特許第5672327号(P5672327)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5672327
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20150129BHJP
【FI】
   B25J19/06
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-56703(P2013-56703)
(22)【出願日】2013年3月19日
(65)【公開番号】特開2014-180725(P2014-180725A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2013年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(72)【発明者】
【氏名】旭 岳史
(72)【発明者】
【氏名】澤田 有希子
【審査官】 杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−000742(JP,A)
【文献】 特開2011−253377(JP,A)
【文献】 特開2012−027732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットと、
前記ロボットの動作を制御する制御部と、
前記ロボットと人とが物の受け渡しを行う受渡領域に人が進入したことを検知するセンサとを備え、
前記制御部は、前記センサにより前記受渡領域に人が進入したことが検知された際に、前記受渡領域に前記ロボットの動作を制限する第1の制限領域を設定し、前記第1の制限領域に基づいて前記ロボットを制御し、
前記センサは、前記受渡領域への人の進入と、前記受渡領域への物の進入とを判別可能であり、
前記制御部は、前記センサにより前記受渡領域に物が進入したことが検知された際に、前記受渡領域に前記ロボットの動作を制限する第2の制限領域を設定し、前記第2の制限領域に基づいて前記ロボットを制御する、
ロボットシステム。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の制限領域において、前記ロボットの進入の禁止、前記ロボットの速度の抑制、前記ロボットの力の抑制、及び、前記ロボットが保持可能な工具の種類の制限の少なくとも一つを実施する、
請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記第2の制限領域は、前記第1の制限領域よりも狭い、
請求項1または2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1及び前記第2の制限領域において、前記ロボットの進入の禁止、前記ロボットの速度の抑制、前記ロボットの力の抑制、及び、前記ロボットが保持可能な工具の種類の制限の少なくとも一つを実施し、
前記第2の制限領域においては、前記第1の制限領域に比して、前記ロボットの動作の制限の度合が小さい、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記センサは、前記受渡領域への人及び物の進入を検知可能な第1のセンサと、前記受渡領域への人の進入を検知可能な第2のセンサとを含んでいる、
請求項のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記ロボットを支持する架台部を備え、
ロボットセルとして構成される請求項1〜のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか一項に記載のロボットシステムを用いて被加工物を得る、
被加工物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人間による作業をロボットにより自動化させる需要が高まっている。ロボットを備えるロボットシステムにおいては、ロボットと人との間で物の受け渡しを行う場合がある。受け渡しを行う際には、安全性を確保する必要があり、従来から、安全性を確保するための様々な工夫が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−027732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロボットシステムにおいては、安全性を確保しつつ、作業効率を向上できる技術の開発が望まれている。
