(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板の開口部から商品通路に出没自在に軸支され、前記商品通路の最下位位置の商品(販売商品)を保持する態様で前記商品通路に突出する突出位置に向けて付勢され、前記販売商品の保持を解放する態様で前記商品通路から退避する退避位置に移動可能に設けた第1保持部材と、前記基板の開口部から商品通路に出没自在に軸支され、前記商品通路から退避する退避位置に向けて付勢され、前記商品通路の下から2番目位置の商品(次販売商品)を保持する態様で前記商品通路に突出する突出位置に移動可能に設けた第2保持部材と、前記第1保持部材および第2保持部材を突出位置と退避位置とに移動させるリンク機構と、前記リンク機構を移動させる駆動手段とを備え、前記第2保持部材は次販売商品を保持する商品係止部に商品通路とは反対方向に延在する爪部を有し、当該爪部は同一構成の商品搬出装置を背中合わせに抱き合わせて対をなすように組付けられ、かつ、第2保持部材同士が退避位置に復帰している場合にも互いに干渉せずに互い違いに噛み合うように構成され、隣接する爪部の間に凹部が形成されてなる自動販売機の商品搬出装置において、前記凹部における谷部を第2保持部材の商品係止部よりも第2保持部材の支軸側に中心点を有し、かつ、商品係止部との境目にエッジ(角)なく連続する湾曲面となしたことを特徴とする自動販売機の商品搬出装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係る自動販売機の商品搬出装置について添付図面を参照して説明する。
図1に示すように、商品搬出装置1は、自動販売機の商品収納庫内において商品G(
図10参照)を上下方向に渡って収納する商品通路Rの下部に配設されている。商品通路Rは、商品搬出装置1を構成する基板2と、当該基板2と対向配置された商品出口通路板3との間に形成されている。また、図には明示しないが、基板2および商品出口通路板3の左右両端には平板矩形状のラック側板が対向配置されている。
【0013】
前記商品搬出装置1の基板2の下半領域には、商品通路Rに通じる大きな開口部21(
図2、
図3参照)が設けられ、基板2の上半領域の左右中央位置には開口部22(
図9も参照)が設けられている。また、基板2には、開口部21の上方の位置に商品通路Rの内側に突出するガイド突起23が設けてある。前記基板2の背面(商品通路Rとは反対側の面)には
図2に示すように、軸受部材4、電磁ソレノイド5、リンク機構6、第1保持部材7、回動ストッパ8、第2保持部材9、売切検出スイッチ10が配設されている。
【0014】
前記軸受部材4は、基板2の開口部21の上縁と下縁との間に架設されている。軸受部材4はリンク機構6、第1保持部材7、回動ストッパ8および第2保持部材9に関わる各軸(後述)の一方端を支持し、各軸の他方端は基板2の開口部21の左縁に基板2の背面側に突出して形成されたフランジ2A(
図2参照)により支持している。なお、軸受部材4とフランジ2Aとにおける上記各軸を支持する構成はほぼ対称の構成であるので、以下の説明では、軸受部材4について説明し、フランジ2Aに係る構成の説明は省略する。
【0015】
前記軸受部材4の構成について、
図4をも参照しながら説明すると、その上下端には、
図4に示すように突起部4A、凹溝4Bが形成されている。前記突起部4Aは基板2の開口部21の上縁に基板2の背面側に突出して形成されたフランジ(不図示)の係止穴に圧入される。前記凹溝4Bには開口部21の下縁から上方に向けて切り起された係止片(不図示)が圧入される。この軸受部材4は前記突起部4Aを開口部21の上縁におけるフランジの係止穴に圧入した上で、前記凹溝4Bの側面側から開口部21の下縁における係止片を圧入することにより開口部21の上縁と下縁との間に架設される。
【0016】
前記軸受部材4には上下方向に延在する長溝41および長溝42を設けている。長溝41は軸受部材4の上側に設けてあり、長溝42は軸受部材4の下側に設けている。長溝41は、リンク機構6に関わる上リンク軸101(
図2参照)を上下方向にスライド移動可能に支持している。長溝42は、リンク機構6に関わる下リンク軸102(
図2参照)を上下方向にスライド移動可能に支持している。前記上リンク軸101および前記下リンク軸102は、互いに平行に設けてある。また、軸受部材4の上下方向のほぼ中央の位置には支軸穴43を設けている。この支軸穴43は、第1保持部材7に関わる第1保持部材軸103(
