(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
操作者が搭乗するキャビン(6)の下方に、外側部に濾過体(12)を有するエンジンルーム(8)を設け、該エンジンルーム(8)内におけるエンジン(20)と濾過体(12)の間の部位に、エンジン(20)の冷却水を冷却するラジエータ(60)を配置し、前記エンジン(20)とラジエータ(60)の間の部位には濾過体(12)を介して外気を吸入するファン(40)を配置し、前記ラジエータ(60)と濾過体(12)の間の部位には車体に備えた油圧機器の作動油を冷却するオイルクーラ(70)を配置し、該オイルクーラ(70)と濾過体(12)の間の部位に、エンジン(20)に吸気される空気を冷却するインタークーラ(80)と、キャビン(6)の空調機器の冷媒を冷却するコンデンサ(90)を上下方向にずらして配置し、前記コンデンサ(90)の上部を、前記ファン(40)の軸心方向視において前記ラジエータ(60)の上端部よりも上側に偏倚させて配置すると共に、前記インタークーラ(80)の下端部を、前記ファン(40)の軸心方向視において該ファン(40)の回転軌跡の下端部近傍に配置し、前記コンデンサ(90)を、前記インタークーラ(80)よりも濾過体(12)に近接する部位に配置し、前記ラジエータ(60)の内側部には、ファン(40)を取り囲むシュラウド(61)を設け、前記ファン(40)を正逆転駆動する油圧無段変速装置を、ファン(40)の回転軌跡の外側に偏倚させて前記エンジン(20)の上方左側の部位に配置し、前記油圧式無段変速装置から外側方へ向けて延設された出力軸(33)の端部に出力プーリ(34)を設け、該出力プーリ(34)からファン(40)の入力軸(41)に設けられた入力プーリ(42)へベルト伝動する構成とし、前記入力軸(41)を、基部がシュラウド(61)に支持され先端部が入力軸(41)に向かって延設されたフレーム(64)に、回転自在に軸支し、前記ファン(40)を正転駆動することで、濾過体(12)を介して外気を吸入してラジエータ(60)とエンジン(20)を冷却し、ファン(40)を逆転駆動することで、濾過体(12)を介して機体内側の内気を外側へ排気して濾過体(12)に付着した藁屑や塵埃を除去する構成とした作業車輌の原動部構造。
前記ラジエータ(60)とオイルクーラ(70)の間の部位に、該ラジエータ(60)に対向する部位に開口部(65B)を有する分離板(65)を配置した請求項1記載の作業車輌の原動部構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の発明における原動部は、インタークーラとコンデンサは多くの部分で重なり合って配置されているために、コンデンサによって外気の吸引が妨げられインタークーラの温度が所定温度以上に上昇し、エンジンの出力を低下する虞があった。
また、ラジエータの外側のオイルクーラ、インタークーラ、及びコンデンサが相互に重なり合って配置されているために、オイルクーラの外面に十分な外気を吸引することができずオイルクーラの温度が所定温度以上に上昇する虞があった。
【0005】
そこで、本発明の主たる課題は、かかる問題点を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
請求項1に係る発明は、操作者が搭乗するキャビン(6)の下方に、外側部に濾過体(12)を有するエンジンルーム(8)を設け、該エンジンルーム(8)内におけるエンジン(20)と濾過体(12)の間の部位に、エンジン(20)の冷却水を冷却するラジエータ(60)を配置し、前記エンジン(20)とラジエータ(60)の間の部位には濾過体(12)を介して外気を吸入するファン(40)を配置し、前記ラジエータ(60)と濾過体(12)の間の部位には車体に備えた油圧機器の作動油を冷却するオイルクーラ(70)を配置し、該オイルクーラ(70)と濾過体(12)の間の部位に、エンジン(20)に吸気される空気を冷却するインタークーラ(80)と、キャビン(6)の空調機器の冷媒を冷却するコンデンサ(90)を上下方向にずらして配置し、前記コンデンサ(90)の上部を、前記ファン(40)の軸心方向視において前記ラジエータ(60)の上端部よりも上側に偏倚させて配置すると共に、前記インタークーラ(80)の下端部を、前記ファン(40)の軸心方向視において該ファン(40)の回転軌跡の下端部近傍に配置し、前記コンデンサ(90)を、前記インタークーラ(80)よりも濾過体(12)に近接する部位に配置し
