特許第5672401号(P5672401)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5672401
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】機械式自転車駐輪設備及び方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/18 20060101AFI20150129BHJP
【FI】
   E04H6/18 613C
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-82687(P2014-82687)
(22)【出願日】2014年4月14日
(65)【公開番号】特開2014-224443(P2014-224443A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2014年5月15日
(31)【優先権主張番号】特願2013-87028(P2013-87028)
(32)【優先日】2013年4月18日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112140
【弁理士】
【氏名又は名称】塩島 利之
(72)【発明者】
【氏名】松尾 智弘
(72)【発明者】
【氏名】金内 常和
【審査官】 土屋 真理子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−333913(JP,A)
【文献】 特開2012−184610(JP,A)
【文献】 特開2012−082592(JP,A)
【文献】 特開2008−088643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 − 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車がセットされる入出庫口と、
自転車の受け渡しを行う移載装置を有し、前記入出庫口との間で自転車の受け渡しを行うと共に、自転車を昇降及び/又は水平面内で旋回させる入出庫装置と、
自転車の受け渡しを行う移載装置を有することなく、前記入出庫装置の移載装置によって自転車の受け渡しが行われると共に、自転車を水平方向に移動させる中継装置と、
自転車の受け渡しを行う移載装置を有し、前記中継装置との間で走行台車装置の移載装置によって自転車の受け渡しを行うと共に、自転車を保管棚に収容する前記走行台車装置と、を備える機械式自転車駐輪設備。
【請求項2】
前記中継装置の走行路に沿って複数の走行台車装置が設けられ、
前記中継装置と前記複数の走行台車装置との間で自転車を受け渡すことが可能であることを特徴とする請求項1に記載の機械式自転車駐輪設備。
【請求項3】
前記中継装置は、自転車を水平方向に移動させ、かつ自転車を水平面内で旋回させることを特徴とする請求項1又は2に記載の機械式自転車駐輪設備。
【請求項4】
前記中継装置の走行路に沿って複数の走行台車装置が設けられると共に、前記中継装置の前記走行路を挟んだ左右それぞれに前記複数の走行台車装置が設けられ、
前記中継装置と前記複数の走行台車装置との間で自転車を受け渡すことが可能であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の機械式自転車駐輪設備。
【請求項5】
前記入出庫口並びに前記入出庫装置が複数設けられ、
一方の前記入出庫口から入庫された自転車を、前記中継装置を介して他方の前記入出庫口から出庫することが可能であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の機械式自転車駐輪設備。
【請求項6】
前記中継装置の前記走行路に複数の中継装置が設けられることを特徴とする請求項4又は5に記載の機械式自転車駐輪設備。
【請求項7】
前記中継装置の走行路が複数設けられ、
前記入出庫装置は、自転車を旋回させて、前記複数の走行路それぞれに設けられた中継装置に自転車を受け渡すことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の機械式自転車駐輪設備。
【請求項8】
前記保管棚が車道の下に配置され、前記入出庫口が歩道に配置されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の機械式自転車駐輪設備。
【請求項9】
建築物の内部又は外部に配置され、自転車がセットされる入出庫口と、
