特許第5672591号(P5672591)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5672591自己剥離性フルオロポリマー−フッ化炭素層を有する定着器部材コーティング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5672591
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】自己剥離性フルオロポリマー−フッ化炭素層を有する定着器部材コーティング
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20150129BHJP
【FI】
   G03G15/20 515
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2009-259482(P2009-259482)
(22)【出願日】2009年11月13日
(65)【公開番号】特開2010-122681(P2010-122681A)
(43)【公開日】2010年6月3日
【審査請求日】2012年11月9日
(31)【優先権主張番号】12/274988
(32)【優先日】2008年11月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(72)【発明者】
【氏名】キャロリン ムーアラグ
(72)【発明者】
【氏名】ナン シン フー
【審査官】 関根 裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−049631(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0213491(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0205950(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0026222(US,A1)
【文献】 米国特許第06604566(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の上の、トップコートを有する外層と、
を含み、前記外層はフルオロポリマーを含み、前記トップコートはフッ化炭素鎖を含み、 前記フッ化炭素鎖は直接に又は架橋剤を介して前記フルオロポリマーに結合され、
前記フッ化炭素鎖は、前記フルオロポリマー又は前記架橋剤に結合する反応性官能基を含み、
前記反応性官能基と前記フルオロポリマー又は前記架橋剤との間成される連結官能基は、シロキサン(−Si−O−Si−)及びアミン(−NH-)うちの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする自己剥離性定着器部材。
【請求項2】
記録媒体上に画像を形成するためのオイルレス画像形成装置であって、
静電潜像を受け取るための電荷保持表面と、
前記電荷保持表面上に現像像を形成するために静電潜像を現像するように前記電荷保持表面にトナーを適用する現像構成部品と、
前記現像像を前記電荷保持表面からコピー基材に転写する転写構成部品と、
前記現像像を前記コピー基材に定着させるための自己剥離性定着器部材と、
を含み、前記自己剥離性定着器部材は、基材と、その上にトップコートを有する外層とを含み、前記外層は、フルオロポリマーを含み、前記トップコートはフッ化炭素鎖を含み、 前記フッ化炭素鎖は、直接に又は架橋剤を介して前記フルオロポリマーに結合し、
前記フッ化炭素鎖は、前記フルオロポリマー又は前記架橋剤に結合する反応性官能基を含み、
前記反応性官能基と前記フルオロポリマー又は前記架橋剤との間成される連結官能基は、シロキサン(−Si−O−Si−)及びアミン(−NH-)うちの少なくとも1つを含む
ことを特徴とするオイルレス画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される実施形態は、一般に、静電写真装置において有益な定着器部材の分野に関する。実施形態においては、定着器部材の外層は、下にあるフルオロポリマー材料層に結合されたフッ化炭素鎖を含むトップコート層を含む。実施形態においては、フルオロポリマー材料は、シロキサン硬化系により硬化されるフルオロエラストマーを含み、トップコート層内のフッ化炭素鎖は、シロキサン官能基を介してフルオロポリマー又はフルオロエラストマー層に結合される。層状の組み合わせは、ローラ又はベルトの用途に用いることができる。外層の組み合わせを生成するためのプロセスもまた本明細書において説明される。実施形態においては、トップコート層は、自己剥離性のものであり、定着オイルの必要はない。
【背景技術】
【0002】
