特許第5672457号(P5672457)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5672457
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】燃料貯留装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/05 20060101AFI20150129BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20150129BHJP
   E05B 65/00 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
   B60K15/05 B
   F02M37/00 301Q
   E05B65/00 T
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-38565(P2012-38565)
(22)【出願日】2012年2月24日
(65)【公開番号】特開2013-174157(P2013-174157A)
(43)【公開日】2013年9月5日
【審査請求日】2014年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】岩屋 教文
(72)【発明者】
【氏名】蔭山 弘明
【審査官】 赤間 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−002399(JP,A)
【文献】 特開2003−021003(JP,A)
【文献】 特開2004−156496(JP,A)
【文献】 特開2005−262905(JP,A)
【文献】 特開2008−300197(JP,A)
【文献】 特開2004−27929(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0152210(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0006248(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/05
F02M 37/00
E05B 65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される燃料タンクとキャニスタ間を連通する連通路を開放又は封鎖するタンク開放封鎖手段と、
手動操作により前記燃料タンクへの給油口を覆う給油リッドの開閉作動を制御するリッド作動制御手段と、
前記リッド作動制御手段が操作されると前記タンク開放封鎖手段を開放し、前記燃料タンクの内圧が所定値以下となるまでの期間である所定期間経過後に前記給油リッドを開とする給油準備制御を実施する給油準備制御手段と、を備え、
前記給油準備制御手段は、前記所定期間内に再び前記リッド作動制御手段が操作されたことを検知すると、前記タンク開放封鎖手段を封鎖して前記給油準備制御を中止することを特徴とする燃料貯留装置。
【請求項2】
前記車両の起動状態を検出する車両状態検出手段を備え、
前記車両状態検出手段が、前記車両の起動状態を検出すると前記タンク開放封鎖手段を封鎖することを特徴とする、請求項1に記載の燃料貯留装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料貯留装置に係り、詳しくは、密閉式燃料タンクにおける給油リッドの作動制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料貯留装置では、燃料タンク内で蒸発した燃料蒸発ガスの大気への放出を防止する技術として、燃料タンクと連通するキャニスタと、燃料タンクとキャニスタとを連通する経路に燃料タンクを密閉するように制御される密閉弁(タンク封鎖弁)とを備え、給油時には密閉弁を開き燃料蒸発ガスをキャニスタに向けて流出するようにし、燃料蒸発ガスをキャニスタにて吸着させるようにしている。
【0003】
ところで本装置のように、密閉弁により燃料タンクが密閉されていると、外気温の上昇に伴い燃料タンク内の燃料が蒸発し、燃料蒸発ガスにより燃料タンク内の圧力が高圧となることがある。そして、給油時の燃料タンクの給油口の蓋の開放に伴って燃料蒸発ガスが大気中へ放出される虞がある。