自転車の受け渡しを行う移載装置を有し、前記入出庫口との間で自転車の受け渡しを行うと共に、自転車を昇降及び/又は水平面内で旋回させる入出庫装置と、
前記建築物の内部に配置され、自転車を保管する保管棚と、
前記入出庫装置が受け取った自転車を前記保管棚まで移動させる移動経路と、を備え、
前記移動経路は、
自転車を水平方向に移動させる中継装置の走行路と、
前記中継装置との間で自転車の受け渡しを行うと共に、自転車を前記保管棚に収容する走行台車装置の走行路と、を備え
前記中継装置は、自転車の受け渡しを行う移載装置を有することなく、前記入出庫装置と前記中継装置との間で前記入出庫装置の移載装置によって自転車の受け渡しが行われ、
前記走行台車装置は、自転車の受け渡しを行う移載装置を有し、前記中継装置と前記走行台車装置との間で前記走行台車装置の移載装置によって自転車の受け渡しが行われる機械式自転車駐輪設備。
【請求項10】
前記中継装置の走行路と前記走行台車装置の走行路とが直交することを特徴とする請求項9に記載の機械式自転車駐輪設備。
【請求項11】
前記中継装置の走行路の左右の両側に複数の走行台車装置の走行路が配置され、
前記中継装置は、自転車を水平面内で旋回させる機能を持つと共に、前記複数の走行台車装置に自転車を振り分けることを特徴とする請求項9又は10に記載の機械式自転車駐輪設備。
【請求項12】
一台の前記入出庫装置に対して複数の中継装置の走行路が配置され、
前記入出庫装置は、自転車を水平面内で旋回させる機能を持つと共に、前記複数の中継装置に自転車を振り分けることを特徴とする請求項9又は10に記載の機械式自転車駐輪設備。
【請求項13】
前記保管棚は、第一及び第二の保管棚を備え、
前記走行台車装置は、前記第一の保管棚に自転車を収容する第一の走行台車装置と、前記第二の保管棚に自転車を収容する第二の走行台車装置と、を備え、
前記移動経路には、前記第一の走行台車装置と前記第二の走行台車装置との間で自転車の受け渡しができるように、自転車を水平方向に移動及び/又は水平面内で旋回させる走行台車中継装置が配置されることを特徴とする請求項9又は10に記載の機械式自転車駐輪設備。
【請求項14】
前記移動経路の少なくとも一部は、前記建築物を支持する複数の柱の間を通り抜けるように配置され、
前記保管棚は、前記走行台車装置の走行路の長手方向に沿って配置され、
自転車は、その前後輪の方向が前記走行台車装置の走行路の長手方向と略直交するように前記保管棚に収容されることを特徴とする請求項9又は10に記載の機械式自転車駐輪設備。
【請求項15】
入出庫口にセットされた自転車を保管棚に保管する機械式自転車駐輪方法において、
自転車の受け渡しを行う移載装置を有する入出庫装置が前記入出庫口との間で自転車の受け渡しを行う工程と、
前記入出庫装置が自転車を昇降及び/又は水平面内で旋回させる工程と、
前記入出庫装置の移載装置自転車の受け渡しを行う移載装置を有さない中継装置との間で自転車の受け渡しを行う工程と、
前記中継装置が自転車を水平方向に移動させる工程と、
自転車の受け渡しを行う移載装置を有する走行台車装置が前記走行台車装置の移載装置によって前記中継装置との間で自転車の受け渡しを行う工程と、
前記走行台車装置が自転車を保管棚に収容する工程と、を備える機械式自転車駐輪方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入出庫口にセットされた自転車を保管棚に収容する機械式自転車駐輪設備及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機械式自転車駐輪設備では、利用者が地上部の入出庫口に自転車をセットし、カード操作又はボタン操作を行うと、機械が自転車を入出庫口から保管棚まで自動的に搬送し、保管棚に自転車を収容するようになっている。
【0003】
この種の機械式自転車駐輪設備には設置場所に応じて円筒型(地上式又は地下式)、水平型(地上式又は地下式)が存在する。
【0004】
円筒型の機械式自転車駐輪設備では、地上又は地下に円筒形の自転車室を構築し、自転車室の中心部に自転車を昇降させるエレベータを配置し、エレベータの周囲に放射状にかつ上下方向に多段に保管棚を配列している。エレベータは自転車を受け渡すための移載装置を持つ。利用者が地上の入出庫口に自転車をセットすると、エレベータが自転車を自動的に保管棚に収容する。
【0005】