支持体に対するトナー粒子の熱定着を生じさせるように熱が適用される定着システムの動作中、トナー像及び支持体の両方は、ローラ対、又はプレート若しくはベルト部材の間に形成されたニップを通る。同時の熱転写及びニップにおける圧力の適用は、支持体に対するトナー像の定着に影響を与える。通常動作中の定着プロセスにおいては、支持体から定着器部材へのトナー粒子のどのようなオフセットも起こらないことが重要である。定着器部材に対してオフセットされたトナー粒子は、次いで機械の他の部分に、又は次のコピーサイクルにおいて支持体上に転写されることがあり、バックグラウンドを増加させ、又はそこにコピーされる題材に干渉する。いわゆる「ホットオフセット」は、トナー粒子が液化する点までトナーの温度が上昇し、定着動作中に溶融トナーの分裂が起こり、一部が定着器部材上に残ったときに生じる。ホットオフセット温度又はホットオフセット温度への劣化は、定着器ローラの剥離特性の尺度であり、したがって、必要な剥離を与えるように低表面エネルギーを有する定着表面を提供することが望ましい。定着器ローラの良好な剥離特性を保証し、維持するためには、定着動作中に剥離剤を定着器ローラに塗布するのが慣例になっている。典型的には、これらの材料は、例えばシリコーンオイルの薄膜として塗布されて、トナーのオフセットを防ぐ。
【0003】
最も初期の良好な定着システムの1つは、シリコーンエラストマードナーローラにより定着器ロールに送給することができるシリコーンオイル剥離剤を有するローラのような、シリコーンエラストマー定着表面の使用を含むものであった。こうしたシステムにおいて用いられるシリコーンエラストマー及びシリコーンオイル剥離剤は、幾多の特許において説明されている。
【0004】
定着動作中にトナーが定着器ロールから完全に剥離されるのを保証するために、優れた剥離特性を与えるように定着表面に非常に低い表面エネルギーを与えることは非常な成功をおさめているが、これらのシステムは、定着環境において、時間と共に、物理特性における大幅な劣化を被る。具体的には、シリコーンオイル剥離剤は、シリコーンエラストマー定着器部材の表面に浸透する傾向があり、エラストマー本体の膨張をもたらし、基材からのエラストマーの剥離を含む主要な機械的破損を生じさせ、エラストマーの軟化及び靱性が減少して、塊で分解して粉々になり、機械を汚染し、剥離剤の不均一な送給を与えることになる。さらに、シリコーンエラストマーの物理特性のさらなる劣化は、特に、高温での定着器ローラの酸化架橋によりもたらされる。
【0005】
定着器及び色留めローラ又はベルトは、1つ又はそれ以上の層を好適な基材に適用することにより調製することができる。例えば、円筒形定着器ローラ及び色留めローラは、エラストマー又はフルオロエラストマーをアルミニウムシリンダに適用することにより調製することができる。コーティングされたローラは加熱されて、エラストマーを硬化させる。
【0006】
定着器のトップコートは、典型的には、パーフルオロアルコキシ又は他のTEFLON(登録商標)様のフルオロポリマーのような低表面エネルギーのフルオロポリマー、又はDuPontからVITON(登録商標)という商標で販売されているもののようなフルオロエラストマーにより製造することができる。これらの材料は、耐熱性及び耐磨耗性、順応性、及び定着ニップにおける改善された剥離性を提供することが期待される。VITON(登録商標)フルオロエラストマーのような既存の定着材料における現行の問題は、トナー及び他の汚染物質を剥離するためのPDMS(ポリジメチルシロキサン)ベースの定着オイルの必要性である。この定着オイルは、表面接着性を必要とする、接合、積層、又は他のプロセスのような印刷材料の最終用途において困難をもたらす。高性能定着用途に用いられる低オイル又はオイルレス機械(剥離剤又は定着器オイルを必要としない機械)のためには、新規なトップコート材料が必要である。
【0007】
半フッ素化又はフッ素化炭素鎖を含むトップコートに化学的に付加されたフルオロポリマー材料を含む外側コーティングは、定着表面に高いフッ素化度を付与し、実施形態においては、最少量の定着オイルを用いて、又は定着オイルなしで、剥離を可能にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における実施形態は、自己剥離性定着器部材を提供し、これは基材と、その上にトップコートを有する外層とを含む自己剥離性定着器部材を含み、外層は、フルオロポリマーを含み、トップコートはフッ化炭素鎖を含み、さらに、フッ化炭素鎖は、フルオロポリマーに結合する。
【0009】
実施形態は、さらに、記録媒体上に画像を形成するためのオイルレス画像形成装置を提供し、これは静電潜像を受け取るための電荷保持表面と、電荷保持表面上に現像像を形成するために静電潜像を現像するように電荷保持表面にトナーを適用する現像構成部品と、現像画像を電荷保持表面からコピー基材に転写する転写部品と、現像像をコピー基材に定着させるための自己剥離性定着器部材と、を含み、自己剥離性定着器部材は、基材と、その上にトップコートを有する外層とを含み、外層は、フルオロポリマーを含み、トップコートはフッ化炭素鎖を含み、さらに、フッ化炭素鎖は、フルオロポリマーに結合する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一般的な静電写真装置の図である。
図2】本明細書に開示される1つの実施形態による定着アセンブリの断面図である。
図3】三層構成を有する定着器ローラの断面図である。