【0005】
そこで本発明は、安全性の確保及び作業効率の向上が図られたロボットシステム、並びに、被加工物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るロボットシステムは、ロボットと、ロボットの動作を制御する制御部と、ロボットと人とが物の受け渡しを行う受渡領域に人が進入したことを検知するセンサとを備え、制御部は、センサにより受渡領域に人が進入したことが検知された際に、ロボットの動作を制限する第1の制限領域を設定し、第1の制限領域に基づいてロボットを制御する。
【0007】
本発明に係る被加工物の製造方法では、上述のロボットシステムを用いて被加工物を得る。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るロボット装置によれば、安全性の確保及び作業効率の向上が図られたロボットシステム、並びに、被加工物の製造方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るロボットシステムの一実施形態を示す概略図である。
図2】受渡領域に人が進入した場合の第1の制限領域を示す要部拡大図である。
図3】受渡領域に物が進入した場合の第2の制限領域を示す要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1に示されるように、ロボットシステム1は、ロボットセル2及びPLC(Programmable Logic Controller、制御部)3を備えている。ロボットセル2は、架台部4、双腕ロボット5、ロボットコントローラ(制御部)6、センサ9(第1のセンサ7及び第2のセンサ8)を有している。このようなロボットセル2を複数配列することにより、製造ラインを構成することが可能である。
【0012】
架台部4は、双腕ロボット5を支持している。架台部4は、矩形板状の支持板41及び支持板41下に取り付けられた4本の脚部42を有している。支持板41上には、矩形板状の台座43が設けられており、台座43上に、双腕ロボット5が配置されている。また、台座43上には、双腕ロボット5と離間した位置に、双腕ロボット5が作業を行う際に使用する円柱状の作業台44が設けられている。
【0013】
さらに、支持板41上には、台座43と離間した位置(図1では、支持板41の隅の位置)に、直方体状の受渡部45が設けられている。この受渡部45に作業者によってワークWが載置された後、そのワークWを双腕ロボット5が取り出したり、双腕ロボット5が作業を行った後のワークWを受渡部45に載置した後、作業者がそのワークWを取り出したりすることにより、双腕ロボット5と作業者との間でワークWの受け渡しが行われる。なお、受渡部45では、例えば、双腕ロボット5が作業に用いる工具Tが受け渡されてもよい。
【0014】
支持板41には、カバー46が設けられ、双腕ロボット5、台座43、作業台44及び受渡部45を側方及び上方から覆っている。カバー46は、支持板41の4辺のそれぞれから上方に延びる側板と、側板の上部に設けられた天板と、側板及び天板を支持するフレームFとで構成されている。フレームFは、支持板41の4隅のそれぞれから上方に延びる縦方向の柱と、縦方向の柱の上端部同士を連結する横方向の柱とを有している。カバー46の側板及び天板は、例えば、外部から視認できるように透明な材料(例えば、ポリカーボネイト等)により形成されている。なお、フレームFには、ロボットセル2の動作状況を示す表示灯Pが取り付けられている。
【0015】
カバー46の1つの側板には、受渡部45に対応する一部分に、カバー46内に作業者が手を進入させることが可能な受渡口47が設けられている。受渡部45の上方の領域であって、受渡口47に隣接する領域(受渡口47の側方の領域)は、双腕ロボット5と作業者とが物(例えば、ワークW及び工具T等)の受け渡しを行う受渡領域DAである。
【0016】
双腕ロボット5は、左アーム51L及び右アーム51Rを有している。左アーム51L及び右アーム51Rは、互いに共同して作業を行うことが可能であり、さらに、互いに独立して作業を行うことが可能である。すなわち、左アーム51L及び右アーム51Rのそれぞれが、ロボットとして機能する。左アーム51L及び右アーム51Rのそれぞれは、多関節構造を有し、その先端部に継手部52を含んでいる。左アーム51L及び右アーム51Rのそれぞれは、双腕ロボット5に内蔵された複数のアクチュエータにより、6自由度の動作が可能となっている。これにより、継手部52は様々な位置、姿勢をとることが可能である。継手部52には、工具Tが取り付けられている。なお、左アーム51L及び右アーム51Rのそれぞれの自由度は一例であり、5自由度であっても7自由度以上であってもよい。
