(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5672871
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】ドリップバッグ
(51)【国際特許分類】
A47J 31/06 20060101AFI20150129BHJP
B65D 77/00 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
A47J31/06 A
B65D77/00 D
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-200442(P2010-200442)
(22)【出願日】2010年9月8日
(65)【公開番号】特開2011-78747(P2011-78747A)
(43)【公開日】2011年4月21日
【審査請求日】2013年4月5日
(31)【優先権主張番号】特願2009-207575(P2009-207575)
(32)【優先日】2009年9月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】396015057
【氏名又は名称】大紀商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000224
【氏名又は名称】特許業務法人田治米国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 充範
(72)【発明者】
【氏名】山口 南生子
(72)【発明者】
【氏名】西口 裕晃
【審査官】
豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/020132(WO,A1)
【文献】
特開2000−325236(JP,A)
【文献】
特開2005−349171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00 − 31/60
B65D 77/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通水性濾過性シートから形成され、上端部に開口部を有する袋本体と、
袋本体の対向する2面の外表面に設けられた掛止部材とを有するドリップバッグであって、
掛止部材が、袋本体の開口部に沿って袋本体に貼着されている上部貼着部と、
上部貼着部から袋本体の底部側に延設され、少なくともその底部側の一部が袋本体に貼着されている中央貼着部と、
中央貼着部の左右両側に形成されたアーム部であって、該アーム部の下端部と中央貼着部の下端部とが連続し、該アーム部の上端部は袋本体に貼着されていないことにより、袋本体から引き起こし可能に形成されているアーム部と、
アーム部の外側に形成され、アーム部の上端部と連続し、袋本体に貼着されていない掛止部と、
アーム部の少なくとも下端部外側に隣接し、袋本体に貼着されている外側貼着部を有するドリップバッグ。
【請求項2】
中央貼着部は、その上端から下端にかけて袋本体に貼着されている請求項1記載のドリップバッグ。
【請求項3】
上部貼着部の幅が、袋本体の開口幅の45%〜55%である請求項1又は2記載のドリップバッグ。
【請求項4】
上部貼着部の上端部に突出部が形成され、袋本体の上端部から、対向する掛止部材の突出部が、交互に重なることなく突出している請求項1〜3のいずれかに記載のドリップバッグ。
【請求項5】
袋本体及び掛止部材の平面形状がそれぞれ扇形である請求項1〜4のいずれかに記載のドリップバッグ。
【請求項6】
上部貼着部の幅方向の中心を通る折れ線が、上部貼着部の上端から中央貼着部の下端にかけて形成されている請求項5記載のドリップバッグ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のドリップバッグの袋本体に抽出材料が充填され、袋本体の上端部が閉じられている飲料ドリップバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップ等の容器の上部に掛止することにより、容易にドリップ式でコーヒー、紅茶、緑茶、漢方薬等の抽出液を得られるようにするドリップバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、手軽に本格的なコーヒーを楽しむことを可能とするコーヒーの入れ方として、ペーパードリップ方式が広く普及している。このペーパードリップ方式では、通常、数杯分のコーヒーが一度に抽出される。
【0003】
一方、近年、一人暮らしをする者が多くなり、また、核家族化や出生率の低下等により一家族の構成人数も少なくなっている。そのため、従来の数杯分のコーヒーを抽出することが基本とされているペーパードリップ方式に代えて、一杯分のコーヒーの抽出を手軽に行えるようにすることを目的とした、使い捨てのワンドリップコーヒーが種々の製品形態で市場に出回っている。
【0004】
中でも、簡略な構成を有するものとしては、
