特許第5672720号(P5672720)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5672720電力制御装置、電力制御方法、ネットワーク機器、及び、ネットワーク機器制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5672720
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】電力制御装置、電力制御方法、ネットワーク機器、及び、ネットワーク機器制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/04 20060101AFI20150129BHJP
   G06F 1/32 20060101ALI20150129BHJP
   G06F 13/42 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
   G06F1/04 301C
   G06F1/00 332Z
   G06F13/42 350B
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-47304(P2010-47304)
(22)【出願日】2010年3月4日
(65)【公開番号】特開2011-181023(P2011-181023A)
(43)【公開日】2011年9月15日
【審査請求日】2012年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104124
【氏名又は名称】カシオ電子工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【復代理人】
【識別番号】100182936
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100103148
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 輝美
(72)【発明者】
【氏名】上原 伸五
【審査官】 緑川 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−276341(JP,A)
【文献】 特開2006−345093(JP,A)
【文献】 特開2000−349854(JP,A)
【文献】 特開2000−267753(JP,A)
【文献】 特開2004−048532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/04−1/14
G06F 1/26−1/32
G06F 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた第1の通信速度でネットワークに接続可能なネットワーク機器が接続されたネットワークシステムにおける電力制御装置であり、
前記ネットワーク機器は、
前記第1の通信速度に接続可能なハブを介して前記ネットワークに接続され、
該ネットワーク機器が前記第1の通信速度でかつ受信パケットエラーを発生せずに正常通信を行うことができる範囲で、前記ネットワーク機器のシステムクロックを最も低い周波数に自動設定する可変クロック生成手段を有し、
前記ネットワーク機器のシステムクロックを最も低い周波数に自動設定する際、前記可変クロック生成手段は、前記ネットワーク機器のシステムクロック周波数を予め定めた周波数まで下げて、次いで、受信パケットエラーが発生したと判断した場合には、前記システムクロック周波数を予め定めた差分だけ増加させる処理を、受信パケットエラーの発生が無くなるまで行う、
ことを特徴とする電力制御装置。
【請求項2】
前記ネットワーク機器が、前記第1の通信速度と該第1の通信速度とは異なる第2の通信速度とで駆動可能である場合に、前記ネットワーク機器の駆動が前記第2の通信速度から前記第1の通信速度に切り替わったときに、
前記ネットワーク機器が前記第1の通信速度でかつ受信パケットエラーを発生せずに正常通信を行うことができる範囲で、前記可変クロック生成手段が、該ネットワーク機器のシステムクロックを最も低い周波数に自動設定することを特徴とする請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項3】
前記ネットワーク機器は印刷装置であり、
該印刷装置が待機状態、又はスリープ状態に設定された後、前記ハブが、前記第2の通信速度のみに接続可能である場合に、
前記印刷装置が待機状態、又はスリープ状態に設定される前と同じ通信速度でかつ受信パケットエラーを発生せずに正常通信を行うことができる範囲で、前記可変クロック生成手段が、前記印刷装置のシステムクロックを最も低い周波数に自動設定することを特徴とする請求項に記載の電力制御装置。