【0017】
ロボットコントローラ6は、双腕ロボット5の動作を制御する。ロボットコントローラ6は、例えば演算装置、記憶装置及び入出力装置を有するコンピュータである。ロボットコントローラ6において入出力される情報には、例えば、左アーム51L及び右アーム51Rの動作を規定する領域の情報(領域情報)、左アーム51L及び右アーム51Rの一連の動作を規定するプログラム(ジョブ)等がある。
【0018】
左アーム51L及び右アーム51Rの動作を規定する領域には、ロボット動作領域、協調動作領域及び進入禁止領域が含まれている。ロボット動作領域においては、左アーム51L及び右アーム51Rが進入可能である。協調動作領域においては、当該協調動作領域に進入が許可された左アーム51L、右アーム51R又は作業者が進入可能である。協調動作領域は、例えば、受渡部45の上方の領域である。進入禁止領域においては、左アーム51L及び右アーム51Rの進入が禁止される。進入禁止領域は、例えば、支持板41、台座43、作業台44、受渡部45及びカバー46等の各周辺物が存在する領域、並びに、カバー46外の領域である。
【0019】
ロボットコントローラ6は、例えば支持板41下に配置されている。双腕ロボット5とロボットコントローラ6とは、配線により接続されている。なお、双腕ロボット5とロボットコントローラ6とは無線で接続されてもよいし、ロボットコントローラ6が双腕ロボット5に内蔵されていてもよい。
【0020】
第1のセンサ7は、受渡領域DAへの作業者の進入及び物の進入の双方を検知する。第1のセンサ7は、例えば、光電センサである。第1のセンサ7は、受渡口47の上縁部に下向きに配向されて固定されており、受渡部45に向けて光を照射し、反射された光を受光する。
【0021】
第2のセンサ8は、受渡領域DAへの人の進入のみを検知する。第2のセンサ8は、例えば、タグセンサである。タグセンサは、作業者が身に着けるタグ100(図2参照)を、光又は電磁波等により検知する。作業者は、例えば、バンド等によりタグ100を手首に着ける。第2のセンサ8は、受渡口47の上縁部に第1のセンサ7と並べて下向きに配向されて固定されている。
【0022】
受渡領域DAに物が進入している場合(受渡部45に物が載置されている場合)、第1のセンサ7及び第2のセンサ8のうち、第1のセンサ7のみが反応する。一方、受渡領域DAに作業者の手が進入している場合、第1のセンサ7及び第2のセンサ8の双方が反応する。すなわち、第1のセンサ7及び第2のセンサ8は、受渡領域DAへの作業者の進入と、受渡領域DAへの物の進入とを判別可能な一つのセンサ9として機能する。
【0023】
第1のセンサ7及び第2のセンサ8のそれぞれは、配線によりロボットコントローラ6に接続されており、第1のセンサ7及び第2のセンサ8のそれぞれの検知信号がロボットコントローラ6を介してPLC3に送られる。なお、第1のセンサ7及び第2のセンサ8のそれぞれは、無線によりロボットコントローラ6に接続されてもよい。
【0024】
PLC3は、複数のロボットセル2により製造ラインを構成する際に、複数のロボットセル2により共有され、複数のロボットセル2を統括して制御する。PLC3は、例えば演算装置、記憶装置及び入出力装置を有するコンピュータである。PLC3は、ロボットコントローラ6に接続されている。PLC3は、配線によりロボットコントローラ6に接続されても、無線によりロボットコントローラ6に接続されてもよい。
【0025】
図2に示されるように、PLC3は、センサ9により受渡領域DAに人が進入したことが検知された場合(第1のセンサ7及び第2のセンサ8の双方から検知信号が送られてきた場合)、受渡領域DAに、双腕ロボット5の左アーム51L及び右アーム51Rの動作を制限する第1の制限領域RA1(図2において、斜線で示された領域)を設定する。第1の制限領域RA1は、ここでは、受渡領域DAを含む領域であり、受渡領域DAよりも広い領域である。具体的には、ここでは、第1の制限領域RA1には、受渡領域DAの上方の領域も含まれている。なお、第1の制限領域RA1には、受渡領域DAの側方の領域が含まれてもよい。また、第1の制限領域RA1は、受渡領域DAと同じ広さの領域であってもよいし、受渡領域DAよりも狭い領域であってもよい。
