特許第5672446号(P5672446)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5672446難分解性廃棄物の減容処理方法および減容処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5672446
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】難分解性廃棄物の減容処理方法および減容処理装置
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/14 20060101AFI20150129BHJP
   C08J 11/12 20060101ALI20150129BHJP
   G21F 9/30 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
   C08J11/14ZAB
   C08J11/12
   G21F9/30 571F
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-269887(P2010-269887)
(22)【出願日】2010年12月3日
(65)【公開番号】特開2012-116997(P2012-116997A)
(43)【公開日】2012年6月21日
【審査請求日】2013年8月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(74)【代理人】
【識別番号】100161403
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 静夫
(72)【発明者】
【氏名】部田 勝敏
(72)【発明者】
【氏名】大池 崇博
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−107300(JP,A)
【文献】 特開昭61−038499(JP,A)
【文献】 特開昭63−171400(JP,A)
【文献】 特表2002−521701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 17/
C08J 11/
G21F 9/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の密閉式反応容器と、該容器の下部に配置された粉体貯留部からなり、
該密閉式反応容器には、該容器内温度を昇温させる外部過熱手段と、該容器内に充填されたセラミック製または金属製のボールと、該ボールを機械的に撹拌できる撹拌翼と、該容器の上部から該ボール上へ、イオン交換樹脂を供給するイオン交換樹脂供給ノズルを備え、
該粉体貯留部には、該粉体貯留部の下部から過熱水蒸気を供給する過熱水蒸気供給ノズルを備えたイオン交換樹脂の減容処理装置
を用いてイオン交換樹脂の減容処理を行うイオン交換樹脂の減容処理方法であって、
前記密閉式反応容器内の上方からイオン交換樹脂を供給する工程と、
該密閉式反応容器内でボールを撹拌しつつ、該ボール間を落下する前記のイオン交換樹脂を、過熱水蒸気の存在下で、200〜300℃の温度領域を通過させながら、交換基−SOを有する陽イオン交換樹の熱分解を行って、交換基−SOを亜硫酸ガス或いは硫酸ガスとして分離除去する工程と、
前記工程で、交換基−SOを分離した基体を、前記ボール間を落下させながら、460℃以上の温度領域を通過させて分解する工程と、
前記工程で分解せず粉体貯留部に落下した基体を、460℃以上に維持された貯留部内で分解する工程
を有することを特徴とするイオン交換樹脂の減容処理方法。
【請求項2】
イオン交換樹脂が原子力発電所で発生する使用済のイオン交換樹脂であることを特徴とする請求項1記載のイオン交換樹脂の減容処理方法。
【請求項3】
前記の密閉式反応容器は、内径300〜1000mmのドラム形状を有し、該容器内に充填されたボールは10〜25mmの粒径を有することを特徴とする請求項1記載のイオン交換樹脂の減容処理方法。
【請求項4】
前記のボールを機械的に撹拌できる撹拌翼の回転数が0.1〜2rpmであることを特徴とする請求項1記載のイオン交換樹脂の減容処理方法。
【請求項5】
過熱水蒸気供給ノズルを複数備え、該過熱水蒸気供給ノズルは拡張ノズルであることを特徴とする請求項1記載のイオン交換樹脂の減容処理方法。
【請求項6】
過熱水蒸気供給ノズルは、過熱水蒸気を流速0.1m/s以上で供給する流速制御手段を備えることを特徴とする請求項1記載のイオン交換樹脂の減容処理方法。
【請求項7】
前記の密閉式反応容器内の圧力を−0.5〜−10kPaに維持する圧力制御手段を備えることを特徴とする請求項1記載のイオン交換樹脂の減容処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難分解性廃棄物、特にイオン交換樹脂の減容処理方法および減容処理装置に関するものである、