、前記ラジエータ(60)の内側部には、ファン(40)を取り囲むシュラウド(61)を設け、前記ファン(40)を正逆転駆動する油圧無段変速装置を、ファン(40)の回転軌跡の外側に偏倚させて前記エンジン(20)の上方左側の部位に配置し、前記油圧式無段変速装置から外側方へ向けて延設された出力軸(33)の端部に出力プーリ(34)を設け、該出力プーリ(34)からファン(40)の入力軸(41)に設けられた入力プーリ(42)へベルト伝動する構成とし、前記入力軸(41)を、基部がシュラウド(61)に支持され先端部が入力軸(41)に向かって延設されたフレーム(64)に、回転自在に軸支し、前記ファン(40)を正転駆動することで、濾過体(12)を介して外気を吸入してラジエータ(60)とエンジン(20)を冷却し、ファン(40)を逆転駆動することで、濾過体(12)を介して機体内側の内気を外側へ排気して濾過体(12)に付着した藁屑や塵埃を除去する構成とした作業車輌の原動部構造である。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記ラジエータ(60)とオイルクーラ(70)の間の部位に、該ラジエータ(60)に対向する部位に開口部(65B)を有する分離板(65)を配置した請求項1記載の作業車輌の原動部構造である。
【0008】
【0009】
【0010】
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、インタークーラ(80)とコンデンサ(90)を上下方向にずらして配置しているので、コンデンサ(90)及びインタークーラ(80)によるファン(40)の吸気抵抗の増加を抑制し、ラジエータ(60)を効率的に冷却することができ、エンジン(20)の出力の低下を防止することができる。
【0012】
また、コンデンサ(90)の上部をラジエータ(60)の上端部よりも上側に偏倚させて配置しているので、コンデンサ(90)によるファン(40)の吸引効率の低下を少なくし、コンデンサ(90)の内側に並設されたオイルクーラ(70)、ラジエータ(60)等を効率良く冷却することができる。
【0013】
そして、インタークーラ(80)の下端部をファン(40)の回転軌跡の下端部近傍に配置しているので、コンデンサ(90)とインタークーラ(80)の冷却効率を高めることができる。
【0014】
また、コンデンサ(90)をインタークーラ(80)よりも濾過体(12)に近接する部位に配置しているので、コンデンサ(80)の内側に形成された空間にインタークーラ(80)とエンジン(20)を接続するホースを配設することができる。また、該空間にファン(40)で吸引された外気を滞留させオイルクーラ(70)を能率良く冷却することができる。
さらに、ファン(40)を駆動する油圧無段変速装置を、ファン(40)の回転軌跡の外側に偏倚させて前記エンジン(20)の上方左側の部位に配置したので、ファン(40)による吸入と排気が能率良く行なわれる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、ラジエータ(60)とオイルクーラ(70)の間の部位に、ラジエータ(60)に対向する部位に開口部(65B)を有する分離板(65)を配置しているので、エンジンルーム(8)の分離板(65)よりも内側の部位への排藁等の粉塵の侵入を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ詳説する。なお、理解を容易にするために便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
【0018】
コンバインは、
