特許第5671905号(P5671905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5671905
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】車両用ルーフ装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/05 20060101AFI20150129BHJP
【FI】
   B60J7/05 A
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2010-209785(P2010-209785)
(22)【出願日】2010年9月17日
(65)【公開番号】特開2011-213338(P2011-213338A)
(43)【公開日】2011年10月27日
【審査請求日】2013年8月8日
(31)【優先権主張番号】特願2010-64334(P2010-64334)
(32)【優先日】2010年3月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】平田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】石川 政司
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−180282(JP,A)
【文献】 特開2005−289330(JP,A)
【文献】 特開2002−274182(JP,A)
【文献】 特開昭55−087621(JP,A)
【文献】 特開2000−190735(JP,A)
【文献】 特開平07−215056(JP,A)
【文献】 特開2009−090975(JP,A)
【文献】 特開2005−126031(JP,A)
【文献】 特開2002−178766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の屋根部に形成された開口部の車両幅方向縁部に設けられるガイドレールに沿って車両前後方向に移動自在に設けられたガイド部材と、該ガイド部材に係合されて前記開口部を開閉する可動パネルを支持する支持部材とを備え、前記ガイド部材の車両後方への移動に伴い前記支持部材の支持する前記可動パネルをチルトアップ動作させるとともにチルトアップ状態のまま開作動させる車両用ルーフ装置において、
前記ガイドレールに保持され、前記可動パネルのチルトアップ動作時及び開作動時に前記支持部材と前記ガイドレールとの間隙を室内空間から隠蔽する第1ガーニッシュと、
前記可動パネルに保持され、前記支持部材を室内空間から隠蔽するとともに、前記可動パネルの全閉時及びチルトアップ動作時に前記ガイド部材を室内空間から隠蔽する第2ガーニッシュと、
前記ガイド部材又は前記支持部材に連係されて前記ガイドレールに沿って車両前後方向に移動自在に支持され、前記可動パネルの全閉時、チルトアップ動作時及び開作動時に前記第1ガーニッシュと前記第2ガーニッシュとによって形成される間隙を室内空間から隠蔽する第3ガーニッシュとを備え
前記ガイドレールの前記第3ガーニッシュを支持するレール部は、車両幅方向で互いの対向側に突出する対のガイド片を有し、
前記第3ガーニッシュは、
車両幅方向に突出して前記各ガイド片を上下方向で挟み込む上側ガイド部及び下側ガイド部と、
前記上側ガイド部及び前記下側ガイド部にそれぞれ形成され、1箇所又は車両前後方向に離隔された2箇所で前記各ガイド片に圧接する第1圧接部と、
前記下側ガイド部に形成され、前記1箇所の前記第1圧接部が車両前後方向で中間となる2箇所又は前記2箇所の前記第1圧接部の車両前後方向の中間となる1箇所で前記レール部の底壁に圧接する第2圧接部とを有することを特徴とする車両用ルーフ装置。
【請求項2】
請求項に記載の車両用ルーフ装置において、
前記ガイド部材又は前記支持部材は、前記ガイド部材が車両後方及び前方に移動する際に前記第3ガーニッシュとそれぞれ係合する第1係合部及び第2係合部を備え、
前記第1係合部は、前記ガイド部材が前記可動パネルの全閉時に相当する位置から所定量だけ車両後方に移動したときに前記第3ガーニッシュと係合することを特徴とする車両用ルーフ装置。
【請求項3】
車両の屋根部に形成された開口部の車両幅方向縁部に設けられるガイドレールに沿って車両前後方向に移動自在に設けられたガイド部材と、該ガイド部材に係合されて前記開口部を開閉する可動パネルを支持する支持部材とを備え、前記ガイド部材の車両後方への移動に伴い前記支持部材の支持する前記可動パネルをチルトアップ動作させるとともにチルトアップ状態のまま開作動させる車両用ルーフ装置において、
前記ガイドレールに保持され、前記可動パネルのチルトアップ動作時及び開作動時に前記支持部材と前記ガイドレールとの間隙を室内空間から隠蔽する第1ガーニッシュと、
前記可動パネルに保持され、前記支持部材を室内空間から隠蔽するとともに、前記可動パネルの全閉時及びチルトアップ動作時に前記ガイド部材を室内空間から隠蔽する第2ガーニッシュと、
前記ガイド部材又は前記支持部材に連係されて前記ガイドレールに沿って車両前後方向に移動自在に支持され、前記可動パネルの全閉時、チルトアップ動作時及び開作動時に前記第1ガーニッシュと前記第2ガーニッシュとによって形成される間隙を室内空間から隠蔽する第3ガーニッシュとを備え
前記ガイド部材又は前記支持部材は、前記ガイド部材が車両後方及び前方に移動する際に前記第3ガーニッシュとそれぞれ係合する第1係合部及び第2係合部を備え、
前記第1係合部は、前記ガイド部材が前記可動パネルの全閉時に相当する位置から所定量だけ車両後方に移動したときに前記第3ガーニッシュと係合することを特徴とする車両用ルーフ装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の車両用ルーフ装置において、
前記第3ガーニッシュは、前記第2係合部の移動軌跡を遮るように突設され、前記ガイド部材が車両前方に移動する際に前記第2係合部と係合する係合突起を有し、
