特許第5672317号(P5672317)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5672317
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】箔シール型放電ランプ
(51)【国際特許分類】
   H01J 61/36 20060101AFI20150129BHJP
【FI】
   H01J61/36 B
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-10078(P2013-10078)
(22)【出願日】2013年1月23日
(65)【公開番号】特開2014-143050(P2014-143050A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2013年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078754
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 正彦
(72)【発明者】
【氏名】森本 明久
(72)【発明者】
【氏名】秋山 和寛
【審査官】 桐畑 幸▲廣▼
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−174611(JP,A)
【文献】 特公昭63−017900(JP,B1)
【文献】 特開2003−206184(JP,A)
【文献】 特開2013−229115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 61/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石英ガラスにより形成された、発光部の両端に封止部が連設されてなる放電容器と、前記発光部内に互いに対向配置された一対の電極と、前記封止部の各々に埋設された金属箔と、この金属箔に接続され、前記封止部の一端から突出する外部リードとを備えてなる箔シール型放電ランプにおいて、
前記外部リードは、酸化セリウムドープモリブデン線材よりなり、当該線材は前記外部リードの長手方向に沿って伸びる再結晶部分と前記外部リードの長手方向に沿って伸びる繊維状組織とを有し、前記再結晶部分が前記繊維状組織によって包囲されていることを特徴とする箔シール型放電ランプ。
【請求項2】
前記酸化セリウムドープモリブデン線材におけるセリウムのドープ量が1〜1.5質量%であることを特徴とする請求項1に記載の箔シール型放電ランプ。
【請求項3】
石英ガラスにより形成された、発光部の両端に封止部が連設されてなる放電容器と、前記発光部内に互いに対向配置された一対の電極と、前記封止部の各々に埋設された金属箔と、この金属箔に接続され、前記封止部の一端から突出する外部リードとを備えてなる箔シール型放電ランプにおいて、
前記外部リードは、酸化ランタンドープモリブデン線材よりなり、当該線材は前記外部リードの長手方向に沿って伸びる再結晶部分と前記外部リードの長手方向に沿って伸びる繊維状組織とを有し、前記再結晶部分が前記繊維状組織によって包囲されていることを特徴とする箔シール型放電ランプ。
【請求項4】
前記酸化ランタンドープモリブデン線材におけるランタンのドープ量が0.2〜0.3質量%であることを特徴とする請求項3に記載の箔シール型放電ランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箔シール型放電ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
放電ランプは、例えば液晶プロジェクタ、映写機、半導体露光装置、液晶装置用ガラス基板露光装置および小型検査装置などの光源などとして広く用いられている。このような放電ランプとしては、発光部の両端に封止部が連設された、石英ガラスよりなる放電容器と、この放電容器における封止部に埋設された、モリブデンよりなる金属箔と、放電容器における封止部の端部から外方に突出する、モリブデンよりなる外部リードとを有する箔シール型のものが知られている(特許文献1参照。)。
【0003】
