【実施例】
【0037】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0038】
(製造例1)高分子分散剤の製造
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管を備えた2リットルの五つ口のセパラブルフラスコ中に、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩の80%水溶液228.48g(純分182.784g;79.73モル%)、メタリルスルホン酸ナトリウム0.09g(0.05モル%)、N,N−ジメチルアクリルアミド0.23g(0.2モル%)、1,3,5−トリアクロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン0.059g(0.02モル%)、アクリルアミド16.83g(20モル%)イオン交換水533.9gを仕込み、60℃に加温しながら窒素置換した。これに、重合開始剤として2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の2%水溶液20gを加え、攪拌下で重合を開始させた。2時間反応を行い、分岐構造を有する高分子分散剤を得た。
【0039】
(製造例2)高分子分散剤の製造
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管を備えた2リットルの五つ口のセパラブルフラスコ中に、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩の80%水溶液228.19g(純分182.552g;79.63モル%)、メタリルスルホン酸ナトリウム0.37g(0.2モル%)、N,N−ジメチルアクリルアミド0.12g(0.1モル%)、メチレンビスアクリルアミド0.1277g(0.07モル%)、アクリルアミド16.83g(20モル%)イオン交換水533.96gを仕込み、60℃に加温しながら窒素置換した。これに、重合開始剤として2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の2%水溶液20gを加え、攪拌下重合を開始させた。2時間反応を行い、分岐構造を有する高分子分散剤を得た。
【0040】
(比較製造例1)高分子分散剤の製造
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管を備えた2リットルの五つ口のセパラブルフラスコ中に、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩の80%水溶液57.72g(純分46.176g;10モル%)、メタリルスルホン酸ナトリウム2.26g(0.6モル%)、アクリルアミド151.56g(89.4モル%)、イオン交換水568.06gを仕込み、50℃に加温しながら窒素置換した。これに、重合開始剤として2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の2%水溶液20gを加え、攪拌下で重合を開始させた。2時間反応を行い、分岐構造を有しない高分子分散剤を得た。
得られた高分子分散剤の粘度は、不揮発分20%に調整した後、25℃に調整しビスメトロン粘度計(芝浦システム(株)製)を用いて測定した。(以下、粘度は同様の方法で測定した値である。)
【0041】
(比較製造例2)高分子分散剤の製造
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管を備えた2リットルの五つ口のセパラブルフラスコ中に、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩の80%水溶液215.72g(純分172.576g、69.87モル%)、N,N−ジメチルアクリルアミド0.13g(0.1モル%)、1,3,5−トリアクロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン0.0954g(0.03モル%)、アクリルアミド27.2g(30モル%)、イオン交換水536.46gを仕込み、60℃に加温しながら窒素置換した。これに、重合開始剤として2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の2%水溶液20gを加え、攪拌下で重合を開始させた。2時間反応を行い、分岐構造を有する高分子分散剤を得た。
【0042】
(比較製造例3)高分子分散剤の製造
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管を備えた2リットルの五つ口のセパラブルフラスコ中に、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩の80%水溶液240.11g(純分192.088g;89.97モル%)、メタリルスルホン酸ナトリウム0.02g(0.01モル%)、1,3,5−トリアクロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン0.055g(0.02モル%)、アクリルアミド7.84g(10モル%)、イオン交換水531.58gを仕込み、60℃に加温しながら窒素置換した。これに、重合開始剤として2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の4%水溶液20gを加え、攪拌下で重合を開始させた。2時間反応を行い、分岐構造を有する高分子分散剤を得た。
【0043】
(比較製造例4)高分子分散剤の製造