図8に示すように、通水性濾過性シートからなる袋本体2と、袋本体2の対向する2面の外表面に貼着された紙製等の掛止部材10とからなるドリップバッグ1にコーヒー粉を充填したコーヒードリップバッグ100であって、掛止部材10を特定形状にしたものが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3166151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のコーヒードリップバッグ100によれば、その使用時に、開口部3を大きく広げた状態でカップ200に容易に装着することができる。特に、袋本体の両側縁部及び上端開口部に沿って補強片30を設けた態様によれば、開口部3の開口形状を一層大きくし、安定化させることができる。また、従前のカップオン方式のドリップバッグに比して低コストに製造することができる。
【0007】
しかしながら、近年の価格競争において、ドリップバッグについても構成材料を節減したり、生産時のトラブルを低減させたりすることにより、より一層の低コスト化を図ることが求められている。
【0008】
これに対し、本発明は、袋本体の開口部が大きく開き、その開口形状が安定化するドリップバッグを、より低コストに提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、
図8に示したドリップバッグ1のように、袋本体の対向する2面の外表面に掛止部材10の一部を貼着し、その貼着部分を反対向きに引っ張ることにより袋本体を開口するドリップバッグにおいて、掛止部材10や補強片30の構成材料を節減するため、袋本体2の両側縁部及び上端開口部に沿った補強片30のうち、袋本体2の両側縁部に沿った部分30aを省略し、袋本体2の上端開口部に沿った部分30bのみを袋本体2に貼着させたところ、その場合にも袋本体2の開口形状は広く安定化すること、さらにこの袋本体2の上端開口部に沿った部分30bと、掛止部材の中央の貼着部分10aとを連続させることにより、掛止部材10を構成する各部分について、他から切り離された部分をなくすことができ、それにより掛止部材を構成する部分の貼着時の位置ずれを解消できること、を見出した。
【0010】
即ち、本発明は、通水性濾過性シートから形成され、上端部に開口部を有する袋本体と、袋本体の対向する2面の外表面に設けられた掛止部材とを有するドリップバッグであって、掛止部材が、袋本体の開口部に沿って袋本体に貼着されている上部貼着部と、
上部貼着部から袋本体の底部側に延設され、少なくともその底部側の一部が袋本体に貼着されている中央貼着部と、
中央貼着部の左右両側に形成されたアーム部であって、該アーム部の下端部と中央貼着部の下端部とが連続し、該アーム部の上端部は袋本体に貼着されていないことにより、袋本体から引き起こし可能に形成されているアーム部と、
アーム部の外側に形成され、アーム部の上端部と連続し、袋本体に貼着されていない掛止部とを有するドリップバッグを提供する。
【0011】
また、本発明は、上述のドリップバッグの袋本体に抽出材料が充填され、袋本体の上端部が閉じられている飲料ドリップバッグを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のドリップバッグによれば、その掛止部をカップに掛けると、掛止部と連続しているアーム部が、袋本体の対向する2面の外表面に貼着されている中央貼着部を互いに反対方向に引っ張るので袋本体が容易に開口し、さらに袋本体の開口部に沿って上部貼着部が形成されているので、袋本体の開口形状が大きく安定化する。
【0013】
また、この上端貼着部は、袋本体の開口形状を大きく安定化させるために、従来、袋本体の両側縁部と上端開口部に沿って形成されていた補強片から袋本体の両側縁部の補強片を省略したものに対応する。したがって、本発明のドリップバッグによれば、掛止部材の構成材料を低減し、製造コストを低下させることが可能となる。
【0014】
さらに、本発明のドリップバッグによれば、掛止部材を構成する上部貼着部と中央貼着部とアーム部と掛止部が全て連続しているので、掛止部材を袋本体に貼着するにあたり、各部の位置ずれを無くすことができる。したがって、不良品の発生の低減によっても製造コストを低下させることが可能となる。
【0015】
加えて、本発明のドリップバッグによれば、それをカップに掛ける際に、掛止部材のどの部分を引っ張ってカップに掛ければよいかが一目瞭然に分かる。したがって、消費者の誤使用を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は実施例のドリップバッグの平面図(a)及び使用状態の説明図(b)、(c)である。
【
図2】
図2は、
図1のドリップバッグの製造に使用するドリップバッグ製造用シートの平面図である。
【
図3A】
図3Aは実施例のドリップバッグの平面図(a)及び使用状態の説明図(b)である。
【
図4】
図4は実施例のドリップバッグの平面図(a)及び使用状態の説明図(b)である。
【
図5】