そこで、給油に伴う燃料蒸発ガスの大気中への放出を防止するために、運転者が給油リッドの開操作を行うと、当該操作を検知して、給油リッドの開放前に密閉弁を開き、燃料蒸発ガスをキャニスタに向けて流出させ、事前に燃料タンク内の圧力を十分に低下させたのちに、給油リッドを開放するようにしている。(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−262905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の燃料貯留装置では、運転者により給油リッドの開操作が行われると、燃料タンク内の圧力を低下させた後に、給油リッドを開放するようにしている。
しかしながら、上記特許文献1の燃料貯留装置では、運転者により一度給油リッドの開操作が行われると、燃料タンク内の圧力が低下するまで、給油リッドが開放されない。
したがって、例えば、洗車において燃料タンク内の圧力が高い時に給油リッドを開放して給油リッド内の水分を拭き取るような場合などで、燃料タンク内の圧力が抜けにくいようなときには、燃料タンク内の圧力の低下に長時間を要し、給油リッドの開放までに長時間を要することとなる。
【0006】
よって、運転者は給油リッドの開放まで長時間待機する必要があり利便性が悪化することとなり好ましいことではない。
本発明は、この様な問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、利便性を向上させることのできる燃料貯留装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1の燃料貯留装置では、車両に搭載される燃料タンクとキャニスタ間を連通する連通路を開放又は封鎖するタンク開放封鎖手段と、手動操作により前記燃料タンクへの給油口を覆う給油リッドの開閉作動を制御するリッド作動制御手段と、前記リッド作動制御手段が操作されると前記タンク開放封鎖手段を開放し、前記燃料タンクの内圧が所定値以下となるまでの期間である所定期間経過後に前記給油リッドを開とする給油準備制御を実施する給油準備制御手段と、を備え、前記給油準備制御手段は、前記所定期間内に再び前記リッド作動制御手段が操作されたことを検知すると、前記タンク開放封鎖手段を封鎖して前記給油準備制御を中止することを特徴とする。
【0008】
た、請求項2の燃料貯留装置では、請求項1において、前記車両の起動状態を検出する車両状態検出手段を備え、前記車両状態検出手段が、前記車両の起動状態を検出すると前記タンク開放封鎖手段を封鎖することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、例えば、運転者がリッド作動制御手段を操作して、給油リッドの開放までの所定期間が長いような場合に、給油リッドが開放するまでにリッド制御手段を操作することで、給油リッドの開放を中止することが可能となる。よって、運転者が任意に給油リッドの開放を中止することができるので、利便性を向上させることができる。
【0010】
た、例えば、燃料タンク内の圧力が高いような状態の場合や、燃料タンク内から圧力が抜けにくいような状態の場合には、燃料タンクの内圧が所定値以下となるまでに時間を要するので、給油リッドの開放前にリッド制御手段を操作することで、運転者が任意に給油リッドの開放を中止することができ、利便性を向上させることができる。
【0011】
また、請求項2の発明によれば、例えば、燃料タンクの内圧が高く、燃料タンクの内圧が所定値以下となるまでに長時間を要するような場合に、給油リッドの開放前にリッド作動制御手段が操作され、給油リッドの開放が中止されても、車両が走行準備状態となるまでタンク開放封鎖手段を開とすることで、燃料タンクの内圧を開放することができる。
よって、燃料タンクの内圧を減らすことができるので、次回のリッド作動制御手段の操作時には、早期に燃料タンクの内圧を開放することができ、早期に給油リッドを開放することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る燃料貯留装置の概略構成図である。
図2】本発明の第1実施例に係る燃料貯留装置の給油リッド作動制御のフローチャートである。
図3】本発明の第2実施例に係る燃料貯留装置の給油リッド作動制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の燃料貯留装置を図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係る燃料貯留装置の概略構成図である。以下、本発明に係る燃料貯留装置の構成を説明する。
