(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
扱胴(10)を有する扱室(11)と、該扱胴(10)の右側方に配設した前後方向に軸支された排塵処理胴(31)と、前記扱胴(10)の下方に配設した揺動選別棚(20)と、該揺動選別棚(20)の前部下方に配設した唐箕(16)を有し、前記揺動選別棚(20)には、少なくとも前側の第一シーブ(23)と後側の第二シーブ(24)を備える脱穀装置において、
前記扱室(11)内の被処理物を、該扱室(11)内の後部に配置した中間仕切壁(11K)の前側部位から排塵処理胴(31)側に引継ぐ連通口(35)を設け、
前記扱室(11)における中間仕切壁(11K)の後側の部位に還元口(11M)を開口させ、前記揺動選別棚(20)における還元口(11M)の下側の部位に水平板(92)を有した排塵体(90)を配設し、
平面視において、前記水平板(92)の右側部(92r)の前端部を左側部(92l)の前端部よりも前方へ延出させて第一延出部(92a)を形成し、
前記水平板(92)の右側部(92r)の後端部を左側部(92l)の後端部よりも後方へ延出させて第二延出部(92b)を形成し、
該第二延出部(92b)を第二シーブ(24)の上方に配置すると共に、
前記第一延出部(92a)を第一シーブ(23)の上方において連通口(35)の後部下方に臨む部位に配置したことを特徴とする脱穀装置。
前記水平板(92)の右側部(92r)の上面に複数の第一寄せ板(93)を配設し、該第一寄せ板(93)の後端部を前記第二延出部(92b)の後方に伸延したことを特徴とする請求項1記載の脱穀装置。
前記第二シーブ(24)を支持する枠体(24n)に備える両側板(24k,24k)に、前記排塵体(90)と、第二シーブ(24)の下方の選別網(28)と、前記枠体(24n)の後部のストローラック(25)とを備えて連結体(77)を形成し、
該連結体(77)の両側板(24k,24k)と揺動選別棚(20)の両側板(20s,20s)とを着脱自在な構成としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の脱穀装置。
前記第一シーブ(23)の両側板(23k,23k)と前記揺動選別棚(20)の両側板(20s,20s)とを着脱自在な構成としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の脱穀装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の扱胴と排塵処理胴の下方に設けられた排塵板の前後幅員は、扱胴の受網の最下端位置から排塵処理胴の前方に臨んでいる。その為、唐箕からの送風は揺動選別体の上方で遮られ、揺動選別体を通過する唐箕からの送風量が減少し藁屑等の選別効率が低下し、穀粒に多くの藁屑が混在する恐れがある。
又、従来の排塵板は、排塵板の板体の後部に形成されたバネ線から成る篩線が排塵処理胴の叩きほぐし体の間に臨んでいる。その為、排塵板の篩線と叩きほぐし体の間には大きな間隙が形成されており、扱胴から排塵処理胴への引継がれなかった藁屑、籾等の混合物は間隙から揺動選別体に漏下し、選別された穀粒に多くの藁屑、籾等が混在する恐れがある。
【0005】
そこで、本発明の主たる課題は、かかる問題点を解消することにあり、次なる課題は、保守・点検を容易行なうことができるに可動シーブ等の構造を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、扱胴(10)を有する扱室(11)と、該扱胴(10)の右側方に配設した前後方向に軸支された排塵処理胴(31)と、前記扱胴(10)の下方に配設した揺動選別棚(20)と、該揺動選別棚(20)の前部下方に配設した唐箕(16)を有し、前記揺動選別棚(20)には、少なくとも前側の第一シーブ(23)と後側の第二シーブ(24)を備える脱穀装置において、
前記扱室(11)内の被処理物を、該扱室(11)内の後部に配置した中間仕切壁(11K)の前側部位から排塵処理胴(31)側に引継ぐ連通口(35)を設け、
前記扱室(11)における中間仕切壁(11K)の後側の部位に還元口(11M)を開口させ、前記揺動選別棚(20)における還元口(11M)の下側の部位に水平板(92)を有した排塵体(90)を配設し、
平面視において、前記水平板(92)の右側部(92r)の前端部を左側部(92l)の前端部よりも前方へ延出させて第一延出部(92a)を形成し、
前記水平板(92)の右側部(92r)の後端部を左側部(92l)の後端部よりも後方へ延出させて第二延出部(92b)を形成し、
該第二延出部(92b)を第二シーブ(24)の上方に配置すると共に、
前記第一延出部(92a)を第一シーブ(23)の上方において連通口(35)の後部下方に臨む部位に配置したことを特徴とする脱穀装置である。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記水平板(92)の右側部(92r)の上面に複数の第一寄せ板(93)を配設し、該第一寄せ板(93)の後端部を前記第二延出部(92b)の後方に伸延したことを特徴とする請求項1記載の脱穀装置である。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記揺動選別棚(20)の上方における排塵処理胴(31)とは左右反対の側に吸引排塵ファン(47)を設け、前記
水平板(92)の右側部(92r)の上面に配設された複数の第一寄せ板(93)を、平面視において前記右側部(92r)から吸引排塵ファン(47)に向かって傾斜させて配設したことを特徴とする請求項1又は2記載の脱穀装置である。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記揺動選別棚(20)における第一シーブ(23)よりも前側の部位に移送棚(22)を設け、該移送棚(22)には、平面視で後部が前記