【請求項4】
前記ネットワーク機器は印刷装置であり、
前記第1の通信速度は、該印刷装置が待機状態、又はスリープ状態に設定されているときの通信速度であり、
前記第2の通信速度は、該印刷装置が待機状態、又はスリープ状態に設定される前の通信速度であり、
該印刷装置が待機状態、又はスリープ状態に設定された後、前記ハブが、前記第1の通信速度と前記第2の通信速度との切り替えが可能である場合に、
前記印刷装置の通信速度を前記第1の通信速度に切り替え、次いで、
前記印刷装置が前記第1の通信速度でかつ受信パケットエラーを発生せずに正常通信を行うことができる範囲で、前記可変クロック生成手段が、該ネットワーク機器のシステムクロックを最も低い周波数に自動設定することを特徴とする請求項又は3に記載の電力制御装置。
【請求項5】
前記可変クロック生成手段は、電圧制御回路と該電圧制御回路の出力電圧に従ってシステムクロックの可変を行う電圧制御発振器であることを特徴とする請求項1、2、3、又は4に記載の電力制御装置。
【請求項6】
予め定められた第1の通信速度でネットワークに接続可能なネットワーク機器が接続されたネットワークシステムにおける電力制御方法であり、
前記ネットワーク機器は、前記第1の通信速度に接続可能なハブを介して前記ネットワークに接続され、
該ネットワーク機器が前記第1の通信速度でかつ受信パケットエラーを発生せずに正常通信を行うことができる範囲で、前記ネットワーク機器のシステムクロックを最も低い周波数に自動設定する処理を行い、かつ、前記ネットワーク機器のシステムクロックを最も低い周波数に自動設定する際、前記ネットワーク機器のシステムクロック周波数を予め定めた周波数まで下げて、次いで、受信パケットエラーが発生したと判断した場合には、前記システムクロック周波数を予め定めた差分だけ増加させる処理を、受信パケットエラーの発生が無くなるまで行う、
ことを特徴とする電力制御方法。
【請求項7】
予め定められた第1の通信速度でネットワークに接続可能なネットワーク機器であり、
前記ネットワーク機器は、
前記第1の通信速度に接続可能なハブを介して前記ネットワークに接続され、
該ネットワーク機器が前記第1の通信速度でかつ受信パケットエラーを発生せずに正常通信を行うことができる範囲で、前記ネットワーク機器のシステムクロックを最も低い周波数に自動設定する可変クロック生成手段を有し、かつ、前記ネットワーク機器のシステムクロックを最も低い周波数に自動設定する際、前記可変クロック生成手段が、前記ネットワーク機器のシステムクロック周波数を予め定めた周波数まで下げて、次いで、受信パケットエラーが発生したと判断した場合には、前記システムクロック周波数を予め定めた差分だけ増加させる処理を、受信パケットエラーの発生が無くなるまで行う、
ことを特徴とするネットワーク機器。
【請求項8】
予め定められた第1の通信速度でネットワークに接続可能なネットワーク機器を制御するためのプログラムであり、
前記ネットワーク機器は、前記第1の通信速度に接続可能なハブを介して前記ネットワークに接続され、前記ネットワーク機器のシステムクロックを設定する可変クロック生成手段を有し、
前記プログラムは、
前記可変クロック生成手段に、前記ネットワーク機器が前記第1の通信速度でかつ受信パケットエラーを発生せずに正常通信を行うことができる範囲で、印刷装置のシステムクロックを最も低い周波数に自動設定させ、かつ、前記ネットワーク機器のシステムクロックを最も低い周波数に自動設定させる際、前記ネットワーク機器のシステムクロック周波数を予め定めた周波数まで下げさせて、次いで、受信パケットエラーが発生したと判断した場合には、前記システムクロック周波数を予め定めた差分だけ増加する処理を、受信パケットエラーの発生が無くなるまで行わせる、
ことを特徴とするネットワーク機器制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力制御装置、電力制御方法、ネットワーク機器、及び、ネットワーク機器制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、複数のネットワーク機器をネットワーク回線に接続し、資源を共有して使用することによって効率のよい作業を行うコンピュータシステムが採用されている。例えば、プリンタ装置や複写機等の印刷装置と複数のパーソナルコンピュータ(PC)をLAN(local area network)ケーブルによって接続し、印刷装置を共用する印刷システムが使用されている。
【0003】
このようなシステムでは、LAN端子を備えた複数台のパーソナルコンピュータ(PC)と印刷装置を、ハブを中心にケーブルでつなぎ、例えば1台の印刷装置を複数台のパーソナルコンピュータ(PC)で共用する。