図1に示すように、本発明に係る燃料貯留装置は、大きく車両に搭載されるエンジン(内燃機関)10と、燃料を貯留する燃料貯留部20と、燃料貯留部20で蒸発した燃料の蒸発ガスである燃料蒸発ガスを処理する燃料蒸発ガス処理部30、車両の総合的な制御を行うための制御装置であって、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)及び中央演算処理装置(CPU)等を含んで構成される電子コントロールユニット(以下、ECUという)(リッド作動制御手段、車両状態検出手段、給油準備制御手段)50、車両の給油リッド23の開作動を操作するモーメンタリ動作式の給油リッドスイッチ(リッド作動制御手段)61及び給油リッド23の開閉を検出する給油リッドセンサ62と、車両状態等を表示するディスプレイ63と、車両の主電源の断接を行うモーメンタリ動作式のメインスイッチ(車両状態検出手段)64とで構成されている。ここで、リッド作動制御手段は、リッド開放のためのスイッチとリッドの開放をキャンセルするスイッチとを別々としてもよい。
【0014】
エンジン10は、吸気通路噴射型(Multi Point Injection:MPI)の4サイクル直列4気筒型ガソリンエンジンである。エンジン10には、エンジン10の燃焼室内に空気を取り込む吸気通路11が設けられている。そして、吸気通路11には、吸気通路11の内圧を検出する吸気圧センサ14が設けられている。また、吸気通路11の下流には、エンジン10の吸気ポート内に燃料を噴射する燃料噴射弁12が設けられている。燃料噴射弁12には、燃料配管13が接続され、燃料が供給される。
【0015】
燃料貯留部20は、燃料を貯留する燃料タンク21と、燃料タンク21への燃料注入口である燃料給油口22と、車両の車体に設けられる燃料給油口22の蓋である給油リッド23と、燃料を燃料タンク21から燃料配管13を介して燃料噴射弁12に供給する燃料ポンプ24と、燃料タンク21の内圧を検出する圧力センサ25と、内部に図示しないフロート弁を有し、フロート弁の作用により燃料タンク21から燃料蒸発ガス処理部30への燃料の流出を防止する燃料カットオフバルブ26と、給油時に燃料タンク21内の液面を制御するレベリングバルブ27と、後述するベーパ配管(連通路)38やパージ配管39等の配管の内径よりも小さい内径のオリフィス(例えばφ1.0mm)を有し、燃料タンク21が燃料で満タン状態であるときの給油、即ち継ぎ足し給油での給油量を制限する2ウェイバルブ28と、そして図示しない燃料タンク21内の燃料量を検出する燃料量検出装置とで構成されている。また、燃料タンク21内で発生した燃料蒸発ガスは、レベリングバルブ27の下部より燃料タンク21外に、或いは燃料カットオフバルブ26より2ウェイバルブ28とレベリングバルブ27とを経由して、燃料タンク21外に排出される。
【0016】
燃料蒸発ガス処理部30は、キャニスタ31と、ベーパソレノイドバルブ32と、タンク封鎖弁(タンク開放封鎖手段)33と、安全弁34と、エアフィルタ35と、パージソレノイドバルブ37と、ベーパ配管38と、パージ配管39とで構成されている。
キャニスタ31は、内部に活性炭を有している。また、キャニスタ31には、燃料タンク21内で発生した燃料蒸発ガス或いは活性炭に吸着した燃料蒸発ガスが流通する蒸発ガス流通孔31aが設けられている。また、キャニスタ31には、活性炭に吸着した燃料蒸発ガスを放出するときに外気を吸入する外気吸入孔31bが設けられている。また、外気吸入孔31bは、外部からのゴミの侵入を防ぐ一方を大気に開放されたエアフィルタ35の他方に連通するように接続されている。
【0017】
ベーパソレノイドバルブ32には、キャニスタ31の蒸発ガス流通孔31aに連通するように接続されるキャニスタ接続口32aが設けられている。また、ベーパソレノイドバルブ32には、一端が燃料タンク21のレベリングバルブ27と連通するように接続されるベーパ配管38の他端が連通するように接続されるベーパ配管接続口32bと、一端がエンジン10の吸気通路11に連通するように接続されるパージ配管39の他端が連通するように接続されるパージ配管接続口32cとが設けられている。そして、ベーパソレノイドバルブ32のベーパ配管接続口32bとパージ配管接続口32cとは、それぞれベーパ配管38とパージ配管39とに接続されている。また、ベーパソレノイドバルブ32は、無通電の状態で閉弁し、外部から駆動信号が供給され通電の状態となることにより開弁状態となる常時閉タイプの電磁弁である。そして、ベーパソレノイドバルブ32は、外部から駆動信号が供給され通電状態で開弁状態であるときには、キャニスタ接続口32aとベーパ配管接続口32bとパージ配管接続口32cとを連通するようにして、キャニスタ31への燃料蒸発ガスの流出入と、エアフィルタ35より吸入される大気のベーパ配管38及びパージ配管39への流入とを可能とする。また、ベーパソレノイドバルブ32は、無通電状態で閉弁状態であるときには、キャニスタ接続口32aが封鎖され、ベーパ配管接続口32bとパージ配管接続口32cのみを連通にして、キャニスタ31への燃料蒸発ガスの流出入とエアフィルタ35からベーパ配管38及びパージ配管39への大気の流入を不可とする。即ち、ベーパソレノイドバルブ32は、閉弁状態であれば、キャニスタ31を封鎖し、開弁状態ではキャニスタ31を開放する。
