(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5672574
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】現場で組付け可能な光ファイバコネクタ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/38 20060101AFI20150129BHJP
【FI】
G02B6/38
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-500297(P2013-500297)
(86)(22)【出願日】2010年3月24日
(65)【公表番号】特表2013-522682(P2013-522682A)
(43)【公表日】2013年6月13日
(86)【国際出願番号】CN2010071270
(87)【国際公開番号】WO2011116521
(87)【国際公開日】20110929
【審査請求日】2013年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】512247810
【氏名又は名称】サンシー テレコミュニケーションズ カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ソン,チシン
(72)【発明者】
【氏名】ディン,センゲン
【審査官】
河原 正
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/005298(WO,A1)
【文献】
特表2007−531015(JP,A)
【文献】
特開2006−030663(JP,A)
【文献】
特表2008−520005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/36−6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現場で組付け可能な光ファイバコネクタであって、少なくとも、
光ファイバ接合部材収容室が内部に設けられている四角柱部を有しており、前記四角柱部のうちの一つの側面にはロック溝が設けられており、当該ロック溝はそれが設けられている側面と光ファイバ接合部材収容室の内側面を貫通しており、前記四角柱部に対向する一端にはフェルール挿入孔が設けられており、前記フェルール挿入孔と光ファイバ接合部材収容室との間には光ファイバ通路が設けられている、光ファイバ接合用スリーブと、
光ファイバ接合部材収容室内に収容されており、対向する第1の半体と第2の半体とを備えており、そして第1の半体上には長手方向の光ファイバ接合溝が設けられており、前記第1の半体上には前記ロック溝と対応するリブを有しており、前記リブはロック溝が設けられている側面に突出している、光ファイバ接合部材と、
内部に接合用光ファイバが予め設けられており、前記フェルール挿入孔に挿入されるフェルールであり、前記接合用光ファイバの一端が前記フェルール内に位置し、前記接合用光ファイバの他端が光ファイバ通路を経て光ファイバ接合溝に進入しており、そして現場の光ファイバが反対方向から光ファイバ接合溝内に進入して前記接合用光ファイバと対面接合する、フェルールと、
長手方向に延在する締付け通路を備えており、
前記締付け通路は平行した上部と上部の幅よりも広い下部とを有しており、前記四角柱部が前記通路の下部を経て前記通路の上部にまでスライド移動したとき、前記締付け通路の内壁が前記リブを押し付けて第1の半体と第2の半体とで接合用光ファイバおよび現場の光ファイバを前記接合溝内に挟持する光ファイバ接合部材クランプと、を備えたことを特徴とする現場で組付け可能な光ファイバコネクタ。
【請求項2】
前記光ファイバ接合溝の両端にはガイド斜面が設けられており、前記第2の半体における対応位置にガイド斜面が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の現場で組付け可能な光ファイバコネクタ。
【請求項3】
前記コネクタが前記光ファイバ接合用スリーブと取外し可能であり現場の光ケーブルを固定するための固定末端をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の現場で組付け可能な光ファイバコネクタ。