図1〜3に示すように、機体フレーム1の下方には土壌面を走行するための左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の上方左側には脱穀・選別を行う脱穀装置3が設けられ、脱穀装置3の前方には圃場の穀桿を収穫する刈取装置4が設けられている。脱穀装置3で脱穀・選別された穀粒は脱穀装置3の右側に設けられたグレンタンク5に貯留され、貯留された穀粒は排出筒7により外部へ排出される。また、機体フレーム1の上方右側には操作者が搭乗する操作部を備えたキャビン6が設けられ、キャビン6の下方にはエンジンルーム8が設けられている。
【0019】
図4〜7に示すように、エンジンルーム8の内側にはエンジン20が配置され、エンジン20の外側(外気が吸入される上流側)には、一定の間隔を隔ててラジエータ60が配置され、エンジン20とラジエータ60の間には正転・逆転駆動するファン40が配置されている。また、ラジエータ60の外側にはオイルクーラ70A,70Bが上下に配置され、下側に配置されたオイルクーラ70Bの外側にはインタークーラ80が配置され、上側に配置されたオイルクーラ70Aの外側には、一定の間隔を隔ててコンデンサ90が配置されている。
【0020】
エンジン20は、エンジ20で発生する振動の伝達を防止するためにエンジンマウント24を介して機体フレーム1に取付けられ、エンジン20の出力軸であるクランク軸(図示省略)は、左右方向での内側に向かって延設している。また、クランク軸の回転(駆動力)は、ベルトを介してファン40を駆動するエンジン20の上側に設置された油圧式無段変速装置(図示省略)に伝動される。
【0021】
油圧式無段変速装置(HST)は、入力軸に伝動された回転の増減速と、ファン40の正転・逆転駆動状態の切換えを行なう機器であり、油圧式無段変速装置は、ファン40の吸入・排気を能率良く行なうためにファン40の回転軌跡の外側に偏倚したエンジン20の上方左側に配置されている。なお、回転の増減速、正転・逆転駆動状態の切換えは、キャビン6内に設けられた操作スイッチ等によって遠隔操作することができる。
【0022】
油圧式無段変速装置によって増減速等された回転は、油圧式無段変速装置から外側に向かって延設した出力軸33の端部に支持されているプーリ(出力プーリ)34に伝動される。
【0023】
油圧式無段変速装置からエンジン20を超えて延設した出力軸33の撓みを防止するために出力軸33を軸支する出力管33Aの左右方向の中間部は、支持部材6Bを介してキャビン6の下部に配置されたフレーム6Aに支持されている。
【0024】
後述するベルト35の張力による出力軸33の先端部の撓みを防止するために、
図8に示すように、出力軸33を軸支する出力管33Aの先端部は、フレーム36,37によって支持されている。なお、フレーム36は、後述するフレーム64の中間部から緩やかに前上がり傾斜して配置され、フレーム37は、フレーム64の中間部から上方に向かって垂直に配置されている。
フレーム36の基部に設けられたブラケット36Aは、フレーム64の中間部に取付けられ、フレーム36の先端部に設けられた支持部材36Bは、出力管33Aと対向する部位に略円弧状の切欠き部が形成されている。同様に、フレーム37の基部に設けられたブラケット37Aは、フレーム64の中間部に取付けられ、フレーム37の先端部に設けられた支持部材37Bは、出力管33Aと対向する部位に略円弧状の切欠き部が形成されている。
【0025】
プーリ34に伝動された回転は、ベルト35を介してプーリ(入力プーリ)42に伝動される。また、プーリ34は、
図8に示すように、ファン40によって吸引された外気の流れを良好に維持するためにファン40の回転軌跡の外側に偏倚して配置されており、ベルト35は、ベルト35の耐久性を向上させるために、ファン40の正転駆動状態時にベルト35の緩み側をテンションアーム35Aの先端に設けられたローラ35Bによって押圧している。
なお、エンジン20等の保守点検時等には、テンションアーム35Aの基部に接続されているスプリング35Cを連結部材35Dから外して、ベルト35のテンションを緩めた後に、プーリ42からベルト35を取外すことによって行なうことができる。