【0004】
図5は上記ネットワークシステムの模式図であり、ハブ(HUB)20を介してLANケーブル21にノードA〜Dが接続されている。同図に示すノードA〜Dは上記印刷装置やパーソナルコンピュータ(PC)等のネットワーク機器であり、ノードA、B、及びDは、通信速度100Mbit(ビット毎秒)の通信(100Base)が可能な機器であり、ノードCは、通信速度10Mbit(ビット毎秒)の通信(10Base)のみが可能な機器である。また、ハブ(HUB)20は100Baseと10Baseの通信速度の切り替えが可能な機器であり、駆動するネットワーク機器に従って通信速度を切り替える。
【0005】
上記のように通信速度が混在するシステムにおいては、一般的に100Baseのノードに比べ、10Baseのノードの方が転送速度が劣り、消費電力も低い。そこで、消費電力を軽減するため、例えば通信やデータ処理を殆ど行っていないネットワーク機器では、10Baseに切り替えて省電力化を図っている。
【0006】
例えば、ネットワークに接続された機器が印刷装置である場合、装置が待機状態やスリープ状態であって、ホスト機器との間で通信を殆ど行わない場合、10Baseに切り替えて省電力化を図っている。
【0007】
さらに、従来上記省電力時、印刷装置のシステムクロックの周波数も下げ、更なる省電力化を図っている。この場合、システムクロックの周波数は10Baseでの通信が行える最低の周期まで低速に制御される。
【0008】
尚、図6は上記従来の処理を説明するフローチャートであり、例えばネットワーク機器が印刷装置の場合の例である。先ず、待機状態又はスリープ状態を判断し(ステップ(以下、Sで示す)1)、待機状態又はスリープ状態である場合(S1がYES)、更に通信速度を10Baseに切り替えることが可能であるか判断し(S2)、10Baseへの切り替えが可能であれば、ハブ20を10Baseに切り替え(S3)、更にシステムクロックを10Base用の最低周波数に切り替えて(S4)、省電力設定を行う。一方、10Baseへの切り替えが不可能である場合(S2がNO)、システムクロックを100Base用の最低周波数に切り替えて、通信処理を行う(S5)。その後、復帰の有無を判断する(S6)。
【0009】
尚、特許文献1は、他のネットワーク機器との通信速度を低速モードに設定し、例えば特定のネットワーク機器、或いは自己の操作部等のI/Oから通信要求に対しては通信速度の設定を高速モードに変更し、当該通信処理が終了した後、上記通信速度の設定を低速モードに戻し、消費電力の削減を図る発明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−064335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、ネットワークに接続されたハブには、通信速度の切り替えが行えず、例えば100Baseの通信速度に設定されている機器もある。例えば、図7は100Baseの通信のみが可能なハブ22が使用されたネットワークシステムの例である。尚、前述と同様、同図において、ノードA、B、及びDは100Baseの通信が可能な機器であり、ノードCは10Baseの通信が可能な機器である。したがって、上記構成のシステムでは、10Baseに切り替えて消費電力の軽減を行うことはできず、ノードCは10Baseのままでは接続できない。
【0012】
また、上記10Baseでの通信が行える最低の周波数までシステムクロックを制御すると、100Baseの環境下では受信エラーが発生して通信不可能になる。
【0013】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、遅い通信速度への切り替えができないシステムにおいても、受信パケットエラーが発生しない範囲で自動的にシステムクロックを低く抑えることにより、電力消費を可能な限り軽減することができる電力制御装置を提供するものである。また、受信パケットエラーが発生しない範囲で自動的にシステムクロックの周波数を低下させ、消費電力の削減を図る。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題は第1の発明によれば、予め定められた第1の通信速度でネットワークに接続可能なネットワーク機器が接続されたネットワークシステムにおける電力制御装置であり、
前記ネットワーク機器は、
前記第1の通信速度に接続可能なハブを介して前記ネットワークに接続され、
該ネットワーク機器が前記第1の通信速度でかつ受信パケットエラーを発生せずに正常通信を行うことができる範囲で、前記ネットワーク機器のシステムクロックを最も低い周波数に自動設定する可変クロック生成手段を有