揺動選別棚(20)の上方における排塵処理胴(31)とは左右反対の側に設けられた吸引排塵ファン(47)
の側に向く傾斜姿勢の第二寄せ板(98)を設け、前記
水平板(92)の右側部(92r)の上面に配設された複数の第一寄せ板(93)を、該第二寄せ板(98)と平面視において平行に配設したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の脱穀装置である。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記第二シーブ(24)を支持する枠体(24n)に備える両側板(24k,24k)に、前記排塵体(90)と、第二シーブ(24)の下方の選別網(28)と、前記枠体(24n)の後部のストローラック(25)とを備えて連結体(77)を形成し、
該連結体(77)の両側板(24k,24k)と揺動選別棚(20)の両側板(20s,20s)とを着脱自在な構成としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の脱穀装置である。
【0011】
請求項6記載の発明は、前記第一シーブ(23)の両側板(23k,23k)と前記揺動選別棚(20)の両側板(20s,20s)とを着脱自在な構成としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の脱穀装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、水平板(92)の左側部(92l)の前後幅員が狭く形成されているので、第一唐箕(16)の送風が水平板(92)の左側部(92l)によって遮られることが無く、揺動選別棚(20)で藁屑、藁屑等の選別効率を高めることができる。又、右側部(92r)の第一延出部(92a)が第一シーブ(23)の上方に突出すると共に、排塵処理胴(31)の連通口(35)の後部下方に臨んでいるので、連通口(35)から漏下する枝梗が付いた穀粒、藁屑等が穀粒(清粒)に混在することを防止することができる。更に、右側部(92r)の第二延出部(92b)が第二シーブ(24)の上方に突出しているので、連通口(35)から漏下する枝梗が付いた穀粒、還元口(11M)から漏下する刺さり粒等を第二シーブ(24)に移送することができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、第一寄せ板(93)の後端部が右側部(92r)の第二延出部(92b)の後方に伸延しているので、連通口(35)から漏下する藁屑、還元口(11M)から漏下する藁屑を第二シーブ(24)の後方に移送することができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明による効果に加えて、
水平板(92)の右側部(92r)の上面に配設された複数の第一寄せ板(93)が右側部(92r)から吸引排塵ファン(47)に向かって傾斜しているので、連通口(35)から漏下する枝梗が付いた穀粒、還元口(11M)から漏下する刺さり粒等を第二シーブ(24)の吸引排塵ファン(47)側の部位に向けて移送することができる。従って、連通口(35)と還元口(11M)から漏下する藁屑は吸引排塵ファン(47)の吸引作用によって外部に排出することができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、
水平板(92)の右側部(92r)の上面に配設された複数の第一寄せ板(93)が移送棚(22)の第二寄せ板(98)と平行に配設されているので、第一寄せ板(98)に案内された被処理物に、連通口(35)や還元口(11M)からの被処理物に混合されずに移送することができ、選別精度を向上させることができる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、連結体(77)を揺動選別棚(20)に着脱できるので、揺動選別棚(20)の全体を取外すことなく、第二連結体(77)の下方に位置する受樋などの部材の保守、清掃を容易に行なうことができる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、第一シーブ(23)を揺動選別棚(20)に着脱できるので、第一シーブ(23)の前方に位置する移送棚、第一シーブ(23)の下方に位置する受樋などの部材の保守、清掃を容易に行なうことができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施例について添付図面を参照しつつ詳説する。なお、理解を容易にするため、便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
【0020】
図1〜
図4に示すように、汎用コンバインの機体フレーム1の下方には土壌面を走行する為の左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の上方左側には脱穀・選別を行なう脱穀装置3が設けられ、脱穀装置3の前側には圃場の穀桿を収穫する刈取装置4が設けられている。刈取装置4で刈取られた穀桿は供給搬送装置8によって脱穀装置3に搬送さ、脱穀装置3で脱穀・選別された穀粒は脱穀装置3の右側に設けられたグレンタンク5に貯留され、貯留された穀粒は排出筒7により外部へ排出される。又、車台2の上方右側には操作者が搭乗する操作席を備えた操縦部6が設けられている。
【0021】
図5,
図6等に示すように、刈取装置4によって刈取られた穀稈は供給搬送装置8により揚上搬送され、その過程で株元側が側方に持ち上がるように姿勢変更され且つ脱穀装置3における扱ぎ深さが調整された後に脱穀部搬送装置12に受け渡される。脱穀部搬送装置12では、穀稈の株元側をフィードチェン13Bと挟持杆13Aとの間で挟持してその穂先側を脱穀装置3の扱室11内に通過させて脱穀を行いつつ後方に搬送する。脱穀済みの排藁は、排藁搬送装置14に引き継がれる。
【0022】
(扱室)