【0026】
プーリ42に伝動された回転は、入力軸42を介してファン40に伝動される。ファン40は、正転駆動状態にあっては、エンジンカバー11の濾過体12(12A〜12D)を介して外気を吸入し、ラジエータ60、エンジン20を冷却し、逆転駆動状態にあっては、濾過体12A〜12Dを介して機体内側の内気を排気し、併せて、濾過体12A〜12Dに付着した藁屑、塵埃等を除去する機器である。また、ファン40の吸入、排気による濾過体12A〜12Dの変形を防止するために、
図10に示すように、濾過体12A〜12Dに対応する部位を外側に向けて絞った凸部12a〜12dとして剛性を高め、凸部12a〜12dに多数の孔を開口するのが好適である。
【0027】
ファン40は、羽根40Aと羽根40Aの基部を支持する中心部40Bにより構成され、ファン40の中心部40Bには、一端にプーリ42を支持する入力軸41の他端が取付けられている。また、入力軸41は、基部がシュラウド61に支持され、先端部が入力軸41に向かって延設したフレーム64に設けられたベアリング64Aによって回転自在に軸支されている。
【0028】
ファン40の外側には、ラジエータ60が配置されている。ラジエータ60は、エンジン20によって加熱された冷却水を冷却する機器であり、ラジエータ60の下部は、フレーム66を介して機体フレーム1に取付けられ、上部は、エンジン20の冷却水経路であるマニホールドに接続されている。また、ラジエータ60の内側には、ファン40の吸入効率を高めるためにファン40を取り囲むシュラウド61が設けられている。シュラウド61の形状は、ファン40の外周に沿わせて円形状あるいは多角形状に形成し、ファン40による外気の吸入の抵抗を小さくするため薄板状の鋼板により成形加工するのが好適である。
【0029】
ラジエータ40の上側後方には、エアクリーナ50が配置されている。エアクリーナ50は、エンジン20に供給する空気の不純物を除去する機器である。
エアクリーナ50に内装されてフィルタ等の保守・点検を容易にするためにエアクリーナ50の吸気口50Aを外側に、排気口50Bを内側に配置し、エアクリーナ50の後端部をエンジンカバー11の内側に近接して配置されている。なお、エアクリーナ50の外端部には、開閉カバーが設けられており、内装するフィルタ等の着脱作業を行なうことができる。
【0030】
ラジエータ60の外側には、排藁等の粉塵の内側への浸入を防止するために鋼材等からなる分離板65が配置されている。分離板65の下部は、フレーム66に取付けられ、上部は、ブラケット67,67を介してエンジンルーム8の上部に配置された前後側フレームに取付けられている。また、分離板65には、
図9に示すように、外気の吸入を能率良く行なうためにエアクリーナ50、ラジエータ60の右面に対向する部位にそれぞれ開口部65A,65Bが形成されている。
【0031】
分離板65の外側には、オイルクーラ70A,70Bが配置されている。オイルクーラ70Aは、ミッションの駆動用オイルを冷却する機器であり、オイルクーラ70Bは、昇降用シリンダの駆動用オイルを冷却する機器であり、それぞれ、ラジエータ60の外側に配置された分離板65にボルト等の締結部材によって着脱自在に取付けられている。
オイルクーラ70Aは、外気の吸入を能率良く行なうために、
図6に示すように、ラジエータ60の上側部の前後方向の両端部を覆わないように、ラジエータ60の上側部の前後方向の略中央部に配置されている。 また、同様にオイルクーラ70Aよりも小型のオイルクーラ70Bは、ラジエータ60の下側部の前後方向の両端部を覆わないように、ラジエータ60の下側部の前後方向の略中央部に配置されている。
【0032】
オイルクーラ70Bの外側には、インタークーラ80が配置されている。インタークーラ80は、エンジン20の燃焼効率を高めるため、燃焼用の混合気を冷却する機器であり、インタークーラ80の前端部は、前側フレーム62Aに支持され、後端部は、上下2本の連結部材69C,69Cを介して後側フレーム62Bに支持されている。なお、前側フレーム62Aの上下部は、分離板65の前部にそれぞれ着脱自在に取付けられており、後側フレーム62Bの上下部は、分離板65の後端部にそれぞれ着脱自在に取付けられている。