図2参照)を支持している。この第1保持部材軸103は、上リンク軸101および下リンク軸102と平行に配置してあって、基板2の開口部21における上下方向のほぼ中央部に位置し、その左右端部が当該開口部21の左右側方に渡る態様で開口部21の左右両側フランジ2A,2Bに支持されている。
【0017】
また、前記軸受部材4の下端位置には支軸穴44を設けている。この支軸穴44は、回動ストッパ8に関わる回動ストッパ軸104(
図2参照)を支持している。回動ストッパ軸104は、上リンク軸101、下リンク軸102および第1保持部材軸103と平行に配置してある。さらに、軸受部材4の上下方向のほぼ中央の位置であって支軸穴43の上方の位置に支軸穴45を設けている。この支軸穴45は、第2保持部材9に関わる第2保持部材軸105(
図2参照)を支持している。この第2保持部材軸105は、基板2の開口部21における上下方向のほぼ中央部に位置し、当該開口部21の左右側方に渡る態様で開口部21の左右両側フランジ2A,2Bに支持してある。
【0018】
前記リンク機構6は、
図2に示すようにリンク部材61からなり、駆動手段としての電磁ソレノイド5のプランジャー51に連結されている。電磁ソレノイド5は、基板2の背面側の左右一方側に片寄せた位置にねじにより固定されている。リンク部材61は鋼板製であり、その上端には、
図5に示すように前記電磁ソレノイド5のプランジャー51の係合穴に係止される連結部62aが形成されている。また、リンク部材61には、上記上リンク軸101が貫通する係合穴62cを有する左右一対の上係合部62bを設けている。この上係合部62bは、リンク部材61の上下動作に連動して上リンク軸101を上下方向に移動させるものである。さらに、リンク部材61の下端には、上記下リンク軸102が貫通する係合穴62eを有する左右一対の下係合部62dを設けている。この下係合部62dは、リンク部材61の上下動作に連動して下リンク軸102を上下方向に移動させるものである。前記下係合部62dの中間位置には切欠62fが形成されている。この切欠62fは捻りコイルばねなどからなる復帰ばね63(
図2参照)の一方を下リンク軸102に係合させる際の逃げ穴として構成されている。前記復帰ばね63の他方(下方)は回動ストッパ軸104に係止されている。
【0019】
前記第1保持部材7は、
図6に示すように、金属板71の裏面に樹脂(たとえば、ポリアセタール)製の軸受台72を備えて構成されている。この第1保持部材7は、
図2に示すように、基板2の開口部21の左右両側フランジ2A,2Bの間に介在してあり、上記第1保持部材軸103に回動可能に支持されている。第1保持部材7は、第1保持部材軸103を中心として回動して、基板2の開口部21から商品通路Rの内側に突出する突出位置と、開口部21を閉塞する態様で商品通路Rから退く退避位置との間に移動可能である。第1保持部材軸103には、捻りコイルばねからなる第1保持部材ばね103a(
図2参照)が巻装してある。第1保持部材7は、第1保持部材ばね103aの弾性付勢力によって突出位置に向けて常に付勢されており、突出位置においてその上面が商品G(
図10参照)を保持する保持面として形成されている。
【0020】
前記第1保持部材7のピン穴7a,7b(
図6参照)は、第1保持部材軸103を挿通するためのものである。係止爪7cは、軸受台72を係止するためのものである。軸受台72に設けた異形溝73は、後述する回動ストッパ8の回動ストッパ軸104の端部を摺動させ、この回動ストッパ軸104を介して第1保持部材7と回動ストッパ8とが連動するように、回動ストッパ軸104の動作範囲を規制するために形成したものである。すなわち、この異形溝73は、回動ストッパ軸104のロック位置を定める小径溝部73aと、回動ストッパ軸104のロック位置以外の動作範囲を定める大径溝部73bとから形成されている。
【0021】
軸受台72に設けた一対のガイド突起部74は、リンク部材61の両側を挟むように形成され、リンク部材61の上下方向の動作が左右方向にずれないように案内するためのものである。
【0022】
前記回動ストッパ8は、