前記ネットワーク機器のシステムクロックを最も低い周波数に自動設定する際、前記可変クロック生成手段は、前記ネットワーク機器のシステムクロック周波数を予め定めた周波数まで下げて、次いで、受信パケットエラーが発生したと判断した場合には、前記システムクロック周波数を予め定めた差分だけ増加させる処理を、受信パケットエラーの発生が無くなるまで行う、
電力制御装置を提供することによって達成できる。
好ましくは、前記ネットワーク機器が、前記第1の通信速度と該第1の通信速度とは異なる第2の通信速度とで駆動可能である場合に、前記ネットワーク機器の駆動が前記第2の通信速度から前記第1の通信速度に切り替わったときに、
前記ネットワーク機器が前記第1の通信速度でかつ受信パケットエラーを発生せずに正常通信を行うことができる範囲で、前記可変クロック生成手段が、該ネットワーク機器のシステムクロックを最も低い周波数に自動設定する。
好ましくは、前記ネットワーク機器は印刷装置であり、
該印刷装置が待機状態、又はスリープ状態に設定された後、前記ハブが、前記第1の通信速度のみに接続可能である場合に、
前記印刷装置が待機状態、又はスリープ状態に設定される前と同じ通信速度でかつ受信パケットエラーを発生せずに正常通信を行うことができる範囲で、前記可変クロック生成手段が、前記印刷装置のシステムクロックを最も低い周波数に自動設定する。
好ましくは、前記ネットワーク機器は印刷装置であり、
前記第1の通信速度は、該印刷装置が待機状態、又はスリープ状態に設定されているときの通信速度であり、
前記第2の通信速度は、該印刷装置が待機状態、又はスリープ状態に設定される前の通信速度であり、
該印刷装置が待機状態、又はスリープ状態に設定された後、前記ハブが、前記第1の通信速度と前記第2の通信速度との切り替えが可能である場合に、
前記印刷装置の通信速度を前記第1の通信速度に切り替え、次いで、
前記印刷装置が前記第1の通信速度でかつ受信パケットエラーを発生せずに正常通信を行うことができる範囲で、前記可変クロック生成手段が、該ネットワーク機器のシステムクロックを最も低い周波数に自動設定する。
好ましくは、前記可変クロック生成手段は、電圧制御回路と該電圧制御回路の出力電圧に従ってシステムクロックの可変を行う電圧制御発振器である。
【0015】
また、上記課題は第2の発明によれば、予め定められた第1の通信速度でネットワークに接続可能なネットワーク機器が接続されたネットワークシステムにおける電力制御方法であり、
前記ネットワーク機器は、前記第1の通信速度に接続可能なハブを介して前記ネットワークに接続され、
該ネットワーク機器が前記第1の通信速度でかつ受信パケットエラーを発生せずに正常通信を行うことができる範囲で、前記ネットワーク機器のシステムクロックを最も低い周波数に自動設定する処理を行い、かつ、前記ネットワーク機器のシステムクロックを最も低い周波数に自動設定する際、前記ネットワーク機器のシステムクロック周波数を予め定めた周波数まで下げて、次いで、受信パケットエラーが発生したと判断した場合には、前記システムクロック周波数を予め定めた差分だけ増加させる処理を、受信パケットエラーの発生が無くなるまで行う、電力制御方法を提供することによって達成できる。
【0016】
また、上記課題は第3の発明によれば、予め定められた第1の通信速度でネットワークに接続可能なネットワーク機器であり、
前記ネットワーク機器は、
前記第1の通信速度に接続可能なハブを介して前記ネットワークに接続され、
該ネットワーク機器が前記第1の通信速度でかつ受信パケットエラーを発生せずに正常通信を行うことができる範囲で、前記ネットワーク機器のシステムクロックを最も低い周波数に自動設定する可変クロック生成手段を有し、かつ、前記ネットワーク機器のシステムクロックを最も低い周波数に自動設定する際、前記可変クロック生成手段が、前記ネットワーク機器のシステムクロック周波数を予め定めた周波数まで下げて、次いで、受信パケットエラーが発生したと判断した場合には、前記システムクロック周波数を予め定めた差分だけ増加させる処理を、受信パケットエラーの発生が無くなるまで行う
ネットワーク機器を提供することによって達成できる。
【0017】
また、上記課題は第4の発明によれば、予め定められた第1の通信速度でネットワークに接続可能なネットワーク機器を制御するためのプログラムであり、
前記ネットワーク機器は、前記第1の通信速度に接続可能なハブを介して前記ネットワークに接続され、前記ネットワーク機器のシステムクロックを設定する可変クロック生成手段を有し、
前記プログラムは、