水平型の機械式自転車駐輪設備では、地上又は地下に直方体の自転車室を構築し、自転車室に水平方向に多列にかつ上下方向に多段に保管棚を配列している。自転車室には、保管棚の列と平行に水平方向に移動して自転車を保管棚に収容する走行台車装置が設けられる。水平型の機械式自転車駐輪設備には、円筒型の機械式自転車駐輪設備に比べて保管棚の数、すなわち自転車の台数を多くとれるという利点がある。
【0006】
ところで、出願人は水平型の機械式自転車駐輪設備の一種として、入出庫口、昇降装置、中継装置、及び走行台車装置を備える機械式自転車駐輪設備を提案している(特許文献1参照)。利用者が地上の入出庫口に自転車をセットすると、昇降装置が入出庫口にセットされた自転車を引き込み、地下に下降させ、中継装置に渡す。中継装置は旋回機能を持ち、受け取った自転車を水平面内で旋回させる。走行台車装置は中継装置から自転車を受け取り、水平方向に移動して目的の保管棚に自転車を収容する。この機械式自転車駐輪設備によれば、昇降装置と走行台車装置との間に旋回機能を持つ中継装置を介在させることで、入出庫口及び走行台車装置のレイアウトの自由度が高まるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−184610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の機械式自転車駐輪設備にあっては、入出庫口及び走行台車装置のレイアウトの自由度が高まるといっても、入出庫口と走行台車装置の位置が中継装置の旋回円周上に限定されるという課題がある。このため、例えば歩道に入出庫口を設置し、幅の広い車道の地下に自転車室を設置するなどというようなレイアウトが困難であった。また、入出庫口に対する走行台車装置の設置台数は、現実的には3台までで、入出庫口に対する走行台車装置の数にも限界があるという課題もある。
【0009】
そこで本発明は、入出庫口及び走行台車装置のレイアウトの自由度を増すことができ、また走行台車装置の数も増やすことができる機械式自転車駐輪設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の態様は、自転車がセットされる入出庫口と、自転車の受け渡しを行う移載装置を有し、前記入出庫口との間で自転車の受け渡しを行うと共に、自転車を昇降及び/又は水平面内で旋回させる入出庫装置と、自転車の受け渡しを行う移載装置を有することなく、前記入出庫装置の移載装置によって自転車の受け渡しが行われると共に、自転車を水平方向に移動させる中継装置と、自転車の受け渡しを行う移載装置を有し、前記中継装置との間で走行台車装置の移載装置によって自転車の受け渡しを行うと共に、自転車を保管棚に収容する走行台車装置と、を備える機械式自転車駐輪設備により、上記課題を解決する。
【0011】
本発明の第二の態様は、建築物の内部又は外部に配置され、自転車がセットされる入出庫口と、自転車の受け渡しを行う移載装置を有し、前記入出庫口との間で自転車の受け渡しを行うと共に、自転車を昇降及び/又は水平面内で旋回させる入出庫装置と、前記建築物の内部に配置され、自転車を保管する保管棚と、前記入出庫装置が受け取った自転車を前記保管棚まで移動させる移動経路と、を備え、前記移動経路は、自転車を水平方向に移動させる中継装置の走行路と、前記中継装置との間で自転車の受け渡しを行うと共に、自転車を前記保管棚に収容する走行台車装置の走行路と、を備え、前記中継装置は、自転車の受け渡しを行う移載装置を有することなく、前記入出庫装置と前記中継装置との間で前記入出庫装置の移載装置によって自転車の受け渡しが行われ、前記走行台車装置は、自転車の受け渡しを行う移載装置を有し、前記中継装置と前記走行台車装置との間で前記走行台車装置の移載装置によって自転車の受け渡しが行われる機械式自転車駐輪設備により、上記課題を解決する。
【0012】
本発明の第三の態様は、入出庫口にセットされた自転車を保管棚に保管する機械式自転車駐輪方法において、自転車の受け渡しを行う移載装置を有する入出庫装置が前記入出庫口との間で自転車の受け渡しを行う工程と、前記入出庫装置が自転車を昇降及び/又は水平面内で旋回させる工程と、前記入出庫装置の移載装置自転車の受け渡しを行う移載装置を有さない中継装置との間で自転車の受け渡しを行う工程と、前記中継装置が自転車を水平方向に移動させる工程と、自転車の受け渡しを行う移載装置を有する走行台車装置が前記走行台車装置の移載装置によって前記中継装置との間で自転車の受け渡しを行う工程と、前記走行台車装置が自転車を保管棚に収容する工程と、を備える機械式自転車駐輪方法により、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、中継装置に水平方向の移動機能を付加することにより走行台車装置の設置位置を中継装置の走行路の距離に応じて拡張することができる。また中継装置の走行路の延長上であれば複数の走行台車装置を設置できるようになる。したがって、入出庫口及び走行台車装置のレイアウトの自由度を増すことができ、走行台車装置の台数も増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一の実施形態の機械式自転車駐輪設備の平面図
