特許第5672426号(P5672426)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5672426
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】キシレン異性化用触媒及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/44 20060101AFI20150129BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20150129BHJP
   C07C 5/27 20060101ALN20150129BHJP
   C07C 15/04 20060101ALN20150129BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20150129BHJP
   C07C 15/08 20060101ALN20150129BHJP
   C07C 4/18 20060101ALN20150129BHJP
【FI】
   B01J29/44 Z
   B01J37/04 102
   !C07C5/27
   !C07C15/04
   !C07B61/00 300
   !C07C15/08
   !C07C4/18
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2009-537085(P2009-537085)
(86)(22)【出願日】2007年11月16日
(65)【公表番号】特表2010-510047(P2010-510047A)
(43)【公表日】2010年4月2日
(86)【国際出願番号】KR2007005771
(87)【国際公開番号】WO2008060117
(87)【国際公開日】20080522
【審査請求日】2010年9月17日
(31)【優先権主張番号】10-2006-0113703
(32)【優先日】2006年11月17日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2007-0113234
(32)【優先日】2007年11月7日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507268341
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104385
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100156889
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100146237
【弁理士】
【氏名又は名称】森 則雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153475
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 清治
(73)【特許権者】
【識別番号】511061589
【氏名又は名称】エスケー グローバル ケミカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK GLOBAL CHEMICAL CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104385
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100163360
【弁理士】
【氏名又は名称】伴 知篤
(72)【発明者】
【氏名】オ シュン フン
(72)【発明者】
【氏名】リ サン イル
(72)【発明者】
【氏名】ション キュン ハック
(72)【発明者】
【氏名】リ ジョン ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】オ キュン ジョン
【審査官】 大城 公孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−224793(JP,A)
【文献】 特開平06−116174(JP,A)
【文献】 特公平02−044582(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼオライトに対して0.001ないし3.0質量%の金属成分量を有する金属塩(II)を、アルミナに対するシリカのモル比が20ないし100であるゼオライトと混合してイオン交換すること、
前記イオン交換されたゼオライトを、ゼオライトに対して0.05ないし5.0質量%の金属成分量を有する金属塩(I)で含浸すること、
前記金属塩(I)で担持されたゼオライトを、無機バインダーと混合して混合粉末に対するゼオライトの質量比が10ないし90質量%であるような混合粉末を形成すること、並びに
前記混合粉末を触媒全量に基づいて0.001ないし3.0質量%である第VIII族金属、及び触媒全量に基づいて0.01ないし5.0質量%である錫、ビスマス又は鉛で担持することを含み、