この箔シール型放電ランプの封止部は、例えば以下のようにして形成される。先ず、電極、金属箔および外部リードが一列に連結されてなる電極マウントを作製する。次いで、この電極マウントを石英ガラス管よりなる放電容器材の内部に配置する。このとき、電極マウントにおける電極が、放電容器材における発光部となる部分に位置され、金属箔が放電容器材における封止部となる部分に位置される。そして、放電容器材における封止部となる部分を例えばバーナーによって加熱すると共に、放電容器材の内部を減圧する。その結果、放電容器材における封止部となる部分が半径方向に収縮し、当該封止部となる部分の内面が融着することにより、封止部が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−132844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような箔シール型放電ランプにおいては、外部リードに給電線を接続したり、或いは口金を取り付けたりすることによって、外部リードに応力が加わると、当該外部リードが破損する、という問題があることが判明した。
【0006】
このような外部リードの破損が生じるのは、以下のような理由によるものと推測される。
放電容器における封止部の形成においては、前述したように、放電容器材における封止部となる部分が加熱される。この加熱温度は例えば約2000℃である。この熱は封止部に埋設される金属箔を介して外部リードに伝達され、これにより、外部リードも加熱される。そして、外部リードを構成するモリブデンの再結晶化温度が1200℃程度であるため、外部リード全体にわたってモリブデンが再結晶化する。このように再結晶化されたモリブデンよりなる外部リードは、加熱される前の外部リードに比較して脆いものとなる。
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、外部リードの破損を抑制することができる箔シール型放電ランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の箔シール型放電ランプは、石英ガラスにより形成された、発光部の両端に封止部が連設されてなる放電容器と、前記発光部内に互いに対向配置された一対の電極と、前記封止部の各々に埋設された金属箔と、この金属箔に接続され、前記封止部の一端から突出する外部リードとを備えてなる箔シール型放電ランプにおいて、
前記外部リードは、酸化セリウムドープモリブデン線材よりなり、当該線材は前記外部リードの長手方向に沿って伸びる再結晶部分と前記外部リードの長手方向に沿って伸びる繊維状組織とを有し、前記再結晶部分が前記繊維状組織によって包囲されていることを特徴とする。
本発明の箔シール型放電ランプは、石英ガラスにより形成された、発光部の両端に封止部が連設されてなる放電容器と、前記発光部内に互いに対向配置された一対の電極と、前記封止部の各々に埋設された金属箔と、この金属箔に接続され、前記封止部の一端から突出する外部リードとを備えてなる箔シール型放電ランプにおいて、
前記外部リードは、酸化ランタンドープモリブデン線材よりなり、当該線材は前記外部リードの長手方向に沿って伸びる再結晶部分と前記外部リードの長手方向に沿って伸びる繊維状組織とを有し、前記再結晶部分が前記繊維状組織によって包囲されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の箔シール型放電ランプにおいては、前記外部リードは、酸化セリウムドープモリブデン線材よりなる場合には、当該酸化セリウムドープモリブデン線材におけるセリウムのドープ量が1〜1.5質量%であることが好ましい。
また、前記外部リードは、酸化ランタンドープモリブデン線材よりなる場合には、当該酸化ランタンドープモリブデン線材におけるランタンのドープ量が0.2〜0.3質量%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の箔シール型放電ランプによれば、外部リードは、酸化ランタンドープモリブデン線材および酸化セリウムドープモリブデン線材から選ばれた線材よりなり、この線材は再結晶部分と外部リードの長手方向に沿って伸びる繊維状組織とを有するものであるため、外部リードの破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の箔シール型放電ランプの一例における構成を示す説明用断面図である。
図2】外部リードを構成する線材における再結晶部分および繊維状組織の態様を示す説明用断面図である。
図3】実施例において使用した試験装置の概略を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の箔シール型放電ランプの実施の形態について説明する。