図5は実施例のドリップバッグの平面図(a)及び使用状態の説明図(b)である。
【
図6】
図6は実施例のドリップバッグの平面図(a)及び使用状態の説明図(b)、(c)である。
【
図7】
図7は実施例のドリップバッグの平面図(a)及び使用状態の説明図(b)、(c)である。
【
図8】
図8は従来のコーヒードリップバッグの使用状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のドリップバッグ及び該ドリップバッグにコーヒー等の抽出原料を充填した飲料ドリップバッグを、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0018】
図1(a)は、本発明の飲料ドリップバッグの一形態であるコーヒードリップバッグ100Aの一実施例の平面図であり、
図1(b)、(c)は、それぞれその使用状態の説明図である。
【0019】
このコーヒードリップバッグ100Aに利用されているドリップバッグ1Aは、通水性濾過性シート材料からなり、上端部に開口部を有する袋本体2と、袋本体2の対向する2面2a、2bの外表面にそれぞれ設けられた掛止部材10Aからなっている。
【0020】
このようなドリップバッグ1Aは、例えば、
図2に示すように、一対の掛止部材10A(その底部側を間隔をあけて対向させたもの)を長尺帯状の通水性濾過性シート21に所定間隔で複数配置したドリップバッグ用シート20を用意し、そのシート20を長手方向の縁辺同士が重なり合うように二つ折りにし、袋本体2の幅の間隔で短手方向に溶着溶断を繰り返すことにより得ることができる。この場合の溶着溶断部が袋本体2の両側縁2p、2q(
図1(a)において、横線のハッチングを付した部分)となる。また、この短手方向の溶着溶断に先立ち、長手方向の縁辺同士を溶着し、短手方向の溶着溶断を繰り返す間に、コーヒー粉を一袋分ずつ充填していくことによりコーヒードリップバッグ100Aを得ることができる。コーヒードリップバッグ100Aを製造する場合には、通水性濾過性シート21には、予め、開封用にミシン目4を施しておいてもよい。なお、ミシン目4に代えて、易開封線として、超音波や熱などで通水性濾過性シート21にライン状に形成した脆弱部を設けても良い。
【0021】
袋本体2を形成する通水性濾過性シート21としては、所定量のコーヒー粉を充填し、注湯した場合にコーヒーの浸出が可能であるものを種々使用することができる。一般に、浸出用シートとしては、例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ビニロン等の合成繊維、レーヨン等の半合成繊維、コウゾ、ミツマタ等の天然繊維の単独又は複合繊維からなる織布あるいは不織布、マニラ麻、木材パルプ、ポリプロピレン繊維等からなる混抄紙、ティーバッグ原紙等の紙類が知られており、本発明においてもこれらを使用することができるが、ドリップバッグの使用後の廃棄性の点から、通水性濾過性シート材料には生分解性繊維を含有させることが好ましい。生分解性繊維としては、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート等をあげることができる。また、ドリップ時にコーヒー粉に適度な蒸らし効果も付与できるようにするため、これらの繊維材料から通水性濾過性シートを製造するに際しては、繊維層の空隙率を調整することによりコーヒー粉に直接接することとなる層を「疎」とし、直接には接しない層を「密」とする疎密の複層構造とし、かつコーヒー粉に直接接することとなる層では疎水性繊維の含有率を高め、コーヒー粉に直接接しない層では疎水性繊維の含有率を下げることが好ましい(特許第3674486号)。
【0022】
一方、袋本体2の表裏の矩形面2a、2bの外表面にそれぞれ設けられている掛止部材10Aは、上部貼着部11、中央貼着部12、アーム部13及び掛止部14からなり、板紙、プラスチックシート等の薄板状材料の打ち抜きにより形成され、所定の部位で袋本体2に貼着されている。
図1の掛止部材10Aにおいて、細かいドットで塗りつぶした部分が、袋本体2の外表面に熱融着又は接着により貼着された部分であり、粗いドットで塗りつぶした部分が貼着されていない部分である。
【0023】
掛止部材10Aを構成する上部貼着部11、中央貼着部12、アーム部13及び掛止部14は、いずれも互いに切り離された部分とはなっておらず、連続している。そのため、掛止部材10Aを袋本体2に貼着するにあたり、各部の位置ずれを無くし、掛止部材10Aの貼着に伴う不良品の発生を低減させることができる。
【0024】
掛止部材10Aを形成する薄板状材料も、ドリップバッグ1Aの使用後の廃棄性の点から、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート等の生分解性材料から形成したものが好ましい。
【0025】
掛止部材10Aの構成部分のうち上部貼着部11は、袋本体2の開口部3に沿って帯状に形成された部分であり、袋本体2の上部に貼着されている。このように上部貼着部11を設けることにより、