【0018】
タンク封鎖弁33は、ベーパ配管38に介装されている。また、タンク封鎖弁33は、無通電の状態で閉弁し、外部から駆動信号が供給され通電の状態となることにより開弁状態となる常時閉タイプの電磁弁である。そして、タンク封鎖弁33は、無通電状態で閉弁状態であるとベーパ配管38を封鎖し、外部から駆動信号が供給され通電状態で開弁状態であるとペーパ配管38を開放する。即ち、タンク封鎖弁33は、閉弁状態であれば燃料タンク21を密閉状態に封鎖し、燃料タンク21内で発生した燃料蒸発ガスの燃料タンク21外への流出を不可とし、開弁状態であればキャニスタ31への燃料蒸発ガスの流出を可能とする。
【0019】
安全弁34は、タンク封鎖弁33と並列にベーパ配管38に介装されている。そして、安全弁34は、燃料タンク21の内圧が上昇すると開弁し、圧力をキャニスタ31へ逃がして燃料タンク21の破裂を防止するものである。
パージソレノイドバルブ37は、エンジン10の吸気通路11とベーパソレノイドバルブ32との間のパージ配管39に介装されている。また、パージソレノイドバルブ37は、無通電の状態で閉弁し、外部から駆動信号が供給され通電の状態となることにより開弁状態となる常時閉タイプの電磁弁である。そして、パージソレノイドバルブ37は、無通電状態で閉弁状態であるとパージ配管39を封鎖し、外部から駆動信号が供給され通電状態で開弁状態であるとパージ配管39を開放する。即ち、パージソレノイドバルブ37は、閉弁状態であれば燃料蒸発ガス処理部30よりエンジン10への燃料蒸発ガスの流出を不可とし、開弁状態であればエンジン10へ燃料蒸発ガスの流出を可能とする。
【0020】
ディスプレイ63は、車両状態を表示するものであり、例えば、給油リッドスイッチ61の操作から、給油リッド23が開放されるまでの時間を表示したり、給油リッド23の開放操作の中止を表示したりするものである。
ECU50は、車両の総合的な制御を行うための制御装置であり、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央演算処理装置(CPU)及びタイマ等を含んで構成される。
【0021】
ECU50の入力側には、上記吸気圧センサ14、圧力センサ25、車両に備えられた給油リッド23の開閉を行う給油リッドスイッチ61、給油リッド23の開閉を検出する給油リッドセンサ62、車両の主電源の断接を行うメインスイッチ64が接続されており、これらのセンサ類からの検出情報が入力される。
一方、ECU50の出力側には、上記燃料噴射弁12、燃料ポンプ24、ベーパソレノイドバルブ32、タンク封鎖弁33、パージソレノイドバルブ37、及びディスプレイ63が接続されている。
【0022】
ECU50は、各種センサ類からの検出情報に基づいて、給油リッド23の作動制御や、ベーパソレノイドバルブ32、タンク封鎖弁33及びパージソレノイドバルブ37の開閉を制御し、燃料タンク21内と、タンク封鎖弁33とパージソレノイドバルブ37との間のベーパ配管38、パージ配管39の圧力の制御、燃料蒸発ガスのキャニスタ31への吸着及びキャニスタ31に吸着された燃料蒸発ガスのエンジン10の吸気通路11への流出等の燃料蒸発ガス流れを制御するものである。
[第1実施例]
以下、このように構成された本発明の第1実施例に係る燃料貯留装置のECU50における運転者による給油リッドスイッチ61の操作での給油リッド23の作動制御について説明する。
【0023】
図2は、本発明の第1実施例に係る燃料貯留装置の給油リッド作動制御のフローチャートである。
図2に示すように、ステップS10では、給油リッドスイッチ61がON、即ち給油リッドスイッチ61が操作されたか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で給油リッドスイッチ61がON、即ち給油リッドスイッチ61が操作されていれば、ステップS12に進む。また、判別結果が否(No)で給油リッドスイッチ61がONでなく、給油リッドスイッチ61が操作されていなければ、本ステップS10を再度実行する。即ち、本給油リッド作動制御は、給油リッドスイッチ61の操作をトリガーとして、本制御が開始される。
【0024】
