【実施例】
【0058】
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、各実施例および比較例において用いた評価方法を以下に説明する。
【0059】
(繊維の紡糸方法)
IVが0.95dl/g、AVが8eq/tであるヴァージンの繊維用PETペレットと、製造例の方法により得られたリサイクルペレットとを、リサイクルペレットが30質量%となるよう混合し、135℃で10時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出し樹脂温度が285〜295℃の押出機に供給し、紡糸装置に供給し溶融紡糸を行った。この際、温度295℃の紡糸口金パック内で溶融ポリマーの濾過、整流を行った。紡糸ノズルは口径1.3mmで、紡糸孔1個が穿設されていた。紡出糸条を65℃の水浴中で冷却された後、100℃の熱媒浴中を通過させて5.0倍に延伸し、ついて130℃のオーブン中を通過させて1.2倍に延伸し、さらに220℃のオーブン中で10%の弛緩処理を行い、モノフィラメントを得た。
【0060】
(繊維の加水分解試験)
上記で得られたモノフィラメントを120℃の飽和水蒸気中で10日間処理後、破断強度を測定し、飽和水蒸気処理する前の破断強度と比較して保持率で表した。
【0061】
(耐アミン分解性試験)
上記で得られたモノフィラメントをアンモニアガス中、135℃で5時間処理後の破断強度を測定し、処理する前の破断強度と比較して保持率で表した。
【0062】
(タイヤコードの紡糸方法)
IVが0.95dl/g、AVが8eq/tであるヴァージンのタイヤコード用PETペレットと、製造例の方法により得られたリサイクルペレットとを、リサイクルペレットが30質量%となるように計量混合し、135℃で10時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出し樹脂温度が285〜295℃の単軸押出機に供給し、孔数190の紡糸口金より溶融吐出し、320℃の加熱領域を通過させた後、20℃の冷却風によって冷却固化させ、紡糸速度550m/分で引き取り、続いて、延伸倍率5.8倍で延伸、3.0%弛緩処理して1100dtex/190フィラメントのポリエステル原糸を得た。ついで、得られたポリエステル原糸に10cmあたり47回の下撚りを加えた後、2本を合糸し、反対方向に10cmあたり47回の上撚りを加えてコードとした。
【0063】
(コードの加水分解試験)
上記で得られたコードを121℃、0.1MPaの飽和水蒸気中で3日間処理した後の破断強度を測定し、飽和水蒸気で処理しないコードの破断強度と比較し、破断強度の保持率で表した。
【0064】
(タイヤコード・ゴム中強力劣化試験)
上記で得られたコードをレゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテックス(RFL)からなる接着剤液に浸漬させ、絞りロールで絞った後、120℃のオーブン中で1分間乾燥し、235℃のオーブン中で1分間熱処理し接着処理を施した。該接着処理コードを天然ゴム/SBR=70/30重量部からなる未加硫ゴム組成物に埋め込み、170℃、50kg/cm2で180分加硫してゴム成型体を得た。このゴム成型体からコードを取り出して加硫後の破断強度を測定し、加硫前との保持率で表した。
【0065】
(フィルムの製膜方法)
IVが0.73dl/g、AVが0eq/tであるヴァージンのフィルム用PETペレットと、製造例の方法により得られたリサイクルペレットとを、リサイクルペレットが30質量%となるよう混合し、135℃で10時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出し機に供給した。押出し機溶融部、混練り部、ポリマー管、ギアポンプ、フィルターまでの樹脂最高温度は290℃、その後のポリマー管では285℃とし、ダイスよりシート状にして押出した。これらのポリマーは、それぞれステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度20μm粒子95%カット)を用いて濾過した。また、フラットダイは樹脂温度が285℃になるようにした。なお、押出し機入り口で抜き出したペレットの水分率を測定した結果、水分率は20ppmであった。押し出した樹脂を静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを得た。
【0066】