図2図1のII-II線断面図
図3図1のIII-III線断面図
図4図1のIV-IV線断面図
図5図1の中継装置が移動した状態を示す平面図
図6】本発明の第二の実施形態の機械式自転車駐輪設備の平面図
図7】本発明の第三の実施形態の機械式自転車駐輪設備の平面図
図8】本発明の第四の実施形態の機械式自転車駐輪設備の平面図
図9】本発明の第五の実施形態の機械式自転車駐輪設備の平面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下添付図面に基づいて、本発明の実施形態の機械式自転車駐輪設備(以下単に駐輪設備という)を詳細に説明する。図1は本発明の第一の実施形態の駐輪設備の平面図を示す。本実施形態の駐輪設備は、入出庫口1a,1b、入出庫装置としての昇降装置2a,2b、中継装置3a,3b、走行台車装置4a〜4d、及び保管棚5を備える。以下に駐輪設備の各構成要素を順番に説明する。入出庫口1a,1bは建築物の外部に設置される。昇降装置2a,2b、中継装置3a,3b、走行台車装置4a〜4d、及び保管棚5は、建築物の内部に設置される。
【0016】
入出庫口1a,1bは利用者が自転車をセットするところであり、かつ出庫時に自転車が出されるところである。入出庫口1a,1bは歩道上に設けられる。車道の両側には二本の歩道が併設されていて、各歩道上に入出庫口1a,1bが設けられる。一方の入出庫口1aから入庫された自転車を一方の入出庫口1aから出庫することも可能になっているし、一方の入出庫口1aから入庫された自転車を他方の入出庫口1bから出庫することも可能になっている。一般的な駐輪設備と同様に入出庫口1a,1bには自転車を案内するための溝、自転車を自立させるための自転車保持部が設けられる。自転車保持部は例えば自転車の後輪を左右に挟むローラ又は板ばね等からなる。
【0017】
車道の下には自転車を保管するための自転車室が構築される。自転車室はコンクリート製の躯体からなる建築物になっている。自転車室には自転車が収容される多数の保管棚5が配列される。
【0018】
入出庫装置としての昇降装置2a,2bは、入出庫口1a,1bとの間で自転車の受け渡しを行うと共に、自転車を地下の自転車室まで下降させる。この実施形態では、昇降装置2a,2bの台数は入出庫口1a,1bの数と等しく二台であるが、昇降装置2a,2bに自転車を水平面内で旋回させる旋回機能を持たせれば、昇降装置1台に対して入出庫口1a,1bを二個設けることも可能であり、利用者の利便性が向上する。
【0019】
図2に示すように、昇降装置2a,2bは、入出庫口1a,1bとの間で自転車の受け渡しを行う移載装置7と、移載装置7が載せられる昇降体8を昇降させるエレベータと、を備える。昇降体8は支柱9に沿って昇降可能となっている。エレベータには、例えばカウンターウェイト式のエレベータが用いられる。カウンターウェイト式のエレベータでは、昇降体8とロープで結ばれた反対側におもり10を吊るし、巻上モータ18の回転速度を制御して昇降体8を昇降させる。
【0020】
移載装置7は、自転車の前輪を掴んで入出庫口1a,1b上の自転車を昇降体8上に引き込む。移載装置7は、断面V字形で自転車の長さに応じた長さを持つ細長部材からなる案内部11と、自転車の前輪を左右方向から掴むプレート状の一対のホルダ12と、ホルダ12を開閉するクランプ機構13と、自転車を案内部11に沿ってスライドさせる駆動機構14と、を備える。駆動機構14は、例えば無端状のベルトを備え、モータによってベルトを周回させることによって、自転車を案内部11に沿って移動させるようになっている。
【0021】
入庫時には、昇降体8は地上まで上昇している。利用者が入出庫口1a,1bに自転車をセットし、駐輪開始のボタンを押すと(又はカードを挿入すると)、ブース15の扉16が開き、ブース15の中から移載装置7が出てくる。移載装置7は自転車の前輪を掴んで、自転車を昇降体8上に引き込む。移載装置7が自転車の前輪を掴んだままであるので、自転車が昇降体8上で自立する。その後、昇降装置2a,2bは自転車を地下まで下降させる。
【0022】
