【実施例】
【0017】
図1Aと
図1Bに、ナセル10を含む航空機の推進用集合体が示してあり、前記ナセル内に、支柱12を介して、航空機の他の部分と連結してある動力機構がほぼ前記心円的に配置してある。この先の記述では、長手方向軸14は、動力機構の軸と一致する。
【0018】
ナセル10は、導管を画定する第1壁面16、外面と呼ばれている第2壁面18、ならびに空気の流束が流入する空気取入口を画定する第1壁面16と第2壁面18とを連結する唇部
20を含んでいる。
【0019】
一次流束と呼ばれている、空気取入口に進入する空気の流束の第1部分は、燃焼に参加すべく動力機構を貫通し、それに対して、送風機に牽引された、二次流束と呼ばれている第2部分は、ナセルの第1壁面と動力機構の外壁面とに画定された環状導管内を、送風機に牽引されて流動する。
【0020】
ナセルの唇部20は、ナセルの前部に当たる
前縁22を含んでいる。
【0021】
ナセルに適用している、として記述しているが、本発明は、航空機の全ての
前縁に適用でき、前記諸
前縁は、ナセルの場合のように曲線状、または翼の場合のようにほぼ直線状であり得る。エンジンに繋がる作用が無いので、剥離線の位置の変化は、航空機の入射角と速度との複合作用に起因する。
【0022】
これから先の記述では、航空力学的表面とは、飛翔時の空気の流束が流動する、周囲の空気と接触する航空機の表面を指すことにする。
【0023】
空気の流束の特定の特性に関連して、剥離線は、多かれ少なかれ
前縁から離れているので、航空力学的表面のレベルに出現することがあり得る。
【0024】
ナセルの場合、剥離線24は、導管16を画定し、
前縁22の下流側に伸びている航空力学的表面26のレベルに出現することがあり得る。導管16の円周の方向に多かれ少なかれ伸びているこの剥離線は、例えば、航空機の大きな入射角でもって飛翔の場合、
図1Aに示したように、航空力学的表面26の低部のレベルに、例えば、強い横風での離陸の場合、固定点においてエンジンの回転数の多い場合または
図1Bに示したように、航空力学的表面26の側部のレベルに位置することがあり得る。
【0025】
前縁に対する剥離線24の位置、とりわけ
前縁から隔たっている距離は、飛翔条件に応じて変化する。
【0026】
したがって、例えば、入射角が大きければ大きいほど、この剥離線は、前部(
前縁)に近接し、それに反して、航空機の速度またはエンジンの回転数が早ければ早いほど、遠ざかる。
【0027】
剥離線24は、ナセルの円周の少なくとも一部分に伸びている。
【0028】
本発明では、航空力学的表面26は、
前縁22にほぼ平行な少なくとも2つの列32に配置してある空気排出孔を含んでおり、前記空気排出孔30は、相次ぐ少なくとも2つの列では、長手方向軸に垂直な方向に、ずれた形で配置してある。
図3Aと
図3Bに示したように、2つの列の場合、空気排出孔は、互い違いになっている。
【0029】
空気排出孔30を
前縁にほぼ平行して複数の列に配置することによって、空気排出孔で処理する帯状部の巾を増加させることになり、同範囲における剥離線の揺動を許す。
【0030】
空気排出孔の不連続性は、全範囲に亘る、流動方向に伸びている多数のスリットを有する配置構成に比して、必要な吐出量を減少させることを可能にする。
【0031】
他方では、1つの列から他の列にずれた形で空気排出孔30を配置する事実は、上流側の列のレベルに配置してある第1排出孔から流出する空気の流束で、下流側の列のレベルで配置してある空気の排出を擾乱しないことが可能になる。なお、この互い違いの配置構成は、流動の安定化に関して、各孔の不連続性によって発生する渦の好ましい作用を最適にする。
【0032】
図3Aないし
図3Cに示したように、空気排出孔30は、異なる断面の形状を有することができる。
【0033】
したがって、
図3Aに示したように、空気排出孔30は、扇形の形状を呈することができ、同形状は、全部、同一方法で方向付けて、または
図3Aに示したように、1つの列と次の列が交互に逆方向に方向づけてある。
【0034】
別の実施態様では、
図3Bと
図3Cに示したように、正方形または長方形の断面を呈することができる。
【0035】
空気排出孔は、
図3Aと
図3Bに示したように、2つの列に配置してあり、または
図3Cに示したように、3つの列またはそれ以上に配置してある。
【0036】
なお、列と列の間隔は一定であることができ、または相次ぐ2つの列間で異なることができる。
【0037】
場合によって、列は、
前縁での列または区域に応じて完全に同一または異なる排出孔を有することができるだろう。