脱穀装置3は穀稈の脱穀を行う扱室11を上部に備えている。この扱室11内には扱歯10bを有する扱胴10が前後方向に沿う軸心を中心として正面視において時計方向に回転するように軸支されており、この扱胴10の主として下方側を扱胴10外周に沿って包囲するように扱網15が張設されている。扱室11に供給された穀稈は正面視において時計方向に回転する扱胴10と扱網15との間で脱穀され、脱穀された穀粒は扱網15から漏下して選別室18に供給され、揺動選別装置21により選別される。
【0023】
扱室11は、前後方向中間に設けられた第二中間隔壁(中間仕切壁)11Kよりも前側の部分で構成され、第一中間隔壁11Jと第二中間隔壁11Kの間に排塵処理室30への連通口35が形成されている。また、第二中間隔壁11Kとその下流側に設けられた後隔壁11Lとの間に刺さり粒回収室11Eが形成されるとともに、扱胴10の下流側(後側)端部が中間隔壁11Kを貫通して刺さり粒回収室11E内まで延在しており、この延在部分に、扱胴回転方向に対して所定角度に傾斜する傾斜扱歯10cが扱胴周方向に所定の間隔を空けて且つ交互に設けられている。そして、後方に延在させた扱胴10の下方には、前記フィードチェン13B側に穀稈支持板11Pを設けている。扱室11の側面には、穀稈の穂先側を扱胴10の扱歯10bの作用域へ供給した状態で後送するための扱ぎ口11iが形成され、この扱ぎ口11iに沿って、フィードチェン13Bが配置される。扱室11で脱穀された処理物のうち扱網15から漏下しない処理物は連通口35を介して排塵処理室30に供給される。一方、扱室11を通過した穀稈は刺さり粒回収室11Eに至り、穀稈支持板11Pで支持された穀稈を、傾斜扱歯10cにより搬送穀稈を開いて穀稈中にささり込んだ穀粒が取り除かれて穀稈支持板11Pの先端側に落とされた後、排藁搬送装置14に引き継がれる。
【0024】
刺さり粒回収室11Eは穀稈に刺さり残った刺さり粒を落とすためのものであるため、刺さり粒回収室11Eの前後方向長さは扱室11の前後方向長さよりも短くするのが望ましい。
【0025】
扱室11の上方を覆う上部カバー11Uは、脱穀部搬送装置12と反対側に位置する前後方向に沿う支軸を支点として揺動開閉するように構成されており、この上部カバー11Uに挟持杆13Aが取り付けられ、挟持杆13Aも上部カバー11Uに伴って揺動開閉するように構成されている。
【0026】
(挟持杆、フィードチェン部)
図13等に示すように、扱室11の一方側(機体走行方向の左側)に設けられる脱穀部搬送装置12は、下側に位置するフィードチェン13Bと、上側に位置し、且つスプリング等の付勢手段13cにより上部カバー11Uに対してフィードチェン13B側に付勢される挟持杆13Aとから主に構成されている。フィードチェン13Bは、前後に設けられた張設輪13d,13d及びこれらの間に設けられた伝動スプロケット13eに巻回されて駆動される無端のチェンであり、上方側を後方に向かって移動する過程で挟持杆13Aとの間に穀稈の株元側が挟持されるようになっている。
【0027】
本実施形態では、これらのフィードチェン13B、張設輪13d、伝動スプロケット13e、これらを支持するフレーム9f、及びその外側のカバー9c等を含み、裏側に扱室11の側壁11Nが位置する部分がフィードチェン部9を構成している。フィードチェン部9は、本実施形態では前端部に位置する上下方向に沿う支軸9xを中心として揺動開閉するようになっているが、フィードチェン13Bと挟持杆13Aとの間で穀稈を搬送する閉位置と、裏側に位置する扱室11の側壁11Nが露出する開位置とに開閉変更自在であれば、支軸9xの位置が後端部であっても良く、また移動形態が開動ではなくスライド移動等であっても良い。
【0028】
(選別室)
扱室11の扱網15の下方には、扱網15から漏下する脱穀処理物を穀粒とそれ以外の物とに選別するための選別室18が形成されており、選別室18の上部には前後方向に往復揺動する揺動選別棚20により構成された揺動選別装置21が設けられ、選別室18の下部には、唐箕16と、一番受樋19A、二番受樋19Bとが、揺動選別棚20の移送方向に(前から後ろに向かって)この順で設けられている。
【0029】
揺動選別棚20の始端部(前端部)は、唐箕ケーシング16cの上方に位置する移送棚22として形成されている。移送棚22の構成は任意であり、移送方向下流側を低く傾斜させたり、あるいは、移送棚22の上面に突起や凹凸を設けたりして、揺動選別装置21の移送方向下流側の第一シーブ(固定シーブ)23に向けて扱網15からの漏下物を移送できればよい。
【0030】
第一シーブ23は、主に扱網15から直接漏下する又は移送棚22を介して送り込まれる穀粒と異物とを選別する篩であり、図示例では、移送方向下流側(後側)が高くなるように傾斜した薄い板状体からなる固定シーブ部材23bを揺動方向に所定の間隔を空けて平行に複数並設したものである。この形態における第一シーブ23のシーブ部材(固定シーブ部材)23bの傾斜角度は固定とされた固定シーブである。
【0031】
第一シーブ23の移送方向下流側(後側)には、主に穀粒とチャフ(わら屑)とを選別する第二シーブ24が並設されている。第二シーブ24は、扱室11から排塵処理室30への連通口35より後側に配置され、第一シーブ23からの処理物及び刺さり粒回収室11Eからの処理物を受け入れて選別する箭であり、図示例では、移送方向下流側(後側)が高くなるように傾斜した薄い板状体からなるシーブ部材24bを揺動方向に所定の間隔を空けて平行に複数並設したものであり、第一シーブ23より選別行程が長く構成されている。
【0032】
第二シーブ24は、左右方向に延在するとともに前後方向に対する傾斜角度が調整自在の複数の第二シーブ部材24bが前後方向に平行に並設されてなるものである。より詳細には、
図5,
図6,