ステップS12では、タンク封鎖弁33を開弁する。詳しくは、燃料タンク21の内圧が高いような状態で燃料タンク21の給油口22の蓋を取り外すと、燃料タンク21内の燃料或いは燃料蒸発ガスが噴出する虞があるため、タンク封鎖弁33を開弁して燃料タンク21内の燃料蒸発ガスをキャニスタ31に導入して活性炭に吸着させ、燃料タンク21の内圧を低下させる。そして、ステップS14に進む。
【0025】
ステップS14では、時間t(本発明の所定期間に相当)を算出する。詳しくは、予め実験やシミュレーション等により、燃料タンク21の内圧と、タンク封鎖弁33を開弁してから燃料タンク21の内圧が燃料タンク21の給油口の蓋を開けても燃料タンク21内より燃料及び燃料蒸発ガスの噴出しない所定圧力(本発明の所定値に相当)となるまでの時間tとを燃料タンク21内の燃料量毎でマップ化し、当該マップと圧力センサ25にて検出される燃料タンク21の内圧と燃料量検出装置で検出される燃料タンク21内の燃料量とに基づいて、燃料タンク21の内圧が所定圧力となるまでの時間tを算出する。そして、ステップS16に進む。ここで、例えば燃料タンク21内の燃料量がレベリングバルブ27の下部が燃料に浸かるような量である場合には、レベリングバルブ27より直接ベーパ配管38に燃料蒸発ガスを排出することができなくなり、燃料蒸発ガスは、燃料カットオフバルブ26より2ウェイバルブ28とレベリングバルブ27を介してベーパ配管38に排出される。よって、レベリングバルブ27の下部が燃料に浸かるような燃料量が多い場合には、時間tは、2ウェイバルブ28のオリフィスによって燃料蒸発ガスの流量が制限されるので、燃料タンク21からの燃料蒸発ガスの排出に時間を要し、燃料タンク21の内圧が所定圧力となるまでの時間を要することから、燃料がレベリングバルブ27に達しない燃料量の場合と比べて同一内圧であっても長く設定される。
【0026】
ステップS16では、待ち時間をディスプレイ63に表示する。詳しくは、ステップS14にて算出された時間tより、ステップS12のタンク封鎖弁33の開弁からの経過した時間を減算した残存時間をディスプレイ63に表示する。そして、ステップS18に進む。本実施例では、スタート(S)より始まり残存時間がなくなるにつれ、表示が減り残存時間がなくなり、給油リッド23が開放されるとLID OPENと表示される。この残存時間がなくなるまでの時間、給油準備制御が実施される。なお、表示形態は、残存時間を数字で表示しても良い。
【0027】
ステップS18では、給油リッドスイッチ61が再度ON、即ち給油リッドスイッチ61が再度操作されたか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で給油リッドスイッチ61が再度ON、即ち給油リッドスイッチ61が再度操作されていれば、ステップS20に進む。また、判別結果が否(No)で給油リッドスイッチ61がONでなく、給油リッドスイッチ61が操作されていなければ、ステップS24に進む。
【0028】
ステップS20では、タンク封鎖弁33を閉弁する。即ち、燃料タンク21を密閉状態にする。そして、ステップS22に進む。
ステップS22では、ディスプレイ63に給油リッド23の開操作を中止した旨を表示する。そして、本ルーチンを抜ける。
また、ステップS24では、時間t経過したか、否かを判別する。詳しくは、ステップS12のタンク封鎖弁33の開弁から時間t経過して、燃料タンク21の内圧が所定内圧となったか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)でタンク封鎖弁33の開弁から時間t経過し、燃料タンク21の内圧が所定内圧となっていれば、ステップS26に進む。また、判別結果が否(No)でタンク封鎖弁33の開弁から時間t経過しておらず、燃料タンク21の内圧が所定内圧となっていなければ、ステップS18へ戻る。
【0029】
ステップS26では、給油リッド23を開放する。詳しくは、燃料タンク21の内圧が燃料タンク21の給油口の蓋を開放しても燃料及び燃料蒸発ガスの噴出することのない所定圧力となり安全に給油できるとして、給油リッド23を開放する。そして、本ルーチンをリターンする。
このように、本発明の第1実施例に係る燃料貯留装置では、運転者により、給油リッドスイッチ61が操作されると、タンク封鎖弁33を開弁して、燃料タンク21内の燃料蒸発ガスをキャニスタ31に導入して活性炭に吸着させ、燃料タンク21の内圧を低下させる。そして、燃料タンク21の内圧とタンク封鎖弁33を開弁してから所定圧力となるまでの時間tとの燃料タンク21内の燃料量毎でのマップと、燃料タンク21の内圧と、燃料タンク21内の燃料量とに基づいて、燃料タンク21の内圧が所定圧力となるまでの時間tを算出する。次に時間tよりタンク封鎖弁33の開弁からの経過した時間を減算した残存時間をディスプレイ63に表示する。そして、給油リッドスイッチ61が再度操作されると、タンク封鎖弁33を閉弁し、燃料タンク21を密閉状態にし、ディスプレイ63に給油リッド23の開操作を中止した旨を表示する。また、給油リッドスイッチ61が再度操作されずに、タンク封鎖弁33の開弁から時間tが経過すると、燃料タンク21の内圧が燃料タンク21より燃料及び燃料蒸発ガスの噴出することのない所定圧力となり安全に給油できるとして、給油リッド23を開放するようにしている。