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管を備えた2リットルの五つ口のセパラブルフラスコ中に、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩の80%水溶液228.8g(純分183.04g;79.89モル%)、メタリルスルホン酸ナトリウム0.02g(0.01モル%)、N,N−ジメチルアクリルアミド0.1g(0.1モル%)、アクリルアミド16.82g(20モル%)イオン交換水533.84gを仕込み、50℃に加温しながら窒素置換した。これに、重合開始剤として2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の2%水溶液20gを加え、攪拌下で重合を開始させた。2時間反応を行い、分岐構造を有しない高分子分散剤を得た。
【0044】
【表1】
【0045】
表中、(b1)〜(b5)の各化合物(単量体)の略号は、下記のとおりであり、数字はモル%である。
DMAEA−Q:N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩
TAF:1,3,5−トリアクロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン
MBAA:メチレンビスアクリルアミド
SMAS:メタリルスルホン酸ナトリウム
AM:アクリルアミド
DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド
表中、不揮発分20%における粘度(mPa・s)は、B型粘度を使用してJIS
K7117-1に従い、25℃における粘度を測定した値である。
【0046】
(実施例1)水溶性重合体分散液の製造
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管を備えた2リットルの五つ口のセパラブルフラスコ中に、製造例1で得られた分岐構造を有する高分子分散剤を110g(不揮発分20%;得られる(A)成分100重量部に対し5.5重量部となる)、硫酸アンモニウム400gをイオン交換水1030.3gに溶解した。これに、アクリルアミド216.38g(74.995モル%)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩の80%水溶液196.48g(純分157.184g;20モル%)、イタコン酸26.4g(5モル%)、メチレンビスアクリルアミド0.0313g(0.005モル%)を加え45℃に加温しながら窒素置換した。これに重合開始剤として2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の2%水溶液20gを加え、攪拌下で24時間重合を行い、塩水溶液に分散した水溶性重合体(含有量20重量%)の分散液が得られた。
【0047】
(実施例2)水溶性重合体分散液の製造
実施例1で用いた高分子分散剤の種類を、製造例2に変更したこと以外は、実施例1と同様に製造して分散液を得た。
【0048】
(実施例3)水溶性重合体分散液の製造
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管を備えた2リットルの五つ口のセパラブルフラスコ中に、製造例1で得られた分岐構造を有する高分子分散剤を110g(不揮発分20%;得られる(A)成分100重量部に対し5.5重量部となる)、硫酸アンモニウム400gをイオン交換水1004.71gに溶解した。これに、アクリルアミド205.25g(79.99モル%)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートのベンジルクロライド4級化物の75%水溶液259.55g(純分194.663g;20モル%)、1,3,5−トリアクロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン0.09g(0.01モル%)を加え45℃に加温しながら窒素置換した。これに重合開始剤として2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の2%水溶液20gを加え、攪拌下で24時間重合を行い、塩水溶液に分散した水溶性重合体(含有量20重量%)の分散液が得られた。
【0049】
(実施例4)水溶性重合体分散液の製造
実施例3で用いた高分子分散剤の種類を、製造例2に変更したこと以外は、実施例3と同様に製造して分散液を得た。
【0050】
(実施例5)水溶性重合体分散液の製造
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管を備えた2リットルの五つ口のセパラブルフラスコ中に、製造例1で得られた分岐構造を有する高分子分散剤を110g(不揮発分20%;得られる(A)成分100重量部に対し5.5重量部となる)、硫酸アンモニウム400gをイオン交換水1027.57gに溶解した。これに、アクリルアミド227.56g(78.998モル%)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートのベンジルクロライド4級化物の75%水溶液109.27g(純分81.953g;7.5モル%)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩の80%水溶液73.56g(純分58.848g;7.5モル%)、イタコン酸31.63g(6モル%)、メチレンビスアクリルアミド0.0125g(0.002モル%)を加え45℃に加温しながら窒素置換した。これに重合開始剤として2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の2%水溶液20gを加え、攪拌下で24時間重合を行い、塩水溶液に分散した水溶性重合体(水溶性重合体の含有量20重量%)の分散液が得られた。
【0051】
(実施例6)水溶性重合体分散液の製造
実施例5で用いた高分子分散剤の種類を、製造例2に変更したこと以外は、実施例1と同様に製造して分散液を得た。