インタークーラ80は、
図6に示すように、外気の吸入を能率良く行なうために、ラジエータ60の下側部の前後方向の両端部を覆わないように、また、オイルクーラ70Bの全体を覆わないように、ラジエータ60の下側部の前後方向の後側に偏倚して配置されている。また、インタークーラ(80)の下端部は、ファン(40)の軸心方向視において、該ファン(40)の回転軌跡の下端部近傍に配置されている。なお、インタークーラ80は、温度によって特性が大きく影響を受ける機器であり、温度による影響が小さいオイルクーラ70Bよりも外側に配置するのが好適である。
【0033】
インタークーラ80の吸気口80Aは、ゴム製のホース81によってエンジン20のタービン側のマニホールド22に接続され、インタークーラ80の排気口80Bは、ゴム製のホース82によってエンジン20のコンプレサー側のマニホールド22にそれぞれ接続されている。ホース81,82は、設置を簡易に行なうために分離板65よりも外側に配置された外側ホースと内側に配置された内側ホースを、分離板65に取付けられた連通口を有するフランジ81C,82Cによって接続した分割構造とするのが好適である。
【0034】
オイルクーラ70Aの外側には、オイルクーラ70Aの冷却能率を良くするために一定の間隔(インタークーラ80の左右方向の略幅寸法)を隔ててコンデンサ90が配置されている。コンデンサ90は、キャビン6の空調設備に利用される冷媒を冷却する機器であり、コンデンサ90の前端部は、インタークーラ80を超えて延存する前側フレーム62Aの先端部に支持され、後端部は、略T形状に形成された連結部材69Aと略I形状に形成された連結部材69Bを介してインタークーラ80を超えて延存する後側フレーム62Bの先端部に支持されている。
コンデンサ90は、
図6に示すように、外気の吸入を能率良く行なうために、ラジエータ60の上側部の前後方向の両端部を覆わないように、ラジエータ60の上側部の前後方向の略中央部に配置され、また、オイルクーラ70Aと重なる部位を低減するように、ラジエータ60の上側部及びオイルクーラ70Aの上下方向の上側に偏倚して配置されている。なお、コンデンサ90は、温度によって特性が大きく影響を受ける機器であり、温度による影響が小さいオイルクーラ70Aよりも外側に配置するのが好適であり、コンデンサ90の上端部は、分離板65の開口部65Aよりも上側に偏倚して配置されている。
【0035】
キャビン6のドア6Dの開閉を容易に行ない、ドア6Dの開閉時にエンジンカバー11の不用意な開閉を防止するために、
図7に示すように、平面視においてドア6Dの外周に対向するキャビン6の外側部位に設けられたシール部材6Eを、エンジンカバー11の外周に対向する分離板65の外周部位に設けられたシール部材65Eよりも外側に配置するのが好適である。
また、シール部材6Eの露出による早期劣化を防止し、シール部材6Eの脱落を防止するために、エンジンカバー11の開閉軸11A側の上下方向に配置されたシール部材6Eの外側にカバー11Bを配置するのが好適である。
【0036】
次に、本実施形態における制御装置100の接続図について説明する。制御装置100の入力側には、
図11に示すように、エンジン20を冷却する冷却水の水温を測定する水温センサ110、脱穀クラッチ、刈取りクラッチ等の作業クラッチの入切状態を検出する作業スイッチ111、エンジン20に供給される空気の温度を測定する温度センサ112、キャビン6の空調設備に利用されるコンデンサ90の装備状態を検出する装備センサ113、エンジン20の出力軸の回転速度を測定する回転センサ114が接続されている。
【0037】
一方、制御装置100の出力側には、油圧式無段変速装置のトラニオン軸を中立・傾斜状態を切換える入力モータ120、油圧式無段変速装置のトラニオン軸をファン40を正転駆動する正側傾斜・ファン40を逆転駆動する逆側傾斜に切換える出力モータ121、油圧式無段変速装置の入力側の油圧ポンプに設けられた斜板トラニオン軸の傾斜状態を切換える斜板用モータ122が接続されている。