前記金属塩(II)が硝酸ベリリウム、ハロゲン化ベリリウム、酢酸ベリリウム、クエン酸ベリリウム、グルコン酸ベリリウム、炭酸ベリリウム、ギ酸ベリリウム、硫酸ベリリウム、水酸化ベリリウム、硝酸マグネシウム、ハロゲン化マグネシウム、酢酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ギ酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、硝酸カルシウム、ハロゲン化カルシウム、酢酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、硝酸バリウム、ハロゲン化バリウム、酢酸バリウム、クエン酸バリウム、グルコン酸バリウム、炭酸バリウム、ギ酸バリウム、硫酸バリウム、及び水酸化バリウムからなる群から選択され、
前記金属塩(I)が硝酸ベリリウム、ハロゲン化ベリリウム、酢酸ベリリウム、ナフテン酸ベリリウム、グルコン酸ベリリウム、クエン酸ベリリウム、アセチルアセトン酸ベリリウム、炭酸ベリリウム、ギ酸ベリリウム、硫酸ベリリウム、水酸化ベリリウム、硝酸マグネシウム、ハロゲン化マグネシウム、酢酸マグネシウム、ナフテン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、アセチルアセトン酸マグネシウム、炭酸
マグネシウム、ギ酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、硝酸カルシウム、ハロゲン化カルシウム、酢酸カルシウム、ナフテン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、アセチルアセトン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、硝酸バリウム、ハロゲン化バリウム、酢酸バリウム、ナフテン酸バリウム、グルコン酸バリウム、クエン酸バリウム、アセチルアセトン酸バリウム、炭酸バリウム、ギ酸バリウム、硫酸バリウム、及び水酸化バリウムからなる群から選択される、キシレン異性化用触媒の製造方法。
【請求項2】
ゼオライトに対して0.001ないし3.0質量%の金属成分量を有する金属塩(II)を、アルミナに対するシリカのモル比が20ないし100であるゼオライトと混合してイオン交換すること、
前記イオン交換されたゼオライトを、ゼオライトに対して0.05ないし5.0質量%の金属成分量を有する金属塩(I)及び無機バインダーと直接混合して、混合粉末に対するゼオライトの質量比が10ないし90質量%であるような混合粉末を形成すること、並びに
前記混合粉末を触媒全量に基づいて0.001ないし3.0質量%である第VIII族金属、及び触媒全量に基づいて0.01ないし5.0質量%である錫、ビスマス又は鉛で担持することを含み、
前記金属塩(II)が硝酸ベリリウム、ハロゲン化ベリリウム、酢酸ベリリウム、クエン酸ベリリウム、グルコン酸ベリリウム、炭酸ベリリウム、ギ酸ベリリウム、硫酸ベリリウム、水酸化ベリリウム、硝酸マグネシウム、ハロゲン化マグネシウム、酢酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ギ酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、硝酸カルシウム、ハロゲン化カルシウム、酢酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、硝酸バリウム、ハロゲン化バリウム、酢酸バリウム、クエン酸バリウム、グルコン酸バリウム、炭酸バリウム、ギ酸バリウム、硫酸バリウム、及び水酸化バリウムからなる群から選択され、
前記金属塩(I)が硝酸ベリリウム、ハロゲン化ベリリウム、酢酸ベリリウム、ナフテン酸ベリリウム、グルコン酸ベリリウム、クエン酸ベリリウム、アセチルアセトン酸ベリリウム、炭酸ベリリウム、ギ酸ベリリウム、硫酸ベリリウム、水酸化ベリリウム、硝酸マグネシウム、ハロゲン化マグネシウム、酢酸マグネシウム、ナフテン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、アセチルアセトン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ギ酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、硝酸カルシウム、ハロゲン化カルシウム、酢酸カルシウム、ナフテン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、アセチルアセトン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、硝酸バリウム、ハロゲン化バリウム、酢酸バリウム、ナフテン酸バリウム、グルコン酸バリウム、クエン酸バリウム、アセチルアセトン酸バリウム、炭酸バリウム、ギ酸バリウム、硫酸バリウム、及び水酸化バリウムからなる群から選択される、キシレン異性化用触媒の製造方法。
【請求項3】
前記ゼオライトがZSM−5、ZSM−8、ZSM−11、ZSM−12、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−48、SSZ−46、TS−1、TS−2、モルデナイト、又はベータである、請求項1又は2に記載のキシレン異性化用触媒の製造方法。
【請求項4】
前記ゼオライトがZSM−5である、請求項に記載のキシレン異性化用触媒の製造方法。