なお、この実施形態では、昇降装置2a,2bには自転車を水平面内で旋回させる旋回機能が設けられておらず、昇降装置2a,2bは入出庫口1a,1bにセットされた自転車の姿勢を一定に保ったまま下降させるが、昇降装置2a,2bに自転車を水平面内で旋回させる旋回機能を持たせることも可能である。
【0023】
図1に示すように、昇降装置2a,2bは自転車を地下まで下降させた後、地下の中継装置3a,3bとの間で自転車の受け渡しを行う。この実施形態では中継装置3a,3bの台数は昇降装置2a,2bの台数と等しく二台であるが、中継装置3の台数はこの実施形態に限られることはなく一台とすることもできる。また、レール26a,26bの端部を昇降装置2a,2bの外側まで延ばして中継装置の退避スペースを確保すれば、中継装置3の台数を三台以上とすることも可能であり、この場合は、中継装置が一時保管の機能も合わせ持つので、入出庫動作の自由度が更に向上する。中継装置3a,3bには移載装置は設けられておらず、自転車の受け渡しは昇降装置2a,2bによって行われる。
【0024】
図4に示すように、中継装置3a,3bは、昇降装置2a,2bから渡された自転車を保持する保持部21と、自転車を水平面内で旋回させる旋回装置22と、自転車を水平方向に移動させる台車23と、を備える。
【0025】
保持部21は、断面V字形で自転車の長さに応じた長さを持つ細長部材からなると共に、保持部21の一端部には自転車の後輪を挟む板ばね24を備える。図1に示すように、昇降装置2a,2bが自転車を地下まで下降させると、昇降装置2a,2bの案内部11と中継装置3a,3bの保持部21とが一直線上に並ぶ。昇降装置2a,2bの移載装置7が自転車の前輪を掴んで自転車を中継装置3a,3b上に押し出すと、自転車の後輪が板ばね24に挟まれ、自転車が保持部21に自立する。中継装置3a,3bに自転車を渡した後、移載装置7はホルダ12によるクランプを解除し、昇降体8上に戻る。
【0026】
図4に示すように、中継装置3a,3bの旋回装置22は保持部21を水平面内で旋回させるものである。旋回装置22は、例えば保持部21の下に取り付けられる従動歯車と、従動歯車に噛み合う原動歯車と、原動歯車を回転駆動させるモータと、を備える。モータが原動歯車を回転駆動すると、保持部21が水平面内で旋回する。
【0027】
中継装置3a,3bの保持部21及び旋回装置22は台車23に載せられる。台車23は、一対のレール26a,26b(図1も参照)上を走行する車輪27を有する。車輪27はモータによって回転駆動される。図1に示すように、レール26a,26bの端部は昇降装置2a,2bの近傍まで伸びる。図3に示すように、中継装置3a,3bの台車23はレール26a,26bに沿って自転車を水平方向に移動させる。
【0028】
図1に示すように、走行台車装置4a〜4dは中継装置3a,3bとの間で自転車の受け渡しを行う。走行台車装置4a〜4dは中継装置3a,3bの走行路31に沿って走行路31の両側に複数設けられる。走行台車装置4a〜4dの走行路53は、中継装置3a,3bの走行路31と直交する。この実施形態では、合計四台の走行台車装置4a〜4dが設けられる。中継装置3a,3bには旋回機能が設けられているので、中継装置3a,3bは走行路31の左右の走行台車装置4a〜4dに自転車を振り分けることができる。中継装置3a,3bの旋回円を図中二点鎖線32で示す。
【0029】
なお、図1では、走行路31や走行路53は直線的で、走行路31と走行路53とは直交しているが、機械式自転車駐輪設備として機能する範囲において、走行路31や走行路53は湾曲していても良いし、走行路31と走行路53とは必ずしも直交していなくても良い。以下、他の実施形態でも同様である。
【0030】
図5に示すように、中継装置3bは入出庫口1bに近い側の走行台車装置4b,4dだけでなく、入出庫口1bから遠い側の走行台車装置4a,4cの近くまで移動できるようになっている。同様に中継装置3aも入出庫口1aから遠い側の走行台車装置4b,4d近くまで移動できるようになっている。すなわち、二台の中継装置3a,3bそれぞれは全ての走行台車装置4a〜4dとの間で自転車を受け渡しができるようになっている。
【0031】
図4に示すように、走行台車装置4a〜4dは、中継装置3a,3bとの間で自転車の受け渡しを行う移載装置34と、自転車を水平面内で旋回させる旋回装置35と、自転車を水平方向に移動させる台車36と、を備える。
【0032】
走行台車装置4a〜4dの移載装置34は、中継装置3a,3b上の自転車の前輪を掴んで台車36上に自転車を引き込む。走行台車装置4a〜4dの移載装置34の構造は昇降装置2a,2bの移載装置7と略同一であるので、その説明を省略する。