次に、この未延伸フィルムを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.3倍延伸して一軸配向PETフィルムを得た。引き続いて、テンターで、130℃で幅方向に4.0倍に延伸を行った後、熱固定を235℃で行い、さらに200℃で幅方向に6%弛緩処理を行い、厚さ50μmの二軸配向PETフィルムを得た。
【0067】
(フィルムの加水分解試験)
フィルムを1cm×4cm片に切断し、130℃で12時間真空乾燥した後、試料1gを純水100mlに入れ、密閉系にして130℃に加熱、加圧した条件下に6時間攪拌した。
【0068】
上記加水分解前および後の試料を、JISK−7127に規定された方法に従って、引っ張り試験機を用いて25℃、65%RHにて破断伸度を測定し、加水分解前後の破断伸度の保持率で表した。
【0069】
(エチレングリコール量分析方法)
ペレットのエチレングリコールによる加熱処理において、ペレットに接触させるエチレングリコール添加量の測定は、ガス採集法、および、ガスクロマトグラフィーにて実施した。
【0070】
(IV分析方法)
IV測定方法は、ポリエステルを、フェノール/テトラクロロエタン=3/2(重量比)混合溶媒を使用して溶解し、オストワルド粘度計を用いて、30℃にて測定した。
【0071】
(AV分析方法)
AV分析方法について説明する。
A.試料の調整
試料を粉砕し、70℃で24時間真空乾燥を行った後、天秤を用いて0.20±0.0005gの範囲に秤量する。そのときの重量をW(g)とする。試験管にベンジルアルコール10mlと秤量した試料を加え、試験管を205℃に加熱したオイルバスに浸し、ガラス棒で攪拌しながら試料を溶解する。溶解時間を3分間、5分間、7分間としたときのサンプルをそれぞれA、B、Cとする。次いで、新たに試験管を用意し、ベンジルアルコールのみを入れ、同様の手順で処理し、溶解時間を3分間、5分間、7分間としたときのサンプルをそれぞれa、b、cとする。
B.滴定
予めファクターの分かっている0.04mol/l水酸化カリウム溶液(エタノール溶液)を用いて滴定する。指示薬はフェノールレッドを用い、黄緑色から淡紅色に変化したところを終点とし、水酸化カリウム溶液の滴定量(ml)を求める。サンプルA、B、Cの滴定量をXA、XB、XC(ml)とする。サンプルa、b、cの滴定量をXa、Xb、Xc(ml)とする。
C.酸価(AV)の算出
各溶解時間に対しての滴定量XA、XB、XCを用いて、最小2乗法により、溶解時間0分での滴定量V(ml)を求める。同様にXa、Xb、Xcを用いて、滴定量V0(ml)を求める。次いで、次式に従い、酸価を求めた。
酸価(eq/t)=[(V−V0)×0.04×NF×1000]/W
NF:0.04mol/l水酸化カリウム溶液のファクター
W:試料重量(g)
【0072】
(リサイクルペレットの製造例)
(回収ペレットA−1)
PETボトルを粉砕したフレークを押出機により溶融押出しし、3.2mm×2.8mm×1.8mm程度の大きさの円柱状の回収ペレットを得た。この時点で、回収ペレットの品質は、IVが0.68dl/g、AVが15eq/tonであった。
【0073】
(リサイクルペレットA−2)
回転型乾燥機内で、上記で得られた回収ペレット(A−1)を、ペレット1kgに対して単位時間あたり0.086g/(hr・ペレットkg)(=86ppm)のエチレングリコール蒸気含有の窒素気流条件下に曝し、回収ペレットとエチレングリコールを6時間接触させた。処理温度は220℃で行った。この時点で、リサイクルペレットの品質は、IVが0.63dl/g、AVが10eq/tonであった。
【0074】
さらに、0.5mmHg、230℃にて固相重合を行った。固相重合は、IVがヴァージンペレットと同等(0.95dl/g)となる時点で停止とした。固相重合に要した時間は18時間であった。得られたリサイクルペレット(A−2)の品質は、IVが0.95dl/g、AVが6eq/tonであった。
【0075】
(リサイクルペレットA−3)
リサイクルペレットA−2の製造において、エチレングリコール存在下での加熱処理において、エチレングリコール添加量を、ペレット1kgに対し、単位時間あたり13.88g/(hr・ペレットkg)(=13,880ppm)とした以外は同様にし、回収ペレットの処理および固相重合を実施した。固相重合に要した時間は24時間であった。得られたリサイクルペレット(A−3)の品質は、IVが0.95dl/g、AVが4eq/tonであった。
【0076】
(リサイクルペレットA−4)
