(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転軸を中心に回転可能なフレームと、該フレームに保持された界磁部と、該界磁部を該フレームに固定する押さえ部材と、を備えたアキシャルギャップ型回転電機用ロータの製造方法であって、
前記フレームに当接させた前記押さえ部材にレーザ光を照射して該押さえ部材と該フレームとを、前記フレームの前記回転軸線を回転対称軸とする回転対称な複数の位置において、レーザ溶接する溶接工程において、
予め前記押さえ部材に、該押さえ部材を前記フレームに当接させたとき該フレームの回転軸線に対して傾斜するレーザ照射面を形成し、
前記押さえ部材のレーザ照射面に、前記フレームの回転軸線に平行なレーザ光を照射し、
前記押さえ部材が、前記界磁部の磁極面の一部を押さえるリング部品から形成されていることを特徴としたアキシャルギャップ型回転電機用ロータの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、
図12(a)に示すように、特許文献1に記載のロータ500は、ロータフレーム510に界磁部520を固定する固定部材530のレーザ照射面531が、ロータフレーム510の回転軸線Cに対し直交していたため、回転軸線Cに平行なレーザ光Rを固定部材530に照射すると、その反射光によってレーザ照射装置540自身を焼損するおそれがあった。そこで、従来では、
図12(b)に示すように、レーザ光Rの照射方向を回転軸線Cに対し傾斜させ、レーザ光Rを固定部材530のレーザ照射面531に斜めに照射することによって、反射光をレーザ照射装置540から逸らせてレーザ溶接を行うようにしている。
【0005】
ところが、この方法によれば、レーザ照射装置540のレーザ光Rの照射方向を制御しなければならないため、例えば溶接ロボットを使用する場合、レーザ光の照射位置を制御するための3軸制御に加え、レーザ光Rの照射角度の制御も必要となった。
【0006】
また、レーザ光Rを固定部材530のレーザ照射面531に斜めに照射することから、ロータフレーム510や固定部材530の厚み方向の公差等によってレーザ照射面531の回転軸線C方向の位置が変わると、レーザ溶接部が回転軸線Cの直交方向へ位置ずれしてしまう問題があり、この溶接部の位置ずれによって界磁部520に熱ダメージを与えるおそれもあった。
【0007】
本発明は、従来のアキシャルギャップ型回転電機用ロータの製造方法に上記のような問題があったことに鑑みて為されたもので、例えばロボット溶接等による自動化が容易で、高品質なロータを安価に製造することができるアキシャルギャップ型回転電機用ロータの製造方
法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、回転軸を中心に回転可能なフレームと、該フレームに保持された界磁部と、該界磁部を該フレームに固定する押さえ部材と、を備えたアキシャルギャップ型回転電機用ロータの製造方法であって、前記フレームに当接させた前記押さえ部材にレーザ光を照射して該押さえ部材と該フレームとを、前記フレームの前記回転軸線を回転対称軸とする回転対称な複数の位置において、レーザ溶接する溶接工程において、
予め前記押さえ部材に、該押さえ部材を前記フレームに当接させたとき該フレームの回転軸線に対して傾斜するレーザ照射面を形成し、前記押さえ部材のレーザ照射面に、前記フレームの回転軸線に平行なレーザ光を照射
し、前記押さえ部材が、前記界磁部の磁極面の一部を押さえるリング部品から形成されていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明は、前記押さえ部材が、前記フレームの周方向に並ぶ複数の押さえ片から形成されていることを特徴としている。
【0010】
また、本発明は、前記押さえ部材が、前記界磁部と一体に形成されていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明は、前記押さえ部材と当接する前記フレームの当接面が、該フレームの回転軸線に対し傾斜して形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る
