(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記系統から前記各負荷へ向かう電流が規定の電流量以下となったことが前記第1の電流検出手段により検出されたとき、前記第1の電力変換手段による交流の電力の出力量を低減させる制御を行う
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の制御装置。
前記第2の電力変換手段に対して電力を供給する電源からの電力を、前記電力を蓄積する蓄積手段へ供給させる一方、前記蓄積手段からの電力が前記第2の電力変換手段へ流れ込むのを規制する規制手段
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5に記載の制御装置。
前記第1の電力変換手段は、前記系統に電力を戻すことが必要でない電源からの電力を変換し、前記第2の電力変換手段は、前記系統に電力を戻すことが必要である電源からの電力を変換する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の制御装置。
【背景技術】
【0002】
昨今、商用電力系統から電力を買電するだけでなく、各住宅に備えられた太陽光発電パネルや小型風力発電、燃料電池などによって発電された電力を活用する住宅が開発されつつある。
【0003】
従来、太陽光発電パネルを備えた家庭用電力システムでは、太陽光発電パネルで発電された電力は、パワーコンディショナにより交流の電力に変換された後、商用電力系統からの電力を分岐する分電盤を介して、家庭内の各負荷に供給されたり、商用電力系統へ戻される。
【0004】
例えば、
図6を参照して、従来の家庭用電力システムについて説明する。
【0005】
図6に示されている家庭用電力システム101では、商用電力系統である電力網(系統)からメータ112を介して分電盤113に電力が供給される。系統から分電盤113に供給された電力は、安全ブレーカ(SB:Safety Breaker)121、漏電ブレーカ(ELB:Earth Leakage Circuit Breaker)122を介して、ブレーカ123−1乃至123−6に分岐され、図示しないコンセントなどを介して、家電などの各負荷に供給される。
【0006】
また、太陽光発電パネル114で発電された電力は、パワーコンディショナ116に供給され、PV(Photo Voltaic)制御部131を介してDCAC(直流−交流)変換部132に入力されて、DCAC変換部132において交流の電力に変換される。DCAC変換部132の出力側の端子は、分電盤113の安全ブレーカ121および漏電ブレーカ122の間の配線に接続されており、DCAC変換部132から出力された電力は、分電盤113に供給される。
【0007】
このような家庭用電力システム101では、分電盤113とパワーコンディショナ116とが1組の配線で接続されており、太陽光発電パネル114で発電された電力は、分電盤113を介して、家庭内の各負荷に供給されて消費されたり、系統に戻されて売電される。
【0008】
ところで、太陽光発電の普及を目的として、太陽光発電による電力をそれ以外の電力に比べて高値で買い取る制度の導入も各国で検討されている。このような電力売買システムでは、太陽光発電パネルで発電された電力を系統に戻すことは認められているが、太陽光発電パネルで発電された電力以外の電源からの電力には系統に戻すことが認められていないものもある。
【0009】
このため、例えば、ガスコージェネレーションシステムにおいて発電された電力を検知し、電力が系統へ流れ出ることを防止する機能を備えたパワーコンディショナの制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、特許文献1に開示されているガスコージェネレーションによる電力の他、例えば、蓄電池に蓄積されている電力も系統へ戻さないことがある。従って、系統へ戻す必要がない電力(ガスコージェネレーションや蓄電池などからの電力)が、系統へ流れ出ることを確実に防止することが必要となる。さらに、太陽光発電パネルで発電された電力か、それ以外の電力かを明確に区別して、系統に戻すことが必要ない電力の系統への流出の防止が確実に行われていることが容易に認識できるように構成されたパワーコンディショナの制御装置が求められている。
【0012】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、系統に戻す必要がない電力が系統に流れ出ることを確実に防止し、そのことを容易に認識することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の制御装置は、直流の電力を交流の電力に変換して各負荷に出力する第1の電力変換手段と、系統からの配線が前記第1の電力変換手段と前記各負荷との間の配線に接続されており、その接続点と前記系統との間に流れる電流を検出する第1の電流検出手段と、