図1は、本発明の箔シール型放電ランプの一例における構成を示す説明用断面図である。この箔シール型放電ランプは、石英ガラスにより形成された放電容器10を有する。この放電容器10は、放電空間Sを囲繞する外形が略楕円球状の発光部11と、この発光部11の両端の各々に連設された、当該発光部11の管軸方向外方に伸びるロッド状の封止部12とにより構成されている。
放電容器10における発光部11内には、陽極13および陰極14よりなる一対の電極が放電容器10の管軸に沿って互いに対向して配置されている。陽極13および陰極14の各々は、電極軸部13b,14bの先端に電極本体13a,14aが一体に形成されて構成されている。また、放電容器10における封止部12の各々には、金属箔15が気密に埋設されている。
【0013】
一方の封止部12に埋設された金属箔15における発光部11側の内端部には、陽極13の電極軸部13bが溶接により接続されている。金属箔15と電極軸部13bとの溶接部分には、タンタル線材がコイル状に巻き回されてなるバインダ16が設けられている。他方の封止部12に埋設された金属箔15における発光部11側の内端部には、陰極14の電極軸部14bが溶接により接続されている。金属箔15と電極軸部14bとの溶接部分には、タンタル線材がコイル状に巻き回されてなるバインダ16が設けられている。また、金属箔15の各々の外端部には、封止部12の一端から管軸方向外方に突出する外部リード17が溶接により接続されている。金属箔15と外部リード17との溶接部分には、タンタル線材がコイル状に巻き回されてなるバインダ18が設けられている。
【0014】
また、放電容器10における発光部11内には、発光物質が封入されている。この発光物質は、当該箔シール型放電ランプ10に要求される光の波長に応じて適宜選択される。発光物質の具体例としては、キセノン、水銀、鉄等のメタルなどが挙げられる。
【0015】
陽極13および陰極14の各々を構成する材料としては、アーク放電による発熱に対する耐熱性を有する導電性材料であれば、種々のものを用いることができ、その具体例としては、タングステン、トリエーテッドタングステンなどが挙げられる。
金属箔15の各々を構成する材料としては、例えばモリブデンを用いることができる。
【0016】
外部リード17は、酸化ランタンドープモリブデン線材および酸化セリウムドープモリブデン線材から選ばれた線材によって構成されている。
外部リード17を構成する線材として酸化ランタンドープモリブデン線材を用いる場合において、当該線材におけるランタンのドープ量は0.2〜0.3質量%であることが好ましい。ランタンのドープ量が上記の範囲であれば、再結晶温度が1400〜1600℃の線材が得られる。
また、外部リード17を構成する線材として酸化セリウムドープモリブデン線材を用いる場合において、当該線材におけるセリウムのドープ量は1〜1.5質量%であることが好ましい。セリウムのドープ量が上記の範囲であれば、再結晶温度が約2000℃の線材が得られる。
ランタンまたはセリウムのドープ量が過小である場合には、材料時点の冷間加工で塑性ひずみを受けた結晶が加熱(例えば1200℃)されるとき、内部応力が減少する過程に続いて、ひずみが残っている元の結晶粒から内部ひずみのない新しい結晶の核が発生しやすくなる。結晶核の数が増加するとともに各々の核は成長して元の結晶粒と置き換わっていくスピードが早期に発生する。すなわち早期に再結晶を起こしやすく脆くなることがある。そして、ドープ量が過小である場合には、組成、結晶内の塑性ひずみが大きくなり、箔シール型放電ランプの熱加工時や機械加工時に金属折れ等の問題がある。
一方、ランタンまたはセリウムのドープ量が過大である場合には、材料生成が困難になる。また、生成時に焼結しにくくなること、それにより比重を保持できないことなどにより、得られる外部リード17には、ひび割れ, 折れが発生しやすくなる。また仮に材料を生成したとしても材料加工時間が数倍となるため、製造コストが高くなる。また、得られる箔シール型放電ランプにおいては、ランタンまたはセリウムはモリブデン中に酸化物としてドープさせているため、ドープ量が過大になることにより、外部リード17と金属箔15との溶接部分における酸化の進行が早くなり、金属箔15の溶断が発生する。その結果、不点灯などが生じてランプ寿命が短くなる、という問題がある。
【0017】