【請求項4】
前記固定末端はベースとエンドスリーブとを含んでおり、前記ベースは現場の光ケーブルを受入れて現場の光ケーブルを固定するための光ケーブルチャネルを有しており、前記ベースには光ファイバ接合用スリーブに取外し可能に取付けられている接合部と、現場の光ケーブルを挟持するために圧縮開口が設けられているテーパ状部とが設けられており、前記エンドスリーブは前記テーパ状部上に被設されたときに前記テーパ状部が収縮して前記現場の光ケーブルを挟持することを特徴とする請求項3に記載の現場で組付け可能な光ファイバコネクタ。
【請求項5】
前記光ケーブルチャネルの内壁には現場の光ケーブルを挟持するための突起が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の現場で組付け可能な光ファイバコネクタ。
【請求項6】
前記光ファイバ接合用スリーブ上にはかえし付ツメが設けられており、前記ベースの接合部上には前記かえし付ツメと係合する係止位置が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の現場で組付け可能な光ファイバコネクタ。
【請求項7】
前記光ファイバコネクタは前記光ファイバ接合用スリーブに取外し可能に取付けられているジャケットをさらに備えており、前記ジャケットと前記光ファイバ接合用スリーブとの間には付勢手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の現場で組付け可能な光ファイバコネクタ。
【請求項8】
前記付勢手段はスプリングとストッパとを備えており、前記スプリングは前記光ファイバ接合用スリーブ上に設けられており、前記光ファイバ接合用スリーブはスプリングに対応するスプリング留め部を有しており、前記スプリング留め部は前記光ファイバ接合用スリーブ上にてスプリングをスプリング留め部とストッパとの間に規制しており、前記ストッパが前記ジャケット内に係止されて前記光ファイバ接合用スリーブを前記ジャケット内に固定することを特徴とする請求項7に記載の現場で組付け可能な光ファイバコネクタ。
【請求項9】
前記ストッパ上には引っ掛けつめが設けられており、前記ジャケット上には前記引っ掛けつめと係合する係止位置が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の現場で組付け可能な光ファイバコネクタ。
【請求項10】
前記光ファイバコネクタが前記ジャケットと光ファイバ接合部材クランプを覆うハウジングをさらに備えたことを特徴とする請求項7に記載の現場で組付け可能な光ファイバコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ファイバコネクタに関し、より具体的には、現場で組付け可能な光ファイバコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
FTTH(Fiber To The Home)ファイバ・トゥ・ザ・ホームの発展は光ファイバを加入者側まで延伸させているが、そして加入者側の最も顕著な特徴として、数量が巨大で、スポット状に配線され、低コストであることが求められる。従来の光ファイバコネクタは通常工場での組み立て工程で光ファイバの末端に組付けられるものであって、工場で製造される光ファイバコネクタおよび溶接技術は信頼性が高く、光学特性が優れているという特徴を備えているが、工場での製造工程が複雑で、製造時間が長く、溶接では電源が必要となり、溶接設備は予熱が必要で、作業時間が長時間となりしかも複雑である。これはバックボーンネットワーク、都市間ネットワーク、そして小規模クラスの光ファイバアクセスポイントにとっては、光ファイバは接続が必要な点が集中し、しかも主に基地局内に集中することから、施工条件に恵まれ、電源および予熱の問題を解決することができる。
【0003】