【背景技術】
【0002】
原子力発電所では、機器の腐食防止のため、系統水の浄化や系統に注入する水の浄化に大量のイオン交換樹脂が使用されている。これらのイオン交換樹脂は性能が経年劣化するため、所定期間使用した後、廃棄物となる。従来、原子力発電所で発生する使用済のイオン交換樹脂は、放射能レベルにより分別され、それぞれ貯蔵タンクに水とともに貯留されていた。
【0003】
イオン交換樹脂は自然状態では安定で難分解性であるという特性を有するが、有機物質であるため長期的には変質する可能性もある。したがって、使用済のイオン交換樹脂を廃棄物として処分する際には、無機化し安定化することが必要となる。
【0004】
これらの、原子力発電所で発生する使用済のイオン交換樹脂の処理方法として、焼却処理、熱分解処理、酸化分解処理など様々な無機化減容技術が開発されており、現在、一部の原子力発電所では、放射能レベルが低いものについて、800℃以上の高温焼却処理が行われている。一方、放射能レベルが比較的高いものについては、高温焼却処理時に使用される処理炉を構成する耐火物の処理問題や、高温焼却に伴うCsの飛散の問題などがあり、高温焼却処理の採用は困難であり、そのまま水とともに貯蔵タンクに貯留されているのが現状である。
【0005】
これらの問題に対し、本願出願人は、ボール型乾留炉を使用して、耐火物を使用することなく、金属製の閉鎖系反応容器内で使用済イオン交換樹脂を無機化減容処理する技術を開示している(特許文献1)。
【0006】
しかし、原子力発電所で発生する使用済のイオン交換樹脂には、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とがあり、従来のボール型乾留炉を使用して減容処理を行った場合、陰イオン交換樹脂は良好な減容率(1/20程度)で処理されるが、陽イオン交換樹脂の減容率は1/2程度に留まり、通常これらが1:1の割合で混合された廃樹脂の減容率は1/4程度に留まり、近年の減容率向上の需要に十分には対応できていない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭63−171400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は前記を解決し、ボール型乾留炉を利用した減容処理に際し、減容率を顕著に改善することができるイオン交換樹脂の減容処理方法および減容処理装置の技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明のイオン交換樹脂の減容処理方法は、金属製の密閉式反応容器と、該容器の下部に配置された粉体貯留部からなり、該密閉式反応容器には、該容器内温度を昇温させる外部過熱手段と、該容器内に充填されたセラミック製または金属製のボールと、該ボールを機械的に撹拌できる撹拌翼と、該容器の上部から該ボール上へ、イオン交換樹脂を供給するイオン交換樹脂供給ノズルを備え、該粉体貯留部には、該粉体貯留部の下部から過熱水蒸気を供給する過熱水蒸気供給ノズルを備えたイオン交換樹脂の減容処理装置を用いてイオン交換樹脂の減容処理を行うイオン交換樹脂の減容処理方法であって、前記密閉式反応容器内の上方からイオン交換樹脂を供給する工程と、該密閉式反応容器内でボールを撹拌しつつ、該ボール間を落下する前記のイオン交換樹脂を、過熱水蒸気の存在下で、200〜300℃の温度領域を通過させながら、交換基−SOを有する陽イオン交換樹の熱分解を行って、交換基−SOを亜硫酸ガス或いは硫酸ガスとして分離除去する工程と、前記工程で、交換基−SOを分離した基体を、前記ボール間を落下させながら、460℃以上の温度領域を通過させて分解する工程と、前記工程で分解せず粉体貯留部に落下した基体を、460℃以上に維持された貯留部内で分解する工程を有することを特徴とするものである。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のイオン交換樹脂の減容処理方法において、イオン交換樹脂が原子力発電所で発生する使用済のイオン交換樹脂であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3記載の発明のように、前記の密閉式反応容器は、内径300〜1000mmのドラム形状を有し、該容器内に充填されたボールは10〜25mmの粒径を有することが好ましい。
【0012】
請求項4記載の発明のように、前記のボールを機械的に撹拌できる撹拌翼の回転数は0.1〜2rpmとすることが好ましい。
【0013】
請求項5記載の発明のように、過熱水蒸気供給ノズルを複数備え、該過熱水蒸気供給ノズルは拡張ノズルとすることが好ましい。
【0014】