【0052】
(実施例7)水溶性重合体分散液の製造
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管を備えた2リットルの五つ口のセパラブルフラスコ中に、製造例1で得られた分岐構造を有する高分子分散剤を110g(不揮発分20%;得られる(A)成分100重量部に対し5.5重量部となる)、硫酸アンモニウム400gをイオン交換水1027.57gに溶解した。これに、アクリルアミド227.57g(79モル%)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートのベンジルクロライド4級化物の75%水溶液109.27g(純分81.953g;7.5モル%)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩の80%水溶液73.56g(純分58.848g;7.5モル%)、イタコン酸31.63g(6モル%)、を加えた後45℃に加温しながら窒素置換した。これに重合開始剤として2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の2%水溶液20gを加え、攪拌下で24時間重合を行い、塩水溶液に分散した水溶性重合体(含有量20重量%)の分散液が得られた。
【0053】
(実施例8)水溶性重合体分散液の製造
実施例7で用いた高分子分散剤の種類を、製造例2に変更したこと以外は、実施例7と同様に製造して分散液を得た。
【0054】
(実施例9)水溶性重合体分散液の製造
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管を備えた2リットルの五つ口のセパラブルフラスコ中に、製造例1で得られた分岐構造を有する高分子分散剤を110g(不揮発分20%;得られる(A)成分100重量部に対し5.5重量部となる)、硫酸アンモニウム400gをイオン交換水939.82gに溶解した。これに、アクリルアミド182.93g(74.99モル%)、N,N−ジメチルアミノエチルメタアクリレートのベンジルクロライド4級化物の60%水溶液324.45g(純分194.67g;20モル%)、イタコン酸22.32g(5モル%)、1,3,5−トリアクロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン0.0855g(0.01モル%)を加えた後45℃に加温しながら窒素置換した。これに重合開始剤として2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の2%水溶液20gを加え、攪拌下で24時間重合を行い、塩水溶液に分散した水溶性重合体(含有量20重量%)の分散液が得られた。
【0055】
(実施例10)水溶性重合体分散液の製造
実施例9で用いた高分子分散剤の種類を、製造例2に変更したこと以外は、実施例9と同様に製造して分散液を得た。
【0056】
(実施例11)水溶性重合体分散液の製造
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管を備えた2リットルの五つ口のセパラブルフラスコ中に、製造例1で得られた分岐構造を有する高分子分散剤を300g(不揮発分20%;得られる(A)成分100重量部に対し15重量部となる)、硫酸アンモニウム400gをイオン交換水840.3gに溶解した。これに、アクリルアミド216.38g(74.995モル%)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩の80%水溶液196.48g(純分157.184g;20モル%)、イタコン酸26.4g(5モル%)、メチレンビスアクリルアミド0.0313g(0.005モル%)を加え45℃に加温しながら窒素置換した。これに重合開始剤として2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の2%水溶液20gを加え、攪拌下で24時間重合を行い、塩水溶液に分散した水溶性重合体(含有量20重量%)の分散液が得られた。
【0057】
(実施例12)水溶性重合体分散液の製造
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管を備えた2リットルの五つ口のセパラブルフラスコ中に、製造例1で得られた分岐構造を有する高分子分散剤を400g(不揮発分20%;得られる(A)成分100重量部に対し20重量部となる)、硫酸アンモニウム400gをイオン交換水740.3gに溶解した。これに、アクリルアミド216.38g(74.995モル%)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩の80%水溶液196.48g(純分157.184g;20モル%)、イタコン酸26.4g(5モル%)、メチレンビスアクリルアミド0.0313(0.005モル%)を加え45℃に加温しながら窒素置換した。これに重合開始剤として2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の2%水溶液20gを加え、攪拌下で24時間重合を行い、塩水溶液に分散した水溶性重合体(含有量20重量%)の分散液が得られた。
【0058】
(実施例13)水溶性重合体分散液の製造