図4】フッ化炭素鎖29がポリマーマトリクスの外層2の表面に又はその近くに配向された、フルオロポリマー材料30の側面図である。
図5】フルオロポリマー材料31、架橋が生じる界面層32、及び外側フッ化炭素鎖33を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書における実施形態は、トップコートを有する外層を含む定着器部材のコーティングを説明し、この外層は、フッ素化ポリマー材料を含み、トップコートは、フッ化炭素鎖を含み、これらの幾つか又はすべてはフッ素化ポリマー層に化学結合する。フッ化炭素鎖は、半フッ素化又は完全フッ素化される。フッ化炭素鎖は、反応性官能基によりフルオロポリマーに結合する。実施形態においては、フッ化炭素鎖は、シロキサン終端されており、ポリマー架橋剤のさらなるシロキサン官能基との反応により、フルオロポリマー鎖と反応する。実施形態においては、トップコートは、高いフッ素化度を定着表面に付与し、したがって、最少量の定着オイルによる又は定着オイルを用いることなしで、剥離を可能にする。それゆえ、この材料は「自己剥離性」と呼ばれる。このことは、定着器オイルの印刷基材への転写を減少させる又はなくす。印刷基材に転写された定着器オイルは、表面に対する接着性が必要とされる、積層又は製本といったその後の用途に望ましくない問題をもたらす。本明細書で説明される外層を有する定着器部材を含む機械の製造費もまた、定着器オイルサンプ及び構成部品が必要とされないので、オイルレス機械の例において削減される。
【0012】
図2においては、定着器ローラ5は、アルミニウム、陽極処理アルミニウム、鋼、ニッケル、銅などといったあらゆる好適な金属から製造することができる中空シリンダ又はコアであり、好適な加熱要素8が、シリンダと同じ長さに延びるその中空部分内に配置されている。
バックアップ又は加圧ローラ6は定着器ローラと協働して、ニップ又は接触弧(contact arc)9を形成し、コピー用紙又は他の基材16がこれを通り、その上のトナー像21が定着器ローラ5の表面2と接触する。図2に示すように、バックアップローラ6は、剛性の鋼コア7を有し、その上には表面又は層18がある。
実施形態においては、定着器システムは、オイルレスであり、定着のために剥離剤は必要ない。定着器ローラにオイルは塗布されず、剥離剤送給ローラはこのシステムには存在しない。しかし、他の実施形態においては、システムは、剥離剤を用いることを可能とすることができる。
【0013】
定着構成部品は、少なくとも3つの異なる構成で構成することができる。一実施形態においては、定着構成部品は、図2に示すように、二層の構成である。加熱要素8を有する定着器部材5は、基材4を含む。基材4の上には外層2が配置される。
図3は、三層の構成を示し、定着器ローラ5は、加熱部材8を内側に有し、その上に基材4を有し、基材4の上には中間層26が配置され、外層2は中間層26の上に配置される。図3は、随意的な充填剤3及び28を示し、これは同じであってもよいし又は異なっていてもよく、随意的に中間層26に分散されてもよく、及び/又は、随意的に外層2に分散されてもよい。層において、充填剤は全くなくてもよいし、1つ、又は1つより多い種類の充填剤を提供してもよい。
図4は、定着器部材が、上に外層2及びトップコート31を有する中間層4を含む実施形態を示す。外層2は、中にフルオロポリマー鎖30を含む。トップコート31は、中にフッ素化炭素鎖29を含む。フッ素化炭素鎖は、トップコートの表面に又はその近くに配向する。
【0014】
実施形態においては、定着器部材は、自己剥離性又は部分的に自己剥離性であり、剥離剤をほとんど必要としないか又は全く必要としない。剥離剤が全く必要ない場合には、剥離剤のサンプも剥離剤ドナー部材も用いられることはない。フッ化炭素鎖は、フルオロポリマー材料と化学結合しており、ポリマーマトリクス層の表面に向かって配向するので、定着器層の外側は、主としてフッ素化炭素鎖で構成されている。フッ素化炭素鎖は、高いフッ素化度を定着表面に付与し、定着オイル又は剥離剤の必要なしで、剥離を可能にする。定着器剥離オイルを用いることなく、表面がトナー、トナー添加剤及び定着表面と接触している他の汚染物質の剥離を促進する場合には、トップコート自体が「自己剥離性」である。定着器剥離オイルは、通常、ポリジメチルシロキサン又はポリジメチルシロキサン誘導体を含む。実施形態は、さらに、部分的に自己剥離性であり、定着面に必要とされる性能仕様を満たすために最少量の定着器オイルの使用を必要とする定着部材を含む。実施形態においては、フッ化炭素鎖の反応性官能基もまた、互いに結合することにより自己架橋する。
【0015】