請求項6記載の発明のように、過熱水蒸気供給ノズルには、過熱水蒸気を流速0.1m/s以上で供給する流速制御手段を備えることが好ましい。
【0015】
請求項7記載の発明のように、密閉式反応容器内の圧力を−0.5〜−10kPaに維持する圧力制御手段を備えることが好ましい。
【0016】
【0017】
【発明の効果】
【0018】
(化1)には、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の各々について、化学式を示している。これらを熱分解は、水分の蒸発(100℃付近における第一段階)、イオン交換基の分離(200〜300℃における第2段階)、脱水素反応による基体の炭化(300〜600℃における第3段階)の、各段階を経て行われることが知られている。
【化1】
【0019】
陽イオン交換樹脂の減容率が低い要因として、200〜300℃における2段階で分離した交換基(-SOH)の一部が、熱分解の際にスルホニル架橋−SO−を形成し、スルホン架橋を形成して、より熱的に安定化する現象が知られている。(参考:下記(化2))。
【化2】
【0020】
本出願人は、下記(化3)に示すように、ベンゼンスルホン酸に水蒸気を作用させて交換基(-SOH)を先行分解させることにより、スルホン架橋を防止する方式に思い至った。しかしながら、本願出願人の検討から、単に高温の過熱水蒸気雰囲気下で、陽イオン交換樹脂を積層静置しただけでは、減容率は1/2程度に留まり、一旦スルホニル架橋が形成されると、金属材料が使える温度域(700℃以下)で長時間過熱蒸気雰囲気に保持しても熱分解は進行しなくなり、加熱蒸気の接触による減容率の上昇効果は得られないことが判明した。
【化3】
【0021】
これに対し、本発明では、過熱水蒸気の存在下で、200〜300℃の温度領域を通過させながら、交換基−SOを有する陽イオン交換樹の熱分解を行って、交換基−SOを亜硫酸ガス或いは硫酸ガスとして分離除去する工程において、過熱水蒸気の存在下で、交換基−SOを有する陽イオン交換樹の熱分解を行って、交換基−SOを亜硫酸ガス或いは硫酸ガスとして分離除去し、更に、交換基−SOを分離した基体を、前記ボール間を落下させながら、460℃以上の温度領域を通過させて分解する工程と、前記工程で分解せず粉体貯留部に落下した基体を、460℃以上に維持された貯留部内で分解する工程において、交換基−SOを分離した基体を分解する構成により、分解した交換基−SOが樹脂同士をスルホニル架橋する前に、蒸気と反応させて亜硫酸ガス或いは硫酸ガスとして陽イオン交換樹脂から分離させ、陽イオン交換樹脂におけるスルホニル架橋の形成を抑制可能とし、これによりイオン交換樹脂全体の減容率を向上させることに成功した。
【0022】
また、金属製の密閉式反応容器と、該容器の下部に配置された粉体貯留部からなり、密閉式反応容器には、該容器内温度を昇温させる外部過熱手段と、該容器内に充填されたセラミック製または金属製のボールと、該ボールを機械的に撹拌できる撹拌翼と、該容器の上部から該ボール上へ、イオン交換樹脂を供給するイオン交換樹脂供給ノズルを備え、該粉体貯留部には、該粉体貯留部の下部から過熱水蒸気を供給する過熱水蒸気供給ノズルを備えたイオン交換樹脂の減容処理装置を用いてイオン交換樹脂の減容処理を行う本発明によれば、該容器の上部に投入された室温のイオン交換樹脂が、イオン交換基の分離が生じる温度領域(200〜300℃における第2段階)を通過し、該樹脂はボールの回転により滞留することなく、該容器上部に分散して加熱蒸気と効率よく接触し、分解した交換基−SOが樹脂同士をスルホニル架橋する前に、蒸気と反応させて亜硫酸ガス或いは硫酸ガスとして陽イオン交換樹脂から分離させることができるため、更に効果的に陽イオン交換樹脂におけるスルホニル架橋の形成を抑制することができる。さらに、交換基−SOが分離した樹脂は易分解性のポリスチレン(460℃で分解)となっており、大部分はボール間を落下中に分解し、少量が粉体貯留部において分解する。これにより、スルホン架橋形成に起因する陽イオン交換樹脂の減容率低下現象を効果的に回避し、従来に比較して、イオン交換樹脂全体の減容率を顕著に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明のイオン交換樹脂の減容処理装置を備える廃棄物処理設備の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
図1において、1は金属製の密閉式反応容器、2は該容器1の内部温度を反応時に400〜700℃にまで上昇する外部ヒータ、3は該容器1の内部に充填されたセラミック製または金属製のボール、4は該ボール3を機械的に撹拌できる撹拌翼、5は該容器1の上部から該ボール3上へイオン交換樹脂を供給するイオン交換樹脂供給ノズル、6は該容器1の上部から該ボール3上へ400〜700℃の過熱水蒸気を供給する過熱水蒸気供給ノズルである。密閉式反応容器1の下部には、密閉式反応容器1内での分解によって発生した残渣(主に酸化鉄)が排出される粉体貯留部9が配置されている。