図2に示すように上記軸受部材4とフランジ2Aとの間に介在され、上記回動ストッパ軸104に回動可能に支持してある。回動ストッパ8は、回動ストッパ軸104を中心として回動して、基板2の開口部21から商品通路Rの内側に突出する突出位置と、開口部21を閉塞する態様で商品通路Rから退く退避位置との間に移動可能に設けてある。回動ストッパ軸104には、図には明示されていないが捻りコイルばねからなる回動ストッパばねが巻装してある。回動ストッパ8は、回動ストッパばねの弾性付勢力によって突出位置に向けて常に付勢されている。回動ストッパ8は、商品通路Rの内側に突出する先端部において側方に延出する支持軸106(
図10〜
図12も参照)を備えている。この支持軸106は、両端部が第1保持部材7における各軸受台72の異形溝73に係合する。
【0023】
前記回動ストッパ8は、
図7に示すようにピン穴8a,8bを備えてなる。このピン穴8a,8bは、回動ストッパ軸104,支持軸106を挿通するためのものである。ロック溝8cは、下リンク軸102を係合させて回動ストッパ8の回動をロックするためのものである。また、回動ストッパ8の傾斜摺動面8dは、回動ストッパ8の回動時に下リンク軸102が摺動するように形成したものである。
【0024】
前記回動ストッパ8は、下リンク軸102がロック溝8cに係合している状態で突出位置にロックされる。このロック状態において回動ストッパ8の先端側に設けた支持軸106の両端部が第1保持部材7における各軸受台72の異形溝73の小径溝部73aに係合して第1保持部材7を商品通路Rに突出した突出位置(販売待機位置)にロックする。
【0025】
前記第2保持部材9は、
図2に示すように基板2の開口部21の左右両側フランジ2A,2Bの間に介在してあり、上記第2保持部材軸105に回動可能に支持してある。第2保持部材9は、第2保持部材軸105を中心として回動して、基板2の開口部21から商品通路Rの内側に突出する突出位置と、開口部21を閉塞する態様で商品通路Rから退く退避位置との間に回動可能である。第2保持部材軸105には、図には明示されていないが捻りコイルばねからなる第2保持部材ばねが巻装してある。第2保持部材9は、第2保持部材ばねの弾性付勢力によって退避位置に向けて常に付勢されている。
【0026】
前記第2保持部材9は、合成樹脂(例えば、ポリアセタール)からなり、
図8の(a)に示すように、ピン穴9aと、7個の爪部91aを有する商品係止部91と、2個のストッパ部92が一体成形されている。前記ピン穴9aは、第2保持部材軸105を挿通するためのものである。前記商品係止部91は、
図8の(b)にも示すように、第2保持部材9の先端を構成し、次販売商品を係止する円弧面として形成されている。また、爪部91aは、商品係止部91から商品通路R(
図1参照)とは反対側に延在するように形成され、同一構成の商品搬出装置1,1を背中合わせに抱き合わせた際に他方の商品搬出装置1における第2保持部材9の爪部91aと互いに干渉せずに互い違いに噛み合うように比較的長く構成されており、これにより第2保持部材9が商品通路に突出した際にその商品係止部91と基板2との間の隙間を埋める機能を有する。
【0027】
前記爪部91aは、前述したように、同一構成の商品搬出装置1,1を背中合わせに抱き合わせた際に他方の商品搬出装置1における第2保持部材9の爪部91aと互いに干渉せずに互い違いに噛み合うように形成されているので、隣接する爪部91aの間には凹部91b(
図8の(b)参照)として形成されている。前記凹部91bの底部(谷部)91bbは第2保持部材9の回動方向に交差する方向に延在している一方、前記爪部91aは第2保持部材9の回動方向と同一方向に延在している。ここで、第2保持部材9が突出位置から退避位置に復帰する際、第2保持部材における商品との当接面に当該第2保持部材の回動方向に交差する方向に延在するエッジ(角)がある場合には商品が当該エッジ(角)に引っ掛かる一方、エッジ(角)が第2保持部材9の回動方向と同一方向に延在している場合には商品が当該エッジ(角)に引っ掛かることはない。したがって、第2保持部材9の回動方向と同一方向に延在する爪部91aの外縁にエッジ(角)91aa(
図8の(a)参照)が存在しても商品が当該エッジ(角)91aaに引っ掛かることはない。これに対して、比較例(従来装置)として示す
図8の(d)(
図8の(a)のY−Y断面に相当する側面図)に示すように、凹部91bにおける底部(谷部)91bbが直線状にカットされている場合には、商品係止部91の円弧面との境目にエッジ(角)91egが形成されるので、このエッジ(角)91egに商品が引っ掛かる。かかる点、