アキシャルギャップ型回転電機用ロータの製造方法によれば、押さえ部材に予め、フレームに当接させたときフレームの回転軸線に対して傾斜するレーザ照射面を形成しておき、これらレーザ照射面に、回転軸線に平行なレーザ光を照射することによって、レーザ溶接を行うようにしているので、レーザ溶接時に各レーザ照射面による反射光をレーザ照射装置から逸らせることができ、レーザ照射装置自身を焼損するおそれがない。
【0013】
しかも、レーザ光をフレームの回転軸線に平行に照射しているので、必ずしもレーザ光の照射角度の制御を行う必要がなく、例えばロボット溶接等による自動化が容易である。また、例えばフレームや押さえ部材の厚み方向の公差等によって、回転軸線方向におけるレーザ照射面の面位置が変わっても、レーザ溶接部が回転軸線の直交方向へ位置ずれしてしまう問題もない。したがって、溶接部の位置ずれによって界磁部に熱ダメージを与えてしまうおそれもなく、より高品質なロータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態のロータを備えたアキシャルギャップ型回転電機の概略側面図である。
【
図2】本実施形態のロータの分解状態の斜視図である。
【
図3】本実施形態のロータの分解状態の要部断面図である。
【
図4】本実施形態のロータの製造工程を説明する要部断面図である。
【
図5】本実施形態のロータのレーザ溶接部の位置を示す平面図である。
【
図6】本発明に係るロータの変形例を説明する分解状態の斜視図である。
【
図7】本発明に係るロータの他の変形例を説明する組立状態の斜視図である。
【
図8】本発明に係るロータの更に他の変形例を説明する組立状態の要部断面図である。
【
図9】同ロータの押さえ部材のディスク部品の展開状態の平面図である。
【
図10】本発明に係るロータの更に他の変形例を説明する組立状態の要部断面図である。
【
図11】同ロータの界磁部の磁性体の概略斜視図である。
【
図12】従来のロータのレーザ溶接工程の説明図であり、同図(a)は回転軸線に平行なレーザ光を照射した場合の概略断面図であり、同図(b)は回転軸線に対し斜めにレーザ光を照射した場合の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るロータは、アキシャルギャップ型回転電機に使用されるものである。
図1の概略図に示すように、アキシャルギャップ型回転電機1は、回転軸2を中心として回転可能に配設されたロータ10と、このロータ10の回転軸方向の両側に所定のギャップを隔てて配設された第一ステータ20及び第二ステータ30と、を備えている。第一ステータ20は、バックヨーク21と、バックヨーク21に立設されたティース22と、ティース22に巻回されたコイル23とから構成されており、第二ステータ30は、バックヨーク31から構成されている。第一ステータ20及び第二ステータ30は、不図示の容器内に固定され、回転軸2が回転可能に貫通している。
【0016】
本実施形態のロータ10は、回転軸2に固定され、回転軸2を中心に回転可能な非磁性体から成るフレーム11と、このフレーム11に保持された界磁部12と、界磁部12をフレーム11に固定する押さえ部材13と、から構成されている。
【0017】
フレーム11は、
図2の分解斜視図に示すように、回転軸2(不図示)を挿通可能な軸孔111を有する内周部112と、この内周部112の外側面から放射状に突設された計6本のスポーク部113と、このスポーク部113の先端に設けられた外周部114とから構成されており、これら内周部112の外側面と、各スポーク部113の側面と、外周部114の内側面とで仕切られた計6つの界磁部保持孔115を有している。
【0018】
界磁部12は、
図1及び
図2に示すように、上記フレーム11の界磁部保持孔115内に保持される計6つの扇状の永久磁石121と、各永久磁石121に積層されて同じ界磁部保持孔115内に保持される計6つの扇状の磁性体122と、から構成されている。
【0019】
永久磁石121は、磁束密度を大きくするために、焼結された希土類磁石、特にNd−Fe−B系(ネオジウム・鉄・ボロン)から構成することが好ましい。また、希土類磁石、特に焼結した希土類磁石は導電率が高く、第一ステータ20から発生する回転磁界により渦電流損が生じ易い。このため、磁性体122は、希土類磁石に比べて導電率の小さい磁性材から構成され、永久磁石121に対し第一ステータ20側に配置されることにより、渦電流損を低減できる。特に、PWM制御する場合、キャリア成分の高周波の磁束の変化による渦電流損を低減できる。また、磁性体122を磁気的に等方性を有する圧粉磁心から構成すれば、磁性体122において渦電流損が生じ難くできる。また、永久磁石121が第一ステータ20側で発生させる界磁磁束のうちの殆どが磁性体122を通るので、磁性体122の第一ステータ20側の表面は、実質的に界磁部12の極磁面として機能する。