【0025】
密閉式反応容器1は、径が例えば400mmで長さが500mmである金属製の円筒体を立設して構成され、反応容器内の圧力を−0.5〜−10kPaに維持する圧力制御手段と、該容器1の内部温度を反応時に400〜700℃にまで上昇する外部電気式ヒータ2を備えている。
【0026】
この円筒体の軸心部には、密閉式反応容器1の上部に設置された駆動モータによって低速(約0.1〜2rpm)で回転される回転軸が設けられている。この回転軸の周部には、外縁が前記円筒体の内周面に近接位置されるように、また内縁が回転軸との間に空間を形成するようにして螺旋翼である撹拌翼4が取り付けられている。
【0027】
密閉式反応容器1内のボールは、耐蝕性のあるセラミックボールあるいは、高ニッケル系合金でハステロイ、インコネル製であって、10〜25mmの粒径を有し、該撹拌翼4により撹拌されながら密閉式反応容器1内の周縁部を上昇し、これに伴って形成される空間部に、密閉式反応容器1内の上部に位置しているボールが順次下降していく。
【0028】
イオン交換樹脂を密閉式反応容器1内へ供給するイオン交換樹脂供給ノズル5の前段にはスクリューフィーダ式の供給手段(図示しない)を備えてイオン交換樹脂を均等に供給することが好ましい。
【0029】
イオン交換樹脂供給ノズル5から密閉式反応容器1内に供給されたイオン交換樹脂は初期には含水状態であり、基本的にはボール3の表面に付着して、炉内を移動する。このためイオン交換樹脂の密閉式反応容器1での滞留時間はボールの下降時間と同じである。ボールの下降時間は、撹拌翼の寸法、回転数、ボールの寸法、充填層高さで自由に調節可能であるが、ボールの下降時間(すなわち、イオン交換樹脂の密閉式反応容器1での滞留時間)は減容率向上には長い程好ましい。具体的には、ボールの径を小さくする、回転軸の回転数を小さくする、ボール充填層の長さを長くする方法を採用することができる。
【0030】
密閉式反応容器1の上部に備えた過熱水蒸気供給ノズル6からは、ボール3の表面に付着したイオン交換樹脂へ400〜700℃の過熱水蒸気を供給する。イオン交換樹脂は室温で供給されるため、密閉式反応容器1の上層部では、200〜300℃の低温領域をイオン交換樹脂は通過する。
【0031】
イオン交換基の分離が生じる温度領域(200〜300℃における第2段階)を通過する際に、過熱水蒸気を流速0.1m/s以上で供給しつつボールを撹拌し、イオン交換樹脂と過熱水蒸気を効率よく接触させている。これにより、分解した交換基−SOが樹脂同士をスルホニル架橋する前に、蒸気と反応させて亜硫酸ガス或いは硫酸ガスとして陽イオン交換樹脂から分離させ、陽イオン交換樹脂中の分解したSO3-Hが、スチレンと再架橋し、安定となり難分解性となることを防止し、これにより、スルホン架橋形成に起因する陽イオン交換樹脂の減容率低下現象を効果的に回避し、従来に比較して、イオン交換樹脂全体の減容率を顕著に改善している。具体的には、例えば、従来の乾留法では減容率が1/2程度であったものにつき、当該イオン交換樹脂と過熱水蒸気を効率よく接触させながら処理する方法を採用することにより、1/4程度にまで改善することができる。
【0032】
密閉式反応容器1内での分解によって発生した残渣(主に酸化鉄)は、粉体貯留部9に排出され、密閉式反応容器1内に堆積する残渣処理に伴う各種問題も効果的に回避可能な構造となっている。本発明では、該粉体貯留部9の温度を、ポリスチレンの分解温度以上の460℃以上、好ましくは500℃以上に管理することにより、更に、減容率を1/20にまで大幅に向上可能としている。温度を維持するための手段は、図2に示すように粉体貯留部外部電気式ヒータ10、粉体貯留部過熱水蒸気ノズル11、またはその組み合わせで実施することができる。なお、図1に示す装置によって、イオン交換樹脂以外の、可燃物、難燃物、有機廃液などの処理を行うことも可能である。
【0033】
密閉式反応容器1内での分解によって発生した分解ガス(CO、CxHy)及び、硫酸ガス、亜硫酸ガスなどは、焼結金属フィルタ7を経て排ガス出口8から排出され、後段の二次燃焼器、洗浄塔などの排ガス処理系で処理されるため、原子力発電所で発生する使用済のイオン交換樹脂を、放射能による環境汚染の危険を伴わず安全に減容処理することができる。焼結金属フィルタ7をセラミックフィルタとすることも可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 金属製の密閉式反応容器
2 外部電気式ヒータ
3 ボール
4 撹拌翼
5 イオン交換樹脂供給ノズル
6 過熱水蒸気供給ノズル
7 焼結金属フィルタ
8 排ガス出口
9 粉体貯留部
10粉体貯留部外部電気式ヒータ
11粉体貯留部過熱水蒸気ノズル
図1