【請求項5】
前記第VIII族金属が白金である、請求項1又は2に記載のキシレン異性化用触媒の製造方法。
【請求項6】
前記金属塩(I)がアセチルアセトン酸ベリリウム、アセチルアセトン酸マグネシウム、アセチルアセトン酸カルシウム、アセチルアセトン酸バリウム、炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、及び炭酸バリウムからなる群から選択される、請求項1又は2に記載のキシレン異性化用触媒の製造方法。
【請求項7】
前記金属塩(I)がゼオライトに対して0.1ないし3.0質量%の金属成分量を有する、請求項1又は2に記載のキシレン異性化用触媒の製造方法。
【請求項8】
前記イオン交換反応が30ないし250℃の温度で実施される、請求項1又は2に記載のキシレン異性化用触媒の製造方法。
【請求項9】
前記無機バインダーがシリカ、シリカ−アルミナ、アルミナ、リン酸アルミニウム、ベントナイト、カオリン、クリノプチロライト、又はモンモリロナイトから選択される、請求項1又は2に記載のキシレン異性化用触媒の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キシレン異性化用触媒及び前記触媒の製造方法に関するものであって、さらに詳しくは、ゼオライトを金属塩で含浸すること又はゼオライトを金属塩に直接混合することによって製造されたキシレン異性化用触媒、及び前記触媒の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素原子数8の芳香族化合物は石油化学工業におけるとても重要な原材料である。炭素原子数8の芳香族化合物の例としてはメタ−キシレン、パラキシレン、オルト−キシレン等のキシレン、及びエチルベンゼンを含む。特に、パラキシレンはポリエステル繊維の主原材料として使用され、そして商業的にナフサを改質及び熱分解することによって製造される炭素原子数8の芳香族化合物から分離される。
【0003】
炭素原子数8の芳香族化合物からパラキシレンを分離する従来の方法には、炭素原子数8の芳香族化合物の結晶化、吸着及び分離のための単位工程を経て炭素原子数8の芳香族化合物からパラキシレンを分離する段階と、そして炭素原子数8の芳香族化合物の残余であるラフィネートを、パラキシレン形成用の異性化設備に導入することによってパラキシレン含有炭素原子数8の芳香族化合物へ転化する段階と、さらに加えて分離設備に前記パラキシレン含有炭素原子数8の芳香族化合物を還流することによって前記パラキシレン含有炭素原子数8の芳香族化合物からパラキシレンを分離し収集する段階とを含む。
【0004】
従来、ナフサの改質又は分解によって製造された炭素原子数8の芳香族化合物には、1つのエチル基を伴ったベンゼン環を有するエチルベンゼンと、2つのメチル基を伴ったベンゼン環を有するキシレンとを含む。炭素原子数8の芳香族化合物が異性化される場合、キシレンの1つのメチル基が他のキシレンに結合し、従って1つのトルエン及び1つのトリメチルベンゼンが製造される不均化反応が起こる。それ故、不均化反応は異性化過程中にキシレンの損失を招く。1%のキシレンの損失は、その規模によるが、石油化学会社に数十億ないし数百億ウォン/年の累積経済効果をもたらす。
【0005】
パラキシレン又はオルト−キシレンの製造過程においては、一般に異性化触媒はキシレン異性体間の異性化反応を促進するのに役立ち、及び脱アルキル化反応を経てエチルベンゼンをベンゼンに転化するのに役立ち、又は異性化反応を経てエチルベンゼンをキシレン異性体に転化する働きをする。周期律表で第VIII族金属成分で担持されたゼオライト触媒は現在のところ工業用の異性化触媒として使用されている。
【0006】
種々の金属成分で担持された及び、キシレン異性化用及びエチルベンゼン転化用の触媒として使用されている、慣用のゼオライト触媒の例は下記のとおりである。
【0007】
米国特許第4,939,110号明細書は炭素原子数8の芳香族化合物の異性化用触媒の製造方法を開示しており、該方法は、無機酸化バインダー例えばガンマ−アルミナを、ペンタシルゼオライト例えばZSM−5と混合し、その結果ゼオライトの量が1ないし20質量%となる担体を形成し、及び第VIII族金属の0.01乃至2質量%、例えば白金と該VIII族金属の2ないし10倍の鉛量で該担体を担持する工程からなる。前記方法においては、前記第VIII族金属の80ないし100%及び前記鉛の60ないし100%は、ゼオライトよりはむしろ無機酸化バインダー上に担持される。前記触媒上で、約10質量%のエチルベンゼンを含む炭素原子数8の芳香族化合物の異性化の結果として、エチルベンゼン転化が65質量%の場合、キシレン損失が0.8乃至1.5質量%であることが見出された。しかしながら、前記方法はキシレン損失がエチルベンゼン転化と比較
して大きく、及び鉛含有量がとても高いという問題がある。
【0008】
更にその上、米国特許第4,482,773号明細書(実施例1ないし3)はキシレン異性化用及びエチルベンゼン転化用の触媒の方法を開示し、該触媒はバインダーを含有せず、ZSM−5に白金及びマグネシウムを含浸することにより製造される。前記方法においては、該ZSM−5に2.4質量%の硝酸マグネシウム溶液を含浸させ、その後ZSM−5に0.1質量%の白金を含浸させることによって製造された触媒の場合、エチルベンゼン転化が70質量%の時、キシレン損失は約2.7質量%である。