前記係合突起は、前記第2係合部から所定以上の荷重が加えられたときに該第2係合部の車両後方及び前方への通過を許容する弾性片からなり、
前記ガイド部材は、車両後方に移動する際に、前記係合突起の車両前方に通過した前記第2係合部と前記係合突起において係合する前記第3ガーニッシュの車両後方への移動を係止するストッパ部材を備えたことを特徴とする車両用ルーフ装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の車両用ルーフ装置において、
前記第1係合部は、前記可動パネルの閉作動に伴いデフレクターと係合して該デフレクターを前記屋根部の面の下方に格納する係合ピンであることを特徴とする車両用ルーフ装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両用ルーフ装置において、
前記第1ガーニッシュは、前記可動パネルのチルトアップ動作時及び開作動時に前記支持部材の後端部と前記ガイドレールとの間隙を室内空間から隠蔽し、
前記第3ガーニッシュは、前記可動パネルのチルトアップ動作時及び開作動時に前記支持部材の中間部と前記ガイドレールとの間隙及び前記ガイド部材を室内空間から隠蔽するとともに、前記可動パネルの全開時に前記支持部材の前端部と前記ガイドレールとの間隙及び前記ガイド部材を室内空間から隠蔽することを特徴とする車両用ルーフ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ルーフ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の屋根部に形成された開口部を、前後方向に移動する可動パネルで開閉する車両用ルーフ装置として種々のものが提案されている(例えば特許文献1〜3など)。これらの車両用ルーフ装置は、開放時に可動パネルが屋根部の下側に摺動・格納される、いわゆるインナースライディング式が採用されており、開閉作動に係る機能部品を車両室内空間から隠蔽するガーニッシュ(又はカバー)を設けることが併せて提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭55−87621号公報
【特許文献2】特開2002−274182号公報
【特許文献3】特開2000−190735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両用ルーフ装置としては、可動パネルが前端部を支点に後端部を上昇させた状態(チルトアップ状態)のまま開作動する、いわゆるアウタースライディング式のものも知られている。この場合、可動パネルのチルトアップ動作に伴い、開口部の車両幅方向両縁部において、可動パネルの後端部と屋根部との間に間隙が生じることになる。そして、可動パネルの開閉作動に係る機能部品が車両室内空間に露出して見栄えが悪くなってしまう。一方、特許文献1〜3に準じて機能部品を車両室内空間から隠蔽しようとしても、可動パネルがチルトアップ状態のまま開作動する構造上、該可動パネルの全閉時、チルトアップ動作時、開作動時及び全開時の全ての状態に亘って隠蔽することは自ずと困難になる。つまり、特許文献1〜3では、このようなアウタースライディング式の車両用ルーフ装置に特有の課題を解決し得る手段について何ら示唆されていない。
【0005】
本発明の目的は、アウタースライディング式の車両用ルーフ装置において、車両室内空間からの見栄えを向上することができる車両用ルーフ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、各請求項に記載の発明は、車両の屋根部に形成された開口部の車両幅方向縁部に設けられるガイドレールに沿って車両前後方向に移動自在に設けられたガイド部材と、該ガイド部材に係合されて前記開口部を開閉する可動パネルを支持する支持部材とを備え、前記ガイド部材の車両後方への移動に伴い前記支持部材の支持する前記可動パネルをチルトアップ動作させるとともにチルトアップ状態のまま開作動させる車両用ルーフ装置において、前記ガイドレールに保持され、前記可動パネルのチルトアップ動作時及び開作動時に前記支持部材と前記ガイドレールとの間隙を室内空間から隠蔽する第1ガーニッシュと、前記可動パネルに保持され、前記支持部材を室内空間から隠蔽するとともに、前記可動パネルの全閉時及びチルトアップ動作時に前記ガイド部材を室内空間から隠蔽する第2ガーニッシュと、前記ガイド部材又は前記支持部材に連係されて前記ガイドレールに沿って車両前後方向に移動自在に支持され、前記可動パネルの全閉時、チルトアップ動作時及び開作動時に前記第1ガーニッシュと前記第2ガーニッシュとによって形成される間隙を室内空間から隠蔽する第3ガーニッシュとを備えたことを要旨とする。
【0007】
また、上記構成において、前記第1ガーニッシュは、前記可動パネルのチルトアップ動作時及び開作動時に前記支持部材の後端部と前記ガイドレールとの間隙を室内空間から隠蔽し、前記第3ガーニッシュは、前記可動パネルのチルトアップ動作時及び開作動時に前記支持部材の中間部と前記ガイドレールとの間隙及び前記ガイド部材を室内空間から隠蔽するとともに、前記可動パネルの全開時に前記支持部材の前端部と前記ガイドレールとの間隙及び前記ガイド部材を室内空間から隠蔽することが好ましい。
【0008】
上記各構成によれば、アウタースライディング式の車両用ルーフ装置において、前記可動パネルの全閉時、チルトアップ動作時、開作動時及び全開時の各状態において、前記第1〜第3ガーニッシュの協働で前記支持部材、前記ガイド部材、並びに前記支持部材及び前記ガイドレールの間隙を室内空間から隠蔽することができ、見栄えを向上することができる。
【0009】
更に、請求項1に記載の発明においては、前記ガイドレールの前記第3ガーニッシュを支持するレール部は、車両幅方向で互いの対向側に突出する対のガイド片を有し、前記第3ガーニッシュは、車両幅方向に突出して前記各ガイド片を上下方向で挟み込む上側ガイド部及び下側ガイド部と、前記上側ガイド部及び前記下側ガイド部にそれぞれ形成され、1箇所又は車両前後方向に離隔された2箇所で前記各ガイド片に圧接する第1圧接部と、前記下側ガイド部に形成され、前記1箇所の前記第1圧接部が車両前後方向で中間となる2箇所又は前記2箇所の前記第1圧接部の車両前後方向の中間となる1箇所で前記レール部の底壁に圧接する第2圧接部とを有する。