図15等に示すように、各第二シーブ部材24bには左右方向に延在する上部支軸24c及び下部支軸24dがそれぞれ設けられるとともに、その下方には各第二シーブ部材24bを連結する連結板24rが設けられており、この連結板24rには各第二シーブ部材24bに対応して前後方向に間隔を空けて長孔24hが設けられており、この長孔24hに対して各第二シーブ部材24bの下部支軸24dが長孔24hの長手方向に移動可能なように挿入されている。また、各第二シーブ部材24bの下部支軸24dは、揺動片24jを介して傾斜角度(間隙)調節用の操作アーム24mよって、上部支軸24cを中心として長孔24hの長手方向に移動させられる。操作アーム24mには操作用のケーブル24wと復帰用のバネ24sとが対向的に連結されており、操作用のケーブル24wの引き又は戻し操作により操作アーム24mが揺動し、これに伴い操作アーム24mに取り付けられた第二シーブ部材24b、並びにこの第二シーブ部材24bに対して連結板24rにより一体化された他の第二シーブ部材24bが同時かつ一体的に上部支軸24cを中心として回動し、前後方向に対する傾斜角度が調節される。
【0033】
図7,
図8,
図11等に示すように、第二シーブ24の前側上方には、刺さり粒回収室11Eの還元口11Mから漏下する穀粒とチャフ及び排塵処理室30の連通口35から漏下する枝梗が付いた穀粒とチャフを集載し、第二シーブ24の下流側(後側)に移送する為の排塵板90が設けられている。排塵板90は第二シーブ24の枠体24nの左右側板24m、24mに立設された脚91,91と、両脚91,91を横架する無孔の水平板92と、水平板92の上面に水平板92の前部右側から後部左側に向かって傾斜し平行に立設された2本の第一寄せ板93,93とから構成されている。又、水平板92の左右両端部にはそれぞれシールゴム92c,92cが設けられている。
【0034】
水平板92は刺さり粒回収室11Eの下方に設けられ、第一唐箕(唐箕)16からの送風の抵抗にならないように水平板92の幅員の略2/3を成す左側部90lの前後幅は狭く形成されている。
排塵処理室30の連通口35から漏下する枝梗が付いた穀粒、チャフ等の第一シーブ23への漏下を防止する為に水平板92の右側部92rには前側に伸延する第一延出部92aが形成され、第一延出部92aは排塵処理室30の連通口35の下方に臨んでいる。又、刺さり粒回収室11Eの還元口11Mから漏下するチャフを集載し第二シーブ24の下流部又はストローラック25に移送する為に水平板92の右側部92rには後側に伸延する第二延出部92bが形成されている。
【0035】
第一寄せ板93,93は、排塵処理室30の連通口35から漏下するチャフ、刺さり粒回収室11Eの還元口11Mから漏下するチャフを第二シーブ24の下流部又はストローラック25に移送する為に吸引排塵ファン47に向かって傾斜して設けられ、水平板92の第二延出部92bを超えて伸延して形成されている。又、排塵処理室30の連通口35から漏下する枝梗が付いた穀粒等を第二シーブ24の中央部に移設するため第一寄せ板93,93は、後述する第二寄せ板98と平行に設けるのが好適である。
なお、第一寄せ板92の本数には制限はなく、水平板92の中央部に1本の第一寄せ板93を設けても良く、あるいは、3〜5本の第一寄せ板93,93…を設けることができる。又、第一寄せ板93の高さは、水平板92と第一寄せ板93,93とによって区画される領域94の外方に刺さり粒回収室11Eの還元口11Mから漏下する穀粒とチャフ等を一時的に集載できる任意の高さにすることができる。
【0036】
第二シーブ24の下流側には、第一シーブ23及び第二シーブ24から漏下しなかった比較的大きな藁屑中から枝梗付着粒等を篩い選別し、これらを後述する二番受樋19B上に漏下させるために、ストローラック25が設けられている。
【0037】
また、揺動選別棚20には、移送棚22の後端部から延出して第一シーブ23からの漏下物を受けるバケット状のグレンパン20Gが設けられるととともに、このグレンパン20Gにおける第二シーブ24の下方に、第一シーブ23及び第二シーブ24から漏下した粗選物を中選別する選別網28が設けられている。又、選別網28は、排塵板90、第二シーブ24及びストローラック25と一体に脱着可能に構成されている。
【0038】
揺動選別棚20の下方における選別風送り方向上手側には、揺動選別棚20と一番受樋19Aとの間に臨む送風口65を備えた第一唐箕16が設けられており、この第一唐箕16の送風口65には、風割66によって上下に形成された上側風路74と下側風路75とが設けられており、この送風口65の下手側に一番受樋19Aが設けられ、さらにこの一番受樋19Aの下手側に二番受樋19Bが設けられている。一番受樋19A内には、グレンタンク5へ連通する螺旋コンベア式の一番コンベア26が配置され、二番受樋19B内には、二番処理室40へ連通する螺旋コンベア式の二番コンベア27が配置されている。一番受樋19Aは、その前側の部分が第一唐箕16のケーシング16cに一体的に繋がれるとともに、その後側の部分は一番棚先29まで延在されている。
【0039】
一番棚先29は、上側の揺動選別棚20の第二シーブ24終端に向けて斜め上方へ傾斜して設けられている。一番棚先29は揺動選別棚20と一体に組み付けて揺動するように構成されているので、
図6に示すように、ナイロンシート或いはゴム板からなるシール部材S1を設けて穀粒が交じり合ったり漏れ出たりすることを防いでいる。
【0040】
二番受樋19Bの前端部は、一番棚先29と略平行に後斜め上向きに延在する部分を有しており、その上端は一番棚先29に対して基端寄りに配置され、これらの間に形成される送風口は一番棚先29の背面に沿って排塵口(三番口)56へ向かって吹き出すように構成されている。
【0041】
