【0007】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態を説明する。
図2は、本発明に係る再蒸発蒸気および凝縮水回収装置を用いたボイラーシステムの構成を示すブロック図であり、
図3は、本発明に係る再蒸発蒸気および凝縮水回収装置の構成を示すブロック図であり、
図4は、本発明に係る再蒸発蒸気および凝縮水回収装置の蒸気再圧縮制御弁の構成を示す断面図である。
先ず、従来の技術と同じ構成要素についての反復的な説明は省略し、従来の技術と同じ構成要素に対して同じ図面符号を付する。
図2から
図4に示すように、本発明に係る再蒸発蒸気および凝縮水回収装置は、高温の蒸気を形成するためのボイラー10と、ボイラー10において生成された高温の蒸気がヘッダー20を介して供給されて処理対象物を加熱する第1加熱部30および第2加熱部30’と、第1および第2加熱部30、30’を加熱するための蒸気が供給されるようにする蒸気加圧部100と、第1および第2加熱部30、30’から排出される凝縮水の収集と前記凝縮水からの再蒸発蒸気の回収を行う蒸気回収部200と、蒸気回収部200において回収された前記再蒸発蒸気が蒸気加圧部100に供給されるようにする蒸発蒸気連結管300と、を備え、好ましくは、密閉回路からなる。
蒸気加圧部100は、ボイラー10から供給される高温の蒸気と蒸気回収部200から供給される再蒸発蒸気を混合して第1および第2加熱部30、30’に供給する構成であり、蒸気再圧縮制御弁110と、圧力センサー130と、圧力制御部140と、を備えてなる。
蒸気再圧縮制御弁110は、ボイラー10から供給される高温の蒸気と、蒸発蒸気連結管300を介して蒸気回収部200から供給される再蒸発蒸気を混合して第1および第2加熱部30、30’に供給する。
具体的に、蒸気再圧縮制御弁110は、ボイラー10から供給される高温の蒸気が流入する高温蒸気流入口111と、蒸気回収部200から供給される再蒸発蒸気が流入する再蒸発蒸気流入口112と、前記高温の蒸気と再蒸発蒸気が混合されて吐き出される蒸気吐出口113と、蒸気再圧縮制御弁110のオン/オフ動作を制御するためのアクチュエータ120と、アクチュエータ120の動作に応じて移動する開閉ロッド121と、アクチュエータ120の開閉ロッド121に設けられてアクチュエータ120の動作に応じて高温蒸気流入口111と蒸気吐出口113を連結した第1貫通孔114を開閉する第1開閉部122と、再蒸発蒸気流入口112と蒸気吐出口113を連結した第2貫通孔115を開閉する第2開閉部123と、を備える。
このため、蒸気再圧縮制御弁110は高温の蒸気(実線矢印)が高温蒸気流入口111に流入して第1貫通孔114を介して蒸気吐出口113に噴出されると、再蒸発蒸気流入口112の第2貫通孔115の部分において圧力低下現象が発生し、これにより、周りの空気が吸引されて真空圧(負圧)が発生して再蒸発蒸気(点線矢印)が高温の蒸気(実線矢印)と混合されて噴出される。
圧力センサー130は蒸気再圧縮制御弁110と第1および第2加熱部30、30’の間に配設されて第1および第2加熱部30、30’に供給される蒸気の圧力を検出する構成であり、好ましくは、蒸気再圧縮制御弁110の蒸気吐出口113に吐き出されて第1および第2加熱部30、30’に供給される蒸気の圧力を検出し、前記検出された蒸気の圧力値を圧力制御部140に与える。
圧力制御部140は、圧力センサー130において検出された圧力に応じて蒸気再圧縮制御弁110に動作制御信号を出力して蒸気再圧縮制御弁の動作を制御する構成であり、好ましくは、圧力センサー130において検出された蒸気の圧力値を分析し、前記分析された結果に基づいて蒸気再圧縮制御弁110に配設されたアクチュエータ120の動作制御信号を出力することにより、第1および第2加熱部30、30’に供給される蒸気の圧力が調節されるようにする。
一方、この実施形態においては、圧力センサー130と圧力制御部140を実施形態として説明したが、圧力センサー130を蒸気の温度を検出する温度センサーに設計変更し、圧力制御部140を前記温度センサーにおいて検出された温度に応じてアクチュエータ120の動作制御信号を出力する温度制御手段に設計変更して構成することも可能であることは当業者にとって自明であろう。
蒸気回収部200は、第1および第2加熱部30、30’から排出される凝縮水と前記凝縮水から再蒸発する蒸気を回収して、凝縮水はボイラー10に、再蒸発蒸気は蒸気加圧部100にそれぞれ供給する構成であり、蒸発容器210と、給水パンプ220と、水位センサー230と、水位制御部240と、オーバーフロー弁250と、を備えてなる。
蒸発容器210は第1および第2加熱部30、30’と連結され、第1および第2加熱部30、30’における熱交換により発生した凝縮水が逆止弁41、41’により排出されれば流入するようにし、蒸発容器210に回収された凝縮水から再蒸発して分離される蒸発蒸気を回収して蒸気再圧縮制御弁110に供給する。
すなわち、蒸発容器210は凝縮水と再蒸発蒸気が分離された状態で一緒に収納されていて、凝縮水と再蒸発蒸気を選択的に排出することができる。
また、蒸発容器210は、第1および第2加熱部30、30’が配設された高さと同じ高さに配設されてもよく、第1および第2加熱部30、30’が配設された高さよりも低い箇所に配設されてもよく、第1および第2加熱部30、30’が配設された高さよりも高い箇所に配設されてもよいが、好ましくは、第1および第2加熱部30、30’が配設された高さよりも低い箇所に配設して凝縮水が重力による自然落下により一層容易に移動できるようにする。