図8の(c)に示すように、この実施の形態においては、前記凹部91bの底部(谷部)91bbは、第2保持部材9の商品係止部91よりも第2保持部材軸105側に中心点を有する湾曲面として形成されている。そしてまた、前記凹部91bの底部(谷部)91bbに形成された湾曲面は商品係止部91の円弧面にエッジ(角)なく連続するように形成されている。したがって、容器形態の軟弱な商品が前記凹部91bに食い込んだ場合にも当該商品は前記凹部91bの底部(谷部)91bbに形成された湾曲面上を滑るので、第2保持部材9の復帰が妨げられることがない。
【0028】
また、
図8の(a)に戻って、前記2個のストッパ部92は、それぞれ凹状の摺動溝92aとストッパ面92bとを有している。前記凹状の摺動溝92aは、上リンク軸101が摺動可能であり、第2保持部材9の退避位置において上リンク軸101を受け入れるものである。前記ストッパ部92のストッパ面92bは、第2保持部材9の商品通路Rへの突出時に上リンク軸101と当接して第2保持部材9にかかる商品荷重を受け、当該第2保持部材9を突出位置でロックするものである。また、ストッパ部92の周辺の補強材に形成した逃げ溝9bは、上リンク軸101が第2保持部材9の摺動溝92aの奥まで入り込むのを妨げないように形成したものである。さらに、逃げ穴9cは、同一構成の商品搬出装置1を背中合わせに抱き合わせた場合であってそれぞれの第2保持部材9が退避位置に退避した際、他方の第2保持部材9のストッパ部92および補強部材の先端部を逃がして抱き合わせた商品搬出装置全体の厚みが増加しないように形成したものである。
【0029】
前記売切検出スイッチ10は、
図1〜
図3に示すようにマイクロスイッチ11と商品通路Rに突出する商品検知レバー12とを有する。売切検出スイッチ10は、
図9に分解して示すように、合成樹脂(例えば、ポリアセタール)からなる額縁状の取付台13にマイクロスイッチ11と商品検知レバー12とを組付けたものである。商品検知レバー12は、左右に突出する係合軸121(
図9では一方の係合軸121のみが現れている)を取付台13に形成した係合穴13a,13aに係合させることにより回動自在に軸支されている。前記取付台13の内方に向けて突出する左右一対の軸13b,13bには、一端が取付台13に係止され、他端が商品検知レバー12に係止される捻りコイルばね14が組付けられている。前記捻りコイルばね14は、商品検知レバー12のレバー片12aを商品通路Rに向けて進出するように付勢するものである。商品検知レバー12の操作片12bはマイクロスイッチ11のアクチュエータ11aに対峙しており、商品通路Rに商品がある状態でレバー片12aが商品に押されて基板2の平面に沿うように後退している場合にはアクチュエータ11aから離れており、商品通路Rに商品がない状態(売切れ状態)になって捻りコイルばね14によりばね付勢されたレバー片12aが商品通路Rに進出した場合にレバー片12aがアクチュエータ11aを押圧してマイクロスイッチ11を作動させるように構成されている。
【0030】
前記取付台13の上辺および左右側辺には突部13cがそれぞれ形成されるとともに下辺にはΩ状に形成された可撓性部13dが形成されている。この可撓性部13dは左右側辺の外側から両側辺が接近するような外力が加えられることにより撓んで両側辺の接近を許容し、前記外力が除去されると両側辺を元の位置に復帰させるものである。一方、図には明示していないが、基板2の上部フランジ2Dと開口部22の左右側縁に切起しにより形成されたフランジには前記取付台13のそれぞれの突部13cに対応して係止穴が形成されている。
【0031】
前記取付台13は基板2に対して次のように取付けられる。すなわち、前記取付台13の上辺に形成した突部13cを基板2の上部フランジ2Dに形成した係止穴に差し込むと同時に左右側辺を内側に向けて撓ませた後、左右側辺に形成した突部13cを基板2の開口部22の左右フランジに形成した係止穴に対峙させた上で左右側辺に加えた外力を解く。これにより取付台13の左右側辺が可撓性部13dの作用により復帰してその突部13cが基板2の開口部22の左右フランジに形成した係止穴に嵌合する。なお、マイクロスイッチ11には配線接続用コネクタ15が接続される。前記配線接続用コネクタ15の配線は、
図9において基板2の左端に形成された配線溝2Eを介して引き出される。前記配線溝2Eには電磁ソレノイド5の配線も合わせて敷設されている。
【0032】