図1(c)のようにコーヒードリップバッグ100Aをカップ200にかけた場合に、袋本体2の開口部3が開いた開口形状を大きく安定化させることができる。
【0026】
上部貼着部11の幅(袋本体2の幅方向の上部貼着部11の長さ)L1は、掛止部14の幅L2以下とすることが好ましく、特に袋本体2の開口幅L1’の45%〜55%が好ましい。これにより、コーヒードリップバッグ100Aをカップ200にかけた場合に、開口部3の開口形状を略正方形にし、開口部3への注湯をより一層容易にすることができ、かつ、掛止部材10Aの形成に必要な薄板状材料を必要最小限に抑えることができる。即ち、上部貼着部11をさらに広幅に形成して必要により折線を形成したり、上部貼着部の両端部から下方に帯状部分を延設したりしても開口部3は広く開口するが、掛止部材10Aの形成に必要な薄板状材料が無用に増大し、製造コストが上昇する。
【0027】
中央貼着部12は、上部貼着部11から袋本体2の底部側に延設された部分であり、袋本体2に貼着されている。なお、本発明において、中央貼着部12は、少なくともその底部側の一部が袋本体に貼着されていればよく、上部貼着部11の袋本体との貼着領域と、中央貼着部12の袋本体との貼着領域とは、必ずしも連続させる必要はないが、本実施例においては、中央貼着部12の上端から下端にかけての貼着領域を連続させることにより、逆T字状の貼着領域が形成されている。
【0028】
中央貼着部12の幅については、袋本体2の開口を確実にする点から、中央貼着部12の最大幅L3を袋本体2の開口幅L1’の1/3〜3/4程度とすることが好ましい。
【0029】
アーム部13は、中央貼着部12の左右両側に一対形成されており、それぞれ中央貼着部12の下端部と連続している。また、アーム部13は、その下端部のみが袋本体2に貼着されており、それよりも上方では袋本体に貼着されておらず、袋本体2から引き起こし可能となっている。
【0030】
掛止部14は、アーム部13の外側を囲むように、該アーム部13に隣接して形成され、アーム部13の上端部と連続している。掛止部14は袋本体2に貼着されておらず、コーヒードリップバッグ100Aをカップ200に掛ける際に、カップの側壁に直接引っ掛ける部分となるものであるため、この掛止部14がアーム部13の外側に形成されていることにより、カップ壁への掛け幅が十分に確保される。このため、コーヒードリップバッグ100Aをカップ200に掛けたときに袋本体2が左右に(袋本体の側縁部側に)傾かず、注湯時に開口部3を上向きに維持しておくことが可能となる。
【0031】
コーヒードリップバッグ100Aの使用方法としては、まず、ミシン目4に沿って袋本体2の上端部を切除することにより袋本体2を開口し、
図1(b)に矢印Aで示したように一対の掛止部14の下端を引っ張ってアーム部13と掛止部14を引き起こす。これらをさらに大きく引き起こし、
図1(c)に示したように、掛止部14をカップ200の側壁201にかける。こうしてコーヒードリップバッグ100Aをカップ200に掛止した後、袋本体2の開口部3から注湯する。ここで、コーヒードリップバッグ100Aの各部の切り込み形状はシンプルであることから、消費者は、コーヒードリップバッグ100Aの使用時に、格別に使用説明書を読まなくても、引き起こすべき部分を一目瞭然に理解することができる。したがって、このコーヒードリップバッグ100Aによれば、消費者の誤使用を防止することができる。
【0032】
また、このようにコーヒードリップバッグ100Aをカップ200に掛けた状態で、袋本体2の対向する外表面に貼着されている中央貼着部12が、アーム部13によって矢印Bのように互いに反対方向に引っ張られることにより袋本体2が開口する。このとき、開口部3に沿って上部貼着部11が貼着されていることにより、開口部3は上部貼着部11の幅L1で開く。また、掛止部14がアーム部13を外側に引っ張りつつ、カップ200を矢印Cのように押さえ付ける。このため、コーヒードリップバッグ100Aは、安定した開口状態でカップ200に装着される。
【0033】
なお、以上の説明では、コーヒードリップバッグ100Aをミシン目4で開口した後、カップ200に掛止する例を示したが、本発明のドリップバッグの使用方法はこれに限られず、ドリップバッグ1Aをカップ200にセットした後、ドリップバッグ1A内にコーヒー粉を入れて注湯しても良い。
【0034】
本発明のドリップバッグは種々の態様をとることができる。例えば、
図3A(a)のコーヒードリップバッグ100B(ドリップバッグ1B)は、袋本体2の表裏の掛止部材10Bの上部貼着部11の上端部に、段状の突出部11aを、それらが袋本体2の上端部から交互に突出するように設けたものである。この場合、一対の掛止部材10Bの突出部11aは、互いに重ならないように突出している。このコーヒードリップバッグ100Bによれば、
図3A(b)に示すように、開封時に交互に突出している突出部11aを互いに引き離すことにより、袋本体2の上縁のシール部が引き剥され、開口する。したがって、容易に袋本体2を開口することが可能となる。さらに、一対の掛止部材10Bの突出部11aは互いに重ならない形状となっているので、一枚の薄板状材料から一対の掛止部材10を打ち抜く際に、