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管を備えた2リットルの五つ口のセパラブルフラスコ中に、製造例1で得られた分岐構造を有する高分子分散剤を500g(不揮発分20%;得られる(A)成分100重量部に対し25重量部となる)、硫酸アンモニウム400gをイオン交換水640.3gに溶解した。これに、アクリルアミド216.38g(74.995モル%)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩の80%水溶液196.48g(純分157.184g;20モル%)、イタコン酸26.4g(5モル%)、メチレンビスアクリルアミド0.0313g(0.005モル%)を加え45℃に加温しながら窒素置換した。これに重合開始剤として2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の2%水溶液20gを加え、攪拌下で24時間重合を行い、塩水溶液に分散した水溶性重合体(含有量20重量%)の分散液が得られた。
【0059】
(比較例1)水溶性重合体分散液の製造
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管を備えた2リットルの五つ口のセパラブルフラスコ中に、比較製造例1で得られた分岐構造を有しない高分子分散剤を110g(不揮発分20%;得られる(A)成分100重量部に対し5.5重量部となる)、硫酸アンモニウム400gをイオン交換水1030.3gに溶解した。これに、アクリルアミド216.38g(74.995モル%)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩の80%水溶液196.48g(純分157.184g;20モル%)、イタコン酸26.4g(5モル%)、メチレンビスアクリルアミド0.0313g(0.005モル%)を加え45℃に加温しながら窒素置換した。これに重合開始剤として2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の2%水溶液20gを加え、攪拌下で24時間重合を行い、塩水溶液に分散した水溶性重合体(含有量20重量%)の分散液が得られた。
【0060】
(比較例2〜4)水溶性重合体分散液の製造
比較例1で用いた高分子分散剤の種類を、比較製造例2〜4に変更したこと以外は、比較例1と同様に製造して、それぞれ比較例2〜4の分散液を得た。
【0061】
(比較例5)水溶性重合体分散液の製造法
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管を備えた2リットルの五つ口のセパラブルフラスコ中に、比較製造例1で得られた分岐構造を有しない高分子分散剤を110g(不揮発分20%;得られる(A)成分100重量部に対し5.5重量部となる)、硫酸アンモニウム400gをイオン交換水1004.71gに溶解した。これに、アクリルアミド205.25g(79.99モル%)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートのベンジルクロライド4級化物の75%水溶液259.55g(純分194.663g;20モル%)、1,3,5−トリアクロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン0.09g(0.01モル%)を加え45℃に加温しながら窒素置換した。これに重合開始剤として2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の2%水溶液20gを加え、攪拌下で24時間重合を行い、塩水溶液に分散した水溶性重合体(含有量20重量%)の分散液が得られた。
【0062】
(比較例6〜8)水溶性重合体分散液の製造
比較例5で用いた高分子分散剤の種類を、比較製造例2〜4に変更したこと以外は、比較例5と同様に製造して、それぞれ比較例6〜8の分散液を得た。
【0063】
(比較例9)水溶性重合体分散液の製造法
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管を備えた2リットルの五つ口のセパラブルフラスコ中に、比較製造例1で得られた分岐構造を有しない高分子分散剤を110g(不揮発分20%;得られる(A)成分100重量部に対し5.5重量部となる)、硫酸アンモニウム400gをイオン交換水1027.57gに溶解した。これに、アクリルアミド227.56g(78.998モル%)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートのベンジルクロライド4級化物の75%水溶液109.27g(純分81.953g;7.5モル%)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩の80%水溶液73.56g(純分58.848g;7.5モル%)、イタコン酸31.63g(6モル%)、メチレンビスアクリルアミド0.0125g(0.002モル%)を加え45℃に加温しながら窒素置換した。これに重合開始剤として2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の2%水溶液20gを加え、攪拌下で24時間重合を行い、塩水溶液に分散した水溶性重合体(含有量20重量%)の分散液が得られた。
【0064】
(比較例10〜12)水溶性重合体分散液の製造
比較例9で用いた高分子分散剤の種類を、比較製造例2〜4に変更したこと以外は、比較例9と同様に製造して、それぞれ比較例9〜12の分散液を得た。
【0065】
(比較例13)水溶性重合体分散液の製造法
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管を備えた2リットルの五つ口のセパラブルフラスコ中に、比較製造例1で得られた分岐構造を有しない高分子分散剤を110g(不揮発分20%;得られる(A)成分100重量部に対し5.5重量部となる)、硫酸アンモニウム400gをイオン交換水1027.57gに溶解した。これに、アクリルアミド227.57g(79モル%)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートのベンジルクロライド4級化物の75%水溶液109.27g(純分81.953g;7.5モル%)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩の80%水溶液73.56g(純分58.848g;7.5モル%)、イタコン酸31.63g(6モル%)、を加えた後45℃に加温しながら窒素置換した。これに重合開始剤として2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の2%水溶液20gを加え、攪拌下で24時間重合を行い、塩水溶液に分散した水溶性重合体(含有量20重量%)の分散液が得られた。