上記で得られた回収ペレット(A−1)を用いて、エチレングリコール処理を行わずに、0.5mmHg、230℃にて固相重合のみを行った。固相重合は、IVがヴァージンペレットと同等(0.95dl/g)となる時点で停止とした。固相重合に要した時間は16時間であった。得られたリサイクルペレット(A−4)の品質は、IVが0.95dl/g、AVが12eq/tonであった。
【0077】
(リサイクルペレットB−2)
回転型乾燥機内で、上記で得られた回収ペレット(A−1)を、ペレット1kgに対して単位時間あたり0.086g/(hr・ペレットkg)(=86ppm)のエチレングリコール蒸気含有の窒素気流条件下に曝し、回収ペレットとエチレングリコールを6時間接触させた。処理温度は220℃で行った。この時点で、リサイクルペレットの品質は、IVが0.63dl/g、AVが10eq/tonであった。
【0078】
さらに、0.5mmHg、230℃にて固相重合を行った。固相重合は、IVがヴァージンペレットと同等(0.73dl/g)となる時点で停止とした。固相重合に要した時間は8時間であった。得られたリサイクルペレット(B−2)の品質は、IVが0.73dl/g、AVが7eq/tonであった。
【0079】
(リサイクルペレットB−3)
リサイクルペレットB−2の製造において、エチレングリコール存在下での加熱処理において、エチレングリコール添加量を、ペレット1kgに対して単位時間あたり13.88g/(hr・ペレットkg)(=13,880ppm)とした以外は同様にし、回収ペレットの処理および固相重合を実施した。固相重合に要した時間は12時間であった。得られたリサイクルペレット(B−3)の品質は、IVが0.73dl/g、AVが5eq/tであった。
【0080】
(リサイクルペレットB−4)
上記で得られた回収ペレット(A−1)を用いて、エチレングリコール処理を行わずに、0.5mmHg、230℃にて固相重合のみを行った。固相重合は、IVがヴァージンペレットと同等(0.95dl/g)となる時点で停止とした。固相重合に要した時間は6時間であった。得られたリサイクルペレット(B−4)の品質は、IVが0.73dl/g、AVが13eq/tであった。
【0081】
(回収ペレットC−1)
フィルム製膜工程における不良品、屑を集め、粉砕後、押出機により溶融押出しし、3.2mm×2.8mm×1.8mm程度の大きさの円柱状の回収ペレット(C−1)を得た。この時点で、回収ペレット(C−1)の品質は、IVが0.66dl/g、AVが15eq/tonであった。
【0082】
(リサイクルペレットC−2)
回転型乾燥機内で、上記で得られた回収ペレット(C−1)を、ペレット1kgに対して単位時間あたり0.086g/(hr・ペレットkg)(=86ppm)のエチレングリコール蒸気含有の窒素気流条件下に曝し、回収ペレットとエチレングリコールを6時間接触させた。処理温度は220℃で行った。この時点で、リサイクルペレットの品質は、IVが0.60dl/g、AVが6eq/tであった。
【0083】
さらに、0.5mmHg、230℃にて固相重合を行った。固相重合は、IVがヴァージンペレットと同等(0.73dl/g)となる時点で停止とした。固相重合に要した時間は10時間であった。得られたリサイクルペレット(C−2)の品質は、IVが0.73dl/g、AVが2eq/tであった。
【0084】
(リサイクルペレットC−3)
リサイクルペレットC−2の製造において、エチレングリコール存在下での加熱処理において、エチレングリコール添加量を、単位時間あたり、ペレット1kgに対し、13.88g/(hr・ペレットkg)(=13,880ppm)とした以外は同様にし、回収ペレットの処理および固相重合を実施した。固相重合に要した時間は14時間であった。得られたリサイクルペレット(C−3)の品質は、IVが0.73dl/g、AVが1eq/tであった。
【0085】
(リサイクルペレットC−4)
上記で得られた回収ペレット(C−1)を用いて、エチレングリコール処理を行わずに、0.5mmHg、230℃にて固相重合のみを行った。固相重合は、IVがヴァージンペレットと同等(0.73dl/g)となる時点で停止とした。固相重合に要した時間は8時間であった。得られたリサイクルペレット(B−4)の品質は、IVが0.73dl/g、AVが13eq/tであった。
【0086】
得られた回収ペレット、リサイクルペレットの品質を表1に示す。
【0087】
(ヴァージンPET樹脂ペレットの製造例)
(PET樹脂ペレットD−1)
