜覆う高さまで一度に行うとしてもよいが、養生管理の容易さや流動化処理土固化後の品質を考慮し、
図4に示すようにトンネル底部3から段階的に行うとしてもよい。
【0043】
このように流動化処理土30を利用してトンネル道床部を構築するとすれば、道床部をPC製品等で構成するための煩雑な型枠工の手間や路盤材の手配・転圧作業等は必要無い。また、シールドマシンなどの掘削機から排出される土砂等を処理して得られる流動化処理土30を、そのままトンネル10の底部3に、或いは、ボックスカルバート等の構造物20とトンネル内壁15との間に打設し適宜養生することで、トンネル10の道床部5を構築できるのである。なお、図示した例では、ボックスカルバート等の構造物20をトンネル底部3に配置した例を示しているが、このボックスカルバート等の構造物20を配置せず、全て流動化処理土30でトンネル底部3を充填して道床部5を形成するとしてもよい。
【0044】
以上、本実施形態によれば、泥水タンク内において、比較的粒径の大きな土粒子が含まれる泥水であっても、その撹拌が確実に実行され、工事等で生じる土砂のうち従来利用されてきた一部粒径分に留まらず、その他の粒径分についても流動化処理土製造に利用できることになる。このことは、工事で生じた土砂を効率よく利用して、工事現場外に搬出する残土量を低減することにつながり、残土搬出のためのコストや手間も削減する効果を生じさせる。
【0045】
また、前記泥水タンクは、越流口までの水位が常に保たれることになるから、タンク下部での水圧も一定となり、タンク下部に備わるバルブの開度を調整するだけで、流動化処理装置に供給する泥水量も安定的に一定となる。
【0046】
なお、前記流動化処理土の製造方法において、前記泥水タンクに備わるバルブをスクリューバルブとすれば、例えば泥水が含む土粒子の径が比較的大きい場合(例:40mm程度)状況であっても円滑に泥水供給を行える。
【0047】
また、一次泥水貯留タンクによって、例えば、工事等で発生する土砂や泥水等をひとまとめに受け入れて大容量で貯留しつつ、送泥水ポンプで一定量の泥水の連続的な供給を前記泥水タンクに行うというバッファの役割を果たし、更には、前記泥水タンクのオーバーフロー分の泥水を受け入れることで、効率的な泥水の循環経路を形成することもできる。工事等での土砂発生、発生土砂の受入、土砂を利用した泥水の生成・貯留、一定量の泥水供給、余剰泥水の回収、泥水流動化処理土の製造、といったサイクルを連続的に確立できる。
【0048】
したがって、本実施形態によれば、工事時に生じた掘削土を効率良く利用して流動化処理土を製造することができる。
【0049】
本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。