同構成によれば、前記第1圧接部は、1箇所(又は車両前後方向に離隔された2箇所)で前記各ガイド片に圧接するとともに、前記第2圧接部は、1箇所の前記第1圧接部が車両前後方向で中間となる2箇所(又は2箇所の前記第1圧接部の車両前後方向の中間となる1箇所)で前記レール部の底壁に圧接する。従って、前記第3ガーニッシュは、前記各ガイド片において、これら第1及び第2圧接部により前記レール部に対し3点で支持されることになり、前記第3ガーニッシュと前記レール部との間の摺動抵抗の増大を抑制しつつ前記第3ガーニッシュのがたつきを抑制することができる。
更に、請求項3に記載の発明においては、前記ガイド部材又は前記支持部材は、前記ガイド部材が車両後方及び前方に移動する際に前記第3ガーニッシュとそれぞれ係合する第1係合部及び第2係合部を備え、前記第1係合部は、前記ガイド部材が前記可動パネルの全閉時に相当する位置から所定量だけ車両後方に移動したときに前記第3ガーニッシュと係合する。
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の車両用ルーフ装置において、前記ガイド部材又は前記支持部材は、前記ガイド部材が車両後方及び前方に移動する際に前記第3ガーニッシュとそれぞれ係合する第1係合部及び第2係合部を備え、前記第1係合部は、前記ガイド部材が前記可動パネルの全閉時に相当する位置から所定量だけ車両後方に移動したときに前記第3ガーニッシュと係合することを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、前記第3ガーニッシュは、前記ガイド部材が前記所定量だけ車両後方に移動したときに前記第1係合部と係合することで、例えば前記可動パネルのチルトアップ当初の状態では前記ガイドレールに停止した状態で前記支持部材の少なくとも中間部及び前記ガイドレールの間隙を室内空間から隠蔽することになる。従って、前記ガイドレールを車両後方に移動しながら前記間隙を室内空間から隠蔽する場合に比べて、前記第3ガーニッシュによる該隠蔽をより確実に行うことができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の車両用ルーフ装置において、前記第3ガーニッシュは、前記第2係合部の移動軌跡を遮るように突設され、前記ガイド部材が車両前方に移動する際に前記第2係合部と係合する係合突起を有し、前記係合突起は、前記第2係合部から所定以上の荷重が加えられたときに該第2係合部の車両後方及び前方への通過を許容する弾性片からなり、前記ガイド部材は、車両後方に移動する際に、前記係合突起の車両前方に通過した前記第2係合部と前記係合突起において係合する前記第3ガーニッシュの車両後方への移動を係止するストッパ部材を備えたことを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、前記第3ガーニッシュは、前記ガイド部材が車両前方に移動する際、前記係合突起において前記第2係合部と係合することで車両前方に移動する。また、前記第3ガーニッシュとともに前記ガイド部材が車両前方に移動する際、即ち前記可動パネルの閉作動時、例えば前記第1ガーニッシュ及び前記第2ガーニッシュの形成する間隙内で前記第3ガーニッシュにより異物が挟み込まれたとしても、前記第2係合部から前記係合突起に前記所定以上の荷重が加えられることで、第2係合部が車両前方に通過する。従って、前記第3ガーニッシュのそれ以上の車両前方への移動を回避でき、前記挟み込みに対処することができる。そして、前記係合突起の車両前方に前記第2係合部が通過した状態では、前記第3ガーニッシュは、前記ガイド部材が車両後方に移動する際、前記係合突起において前記第2係合部と係合することで車両後方に移動する。このとき、前記ストッパ部材により前記第3ガーニッシュの車両後方への移動が係止されると、前記第2係合部から前記係合突起に前記所定以上の荷重が加えられることで、前記第2係合部が車両後方に通過することになり、本来の状態(当初の状態)に復帰させることができる。
【0013】
あるいは、前記可動パネルの閉作動時にあっても、前記第1ガーニッシュ及び前記第2ガーニッシュの形成する間隙を前記第3ガーニッシュにて室内空間から隠蔽するように該第3ガーニッシュを配置・設定した場合、前記屋根部に装置を搭載するための作業スペースが制限されることになる。この場合、前記第3ガーニッシュを車両後方に押圧して、前記第2係合部から前記係合突起に前記所定以上の荷重を加えることで、前記係合突起の車両前方に前記第2係合部を通過させて前記第3ガーニッシュを車両後方に移動させる。これにより、前記第3ガーニッシュの車両前方で前記第1ガーニッシュ及び前記第2ガーニッシュの形成する間隙を十分に確保することができ、作業性を向上することができる。そして、作業後、前記第3ガーニッシュとともに前記ガイド部材を車両後方に移動させると、前記ストッパ部材により前記第3ガーニッシュの車両後方への移動が係止されることで、本来の状態に復帰させることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載の車両用ルーフ装置において、前記第1係合部は、前記可動パネルの閉作動に伴いデフレクターと係合して該デフレクターを前記屋根部の面の下方に格納する係合ピンであることを要旨とする。
【0015】
同構成によれば、前記デフレクターを前記屋根部の面の下方に格納するための前記係合ピンを、前記第1係合部として兼用することで、部品点数の増大を抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、アウタースライディング式の車両用ルーフ装置において、車両室内空間からの見栄えを向上することができる車両用ルーフ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態を示す側面図。
図2図3のA−A線に沿った断面図。