撹拌機付きのエステル化反応槽に高純度テレフタル酸とその2倍モル量のエチレングリコールを仕込み、トリエチルアミンを酸成分に対して0.3モル%加え、0.25MPaの加圧下245℃にて水を系外に留去しながらエステル化反応を120分間行いエステル化率が95%のポリエステルオリゴマーを得た。ついで、酸成分に対して、三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液をアンチモン原子として0.03モル%、および、リン酸トリメチルをリン原子として0.02モル%系内に添加し窒素雰囲気下常圧にて245℃で10分間攪拌した。次いで、攪拌機付きの重縮合反応槽に移送し、50分間を要して275℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて13.3Paとしてさらに275℃、13.3Paで重縮合反応を行ない、IVが0.58dl/g、AVが20eq/tonのPET樹脂(D−1)を得た。
【0088】
(PET樹脂ペレットD−2)
回転型乾燥機内で、上記で得られたPET樹脂ペレット(D−1)を、ペレット1kgに対して単位時間あたり0.086g/(hr・ペレットkg)(=86ppm)のエチレングリコール蒸気含有の窒素気流条件下に曝し、ペレットとエチレングリコールを6時間接触させた。処理温度は220℃で行った。この時点で、ペレットの品質は、IVが0.54dl/g、AVが15eq/tonであった。
【0089】
さらに、0.5mmHg、230℃にて固相重合を行った。固相重合は、IVが0.74dl/gとなる時点で停止とした。固相重合に要した時間は16時間であった。得られたPET樹脂ペレット(D−2)の品質は、IVが0.74dl/g、AVが2eq/tonであった。
【0090】
(PET樹脂ペレットD−3)
上記で得られたPET樹脂ペレット(D−1)を用いて、エチレングリコール処理を行わずに、0.5mmHg、230℃にて固相重合のみを行った。固相重合は、IVが0.74dl/gとなる時点で停止とした。固相重合に要した時間は12時間であった。得られたPET樹脂ペレット(D−3)の品質は、IVが0.74dl/g、AVが12eq/tonであった。
【0091】
(PET樹脂ペレットD−4)
PET樹脂ペレット(D−1)の製造工程において、反応槽に添加するエチレングリコールの量を調整することによりIVが0.58dl/g、AVが12eq/tonのPET樹脂ペレットを得た。得られたペレットを用いて、エチレングリコール処理を行わずに、0.5mmHg、230℃にて固相重合のみを行った。固相重合は、IVが0.74dl/gとなる時点で停止とした。固相重合に要した時間は20時間であった。得られたPET樹脂ペレット(D−4)の品質は、IVが0.74dl/g、AVが4eq/tonであった。
【0092】
(PET樹脂ペレットE−1)
【0093】
3基の連続エステル化反応槽および3基の重縮合反応槽よりなり、かつ第3エステル化反応槽から第1重縮合反応槽への移送ラインに高速攪拌器を有したインラインミキサーが設置された連続式ポリエステル製造装置に高純度テレフタル酸1質量部に対してエチレングリコール0.75質量部をスラリー調製槽に連続的に供給した。調製されスラリーを連続的に供給し第1エステル化槽が反応温度250℃、110kPa、第2エステル化反応槽が260℃、105kPa、第3エステル化反応槽が260℃、105kPaとして、第2エステル化反応槽にエチレングルコール0.015質量部を連続的に投入しポリエステルオリゴマーを得た。該オリゴマーを3基の反応槽よりなる連続重縮合装置に連続的に移送すると共に、該移送ラインに設置されたインラインミキサーに、アルミニウム化合物として塩基性酢酸アルミニウムのエチレングリコール溶液およびリン化合物として3,5-ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチル(Irgamod295、BASF社製)のエチレングリコール溶液を、それぞれポリエステル中の酸成分に対してアルミニウム原子およびリン原子として0.015モル%および0.036モル%となるように攪拌式のミキサーで攪拌しながら連続的に添加し、初期重縮合反応槽が265℃、9kPa、中期重縮合反応槽が265〜268℃、0.7kPa、最終重縮合反応槽が273℃、13.3Paで重縮合しIV0.58dl/g、AVが20eq/tonのPET樹脂ペレット(E−1)を得た。
【0094】
(PET樹脂ペレットE−2)