揺動選別棚20は、揺動選別棚20の前端部に設けられた揺動ガイド20hを有する揺動軸20kに偏芯し軸支された駆動輪20mと揺動選別棚20の下部に設けられた揺動軸20nに軸支された従動輪20pによって上下前後方向に揺動するので、被処理物は後方側へ移動しながら、第一唐箕16からの送風を受けて風力選別され、比重の重い穀粒は第一シーブ23及び第二シーブ24を漏下して選別網28上に供給され、選別網28上の被処理物は、更に第一唐箕16からの選別風を下側から受けて細かな藁屑が吹き飛ばされながら後方に移送され、この移送中に選別網28から漏下したものが一番受樋19Aにより回収され、一番コンベア26で搬送されてグレンタンク5へ投入される。グレンタンク5に貯留された穀粒は、排出筒7を介してコンバインの外部へ搬出される。このように、選別網28から漏下して一番受樋19Aで回収される処理物は、枝梗付着の少ない穀粒(清粒)が主である。
【0042】
一方、選別網28から漏下しないものは、この選別網28上を後方へ移送されて選別網28の後方から落下して二番受樋19Bに至り回収される。選別網28から漏下せずに二番受樋19Bに供給される被処理物は、枝梗付着粒や小さな藁屑等が主である。
【0043】
揺動選別棚20上の被処理物のうち軽量のものは、第一シーブ23及び第二シーブ24を漏下せず、揺動選別棚20の揺動作用と第一唐箕16による送風で吹き飛ばされて第一シーブ23及び第二シーブ24の上を後方へ移動し、ストローラック25の上で大きさの小さい二番物は漏下して二番受樋19Bにより回収される。第一シーブ23及び第二シーブ24の後部やストローラック25から漏下して二番コンベア27により二番処理室40へ供給される。二番コンベア27に取り込まれるものは、枝梗付着粒、藁屑および藁屑の中に混在した穀粒などの混合物である。これら枝梗付着粒や藁屑を二番還元物として再処理する。また、第一シーブ23、第二シーブ24及びストローラック25から漏下しない被処理物(主に藁屑)は、更に後方へ移送されて三番排塵口56から排出される。この中には僅かな穀粒が含まれていることがあり、この比率によって、脱穀装置の選別精度が評価される。
【0044】
(点検口)
図9〜
図14に示すように、扱室11のフィードチェン部9側の側壁には、フィードチェン部9の裏側を含む範囲に、取り外した第一シーブ23が通過可能である点検口11Sが形成されるとともに、この点検口11Sを開閉する蓋体11Zが設けられており、この蓋体11Zはフィードチェン部9に連結一体化されている。フィードチェン部9を揺動開放すると、
図9に示すように蓋体11Zもフィードチェン部9に伴い移動して点検口11Sが開口し、
図14に示すように点検口11Sから扱胴10の下端部及び扱胴10の下側空間が露出する。よって、点検口11S及び扱胴10の下側空間を介して後述の揺動選別棚20の上流側、具体的には移送棚22及び第一シーブ23の掃除やメンテナンスを行うことができる。
【0045】
また、扱室11の下側に張設される受網15のうちフィードチェン部9側の端部が、受網15の下側において前後方向に沿って架設された棒状等の受網固定部材15Uに係合および離脱自在な構成とされており、フィードチェン13Bのオープンした状態で受網固定部材15Uが点検口11Sを横切る場合、この受網固定部材15Uが第一シーブ23の着脱等の作業の邪魔になる。よってこのような場合、
図14に示すように、受網固定部材15Uの形状を、点検口11Sより前側及び後側の部位であって且つ点検口11Sと重なる上下方向範囲に、受網15のフィードチェン部9側の端部に係合する係合部15fを有するとともに、点検口11Sと重なる前後方向中間部に、受網15のフィードチェン部9側の端部が係合することなく側面視で点検口11Sを迂回するU字状をなすように下方に湾曲した湾曲部15wを有する形状とするのは好ましい。この湾曲部15wと受網15のフィードチェン部9側の端部との間に形成された空間を経て、点検口11Sから第一シーブ23を外部へ取り出すことができるので、点検口11Sからの第一シーブ23の着脱等の作業空間が拡大し、作業性が向上する。
【0046】
(排塵処理室)
扱室11の後端部は連通口35を介して排塵処理室30に連通されている。排塵処理室30内には、扱胴10の軸心と略平行な排塵処理胴31が軸装されており、正面視において時計方向に回転している。排塵処理室30の周壁のうち揺動選別棚20側(正面に向かって左側)の下部は、後端部に処理物排出口33が形成されるとともに、この排出口33と連通口35との間の部分が受網により形成されている。排塵処理胴31の外周面のうち、処理物の移送方向の初端部(前端部)にはスクリュー羽根体37が設けられ、処理物の移送方向の終端部(後端部)には径方向に沿って外方に突出する羽根体34が設けられ、これらの間には排塵処理歯36が設けられている。
【0047】
排塵処理室30に供給された被処理物は、回転する排塵処理胴31により終端側に移動されつつ解砕処理される過程で、受網から揺動選別棚20上に漏下されるか、又は排塵処理室30の終端閉塞部に至った後に、羽根体34により排出口33を介して揺動選別棚20のストローラック25上に排出される。これら排出処理物は、揺動選別棚20により選別されて穀粒は回収され、藁屑等は機外に排出される。排塵処理室30に供給される被処理物中には、少量ながら枝梗の付着した穀粒が含まれており、この枝梗付着粒および小さな藁屑が受網及び処理物排出口33から揺動選別棚20に落下する。
【0048】
(二番処理室)
排塵処理室30の前側には、二番物を処理して還元するための二番処理室40が設けられている。二番処理室40内には、外周面に間欠螺旋羽根を有する二番処理胴41が排塵処理胴31と同心的かつ直列的に軸装されており正面視において時計方向に回転している。二番処理室40における二番処理胴41の下方は、その終端部を除いて樋状の受板42により包囲されており、その側部上方は開口しており、その開口部は扱網15の側部下方に位置し、扱網15の側部から漏れ出る漏出物は二番物として二番処理室40に供給されるようになっている。また、二番処理室40における二番処理胴41の終端部(前端部)の下方は、二番処理物還元口43として、揺動選別棚20の上流側における二番処理室40側の側部の上方に開口されている。また、二番処理胴41の始端側(後端側)上方には二番コンベア27から供給される二番物の供給口44が開口している。
【0049】