給水パンプ220は、蒸発容器210に流入した凝縮水がボイラー10に強制的に給水されるようにする。
水位センサー230は、蒸発容器210の一方の側に配設されて蒸発容器210に流入する凝縮水の水位を検出する。
水位制御部240は、水位センサー230において検出された水位を分析し、前記分析された結果に基づいて給水パンプ220の動作を制御するための動作制御信号を給水パンプ220に出力する。
オーバーフロー弁250は、蒸発容器210の一方の側に配設されて蒸発容器210に過量の凝縮水が流入する場合に凝縮水のオーバーフローを防止する構成であり、オーバーフロー弁250の一方の側は蒸発容器210に連結され、オーバーフロー弁250の他方の側は補充水タンク60と連結されてオーバーフローによる凝縮水が補充水タンク60に排出されるようにする。
未説明符号31、31’は逆止弁であり、蒸気加圧部100から供給される蒸気が第1加熱部30および第2加熱部30’に選択的に流入するように開閉動作を行う。
また、未説明符号61は補充水タンク60の水をボイラー10に供給する供給パンプであり、未説明符号62は弁である。
次いで、本発明に係る再蒸発蒸気および凝縮水回収装置の動作過程を説明する。
初期動作時には第1および第2加熱部30、30’の温度がユーザにより予め設定された温度に達するまでボイラー10において加熱された高温の蒸気がヘッダー20を経て蒸気加圧部100の蒸気再圧縮制御弁110に持続的に供給される。
初期動作時には第1および第2加熱部30、30’の温度が低くて熱交換時に第1および第2加熱部30、30’において大量の凝縮水が発生し、前記発生した凝縮水は逆止弁41、 41’を介して蒸発容器210に流入する。
水位制御部240は、水位センサー230を用いて蒸発容器210内の凝縮水の水位を検出し、前記検出された凝縮水の水位が予め設定された所定の水位に達すると給水パンプ220を動作させて蒸発容器210内の凝縮水がボイラー10に給送されるようにする。
また、過量の凝縮水が蒸発容器210に流入して凝縮水のオーバーフローが発生する場合、オーバーフロー弁250が動作して前記オーバーフローにより発生する凝縮水が補充水タンク60に送られるようにする。
一方、初期動作後に所定の時間が経過すると、蒸発容器210に流入した凝縮水の一部から再蒸発が起こり、このとき、再蒸発された蒸気は蒸発蒸気連結管300を介して蒸気再圧縮制御弁110の再蒸発蒸気流入口112に供給される。
再蒸発蒸気流入口112に供給された再蒸発蒸気は高温蒸気流入口111を介して流入する高温の蒸気が蒸気吐出口113に排出される間に再蒸発蒸気流入口と蒸気吐出口113との間に穿孔された第2貫通孔115の周りには真空圧(負圧)が発生し、これにより、再蒸発蒸気流入口112に供給された再蒸発蒸気が吸引されて高温の蒸気と一緒に蒸気吐出口113を介して第1および第2加熱部30、30’に供給される。
すなわち、放棄されていた再蒸発蒸気を回収して再使用することによりエネルギーの使用効率を高めることが可能になり、且つ、密閉回路上において真空圧により発生する差圧により蒸気の流速を連続的に速めることができて熱貫流率を高めるとともに熱交換効率を改善することができる。
第1および第2加熱部30、30’が所定の温度まで達して圧力センサー130において検出される蒸気の圧力が所定の圧力に達すると、圧力制御部140はアクチュエータ120に動作制御信号(オフ信号)を出力して蒸気再圧縮制御弁110の動作を終了する。
この後、圧力制御部140は第1および第2加熱部30、30’の温度が低下して 圧力センサー130において検出される蒸気の圧力が低くなると、アクチュエータ120に動作制御信号(オン信号)を出力して蒸気再圧縮制御弁110が動作するように制御する。
これにより、高温の蒸気が蒸気再圧縮制御弁110を介して第1および第2加熱部30、30’に供給される間に蒸発容器210において再蒸発された蒸気は蒸気再圧縮制御弁110に発生した真空圧(負圧)により吸引されて第1および第2加熱部30、30’に供給されることにより、再蒸発蒸気を使用することが可能になる。
図5から
図8はそれぞれ本発明に係る再蒸発蒸気および凝縮水回収装置を配設する前/後の時間当たりの蒸気使用量と燃料消費量を測定して示す波形図である。
図5に示すように、本発明に係る再蒸発蒸気および凝縮水回収装置を配設する前における時間当たりの蒸気の使用量は平均約6、000Kg/hrであったが、配設後における時間当たりの蒸気の使用量は、
図6に示すように、平均約4、000Kg/hrであって、再蒸発蒸気の使用により約2、000Kg/hrの蒸気使用量が減少されていることが分かる。
また、
図7に示すように、本発明に係る再蒸発蒸気および凝縮水回収装置を配設する前における時間当たりの燃料の消費量は平均約660l/hrであったが、配設後における時間当たりの燃料の消費量は、
図8に示すように、平均約430l/hrであって、再蒸発蒸気の使用により約230l/hrの燃料消費量が減少されていることが分かる。
このため、蒸発容器210において発生する再蒸発蒸気量に見合う分だけボイラー10から供給される蒸気の量を低減することができ、ボイラー10から供給される蒸気の量が減少される分だけボイラー10において消費される燃料の消費量も節減することが可能になる。
以上、本発明の特定の好適な実施形態について図示および説明した。しかし、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を持った者であれば特許請求の範囲に記載の本発明の技術的思想の要旨を逸脱することなくいくらでも種々に変更実施することができるであろう。