図3】(a)〜(c)は、同実施形態を示す側面図。
図4図3のB−B線に沿った断面図。
図5図1のC−C線に沿った断面図。
図6】ガイドレールに対する第3ガーニッシュの支持構造を示す側面図。
図7】ルーフを示す斜視図。
図8】(a)〜(c)は、本発明の第2の実施形態を示す断面図。
図9】第3ガーニッシュを示す側面図。
図10】(a)(b)は、同実施形態を示す側面図。
図11】(a)(b)は、同実施形態を示す側面図。
図12】(a)(b)は、本発明の第3の実施形態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態について図面に従って説明する。
図7は、自動車などの車両の屋根部としてのルーフ10に搭載されたサンルーフ装置11を斜め上方から見た模式図である。同図に示されるように、ルーフ10は、略四角形のルーフ開口部10aを有する。そして、サンルーフ装置11は、ルーフ開口部10aの車両前側の縁部に配置・支持されたデフレクター12を備えるとともに、車両前後方向に移動してルーフ開口部10aを開閉する、例えばガラス板からなる略四角形の可動パネル13を備える。
【0021】
デフレクター12は、その後部を中心に回動することで前部が上動する、いわゆるチルトアップ動作可能に取り付けられている。デフレクター12は、可動パネル13の開作動に伴い該可動パネル13側から解放されてチルトアップ動作し、ルーフ10上面よりも上側に突出する(展開状態)。あるいは、デフレクター12は、可動パネル13の閉作動に伴い該可動パネル13側から押さえ込まれてルーフ10上面の下側に収まる(格納状態)。デフレクター12は、ルーフ開口部10aを開放した際に展開状態になることで、車室内への風の巻き込みによる空気振動を防止する。
【0022】
可動パネル13は、その前部を中心に回動することで後部が上動するチルトアップ動作及び車両前後方向へのスライド動作可能に取り付けられている。可動パネル13の開閉作動においては、チルトアップ状態のままスライド動作する、いわゆるアウタースライディング式が採用されている。
【0023】
次に、可動パネル13の開閉作動等に係る構造について説明する。なお、サンルーフ装置11は、可動パネル13の開閉作動に係る構造をルーフ開口部10aの車両幅方向両側に対で備えており、以下では基本的に車両幅方向片側の当該構造のみについて説明する。
【0024】
図1は、サンルーフ装置11を一部破断して示す側面図であって、図1(a)(b)(c)は、可動パネル13の全閉時、チルトアップ動作時及び全開時の各状態を示す。
図1に示すように、サンルーフ装置11は、ルーフ開口部10aの車両幅方向縁部に設けられ、車両前後方向に延在するガイドレール14を備える。ガイドレール14は、例えばアルミニウム合金の押出材からなり、図2の横断面図に示すように、車両上方に開口する断面略C字状の第1レール部15を有する。
【0025】
また、ガイドレール14は、第1レール部15の車両幅方向内側に並設され、車両上方に開口する断面略C字状のレール部としての第2レール部16を有する。すなわち、この第2レール部16は、ガイドレール14の底壁の一部をなす底壁16aを有するとともに、該底壁16aから上側に立設された互いに平行な側壁16b,16cを有し、更に該側壁16b,16cから車両幅方向で互いの対向側に突出する対のガイド片16dを有する。なお、側壁16bは、第1レール部15の一部もなしている。
【0026】
さらに、ガイドレール14は、第2レール部16の車両幅方向内側に並設された第3レール部17を有する。この第3レール部17は、車両幅方向内側に開口する断面略U字状の内張保持部17aを有するとともに、該内張保持部17aの上側に重ねられた車両幅方向内側に開口する断面略U字状のガイド部17bを有し、更に該ガイド部17bの上側に重ねられた車両幅方向内側に開口する断面略U字状のガーニッシュ保持部17cを有する。これら内張保持部17a、ガイド部17b及びガーニッシュ保持部17cは、互いに一部を共有し合う態様で上下方向に並設されている。
【0027】
ガイドレール14の第1レール部15には、図1に示すように、ガイド部材21が車両前後方向に移動可能に装着される。すなわち、ガイド部材21は、第1レール部15を摺動する前後一対のガイドシュー22を有するとともに、該ガイドシュー22から上側に立設された板状の本体部23を有する。そして、本体部23には、車両幅方向に開口して車両前後方向に延在するガイド溝24が形成されている。このガイド溝24は、前方に向かうに従い上昇するように傾斜する第1傾斜部24aを有するとともに、該第1傾斜部24aの前端に連続してガイドレール14と概ね平行に延在する直線部24bを有し、更に該直線部24bの前端に連続して前方に向かうに従い上昇するように傾斜する第2傾斜部24cを有する。なお、本体部23の後端部には、車両幅方向内側に第2レール部16の近傍まで突出する第2係合部しての係合ピン40が固着されている(図4参照)。ガイド部材21は、例えば電動モータ(図示略)に駆動連結されており、ガイドレール14(第1レール部15)に沿って車両前後方向に移動駆動される。
【0028】
一方、可動パネル13の下面には、ガイドレール14の上側となる車両幅方向縁部において、例えば金属板からなる支持パネル26が固着されるとともに、該支持パネル26には、車両前後方向に延在する金属板からなる支持部材としての支持ブラケット27が締結されている。なお、可動パネル13の略全長に亘って延在する支持ブラケット27は、その前端部27aの下部に形成された切り欠き27dを有するとともに、前端部27aの後方となる中間部27b及び後端部27cに亘ってそれらの下部に形成された切り欠き27eを有する。そして、可動パネル13前端の下方に配置される支持ブラケット27(前端部27a)の前端は、第1レール部15を摺動する前側ガイドシュー28に回動自在に連結されている。つまり、支持ブラケット27等に支持される可動パネル13は、支持ブラケット27の前端を支点に回動することで、その後部が上下動する。
【0029】