しかしながら、FTTHが分散し、しかも全体量が巨大なものを接続するという問題に直面したとき、光ファイバコネクタはかなり大きな挑戦に直面することになる。例えば、工場にて光ファイバコネクタを光ファイバの末端に組付け、接続した後の光ファイバは長さが一定であることから、長さを長めに取り、巻回することで十分な長さを確保する必要があるが、複雑で変数の多い現場の状況に対応するのは難しい。もし現場で組付けるとなると、接続点が分散しているうえ量が少ないことから、工場での組み立て工程の低効率およびハイコストが光ファイバの応用を制限することになる。
【0004】
したがって、現場で組付け可能な光ファイバコネクタが複数登場しており、例えば特許文献1、特許文献2および特許文献3中には、現場で組付け可能な光ファイバコネクタが数種類開示されている(この3件の特許は米国コーニング社のものである)。確かにこれら特許に開示されている光ファイバコネクタは現場での組付けに応用することができるものの、専用の工具がなければ組付けを完了することができず、使用には一定の制限があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許5040867号
【特許文献2】中国特許出願番号ZL200580009235.6号
【特許文献3】中国特許出願番号ZL200580041651.4号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は組付け工具を必要とせずとも現場で迅速な組付けおよび取外しを実現する光ファイバコネクタを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明がその技術的課題を解決するのに採用する技術的思想は次のとおりである。現場で組付け可能な光ファイバコネクタは、少なくとも、
光ファイバ接合部材収容室が内部に設けられている四角柱部を有しており、前記四角柱部のうちの一つの側面にはロック溝が設けられており、当該ロック溝はそれが設けられている側面と光ファイバ接合部材収容室の内側面を貫通しており、前記四角柱部に対向する一端にはフェルール挿入孔が設けられており、前記フェルール挿入孔と光ファイバ接合部材収容室との間には光ファイバ通路が設けられている、光ファイバ接合用スリーブと、
光ファイバ接合部材収容室内に収容されており、対向する第1の半体と第2の半体とを備えており、そして第1の半体上には長手方向の光ファイバ接合溝が設けられており、前記第1の半体上には前記ロック溝と対応するリブを有しており、前記リブはロック溝が設けられている側面に突出している、光ファイバ接合部材と、
内部に接合用光ファイバが予め設けられており、前記フェルール挿入孔に挿入されるフェルールであり、前記接続用光ファイバの一端が前記フェルール内に位置し、他端が光ファイバ通路を経て光ファイバ接合溝に進入しており、そして現場の光ファイバが反対方向から光ファイバ接合溝内に進入して光ファイバに対面接合する、フェルールと、
長手方向に延在する締付け通路を備えており、前記締付け通路は平行した上部と上部の幅よりも広い下部とを有しており、前記四角柱部が通路を経て通路上部にまでスライド移動したとき、前記締付け通路の内壁が前記リブを押し付けて第1の半体と第2の半体とで接続用光ファイバおよび現場の光ファイバを前記接合溝内に挟持する光ファイバ接合部材クランプと、を備えている。
【0008】
本発明の現場で組付け可能な光ファイバコネクタにおいて、前記光ファイバ接合溝の両端にはガイド斜面が設けられており、前記第2の半体における対応位置にガイド斜面が設けられている。
【0009】
本発明の現場で組付け可能な光ファイバコネクタにおいて、前記コネクタは前記光ファイバ接合用スリーブと取外し可能であり現場の光ケーブルを固定するための固定末端をさらに備えている。
【0010】
本発明の現場で組付け可能な光ファイバコネクタにおいて、前記固定末端はベースとエンドスリーブとを含んでおり、前記ベースは現場の光ケーブルを受入れて現場の光ケーブルを固定するための光ケーブルチャネルを有しており、前記ベースには光ファイバ接合用スリーブに取外し可能に取付けられている接合部と、現場の光ケーブルを挟持するために圧縮開口が設けられているテーパ状部とが設けられており、前記エンドスリーブは前記テーパ状部上に被設されたときに前記テーパ状部が収縮して前記現場の光ケーブルを挟持する。
【0011】
本発明の現場で組付け可能な光ファイバコネクタにおいて、前記光ケーブルチャネルの内壁には現場の光ケーブルを挟持するための突起が設けられている。
【0012】