【0030】
したがって、例えば、燃料タンク21内の燃料量がレベリングバルブ27の下部が燃料に浸かるような燃料量で、且つ燃料タンク21の内圧が高いような場合には、燃料タンク21内の燃料蒸発ガスは、燃料カットオフバルブ26より2ウェイバルブ28とレベリングバルブ27を介してベーパ配管38に排出され、2ウェイバルブ28のオリフィスで燃料蒸発ガスの流量が制限させるので、運転者が給油リッドスイッチ61を操作してから、給油リッド23の開放までの長時間要することとなる。このような場合に、運転者が給油リッド23の開放前に再度給油リッドスイッチ61を操作することで、タンク封鎖弁33を閉弁し、給油リッド23の開放を中止することが可能となる。よって、運転者が任意に給油リッド23の開放を途中で中止させることができるので、利便性を向上させることができる。
【0031】
また、燃料タンク21の内圧が所定圧力となってから、給油リッド23を開放するようにしているので、燃料タンク21の給油口の蓋の開放時に、燃料タンク21の内圧に押され燃料タンク21内の燃料や燃料蒸発ガスが噴出すること防止することができる。
[第2実施例]
以下、本発明の第2実施例に係る燃料貯留装置のECU50における運転者による給油リッドスイッチ61の操作での給油リッド23の作動制御について説明する。
【0032】
図3は、本発明の第2実施例に係る燃料貯留装置の給油リッド作動制御のフローチャートである。
図3に示すように、本発明の第2実施例に係る燃料貯留装置の給油リッド作動制御は、第1実施例に対し、運転者により給油リッドスイッチ61が再度操作された後の処理が異なる。以下に上記第1実施例と異なる点について説明する。
【0033】
図3に示すように、ステップS10からステップS16までは、第1実施例と同様に、運転者により、給油リッドスイッチ61が操作されると、タンク封鎖弁33を開弁して、燃料タンク21内の燃料蒸発ガスをキャニスタ31に導入して活性炭に吸着させ、燃料タンク21の内圧を低下させる。そして、燃料タンク21の内圧とタンク封鎖弁33を開弁してから所定圧力となるまでの時間tとの燃料タンク21内の燃料量毎でのマップと、燃料タンク21の内圧と、燃料タンク21内の燃料量とに基づいて、燃料タンク21の内圧が所定圧力となるまでの時間tを算出する。次に時間tよりタンク封鎖弁33の開弁からの経過した時間を減算した残存時間をディスプレイ63に表示する。
【0034】
そして、ステップS18’では、第1実施例と同様に、給油リッドスイッチ61が再度ON、即ち給油リッドスイッチ61が再度操作されたか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で給油リッドスイッチ61が再度ON、即ち給油リッドスイッチ61が再度操作されていれば、ステップS30に進む。また、判別結果が否(No)で給油リッドスイッチ61がONでなく、給油リッドスイッチ61が操作されていなければ、本ステップS24’に進む。
【0035】
ステップS30では、ディスプレイ63に給油リッド23の開操作を中止した旨を表示する。そして、ステップS32に進む。
ステップS32では、時間t経過したか、否かを判別する。詳しくは、ステップS12のタンク封鎖弁33の開弁から時間t経過して、燃料タンク21の内圧が所定内圧となったか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)でタンク封鎖弁33の開弁から時間t経過し、燃料タンク21の内圧が所定内圧となっていれば、ステップS36に進む。また、判別結果が否(No)でタンク封鎖弁33の開弁から時間t経過しておらず、燃料タンク21の内圧が所定内圧となっていなければ、ステップS34へ戻る。
【0036】
ステップS34では、車両がReady ON状態(本発明の車両の起動状態に相当)、即ち運転者がメインスイッチ64を操作して、車両が走行可能状態となったか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で運転者がメインスイッチ64を操作して、車両が走行可能状態となっていれば、ステップS36に進む。また、判別結果が否(No)で運転者がメインスイッチ64を操作しておらず、車両が走行可能状態となっていなければ、ステップS32へ戻る。