【0033】
旋回装置35の構造は、中継装置3a,3bの旋回装置22と略同一であるので、その説明を省略する。図1に旋回装置35の旋回円を二点鎖線48で示す。
【0034】
図4に示すように、台車36は、下部レール41a上を走行する台車本体37と、台車本体37から垂直方向に立設するマスト38と、マスト38に沿って昇降する昇降体39と、を備える。昇降体39に移載装置34及び旋回装置35が設けられる。
【0035】
自転車室の天井には、一本の上部レール41bが設けられ、自転車室の床面には平行な一対の下部レール41aが設けられる。これらの上部レール41b及び下部レール41aの間を走行台車装置4a〜4dが走行する。台車本体37は、下部レール41a上を走行する。マスト38の上端部には台車36の走行を案内するためのローラ42が設けられる。
【0036】
移載装置34及び旋回装置35は台車36の昇降体39上に載せられる。昇降体39はマスト38に沿って昇降する。昇降体39はベルト49の下端に吊り下げられる。ベルト49の他端には、カウンターウェイトが吊り下げられる。ベルト49はマスト38の上端部に設けた滑車50によって巻き上げられる。
【0037】
走行台車装置4a〜4dには、台車36を走行させるためのサーボモータ、昇降体39を昇降させるためのサーボモータ、移載装置34を動作させるサーボモータ、旋回装置35を動作させるサーボモータを制御するための制御盤51が設けられる。
【0038】
走行台車装置4a〜4dの移載装置34は中継装置3a,3b上の自転車の前輪を掴み、台車36上に引き込む。自転車を受け取った台車36は中継装置3a,3bの走行方向と直交方向に自転車を移動させる。
【0039】
図1に示すように、自転車室には多数の保管棚5が配列される。保管棚5は各走行台車装置4a〜4dの走行路53の左右の両側に走行路53の長手方向に沿って配置される。自転車は、その前後輪の方向が走行路53の長手方向と直交するように保管棚5に収容される。保管棚5は、上下方向に複数段、水平方向に複数列の自転車収納部52を有する。
【0040】
各自転車収納部52は、自転車の車輪が嵌まるV字形の棚部材52aと、自転車の後輪を挟む板ばねを備える。走行台車装置4a〜4dは自転車収納部52に自転車を後輪側から入れる。自転車収納部52に収納された自転車は板ばねよって保持される。
【0041】
機械式自転車駐輪設備の全体の動作の概略は以下のとおりである。図2に示すように、利用者が入出庫口1a,1bに自転車をセットし、駐輪開始のためのボタンを押すと(又はカードを挿入すると)、ブース15の扉16が開き、扉16の中から昇降装置2a,2bの移載装置7が出てきて自転車の前輪を掴み、自転車を昇降体8上に引き込む。
【0042】
昇降装置2a,2bは自転車を地下まで下降させる。図1に示すように、自転車が中継装置3a,3bの高さまで下降したら、昇降装置2a,2bの移載装置7が自転車を中継装置3a,3bに受け渡す。
【0043】
自転車が渡された中継装置3a,3bは水平方向に移動し、目的の走行台車装置4a〜4dの近くまで移動する。中継装置3a,3bは旋回機能を持っているので、中継装置3a,3bの左右の走行台車装置4a〜4dに自転車を振り分けることができる。また、中継装置3a,3bは中継装置3a,3bの走行路31に沿った複数の走行台車装置4a〜4dに自転車を受け渡すことが可能になっている。なお、中継装置3aを入出庫口1a側の二台の走行台車装置4a,4cの専用とし、中継装置3bを入出庫口1b側の二台の走行台車装置4b,4dの専用とすることも可能である。
【0044】
走行台車装置4a〜4dは、中継装置3a,3bから自転車を受け取り、目的の保管棚5の自転車収納部52まで自転車を移動させ、目的の自転車収納部52に自転車を収容する。中継装置3a,3bの走行路31及び走行台車装置4a〜4dの走行路53は、入出庫装置としての昇降装置2a,2bが受け取った自転車を保管棚5まで移動させる移動経路を構成する。以上により自転車の入庫が終了する。自転車を出庫するときは上記と逆の動作が行われる。
【0045】
なお、上記第一の上記実施形態では、入出庫口1a,1bを二か所設けているが、入出庫口1a又は1bは一か所でもよい。また、第一の実施形態では、入出庫口に合わせて中継装置を二台設けているが、中継装置の数は一台でもよい。さらに、第一の実施形態では、中継装置3の走行路31の左右に走行台車装置4a〜4dを設置しているが、中継装置3の走行路31の片側のみに走行台車装置4a,4b又は4c,4dを設けてもよいし、走行台車装置4a,4b,4c又は4dの数は一台でもよい。中継装置3の走行路31の片側のみに走行台車装置4a,4b又は4c,4dを設けた場合、中継装置の旋回機能を省略することできる。