回転型乾燥機内で、上記で得られたPET樹脂ペレット(E−1)を、ペレット1kgに対して単位時間あたり0.086g/(hr・ペレットkg)(=86ppm)のエチレングリコール蒸気含有の窒素気流条件下に曝し、ペレットとエチレングリコールを6時間接触させた。処理温度は220℃で行った。この時点で、ペレットの品質は、IVが0.54dl/g、AVが15eq/tonであった。
【0095】
さらに、0.5mmHg、230℃にて固相重合を行った。固相重合は、IVが0.74dl/gとなる時点で停止とした。固相重合に要した時間は16時間であった。得られたPET樹脂ペレット(E−2)の品質は、IVが0.74dl/g、AVが1eq/tonであった。
【0096】
(PET樹脂ペレットE−3)
上記で得られたPET樹脂ペレット(E−1)を用いて、エチレングリコール処理を行わずに、0.5mmHg、230℃にて固相重合のみを行った。固相重合は、IVが0.74dl/gとなる時点で停止とした。固相重合に要した時間は12時間であった。得られたPET樹脂ペレット(E−3)の品質は、IVが0.74dl/g、AVが10eq/tonであった。
【0097】
(PET樹脂ペレットE−4)
PET樹脂ペレット(E−1)の製法において、反応槽に添加するエチレングリコールの量を調整することによりIVが0.58dl/g、AVが10eq/tonのPET樹脂ペレットを得た。得られたペレットを用いて、エチレングリコール処理を行わずに、0.5mmHg、230℃にて固相重合のみを行った。固相重合は、IVが0.74dl/gとなる時点で停止とした。固相重合に要した時間は20時間であった。得られたPET樹脂ペレット(E−4)の品質は、IVが0.74dl/g、AVが1eq/tonであった。
【0098】
得られたPET樹脂ペレットの品質を表1に示す。
【0099】
【表1】
【0100】
(リサイクルペレットを使用した繊維)
(実施例1)
IVが0.95dl/g、AVが5eq/tである繊維用PETヴァージンペレットと、リサイクルペレット(A−2)とを、リサイクルペレット(A−2)が30質量%となるよう計量混合し、135℃で10時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出し樹脂温度が285〜295℃の押出機に供給し、紡糸装置に供給し溶融紡糸を行った。得られた紡出糸条を65℃の水浴中で冷却させた後、100℃の熱媒浴中を通過させて5.0倍に延伸し、ついて130℃のオーブン中を通過させて1.2倍に延伸し、さらに220℃のオーブン中で10%の弛緩処理を行いモノフィラメントを得た。得られたモノフィラメントの物性(IV、AV)を表2に示す。また、耐加水分解試験、耐アミン分解試験の結果を表2に示す。
【0101】
(実施例2)
実施例1において、用いるリサイクルペレットとして、リサイクルペレット(A−3)30質量%を用いて、溶融紡糸を行ったことを除いて、実施例1と同様な方法でモノフィラメントを得た。得られたモノフィラメントの物性(IV、AV)を表2に示す。また、耐加水分解試験、耐アミン分解試験の結果を表2に示す。
【0102】
(比較例1)
実施例1において、用いるリサイクルペレットとして、リサイクルペレット(A−4)30質量%を用いて、溶融紡糸を行ったことを除いて、実施例1と同様な方法でモノフィラメントを得た。得られたモノフィラメントの物性(IV、AV)を表2に示す。また、耐加水分解試験、耐アミン分解試験の結果を表2に示す。
【0103】
(比較例2)
実施例1において、用いるリサイクルペレットとして、回収ペレット(A−1)30質量%を用いて、溶融紡糸を行ったことを除いて、実施例1と同様な方法でモノフィラメントを得た。得られたモノフィラメントの物性(IV、AV)を表2に示す。また、耐加水分解試験、耐アミン分解試験の結果を表2に示す。
【0104】
(比較参考例1)
実施例1において、IVが0.95dl/g、AVが5eq/tである繊維用PETヴァージンペレット100質量%のみを用いて、溶融紡糸を行ったことを除いて、実施例1と同様な方法でモノフィラメントを得た。得られたモノフィラメントの物性(IV、AV)を表2に示す。また、耐加水分解試験、耐アミン分解試験の結果を表2に示す。
【0105】
【表2】
【0106】
(リサイクルペレットを使用したタイヤコード)
(実施例3)