【0026】
PLC3は、第1の制限領域RA1における左アーム51L及び右アーム51Rの動作を制限するよう、ロボットコントローラ6に指令する。指令を受けたロボットコントローラ6が左アーム51L及び右アーム51Rの動作を制限する。具体的には、第1の制限領域RA1においては、左アーム51L及び右アーム51Rの進入が禁止される。また、第1の制限領域RA1においては、左アーム51L及び右アーム51Rの進入までは禁止されないものの、左アーム51L及び右アーム51Rの動作速度が所定の閾値以下に抑制されてもよい。
【0027】
また、左アーム51L及び右アーム51Rの力(トルク)が所定の閾値以下に抑制されてもよい。左アーム51L及び右アーム51Rの力が抑制される場合、例えば、左アーム51L及び右アーム51Rにより運ばれる物の重量が所定の閾値以下に制限されてもよい。
【0028】
また、左アーム51L及び右アーム51Rが保持可能な工具Tの種類が制限されてもよい。工具Tの種類が制限される場合、例えば、鋭利な工具を保持した左アーム51L及び右アーム51Rの第1の制限領域RA1への進入が禁止されてもよい。また、動作速度の抑制、力の抑制、及び、保持可能な工具Tの種類の制限のうち、複数が同時に実施されてもよい。
【0029】
図3に示されるように、PLC3は、センサ9により受渡領域DAに物(例えばワークW)が進入したことが検知された場合(第1のセンサ7のみから検知信号が送られてきた場合)、受渡領域DAに、双腕ロボット5の左アーム51L及び右アーム51Rの動作を制限する第2の制限領域RA2(図3において、斜線で示された領域)を設定する。第2の制限領域RA2は、ここでは、第1の制限領域RA1よりも狭く、さらに、受渡領域DAよりも狭い。具体的には、ここでは、第2の制限領域RA2には、受渡領域DAにおける上部の領域が含まれていない。なお、第2の制限領域RA2は、第1の制限領域RA1と同じ広さの領域であってもよい。また、第2の制限領域RA2は、受渡領域DAと同じ広さの領域であってもよいし、受渡領域DAよりも広い領域であってもよい。
【0030】
PLC3は、第2の制限領域RA2における左アーム51L及び右アーム51Rの動作を制限するよう、ロボットコントローラ6に指令する。指令を受けたロボットコントローラ6が左アーム51L及び右アーム51Rの動作を制限する。第2の制限領域RA2においては、上述の第1の制限領域RA1と同様な制限が実施されるものの、第1の制限領域RA1よりも制限が緩和(制限の度合が小さく設定)されている。例えば、動作速度及び力を抑制する場合、第2の制限領域RA2における閾値は、第1の制限領域RA1における閾値よりも大きく設定されている。また、保持可能な工具Tの種類を制限する場合、第2の制限領域RA2においては、第1の制限領域RA1で保持可能な工具よりも危険な工具の保持が可能となっている。危険な工具の具体例としては、前述のような鋭利な工具が挙げられる。
【0031】
以上のような本実施形態のロボットシステム1では、受渡領域DAに作業者が進入した場合には、受渡領域DAに左アーム51L及び右アーム51Rの動作を制限する第1の制限領域RA1が設定されるため、左アーム51L及び右アーム51Rと作業者との干渉を防止でき、安全性を図ることができる。一方で、受渡領域DAに作業者が進入していない場合には、受渡領域DAにおいて左アーム51L及び右アーム51Rの動作が制限されないため、例えば受渡領域DAに作業者が進入した場合に双腕ロボット5の動作を一旦停止させるような場合に比して、作業効率の向上を図ることができる。
【0032】
PLC3は、第1の制限領域において、左アーム51L及び右アーム51Rの進入の禁止、左アーム51L及び右アーム51Rの速度の抑制、左アーム51L及び右アーム51Rの力の抑制、及び、左アーム51L及び右アーム51Rが保持可能な工具Tの種類の制限の少なくとも一つを実施する。従って、安全性を図ることができる。
【0033】
センサ9は、受渡領域DAへの作業者の進入と、受渡領域DAへの物の進入とを判別可能である。従って、受渡領域DAに物が進入している場合に、左アーム51L及び右アーム51Rの動作を不要に制限することを抑制できる。
【0034】