【0038】
次に、制御装置100のファン40を駆動するフローチャートについて説明する。水温センサ110により測定されたエンジン20を冷却する冷却水の水温が40度以上の場合には、
図12に示すように、入力モータ120を駆動してトラニオン軸を傾斜状態に移動してファン40の正転・逆転駆動を開始する。一方、冷却水の水温が40度未満の場合には、エンジン20のコールドスタートによる劣化を防止するために、入力モータ120を駆動してトラニオン軸を中立状態に移動してファン40の正転・逆転駆動の停止状態を維持する。
【0039】
作業センサ111により脱穀クラッチ、刈取クラッチが接続され脱穀装置3、刈取装置4が駆動と判断された場合には、出力モータ121を駆動して所定時間毎にトラニオン軸の正側・逆側傾斜に移動してファン40の正転・逆転駆動状態を維持する。一方、脱穀クラッチ、刈取クラッチが非接続と判断された場合には、油圧式無段変速装置、油圧式無段変速装置を駆動するモータ等の劣化を防止するために、出力モータ121を駆動してトラニオン軸を正側傾斜に移動してファン40の逆転駆動を停止する。
【0040】
温度センサ112により測定されたエンジン20に供給される燃焼空気の温度が65度未満の場合には、出力モータ121を駆動して所定時間毎にトラニオン軸の正側・逆側傾斜に移動してファン40の正転・逆転駆動状態を維持する。一方、燃焼空気の温度が65度以上の場合には、エンジン20の温度上昇を抑制するために、出力モータ121を駆動してトラニオン軸を正側傾斜に移動してファン40の逆転駆動を停止する。
【0041】
装備センサ113によりキャビン6の空調設備に利用されるコンデンサ90がエンジンルーム8に配置されていない判断された場合には、斜板の傾斜角度を維持してファン40の正転・逆転駆動状態を維持する。一方、コンデンサ90がエンジンルーム8に配置されていると判断された場合には、コンデンサ90が障害となり吸引される空気の低減を抑制するために、斜板用モータ122を駆動して斜板の傾斜角度を大きくしてファン40の回転を増速する。
【0042】
次に、エンジン20の温度上昇を防止するファン40の他の駆動方法について説明する。ファン40の逆転駆動状態中に上昇したエンジン20の温度を下降させるために、
図13(a)に示すように、ファン40が逆転から正転駆動状態に切換わった場合に、所定時間、斜板用モータ122を駆動して斜板の傾斜角度を大きくしてファン40の回転を増速する。これにより、逆転から正転駆動状態への切換時に、大量の外気をエンジンルーム8の内部に吸引し、エンジン20を冷却することができる。また、ファン40の回転は、斜板用モータ122の移動によって設定回転数から20%まで増速することが可能である。なお、
図13(b)は、ファン40の回転の増速を行なわない駆動方法を示している。
【0043】
次に、エンジン20の温度上昇を防止するファン40のさらに他の駆動方法について説明する。ファン40の逆転駆動状態中のエンジン20の温度上昇を抑制するために、
図14(a)に示すように、出力モータ121を駆動してファン40の逆転駆動時間を短くする。これにより、エンジン20の温度が上昇する時間を短くし、エンジン20の温度上昇を抑制することができる。なお、
図14(b)は、ファン40の逆転駆動時間を短くしない駆動方法を示している。
【0044】
次に、再起動させたエンジン20の温度上昇を防止するファン40の駆動方法について説明する。再起動時させたエンジン20の始動(アイドリング)時の温度上昇を抑制するために、
図15(a)に示すように、回転センサ114により測定されたエンジン20の出力軸の回転速度が略810rpm以下の場合に、斜板用モータ122を駆動して斜板の傾斜角度を大きくしてファン40の回転を増速する。これにより、エンジン20の始動時からファン40の回転を一定以上に維持し、十分な外気をエンジンルーム8の内部に吸引することができる。なお、
図15(b)は、始動時のファン40の回転を増速しない駆動方法を示している。