二番処理室40では、二番物が二番処理胴41によって搬送される間に穀粒の分離と枝梗付着粒からの枝梗の除去が行われた後、二番処理物還元口43から揺動選別棚20に落下し、扱室11からの被処理物と合流して再選別される。
【0050】
(吸引排塵ファン)
揺動選別棚20の終端部(後端部)の上方には吸引排塵ファン47の吸塵口47iが開口している。吸引排塵ファン47は、排風口46を有するケーシング45により覆われている。図示例では、揺動選別棚20の上方空間の両側壁のうち排塵処理室30と反対側の側壁に、排塵処理室30と対峙するように吸引排塵ファン47が取り付けられ、その取り付け部位に吸塵口47iが開口しているが、これらの取り付け位置は図示例に限定されるものではない。
【0051】
(排藁処理装置)
脱穀装置3の後側では、扱室を通り脱穀を終えた穀稈、つまり排藁は排藁搬送装置14に引き継がれ、排藁搬送装置14の終端部から排藁処理装置としてのカッター装置48に排出される。カッター装置48は、上方から落下供給される排藁を一対のロータリーカッター刃49間に通して切断する構造のものである。ロータリーカッター刃49の外部側はフードにより覆われており、またロータリーカッター刃49の前側には、切断した排藁の切断藁屑を後方に落下するように案内するための切藁案内板50が設けられている。切藁案内板50は、上部が上側カッター刃49の下部とほぼ同じ高さに位置しており、下方に至るに従い後側に位置するように後下がりに傾斜し、切藁案内板50の下部は下側カッター刃49の下部より下方に位置している。カッター装置48に代えて他の排藁処理装置を用いることも可能である。
【0052】
(三番排塵口)
脱穀装置3の後側壁55には三番排塵口56が開口されており、揺動選別棚20の後部がこの三番排塵口56に臨むように構成されている。また、三番排塵口56を開閉する三番排塵口シャッタ57が設けられており、例えば圃場の一辺を刈り終えて次辺へ向けて旋回する際に、この三番排塵口シャッタ57を閉じれば、排塵処理室30の処理物排出口33から排出される排塵処理物に含まれる穀粒を、三番排塵口56から排出させずに、揺動選別棚20の第二シーブ24又はストローラック25に供給し、篩い選別により回収することができる。よって、三番ロスの発生を防止して脱穀効率を向上できるようになる。また、排塵処理室30と吸引排塵ファン47の吸塵口47iとは、揺動選別棚20を挟んで対峙するように配置されており、三番排塵口シャッタ57を閉めると、排塵処理室30から排出される排塵処理物が、吸引排塵ファン47の吸塵口47i側に向かって広範に拡散するため、カギ又などの回収効率が一層向上する。
【0053】
(固定シーブの清掃装置)
図5〜
図7に示すように、本実施形態では、第一シーブ23上を往復移動することにより清掃を行う第一清掃体80が設けられている。より詳細には、第一シーブ23は左右方向に所定の間隔を空けて配置された複数の第一清掃体80,80,80…を備えており、前後方向に沿うプレート部81と、第一シーブ23の各シーブ部材23bの上面に接触して付着物を除去するスクレーパ部82とを有するものである。
【0054】
これら第一清掃体80,80,80…は、前後に設けられた左右方向に延在する連結部材と左右の補強板84とによって一体的に連結保持され、第一シーブ23に対して左右横方向に往復移動可能に支持されている。また、プレート部81は上下方向に沿う垂直姿勢で立設されており、そして、各プレート81にはシーブ部材23bの断面形状に合わせたガイド穴を穿設し、各ガイド穴に各シーブ部材23bを挿通してスライド案内する構成としている。
【0055】
各第一清掃体80を駆動するための清掃体駆動装置は適宜設計することができるが、本実施形態では、
図7に示すように、互い違いに引き操作される一対の操作ケーブル87b,87b、往復回動する天秤アーム87、天秤アーム軸87a、往復回動する揺動アーム88等の連動機構を介して左右横方向に往復動するように構成している。すなわち、一対の操作ケーブル87b,87bが互い違いに引き操作され、天秤アーム87の往復回動によって天秤アーム軸87aを回動中心として揺動アーム88が左右に往復揺動し、この揺動アーム88の長孔89に対して移動自在に挿入された第一清掃体80が左右横方向へ強制的に往復動されるようになっている。この左右横方向の往復移動範囲(移動ストローク)が、各第一清掃体80,80,80…間の配置ピッチPよりも大きくされていると、スクレーパ部82がシーブ部材23bの全域にわたって作用するため好ましい。
【0056】
(固定シーブの着脱構造)
図15,
図17に示すように、第一シーブ23の交換等を行う場合のメンテナンス性を向上させる為に、揺動選別棚20の本体部に対して、第一シーブ23を着脱自在に構成するのは好ましい形態である。なお、第一シーブ23の枠体23nの両側板23k、23kは、選別室18の両側壁18s,18sに上端部が固定された揺動選別棚20の両側板20s,20sに着脱自在に取付けられている。又、第一シーブ23を揺動選別棚20の両側板20s,20sに簡易に位置決めを行ない取付ける為に、揺動選別棚20の両側板20s,20sに位置決めピンを設けると共に、第一シーブ23の枠体23nの両側板23k、23kに位置決め孔を設けるのが好適である。なお、上述したように、第一シーブ23は点検口11Sを通して扱室11の外方に取出すことができる。
【0057】
(可動シーブの着脱構造)
図15〜
図17に示すように、排塵板90、第二シーブ24、ストローラック25、選別網28の交換等を行う場合のメンテナンス性を向上させる為に、揺動選別棚20の本体部に対して、排塵板90、第二シーブ24、ストローラック25、及び選別網28を一体状態で着脱自在に構成するのは好ましい形態である。なお、ストローラック25は第二シーブ24の枠体24nの後部に固着されており、選別網28は第二シーブ24の枠体24nの両側板24k、24kの下部に固着されている。
図18は排塵板90、第二シーブ24、ストローラック25及び選別網28を揺動選別棚20の本体部に取り付けた後部の状態を示しており、