前記系統に接続されているとともに、前記第1の電流検出手段を介して前記第1の電力変換手段と前記各負荷との間の配線に接続され、直流の電力を交流の電力に変換する第2の電力変換手段と、前記系統と前記第2の電力変換手段との間の配線の、前記第1の電流検出手段が配置された配線との接続点よりも前記系統側に配置される第2の電流検出手段と、前記第1の電流検出手段
および前記第2の電流検出手段により検出される電流の電流量に基づいて、前記第1の電力変換手段
および前記第2の電力変換手段による前記各負荷への電力の供給を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記系統から前記第1の電流検出手段を介して流れる電流が、常に一定の方向となるように制御を行
い、かつ、前記負荷の消費電力を前記第1の電力変換手段および前記第2の電力変換手段により変換された電力により賄う場合、前記第2の電流検出手段により検出される前記系統からの電流量が0に近い規定の電流量を維持するように制御を行うことを特徴とする。
【0014】
かかる構成においては、系統からの配線が第1の電力変換手段と各負荷との間の配線に接続されており、その接続点と系統との間に流れる電流が第1の電流検出手段により検出され、その電流量に基づいて各負荷に出力される電力の供給が制御されるので、系統に戻す必要がない電力が系統に流れ出ることを確実に防止することができる。
【0015】
また、本発明の制御装置は、直流の電力を交流の電力に変換する第2の電力変換手段をさらに備えることができ、第2の電力変換手段は、系統に接続されているとともに、第1の電流検出手段を介して第1の電力変換手段と各負荷との間の配線に接続されており、第1の電流検出手段は、系統と第2の電力変換手段との間の配線と、第1の電力変換手段と各負荷との間の配線とを接続する配線に流れる電流を検出する。
【0016】
かかる構成においては、第2の電力変換手段は、系統に接続されているとともに、第1の電流検出手段を介して第1の電力変換手段と各負荷との間の配線に接続されており、第1の電流検出手段により、系統と第2の電力変換手段との間の配線と、第1の電力変換手段と各負荷との間の配線とを接続する配線に流れる電流が検出されるので、第2の電力変換手段からの出力を系統に戻すことができるとともに、第1の電力変換手段からの出力が流れ出ることを確実に防止することができ、そのことを容易に認識することができる。
【0017】
本発明の制御方法は、電力システムでの電力の供給を調節する制御装置の制御方法において、制御装置は、直流の電力を交流の電力に変換して各負荷に出力する第1の電力変換手段と、系統からの配線が第1の電力変換手段と各負荷との間の配線に接続されており、その接続点と系統との間に流れる電流を検出する第1の電流検出手段と
、前記系統に接続されているとともに、前記第1の電流検出手段を介して前記第1の電力変換手段と前記各負荷との間の配線に接続され、直流の電力を交流の電力に変換する第2の電力変換手段と、前記系統と前記第2の電力変換手段との間の配線の、前記第1の電流検出手段が配置された配線との接続点よりも前記系統側に配置される第2の電流検出手段とを備え、前記第1の電流検出手段
および前記第2の電流検出手段により検出される電流の電流量を取得し、前記電流量に基づいて、前記第1の電力変換手段
および前記第2の電力変換手段による前記各負荷への電力の供給を制御し、前記系統から前記第1の電流検出手段を介して流れる電流が、常に一定の方向となるように制御を行
い、かつ、前記負荷の消費電力を前記第1の電力変換手段および前記第2の電力変換手段により変換された電力により賄う場合、前記第2の電流検出手段により検出される前記系統からの電流量が0に近い規定の電流量を維持するように制御を行うステップを含むことを特徴とする。
【0018】
かかる構成においては、第1の電流検出手段により検出される電流の電流量が取得され、その電流量に基づいて、第1の電力変換手段による各負荷への電力の供給が制御されるので、系統に戻す必要がない電力が系統に流れ出ることを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の制御装置および制御方法によれば、系統に戻す必要のない電力が系統に流れ出ることを確実に防止し、そのことを容易に認識することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明を適用した家庭用電力システムの第1の実施の形態の構成例を示すブロック図である。なお、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0023】