IVが0.95dl/g、AVが5eq/tであるタイヤコード用PETヴァージンペレットと、リサイクルペレット(A−2)とを、リサイクルペレット(A−2)が30質量%となるように計量混合し、135℃で10時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出し樹脂温度が285〜295℃の単軸押出機に供給し、孔数190の紡糸口金より溶融吐出し、320℃の加熱領域を通過させた後、20℃の冷却風によって冷却固化させ、紡糸速度550m/分で引き取り、続いて、延伸倍率5.8倍で延伸、3.0%弛緩処理して1100dtex/190フィラメントのポリエステル原糸を得た。ついで、得られたポリエステル原糸に10cmあたり47回の下撚りを加えた後、2本を合糸し、反対方向に10cmあたり47回の上撚りを加えてコードとした。得られたコードの物性(IV、AV)を表3に示す。また、耐加水分解試験、ゴム中の強力劣化試験の結果を表3に示す。
【0107】
(実施例4)
実施例3において、用いるリサイクルペレットとして、リサイクルペレット(A−3)30質量%を用いて、溶融紡糸を行ったことを除いて、実施例3と同様な方法でコードを得た。得られたコードの物性(IV、AV)を表3に示す。また、耐加水分解試験、ゴム中の強力劣化試験の結果を表3に示す。
【0108】
(比較例3)
実施例3において、用いるリサイクルペレットとして、リサイクルペレット(A−4)30質量%を用いて、溶融紡糸を行ったことを除いて、実施例3と同様な方法でコードを得た。得られたコードの物性(IV、AV)を表3に示す。また、耐加水分解試験、ゴム中の強力劣化試験の結果を表3に示す。
【0109】
(比較例4)
実施例3において、用いるリサイクルペレットとして、回収ペレット(A−1)30質量%を用いて、溶融紡糸を行ったことを除いて、実施例3と同様な方法でコードを得た。得られたコードの物性(IV、AV)を表3に示す。また、耐加水分解試験、ゴム中の強力劣化試験の結果を表3に示す。
【0110】
(比較参考例2)
実施例3において、IVが0.95dl/g、AVが5eq/tであるタイヤコード用PETヴァージンペレット100質量%のみを用いて、溶融紡糸を行ったことを除いて、実施例3と同様な方法でコードを得た。得られたコードの物性(IV、AV)を表3に示す。また、耐加水分解試験、ゴム中の強力劣化試験の結果を表3に示す。
【0111】
【表3】
【0112】
(リサイクルペレットを使用したフィルム)
(実施例5)
IVが0.73dl/g、AVが1eq/tであるフィルム用PETヴァージンペレットと、リサイクルペレット(B−2)とを、リサイクルペレット(B−2)が30質量%となるように計量混合し、その混合物を前述の方法にて製膜し、厚さ50μmの二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムの物性(IV、AV)を表4に示す。また、上記で得られたフィルムについて加水分解試験を行った結果を表4に示す。
【0113】
(実施例6)
実施例5において、用いるリサイクルペレットとして、リサイクルペレット(B−3)30質量%となるように計量混合した混合レジンを用いて製膜した以外は、実施例5と同様な方法で二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムの物性(IV、AV)を表4に示す。また、上記で得られたフィルムについて加水分解試験を行った結果を表4に示す。
【0114】
(実施例7)
実施例5において、用いるリサイクルペレットとして、リサイクルペレット(C−2)30質量%となるように計量混合した混合レジンを用いて製膜した以外は、実施例5と同様な方法で二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムの物性(IV、AV)を表4に示す。また、上記で得られたフィルムについて加水分解試験を行った結果を表4に示す。
【0115】
(実施例8)
実施例5において、用いるリサイクルペレットとして、リサイクルペレット(C−3)30質量%となるように計量混合した混合レジンを用いて製膜した以外は、実施例5と同様な方法で二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムの物性(IV、AV)を表4に示す。また、上記で得られたフィルムについて加水分解試験を行った結果を表4に示す。
【0116】
(比較例5)
実施例5において、用いるリサイクルペレットとして、リサイクルペレット(B−4)30質量%となるように計量混合した混合レジンを用いて製膜した以外は、実施例5と同様な方法で二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムの物性(IV、AV)を表4に示す。また、上記で得られたフィルムについて加水分解試験を行った結果を表4に示す。
【0117】
(比較例6)