また、支持ブラケット27には、切り欠き27eに隣接する前端部27a後端に、車両幅方向に突出して前記ガイド溝24に移動自在に嵌入されるガイドピン29が固着されている。図1(a)に示すように、このガイドピン29は、可動パネル13の全閉時にガイド溝24(第1傾斜部24a)の下端に配置されるように設定されている。従って、この状態でガイド部材21がガイドレール14(第1レール部15)に沿って車両後方に移動すると、ガイド溝24に案内されるガイドピン29が第1傾斜部24aを上がって直線部24bに達する。このとき、可動パネル13は、支持ブラケット27の前端を支点に回動することで、図1(b)に示すように、その後部が上動するチルトアップ動作をする。なお、可動パネル13のチルトアップ動作時、ガイド溝24によりガイドピン29が押圧される支持ブラケット27(可動パネル13)の車両後方への移動は、適宜のチェック手段(図示略)で規制されている。
【0030】
続いて、ガイド部材21がガイドレール14(第1レール部15)に沿って車両後方に更に移動すると、ガイド溝24に案内されるガイドピン29が第2傾斜部24cを上がってその終端に達する。このとき、可動パネル13は、支持ブラケット27の前端を支点に更に回動することでその後部が更に上動するとともに、当該状態(チルトアップ状態)のままガイド部材21と一体で後方に移動する態様で開作動する。なお、図1(c)に示すように、可動パネル13の全開時には、支持ブラケット27の切り欠き27eがルーフ開口部10aの後縁部を乗り越えることでルーフ10との干渉が回避されている。
【0031】
一方、可動パネル13の全開状態でガイド部材21が車両前方に移動するとき、上述とは概ね逆順で動作する。ただし、可動パネル13がチルトアップ動作当初の状態に戻るまでは、該可動パネル13が支持ブラケット27の前端を支点に回動することが適宜のチェック手段(図示略)で規制されている。従って、可動パネル13が全開状態から閉作動する際に、その後部が直ちに下動してルーフ10と干渉したりすることはない。
【0032】
なお、支持ブラケット27には、切り欠き27dの前側に、車両幅方向内側に突出する第1係合部しての係合ピン30が固着されている。この係合ピン30は、第2レール部16の上側を横切るように配置されている。
【0033】
図5の横断面図に示すように、ガイドレール14の第2レール部16には、前記デフレクター12のヒンジ部を構成する樹脂製のベース部材31が取着・固定されている。デフレクター12は、両側のベース部材31から車両前側に延出する対のアーム部32及び車両幅方向に延在してこれら両アーム部32の前端間を接続するデフレクター本体33(図7参照)を有して略U字状に成形されている。デフレクター12は、適宜の付勢手段(図示略)によりルーフ10上面よりも上側に突出するように付勢されており、可動パネル13が全閉状態又はチルトアップ動作当初の状態にあるとき(図1(a)(b)参照)、ルーフ10上面の下側に収まるように係合ピン30によりアーム部の上面が押さえ込まれている。そして、可動パネル13がチルトアップ状態のまま開作動を開始すると、係合ピン30から解放されるデフレクター12は、付勢手段に付勢されてルーフ10上面よりも上側に突出する(図1(c)参照)。
【0034】
図2に示すように、第3レール部17の内張保持部17aには、前記ルーフ開口部10aに対向して上下方向に開口する天井内張36の周縁部を保持する断面略U字状の保持部材37が嵌着されている。また、ガイド部17bには、可動パネル13側と適宜の連係手段を介して連係された略四角形のサンシェード38が車両前後方向に移動可能に装着されている。サンシェード38は、可動パネル13の開閉作動に連動して開閉作動する。
【0035】
ガーニッシュ保持部17cには、例えば樹脂材又は樹脂及びゴムの2色成形材からなる第1ガーニッシュ41が保持されている。すなわち、第1ガーニッシュ41は、その車両前後方向略全長に亘って車両幅方向外側に開口する断面略U字状のホルダ部41aを有するとともに、該ホルダ部41aの下側の開口端から断面略V字状に分岐する態様で上側に延出する対の圧接片41b,41cを有する。第1ガーニッシュ41は、ホルダ部41aの下部がガーニッシュ保持部17c内に挿入される際、両圧接片41b,41cがガーニッシュ保持部17cの対向面に圧接することでこれに保持される。特に、第1ガーニッシュ41は、両圧接片41b,41cが互いに異なる2点でガーニッシュ保持部17cの対向面に圧接することで、車両前後方向に延在する該ガーニッシュ保持部17cを中心に揺動する態様の位置ずれが抑制されている。
【0036】
ここで、第1ガーニッシュ41は、図3に示すように、ホルダ部41aの後端部から上側に立設されたひれ状の隠蔽部41dを有する。図3(b)に示すように、この隠蔽部41dは、可動パネル13のチルトアップ動作時に支持ブラケット27(後端部27c)及びガイドレール14の間隙C1に車両幅方向内側から重なる態様で該間隙C1を車両室内空間から隠蔽する。なお、隠蔽部41dは、可動パネル13の開作動時にも、上記に準じて支持ブラケット27及びガイドレール14の間隙を車両室内空間から隠蔽する。
【0037】
図3に示すように、前記支持パネル26(可動パネル13)には、例えば樹脂材又は樹脂及びゴムの2色成形材からなり、該支持パネル26の略全長に亘って車両前後方向に延在する長板状の第2ガーニッシュ42が保持されている。すなわち、図2に示すように、支持パネル26は、第2レール部16の上側を横切るように車両幅方向内側に突出する前後一対の支持片26aを有するとともに、該支持片26aを上下方向に開口する係止孔26bを有する。一方、第2ガーニッシュ42には、各支持片26aに対向して車両幅方向外側に突出する下側に開口する断面略C字状(図3参照)のホルダ部42aが形成されるとともに、該ホルダ部42aに挿入された支持片26aの係止孔26bに嵌入する係止爪42bが形成されている。第2ガーニッシュ42は、第1ガーニッシュ41の車両幅方向外側に隣接する第2及び第3レール部16,17間に配置されており、ホルダ部42aに支持片26aを挿入するとともに、係止爪42bを係止孔26bに嵌入することで支持パネル26に保持される。
【0038】