【0009】
前記転化方法は一定のエチルベンゼン転化率を得るために、一定水準のキシレンの損失が起こらざるを得ないという点に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,939,110号明細書
【特許文献2】米国特許第4,482,773号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
先行技術に起こる上記問題を解決するために、本発明者たちは継続的に研究を行った。結果として、本発明は、ゼオライトを金属塩成分で含浸する又は金属塩成分と混合しながら、ゼオライトの酸性部位を調節することによって副反応を阻害し、キシレン損失を減少する方法を見出した。この発見に基づいて、本発明は完成した。
【0012】
したがって、本発明は、炭素原子数8の芳香族化合物の異性化反応中に、エチルベンゼン転化を最大限にし、キシレン損失を最小限にし得る、キシレン異性化用触媒を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
ある観点においては、本発明はキシレン異性化用触媒の提供であって、アルミナに対するシリカのモル比が20ないし100であり、ゼオライトに対して0.05ないし5.0質量%の金属成分量を有する金属塩(I)に含浸された又は混合されたゼオライトと、無機バインダーとを含む担体であって、前記ゼオライト量が前記担体全量に基づいて10ないし90質量%であり、前記担体が、第VIII族金属の量が触媒全量に基づいて、0.001ないし3.0質量%であるように第VIII族金属で担持されるか、又は、錫、ビスマス又は鉛の量が触媒全量に基づいて0.01ないし5.0質量%であるように錫、ビスマス又は鉛でさらに担持された第VIII族金属で担持される担体を含むキシレン異性化用触媒の提供。
【発明の効果】
【0014】
本発明に従う方法を使用して製造された前記キシレン異性化用触媒は、慣用の方法を使用して製造された触媒と比較してエチルベンゼン転化が高く、キシレン損失が低いという点で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は本発明による参考例1ないし6で製造された触媒を使用した異性化反応において、キシレン損失及びエチルベンゼン転化間の関係を示したグラフである。
図2図2は本発明による参考例7ないし11で製造された触媒を使用した異性化反応において、キシレン損失及びエチルベンゼン転化間の関係を示したグラフである。
図3図3は本発明による実施例12及び13で製造された触媒を使用した異性化反応において、キシレン損失及びエチルベンゼン転化間の関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0017】
上述のように、本発明はキシレン異性化用触媒及び該触媒の製造方法の提供である。本発明は、従来技術とは異なり、ゼオライトの酸性部位を調節できるように、ゼオライトがアセチルアセトン酸カルシウムのような金属塩(I)で含浸され、又は金属塩(I)と直接混合させることによって、キシレンの不均化に起因するキシレン損失を最小限にすることを特徴とする。
【0018】
更にその上、本発明はゼオライトが硝酸マグネシウムのような金属塩(II)とイオン交換され、そして金属塩(I)で含浸され又は金属塩(I)と直接混合させることによって、ゼオライトの構造特性を改良することを特徴とする。
【0019】
本発明の実施態様によるキシレン異性化用触媒の製造方法は:
アルミナに対するシリカのモル比が20ないし100であるゼオライトを、ゼオライトに対して0.05ないし5.0質量%の金属成分量を有する金属塩(I)で担持すること、前記金属塩(I)で担持されたゼオライトを、無機バインダーと混合して混合粉末に対するゼオライトの質量比が10ないし90質量%であるような混合粉末を形成すること、及び前記混合粉末を第VIII族金属の量が触媒全量に基づいて0.001ないし3.0質量%であるように第VIII族金属で担持するか、又は前記混合粉末を、錫、ビスマス又は鉛の量が触媒全量に基づいて0.01ないし5.0質量%であるように錫、ビスマス又は鉛でさらに担持された第VIII族金属で担持すること、を含むキシレン異性化用触媒の製造方法。
【0020】
更に、本発明の別の実施態様によるキシレン異性化用触媒の製造方法は:
アルミナに対するシリカのモル比が20ないし100であるゼオライトを無機バインダーとゼオライトに対して0.05ないし5.0質量%の金属成分量を有する金属塩(I)と直接混合して、混合粉末に対するゼオライトの質量比が10ないし90質量%であるような混合粉末を形成すること、及び前記混合粉末を第VIII族金属の量が触媒全量に基づいて0.001ないし3.0質量%であるように第VIII族金属で担持するか、又は、前記混合粉末を、錫、ビスマス又は鉛の量が触媒全量に基づいて0.01ないし5.0質量%であるように錫、ビスマス又は鉛でさらに担持された第VIII族金属で担持すること、を含むキシレン異性化用触媒の製造方法。
【0021】
本発明によるキシレン異性化用触媒の製造方法は、前記ゼオライトがZSM−5,ZSM−8,ZSM−11,ZSM−12,ZSM−23,ZSM−35,ZSM−48,SSZ−46,TS−1,TS−2,モルデナイト、又はベータであり得、そして特に好ましくはZSM−5である。