本発明の現場で組付け可能な光ファイバコネクタにおいて、前記光ファイバ接合用スリーブ上にはかえし付ツメが設けられており、前記ベースの接合部上には前記かえし付ツメと係合する係止位置が設けられている。
【0013】
本発明の現場で組付け可能な光ファイバコネクタにおいて、前記光ファイバコネクタは前記光ファイバ接合用スリーブに取外し可能に取付けられているジャケットをさらに備えており、前記ジャケットと前記光ファイバ接合用スリーブとの間には付勢手段が設けられている。
【0014】
本発明の現場で組付け可能な光ファイバコネクタにおいて、前記付勢手段はスプリングとストッパとを備えており、前記スプリングは前記光ファイバ接合用スリーブ上に設けられており、前記光ファイバ接合用スリーブはスプリングに対応するスプリング留め部を有しており、前記スプリング留め部は前記光ファイバ接合用スリーブ上にてスプリングをスプリング留め部とストッパとの間に規制しており、前記ストッパが前記ジャケット内に係止して前記光ファイバ接合用スリーブを前記ジャケット内に固定する。
【0015】
本発明の現場で組付け可能な光ファイバコネクタにおいて、前記ストッパ上には引っ掛けつめが設けられており、前記ジャケット上には前記引っ掛けつめと係合する係止位置が設けられている。
【0016】
本発明の現場で組付け可能な光ファイバコネクタにおいて、前記光ファイバコネクタは前記ジャケットと光ファイバ接合部材クランプを覆うハウジングをさらに備えている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の現場で組付け可能な光ファイバコネクタは次のような有益な効果を備える。本発明の現場で組付け可能な光ファイバコネクタにおいて、光ファイバ接合部材クランプはすでに光ファイバコネクタに内蔵されているため、別途工具を必要とすることなく光ファイバ接合クランプでの光ファイバ接合部材への緊締を実点できるため、現場での組付け時には、専用の工具を必要とせず、現場での迅速な組立および撤去を実現でき、現場での取付けに非常に適している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】現場で組付け可能な光ファイバコネクタの分解立体図。
【
図2】現場で組付け可能な光ファイバコネクタの断面図。
【
図4】ハウジング、ジャケット、スプリングおよびストッパの分解立体図。
【
図5】フェルールおよび光ファイバ接合用スリーブの分解図。
【
図7】光ファイバ接合部材を光ファイバ接合用スリーブに裝入する模式図。
【
図9】光ファイバ接合部材クランプと光ファイバ接合用スリーブとの組付け模式図である。
【
図10】光ファイバ接合部材が開いた状態にあるときの断面図。
【
図11】光ファイバ接合部材が閉じた状態にあるときの断面図。
【
図12】固定末端と光ファイバ接合用スリーブとの組付け模式図。
【
図14】組付け後の光ファイバコネクタの局部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の技術的特徴、目的および効果についてより明確に理解が得られるために、図面を参照して本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。
【0020】
図1、
図2および
図15に示すものは、本発明の現場で組付け可能な光ファイバコネクタの好ましい実施例であって、ハウジング1と、ジャケット2と、スプリング3と、ストッパ4と、フェルール5と、接合用光ファイバ6と、光ファイバ接合用スリーブ7と、第1の半体8および第2の半体9と、光ファイバ接合部材クランプ10と、固定末端のベース11と、エンドスリーブ12とを備えている。本実施例を詳細に説明するために、図中には現場の光ケーブル13をさらに含む。現場の光ケーブル131の現場の光ファイバ131は直径が約125μmのグラスファイバを有しており、グラスファイバの周囲には一つ以上の被覆層を備えており、被覆層は245μmから900μmとすることが可能となる異なる直径を有している。現場の光ケーブル13の外形寸法は2mm×3mm、直径約φ2mmからφ3mmなど多種類の規格がある。
【0021】