また、外部リード17を構成する線材は、再結晶部分と外部リード17の長手方向に沿って伸びる繊維状組織とを有するものとされる。また、線材における再結晶部分は外部リード17の長手方向に沿って伸びるものであることが好ましい。
このような線材においては、外部リード17の長手方向に沿って伸びる繊維状組織を有するものであれば、再結晶部分および繊維状組織の態様は、特に限定されるものではない。再結晶部分および繊維状組織の具体的な態様を図2に示す。図2(a)は、線材Wの中心部分において、その長手方向に沿って伸びる再結晶部分Cが当該長手方向全体にわたって形成されていると共に、線材Wの周縁部分において、その長手方向に沿って伸びる繊維状組織Fが当該長手方向全体にわたって形成された態様である。図2(b)は、線材Wの一部において、その長手方向に沿って伸びる再結晶部分Cが形成され、線材Wにおける他の部分において、その長手方向に沿って伸びる繊維状組織Fが当該長手方向全体にわたって形成された態様である。図2(c)は、線材Wの周縁部分において、その長手方向全体に沿って伸びる再結晶部分Cが当該長手方向全体にわたって形成されていると共に、線材Wの中心部分において、その長手方向に沿って伸びる繊維状組織Fが当該長手方向全体にわたって形成された態様である。
【0018】
このような箔シール型放電ランプにおいて、放電容器10における封止部11は、例えば以下のようにして形成される。
先ず、金属箔15の一端に陽極13若しくは陰極14が溶接されると共に、当該金属箔15の一端に外部リード17が溶接され、更に、金属箔15と陽極13若しくは陰極14との溶接部分および当該金属箔15と外部リード17との溶接部分の各々にバインダ16,18が巻き回されてなる電極マウントを作製する。次いで、この電極マウントを石英ガラス管よりなる放電容器材の内部に配置する。このとき、電極マウントにおける陽極13若しくは陰極14が、放電容器材における発光部11となる部分に位置され、金属箔15が放電容器材における封止部12となる部分に位置される。
そして、放電容器材における封止部12となる部分を例えばバーナーによって加熱すると共に、放電容器材の内部を減圧する。その結果、放電容器材における封止部12となる部分が半径方向に収縮し、当該封止部12となる部分の内面が融着することにより、封止部12が形成される。
【0019】
以上において、放電容器材における封止部12となる部分の加熱温度は、例えば約2000℃であり、加熱時間は、例えば10〜60秒間である。
そして、放電容器材における封止部12となる部分が加熱されたときには、この熱は封止部に埋設される金属箔15を介して外部リード17に伝達され、これにより、外部リード17も加熱される。然るに、外部リード17は、再結晶温度が高い酸化ランタンドープモリブデン線材および酸化セリウムドープモリブデン線材から選ばれた線材によって構成されているため、外部リード17全体にわたって再結晶化することが抑制される。すなわち、図2に示すように、外部リード17を構成する線材Wは、再結晶部分Cと外部リード17の長手方向に沿って伸びる繊維状組織Fとが混在したものとなる。
【0020】
このような箔シール型放電ランプによれば、外部リード17は、酸化ランタンドープモリブデン線材および酸化セリウムドープモリブデン線材から選ばれた線材よりなり、この線材は再結晶部分Cと外部リード17の長手方向に沿って伸びる繊維状組織Fとを有するものであるため、外部リード17の破損を抑制することができる。
【0021】
以上、本発明の箔シール型放電ランプの実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されず、以下のような変更を加えることが可能である。
例えば図1に示す箔シール型放電ランプは、直流点灯型のものであるが、本発明は、それぞれ同一形状の一対の電極が互いに対向して配置された交流点灯型の放電ランプにも適用することができる。
また、図1に示す箔シール型放電ランプは、ショートアーク型のものであるが、本発明は、ロングアーク型の放電ランプにも適用することができる。
【実施例】
【0022】
以下、本発明の箔シール型放電ランプの具体的な実施例について説明する。
〈実施例1〉
図1に示す構成に従い、下記の仕様の箔シール型放電ランプを合計で11本作製した。 放電容器(10)は、石英ガラスよりなり、発光部(11)の最大外径がφ13mm、発光部(11)の内容積が275mm3 、封止部(12)の外径がφ8mm、軸方向の長さが30mmのものである。放電容器(10)の発光部(11)内には、キセノンガスが封入され、その静圧が2MPaである。