【0022】
金属塩(I)は硝酸ベリリウム、ハロゲン化ベリリウム、酢酸ベリリウム、ナフテン酸ベリリウム、グルコン酸ベリリウム、クエン酸ベリリウム、アセチルアセトン酸ベリリウム、炭酸ベリリウム、ギ酸ベリリウム、硫酸ベリリウム、水酸化ベリリウム、硝酸マグネシウム、ハロゲン化マグネシウム、酢酸マグネシウム、ナフテン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、アセチルアセトン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ギ酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、硝酸カルシウム、ハロゲン化カルシウム、酢酸カルシウム、ナフテン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、アセチルアセトン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、硝酸バリウム、ハロゲン化バリウム、酢酸バリウム、ナフテン酸バリウム、グルコン酸バリウム、クエン酸バリウム、アセチルアセト
ン酸バリウム、炭酸バリウム、ギ酸バリウム、硫酸バリウム、及び水酸化バリウムからなる群から選択され得る。好ましくは、前駆体としてアセチルアセトン酸塩、炭酸塩を用いてゼオライトが含浸又は直接混合されたものである。最も好ましくは、前駆体としてアセチルアセトン酸カルシウム又は炭酸カルシウムを用いてゼオライトが含浸又は直接混合されたものである。
【0023】
前記金属塩(I)は蒸留水、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルスルフォキシド(DMSO)等、又はそれらの混合溶媒に溶解され、そしてアンモニウム系又は水素系のゼオライトに担持される、又は溶媒を使用せずにゼオライトと直接混合される。前記金属塩(I)はゼオライトに対して0.05ないし5.0質量%の金属成分量を有してもよく、そして好ましくは0.1ないし3.0質量%である。ゼオライトに対して金属成分量が0.05質量%より低い場合、キシレン損失が増加する問題がある。一方、ゼオライトに対して金属成分量が5.0質量%よりも多い場合、触媒活性が急速に減少する問題がある。
【0024】
本発明では、アンモニウム系又は水素系のゼオライトが使用される。
【0025】
ゼオライトは少なくとも1種の無機バインダーと混合されなくてはならない。前記無機バインダーはシリカ、シリカ−アルミナ、アルミナ、リン酸アルミニウム、ベントナイト、カオリン、クリノプチロライト、モンモリロナイトからなる群から選択される。好ましくは、無機バインダーはシリカ、シリカ−アルミナ、及びアルミナ非結晶質無機酸化物であり、そして最も好ましくは最適な触媒性能を示すためには、ガンマ−アルミナ又はシリカである。
【0026】
無機バインダーが金属塩(I)を含浸させたゼオライトと結合させる場合、ゼオライトの量が混合粉末全量に基づいて10ないし90質量%であることが好ましい。
【0027】
第VIII族金属前駆体は塩化物、窒化物、又はアンモニウムの形態で使用され得る。第VIII族金属の量は触媒全量に基づいて0.001ないし3.0質量%であることが好ましい。第VIII族金属の量が0.001質量%以下の場合、エチルベンゼンの脱アルキル反応が弱まり、それ故にエチルベンゼンの転化率が減少する問題がある。一方、第VIII族金属の量が3.0質量%よりも多い場合、第VIII族金属の前記作用が過剰に強化され、それ故に、多量の低分子量炭化水素(炭素原子数1ないし4)及びナフテン系化合物が製造される問題がある。
【0028】
更にその上、錫、ビスマス又は鉛の前駆体として、それらの塩化物及び窒化物が使用され得る。錫、ビスマス又は鉛の量は触媒全量に基づいて0.01ないし5.0質量%であることが好ましい。錫、ビスマス又は鉛の量が0.01質量%以下の場合、白金の水素化作用の調節が難しく、そしてそれ故にキシレンは副反応により損失する問題がある。一方、錫、ビスマス又は鉛の量が5.0質量%よりも多い場合、白金の水素化作用が過剰に抑制され、それ故に触媒活性が過剰に低下する問題がある。
【0029】
一方、ゼオライトを金属塩(I)で担持する前に、イオン交換反応行うために、硝酸マグネシウムのような金属塩(II)を、アルミナに対するシリカのモル比が20ないし100であるゼオライトと混合するための過程が実行され得る。イオン交換反応は30ないし250℃で実行され、好ましくは50ないし200℃である。イオン交換反応温度が上昇するにつれて、ゼオライトとイオン交換された金属塩(II)の濃度は増加する。イオン交換反応温度が30℃より低い場合、イオン交換反応が起こらない問題がある。一方、イオン交換反応温度が250℃より高い場合、金属塩(II)の濃度が急速に増加し、そしてそれ故触媒活性が急速に減少する問題がある。
【0030】