【0037】
ステップS36では、タンク封鎖弁33を閉弁する。即ち、燃料タンク21を密閉状態にする。そして、本ルーチンをリターンする。
また、ステップS24’では、第1実施例と同様に、時間t経過したか、否かを判別する。詳しくは、タンク封鎖弁33の開弁から時間t経過して、燃料タンク21の内圧が所定内圧となったか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)でタンク封鎖弁33の開弁から時間t経過し、燃料タンク21の内圧が所定内圧となっていれば、ステップS26’に進む。また、判別結果が否(No)でタンク封鎖弁33の開弁から時間t経過しておらず、燃料タンク21の内圧が所定内圧となっていなければ、ステップS18’へ戻る。
【0038】
ステップS26’では、給油リッド23を開放する。詳しくは、燃料タンク21の内圧が燃料タンク21の給油口の蓋を開放しても燃料及び燃料蒸発ガスの噴出することのない所定圧力となり安全に給油できるとして、給油リッド23を開放する。そして、本ルーチンをリターンする。
このように、本発明の第2実施例に係る燃料貯留装置では、運転者により、給油リッドスイッチ61が操作されると、タンク封鎖弁33を開弁して、燃料タンク21内の燃料蒸発ガスをキャニスタ31に導入して活性炭に吸着させ、燃料タンク21の内圧を低下させる。そして、燃料タンク21の内圧とタンク封鎖弁33を開弁してから所定圧力となるまでの時間tとの燃料タンク21内の燃料量毎でのマップと、燃料タンク21の内圧と、燃料タンク21内の燃料量とに基づいて、燃料タンク21の内圧が所定圧力となるまでの時間tを算出する。次に時間tよりタンク封鎖弁33の開弁からの経過した時間を減算した残存時間をディスプレイ63に表示する。そして、給油リッドスイッチ61が再度操作されると、ディスプレイ63に給油リッド23の開操作を中止した旨を表示する。そして、タンク封鎖弁33の開弁から時間tの経過、或いは車両が起動状態で走行可能な状態となると、タンク封鎖弁33を閉弁し燃料タンク21を密閉状態にする。また、給油リッドスイッチ61が再度操作されずに、タンク封鎖弁33の開弁から時間tが経過すると、燃料タンク21の内圧が燃料タンク21より燃料及び燃料蒸発ガスの噴出することのない所定圧力となり安全に給油できるとして、給油リッド23を開放するようにしている。
【0039】
したがって、第1実施例と同様に、給油リッド23の開放までに長時間要するような場合には、運転者が再度給油リッドスイッチ61を操作することでタンク封鎖弁33を閉弁し、給油リッド23の開放を中止することが可能となる。よって、運転者が任意に給油リッド23の開放を途中で中止させることができるので、利便性を向上させることができる。
【0040】
また、給油リッド23の開放を中止した場合にタンク封鎖弁23は、タンク封鎖弁33の開弁から時間tが経過した時、或いは、車両が起動状態で走行可能な状態となった時に閉弁されるので、給油リッド23の開放が中止されても、燃料タンク21の内圧を開放することができる。
よって、燃料タンク21の内圧を減らすことができるので、次回の給油リッドスイッチ61の操作時には、早期に燃料タンク21の内圧を開放し、早期に給油リッド23を開放することができる。
【0041】
以上で発明の実施形態の説明を終えるが、本発明の形態は本実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、タンク封鎖弁33の開弁から時間t経過すると給油リッド21の開放、或いはタンク封鎖弁33の閉弁を行うようにしているが、これに限定されるものではなく、例えば、燃料タンク21の内圧を常にモニタリングし、燃料タンク21の内圧が所定圧力となるとの給油リッド21の開放、或いはタンク封鎖弁33の閉弁を行うようにしてもよい。
【0042】
また、上記第2実施例では、運転者によるメインスイッチ64の操作にて車両の走行可能状態を判別するようにしているが、これに限定されるものではなく、車両に車速センサを設け、当該センサの検出結果に基づいて、車両の走行の有無を判断するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 エンジン(内燃機関)
21 燃料タンク
23 給油リッド
25 圧力センサ
31 キャニスタ
33 タンク封鎖弁(タンク開放封鎖手段)
38 ベーパ配管(連通路)
50 ECU(リッド作動制御手段、車両状態検出手段、給油準備制御手段)
61 給油リッドスイッチ(リッド作動制御手段)
64 メインスイッチ(車両状態検出手段)
図1
図2
図3