【0046】
以上に本実施形態の機械式自転車駐輪設備の構造を説明した。本実施形態の機械式自転車駐輪設備によれば、以下の効果を奏する。
【0047】
中継装置3a,3bに水平方向の移動機能を付加することにより、走行台車装置4a〜4dの設置位置を中継装置3a,3bの走行路の距離に応じて拡張することができる。このため、例えば歩道上に入出庫口1a,1bを配置し、大きなスペースをとれる車道の下に走行台車装置4a〜4d、保管棚5を配置することが可能になる。
【0048】
中継装置3a,3bの走行路31に沿って複数の走行台車装置4a〜4dを設けるので、走行台車装置4a〜4dの数も増やすことができる。
【0049】
中継装置3a,3bに自転車を水平面内で旋回させる機能を付加することにより、中継装置3a,3bの左右の走行台車装置4a〜4dに自転車を分配することが可能になる。
【0050】
入出庫口1a,1bを複数設け、一方の入出庫口1aから入庫された自転車を他方の入出庫口1bから出庫することを可能にすることで、利用者の利便性が向上する。
【0051】
走行路31に複数の中継装置3a,3bを設けることで、自転車の入出庫のために必要な時間を短縮することができる。
【0052】
図6は本発明の第二の実施形態の機械式自転車駐輪設備の平面図を示す。第一の実施形態では入出庫口1a,1bが地上に設けられ、保管棚5が地下に設けられていたが、この実施形態では、入出庫口61及び保管棚62のいずれも地上に設けられている。入出庫装置63は旋回装置を有し、入出庫口61から受け取った自転車を水平面内で旋回のみさせる。また、入出庫装置63は移載装置64を有し、自転車を旋回させた後、自転車を中継装置65に受け渡す。入出庫装置63の移載装置64の構成は第一の実施形態の入出庫装置(昇降装置2a,2b)の移載装置7と同一であり、入出庫装置63の旋回装置の構成は第一の実施形態の中継装置3a,3bの旋回装置22と同一である。自転車が渡された中継装置65は自転車を水平方向に移動させる。走行台車装置66の走行路は、中継装置65の走行路の左右の両側に配置される。中継装置65は、自転車を水平面内で旋回させる旋回機能を持ち、左右の両側に配置される中継装置65に自転車を振り分ける。走行台車装置66は中継装置65から自転車を受け取った後、保管棚62の目的の自転車収納部67に自転車を収容する。中継装置65、走行台車装置66及び保管棚62の構成は上記第一の実施形態と同一である。第二の実施形態の駐輪設備のように、入出庫口61及び保管棚62を同一フロアに配置することも可能である。
【0053】
図7は本発明の第三の実施形態の機械式自転車駐輪設備の平面図を示す。上記第一及び第二の実施形態では、一台の入出庫装置2a,2b,又は63に対して一つの走行路31が設けられていたが、この実施形態では、一台の入出庫装置72に対して二つの走行路Aライン74a,Bライン74bが設けられている。そして、二つの走行路Aライン74a,Bライン74bそれぞれに中継装置73a又は73bが設けられる。この実施形態の入出庫装置72は、自転車を昇降させると共に旋回させる機能を持つ。入出庫装置72の旋回装置の構成は第一の実施形態の中継装置3a,3bの旋回装置22と同一である。
【0054】
自転車室77には二つの走行路(Aライン74a及びBライン74b)が入出庫装置72を挟むように設けられる。入出庫装置72は入出庫口71から受け取った自転車を下降させると共に水平面内で旋回させ、Aライン74aの中継装置73aに渡す。入出庫装置72が反対方向に旋回すればBライン74bの中継装置73bに自転車を渡すことができる。この実施形態では、入出庫装置72に旋回機能を持たせることで二つの走行路74a,74bそれぞれの中継装置73a又は73bに自転車を振り分けている。入出庫装置72から自転車を受け取った中継装置73a,73bは、水平方向に自転車を移動させる。走行台車装置76a〜76fは水平方向に移動させた自転車を中継装置73a,73bから受け取り、保管棚78の目的の自転車収納部79に自転車を収容する。中継装置73a,73b、走行台車装置76a〜76f及び保管棚78の構成は、上記第一の実施形態と同一である。
【0055】
第三の実施形態の駐輪設備によれば、中継装置73a,73bを複数設け、旋回機能を持つ入出庫装置72が複数の中継装置73a,73bに自転車を受け渡すようにすることで、一台の入出庫装置72に対する中継装置73a,73bの台数を増やすことができる。