【0066】
(比較例14〜16)水溶性重合体分散液の製造
比較例13で用いた高分子分散剤の種類を、比較製造例2〜4に変更したこと以外は、比較例13と同様に製造して、それぞれ比較例14〜16の分散液を得た。
【0067】
(比較例17)水溶性重合体分散液の製造法
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管を備えた2リットルの五つ口のセパラブルフラスコ中に、比較製造例1で得られた分岐構造を有しない高分子分散剤を110g(不揮発分20%;得られる(A)成分100重量部に対し5.5重量部となる)、硫酸アンモニウム400gをイオン交換水939.82gに溶解した。これに、アクリルアミド182.93g(74.99モル%)、N,N−ジメチルアミノエチルメタアクリレートのベンジルクロライド4級化物の60%水溶液324.45g(純分194.67g;20モル%)、イタコン酸22.32g(5モル%)、1,3,5−トリアクロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン0.0855g(0.01モル%)を加えた後45℃に加温しながら窒素置換した。これに重合開始剤として2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の2%水溶液20gを加え、攪拌下で24時間重合を行い、塩水溶液に分散した水溶性重合体(含有量20重量%)の分散液が得られた。
【0068】
(比較例18〜20)水溶性重合体分散液の製造
比較例17で用いた高分子分散剤の種類を、比較製造例2〜4に変更したこと以外は、比較例17と同様に製造して、それぞれ比較例18〜20の分散液を得た。
【0069】
実施例および比較例で得られた水溶性重合体分散液について、平均粒径、粘度、Mw/Mnを測定した結果を表2および表3に示す。なお、各測定方法は、以下のとおりである。
(平均粒径)
光学顕微鏡で観察(顕微鏡視野中の分散粒子を、任意に100個測定した平均値)することにより行った。
(粘度)
B型粘度を使用してJIS K7117-1に従い、25℃における粘度を測定した。
(Mw/Mn)
ゲルパーメーションクロマトグラフィー法によるポリエチレンオキシド換算値で得られた各分子量から算出した値である。
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
表2および表3における各化合物(単量体等)略号は下記の化合物を表し、数字はモル%である。
DML:N,N−ジメチルアミノエチルメタアクリレートのベンジルクロライド4級化物
DMAEA−BQ:N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートのベンジルクロライド4級化物
DMAEA−Q:N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩
DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド
MBAA:メチレンビスアクリルアミド
TAF:1,3,5−トリアクロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン
AM:アクリルアミド
【0073】
評価方法:
(評価例1〜13及び比較評価例1〜20)
段ボ−ル古紙をナイアガラ式ビーターにて叩解し、カナディアン・スタンダ−ド・フリ−ネス(C.S.F)320mlに調整し、固形分濃度1.0重量%の紙料を得た。つぎに、紙料の固形分量に対し1.0重量%の硫酸バンドを添加してpH7.0のパルプスラリーを調製した。そして、実施例1から13および比較例1から20で得られた水溶性重合体分散液を水道水で固形分((A)+(B))濃度0.05重量%に希釈して、水溶性重合体分散液の希釈液を調製した。つぎに、パルプスラリーに水溶性重合体分散液の希釈液を、パルプスラリー中の紙料の固形分量に対し0.05重量%添加し、タッピ・シートマシンにて脱水し、5kg/cm
2で2分間プレスして、坪量150g/m2の紙を得た。次いで、各水溶性重合体分散液を用いて得られた紙を、それぞれ、回転型乾燥機で105℃において4分間乾燥し、23℃、50%R.H.の条件下に24時間調湿したのち、比破裂強度および地合変動係数を測定した。同時に、上記の薬品添加後のパルプスラリー500mlをブリットジャー(40メッシュ)に入れタービン羽根を備えた撹拌機を用いて撹拌しながら(2000rpm)下穴から濾水100mlを採取し、No2濾紙により吸引濾過後、110℃で60分間乾燥し、乾燥後の質量を測定することにより、全歩留り(OPR)を求めた。また、別途、上記薬品添加後の各パルプスラリーの濾水量も測定した。
【0074】
なお、濾水量は、JIS P8121に準拠して測定し、比破裂強度は、JIS P8131に準拠して測定し、地合変動係数は、得られた紙を通過する光(輝度)をパーソナル画像処理システムHyper−700(OBS製)に取り込み、輝度分布を統計解析することにより測定した。なお、地合変動係数は、数値が小さいほど地合が良好であることを示す。
【0075】
各評価例における水溶性高分子分散体固形分の紙料固形分に対する添加率と各項目の測定結果を表4に示す。
【0076】
【表4】