外側トップコートの剥離層を形成するフッ素化炭素鎖は、完全にフッ素化されてもよいし、又は、半フッ素化されてもよい。完全フッ素化鎖は、1つ又はそれ以上の付加された反応性官能基を除いて全部がフッ素化された炭素鎖である。フッ素化炭素鎖は、1つ又はそれ以上の反応性官能基により直接フルオロポリマー材料の表面のポリマー鎖に付加されるか、又は、リンカー基との反応性末端官能基の反応により間接的に結合する。反応性官能基は、実施形態においては、シロキシ官能基とすることができ、これはフルオロエラストマー材料内に架橋された対応するシロキシ官能基に結合する。フッ化炭素鎖の低い表面エネルギーは、高度にフッ素化された表面を形成する外部定着層表面をもたらす。定着表面における高いフッ素化度は、自己剥離性のために望ましく、これは、TEFLON(登録商標)(PFA)又は、高いフッ素化度を有する(F/C比率は2に近い)他のTEFLON(登録商標)様のフルオロポリマーのような材料を含有するフルオロポリマーの外層に観察されるものである。説明される新規な材料系は、定着に望ましい機械的特性を与えるVITON(登録商標)という商品名で販売されているもののようなフルオロエラストマーを組み入れることを含み、外層として、TEFLON(登録商標)(PFA)のような既知のフルオロポリマーを用いることの処理及び堅牢性の問題をなくす。
【0016】
実施形態においては、フッ化炭素鎖は、存在する反応性官能基を除外して、鎖全体に沿ってフッ素化されるか、又は鎖に沿って部分的にフッ素化される。したがって、フッ化炭素鎖は、完全フッ素化(鎖全体に沿ってフッ素化)されているか、又は、半フッ素化(鎖の一部に沿ってフッ素化)されている。フッ化炭素鎖は、フルオロエラストマーコーティングと直接反応するか、又は、フルオロエラストマー材料に連結する架橋剤のようなセグメントを介して間接的に反応する、官能基により終端される。フッ化炭素鎖に付加される反応性官能基の例は、シロキシ、アミノ、ヒドロキシル、フェニルヒドロキシ、アルコキシ、又は酸性基を含む。従って、これらの反応性官能基により形成される連結官能基は、シロキサン(−Si−O−Si−)、アミン(−NH−)、エーテル(C−O−C)又はエステル(−COO−)を含み、より具体的には、反応性官能基は、
からなる群から選択され、ここでRは約1から約20までの炭素又は約1から約10までの炭素を有する脂肪鎖である。
【0017】
実施形態においては、外層は、フルオロエラストマー層の表面に結合された反応性フッ化炭素鎖を含むフッ化炭素層を含む。フッ化炭素/フルオロエラストマーの界面における結合は、以下の一般式Iにより説明することができ、
A−(C)r−Q−B (I)
ここでAはフルオロポリマー、Cは架橋剤、QはBに付加された反応性官能基であり、Bはフッ化炭素鎖を含み、rは0又は1である。
【0018】
完全フッ素化されたフッ化炭素鎖Bの例は、反応性官能基Qに付加されるあらゆる脂肪族又は芳香族フッ化炭素を含み、例は、以下の式II又は式IIIを有するフッ化炭素鎖を含み、
CF3(CF2)n−Q (II)
(III)
ここでnはフッ素化脂肪族繰返し単位の数を表わし、約0又は1から約40まで、又は約0又は1から約20まで、又は約0又は1から約10までの数であり、mはフッ素化芳香族繰返し単位の数を表わし、約0又は1から約20まで、又は約0又は1から約10まで、又は約0又は1から約5までの数であり、Qは反応性官能基を表わす。
【0019】
半フッ素化炭素鎖Bの例は、反応性官能基Qに付加される部分的にフッ素化された脂肪族又は芳香族炭素を含み、例は、以下の式IV又は式Vを有する半フッ素化鎖を含み、
CF3(CF2)n−(CH2)pQ (IV)
(V)
ここでnはフッ素化脂肪族繰返し単位の数を表わし、約0又は1から約40まで、又は約0又は1から約20まで、又は約0又は1から約10までの数であり、mはフッ素化芳香族繰返し単位の数を表わし、約0又は1から約20まで、又は約0又は1から約10まで、又は約0又は1から約5までの数であり、pは炭化水素繰返し単位の数を表わし、約1から約10まで、又は約2から約5までの数であり、Qは反応性官能基を表わす。
【0020】
脂肪族の完全フッ素化又は半フッ素化フッ化炭素鎖の例は、二重結合又は三重結合といった不飽和結合、又は、鎖のフッ素化部分又は非フッ素化部分に沿った分岐鎖を含有するものを含む。
【0021】
実施形態においては、フッ化炭素鎖は、上の式Iにおける反応性官能基Qを有する。実施形態においては、フッ化炭素鎖は、フッ化炭素含有セグメントと、反応性官能基とを含み、フッ化炭素含有セグメントは、1つ又はそれ以上の反応性官能基に付加される。好適な反応性官能基の例は、アミノ官能基及びシロキシ官能基を含む。反応性官能基の特定の例は、以下の式VI、VII、及び式VIIIを有するものを含み、
2N−CH2−CH2− (VI)
(VII)
(OR)3−Si− (VIII)
ここでRは約1から約20までの炭素、又は約1から約6までの炭素を有する脂肪族鎖であり、nはフッ素化脂肪族繰返し単位の数を表わし、約0から約40までの数である。実施形態においては、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、又はイソブチルからなる群から選択される。
【0022】
実施形態においては、上の式Iにおけるフッ化炭素鎖Bは、反応性官能基Qにより、フルオロエラストマー層材料に直接結合される。フルオロポリマー又はフルオロエラストマーと直接結合する反応性官能基Qの例は、式VIにおけるもののようなアミノ官能基である。