次に商品搬出装置の動作について
図10〜
図12を参照して説明する。なお、
図10〜
図12では商品搬出装置1の動作を理解し易くするため概略構成を示している。
【0033】
図10に示した販売待機状態においては、電磁ソレノイド5が通電されていない状態であって、リンク部材61が復帰ばね63(
図2参照)によって下限位置まで下降している状態である。すなわち、上リンク軸101が軸受部材4の長溝41(
図4参照)に沿って下方に移動し、下リンク軸102が軸受部材4の長溝42(
図4参照)に沿って下方に移動している。販売待機状態において、第1保持部材7は、第1保持部材ばね103a(
図2参照)の弾性付勢力によって突出位置にある。さらに、第1保持部材7は、その保持面に販売商品G1が当接していることで商品Gの荷重を受けている。また、販売待機状態において、回動ストッパ8は、不図示の回動ストッパばねの弾性付勢力によって突出位置にある。さらに、回動ストッパ8は、支持軸106が第1保持部材7における異形溝73の小径溝部73a(
図6参照)に係合していることで第1保持部材7にかかる商品Gの荷重を受けている。さらに、回動ストッパ8は、ロック溝8c(
図7参照)に下リンク軸102が係合していることによって突出位置にロックされている。これにより、回動ストッパ8は、第1保持部材7を突出位置にロックして第1保持部材7の退避位置への移動を阻止している。また、販売待機状態において、第2保持部材9は、不図示の第2保持部材ばねの弾性付勢力によって退避位置に復帰している。
【0034】
図10に示した販売待機状態から販売指令により電磁ソレノイド5が通電されると、電磁ソレノイド5が復帰ばね63の弾性付勢力に抗してプランジャー51を吸引してリンク部材61を上昇させる。すると、リンク部材61の下リンク軸102が上昇して回動ストッパ8のロック溝8cとの係合が解除される。このロック解除により回動ストッパ8は商品荷重によって回動ストッパ軸104を中心として退避位置に向けて回動し、これに伴って支持軸106も異形溝73の小径溝部73aから外れて第1保持部材7のロックが解除され、第1保持部材7は商品荷重により退避位置に向けて回動する。
【0035】
これと同時に第2保持部材9は、上昇するリンク部材61の上リンク軸101の作用により退避位置から突出位置に向けて突出する。すなわち、販売待機状態からリンク部材61が上昇すると、第2保持部材9の摺動溝92aに係合した上リンク軸101が上昇する。すると、第2保持部材9は第2保持部材軸105を中心として突出位置に向けて第2保持部材ばねの弾性付勢力に抗して移動する。リンク部材61が上限位置まで上昇すると上リンク軸101は第2保持部材9のストッパ面92bと係合して第2保持部材9をロックする。突出位置に至った第2保持部材9は、その商品係止部91および、基板2と商品係止部91との間の隙間を塞ぐ爪部91aにより次販売商品G2を係止し、商品出口通路板3との間に次販売商品G2を保持する。この結果、最下位位置の販売商品G1のみが第1保持部材7を擦り抜けて搬出される(
図11参照)。
【0036】
そして、第1保持部材7が商品荷重を受けなくなると、
図12に示すように、第1保持部材7は第1保持部材ばね103aの付勢力によって突出位置(販売待機位置)に復帰する。これと同時に回動ストッパ8も回動ストッパばねの弾性付勢力によって突出位置に復帰する。この場合、回動ストッパ8の先端に設けた支持軸106が第1保持部材7における異形溝73の大径溝部73bの壁面を摺動して小径溝部73aに至る。これにより第1保持部材7が販売待機位置でロック状態となる。
【0037】
そして、電磁ソレノイド5への通電がなくなると、リンク部材61が復帰ばね63の付勢力により下降するので、上リンク軸101による第2保持部材9のロックが解除され、第2保持部材9は、第2保持部材ばねの付勢力により待機位置に復帰する。また、リンク部材61が下限位置まで下降すると下リンク軸102が回動ストッパ8のロック溝8cと係合して第1保持部材7を販売待機位置にロックする(
図10参照)。
【0038】
さて、
図11に示すように、第2保持部材9が突出位置で次販売商品G2を係止している状態、すなわち、商品係止部91と爪部91aとにより次販売商品G2を係止している状態において、隣接する爪部91a,91aの間の凹部91b(