図3に示すように、本発明のハウジング1およびジャケット2は常用される光ファイバコネクタに用いられるものであり、周知しておくべきことは、ここではSC型光ファイバコネクタを実施例として本発明を説明するものであるが、本発明に対する制限と理解すべきではなく、本発明は同様にFC型、LC型、ST型およびその他タイプの光ファイバコネクタに適用することができるということである。
【0022】
図1、
図2および
図4ないし
図7を参照されたい。光ファイバコネクタの部分は本発明の主要箇所であって、光ファイバ接合用スリーブ7は一体として連続している円柱部70と、四角柱部71とを有している。四角柱部71内には光ファイバ接合部材収容室711が設けられており、四角柱部71のうちの一つの側面にはロック溝712が設けられており、当該ロック溝712はそれが設けられている側面と光ファイバ接合部材収容室711の内側面を貫通している。光ファイバ接合用スリーブ7における四角柱部71に対向する一端、つまり円柱部70の端面にはフェルール挿入孔701が設けられており、フェルール挿入孔701および光ファイバ接合部材収容室711は光ファイバ通路703により連通しており、光ファイバ通路703はテーパ状の孔であり、接合用光ファイバ6を案内する作用をもたらすことができる。
【0023】
光ファイバ接合部材は光ファイバ接合部材収容室711内に収容されており、光ファイバ接合部材は対向する第1の半体8と第2の半体9とを備えており、そして第1の半体8上には長手方向に延在し直径が約125μmの光ファイバを収容することが可能なV字状溝の光ファイバ接合溝83が設けられている。光ファイバが光ファイバ接合溝83に進入しやすくするために、光ファイバ接合溝83の両端にはガイド斜面82が設けられており、第2の半体9における対応位置にもガイド斜面91が設けられており、第1の半体8と第2の半体9とが合わさったとき、ガイド斜面82とガイド斜面91とで囲むように概ねラッパ状の開口をなし、光ファイバ接合溝83に進入した光ファイバに一定の案内作用をもたらし、光ファイバを光ファイバ接合溝83に引き込みやすくしている。第1の半体8上にはロック溝712と対応するリブ81がさらに設けられており、リブ81はロック溝712が設けられている側面に延在しているが、実際にはリブ81は第2の半体9上に配設してもよい。光ファイバ接合部材の第1の半体8および第2の半体9は工業用合成樹脂を採用することができるものであって、石英、SiO
2などの材料に限定されるものではない。
【0024】
フェルール5はセラミックス(酸化ジルコニウム)材料とすることができ、その中央には接合用光ファイバ6を収容するための125μmないし126μmの孔が配設されている。光ファイバは予めフェルール5内の内側孔内に接着されて、フェルール5の端面51は研磨して、端面51の形状は球面または角球面とすることができる。接合用光ファイバ6を予め設けられているフェルール5をフェルール挿入孔701内に挿入すると、接合用光ファイバ6の一端がフェルール5内に位置し、他端が光ファイバ通路703を経て光ファイバ接合部材の第1の半体8の光ファイバ接合溝83に進入して、そして現場の光ファイバ131が反対方向から光ファイバ接合溝83に進入して光ファイバに対面接合する。
【0025】
光ファイバ接合部材の第1の半体8および第2の半体9が光ファイバ接合部材収容室711に裝入されると、まず第1の半体8が矢印Aの方向で光ファイバ接合部材収容室711に収容されて、第1の半体8上のリブ81がちょうど光ファイバ接合用スリーブ7の四角柱部71上のロック溝712内に嵌入されるように保証し、その後さらに光ファイバ接合部材の第2の半体9が同じ方向で光ファイバ接合部材収容室711内に挿入される。
【0026】
図8および
図9を参照されたい。
図8は光ファイバ接合部材クランプ10の横断面図であり、光ファイバ接合部材クランプ10は光ファイバ接合部材の第1の半体8および第2の半体9を締緩するためのものであって、光ファイバ接合部材クランプ10は長手方向に延在する締付け通路を備えている。当該締付け通路は平行した上部101と上部101の幅よりも広い下部102とを有しており、下部102および上部101はその一方側で面一を保ち、対向する側の間に通過斜面104を有している。光ファイバ接合部材クランプ10が矢印Bの方向で光ファイバ接合用スリーブ7の四角柱部71上に被設されると、四角柱部71は通過斜面に沿って締付け通路の下部102から上部101にスライド移動する。
