特許第5673001号(P5673001)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5673001
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】ショーケース
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/04 20060101AFI20150129BHJP
【FI】
   A47F3/04 L
   A47F3/04 M
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-254029(P2010-254029)
(22)【出願日】2010年11月12日
(65)【公開番号】特開2012-100993(P2012-100993A)
(43)【公開日】2012年5月31日
【審査請求日】2013年10月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】多湖 邦男
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−192573(JP,A)
【文献】 実開昭64−050159(JP,U)
【文献】 実開平04−115394(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開口したケース本体と、前記ケース本体の底部に設置されたドレーンパンと、前記ドレーンパンとの間に通風路を画成するとともにその上方域に陳列室が画成され、その上に商品が陳列されるデッキパンと、前記通風路の内部に設けられ、前記陳列室の前面から前記通風路の内部に空気を吸い込むファンとを備えたショーケースにおいて、
前記デッキパンは、前記ドレーンパンおよび前記ファンにアクセス不能な閉鎖位置からアクセス可能な開放位置に移動するように、後端縁まわりに回動可能に支承され、
かつ、
前記デッキパンが開放位置に移動した場合に取り出し可能となり、取り出した場合に開放位置に移動したデッキパンを支持する支持手段を備え
前記支持手段は、前記通風路の側面を画成する側板の上面に、前後方向に延びる蝶番軸を有した蝶番によって前記蝶番軸の軸心まわりに回動自在に取り付けられた支持金具であり、前記支持金具は、前記デッキパンが閉鎖位置にあるときには前記通風路の内部に収納されており、前記デッキパンが開放位置に移動して前記通風路の内部から取り出した場合に前記デッキパンの下面を支持することを特徴とするショーケース。
【請求項2】
前記支持金具は、前記通風路の側面を画成する対向する一対の側板の上面に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のショーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の温度で商品を陳列するショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
前面が開口したケース本体と、ケース本体の底部に設置されたドレーンパンと、ドレーンパンとの間に通風路を画成するとともにその上方域に陳列室を画成するデッキパンと、通風路の内部に設けられ、陳列室の前面から通風路の内部に空気を吸い込むファンとを備えたショーケースが広く知られている。デッキパンは、着脱可能に取り付けられ、その上に商品が陳列される。陳列室は、上述したデッキパンのほか、背面パネル、天井パネルにより画成され、陳列室の前面から通風路の内部に吸い込まれた空気は、背面パネル、天井パネルの裏側を通り、陳列室の前面に吹き出すことにより、陳列室の前面にエアカーテンを生成している(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、上述したショーケースは、デッキパンの上に陳列したすべての商品を取り除かないと、デッキパンを取り外すことができない。したがって、ドレーンパンやファンを掃除する場合には、デッキパンの上に陳列したすべての商品を取り除かなければならない。
【0004】
このような問題を解決すべく、デッキパンを前後二つに分割し、手前側を取り外し可能にしたショーケースが提案されている。このショーケースは、デッキパンの上に陳列した商品のうち手前側の商品を取り除けば、デッキパンの手前側を取り外すことができ、ドレーンパンやファンを掃除することができる(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−313308号公報