実施形態においては、上の式Iにおけるフッ化炭素鎖Bは、架橋剤Cとの官能基Qの反応を介して、フルオロエラストマー層材料と結合する。好適な架橋剤Cは、フルオロポリマー鎖、及び、フッ化炭素鎖に付加された官能性末端基Qの両方に結合することができる、二官能性架橋剤である。好適な架橋剤の例は、ビスフェノールA(BPA)シロキサン架橋剤のようなシロキサン架橋剤、及び、AO700(Gelestからのアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン架橋剤)のようなアミノシロキサン架橋剤を含む。BPAシロキサン架橋剤の例は、以下の式IXを有するものを含み、アミノシロキサン架橋剤の例は、以下の式Xを有するものを含み、
(IX)
(X)
ここでXは水素又はフッ素であり、R及びR’は、約1から約20までの炭素、又は、約1から約6までの炭素を有する脂肪族鎖であり、nは約1から約10まで、又は約1から約5まで、又は約3から約4までの数である。実施形態においては、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブロピル、又はイソブチルからなる群から選択される。実施形態においては、R’は、約1から約20までの炭素、又は約1から約6までの炭素を有するアルコキシである。
【0023】
シロキサン含有架橋剤は、フルオロポリマーと反応するビスフェノール−A又はアミンのような官能基を介してフルオロポリマー層内にグラフトされることができる。シロキシ官能基により修飾されたフッ化炭素鎖は、フルオロポリマー/架橋剤層の上に外層として堆積することができ、その後の硬化により、シロキサン基を縮合によって架橋させてシロキサン−シロキサン(Si−O−Si)結合を生成し、フルオロポリマー層とフッ化炭素層を互いに結合させる。より具体的な架橋は、層ごとに説明すると、ポリマー鎖を架橋するためのフルオロポリマー層内で形成されるシロキサン−シロキサン結合、フッ化炭素鎖を架橋するためのフッ化炭素層内で形成されるシロキサン−シロキサン結合、及びフルオロポリマー層/フッ化炭素層の界面に形成される、2つの層を互いに架橋するシロキサン−シロキサン結合である。
【0024】
実施形態においては、架橋剤層は、付加的な接着層として別個に加えることができる。架橋及び硬化は、すべての層に対して同時に実行されてもよいし、又は、段階的に層ごとに実行されてもよい。図5における描写は、フルオロポリマー層材料31と、架橋が生じる界面層32と、外側フッ化炭素鎖33を示す。図5に示すように、トップコート層のフッ化炭素鎖33は優先的に表面の方向に配向することができ、外側フルオロポリマー層の上のフッ素含量を増加させる。
【0025】
BPAシロキサン架橋剤をフルオロポリマー層に組み入れ、シロキシフッ化炭素鎖を付加する、提案される例が以下に概略的に示される。BPAシロキサンを堆積前にフルオロポリマー(フルオロエラストマーなど)鎖にグラフトして、フルオロポリマー層を形成する。次いで、シロキシフッ化炭素鎖が、オーバーコート層として加えられる。その後、硬化中にシロキサン−シロキサン結合が形成されて、フルオロポリマー鎖を架橋し、シロキシフッ化炭素鎖を結合する。シロキシフッ化炭素鎖はまた、シロキサン−シロキサン結合により自己縮合も行い、しっかりと自己結合及び表面結合したオーバーコート層を形成する。
シロキサン官能化フルオロポリマー
シロキサン結合によりフルオロポリマーに結合されたフルオロアルキル鎖
上述の式において、Xはフッ素又は水素であり、R及びR’は約1から約20までの炭素、又は、約1から約6までの炭素を有する脂肪族鎖である。実施形態においては、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、又はイソブチルからなる群から選択され、nは約1から約10まで、又は、約1から約5まで、又は約3から約4までの数である。実施形態においては、R’は約1から約20までの炭素、又は約1から約6までの炭素を有するアルコキシ基である。
【0026】
好適なフッ化ポリマー層材料(式1におけるA)の例は、1)フッ化ビニリデン及びヘキサフルオロプロピレンのコポリマー(VITON(登録商標)Aとして商業的に知られる)、又は、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、及びテトラフルオロエチレンのうちの2つのコポリマー、2)フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、及びテトラフルオロエチレンのターポリマー(VITON(登録商標)Bとして商業的に知られる)、及び3)フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、及び硬化部位(cure site)モノマーのテトラポリマー(VITON(登録商標)GH及びVITON(登録商標)GFとして商業的に知られる)のような、フルオロポリマー及びフルオロエラストマーを含む。市販のフルオロエラストマーの例は、VITON(登録商標)A、VITON(登録商標)B、VITON(登録商標)E、VITON(登録商標)E60C、VITON(登録商標)E430、VITON(登録商標)910、VITON(登録商標)GH、VITON(登録商標)GF、及びVITON(登録商標)ETPといった種々の名称で販売されているものを含む。