【0020】
押さえ部材13は、
図1及び
図2に示すように、上記フレーム11の界磁部保持孔115内に保持された界磁部12をフレーム11に固定するものである。本実施形態では、フレーム11の回転軸線C方向の両側にそれぞれ、押さえ部材13がレーザ溶接されて界磁部12が固定されている。
【0021】
本実施形態では、フレーム11の第一ステータ20側で界磁部12を固定する押さえ部材13が、小径のリング部品131、及び大径のリング部品132から形成されており、フレーム11の第二ステータ30側で界磁部12を固定する押さえ部材13が、ディスク部品133から形成されている。
図1に示すように、小径のリング部品131が界磁部12の第一ステータ20側の磁極面の内縁の一部を押さえた状態でフレーム11にレーザ溶接されており、大径のリング部品132が界磁部12の第一ステータ20側の磁極面の外縁の一部を押さえた状態でフレーム11にレーザ溶接されている。そして、ディスク部品133が界磁部12の第二ステータ30側の磁極面の全部を押さえた状態でフレーム11にレーザ溶接されている。
【0022】
このディスク部品133は、軟磁性の電磁鋼板から形成されており、界磁部12の第二ステータ30側の磁束を部分的に短絡する機能を有する。この機能によって、第二ステータ30とロータ10との間に働く磁気吸引力が、第一ステータ20とロータ10との間に働く磁気吸引力よりも強い場合に、第二ステータ30とロータ10との間に働く磁気吸引力を弱めることができる。この機能が不要であれば、ディスク部品133の代わりにリング部品を使用してもよい。
【0023】
以下、
図3〜
図5を参照しながら、本実施形態のアキシャルギャップ型回転電機用ロータ10の製造方法について説明する。
【0024】
まず、準備工程として、ロータ10を構成するフレーム11、界磁部12、及び押さえ部材13をそれぞれ準備する。即ち、
図3に示すように、予めフレーム11の内周部112の外縁における第一ステータ20側の端面に、フレーム11の回転軸線Cと直交する平面状の当接面1121を形成すると共に、第二ステータ30側の端面に、回転軸線Cとは反対側へ傾斜する円錐側面状の当接面1122を形成しておく。さらに、フレーム11の外周部114の内縁における第一ステータ20側の端面に、回転軸線Cと直交する平面状の当接面1141を形成すると共に、第二ステータ30側の端面に、回転軸線Cへ向かって傾斜する円錐側面状の当接面1142を形成しておく。このフレーム11は、非磁性のステンレス鋼から形成されていることが好ましく、例えば、鋳造、粉末成形、切削・研削加工、打抜加工等によって形成することができる。
【0025】
また、予め押さえ部材13の小径のリング部品131の第一ステータ20側の端面に、回転軸線Cとは反対側へ傾斜する円錐側面状のレーザ照射面1311を形成すると共に、第二ステータ30側の端面に、回転軸線Cと直交する平面状の当接面1312を形成しておく。さらに、大径のリング部品132の第一ステータ20側の端面に、回転軸線Cへ向かって傾斜する円錐側面状のレーザ照射面1321を形成すると共に、第二ステータ30側の端面に、回転軸線Cと直交する平面状の当接面1322を形成しておく。これらリング部品131、132は、非磁性のステンレス鋼から形成されていることが好ましく、例えば、鋳造、粉末成形、切削・研削加工、打抜加工、曲げ・絞り加工等によって形成することができる。
【0026】
また、予め押さえ部材13のディスク部品133の内縁における第一ステータ20側の板面に、回転軸線Cへ向かって傾斜する円錐側面状の当接面1331を形成すると共に、第二ステータ30側の板面に、回転軸線Cとは反対側へ傾斜する円錐側面状のレーザ照射面1332を形成しておく。さらに、ディスク部品133の外縁における第一ステータ20側の板面に、回転軸線Cとは反対側へ傾斜する円錐側面状の当接面1333を形成すると共に、第二ステータ30側の板面に、回転軸線Cへ向かって傾斜する円錐側面状のレーザ照射面1334を形成しておく。
【0027】