【特許文献2】特開2000−166713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、デッキパンの上に陳列した商品のうち手前側の商品を取り除くだけでも労力と時間を要するので、簡単にドレーンパンやファンを掃除することができない。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、デッキパンの上に陳列した商品を取り除くことなく、ドレーンパンやファンを掃除することができるショーケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、前面が開口したケース本体と、前記ケース本体の底部に設置されたドレーンパンと、前記ドレーンパンとの間に通風路を画成するとともにその上方域に陳列室を画成し、その上に商品が陳列されるデッキパンと、前記通風路の内部に設けられ、前記陳列室の前面から前記通風路の内部に空気を吸い込むファンとを備えたショーケースにおいて、前記デッキパンは、前記ドレーンパンおよび前記ファンにアクセス不能な閉鎖位置からアクセス可能な開放位置に移動するように、後端縁まわりに回動可能に支承され、かつ、前記デッキパンが開放位置に移動した場合に取り出し可能となり、取り出した場合に開放位置に移動したデッキパンを支持する支持手段を備え、前記支持手段は、前記通風路の側面を画成する側板の上面に、前後方向に延びる蝶番軸を有した蝶番によって前記蝶番軸の軸心まわりに回動自在に取り付けられた支持金具であり、前記支持金具は、前記デッキパンが閉鎖位置にあるときには前記通風路の内部に収納されており、前記デッキパンが開放位置に移動して前記通風路の内部から取り出した場合に前記デッキパンの下面を支持することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記支持金具は、前記通風路の側面を画成する対向する一対の側板の上面に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかるショーケースは、デッキパンが、ドレーンパンおよびファンにアクセス不能な閉鎖位置からアクセス可能な開放位置に移動するように、後端縁まわりに回動可能に支承され、かつ、デッキパンが開放位置に移動した場合に取り出し可能となり、取り出された場合に開放位置に移動したデッキパンを支持する支持手段を備えたので、デッキパンの上に商品を陳列したままデッキパンを開放位置に移動させ、支持手段にデッキパンを支持させれば、デッキパンの開放状態が維持され、ドレーンパンおよびファンにアクセス可能となる。これにより、デッキパンの上に陳列された商品を取り除くことなく、ドレーンパンやファンを掃除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施の形態であるショーケースを示す斜視図である。
図2図2は、図1に示したショーケースの内部構造を示す断面図である。
図3図3は、図1に示したデッキパンが開放した状態を示す斜視図である。
図4図4は、開放したデッキパンを支持する支持構造を示す拡大図である。
図5図5は、デッキパンを閉鎖した場合における支持構造を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明にかかるショーケースの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態であるショーケースを示す斜視図である。また、図2は、図1に示したショーケースの内部構造を示す断面図である。ここで例示するショーケース1は、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等の店舗において冷凍食品や生鮮食品等の商品を陳列販売するためのいわゆるオープンショーケースと称されるもので、台座11とケース本体12とを備えている。台座11は、平面視矩形の外形を有する枠体であり、その上にケース本体12が搭載される。
【0015】
ケース本体12は、直方体の箱の前面および両側面が開口した形状を有している。ケース本体12は、底部を構成する船底状の船底壁部12Aと、船底壁部12Aの後端縁から上方に向けて延在した背壁部12Bと、背壁部12Bの上端縁から前方に向けて延在した天井部12Cとを有しており、これらは、左右一対を成す側板12Dに取り付けられている。また、船底壁部12A、背壁部12B、天井部12Cの内部には、断熱材(図示せず)が配設してあり、ケース本体12の内部と外部とは断熱されている。
【0016】
側板12Dは、基部と、基部の後端部から上方に向けて延在する柱部と、柱部の上端部から前方に向けて延在する梁部とを有しており、側面視コの字状を成している。
【0017】
図2に示すように、ケース本体12の底部を構成する船底壁部12Aの上には、ドレーンパン2が設置してある。ドレーンパン2は、後述する通風路3や陳列室4において結露した水滴などを集めて外部に排水するためのもので、その底面は、排水孔となるドレーン2aに向けて漸次低くなるように傾斜している。
【0018】
ケース本体12は、船底壁部12Aよりも上方に位置する部位にドレーンパン2から離隔する態様で設けたデッキパン4Aと、デッキパン4Aの後端縁から上方に向けて延在した背面パネル4Bと、背面パネル4Bの上端縁から前方に向けて延在した天井パネル4Cとを有しており、ドレーンパン2とデッキパン4Aとの間に底面ダクト(通風路)3Aを画成し、これら、デッキパン4A、背面パネル4B、天井パネル4Cに囲まれた空間に陳列室4を画成する。
【0019】