【0038】
場合によって、列は、剥離現象に対するもっとも危険な区域の確認後、航空機の配置構成と作業分野に応じて、ナセルの全円周または円周の少なくとも1つの部分に伸びることができる。
【0039】
排出孔の形状は、排出される空気が航空力学的表面に近い傾斜方向に噴射されるように合わせておかれる。参考として、噴射された空気は、航空力学的表面に対して5ないし45度の範囲の角度になるようにする。
【0040】
空気の吐出量は、航空力学的流束の剥離を阻止するために、これを調整しておく。
【0041】
変形態様では、空気は、あるいは一次流束のレベルでエンジン内から採取し、または二次流束のレベルでナセル内から、あるいは1つないし複数の汲み出し機を経由して外部から直接、あるいは
前縁の空気圧除霜装置のレベルで、除霜すべき冷たい表面との熱交換による冷却した空気を採取することができる。
【0042】
本発明の別の特性として、本装置は、必要に応じて、空気を配分し、特定流出口に方向付けるための手段を含んでいる。
【0043】
したがって、本発明による装置は、処理される区域を選別することができ、噴射した空気の流束を、空気取入口の特定の区間に向かって方向付けることを許すゲート弁を含んでいる。
【0044】
例として、低速での飛翔では、空気取入口の下部だけが本当に補給される必要がある。そのとき、操縦士は、空気取入口の下部に配置してある空気排出孔に補給すべく、ゲート弁の開放を指示する。
【0045】
図4、
図5および
図6に、ナセルに適用した本発明による本装置の一実施態様を示しておいた。
【0046】
ナセルは、導管16を形成する壁面、外面を形成する壁面18、唇部20、ならびに壁面16と18とを連結し、唇部20を担持する前枠34を含んでいる。この諸要素間の連結を確立するために各種の配置構成が考えられる。
【0047】
本発明によれば、図示の例では、本装置は、唇部20を形成する壁面と導管16を形成する壁面との間に、航空力学的表面を形成する2つの壁面間に介在する少なくとも1つのかいもの36を含んでおり、前記かいものは、壁面16と唇部20との接触壁面のレベルに、前記かいもの36の両側に、ナセルの内側から外側への空気の流通を許す突出および/または凹状形態を含んでいる。
【0048】
記述では、両壁面16と18および唇部20で画定している区域をナセルの内部区域と呼ぶことにする。外部区域は、導管16内を流動する風路を特に含んでいる。
【0049】
唇部20と接触しているかいものの突出および/または凹状形態は、空気排出孔の第1列になり、壁面16と接触するかいものの突出および/または凹状形態は、空気排出孔の第2列を形成する。
【0050】
図4、
図5および
図6に示したように、空気排出孔は、露出型である。
【0051】
したがって、かいもの36は、航空力学的表面26の延長部に外面38、前記外面38と鋭角を形作る壁面16と接触している第1傾斜面40、前記第1傾斜面40とほぼ平行な唇部20と接触している第2傾斜面42を含んでいる。第1と第2傾斜面40と42を傾斜させることによって、空気排出孔を経て噴射される空気の流束の傾斜角の調整が可能である。
【0052】
突出および/または凹状形態は、両傾斜面40と42のレベルに配設してあり、一方では、外面38のレベルに、他方では、内側区域のレベルに口が開いており、突出および/または凹状形態は、一方の面から他方の面に、互い違いに配置してある。
【0053】
改善した一実施態様では、かいもの36は、唇部20の下に延長してある薄い厚さの部分44および壁面16の一部を格納するために、折り返し部を有する内面46を含んでいる。この場合、突出および/または凹状形態の第1系列は、唇部20と接触している部分44の表面から外面38まで広がっており、突出および/または凹状形態の第2系列は、内面46から外面38まで広がっている。
【0054】
かいもの36は、ナセルの円周の少なくとも1つの部分に伸びている単一部材を含むことができ、または円周の少なくとも一部に伸びていて、端と端を合わせた複数の短幹を含むことができる。
【0055】
諸変形態様では、本装置は、長手方向軸の方向に応じて、1つのかいもの36、あるいは並置したまたは並置していない複数のかいもの36を含むことができる。
【0056】
一実施態様では、前枠34と唇部20は
、排出孔30
への空気の補給を分離するために仕切る区域を画定している。したがって、空気を1つまたは複数の仕切りに補給することによって、他の排出孔を活性化しないで、特定の空気排出孔を活性化することが可能である。