図19は揺動選別棚20の本体部から取り外した後部の状態の排塵板90、第二シーブ24、ストローラック25及び選別網28が一体状態となった連結体77を示している。
図18と
図19との対比からも分るように、選別室18の両側壁18s,18sに上端部が固定された揺動選別棚20の両側板20s,20sに設けられたナット20d,20d…に対して第二シーブ24の枠体24nの両側板24k,24kを第一締結手段(ボルト)20b,20b…で着脱可能に取付けることにより、上述の取外し及び取付けが可能となっている。
図20は排塵板90、第二シーブ24、ストローラック25及び選別網28を揺動選別棚20の本体部に取り付けた前部の状態を示しており、
図21は揺動選別棚20の本体部から取り外した前部の状態の排塵板90、第二シーブ24、ストローラック25及び選別網28が一体状態となった連結体77を示している。
図20と
図21との対比からも分るように、選別室18の両側壁18s,18sに上端部が固定された揺動選別棚20の両側板20s,20sに設けられたナット20e,20e…に対して第二シーブ24の枠体24nの両側板24k,24kを第二締結手段(ボルト)20c,20c…で着脱可能に固定することにより、上述の取外し及び取付けが可能となっている。又、連結体77を揺動選別棚20の両側板20s,20sに簡易に位置決めを行ない取付ける為に、揺動選別棚20の両側板20s,20sに位置決めピンを設けると共に、第二シーブ24の枠体24nの両側板24k、24kに位置決め孔を設けるのが好適である。なお、連結体77は選別室18の後部から後方に取出すことができる。
【0058】
このような構造の採用により、揺動選別棚20の全体を外すことなく、排塵板90、第二シーブ24、ストローラック25及び選別網28を容易に取り外すことができるので、その下方に位置する部分、例えば一番受樋19Aや二番受樋19Bの底部のメンテナンス(掃除)を容易に行うことができる。特に大型の機械では、揺動選別棚20全体は重すぎて一人での取り外し作業は困難であるが、排塵板90、第二シーブ24、ストローラック25及び選別網28だけであれば一人でも取り外しが可能となる。また、揺動選別棚20全体を組み付ける場合には揺動選別棚20の周囲にシールゴム90cを適切にセットすることが必要となるが、上述の形態では揺動選別棚20全体を取り外す必要が無いので、揺動選別棚20周囲のシールゴムのセット不良によるロス・選別不良が発生し難くなる。なお、図示を省略しているが第2シーブ24にも第2清掃体を設けることができる。
【0059】
本実施形態では、揺動選別棚20の側板20sを貫通して設けたれた揺動軸24jの側板20sの外方の端部には操作アーム24mが軸支され、側板20sの内方の端部には下部から上方に広がるテーパー状の開孔部79bを有する揺動片78が軸支されており、操作アーム24mの傾斜に伴い揺動片78が孔79aを中心として傾斜する。
【0060】
連結体77を揺動選別棚20の本体部に取り付ける場合、連結体77を構成する第二シーブ24の上部支軸24cを揺動軸24jの軸線上に位置させ、下部支軸24dを揺動片78の開孔部79bに軸架させる。その為、連結体77の着脱が容易に行なえ、又、操作アーム24mを傾斜させることにより容易に第二シーブ24の第二シーブ部材24bの傾斜角度を変更することができる。
【0061】
図22に示すように、揺動片78には下部から上方に広がるテーパー状の開孔部79bが形成され、
図22(b)に示した開孔部79bのピッチPAは
図20に示す第二シーブ24の上部支軸24cと下部支軸24dのピッチPBよりも長く形成されているので、連結体77を揺動選別棚20の本体部に簡易に取り付けることができる。又、
図22(c)に示すように、側面視において揺動片78の下部が上部より左側に突状に形成されている為に、第二シーブ24の下部支軸24dを簡易に揺動片78の開孔部79bに軸架することができる。
【0062】
(第一唐箕の送風方向変化)
第一唐箕16の唐箕ケーシング16cの送風口65は、上方に位置する天面部67と下方に位置する底面部68との間に開口しており、これら天面部67と底面部68との上下中間に風割66が設けられている。これにより、送風口65は、風割66と天面部67との間の上側風路74と、風割66と底面部68との間の下側風路75とに区画されている。
【0063】
図示例の風割66は、下方に頂点70を有する逆三角形状の断面を有する形状をなしている。これによって、図示例の風割66における上面69は第一唐箕16の唐箕ケーシング16cの天面部67とほぼ同傾斜の平坦面により形成され、風割66の下面は下側前部傾斜面71と下側後部傾斜面72とを有する屈曲面により形成されている。風割66がこのような形状を有していると、上側風路74から送出される風は風割66の上面に沿って下方にはあまり拡散せずに揺動選別棚20に向かって流れ、下側風路75から送出される風は風割66の下側後部傾斜面72に沿って上方にも拡散しつつ揺動選別棚20の更に下流側の範囲までに向かって流れるようになる(
図5参照)。
【0064】
風割66は、送風方向と直交する水平の回動軸66x(
図10参照)を回動中心とし、且つ上面69及び下面71,72が送風方向下流側に向かって斜め上向きとなる角度範囲内で回動自在に構成されており、また、風割66の回動軸66xは風割の送風方向中間に位置しており、回動軸66xの上流側及び下流側が上下するように回動するようになっている。風割66の回動軸66xは、その両端部が選別室18の両側壁18s,18sに軸支されている。さらに、風割66の回動により風割66の水平面に対する傾斜角を最大まで増加させたとき、風割66における第一唐箕16側の端部が送風口65の底面部68と近接又は接触するように構成されている(
図5及び
図6参照)。
【0065】