図1において、家庭用電力システム11は、メータ12、分電盤13、太陽光発電パネル14、蓄電池15、およびパワーコンディショナ16を備えて構成される。
【0024】
メータ12は、商用電源からの電力を供給する電力網(系統)に接続されており、メータ12を介して分電盤13に供給される電力量を計測する計測部(買電用)、および、系統に戻される電力量を計測する計測部(売電用)を有している。なお、例えば、メータ12は、買電用および売電用の電力量を測定可能な1つの計測部を有していてもよい。
【0025】
分電盤13は、安全ブレーカ21、漏電ブレーカ22、6個のブレーカ23−1乃至23−6を備えて構成され、各所に電力を分岐する。
【0026】
分電盤13では、メータ12を介して系統に接続される配線が、安全ブレーカ21の一端に接続されており、安全ブレーカ21の他端は、パワーコンディショナ16に接続されている。また、パワーコンディショナ16からの配線が、漏電ブレーカ22の一端に接続され、漏電ブレーカ22の他端は複数(
図1の例では6つ)に分岐されて、ブレーカ23−1乃至23−6にそれぞれ接続されている。そして、ブレーカ23−1乃至23−6には、それぞれコンセント(図示せず)を介して、家庭内にある負荷が接続される。なお、この負荷は、エアコンディショナーやテレビジョン受像機など、電力を消費する機器であれば何でもよい。
【0027】
安全ブレーカ21は、過負荷や短絡などの要因で規定の電流値以上の電流が流れたときに、家庭用電力システム11に接続された全ての負荷への電力供給を遮断する遮断器である。漏電ブレーカ22は、漏電を検出して電力供給を遮断する遮断器である。ブレーカ23−1乃至23−6は、過負荷や短絡などの要因で規定の電流値以上の電流が流れたときに、それぞれに接続された負荷への電力供給を遮断する遮断器である。
【0028】
太陽光発電パネル14は、複数の太陽電池モジュールが接続されて構成されるパネルであり、太陽光の照射量に応じて発電する。蓄電池15は、系統から供給される電力や、太陽光発電パネル14により発電された電力を蓄積する。
【0029】
パワーコンディショナ16は、PV制御部31、PV用DCAC変換部32、双方向DCAC変換部33、電流検出部34、ダイオード35、および制御部36を備えて構成され、太陽光発電パネル14および蓄電池15の出力などを調節する制御装置である。
【0030】
パワーコンディショナ16では、太陽光発電パネル14からの配線がPV制御部31を介してPV用DCAC変換部32の入力端に接続されている。また、PV制御部31とPV用DCAC変換部32との間の配線は、ダイオード35を介して蓄電池15に接続されており、ダイオード35と蓄電池15との間の配線は、双方向DCAC変換部33の一端に接続されている。また、PV用DCAC変換部32の出力端が安全ブレーカ21に接続されているとともに、双方向DCAC変換部33の他端が漏電ブレーカ22に接続されており、PV用DCAC変換部32と安全ブレーカ21との間の配線と、双方向DCAC変換部33と漏電ブレーカ22との間の配線が、電流検出部34を介して接続されている。
【0031】
即ち、
図6を参照して説明した家庭用電力システム101では、安全ブレーカ121と漏電ブレーカ122とが直接的に接続されている。これに対し、家庭用電力システム11では、系統からの配線が、分電盤13の安全ブレーカ21を介してパワーコンディショナ16に引き込まれるとともに、各負荷への配線が、パワーコンディショナ16から分電盤13の漏電ブレーカ22に接続されている。即ち、分電盤13とパワーコンディショナ16とは2組の配線で接続されており、太陽光発電パネル14からの電力と、蓄電池15とからの電力とが区別されている。そして、安全ブレーカ21と漏電ブレーカ22とは、パワーコンディショナ16の電流検出部34を介して接続されている。
【0032】
また、PV用DCAC変換部32、双方向DCAC変換部33、および電流検出部34は、制御用配線により制御部36にそれぞれ接続されている。
【0033】
PV制御部31は、例えば、MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御に基づいて太陽光発電パネル14の出力を制御する。また、PV制御部31は、太陽光発電パネル14による発電量を検出し、その発電量を示す信号を制御部36に供給する。PV用DCAC変換部32は、制御部36の制御に応じて、太陽光発電パネル14により発電されPV制御部31を介して供給される直流の電力を、交流の電力に変換して出力する。
【0034】