陽極(13)は、トリウムタングステンおよびタングステンよりなり、電極本体(13a)の最大外径がφ3mm、電極本体(13a)の長さが18mm、電極軸部(13b)の後端部分の外径がφ0.8mm、電極軸部(13b)の長さが6mmのものである。
陰極(14)は、トリウムタングステンおよびタングステンよりなり、電極本体(14a)における最大外径がφ2mm、電極軸部(14b)の後端部分の外径がφ0.8mm、電極本体(14a)の全長が5mmのものである。
また、陽極(13)と陰極(14)との間の電極間距離が1.5mmである。
金属箔(15)は、縦幅(軸方向の長さ)が20mm(外部リード(17)と電極軸部(13b,14b)の一端との距離が11mm)、横幅が4mm、厚みが0.025mmの短冊状のモリブデン箔材よりなる。金属箔(15)における外部リード(17)との溶接部分は、モリブデン箔材の外端部が折り返されて微小間隙が介在する状態で3重に積重されて構成され、積重部分の軸方向の長さが4mm、微小間隙の大きさが幅で0.01mmである。
外部リード(17)は、酸化セリウムドープモリブデン線材(セリウムのドープ量が1.2質量%)よりなり、外径がφ0.8mm、全長が20mmのものである。
バインダ(16,18)は、線径がφ0.25mmのタンタル線材がコイル状に巻き回されて構成され、巻回数が2ターンで、バインダー加工が施された領域(溶接領域)の大きさが1.5mmである。
また、放電容器(10)における封止部(12)の形成は、加熱温度が約2000℃、加熱時間が30秒間の条件で行った。
【0023】
作製した11本の箔シール型放電ランプの1本を分解して外部リードを取り出し,当該外部リードの断面を以下のようにして観察した。
自動研磨機を用い、面だし用ダイヤモンド研磨盤により、外部リードを長手方向に沿って研磨した。次いで、外部リードの断面(研磨面)を紙やすり(〜#1500)によって研磨し、更に、外部リードの断面(研磨面)に対して、6μおよび1μのバフ研磨処理を行った。その後、外部リードの断面(研磨面)に対してエッチング処理を施した。そして、外部リードの断面(研磨面)を走査型電子顕微鏡により観察した。
その結果、外部リードは、長手方向に沿って伸びる再結晶部分と長手方向に沿って伸びる繊維状組織とを有するものであることが確認された。
【0024】
〈実施例2〉
外部リード(17)を構成する線材を、酸化セリウムドープモリブデン線材から酸化ランタンドープモリブデン線材(ランタンのドープ量が0.3質量%)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして箔シールランプを合計で11本作製し、外部リードの断面を観察した。その結果、外部リードは、長手方向に沿って伸びる再結晶部分と長手方向に沿って伸びる繊維状組織とを有するものであることが確認された。
【0025】
〈比較例1〉
外部リード(17)を構成する線材を、酸化セリウムドープモリブデン線材からモリブデン線材(ノンドープ)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして箔シールランプを作製し、外部リードの断面を観察した。その結果、外部リードは、その全体にわたって再結晶化されていることが確認された。
【0026】
〔試験〕
実施例1〜2および比較例1において作製した、それぞれ10本の箔シール型放電ランプを分解して外部リードを取り出し,これらの外部リードの強度を以下のようにして評価した。
図3に示すように、外部リード17の一端部(外部リード17の一端から2mmまでの部分)をコレットチャック治具20のコレット21内に嵌入した。そして、外部リード17におけるコレット21の端面から5mm離間した箇所に、プッシュプルゲージ25によって、外部リード17の長手方向に対して垂直な方向に1kgfの荷重を加え、外部リード17の破損(単に変形した場合を除く。)の有無を調べた。
その結果、実施例1〜2に係る外部リードについては、10本全て破損しておらず、比較例1に係る外部リードについては、10本全て破損していることが確認された。
【符号の説明】
【0027】
10 放電容器
11 発光部
12 封止部
13 陽極
13a 電極本体
13b 電極軸部
14 陰極
14a 電極本体
14b 電極軸部
15 金属箔
16 バインダ
17 外部リード
18 バインダ
20 コレットチャック治具
21 コレット
25 プッシュプルゲージ
C 再結晶部分
F 繊維状組織
S 放電空間
W 線材
図1
図2
図3