ここで、第2ガーニッシュ42は、図3に示すように、支持ブラケット27の中間部27bに合わせてその中間部の下部に形成された切り欠き42cを有する。そして、第2ガーニッシュ42は、支持ブラケット27の略全長に亘って車両幅方向内側から重なる態様でこれらを車両室内空間から隠蔽する。図3(c)に示すように、可動パネル13の全開時、第2ガーニッシュ42は、切り欠き42cがルーフ開口部10aの後縁部を乗り越えることでルーフ10との干渉が回避されている。
【0039】
そして、図3(a)(b)に示すように、第2ガーニッシュ42の前端部は、可動パネル13の全閉時及びチルトアップ動作時にガイド部材21に車両幅方向内側から重なる態様で該ガイド部材21を車両室内空間から隠蔽する。
【0040】
図2に示すように、ガイドレール14の第2レール部16には、例えば樹脂材又は樹脂及びゴムの2色成形材からなる第3ガーニッシュ43が車両前後方向に移動自在に支持されている。すなわち、この第3ガーニッシュ43には、その車両前後方向略全長に亘ってガイドシュー44が形成されている。このガイドシュー44は、ガイド片16dの上側で車両幅方向両側に突出する上側ガイド部44a及びガイド片16dの下側で車両幅方向両側に突出する下側ガイド部44bを有して断面略H字状に成形されており、これら上側ガイド部44a及び下側ガイド部44bにて各ガイド片16dを上下方向で挟み込んでいる。また、ガイドシュー44は、図6に示すように、上側ガイド部44a及び下側ガイド部44bの前端及び後端の2箇所にそれぞれ形成された略弓形の第1圧接部44c,44dを有する。これら第1圧接部44c,44dは、上側ガイド部44a及び下側ガイド部44bの挟み込むガイド片16dに圧接する。さらに、ガイドシュー44は、下側ガイド部44bの車両前後方向中央部の1箇所に形成された略弓形の第2圧接部44eを有する。この第2圧接部44eは、第2レール部16の底壁16aに圧接する。つまり、第3ガーニッシュ43は、各ガイド片16dにおいて、これら第1圧接部44c,44d及び第2圧接部44eにより第2レール部16に対し3点で支持されている。これは第3ガーニッシュ43と第2レール部16との間の摺動抵抗の増大を抑制しつつ第3ガーニッシュ43のがたつきを抑制するためである。
【0041】
また、第3ガーニッシュ43は、ガイドシュー44の上側に立設された平板状の隠蔽部45を有する。この隠蔽部45は、支持ブラケット27に設けられた係合ピン30の後側に配置されている。従って、係合ピン30は、支持ブラケット27(可動パネル13)の車両後方への移動に伴って隠蔽部45と係合する。これにより、第3ガーニッシュ43は、係合ピン30に押圧されて支持ブラケット27(可動パネル13)と一体で車両後方に移動する。
【0042】
一方、図4の横断面図に示すように、第3ガーニッシュ43は、隠蔽部45から車両幅方向外側に突設されたブロック状の突起46を有する。この突起46は、ガイド部材21に設けられた係合ピン40の前側で該係合ピン40の移動軌跡を遮るように配置されている。従って、係合ピン40は、ガイド部材21(可動パネル13)の車両前方への移動に伴って突起46と係合する。これにより、第3ガーニッシュ43は、係合ピン40に押圧されてガイド部材21(可動パネル13)と一体で車両前方に移動する。
【0043】
ガイド部材21の車両前方への移動に伴う可動パネル13の全閉時、係合ピン40に押圧された隠蔽部45(第3ガーニッシュ43)は、支持ブラケット27に設けられた係合ピン30から所定量だけ離隔配置されている。これは、少なくとも可動パネル13がチルトアップ動作を完了する前に、第3ガーニッシュ43が移動開始することを回避するためである。すなわち、第3ガーニッシュ43は、可動パネル13がスライド状態のまま一定量の開作動を行うことで移動を開始する。
【0044】
そして、図3(a)に示すように、可動パネル13の全閉時、隠蔽部45は、支持ブラケット27の少なくとも中間部27bに車両幅方向内側から重なる態様で該中間部27bを車両室内空間から隠蔽する。この際、隠蔽部45は、第2ガーニッシュ42の車両幅方向外側で切り欠き42cを覆う。また、図3(b)に示すように、可動パネル13のチルトアップ動作時、隠蔽部45は支持ブラケット27(中間部27b)及びガイドレール14の間隙C1並びにガイド部材21に車両幅方向内側から重なる態様で該間隙C1を車両室内空間から隠蔽する。なお、隠蔽部45は、可動パネル13の開作動時にも、上記に準じて支持ブラケット27及びガイドレール14の間隙C1並びにガイド部材21を車両室内空間から隠蔽する。さらに、図3(c)に示すように、可動パネル13の全開時、隠蔽部45は支持ブラケット27の前端部27a及びガイドレール14の間隙並びにガイド部材21に車両幅方向内側から重なる態様でこれらを車両室内空間から隠蔽する。また、図3(a)(b)に示すように、可動パネル13の全閉時及びチルトアップ動作時、隠蔽部45は、第1ガーニッシュ41と第2ガーニッシュ42とによって形成される間隙(開口)に車両幅方向内側から重なる態様で該間隙を車両室内空間から隠蔽する。この間隙が、主に第2ガーニッシュ42とルーフ10との干渉を回避するために形成された切り欠き42cに起因することはいうまでもない。なお、隠蔽部45は、可動パネル13の開作動時にも、上記に準じて第1ガーニッシュ41と第2ガーニッシュ42とによって形成される間隙を車両室内空間から隠蔽する。
【0045】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、可動パネル13の全閉時、チルトアップ動作時、開作動時及び全開時の各状態において、第1〜第3ガーニッシュ41〜43の協働でガイド部材21、支持ブラケット27、並びに支持ブラケット27及びガイドレール14の間隙C1を室内空間から隠蔽することができ、見栄えを向上することができる。また、乗員がガイド部材21及び支持ブラケット27に触れたり、誤って間隙C1に手指を入れたりすることを防止できる。
【0046】