また、天面部67も、送風方向と直交する水平の回動軸67xを回動中心とし、且つ下面が送風方向下流側に向かって斜め上向きとなる角度範囲内で、風割66と同方向に回動するように構成されている。天面部67の回動軸67xは、図示例では天面部67の第一唐箕16側端部に位置しているが、送風方向中間や、送風方向下流側端部に位置させることもでき、いずれにせよ天面部67の下流側が上下するように回動すれば良い。天面部67の回動軸67xも、その両端部が選別室18の両側壁18s,18sに軸支されている。
【0066】
このような構造においては、第一唐箕16から供給される一定量の風の上側風路74及び下側風路75に対する配分比率は、上側風路74及び下側風路75の開口度の比率によって定まる。よって、下側風路75の開口度が減少する方向に、天面部67及び風割66が同じ方向に連動して回動すると、下側風路75の風量は減少し、反対に上側風路74の風量は増加するとともに、下側風路75の風向は風割66の下面の角度変化に応じて変化し、上側風路74の風向は天面部67の角度変化および風割66の下面の角度変化に応じて変化する。一方、下側風路75の開口度が増加する方向に、天面部67及び風割66が同じ方向に連動して回動すると、下側風路75の風量は増加し、反対に上側風路74の風量は減少する。下側風路75の風向は風割66の下面の角度変化に応じて変化し、上側風路74の風向は天面部67の角度変化および風割66の下面の角度変化に応じて変化する。つまり、上側風路74及び下側風路75の風向及び風量を同時に調整できるようになる。
【0067】
(処理量検出センサ)
風割66及び天面部67の傾斜角は処理物量に関係なく固定としても良いが、揺動選別棚20の棚上処理物の量を検出する処理量検出センサ95を設け、この処理量検出センサ95の検出結果に基づき、棚上処理物の量(層厚)が増加したときに風割66及び天面部67の水平面に対する傾斜角を減少させ、棚上処理物の量が減少したときに風割66及び天面部67の水平面に対する傾斜角を増加させる制御装置(図示略)を設けるのも好ましい。これにより、処理物量に増減があっても、揺動選別棚20上の処理物量検出結果に応じて、風割66及び天面部67の傾斜角が適切に自動調整され、最適な穀粒損失と選別状態を得ることができる。
【0068】
処理量検出センサ95は、公知の接触又は非接触センサを用いることにより構成することができる。図示例では、二番処理室40の受板42における終端側(二番処理物還元口側又は前端側)部分と、刺さり粒回収室11Eの中間隔壁11Kの下端部とがセンサステー95Sにより連結され、このセンサステー95Sにポテンションメータ等の回転量検出装置96が取り付けられるとともに、この回転量検出センサ96の検出軸96xにフロート97が吊り下げ状態で取り付けられており、このフロート97が、揺動選別棚20の移送棚22上を移動する被処理物に接触して、被処理物の移動方向に回転しつつ持ち上がり、その回転量が、移送棚22上を移動する被処理物の層厚として回転量検出装置96により検出されるように構成されている。
【0069】
この場合、フロート97の作動をより円滑にするために、フロート97における回動中心方向一方側、特に図示例のように移送棚22の移送方向下流側に、フロート97の回動中心に対して略直交する方向(センサフロート97の回動方向と略平行)に延在する第二寄せ板98を立設するのも好ましい形態である。これにより、移送棚22による揺動作用により棚上処理物の移動方向がずれていくとしても、そのフロート97近傍では第二寄せ板98により移動方向が規制されるため、棚上処理物の流れ方向と、これに接触するフロート97の回動方向とが略一致し、フロート97がより一層円滑に動作するようになる。
【0070】
また、フロート97の形状は、図示例のように、少なくとも棚上処理物と接触する部分(図示例では棚上処理物が無い非接触状態で、棚上処理物の移動方向上流側の面)が、棚上処理物の摺動方向の中間部ほど張り出す弧状曲面であるのが好ましい。
【0071】
他方、一般に移送棚22上においては処理物量が偏在し、特に二番処理物還元口43の下方近傍における処理物量が最も多くなる。よって、処理量検出センサ95は、二番処理物還元口43の近傍における揺動選別棚20の棚上処理物の量を検出するように構成するのが望ましい。このため、図示例ではフロート97を二番処理物還元口43の近傍に配置している。
【0072】
(一番棚先)
一番棚先29は、揺動選別棚20から落ちてくる被処理物を受けて、これに第一唐箕16からの選別風を当て、穀粒は一番棚先29の傾斜に沿って滑落させて一番受樋19Aに供給し、その他は選別風に乗せて後方に吹き飛ばすことにより選別を行うためのものである。本実施形態では、一番棚先29は前後方向中間部に位置する回動支点29xを中心として、後方に向かって斜め上向きとなる角度範囲内で回動するように構成されている。これにより、多収量品種においては、一番棚先29の角度を急傾斜にすることで、一番の回収率を高くすることが可能となり、また、藁屑、青葉、稈切れ等が混入しやすい品種においては、一番棚先29の角度を緩くすることで、一番棚先29上にて塵介の排出が行なわれ易くなる。そして、選別の悪化を防止できるようになる。
【0073】
なお、一番棚先29の回動支点29xは、前端部等の任意の部位に設けることができるが、図示形態のように一番棚先29をその前方の棚先シールS1との接続部29bと、これより後側の回動部分29tとに分割するとともに、両者の境界に回動支点29xを設け、接続部29bを固定としてその後側の回動部分29tを回動する構成とすると、一番棚先29と前方の棚先シールS1との接続部29bの上下動がなくなり、揺動選別棚20の運動時の棚先シールS1の浮き上がりやめくれ等の不具合が無く、選別に対する悪影響を低減できるため好ましい。
【0074】
(その他)
いうまでもないが、本発明は
図23に示されるように、一番棚先29の下側における一番コンベア26と二番コンベア27との間には、横断流ファンからなる第二唐箕17が設けることもでき、この場合、第二唐箕17のケーシングは、前側の部分が一番受樋19Aの後側から一番棚先29までの下面で形成され、後側の部分は二番受樋19Bの前側で形成されている。