双方向DCAC変換部33は、制御部36の制御に応じて、入力される直流の電力を交流の電力に変換して出力し、また、入力される交流の電力を直流の電力に変換して出力する。例えば、双方向DCAC変換部33は、蓄電池15から入力される直流の電力を変換し、分電盤13を介して各負荷に供給したり、系統から入力される交流の電力を変換し、蓄電池15に供給したりする。
【0035】
電流検出部34は、配置されている配線を流れる電流の流量を検出して、その電流量を示す信号を制御部36に供給する。ダイオード35は、太陽光発電パネル14からの電力が蓄電池15に供給される一方、蓄電池15からの電力がPV用DCAC変換部32へ流れ込むのを規制する規制手段である。
【0036】
制御部36は、PV制御部31からの発電量を示す信号や、電流検出部34からの電流量を示す信号などに従って、PV用DCAC変換部32および双方向DCAC変換部33による電力出力を制御する。
【0037】
例えば、
図2Aに示すように、制御部36は、太陽光発電パネル14により発電が行われているときには、太陽光発電パネル14からの直流の電力をPV用DCAC変換部32により変換させ、安全ブレーカ21およびブレーカ23−1乃至23−6を介して家庭内の各負荷へ供給させる。また、太陽光発電パネル14による発電量が家庭内の各負荷の消費電力を上回っているときには、安全ブレーカ21およびメータ12を介して余剰電力を系統に戻す。
【0038】
また、
図2Bに示すように、蓄電池15に蓄積されている電力を使用する場合、制御部36は、電流検出部34により検出される電流量に従って、双方向DCAC変換部33から安全ブレーカ21に向かう電流が流れないように、双方向DCAC変換部33の出力を調整する。
【0039】
具体的には、制御部36は、電流検出部34により検出される電流量を、所定のクロック周波数に従ってサンプリング(取得)する。そして、制御部36は、安全ブレーカ21から漏電ブレーカ22に向かう電流量が低下して0となったか否かを判定する。制御部36は、安全ブレーカ21から漏電ブレーカ22に向かう電流量が低下して0となったと判定した場合、双方向DCAC変換部33の出力を低減させる(出力を絞る)。これにより、双方向DCAC変換部33から安全ブレーカ21に向かう電流が発生することを防止することができる。なお、制御部36は、安全ブレーカ21から漏電ブレーカ22に向かう電流量が低下して0となったか否かに基づいて制御を行う他、系統へ電力が流れ出ることをより確実に防止するために、その電流量が0に近い規定の電流量以下となったか否か(0に近づいたか否か)に基づいて制御を行ってもよい。
【0040】
なお、例えば、家庭内にある負荷による電力需要が上昇し、安全ブレーカ21から漏電ブレーカ22に向かう電流量(系統から供給される電力の電流量)が増加し、そのことが検出された場合には、制御部36は、双方向DCAC変換部33の定格出力の範囲内で出力を増加させる。この場合においても、制御部36は、電流検出部34により検出される電流量に基づいて、系統へ戻る電力が発生しないように、双方向DCAC変換部33の出力を制御する。
【0041】
また、
図2Cに示すように、太陽光発電パネル14により発電が行われるとともに、蓄電池15に蓄積されている電力を使用する場合、制御部36は、電流検出部34により検出される電流量が0を維持するように、双方向DCAC変換部33の出力を制御する。即ち、この場合、太陽光発電パネル14による発電量が余剰電力となっており、蓄電池15に蓄積された電力により家庭内の負荷による消費が賄われ、太陽光発電パネル14により発電された電力は全て売電される。従って、この場合、制御部36は、負荷により使用される電力が、双方向DCAC変換部33から出力される電力と一致するように、双方向DCAC変換部33による電力変換を制御する。
【0042】
例えば、制御部36は、電流検出部34により検出される電流量が0に近い規定の電流量(系統から流れ込む向きの電流量)となるように、双方向DCAC変換部33の出力に対してフィードバック制御を行う。
【0043】
即ち、例えば、家の消費構造でエアコンディショナーを起動して電力需要が上昇した場合には、電流検出部34により検出される電流量は、フィードバック制御の目標となる規定の電流量未満となる。この場合、制御部36は、電流検出部34により検出される電流量に基づいて双方向DCAC変換部33の出力を増加させて、検出される電流量が、フィードバック制御の目標となる規定の電流量となるように制御する。一方、例えば、天候が良好になり太陽光発電パネル14による発電量が増加した場合は、電流検出部34により検出される電流量は、フィードバック制御の目標となる規定の電流量以上となる。この場合、制御部36は、電流検出部34により検出される電流量に基づいて双方向DCAC変換部33の出力を低減させて、検出される電流量が、フィードバック制御の目標となる規定の電流量となるように制御する。このようなフィードバック制御により、系統へ戻る電力の発生を防止することができる。