(2)本実施形態では、第3ガーニッシュ43は、ガイド部材21が可動パネル13の全閉時に相当する位置から所定量だけ車両後方に移動したときに係合ピン30と係合することで、例えば可動パネル13のチルトアップ当初の状態ではガイドレール14に停止した状態で支持ブラケット27の少なくとも中間部27b及びガイドレール14の間隙C1を室内空間から隠蔽することになる。従って、ガイドレール14を車両後方に移動しながら間隙C1を室内空間から隠蔽する場合に比べて、第3ガーニッシュ43による該隠蔽をより確実に行うことができる。
【0047】
(3)本実施形態では、デフレクター12をルーフ10の面の下方に格納するための係合ピン30を、第3ガーニッシュ43と係合する係合部(第1係合部)として兼用することで、部品点数の増大を抑制することができる。
【0048】
(4)本実施形態では、第1圧接部44c,44dは、車両前後方向に離隔された2箇所で各ガイド片16dに圧接するとともに、第2圧接部44eは、2箇所の第1圧接部44c,44dの車両前後方向の中間となる1箇所で第2レール部16の底壁16aに圧接する。従って、第3ガーニッシュ43は、各ガイド片16dにおいて、これら第1圧接部44c,44d及び第2圧接部44eにより第2レール部16に対し3点で支持されることになり、第3ガーニッシュ43と第2レール部16との間の摺動抵抗の増大を抑制しつつ第3ガーニッシュ43のがたつきを抑制することができる。
【0049】
(5)本実施形態では、第2レール部16をデフレクター12のヒンジ部を構成するベース部材31の取付部として兼用することで、例えばガイドレール14等にベース部材31の取付部を別途設ける場合に比べて配置スペースの増大を抑制することができる。
【0050】
(6)本実施形態では、ガイド部材21及び支持ブラケット27等の隠蔽に係る第1〜第3ガーニッシュ41〜43を互いに独立の部材としたことで、これら第1〜第3ガーニッシュ41〜43を個別に組み付けることができ、ひいては組付工数を低減することができる。また、第1〜第3ガーニッシュ41〜43は、車両幅方向の位置で互いに重ならないように配置されていることで、これらの相互干渉を回避することができ、ひいては異音の発生を抑制することができる。
【0051】
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施形態について図面に従って説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態の第3ガーニッシュ43の突起(46)の形状を変更した構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。
【0052】
図8及び図9に示すように、本実施形態の第3ガーニッシュ43は、隠蔽部45から車両幅方向外側に突設された係合突起としての突起51を備える。この突起51は、ガイド部材21に設けられた前記係合ピン40の前側で該係合ピン40の移動軌跡を遮るように配置されている。突起51は、係合ピン40の上下位置に対してその上下に二分された対の弾性片51a,51bからなる。
【0053】
なお、ルーフ10には、ルーフ開口部10aの後縁部に沿って車両幅方向延在して両ガイドレール14間を橋渡しするストッパ部材としてのドレイン56(図10参照)が搭載されている。このドレイン56は、可動パネル13の全閉時又は開作動の直後に可動パネル13の後縁部から落下する水滴を受けるためのものである。ドレイン56は、ガイド部材21の移動軌跡を遮らないように、且つ、第3ガーニッシュ43(隠蔽部45)の後端面57の移動軌跡を遮るように配置・設定されている。
【0054】
ここで、係合ピン40は、ガイド部材21(可動パネル13)の車両前方への移動に伴って突起51と係合する。これにより、第3ガーニッシュ43は、基本的に係合ピン40に押圧されてガイド部材21(可動パネル13)と一体で車両前方に移動する。
【0055】
また、突起51の両弾性片51a,51bは、係合ピン40から所定以上の荷重が加えられたときに上下に開いて該係合ピン40の車両後方及び前方への通過を許容する。従って、図10(a)(b)に示すように、第3ガーニッシュ43とともにガイド部材21が車両前方に移動する際、即ち可動パネル13の閉作動時、例えば第1ガーニッシュ41及び第2ガーニッシュ42の形成する間隙内で第3ガーニッシュ43によりその移動方向に異物Sが挟み込まれたとしても、係合ピン40から突起51に所定以上の荷重が加えられることで、対の弾性片51a,51bが上下に開いて係合ピン40を車両前方に通過させる。従って、第3ガーニッシュ43のそれ以上の車両前方への移動を回避でき、前記挟み込みに対処することができる。
【0056】
そして、図11(a)(b)に示すように、突起51の車両前方に係合ピン40が通過した状態では、第3ガーニッシュ43は、ガイド部材21が車両後方に移動する際、即ち可動パネル13の開作動時、突起51において係合ピン40と係合することで一体で車両後方に移動する。このとき、後端面57にドレイン56が当接して第3ガーニッシュ43の車両後方への移動が係止されると、係合ピン40から突起51に前記所定以上の荷重が加えられることで、対の弾性片51a,51bが上下に開いて係合ピン40が車両後方に通過することになり、本来の状態(当初の状態)に復帰する。
【0057】
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態と同様の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、第3ガーニッシュ43とともにガイド部材21が車両前方に移動する際、即ち可動パネル13の閉作動時、第1ガーニッシュ41及び第2ガーニッシュ42の形成する間隙内での第3ガーニッシュ43による挟み込みに対処することができる。そして、ガイド部材21が車両後方に移動する際、即ち可動パネル13の開作動時、後端面57にドレイン56が当接して第3ガーニッシュ43の車両後方への移動が係止されることで、係合ピン40及び突起51の係合関係を本来の状態(当初の状態)に自動的に復帰させることができる。
【0058】
(2)本実施形態では、第3ガーニッシュ43の車両後方への移動係止を、既存のドレイン56を流用して行うことで、部品点数の増加を回避できる。