前記可変クロック生成手段に、前記ネットワーク機器が前記第1の通信速度でかつ受信パケットエラーを発生せずに正常通信を行うことができる範囲で、前記印刷装置のシステムクロックを最も低い周波数に自動設定させ、かつ、前記ネットワーク機器のシステムクロックを最も低い周波数に自動設定させる際、前記ネットワーク機器のシステムクロック周波数を予め定めた周波数まで下げさせて、次いで、受信パケットエラーが発生したと判断した場合には、前記システムクロック周波数を予め定めた差分だけ増加する処理を、受信パケットエラーの発生が無くなるまで行わせる
ネットワーク機器制御プログラムを提供することによって達成できる。



【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数のネットワーク機器が接続されたシステムにおいて、切り替え可能な最低限の通信速度に設定を切り替え、電力消費を可能な限り軽減する電力制御装置を提供するものである。また、ネットワーク機器が印刷装置である場合、装置が待機状態又はスリープ状態である間、ホスト機器との通信において受信パケットエラーが発生しない範囲で自動的にシステムクロックの周波数を低下させ、装置の消費電力の削減を図る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態の電力制御装置のシステム構成図である。
図2】可変クロック生成回路の回路図である。
図3】本実施形態の基本処理を説明するフローチャートである。
図4】システムクロックの制御処理を説明するフローチャートである。
図5】100Baseと10Baseのネットワークシステムの模式図である。
図6】従来の処理を説明するフローチャートである。
図7】100Baseの通信のみが可能なネットワークのシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は本実施形態の電力制御装置を含むシステム構成図であり、例えばイーサネット(登録商標)回線で接続されたネットワーク機器として、印刷装置がネットワークに接続された例を示す。但し、同図において、印刷装置の印刷処理部やエンジン部等の構成は省略している。
【0022】
同図において、印刷装置10はCPU1、メモリ2、可変クロック生成回路3、メディアアクセス制御を行うイーサネットMAC(Media Access Control)4、イーサネットPHY(physical layer device)5で構成されている。また、イーサネットPHY5は通信モデムであり、イーサネット回線を介してパーソナルコンピュータPC1やPC2等のホスト機器に接続されている。
【0023】
メモリ2はシステムプログラムを記憶し、CPU1はメモリ2に記憶されたプログラムに従って印刷処理を行い、また本例の省電力制御を行う。また、CPU1は可変クロック生成回路3及びイーサネットMAC4に接続され、データや信号の授受を行う。
【0024】
可変クロック生成回路3は、CPU1の制御に従って装置のシステムクロックを可変し、可変したシステムクロックをCPU1に出力する。
【0025】
図2は、上記可変クロック生成回路3の回路図である。可変クロック生成回路3は電圧制御回路6、及びVCO(voltage controlled oscillator)7で構成され、電圧制御回路6にはCPU1から制御信号が供給される。例えば、システムクロックの周波数を低下させる場合には、CPU1からシステムクロックダウン要求信号が供給され、システムクロックの周波数を増加させる場合には、CPU1からシステムクロック復帰要求信号が供給される。
【0026】
電圧制御回路6はCPU1から供給される上記信号に従って出力電圧を制御し、制御電圧をVCO7に出力する。VCO7は入力する制御電圧に従ってシステムクロックを可変、生成し、CPU1に出力する。
【0027】
また、イーサネットMAC4は、CPU1から出力される送信データを、例えば一定長以下のパケットデータに分割し、イーサネットPHY5を介して他のネットワーク機器に送信し、イーサネットPHY5を介して入力するパケットデータを受信し、設定された通信速度に従ってCPU1に送信する。
【0028】
また、イーサネットMAC4は通信速度によってパケットデータの受信に失敗した場合、受信パケットエラーを可変クロック生成回路3に出力する。可変クロック生成回路3は受信パケットエラーを受信すると、後述する処理を行い、システムクロックの周波数を低下させる。
【0029】
以上の構成において、以下に本例の処理動作を説明する。
図3は、本例の処理動作を説明するフローチャートである。先ず、印刷装置10が待機状態又はスリープ状態であるか判断する(ステップ(以下、STで示す)1)。この判断は、CPU1が印刷装置10のシステム制御を行っており、CPU1は装置の状態を把握しており、装置が待機状態又はスリープ状態であるか否かの判断を行うことができる。
【0030】