PLC3は、センサ9により受渡領域DAに物が進入したことが検知された際に、左アーム51L及び右アーム51Rの動作を制限する第2の制限領域RA2を設定し、第2の制限領域RA2に基づいて左アーム51L及び右アーム51Rを制御する。従って、左アーム51L及び右アーム51Rと物との干渉を防止でき、安全性を図ることができる。また、受渡領域DAに物が進入した場合には、第1の制限領域RA1とは別の第2の制限領域RA2を設定することにより、左アーム51L及び右アーム51Rの動作を不要に制限することを抑制できる。
【0035】
第2の制限領域RA2は、第1の制限領域RA1よりも狭い。従って、左アーム51L及び右アーム51Rの動作を不要に制限することを抑制できる。
【0036】
PLC3は、第1及び第2の制限領域RA1,RA2において、左アーム51L及び右アーム51Rの進入の禁止、左アーム51L及び右アーム51Rの速度の抑制、左アーム51L及び右アーム51Rの力の抑制、及び、左アーム51L及び右アーム51Rが保持可能な工具の種類の制限の少なくとも一つを実施し、第2の制限領域RA2においては、第1の制限領域RA1に比して、左アーム51L及び右アーム51Rの動作の制限の度合が小さい。従って、安全性を図ることができると共に、左アーム51L及び右アーム51Rの動作を不要に制限することを抑制できる。
【0037】
センサ9は、受渡領域DAへの人及び物の進入を検知可能な第1のセンサ7と、受渡領域DAへの人の進入を検知可能な第2のセンサ8と、を含んでいる。このような構成により、受渡領域DAへの作業者の進入と、受渡領域DAへの物の進入とを判別できる。
【0038】
ロボットシステム1は、双腕ロボット5を支持する架台部4を備え、ロボットセル2として構成されている。複数のロボットセル2を配列して製造ラインを構成する場合、上述のように、ロボットセル2のそれぞれにおいて安全性の確保及び作業効率の向上を図ることができるため、製造ライン全体においても安全性の確保及び作業効率の向上を図ることができる。
【0039】
上述のようなロボットシステム1を用いて被加工物を得る製造方法においても、同様の効果が得られる。被加工物には、ボルト等の部品や自動車等の組立体が含まれる。
【0040】
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0041】
例えば、上記実施形態では、第1の制限領域及び第2の制限領域の設定を行う制御部は、PLC3であるが、ロボットコントローラ6であってもよい。上記実施形態では、センサ9は、1つ設けられているが、複数設けられていてもよい。
【0042】
上記実施形態では、第2のセンサ8は、タグセンサであるが、温度センサであってもよい。この場合、光電センサである第1のセンサ7から検知信号が送られ、且つ、温度センサである第2のセンサ8により検出された温度が人の体温であるとき、受渡領域DAに人が進入していると判断することができる。一方、光電センサである第1のセンサ7から検知信号が送られ、且つ、温度センサである第2のセンサ8により検出された温度が人の体温以外の温度であるとき、受渡領域DAに物が進入していると判断することができる。
【0043】
また、上記実施形態では、センサ9は、第1のセンサ7と第2のセンサ8とにより構成されているが、センサ9は、例えば、一つの温度センサであってもよい。この場合、PLC3は、センサ9により検出された温度が人の体温であるとき、受渡領域DAに作業者が進入したと判断することができる。この場合、少なくとも第1の制限領域RA1を設定することは可能である。
【0044】
上記実施形態では、架台4にカバー46が設けられているが、カバー46は設けられていなくてもよい。この場合、例えば、第1のセンサ7及び第2のセンサ8のそれぞれを受渡部45に上向きに配向させて固定することができる。
【0045】
上記実施形態では、ロボットは、双腕ロボット5の左アーム51L及び右アーム51Rであるが、例えば、一つの腕を有するロボットであってもよい。各要素の構成、個数及び材質等は、上記実施形態における構成、個数及び材質等に限られず、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…ロボットシステム、3…PLC(制御部)、4…架台部、5…双腕ロボット、6…ロボットコントローラ(制御部)、7…第1のセンサ、8…第2のセンサ、9…センサ、51L…左アーム(ロボット)、51R…右アーム(ロボット)、DA…受渡領域、RA1…第1の制限領域、RA2…第2の制限領域、T…工具。
図1
図2
図3