【0027】
以下にて
図10および
図11を合せて、光ファイバ接合部材クランプ10がどのように光ファイバを締緩するかを詳細に説明する。現場の光ケーブル13の現場の光ファイバ131が光ファイバ接合溝83に進入すると、光ファイバ接合部材の第1の半体8および第2の半体9が
図10に示す開放状態となる。このとき四角柱部71は光ファイバ接合部材クランプ10の締付け通路の下部102に位置する。この状態のとき、光ファイバ接合部材の第1の半体8と第2の半体9との間には一定の隙間が生まれ、ちょうど現場の光ファイバ131を第1の半体8上の光ファイバ接合溝83内に進入させることが可能となり、第1の半体8上のガイド斜面82および第2の半体9上のガイド斜面91は現場の光ファイバ131が光ファイバ接合溝83に進入したときに案内作用をもたらし、現場の光ファイバ131をよりスムースに進入させることができる。現場の光ファイバ131が光ファイバ接合溝83に進入して接合用光ファイバ6の対面接合の位置にまで達すると、
図10における矢印Cで示す方向で光ファイバ接合部材クランプ10を押えて、四角柱部71が通過斜面104に沿って締付け通路の下部102から上部101にスライド移動する。
図11に示すように、上部101の幅は下部102の幅未満であるため、締付け通路の上部101の内壁が第1の半体8上の四角柱部71を圧迫して、第1の半体8と第2の半体9とが締付けられ、前記接合用光ファイバ6および現場の光ファイバ131が第1の半体8上の光ファイバ接合溝83内に挟持されることで、光ファイバ接合部材が閉鎖状態となる。押圧方向が判別しやすくするため、光ファイバ接合部材クランプ10には矢印103が設けられている。光ファイバ接合部材を緩める手順は上記手順と反対であって、逆方向に光ファイバ接合部材クランプ10を押圧するだけでよいので、別途説明はしない。
【0028】
光ファイバ接合用スリーブ7、光ファイバ接合部材および光ファイバ接合用スリーブは各種タイプの光ファイバコネクタ中に装着することで、各種タイプの現場で組付け可能な光ファイバコネクタを構成することができるものであるが、本実施例ではSC型光ファイバコネクタとなっている。
【0029】
図1、
図2、
図4および
図7を参照されたい。本実施例において、ジャケット2は光ファイバ接合用スリーブ7と脱着可能となっており、ジャケット2と光ファイバ接合用スリーブ7との間には付勢手段が設けられることで、コネクタが組み合わされたときに、一定の弾性調整空間を有するよう保証している。図示するように、本実施例において、光ファイバ接合用スリーブ7の円柱部70上にはスプリング留め部702が設けられており、スプリング3が円柱部70上に被設されており、ストッパ4が円柱部70上に被設されてスプリング3をスプリング留め部702とストッパ4との間に規定し、ストッパ4がジャケット2内に係止されて光ファイバ接合用スリーブをジャケット2内に固定する。ストッパ4上には対称な二つの引っ掛けつめ41が設けられており、ジャケット2上には引っ掛けつめ41と係合する係止位置21(四角形開口)が設けられている。ハウジング1はジャケット2の外部に被設されるとともに、光ファイバ接合部材クランプ10を覆って、光ファイバコネクタの内部要素に保護作用をもたらすことにより、光ファイバ接合部材クランプ10に誤接触することで光ファイバ接合部材クランプ10と光ファイバ接合部材との組付けに緩みが生じるのを防止している。
【0030】
図1、
図2、
図12ないし
図14に示すように、光ファイバ接合用スリーブ7には現場の光ケーブル13を固定するための固定末端が取外し可能に取付けられており、当該固定末端はベース11とエンドスリーブ12とを含んでいる。ベース11は現場の光ケーブル13を受入れて現場の光ケーブル13を固定するための光ケーブルチャネル110を有しており、前記ベース11は光ファイバ接合用スリーブ7に取外し可能に取付けられている接合部111と、現場の光ケーブル13を挟持するために圧縮開口1121が設けられているテーパ状部112とを有しており、エンドスリーブ12はテーパ状部112上に被設されたときにテーパ状部112が収縮して現場の光ケーブル13を挟持する。