【0044】
また、
図2Dに示すように、太陽光発電パネル14による発電が行われていないとき、制御部36は、系統からの電力が家庭内の各負荷に供給されるとともに、双方向DCAC変換部33によりACDC変換を行わせて、蓄電池15への電力の蓄積が行われるように制御を行う。例えば、家庭用電力システム11では、深夜電力を利用して蓄電池15の充電が行われる。
【0045】
なお、
図2Eに示すように、太陽光発電パネル14により発電された電力を蓄電池15の充電にのみ使用するとき、太陽光発電パネル14から出力される電力は、PV制御部31からダイオード35を介して蓄電池15に供給される。つまり、太陽光発電パネル14から出力される電力が、分電盤13を介して各負荷に供給されることも系統へ戻されることもない場合、制御部36は、PV用DCAC変換部32および双方向DCAC変換部33による電力変換を停止するように制御を行い、太陽光発電パネル14により発電された電力を蓄電池15に充電させる。
【0046】
このように、家庭用電力システム11では、制御部36が、電流検出部34により検出される電流量に従ってパワーコンディショナ16の各部を制御することにより、蓄電池15に蓄積された電力が安全ブレーカ21およびメータ12を介して系統に流れ出ることを確実に防止することができる。即ち、制御部36は、電流検出部34が設けられている配線において、安全ブレーカ21とPV用DCAC変換部32との間の配線から、漏電ブレーカ22と双方向DCAC変換部33との間の配線に向かって、常に一定の方向に電流が流れるように制御することができる。
【0047】
また、家庭用電力システム11では、太陽光発電パネル14からの電力の配線と、蓄電池15からの電力の配線とが区別されているので、蓄電池15に蓄積された電力が系統へ流れ出ることが確実に防止されていることを容易に認識することができる。従って、家庭用電力システム11は、そのように系統へ戻すことが必要でない場合において、証拠として有効である。
【0048】
また、太陽光発電パネル14および蓄電池15のように、複数の電力源を備えた家庭用電力システム11において、それぞれに制御手段を設ける必要がなく、パワーコンディショナ16だけで最適な制御を行うことができ、システムを簡素化およびコンパクト化することができる。なお、分電盤13とパワーコンディショナ16とが一体で構成されていてもよい。
【0049】
なお、分電盤13とパワーコンディショナ16との接続は、
図1に示したような安全ブレーカ21と漏電ブレーカ22との間にパワーコンディショナ16が接続される接続方法の他に、例えば、漏電ブレーカ22とブレーカ23−1乃至23−6との間にパワーコンディショナ16が接続されていてもよく、また、その他の接続方法を採用することができる。さらに、分電盤13の構成についても、
図1に示されているような構成に限られるものではない。即ち、系統から分電盤13を介してパワーコンディショナ16に配線が引き込まれ、パワーコンディショナ16から各負荷への配線が、パワーコンディショナ16から分電盤13を介して行われるような構成であればよい。
【0050】
次に、
図3は、本発明を適用した家庭用電力システムの第2の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0051】
図3に示されている家庭用電力システム11においては、パワーコンディショナ16Aが、2つの電流検出部34−1および34−2を備える点で、
図1のパワーコンディショナ16と異なっており、その他の点で共通する。なお、パワーコンディショナ16Aにおいて、
図1のパワーコンディショナ16と共通するブロックについては、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0052】
即ち、パワーコンディショナ16Aは、
図1の電流検出部34に対応する電流検出部34−1を備える他、電流検出部34−2を備えている。電流検出部34−2は、安全ブレーカ21とPV用DCAC変換部32との間の配線上の、電流検出部34−1が配置される配線との接続点よりも安全ブレーカ21側に配置される。
【0053】
そして、制御部36は、例えば、系統からの買電が行われないようにする場合、電流検出部34−2により検出される電流量が0を維持するように制御を行う。即ち、この場合、制御部36は、負荷により使用される電力が、PV用DCAC変換部32および双方向DCAC変換部33から出力される電力と一致するように、PV用DCAC変換部32および双方向DCAC変換部33による電力変換を制御する。
【0054】
例えば、