VITON(登録商標)の名称は、E.I.DuPont de Nemours,Inc.の商標である。硬化部位モノマーは、4−ブロモパーフルオロブテン−1,1,1−ジヒドロ−4−ブロモパーフルオロブテン−1,3−ブロモパーフルオロプロペン−1,1,1−ジヒドロ−3−ブロモパーフルオロプロペン−1、又はあらゆる他の好適な既知の硬化部位モノマーとすることができる。これらの挙げられたものは、DuPontから市販されている。フルオロエラストマーVITON GH(登録商標)及びVITON GF(登録商標)は、比較的少量のフッ化ビニリデンを有する。VITON GF(登録商標)及びVITON GH(登録商標)は、約35重量パーセントのフッ化ビニリデンと、約34重量パーセントのヘキサフルオロプロピレンと、約29重量パーセントのテトラフルオロエチレンと、約2重量パーセントの硬化部位モノマーとを有する。
【0027】
他の市販のフルオロポリマーは、FLUOREL2170(登録商標)、FLUOREL2174(登録商標)、FLUOREL2176(登録商標)、FLUOREL2177(登録商標)、及びFLUOREL LVS76(登録商標)を含み、FLUOREL(登録商標)は、3M Companyの商標である。さらなる市販材料は、両方ともやはり3M Companyから入手可能な、AFLAS(商標)ポリ(プロピレン−テトラフルオロエチレン)及びFLUOREL II(登録商標)(LII900)ポリ(プロピレン−テトラフルオロエチレンフッ化ビニリデン)、並びに、Montedison Speciality Chemical Companyから入手可能な、FOR−60KIR(登録商標)、FOR−LHF(登録商標)、NM(登録商標)FOR−THF(登録商標)、FOR−TFS(登録商標)、TH(登録商標)、及びTN505(登録商標)として識別されるTecnoflonを含む。
【0028】
他のフルオロポリマーの例は、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンポロピレン樹脂、パーフルオロアルコキシ(PFA)、及び他のTEFLON(登録商標)様の材料、及びこれらのポリマーのような、フッ素プラスチック又はフルオロポリマーを含む。
【0029】
フルオロポリマー層のための溶液におけるフルオロエラストマーの量は、全固形分の約10重量パーセントから約25重量パーセント、又は、全固形分の約16重量パーセントから約22重量パーセントまでである。本明細書において用いられる全固形分は、ポリマー、デヒドロフッ素化剤(存在する場合)、及び随意的な補助剤、添加剤、及び充填剤の量を含む。外層を形成するための溶液中に液体として存在するフッ化炭素鎖の量は、溶液の約1重量パーセントから約100重量パーセントまで又は溶液の約20重量パーセントから約50重量パーセントまでである。
【0030】
フルオロポリマー層、随意的な架橋剤層、及びフッ化炭素の外層を含む、本明細書における定着器部材の外側ポリマー表面の厚さは、約10から約100マイクロメートルまで、又は、約15から約35マイクロメートルまでである。
【0031】
随意的な中間接着層及び/又は中間ポリマー又はエラストマー層を、本発明の望ましい特性及び性能目的を実現するために適用することができる。中間層は、基材と外側ポリマー層との間に存在することができる。好適な中間層の例は、室温加硫(RTV)シリコーンゴム、高温加硫(HTV)シリコーンゴム、及び低温加硫(LTV)シリコーンゴムといったシリコーンゴムを含む。これらのゴムは既知のものであり、Dow CorningからのSILASTIC(登録商標)735ブラックRTV及びSILASTIC(登録商標)732RTV、及び、General Electricからの106RTV Silicone Rubber及び90RTV Silicone Rubberのように容易に商業的に入手可能である。他の好適なシリコーン材料は、シロキサン(例えばポリジメチルシロキサン)、バージニア州リッチモンド所在のSampson Coatingsから入手可能なSilicone Rubber552といったフルオロシリコーン、ビニル架橋熱硬化性ゴム又はシラノール室温架橋材料のような液体シリコーンゴムなどを含む。別の特定の例は、Dow Corning Sylgard182である。接着性中間層は、例えば、エポキシ樹脂又はポリシロキサンから選択することができる。
【0032】
基材と中間層との間に接着層を設けることができる。中間層と外層との間に接着層があってもよい。中間層がない場合には、接着層を介して、ポリマー外層を基材に接合することができる。
中間層の厚さは、約0.5から約20mm又は約1から約5mmである。
【0033】