図8参照)に容器形態の軟弱な商品(飲料容器)が変形して食い込むおそれがある。これは、先記したように、前記爪部91aが背中合わせに抱き合わせた他方の商品搬出装置1の爪部91aと干渉しないように構成されているのに加え、他方の商品搬出装置1の軸受部材4,リンク機構6などの構成部品と干渉しないように構成されているので、前記凹部91bの間隙寸法(隣接する爪部の間の間隔)は比較的大きい。このため、前記凹部91bに容器形態の軟弱な商品(飲料容器)が変形して食い込むおそれがある。このように、前記凹部91bに容器形態の軟弱な商品が食い込んだ場合、変形した飲料容器が前記凹部91bに引っ掛かると第2保持部材9の復帰動作の妨げとなる。この場合、爪部91aは第2保持部材9の回動方向と同一方向に延在しているので、爪部91aの外縁にエッジ(角)91aa(
図8の(a)参照)が形成されていたとしても第2保持部材9の復帰動作の妨げになることはない一方、前記凹部91bの底部(谷部)91bbは第2保持部材9の回動方向に交差する方向に延在しているので、凹部91bの底部(谷部)91bbと商品係止部91との境目にエッジ(角)91eg(比較例としての従来装置を示す
図8の(d)参照)がある場合には飲料容器が当該エッジ(角)91egに引っ掛って第2保持部材9の復帰動作の妨げとなる。
【0039】
かかる点、この実施の形態では前記凹部91bの底部(谷部)91bbは、
図8の(c)に示すように、商品係止部91よりも第2保持部材9の支軸側に中心点を有する湾曲面として形成され、当該湾曲面が商品係止部91の円弧面にエッジ(角)なく連続するように形成されている。このため、前記凹部91bに軟弱な飲料容器が変形して食い込んだ場合にも当該飲料容器は凹部91bの底部(谷部)91bbの円弧面上に滞ることなく滑るので引っ掛ることがない。したがって、前記凹部91bに軟弱な飲料容器が食い込んだ場合にも第2保持部材9をスムーズに待機位置に復帰させることができるので、容器形態が軟弱な商品をも安定して販売することが可能となるものである。
【0040】
前述したように本発明の実施の形態に係る自動販売機の商品搬出装置によれば、基板2の開口部21から商品通路Rに出没自在に軸支され、前記商品通路Rの最下位位置の商品G(販売商品G1)を保持する態様で前記商品通路Rに突出する突出位置に向けて付勢され、前記販売商品G1の保持を解放する態様で前記商品通路Rから退避する退避位置に移動可能に設けた第1保持部材7と、前記基板2の開口部21から商品通路Rに出没自在に軸支され、前記商品通路Rから退避する退避位置に向けて付勢され、前記商品通路Rの下から2番目位置の商品G(次販売商品G2)を保持する態様で前記商品通路Rに突出する突出位置に移動可能に設けた第2保持部材9と、前記第1保持部材7および第2保持部材9を突出位置と退避位置とに移動させるリンク機構6と、前記リンク機構6を移動させる駆動手段5とを備え、前記第2保持部材9は次販売商品G2を保持する商品係止部91に商品通路Rとは反対方向に延在する爪部91aを有し、当該爪部91aは同一構成の商品搬出装置1,1を背中合わせに抱き合わせて対をなすように組付けられ、かつ、第2保持部材9,9同士が退避位置に復帰している場合にも互いに干渉せずに互い違いに噛み合うように構成され、隣接する爪部91aの間に凹部91bが形成されてなる自動販売機の商品搬出装置において、前記凹部91bにおける谷部91bbを第2保持部材9の商品係止部91よりも第2保持部材9の支軸側に中心点を有し、かつ、商品係止部91との境目にエッジ(角)なく連続する湾曲面となしたことにより、第2保持部材9の商品係止部91と爪部91aに係止された飲料容器が変形して隣接する爪部91aの間の凹部91bにおける谷部91bbに食い込んだ場合にも凹部91bにおける谷部91bbと商品係止部91との境目にはエッジ(角)のない円弧面として形成されていることから、飲料容器が引っ掛かって滞ることなく円弧面上を滑るので、第2保持部材9は次販売商品G2により阻止されることなく退避位置に向けて回動復帰する。したがって、商品搬出装置1の薄型化を可能にしつつ、容器形態の軟弱な商品をも円滑に販売することができるという効果を有する。
【0041】
なお、前述した実施の形態に係る自動販売機の商品搬出装置における爪部91aはその外縁にエッジ(角)91aaを有するものについて説明したが、爪部91aの外縁についてもエッジ(角)のないR形状に構成することもできる。したがって、前述した実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。