このディスク部品133の当接面1331、1333の回転軸線Cに対する傾斜角度はそれぞれ、上記フレーム11の当接面1122、1142の回転軸線Cに対する傾斜角度と同一である。本実施形態のディスク部品133は、電磁鋼板材の打抜き、プレス加工によって形成されており、ディスク部品133の内縁の当接面1331とレーザ照射面1332、外縁の当接面1333とレーザ照射面1334とはそれぞれ平行で、ディスク部品133の厚みは全体に亘ってほぼ一定に形成されている。
【0028】
これらフレーム11、界磁部12、及び押さえ部材13をそれぞれ準備した後、まず、
図3及び
図4に示すように、押さえ部材13のディスク部品133をフレーム11にレーザ溶接する。即ち、ディスク部品133の当接面1331、1333をそれぞれ、フレーム11の当接面1122、1142に当接させ、フレーム11の回転軸線Cに平行なレーザ光Rをディスク部品133のレーザ照射面1332、1334にそれぞれ照射することによって、ディスク部品133をフレーム11にレーザ溶接するのである。
図4では、レーザ光Rを下方から照射するように図示しているが、実際には、フレーム11及びディスク部品133を上下反転させた状態でディスク部品133の上方からレーザ光を照射してレーザ溶接する。
【0029】
次に、フレーム11の界磁部保持孔115内に、永久磁石121と磁性体122とから成る界磁部12を収納する。界磁部12の永久磁石121は予め着磁されていてもよく、後で着磁するようにしてもよい。
【0030】
次に、
図4に示すように、押さえ部材13のリング部品131、132をフレーム11にレーザ溶接する。即ち、リング部品131、132の当接面1312、1322をそれぞれ、フレーム11の当接面1121、1141に当接させ、フレーム11の回転軸線Cに平行なレーザ光Rを、リング部品131、132のレーザ照射面1311、1321にそれぞれ照射することによって、リング部品131、132をフレーム11にレーザ溶接する。こうして、フレーム11の界磁部保持孔115内で界磁部12が固定され、アキシャルギャップ型回転電機用ロータ10が製造されるのである。
【0031】
なお、
図4に示すように、このレーザ溶接による溶接部Wは、レーザ光Rの照射方向に沿って形成され、各溶接部Wのレーザ照射軸線は、レーザ光Rの照射軸線と一致することになる。
図5(a)に示すように、このレーザ溶接による溶接部Wは点状であってもよく、
図5(b)に示すように円弧状であってもよい。上述したディスク部品133とフレーム11とのレーザ溶接においても同様である。また、フレーム11のスポーク部113で押さえ部材13をレーザ溶接してもよい。
【0032】
このように本実施形態のアキシャルギャップ型回転電機用ロータの製造方法によれば、界磁部12を固定するための押さえ部材13をフレーム11にレーザ溶接する工程において、押さえ部材13に予め、フレーム11に当接させたとき回転軸線Cに対して傾斜するレーザ照射面(1311、1321、1332、1334)を形成しておき、これらレーザ照射面に、回転軸線Cに平行なレーザ光Rを照射することによって、レーザ溶接を行うようにしているので、レーザ溶接時に各レーザ照射面による反射光をレーザ照射装置から逸らせることができ、レーザ照射装置自身を焼損するおそれがない。
【0033】
しかも、レーザ光Rをフレーム11の回転軸線Cに平行に照射しているので、必ずしもレーザ光Rの照射角度の制御を行う必要がなく、例えばロボット溶接等による自動化が容易である。
【0034】
また、レーザ光Rをフレーム11の回転軸線Cに平行に照射しているので、例えば、フレーム11や押さえ部材13の厚み方向の公差等によって、回転軸線C方向におけるレーザ照射面の面位置が変わっても、レーザ溶接部Wが回転軸線Cの直交方向へ位置ずれしてしまう問題もない。したがって、溶接部Wの位置ずれによって界磁部12に熱ダメージを与えてしまうおそれもなく、より高品質なロータを提供することができる。
【0035】
また、本実施形態のロータの製造方法によれば、フレーム11の当接面(1122、1142)を回転軸線Cに対し傾斜させて形成しているので、これら当接面(1122、1142)に、厚み一定のディスク部品133を当接させることによっても、回転軸線Cに対して傾斜するレーザ照射面(1332、1334)を得ることができる。したがって、押さえ部材13をより簡単に形成することができ、ロータの製造コストを抑えることができる。
【0036】