実施例5において、用いるリサイクルペレットとして、回収ペレット(A−1)30質量%となるように計量混合した混合レジンを用いて製膜した以外は、実施例5と同様な方法で二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムの物性(IV、AV)を表4に示す。また、上記で得られたフィルムについて加水分解試験を行った結果を表4に示す。
【0118】
(比較例7)
実施例5において、用いるリサイクルペレットとして、リサイクルペレット(C−4)30質量%となるように計量混合した混合レジンを用いて製膜した以外は、実施例5と同様な方法で二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムの物性(IV、AV)を表4に示す。また、上記で得られたフィルムについて加水分解試験を行った結果を表4に示す。
【0119】
(比較例8)
実施例5において、用いるリサイクルペレットとして、回収ペレット(C−1)30質量%となるように計量混合した混合レジンを用いて製膜した以外は、実施例5と同様な方法で二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムの物性(IV、AV)を表4に示す。また、上記で得られたフィルムについて加水分解試験を行った結果を表4に示す。
【0120】
(比較参考例3)
実施例5において、IVが0.73dl/g、AVが1eq/tであるフィルム用PETヴァージンペレット100質量%のみを用いて製膜した以外は、実施例5と同様な方法で二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムの物性(IV、AV)を表4に示す。また、上記で得られたフィルムについて加水分解試験を行った結果を表4に示す。
【0121】
【表4】
【0122】
(ヴァージンペレットを用いたフィルム)
(実施例9)
IVが0.74dl/g、AVが2eq/tonのPET樹脂ペレット(D−2)を用いて、前述のフィルム製造方法にて製膜し、厚さ50μmの二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムの物性(IV、AV)を表5に示す。また、上記で得られたフィルムについて加水分解試験を行った結果を表5に示す。
【0123】
(比較例9)
IVが0.74dl/g、AVが12eq/tonのPET樹脂ペレット(D−3)を用いて、前述のフィルム製造方法にて製膜し、厚さ50μmの二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムの物性(IV、AV)を表5に示す。また、上記で得られたフィルムについて加水分解試験を行った結果を表5に示す。
【0124】
(比較参考例4)
IVが0.74dl/g、AVが2eq/tonのPET樹脂ペレット(D−4)を用いて、前述のフィルム製造方法にて製膜し、厚さ50μmの二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムの物性(IV、AV)を表5に示す。また、上記で得られたフィルムについて加水分解試験を行った結果を表5に示す。
【0125】
(実施例10)
IVが0.74dl/g、AVが2eq/tonのPET樹脂ペレット(E−2)を用いて、前述のフィルム製造方法にて製膜し、厚さ50μmの二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムの物性(IV、AV)を表5に示す。また、上記で得られたフィルムについて加水分解試験を行った結果を表5に示す。
【0126】
(比較例10)
IVが0.74dl/g、AVが12eq/tonのPET樹脂ペレット(E−3)を用いて、前述のフィルム製造方法にて製膜し、厚さ50μmの二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムの物性(IV、AV)を表5に示す。また、上記で得られたフィルムについて加水分解試験を行った結果を表5に示す。
【0127】
(比較参考例5)
IVが0.74dl/g、AVが2eq/tonのPET樹脂ペレット(E−4)を用いて、前述のフィルム製造方法にて製膜し、厚さ50μmの二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムの物性(IV、AV)を表5に示す。また、上記で得られたフィルムについて加水分解試験を行った結果を表5に示す。
【0128】
【表5】