他の充填剤が外側定着層内に存在することができ、及び/又は、中間層に含まれることができる。充填剤は、金属及び合金、金属酸化物、ポリマー充填剤、炭素充填剤など、及びこれらの混合物を含む。金属酸化物の例は、酸化銅、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物など、及びこれらの混合物を含む。ポリマー充填剤の例は、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリピロール、ポリテトラフルオロエチレンなど、及びこれらの混合物を含む。好適な炭素充填剤の例は、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フッ素化カーボンブラック、グラファイトなど、及びこれらの混合物を含む。「導電性粒状充填剤」という用語は、固有の導電性を有する充填剤を指す。
【0034】
好適な基材材料の例は、ローラ基材の場合においては、アルミニウム、ステンレス鋼、鋼、ニッケルなどのような金属を含む。フィルム状の基材の場合(基材が定着器ベルト、フィルム、ドレルト(ドラムとベルトとの間のクロス)などの場合)には、好適な基材は、高い動作温度(すなわち約80℃より高い、又は200℃より高い)を可能にするのに適した高温プラスチックを含み、高い機械的強度を示すことができる。
【0035】
外側材料の組成物は、あらゆる好適な既知の方法により基材上にコーティングすることができる。こうした材料を補強部材上にコーティングするための典型的な技術は、液体及び乾燥粉末噴霧コーティング、浸漬コーティング、巻線ロッドコーティング、流動層コーティング、粉末コーティング、静電塗装、ソニックスプレー、ブレードコーティングなどを含む。実施形態においては、脂肪族材料コーティングは、基材に噴霧コーティング又は流しコーティングされる。
【0036】
実施形態においては、外層は、研摩、艶出し、研削、吹き付け、コーティングなどといったあらゆる既知の技術により改質することができる。実施形態においては、外側フルオロポリマーマトリクス層は、約0.02から約1.5マイクロメートルまで、又は、約0.3から約0.8マイクロメートルまでの表面粗さを有する。
【実施例1】
【0037】
アミノシロキサン架橋剤を用いる、フルオロエラストマー上へのパーフルオロオクチルシロキサンのコーティング
メチルイソブチルケトン(MIBK)に溶解された固形分17重量パーセントのVITON(登録商標)−GFフルオロエラストマーを含有するフルオロポリマー分散体を調製し、5pph(VITON(登録商標)−GFの重量に対する百分率)のAO700架橋剤(Gelestからのアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン架橋剤)及び24pphのメタノールと合わせた。分散体を、バーコータにより試験アルミニウム基材上にコーティングし、コーティングを空気中で乾燥させ、25から30μmのフルオロエラストマー層が形成された。乾燥後、コーティング表面を、50重量パーセントのパーフルオロオクチルシロキサン(United Chemical Technologiesからのトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロ−オクチル−1−トリエトキシシラン)の溶液でオーバーコーティングし、薄い<2μmのコーティングがフルオロエラストマー層の上に形成された。コーティング組成物は、次いで、49℃から218℃との間の温度で、24時間にわたる段階的な熱処理により硬化された。得られたコーティングは、MIBKを塗布し表面を金属器具でスクラッチした場合の傷に対して堅牢であった。
【実施例2】
【0038】
BPAシロキサン架橋剤を用いる、フルオロエラストマー上へのパーフルオロオクチルシロキサンのコーティング
BPAシロキサン架橋剤と組み合わされた、パーフルオロオクチルシラン鎖とVITON(登録商標)−GFから、二層のコーティングが調製できることが予想される。2.0部のVITON(登録商標)−GFの溶液は、75部のメチルイソブチルケトン(MIBK)中に、室温で18時間かけて溶解することにより、溶解する。次いで、0.031部のMgO及び0.021部のCa(OH)2を25部のMIBKに混合し、超音波処理により酸化物を分散させ、この混合物を溶液に加える。次いで、0.362部のシラン架橋剤、ビスフェノール−AF−プロピルメチルジイソプロポキシシラン(式IX参照、ここでX=F、n=3、R=CH(CH32、R’=CH3である)、及び0.028部の塩化トリフェニルベンジルホスホニウムを続いて加え、この懸濁混合物を約20時間、還流温度で攪拌する。混合物を濾過して懸濁した酸化物粒子を除去し、濾液を過剰のイソプロパノールに滴下し、シラングラフトされたフルオロポリマーを沈殿させる。過剰のシラン架橋剤(未反応の有機グラフト)及び副生成物は、イソプロパノールで連続的に洗浄し、溶液をポリマーからデカントすることにより、除去される。シロキサングラフトされたフルオロポリマー生成物は、イソプロパノールから沈殿し、MIBK中に再溶解し、推定固形分添加量17.5%(w/w)で貯蔵される。
【0039】
この分散体は、次いで、シリコン、アルミニウム、ガラス、又は他の耐熱性基材といった基材上に、バーコータ、フローコータ、又は他の好適なコーティング方法により堆積され、コーティングを空気中で乾燥させて、25から30μmのフルオロエラストマー層を形成する。乾燥後、コーティング表面を、50重量パーセントのパーフルオロオクチルシロキサン(United Chemical Technologiesからのトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロ−オクチル−1−トリエトキシシラン)の溶液でオーバーコーティングし、薄い<2μmのコーティングをフルオロエラストマー層の上に形成する。