図4Aに示すように、太陽光発電パネル14により発電が行われているときには、電流検出部34−2により検出される電流量が0を維持するように、PV用DCAC変換部32および双方向DCAC変換部33の出力を制御する。即ち、この場合、太陽光発電パネル14による発電量が、家庭内の各負荷の消費電力を下回りそうになると、双方向DCAC変換部33の出力を上昇させるような制御を行う。
【0055】
また、
図4Bに示すように、太陽光発電パネル14により発電が行われていないとき(例えば、夜間など)には、電流検出部34−2により検出される電流量が0を維持するように、家庭内の各負荷の消費電力が蓄電池15に蓄積された電力により賄われるように、双方向DCAC変換部33の出力を制御する。
【0056】
このように、
図3の家庭用電力システム11では、制御部36が、電流検出部34−2により検出される電流量にも基づいてパワーコンディショナ16の各部を制御することにより、系統からの電力の流入を停止し、買電が行われないようにすることができる。なお、例えば、制御部36は、系統からの電流量が0に近い規定の電流量以下となったか否か(0に近づいたか否か)に基づいて制御を行ってもよい。この場合、少量の電力が系統から流入することになるが、系統へ電力が流れ出ることをより確実に防止することができる。
【0057】
なお、パワーコンディショナ16は、太陽光発電パネル14を備えた家庭用電力システムでの使用に限られたものではなく、例えば、小型風力発電や燃料電池などの自家発電装置などを備えた家庭用電力システムや、蓄電池15だけを備えた家庭用電力システムにも適用することができる。即ち、本発明は、系統に電力を戻すことが必要でない電源を備えた家庭用電力システムのであれば、どのような電源を備えた家庭用電力システムであっても、電力を区別して電力供給の調整を行うパワーコンディショナに適用することができる。
【0058】
次に、
図5は、本発明を適用した家庭用電力システムの第3の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0059】
図5に示されている家庭用電力システム11においては、パワーコンディショナ16Bは、双方向DCAC変換部33、電流検出部34、および制御部36を備えて構成される。そして、パワーコンディショナ16Bでは、安全ブレーカ21から漏電ブレーカ22に向かう電流の電流量が電流検出部34により検出され、制御部36は、その電流量に従って、双方向DCAC変換部33の出力を調整する。即ち、制御部36は、電流検出部34からの電流量に従って安全ブレーカ21に向かう電流が発生しないような制御を行う。これにより、蓄電池15に蓄積された電力が安全ブレーカ21およびメータ12を介して系統に流れ出ることが防止される。
【0060】
なお、本発明は、
図3に示したようなパワーコンディショナ16が備えるPV制御部31が太陽光発電パネル14の制御を行う家庭用電力システム11の他、例えば、太陽光発電パネル14を構成する複数のPVモジュールごとにPV制御部が設けられた家庭用電力システムにも適用することができる。このように、太陽光発電パネル14を構成する複数のPVモジュールごとにPV制御部が設けられた場合、PVモジュールごとに最大の出力となるような制御を行うことができ、太陽光発電パネル14全体として最適な出力電力を得ることができる。
【0061】
なお、制御部36が、双方向DCAC変換部33の出力を制御して蓄電池15に蓄積された電力が系統に流れ出ることを防止する他、例えば、電流検出部34と直列にリレーを配線して、電流検出部34により検出される電流量や家庭内の各負荷による消費電力などに基づいて、そのリレーをスイッチングすることにより、蓄電池15に蓄積された電力が系統に流れ出ることを防止してもよい。また、ダイオード35に替えてリレーを設けることで、PV制御部31と蓄電池15との間の電力供給を規制してもよい。
【0062】
また、制御部36は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(例えば、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory))などを備えて構成されており、ROMまたはフラッシュメモリに記憶されているプログラムをRAMにロードして実行することで、パワーコンディショナ16の各部を制御する。なお、CPUが実行するプログラムは、あらかじめROMおよびフラッシュメモリに記憶されているものの他、適宜、フラッシュメモリにダウンロードして更新することができる。
【0063】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、上述の実施の形態では、家庭用電力システムについて説明したが、本発明は、工場やオフィスなどの電力システムに適用することができ、その適用場所は何処でもよい。