図3Bに示すように、突出部11a側を対向させた配置とすることにより、薄板状材料の抜きカスを最小限に抑えて無駄なく打ち抜くことができる。
【0035】
図4のコーヒードリップバッグ100C(ドリップバッグ1C)は、
図1のコーヒードリップバッグ100Aの掛止部材10Aに対し、上部貼着部11の幅L1と掛止部14の幅L2とをそろえ、また、アーム部13の外側(中央貼着部12と反対側)の縁辺に隣接すると共に袋本体2に貼着されている外側貼着部15を設けたものである。
図4のコーヒードリップバッグ100Cの掛止部材10Cのように、上部貼着部11の幅L1と掛止部14の幅L2を揃え、掛止部材10Cの外形を略矩形にすることにより、掛止部材10Cの形成に伴う打ち抜き屑を最小限に減らすことができる。また、外側貼着部15を設けることで、アーム部13の基部の両側に掛止部材と通水性濾過性シートとの貼着領域が形成されるので、アーム部13の下端部に負荷が集中しても、その近傍で通水性濾過性シートが破れることを防止することができる。さらに、外側貼着部15を設けることで、ドリップバッグ1Cを開いた際に、バッグ1Cが角柱状に開く。そのため、
図1(c)に示したように、袋本体2にくびれができ、袋本体2に一度に注湯できる量が低減することを防止できる。なお、外側貼着部15は、少なくともアーム部13の下端部外側において、該アーム部13と隣接して設ければよく、アーム部13の上端部にまで延設しなくてもよい。
【0036】
図5のコーヒードリップバッグ100D(ドリップバッグ1D)は、
図4のコーヒードリップバッグ100Cの掛止部材10Cに対し、掛止部材10Dにおいて、掛止部14を上部貼着部11の上部外側まで延設し、掛止部14で上部貼着部11が囲まれるようにしたものである。一般に、人には、突出端を摘み上げようとする傾向があるが、この掛止部材10Dによれば、掛止部材10Dの上端部が、上部貼着部11ではなく、掛止部14の延設部分であるため、消費者が、コーヒードリップバッグ100Dの使用時に、誤って上部貼着部11の左右の突出端を摘み上げることを防止できる。
【0037】
図6のコーヒードリップバッグ100E(ドリップバッグ1E)は、袋本体2及び掛止部材10Eの平面形状をそれぞれ扇形、より具体的には略1/4円形状とし、掛止部材10Eに、上部貼着部11、中央貼着部12、アーム部13、外側貼着部15及び掛止部14を形成したものである。このように袋本体2の平面形状を扇形にすることにより、意匠性が高まる。また、袋本体2の下端を錐形状とすることで、抽出液が錐形状の頂点からドリップされるので、より濃度の高いコーヒー液を得ることができる。
【0038】
また、このコーヒードリップバッグ100Eでは、上部貼着部11が、袋本体2の開口部の略全辺に沿って設けられているので、開口部3の開口形状を大きくするため、上部貼着部の幅方向の中心を通る折れ線M1が、上部貼着部11の上端から中央貼着部12の下端にかけて形成されている。これにより、
図6(c)に示したように、上面視矩形になる開口部3の頂点が折線M1上に形成される。したがって、このコーヒードリップバッグ100Eによっても開口部3の開口形状を大きくし、安定させることができる。
【0039】
なお、本実施例では、アーム部13の下端部には貼着部は形成されておらず、その全域が通水性濾過性シートに対する非貼着部となっている。これにより袋本体2と掛止部材10Eとの貼着部から掛止部材10Eへの湯の浸み込みを防ぎ、注湯後における袋本体2の開口形状を一層きれいに保つことができる。
【0040】
図7のコーヒードリップバッグ100F(ドリップバッグ1F)は、
図6のコーヒードリップバッグ100Eにおいて、外側貼着部15にも折れ線M2を形成し、また、アーム部13の下端部を袋本体2に貼着したものである。これにより、コーヒードリップバッグ100Fをカップ200に掛けたときの袋本体2の形状を略円錐形とし、袋本体2の開口形状をより大きく保つことができる。
【0041】
本発明のドリップバッグは、さらに種々の態様をとることができ、上述の変形態様は、適宜種々組み合わせることができる。
【0042】
また、本発明のドリップバッグに充填する抽出材料としては、コーヒー粉に代えて、紅茶、緑茶、漢方薬等を使用してもよい。それにより、種々の飲料ドリップバッグを得ることができる。
【符号の説明】
【0043】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F ドリップバッグ
2 袋本体
2a、2b 矩形面
2p、2q 側縁
3 開口部
4 ミシン目
10、10A、10B、10C、10D、10E、10F 掛止部材
11 上部貼着部
11a 突出部
12 中央貼着部
13 アーム部
14 掛止部
15 外側貼着部
20 ドリップバッグ用シート
21 通水性濾過性シート
30 補強片
100、100A、100B、100C、100D、100E、100F コーヒードリップバッグ
200 カップ
201 側壁
M1、M2 折れ線