前記金属塩(II)は硝酸ベリリウム、ハロゲン化ベリリウム、酢酸ベリリウム、クエン酸ベリリウム、グルコン酸ベリリウム、炭酸ベリリウム、ギ酸ベリリウム、硫酸ベリリウム、水酸化ベリリウム、硝酸マグネシウム、ハロゲン化マグネシウム、酢酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ギ酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、硝酸カルシウム、ハロゲン化カルシウム、酢酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、硝酸バリウム、ハロゲン化バリウム、酢酸バリウム、クエン酸バリウム、グルコン酸バリウム、炭酸バリウム、ギ酸バリウム、硫酸バリウム、及び水酸化バリウム、及びその混合物からなる群から選択される。この際、マグネシウム、ベリリウム、カルシウム及びバリウムの全量はゼオライトの量に基づいて0.001ないし3.0質量%であり、及び好ましくは0.01ないし2.0質量%である。マグネシウム、ベリリウム、カルシウム及びバリウムの全量が0.001質量%より低い場合、キシレン損失が増加する問題がある。一方、その全量が3.0質量%よりも多い場合、触媒活性が急速に低下する問題がある。
【実施例】
【0031】
本発明のよりよい理解は以下の図解で説明される実施例を通して得られうるが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0032】
(比較例1)
アルミナに対するシリカのモル比が50であるアンモニア系のZSM−5は、無機バインダーとしてアルミナを使用して、混合粉末に対してZSM−5の量が50質量%になるような混合粉末を形成した。続いて、この混合粉末は触媒を製造するために、0.3質量%の白金と1.5質量%の錫との混合酸溶液で担持させた。ここで、塩化白金酸が白金前駆体として使用され、及び錫塩化物が錫前駆体として使用された。前記製造された触媒は500℃の温度でか焼した。
【0033】
キシレン異性化反応において、パラキシレンを除去してから、オルト−キシレン及びメタ−キシレンの混合物80ないし97質量%と、エチルベンゼン3ないし20質量%とを含む炭素原子数8の芳香族化合物が反応剤として使用され、該炭素原子数8の芳香族化合物は、内径1インチ及び全長30cmを有する小型ステンレススチール反応容器に導入された。キシレン異性化反応は1.0ないし5.0gの触媒存在下、300ないし460℃の反応温度、5ないし30kg/cm2の反応圧力、2.0ないし10.0の水素の炭化
水素に対するモル比、及び5.0ないし30.0h-1の液体反応剤の重量空間速度(WHSV)、の条件下で実施した。
【0034】
キシレン異性化反応結果は図1、2及び3に示す。
【0035】
参考例1)
硝酸カルシウムは、カルシウム量がZSM−5量に基づいて1.0質量%になるように蒸留水に溶解させ、溶解した硝酸カルシウムはアルミナに対するシリカのモル比が50であるアンモニウム系のZSM−5中に担持され、その後硝酸カルシウムで担持したZSM−5を500℃の温度でか焼した。続いて、か焼されたZSM−5は混合粉末に形成され、バインダーとしてアルミナを使用し、該混合粉末中における該ZSM−5の質量比が70質量%であるように形成された。続いて、この混合粉末は、触媒を製造するために0.3質量%の白金及び1.5質量%の錫の混合酸溶液で担持された。ここで、塩化白金酸が白金前駆体として使用され、及び塩化錫が錫前駆体として使用された。製造された触媒は500℃の温度でか焼した。
【0036】
キシレン異性化反応は比較例1にあるように実施し、そしてその結果は図1に示した。図1から、前記参考例で得られた触媒は比較例1で得られた慣用の触媒よりも、よりよい触媒作用を有した。
【0037】
参考例2)
ナフテン酸カルシウムは、カルシウム量がZSM−5量に基づいて0.5質量%になるようにジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させ、溶解したナフテン酸カルシウムはアルミナに対するシリカのモル比が50であるアンモニウム系のZSM−5中に担持され、その後ナフテン酸カルシウムで担持されたZSM−5を550℃の温度でか焼した。続いて、か焼されたZSM−5は混合粉末に形成され、バインダーとしてアルミナを使用し、該混合粉末中における該ZSM−5の質量比が70質量%であるように形成された。続いて、この混合粉末は、触媒を製造するために0.3質量%の白金及び1.5質量%の錫の混合酸溶液で担持された。ここで、塩化白金酸が白金前駆体として使用され、及び塩化錫が錫前駆体として使用された。製造された触媒は500℃の温度でか焼した。
【0038】
キシレン異性化反応は比較例1にあるように実施し、そしてその結果は図1に示した。
【0039】
参考例3)
グルコン酸カルシウムは、カルシウム量がZSM−5量に基づいて1.0質量%になるように蒸留水に溶解させ、溶解したグルコン酸カルシウムアルミナに対するシリカのモル比が50であるアンモニウム系のZSM−5中に担持され、その後グルコン酸カルシウムで担持されたZSM−5を500℃の温度でか焼した。続いて、か焼されたZSM−5は混合粉末に形成され、バインダーとしてアルミナを使用し、該混合粉末中における該ZS
M−5の質量比が70質量%であるように形成された。続いて、この混合粉末は、触媒を製造するために0.3質量%の白金及び1.4質量%の錫の混合酸溶液で担持された。ここで、塩化白金酸が白金前駆体として使用され、及び塩化錫が錫前駆体として使用された。製造された触媒は550℃の温度でか焼した。
【0040】
キシレン異性化反応は比較例1にあるように実施し、そしてその結果は図1に示した。
【0041】
参考例4)
