(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5672663
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】電磁流量計
(51)【国際特許分類】
G01F 1/58 20060101AFI20150129BHJP
【FI】
G01F1/58 A
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2009-108808(P2009-108808)
(22)【出願日】2009年4月28日
(65)【公開番号】特開2010-256266(P2010-256266A)
(43)【公開日】2010年11月11日
【審査請求日】2012年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】新井 崇
【審査官】
山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭60−141516(JP,U)
【文献】
特開平10−197301(JP,A)
【文献】
特開平08−219833(JP,A)
【文献】
実開昭58−186428(JP,U)
【文献】
実開昭62−096526(JP,U)
【文献】
特開平06−174511(JP,A)
【文献】
特開平07−159210(JP,A)
【文献】
実開昭57−048417(JP,U)
【文献】
実開昭57−048419(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00 − 1/90
B29C 63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定管の両端にそれぞれ取り付けられたリング状のフランジと、前記測定管の内径面に取り付けられた係止板とを具備する電磁流量計において、
市販のパイプが使用された測定管の外径に合わせて形成され前記フランジの中心軸に平行な段差部平行面を有し前記フランジに設けられ前記フランジの内径部分に突起部を形成する段差部と、
前記段差部平行面に両端部分の外径面が接する測定管と、
前記突起部の頂部の外表面に一方の面が取り付けられた係止板と、
前記測定管の内径面の両端部分と前記突起部とを溶接する溶接部と、
を具備したことを特徴とする電磁流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁流量計に関するものである。
更に詳述すれば、電磁流量計のライニング係止構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6は従来より一般に使用されている従来例の要部構成説明図、
図7は
図6の要部構成説明図である。
図において、1は測定流体が流れる測定管である。
2は、測定管1の内面に設けられ絶縁材からなるライニング体である。
3は、ライニング体2を測定管1に係止する係止板である。
係止板3は、その端部4を折り曲げ、測定管1に挿入し溶接aして、ライニング体2を係止する。
【0003】
係止板3には等間隔に穴が空いており、端部4の折り曲げにより、測定管1と係止板3との間にも、ライニング体2が流れ込み係止される。そして、ライニング体2の圧力や温度による変形を防止する。
5は、測定管1に取り付けられたフランジである。
なお、b,cは、測定管1にフランジ5を固定するための溶接部である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−219833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような装置においては、以下の問題点がある。
測定管として市販のパイプ使用した場合、内径の寸法公差が大きく、それに合わせて、係止板の外径を合わせて作らなければならない。
そうしないと測定管と係止板との間に隙間ができたり、測定管に係止板が挿入できなかったりしてしまう。
【0006】
したがって、市販のパイプの寸法公差に合わせるために、市販のパイプの寸法公差範囲内で、外径の異なる係止板を何種類も準備しなければならず不便であった。
係止板を1種類にするは、市販のパイプの内径寸法精度を上げるために、市販のパイプの内径寸法精度を厳しくして購入するか、市販のパイプの内径を切削加工しなければならず、測定管の単価が高くなってしまう。
【0007】
本発明の目的は、上記の課題を解決するもので、購入単価が安い市販のパイプをそのまま測定管に使用して、然も、係止板を1種類にできる電磁流量計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を達成するために、本発明では、請求項1の電磁流量計においては、
測定管の両端にそれぞれ取り付けられたリング状のフランジと、前記測定管の内径面に取り付けられた係止板とを具備する電磁流量計において、市販のパイプが使用された測定管の外径に合わせて形成され前記フランジの中心軸に平行な段差部平行面を有し前記フランジに設けられ前記フランジの内径部分に突起部を形成する段差部と、前記段差部平行面に両端部分の外径面が接する測定管と、前記突起部の頂部の外表面に一方の面が取り付けられた係止板と、
前記測定管の内径面の両端部分と前記突起部とを溶接する溶接部と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項
1によれば、次のような効果がある。
測定管の両端にそれぞれ取り付けられたフランジと、このフランジに設けられ頂部に係止板が取り付けられた突起部とが設けられたので、突起部は機械で加工されるので、寸法精度が安定しているため、係止板の外径を1種類にすることができる。
更に、従来例のように係止板の端面を曲げて、測定管と係止板間に隙間を空ける必要がなくなるため、係止板の曲げ加工が不要となり、加工工数が削減でき安価にすることができる電磁流量計が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