よりしっかりと現場の光ケーブル13を挟持するために、光ケーブルチャネル110の内壁には突起1101が設けられており、光ケーブルチャネル110が収縮したときに、よりしっかりと現場の光ケーブル13を挟持する。接合部111は光ファイバ接合用スリーブ7に取外し可能に取付けられており、光ファイバ接合用スリーブ7上にはかえし付ツメ713が設けられており、接合部111上にはかえし付ツメ713と係合する係止位置1111(四角形開口)が設けられている。エンドスリーブ12とベース11との組付け方式は、本実施例においてはネジ連結であるが、実際には、圧接、係着などのその他方式で連結してもよい。ベース11は軸方向にて光ファイバ接合部材クランプ10に体して位置決め作用をもたらしており、接合部111は、光ファイバ接合部材の第1の半体8および第2の半体9に軸方向で位置決め作用をもたらして、第1の半体8および第2の半体9が光ファイバ接合部材収容室711から脱落するのを防止する位置決め突起1113をさらに有している。
【0031】
図13は現場の光ケーブル13の模式図である。現場の光ケーブル13を予め処理し、現場の光ファイバ131を剥き出しにするとともに、機械的に切断する。図示する矢印D方法で現場の光ケーブル13を裝入して、現場の光ファイバ131を光ファイバ接合部材の光ファイバ接合溝83中に挿入して予めその中に設けられている接合用光ファイバ6に対面接合する。同時に、現場の光ケーブル13をベース11上の光ケーブルチャネル110に固定するが、現場の光ファイバ131と接合用光ファイバ6とを十分に対面接合するために、現場の光ファイバ131の挿入長さを実際に必要な長さよりも若干長いことから、現場の光ファイバ131はわずかに湾曲して前方で当接する。最後に矢印方向でエンドスリーブ12を取付けるが、エンドスリーブ12上にはベース11上のテーパ状部112に貼り合わされる円錐面121が設けられることで、現場の光ケーブル13を締付ける効果を達成する。
【0032】
光ファイバの端面が垂直でなく鏡面効果が生じるのを解決し、光ファイバの高効率でのカップリングを保証するために、屈折率マッチングジェルを光ファイバ接合溝83に注入する。
【0033】
図15は組付け完了後の光ファイバコネクタの模式図である。
【0034】
本発明の光ファイバコネクタは繰り返して取外し使用可能である。取外すときには、まずハウジング1を取外し、エンドスリーブ12を取外して、光ファイバ接合部材クランプ10上の矢印103と逆方向に光ファイバ接合部材クランプ10を押し動かして、光ファイバ接合部材を緩めた後、最終的に現場の光ケーブル13を引き抜く。取外した後の光ファイバコネクタは繰り返して組み立てて使用することができる。
【0035】
本発明の光ファイバ接合部材クランプはすでにコネクタに内蔵されているため、現場での組付け時に工具を必要とすることなく、迅速に現場での組立または撤去を行うことができる。
【0036】
上記では図面を合せて本発明の実施例を説明したが、本発明は上記した具体的な実施形態に限定されるものではなく、上記した具体的な実施形態は単に例示的なものであって、限定的な性質のものではなく、当業者であれば本発明の啓示の下、本発明の趣旨および特許請求の範囲で保護する範囲から外れることのない状況で、数多くの形式を創出できるものであって、これらはいずれも本発明の保護の範囲内に属する。
【符号の説明】
【0037】
1 ハウジング
2 ジャケット
21、1111 係止位置
3 スプリング
4 ストッパ
41、713 かえし付ツメ
5 フェルール
51 端面
6 接合用光ファイバ
7 光ファイバ接合用スリーブ
70 円柱部
71 四角柱部
701 フェルール挿入孔
702 スプリング留め部
703 光ファイバ通路
711 光ファイバ接合部材収容室
712 ロック溝
81 リブ
82 ガイド斜面
83 光ファイバ接合溝
8 第1の半体
9 第2の半体
91 ガイド斜面
10 光ファイバ接合部材クランプ
11 固定末端のベース
12 エンドスリーブ
13 現場の光ケーブル
101 上部
102 下部
103 矢印
104 通過斜面
110 光ケーブルチャネル
111 接合部
112 テーパ状部
121 円錐面
131 現場の光ファイバ
1101 突起
1113 位置決め突起
1121 圧縮開口
A、B、C、D 矢印方向