クエン酸カルシウムは、カルシウム量がZSM−5量に基づいて0.5質量%になるように、アルミナに対するシリカのモル比が50であるアンモニウム系のZSM−5と混合した。続いて、その混合物を、混合粉末中のZSM−5の質量比が70質量%であるような混合粉末を形成するためにアルミナと混合した。続いて、この混合粉末は、触媒を製造するために0.2質量%の白金及び1.0質量%の錫の混合酸溶液で担持された。ここで、塩化白金酸が白金前駆体として使用され、及び塩化錫が錫前駆体として使用された。製造された触媒は450℃の温度でか焼した。
【0042】
キシレン異性化反応は比較例1にあるように実施し、そしてその結果は図1に示した。
【0043】
参考例5)
炭酸カルシウムは、カルシウム量がZSM−5量に基づいて0.5質量%になるように、アルミナに対するシリカのモル比が50であるアンモニウム系のZSM−5と混合した。続いて、その混合物を、混合粉末中のZSM−5の質量比が70質量%となるような混合粉末を形成するためにアルミナと混合した。続いて、この混合粉末は、触媒を製造するために0.1質量%の白金及び1.0質量%の錫の混合酸溶液でを担持された。ここで、塩化白金酸が白金前駆体として使用され、及び塩化錫が錫前駆体として使用された。製造された触媒は450℃の温度でか焼した。
【0044】
キシレン異性化反応は比較例1にあるように実施し、そしてその結果は図1に示した。
【0045】
参考例6)
アセチルアセトン酸カルシウムは、カルシウム量がZSM−5量に基づいて1.0質量%になるようにジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させ、溶解したアセチルアセトン酸カルシウムはアルミナに対するシリカのモル比が50であるアンモニウム系のZSM−5中に担持させ、その後アセチルアセトン酸カルシウムで担持されたZSM−5を500℃の温度でか焼した。続いて、か焼されたZSM−5は混合粉末に形成され、バインダーとしてアルミナを使用し、該混合粉末中における該ZSM−5の質量比が70質量%であるように形成された。続いて、この混合粉末は、触媒を製造するために0.3質量%の白金及び1.5質量%の錫の混合酸溶液で担持された。ここで、塩化白金酸が白金前駆体と
して使用され、及び塩化錫が錫前駆体として使用された。製造された触媒は550℃の温度でか焼した。
【0046】
キシレン異性化反応は比較例1にあるように実施し、そしてその結果は図1、2及び3に示した。
【0047】
参考例7)
アセチルアセトン酸マグネシウムは、マグネシウム量がZSM−5量に基づいて0.9質量%になるようにジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させ、溶解したアセチルアセトン酸マグネシウムはアルミナに対するシリカのモル比が50であるアンモニウム系のZSM−5中に担持させ、その後アセチルアセトン酸マグネシウムで担持されたZSM−5を500℃の温度でか焼した。続いて、か焼されたZSM−5は混合粉末に形成され、バインダーとしてアルミナを使用し、該混合粉末中における該ZSM−5の質量比が70質量%であるように形成された。続いて、この混合粉末は、触媒を製造するために0.3質量%の白金及び1.5質量%の錫の混合酸溶液を担持させた。ここで、塩化白金酸が白金前駆体として使用され、及び塩化錫が錫前駆体として使用された。製造された触媒は500℃の温度でか焼した。
【0048】
キシレン異性化反応は比較例1にあるように実施し、そしてその結果は図2に示した。
【0049】
参考例8)
アセチルアセトン酸バリウムは、バリウム量がZSM−5量に基づいて1.2質量%になるようにジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させ、溶解したアセチルアセトン酸バリウムはアルミナに対するシリカのモル比が50であるアンモニウム系のZSM−5中に担持させ、その後アセチルアセトン酸バリウムで担持されたZSM−5を500℃の温度でか焼した。続いて、か焼されたZSM−5は混合粉末に形成され、バインダーとしてアルミナを使用し、該混合粉末中における該ZSM−5の質量比が70質量%であるように形成された。続いて、この混合粉末は、触媒を製造するために0.2質量%の白金及び1.0質量%の錫の混合酸溶液で担持された。ここで、塩化白金酸が白金前駆体として使用され、及び塩化錫が錫前駆体として使用された。製造された触媒は450℃の温度でか焼した。
【0050】
キシレン異性化反応は比較例1にあるように実施し、そしてその結果は図2に示した。
【0051】
参考例9)
アセチルアセトン酸ベリリウムは、ベリリウム量がZSM−5量に基づいて0.3質量%になるようにジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させ、溶解したアセチルアセトン酸ベリリウムはアルミナに対するシリカのモル比が50である水素系のZSM−5中に担持させ、その後アセチルアセトン酸ベリリウムで担持されたZSM−5を500℃の温度
でか焼した。続いて、か焼されたZSM−5は混合粉末に形成され、バインダーとしてアルミナを使用し、該混合粉末中における該ZSM−5の質量比が70質量%であるように形成された。続いて、この混合粉末は、触媒を製造するために0.3質量%の白金及び1.5質量%の錫の混合酸溶液で担持された。ここで、塩化白金酸が白金前駆体として使用され、及び塩化錫が錫前駆体として使用された。製造された触媒は500℃の温度でか焼した。