(第3の実施形態)
以下、本発明を具体化した第3の実施形態について図面に従って説明する。なお、第3の実施形態は、第2の実施形態の第3ガーニッシュ43の突起(51)の配置を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。
【0059】
図12に示すように、本実施形態の第3ガーニッシュ43の突起61は、前記突起51よりも車両後側となる隠蔽部45の車両前後方向中間部に配置・設定されている。この突起61も、対の弾性片51a,51b(図8及び図9参照)からなる。
【0060】
図12(a)に示すように、本実施形態では、第3ガーニッシュ43とともにガイド部材21が車両前方に移動する際、即ち可動パネル13の閉作動時にあっても、第1ガーニッシュ41及び第2ガーニッシュ42の形成する間隙が第3ガーニッシュ43にて室内空間から隠蔽されている。
【0061】
この場合、そのままの状態ではルーフ10に装置を搭載するための作業スペースが制限されることになる。そこで、当該作業に先立ち、第3ガーニッシュ43を車両後方に押圧して、係合ピン40から突起61に前記所定以上の荷重を加えることで、前述の態様で突起61の車両前方に係合ピン40を通過させて第3ガーニッシュ43を車両後方に移動させる。これにより、図12(b)に示すように、第3ガーニッシュ43の車両前方で第1ガーニッシュ41及び第2ガーニッシュ42の形成する間隙を十分に確保することができ、作業性を向上することができる。そして、作業後、第3ガーニッシュ43とともにガイド部材21を車両後方に移動させると、前記ドレイン56により第3ガーニッシュ43の車両後方への移動が係止されることで、前述の態様で本来の状態に復帰する(図11参照)。
【0062】
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態と同様の効果及び前記第2の実施形態の(2)の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、可動パネル13の閉作動時にあっても、第1ガーニッシュ41及び第2ガーニッシュ42の形成する間隙を第3ガーニッシュ43にて室内空間から隠蔽することができる。一方、ルーフ10に装置を搭載する際には、第3ガーニッシュ43の車両前方で第1ガーニッシュ41及び第2ガーニッシュ42の形成する間隙を十分に確保することができ、作業性を向上することができる。そして、作業後、第3ガーニッシュ43とともにガイド部材21を車両後方に移動させると、前記ドレイン56により第3ガーニッシュ43の車両後方への移動が係止されることで、係合ピン40及び突起51の係合関係を本来の状態に自動的に復帰させることができる。
【0063】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記第1の実施形態において、第3ガーニッシュ43をガイド部材21に直結して該ガイド部材21と一体移動するようにしてもよい。あるいは、支持ブラケット27の昇降動作を許容できるのであれば、第3ガーニッシュ43を支持ブラケット27に直結して該支持ブラケット27と一体移動するようにしてもよい。
【0064】
・前記第2及び第3の実施形態において、第3ガーニッシュ43とは別部材の弾性片を採用してもよい。例えば弾性片として、金属製の板ばねを採用してもよい。この場合、弾性片(板ばね)は上下に一対である必要はなく、車両幅方向に弾性変形する1枚の板ばねであってもよい。
【0065】
・前記第2及び第3の実施形態において、第3ガーニッシュ43の車両後方への移動係止を、ドレイン56に代えて別設のストッパ部材で行ってもよい。
・前記各実施形態において、第2レール部16の底壁16aに圧接する第2圧接部44eを車両前後方向に離隔された2箇所に配設するとともに、各ガイド片16dに圧接する第1圧接部44c,44dを2箇所の第2圧接部44eの車両前後方向の中間となる1箇所に設けてもよい。この場合であっても、第3ガーニッシュ43は、各ガイド片16dにおいて、これら第1圧接部44c,44d及び第2圧接部44eにより第2レール部16に対し3点で支持されることになり、前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0066】
・前記各実施形態において、可動パネル13の開作動に伴い第3ガーニッシュ43(隠蔽部45)と係合する係合ピン30(第1係合部)を、ガイド部材21に設けてもよい。同様に、可動パネル13の閉作動に伴い第3ガーニッシュ43(突起46)と係合する係合ピン40(第2係合部)を、支持ブラケット27に設けてもよい。
【0067】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
・請求項5に記載の車両用ルーフ装置において、
前記ガイドレールの前記第3ガーニッシュを支持するレール部は、前記デフレクターのヒンジ部を構成するベース部材の取付部として兼用されていることを特徴とする車両用ルーフ装置。同構成によれば、前記レール部を前記ベース部材の取付部として兼用することで、例えば前記ガイドレール等に前記ベース部材の取付部を別途設ける場合に比べて配置スペースの増大を抑制することができる。
【符号の説明】
【0068】
10…ルーフ(屋根部)、10a…ルーフ開口部(開口部)、12…デフレクター、13…可動パネル、14…ガイドレール、16…第2レール部(レール部)、16a…底壁、16d…ガイド片、21…ガイド部材、27…支持ブラケット(支持部材)、27a…前端部、27b…中間部、27c…後端部、30…係合ピン(第1係合部)、40…係合ピン(第2係合部)、41…第1ガーニッシュ、42…第2ガーニッシュ、43…第3ガーニッシュ、44a…上側ガイド部、44b…下側ガイド部、44c,44d…第1圧接部、44e…第2圧接部、51,61…突起(係合突起)、51a,51b…弾性片、56…ドレイン(ストッパ部材)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12