以上、本実施形態のロータの製造方法について説明したが、本発明はその他の形態でも実施することができる。
【0037】
例えば、上記実施形態では、
図3に示すように、押さえ部材13のリング部品131、132の端面の全周に亘ってレーザ照射面1311、1321を形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、
図6に示すロータ10Aのように、押さえ部材13Aのリング部品134、135の端面に部分的に複数のレーザ照射面1341、1351を形成してもよい。また、
図6に示す界磁部12Aのように、磁性体123に段部1231、1232を形成し、これら段部1231、1232に上記リング部品134、135を係合させて固定してもよい。このことで、押さえ部材13Aをフレーム11にレーザ溶接したとき、界磁部12Aの磁極面1233を、押さえ部材13Aのリング部品134、135の端面よりも突出させることができ、アキシャルギャップ型回転電機のエアギャップをより小さくすることができる。
【0038】
また、
図7に示すロータ10Bのように、押さえ部材13Bを、フレーム11の周方向に並ぶ複数の押さえ片136、137から形成し、各押さえ片136、137の端面に、回転軸線Cに対し傾斜するレーザ照射面1361、1371を形成してもよい。このことで、押さえ部材13Bをより簡単に形成することができ、ロータ10Bの製造コストを抑えることができる。
【0039】
また、
図8に示すロータ10Cのように、フレーム11Cの端面を回転軸心Cに対し傾斜させるだけでなく、界磁部12Cの磁極面(永久磁石124の磁極面1241及び又は磁性体125の磁極面1251)についても、回転軸心Cに対し傾斜させてもよい。このことで、押さえ部材13Cとして、レーザ照射面1381、1391と当接面1382、1392とがそれぞれ平行に形成されたリング部品138、139を採用することができ、また、ディスク内縁における当接面1401とレーザ照射面1402、ディスク外縁における当接面1403とレーザ照射面1404とが平行で、ディスク全体の厚みがほぼ一定な円錐側面形状のディスク部品140を採用することができる。このディスク部品140は、
図9に示すように、優弧扇状の平板材141を、その一の端部142から順にフレーム11Cにレーザ溶接してゆき、一の端部142と他の端部143とをフレーム11Cの端面上で突き合わせるようにして円錐側面形状に形成することもできる。
【0040】
また、
図10に示すロータ10Dのように、押さえ部材13Dを界磁部12Dと一体に形成してもよい。ロータ10Dの界磁部12Dは、焼結された希土類磁石から成る永久磁石126と、この永久磁石126を両側から挟む一対の磁性体127とから構成されている。そして、
図11に示すように、磁性体127の縁部に部分的に、回転軸心Cに対し傾斜したレーザ照射面1411を有する鍔部141が、押さえ部材13Dとして一体に形成されている。磁性体127はその鍔部141を含めて電磁鋼板の積層体から形成されており、この積層体から成る鍔部141がフレーム11Dにレーザ溶接されている。この鍔部141のレーザ照射面1411は、回転軸線Cに対し傾斜しているため、界磁部12Dの磁極面1271よりもステータとの間隔(エアギャップ)が大きくなる。したがって、ロータ10Dにおいては、積層体から成る鍔部141のレーザ溶接による磁気特性の劣化の影響を少なくすることができる。
【0041】
また、本発明において、押さえ部材のレーザ照射面は、この押さえ部材をフレームに当接させたときフレームの回転軸線に対して傾斜していれば足り、その傾斜方向、傾斜角度は種々の設計変更が可能である。レーザ照射面をフレームの半径方向に傾斜させる他、フレームの円周方向に傾斜させてもよい。例えば、フレーム11の回転軸線Cに向かって内側へ傾斜させれば、レーザ反射光が作業者に照射される危険を防ぐことができる。
【0042】
また、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づいて種々の改良、修正、変形を加えた態様で実施し得る。同一の作用又は効果が生じる範囲内でいずれかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良く、また、一体に構成されている発明特定事項を複数の部材から構成したり、複数の部材から構成されている発明特定事項を一体に構成した形態で実施しても良い。