【0052】
キシレン異性化反応は比較例1にあるように実施し、そしてその結果は図2に示した。
【0053】
参考例10)
アセチルアセトン酸カルシウム(カルシウム量がZSB−5量に基づいて1.0質量%である)、アンモニウム系のZSM−5(アルミナに対するシリカのモル比が50である)及びバインダーの役目をするアルミナを、同時にお互いに混合して、混合粉末を形成した。この際、混合粉末を、混合粉末中でカルシウムと混合したZSM−5の質量比が70質量%となるように形成した。続いて、この混合粉末は、触媒を製造するために0.3質量%の白金及び1.5質量%の錫の混合酸溶液で担持された。ここで、塩化白金酸が白金前駆体として使用され、及び塩化錫が錫前駆体として使用された。製造された触媒は450℃の温度でか焼した。
【0054】
キシレン異性化反応は比較例1にあるように実施し、そしてその結果を図2及び3に示した。
【0055】
参考例11)
アセチルアセトン酸カルシウム(カルシウム量がZSM−5量に基づいて0.8質量%である)、水素系のZSM−5(アルミナに対するシリカのモル比が50である)及びバインダーの役目をするアルミナを、同時にお互いに混合して、このように混合粉末を成形した。この際、混合粉末を、混合粉末中でカルシウムと混合したZSM−5の質量比が70質量%となるように形成した。続いて、この混合粉末は、触媒を製造するために0.2質量%のパラジウムで担持された。ここで、硝酸パラジウムがパラジウム前駆体として使用された。製造された触媒は500℃の温度でか焼した。
【0056】
キシレン異性化反応は比較例1にあるように実施し、そしてその結果を図2に示した。
【0057】
(比較例2)
硝酸マグネシウムは、マグネシウム量がZSM−5量に基づいて0.5質量%になるように蒸留水に溶解させ、溶解した硝酸マグネシウムはアルミナに対するシリカのモル比が50であるアンモニウム系のZSM−5と混合し、その後85℃の温度でイオン交換し、その後イオン交換されたZSM−5を500℃の温度でか焼した。続いて、か焼されたZSM−5は混合粉末に形成され、バインダーとしてアルミナを使用し、該混合粉末中における該ZSM−5の質量比が70質量%であるように形成された。続いて、この混合粉末は、触媒を製造するために0.2質量%の白金及び1.0質量%の錫の混合酸溶液で担持された。ここで、塩化白金酸が白金前駆体として使用され、及び塩化錫が錫前駆体として使用された。製造された触媒は500℃の温度でか焼した。
【0058】
キシレン異性化反応は比較例1にあるように実施し、そしてその結果を図3に示した。
【0059】
(実施例12)
硝酸マグネシウムは、マグネシウム量がZSM−5量に基づいて1.0質量%になるように蒸留水に溶解させ、溶解した硝酸マグネシウムはアルミナに対するシリカのモル比が50であるアンモニウム系のZSM−5と混合し、その後55℃の温度でイオン交換し、
その後イオン交換されたZSM−5を500℃の温度でか焼した。続いて、マグネシウムイオン交換されたZSM−5を、カルシウム量がZSM−5量に基づいて0.5質量%であるようにアセチルアセトン酸カルシウムと混合した。その後、アセチルアセトン酸混合ZSM−5は混合粉末に形成され、バインダーとしてアルミナを使用し、該混合粉末中におけるカルシウムと混合された該ZSM−5の質量比が70質量%であるように形成された。続いて、この混合粉末は、触媒を製造するために0.03質量%の白金及び0.5質量%の錫の混合酸溶液で担持された。ここで、塩化白金酸が白金前駆体として使用され、及び塩化錫が錫前駆体として使用された。製造された触媒は500℃の温度でか焼した。
【0060】
キシレン異性化反応は比較例1にあるように実施し、そしてその結果を図3に示した。
【0061】
(実施例13)
硝酸マグネシウムは、マグネシウム量がZSM−5量に基づいて2.0質量%になるように蒸留水に溶解させ、溶解した硝酸マグネシウムはアルミナに対するシリカのモル比が50であるアンモニウム系のZSM−5と混合し、その後85℃の温度でイオン交換し、その後イオン交換されたZSM−5を500℃の温度でか焼した。続いて、マグネシウムイオン交換されたZSM−5を、カルシウム量がZSM−5量に基づいて0.5質量%であるようにアセチルアセトン酸カルシウムと混合した。その後、アセチルアセトン酸混合ZSM−5は混合粉末に形成され、バインダーとしてアルミナを使用し、該混合粉末中におけるカルシウムと混合された該ZSM−5の質量比が70質量%であるように形成された。続いて、この混合粉末は、触媒を製造するために0.03質量%の白金及び0.5質量%の錫の混合酸溶液で担持された。ここで、塩化白金酸が白金前駆体として使用され、及び塩化錫が錫前駆体として使用された。製造された触媒は550℃の温度でか焼した。
【0062】
キシレン異性化反応は比較例1にあるように実施し、そしてその結果を図3に示した。
【0063】
図1、2及び3に示された結果から、本発明による金属塩を含浸又は直接混合した触媒が慣用の触媒と比較して高いエチルベンゼン転化及び低いキシレン損失有し、及び特に、金属塩(I)としてアセチルアセトン酸カルシウム及び炭酸カルシウムを使用して製造された触媒が、多の触媒と比較して優れた触媒作用を有することがわかる。
図1
図2
図3