ここで、印刷装置10が待機状態又はスリープ状態である場合(ST1がYES)、更に10Baseの通信が可能であるか判断する(ST2)。ここで、10Baseの通信が可能である場合には(ST2がYES)、通信速度を10Baseに切り替える(ST3)。したがって、この場合には、システムクロックを対応する周波数まで落とし、省電力制御を行うことができる。
【0031】
一方、10Baseへの切り替えが不可能な場合(ST2がNO)、システムクロックをクロックダウンする(ST4)。この処理を具体的に説明するフローチャートが、図4である。先ず、CPU1は電圧制御回路6(可変クロック生成回路3)に対してシステムクロックダウン要求信号を出力し、システムクロックの周波数を低下させる(ST4−1がYES、ST4−2)。そして、受信パケットエラーが発生するか判断する(ST4−3)。すなわち、システムクロック周波数を定義済みの周波数まで下げ、受信パケットエラーが発生するか判断する。
【0032】
すなわち、前述のようにCPU1からシステムクロックダウン要求信号を電圧制御回路6に出力し、電圧制御回路6からVCO7への制御電圧を低下させ、VCO7から出力されるシステムクロック周波数を低下させる。したがって、CPU1は周波数が低下したシステムクロックによって処理を行い、イーサネットMAC4はパケットデータを受信する。
【0033】
その後、低下させた周波数のシステムクロックに従って受信処理を行った際、当該クロックによっても受信エラーが発生すると(ST4−3がYES)、イーサネットMAC4から受信パケットエラーが電圧制御回路6に通知される。
【0034】
この場合、電圧制御回路6は所定の制御電圧をVCO7に出力し、VCO7からの出力周波数を0.1MHz低下させる(ST4−4)。したがって、この処理によって、システムクロックの周波数が低下し、CPU1はこのシステムクロックに基づいて制御を行う。また、イーサネットMAC4はこのシステムクロックに従ってパケットデータの受信処理を行う。
【0035】
次に、低下した周波数のシステムクロックに従って受信処理を行い、再度受信パケットエラーが発生すると(ST4−3がYES)、イーサネットMAC4は前述と同様、受信パケットエラーを電圧制御回路6に通知する(ST4−4)。
【0036】
以下、同様の処理を継続し、データ受信エラーが発生する毎にイーサネットMAC4から電圧制御回路6に対して受信パケットエラーを送信し、システムクロック周波数を0.1MHz毎に低下させ、処理を継続する。この処理を繰り返すことによって、システムクロックの周波数は順次低下し、イーサネットMAC4で行うパケットデータの受信において受信エラーの判断が繰り返される。
【0037】
その後、受信パケットエラーの発生が無くなると(ST4−3がYES)、受信パケットエラーを発生せずに正常通信を行うことができる最も低いシステムクロックが設定されることになる。したがって、以後このシステムクロックによって駆動することにより、装置の電力消費を軽減することができる。すなわち、ネットワーク機器が印刷装置の場合、待機状態又はスリープ状態において、システムクロックを受信パケットエラーが発生しない最低の周波数に抑えることができ、電力消費を可能な限り軽減することができる。
【0038】
その後、待機状態又はスリープ状態が解消すると、CPU1からシステムクロック復帰要求信号が電圧制御回路6(可変クロック生成回路3)に出力され、システムクロックは元の周波数まで戻される(ST4−5がYES、ST4−6、図3のST5がYES、ST6)。
尚、本実施形態においては、データ通信が行われていない場合として、印刷装置が待機状態又はスリープ状態の場合について説明したが、上記場合に限定されるものではない。
【0039】
また、本実施形態の説明では、第1の通信速度として10Base(10Mbps(10Mビット毎秒))と、第2の通信速度として100Base(100Mbps(100Mビット毎秒))を使用したが、第1の通信速度として10Base(10Mbps(10Mビット毎秒))を使用し、第2の通信速度として1000Base(1000Mbps(1000Mビット毎秒))を使用する構成、または第1の通信速度として100Base(100Mbps(100Mビット毎秒))を使用し、第2の通信速度として1000Base(1000Mbps(1000Mビット毎秒))を使用する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1・・・CPU
2・・・メモリ
3・・・可変クロック生成回路
4・・・イーサネットMAC4
5・・・イーサネットPHY
6・・・電圧制御回路
7・・・VCO
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7