【
図4】本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
【
図5】本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
【
図6】従来より一般に使用されている従来例の要部構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明を図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例の要部構成説明図、
図2は
図1の要部構成説明図である。
図において、
図6と同一記号の構成は同一機能を表す。
以下、
図6との相違部分のみ説明する。
【0018】
図1において、第1の接続リング11は、測定管1の両端内径面に一面が取り付けられ、他面が係止板3の外径面に取り付けられリング状をなす。
図2に示す如く、切欠き部12は、第1の接続リング11に設けられ、この接続リング11を軸方向に切断する。
【0019】
以上の構成において、
図1に示す如く、測定管1とフランジ5とは、溶接c,dして、固定される。
測定管1の内側の両端部にそれぞれリング11を挿入し、溶接eして、固定される。
リング11の内径側に係止板13が溶接fして、固定される。
【0020】
この結果、測定管1の両端の内径面に一面が取り付けられ、他面が係止板13の外径面に取り付けられたリング状の第1の接続リング11と、この第1の接続リング11に設けられこの接続リング11を軸方向に切断する切欠き部12とが設けられたので、内径の寸法公差幅が大きい市販のパイプを使用して、市販のパイプの内径の寸法公差に対応して、厚みの異なる複数の第1の接続リング11を用意するだけで良いので、製造コストが低減できる電磁流量計が得られる。
【0021】
係止板13を数種類準備するより、数種類の第1の接続リング11を用意する方が、製作コストや保管場所のコストが掛からないからである。
測定管1の端部の加工が不要で、安価にできる電磁流量計が得られる。
【0022】
更に、
図6従来例のように係止板の端面を曲げて、測定管1と係止板13の間に隙間を空ける必要がなくなるため、係止板13の曲げ加工が不要となり、加工工数が削減でき安価にすることができる電磁流量計が得られる。
【0023】
図3は、本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
図3において、段差部21は、測定管22の両端内径面に設けられている。
第2の接続リング23は、この段差部21に外径面が取り付けられ、内径面に係止板24の外径面が取り付けられている。
図2に示す如き、切欠き部は、この第2の接続リング23に設けられ、第2の接続リング23を軸方向に切断する。
【0024】
以上の構成において、測定管22の内側の端部に設けられた段差部21に、第2の接続リング23を挿入し溶接gする。
第2の接続リング23の内径側に係止板24を溶接hする。
【0025】
測定管22の両端内径面に沿ってリング状に設けられた段差部21と、この段差部21に外径面が取り付けられ、内径面に係止板3の外径面が取り付けられたリング状の第2の接続リング23と、この第2の接続リング23に設けられ、この接続リングを軸方向に切断する切欠き部とが設けられたので、測定管22の端部の段差部21は機械で加工されるので寸法精度が安定しており、第2の接続リング23の外径の寸法公差は、第2の接続リング23の切欠き部で吸収できるので、係止板24の内径を1種類にすることができる。
【0026】
更に、
図6従来例のように係止板の端面を曲げて、測定管22と係止板3の間に隙間を空ける必要がなくなるため、係止板24の曲げ加工が不要となり、加工工数が削減でき安価にすることができる電磁流量計が得られる。
【0027】
図4は、本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
図4において、フランジ31は、測定管32の両端にそれぞれ取り付けられている。
突起部33は、このフランジ31に設けられ頂部34に係止板35が溶接i取り付けられている。
【0028】
以上の構成において、測定管32とフランジ31の外側を溶接j、内側をロウ付けkする。
突起部33に係止板35を溶接iする。
【0029】
この結果、測定管32の両端にそれぞれ取り付けられたフランジ31と、このフランジ31に設けられ、頂部34に係止板35が取り付けられた突起部33とが設けられたので、突起部33は機械で加工されるので、寸法精度が安定しているため、係止板35の外径を1種類にすることができる。
更に、従来例のように係止板の端面を曲げて、測定管32と係止板35の間に隙間を空ける必要がなくなるため、係止板35の曲げ加工が不要となり、加工工数が削減でき安価にすることができる電磁流量計が得られる。
【0030】
図5は、本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
図4において、溶接トーチが入る内径の製品であれば、
図5のように、測定管32、フランジ31の内側も溶接lでき、同様の形状が製作可能となる。
【0031】
なお、以上の説明は、本発明の説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。
したがって本発明は、上記実施例に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で更に多くの変更、変形をも含むものである。
【符号の説明】
【0032】
1 測定管
2 ライニング体
3 係止板
4 端部
5 フランジ
11 第1の接続リング
12 切欠き部
13 係止板
21 段差部
22 測定管
23 第2の接続リング
24 係止板
25 切欠き部
31 フランジ
32 測定管
33 突起部
34 頂部
35 係止板
a 溶接
b 溶接
c 溶接
d 溶接
e 溶接
f 溶接
g 溶接
h 溶接
i 溶接
j 溶接
k ロウ付け
l 溶接