【0056】
なお、図7の第三の実施形態では、入出庫装置72が同一フロアの二台の中継装置73a,73bに自転車を受け渡しているが、設計的には三台以上の中継装置に自転車を受け渡すことも可能である。また、図7の第三の実施形態では、入出庫装置72に昇降機能を持たせ、入出庫口71と保管棚78の階を異ならせているが、入出庫装置に昇降機能を持たせることなく、入出庫口71と保管棚78を同一フロアに配置することも可能である。さらに、図7の第三の実施形態では、二つの走行路Aライン74a,Bライン74bを同一フロアに配置しているが、例えば、二つの走行路Aライン74a,Bライン74bの階を異ならせる、すなわち走行路Aライン74aを地下1階に設け、走行路Bライン74bを地下2階に設けることも可能である。
【0057】
図8は本発明の第四の実施形態の機械式自転車駐輪設備の平面図を示す。上記第一の実施形態では、中継装置3a,3bの走行路31に四台の走行台車装置4a〜4dの走行路53が接続されていたが、この実施形態では、中継装置83の走行路に第一の走行台車装置84の走行路が接続され、第一の走行台車装置84の走行路に走行台車中継装置85の走行路を介して第二の走行台車装置86の走行路が接続されている。走行台車中継装置85の走行路は、建築物を支持する複数の柱90の間を通り抜けるように配置される。
【0058】
この実施形態の入出庫装置82は、入出庫口81から自転車を受け取り、自転車を昇降させると共に水平面内で旋回させ、中継装置83に自転車を渡す。中継装置83は、自転車を水平方向に移動させると共に、自転車を第一の走行台車装置84に向ける。第一の走行台車装置84は、中継装置83から受け取った自転車を水平方向に移動させて第一の保管棚87に自転車を収容する。
【0059】
また、第一の走行台車装置84は、中継装置83から受け取った自転車を水平方向に移動させて、走行台車中継装置85に渡す。走行台車中継装置85は、第二の走行台車装置86に向かって水平方向に自転車を移動させる。第二の走行台車装置86は、走行台車中継装置85から自転車を受け取り、自転車を水平方向に移動させて第二の保管棚88に自転車を収容する。中継装置83、第一及び第二の走行台車装置84,86及び第一及び第二の保管棚87,88の構成は、上記第一の実施形態と同一である。走行台車中継装置85の構成は第一の実施形態の中継装置3a,3bと同一である。
【0060】
第四の実施形態の駐輪設備によれば、第一の走行台車装置84から走行台車中継装置85を介して隣り合う第二の走行台車装置86へ自転車を分岐して受け渡すことができる。また、第一の走行台車装置84の走行路の途中に走行台車中継装置85を介して第二の走行台車装置86の走行路を接続することも可能になる。したがって、自転車室89のレイアウトの自由度が増し、自転車室89に効率的に自転車を収容することができる。
【0061】
図9は本発明の第五の実施形態の機械式自転車駐輪設備の平面図を示す。上記第四の実施形態では、第一の走行台車装置84と第二の走行台車装置86とを旋回機能及び水平方向の移動機能を持つ走行台車中継装置85で繋げているが、第五の実施形態では、旋回機能のみを持つ走行台車中継装置85−1で繋げている点が第四の実施形態の駐輪設備と異なる。また、第一の走行台車装置84の走行路と第二の走行台車装置86の走行路とが直交する点が第四の実施形態の駐輪設備と異なる。その他の構成は第四の実施形態の構成と同一であるので、同一の符号を附してその説明を省略する。
【0062】
第五の実施形態の駐輪設備によれば、第一の走行台車装置84から走行台車中継装置85−1を介して走行方向の異なる第二の走行台車装置86へ自転車を分岐して受け渡すことができる。
【符号の説明】
【0063】
1a,1b…入出庫口
2a,2b…昇降装置(入出庫装置)
3a,3b…中継装置
4a〜4d…走行台車装置
5…保管棚
31…中継装置の走行路(移動経路)
53…走行台車装置の走行路(移動経路)
61…入出庫口
62…保管棚
63…入出庫装置
65…中継装置
66…走行台車装置
71…入出庫口
72…入出庫装置
73a,73b…中継装置
76a〜76f…走行台車装置
78…保管棚
81…入出庫口
82…入出庫装置
83…中継装置
84…第一の走行台車装置(走行台車装置)
85…走行台車中継装置
86…第二の走行台車装置(走行台車装置)
87…第一の保管棚(保管棚)
88…第二の保管棚(保管棚)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9