コーティングは、次いで、49℃から218℃との間の温度で、24時間にわたる段階的な熱処理により硬化される。パーフルオロオクチルシロキサン鎖は、グラフトされたBPA−シロキサン鎖に架橋し、したがって、フルオロポリマーマトリクス内に架橋することが予想される。
【実施例3】
【0040】
アミノシロキサン架橋剤で架橋される、フルオロエラストマー上へのパーフルオロアルキルアミンのコーティング
BPAシロキサン架橋剤と組み合わされた、パーフルオロアルキルアミン鎖とVITON(登録商標)−GFから、二層のコーティングが調製できることが予想される。メチルイソブチルケトン(MIBK)に溶解された固形分17重量パーセントのVITON(登録商標)−GFフルオロエラストマーを含有するフルオロポリマー分散体を調製し、5pph(VITON(登録商標)−GFの重量に対する百分率)のAO700架橋剤(Gelestからのアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン架橋剤)と合わせる。分散体は、シリコン、アルミニウム、ガラス、又は他の耐熱性基材といった基材上に、バーコータ、フローコータ、又は他の好適なコーティング技術により堆積され、コーティングを空気中で乾燥させて、25から30μmのフルオロエラストマー層を形成する。乾燥後、コーティング表面を、50重量パーセントのパーフルオロアルキルアミンの溶液でオーバーコーティングして、薄い<2μmのコーティングをフルオロエラストマー層の上に形成する。コーティングは、次いで、49℃から218℃との間の温度で、24時間にわたる段階的な熱処理により硬化される。パーフルオロアルキルアミンは、アミノ結合によりフルオロポリマー鎖と直接結合するが、一方、AO700架橋剤は、アミノ結合を介してフルオロポリマー鎖と直接結合すると共に、この複合系を、縮合とその後のシロキサン−シロキサン結合の形成により互いに結合することが予想される。
【実施例4】
【0041】
ビスフェノール−AFで架橋される、フルオロエラストマー上へのパーフルオロアルキルアミンのコーティング
BPAシロキサン架橋剤と組み合わされた、パーフルオロアルキルアミン鎖とVITON(登録商標)−GFから、二層のコーティングが調製できることが予想される。VITON(登録商標)GFを、メチルエチルケトンとメチルイソブチルケトンの混合物に溶解し、7重量pphのVC架橋剤(DuPontからのビスフェノール−AF)、1.5重量pphの酸化マグネシウム(マサチューセッツ州アンドーバー所在のRohm and Hassから入手可能なElastoMag170)、0.75重量pphの水酸化カルシウム、0.75重量pphのカーボンブラック(R.T.Vanderbilt Co.から入手可能なN990)、0.489重量pphのNovec(登録商標)FC−4430(3Mから入手可能)、及び0.86重量pphのAKF−290(Wackerにより入手可能)と混合する。溶液中の全固形分添加量は17.5パーセントになる。
【0042】
コーティング製剤は、シリコン、アルミニウム、ガラス、又は他の耐熱性基材といった基材上に堆積し、空気中で乾燥させる。乾燥後、コーティング表面を、50重量パーセントのパーフルオロアルキルアミンの溶液でオーバーコーティングして、薄い<2μmのコーティングをフルオロエラストマー層の上に形成する。
コーティングは、次いで、149℃から232℃との間の温度で、4時間から12時間にわたる段階的な加熱により硬化される。パーフルオロアルキルアミンは、アミノ結合を介してフルオロポリマー鎖と直接結合するが、一方、VC50架橋剤は、フルオロポリマー鎖を直接架橋させる。
尚、本発明は以下の事項を含んでいる。
〔1〕基材と、
前記基材の上の、トップコートを有する外層と、
を含み、前記外層はフルオロポリマーを含み、前記トップコートはフッ化炭素鎖を含み、さらに、前記フッ化炭素鎖は前記フルオロポリマーに結合される
ことを特徴とする自己剥離性定着器部材。
〔2〕記録媒体上に画像を形成するためのオイルレス画像形成装置であって、
静電潜像を受け取るための電荷保持表面と、
前記電荷保持表面上に現像像を形成するために静電潜像を現像するように前記電荷保持表面にトナーを適用する現像構成部品と、
前記現像像を前記電荷保持表面からコピー基材に転写する転写構成部品と、
前記現像像を前記コピー基材に定着させるための自己剥離性定着器部材と、
を含み、前記自己剥離性定着器部材は、基材と、その上にトップコートを有する外層とを含み、前記外層は、フルオロポリマーを含み、前記トップコートはフッ化炭素鎖を含み、さらに、前記フッ化炭素鎖は、前記フルオロポリマーに結合する
ことを特徴とするオイルレス画像形成装置。
【符号の説明】
【0043】
2:外層
3:充填剤
4:基材
5:定着器ローラ
8:加熱部材
26:中間層
28:充填剤
図1
図2
図3
図4
図5