デッキパン4Aは、左右一対をなす側板12Dの基部と基部とに跨って設けられ、底面ダクト3Aの上面を閉塞している。
【0020】
背面パネル4Bは、背壁部12Bの内側に背壁部12Bと離隔する態様で側板12Dの柱部に取り付けてあり、背壁部12Bとの間に背面ダクト(通風路)3Bを画成している。背面ダクト3Bは、底面ダクト3Aと連通しており、底面ダクト3Aと背面ダクト3Bとの間で空気が流通する。
【0021】
天井パネル4Cは、天井部12Cの内側に天井部12Cと離隔する態様で側板12Dの梁部に取り付けてあり、天井部12Cとの間に天井ダクト(通風路)3Cを画成している。天井ダクト3Cは、背面ダクト3Bと連通しており、背面ダクト3Bと天井ダクト3Cとの間で空気が流通する。
【0022】
また、船底壁部12Aの前端縁とデッキパン4Aとの間には、リターングリル5が設置してある。リターングリル5は、陳列室4の前面域から底面ダクト3Aに空気を吸い込むためのもので、上面には、陳列室4の前面域から底面ダクト3Aに空気を吸い込むための吸込口5aが形成してある。吸込口5aは、ケース本体12の前後方向に延びる細長い長孔状のスリットを並設したもので、吸込口5aから底面ダクト3Aに商品等が落下する事態を防止している(図5参照)。
【0023】
底面ダクト3Aの内部、より具体的にはドレーンパン2の上には、ファンダクト6が設置してある。ファンダクト6は、底面ダクト3A、背面ダクト3B、天井ダクト3C、陳列室4の前面の順に循環させ、陳列室4の前面にエアカーテンを生成させるためのもので、前面が斜め上方を臨むように、傾斜した角筒形を有している。また、ファンダクト6の前面には、ファン61が設置してあり、ファン61を稼働させると、陳列室4の前面から底面ダクト3Aに空気が吸い込まれ、底面ダクト3Aの内部空気がファンダクト6を通り背面ダクト3Bに流入する。
【0024】
背面ダクト3Bの内部には、蒸発器(熱交換器)62が設置してある。蒸発器62は、底面ダクト3Aから流入した空気との間で熱交換することにより、底面ダクト3Aから流入した空気を冷却するためのもので、底面ダクト3Aから流入した空気は、蒸発器62の周囲を通過する際に冷却される。
【0025】
天井部12Cの前端縁と天井パネル4Cの前端縁との間には、ハニカム7が設置してある。ハニカム7は、天井ダクト3Cに流入した空気を整流するためのもので、上述した吸込口5aと対向する吹出口7aを有し、天井ダクト3Cからハニカム7を通り吹出口7aから吹き出された空気は吸込口5aから吸い込まれ、陳列室4の前面にエアカーテンを生成する。
【0026】
また、天井部12Cの前縁端には、照明装置8が並設してある。照明装置8は、フロントパネル81により前面が覆われた蛍光灯82であって、フロントパネル81の前面に蛍光等を点灯あるいは消灯させるスイッチ83が設けてある。
【0027】
また、上述したデッキパン4Aは、上述したドレーンパン2およびファン61にアクセス不能な閉鎖位置からアクセス可能な開放位置に移動するように、後端縁まわりに回動可能に支承されている。また、デッキパン4Aの中央手前側には、デッキパン4Aに指を通すための貫通孔4A1が設けてある。貫通孔4A1に指を通しデッキパン4Aを持ち上げることにより、デッキパン4Aは閉鎖位置から開放位置に移動する。なお、デッキパン4Aは、後端縁まわりに回動可能に支承されるものであれば、ヒンジなどにより、背面パネル4Bの下端縁部に取り付けてもよいし、側板12Dの基部に取り付けてもよい。
【0028】
また、図3および図4に示すように、ケース本体12とデッキパン4Aとの間には、デッキパン4Aが開放位置に移動した場合に取り出し可能となり、取り出された場合に開放位置に移動したデッキパン4Aを支持する支持手段9を備えている。具体的には、開放位置に移動したデッキパン4Aの下面を支持する支持金具91を蝶番92によって側板12Dの基部上面に回動可能に取り付けてある。支持金具91は、正面視コの字状に形成してあり、デッキパン4Aが開放位置に移動した場合に取り出し可能となり、取り出した場合に側板12Dの基部上面とデッキパン4Aの下面との間に介在してデッキパン4Aを開放位置で支えることになる。
【0029】
一方、図5に示すように、デッキパン4Aを僅かに持ち上げて、支持金具91を回動させると、側板12Dの上面とデッキパン4Aの下面との間に介在した支持金具91は側板12Dの基部に沿って収納され、デッキパン4Aは開放位置から閉鎖位置に移動可能となる。そして、デッキパン4Aを開放位置から閉鎖位置に移動すると、底面ダクト3Aの上面を閉鎖することになる。
【0031】
上述した本発明の実施の形態であるショーケース1は、主電源(図示せず)をオンすると、蒸発器62に冷媒が供給され、ファン61が稼働する。すると、ファン61は、リターングリル5に設けた吸込口5aから底面ダクト3Aの内部に空気を吸い込んで、底面ダクト3A、背面ダクト3B、天井ダクト3Cの順に循環し、ハニカム7に設けた吹出口7aから空気を吹き出すことにより、陳列室4の前面にエアカーテンを生成する。また、リターングリル5に設けた吸込口5aから底面ダクト3Aの内部に吸い込んで、底面ダクト3A、背面ダクト3Bの順に循環した空気は、蒸発器62の周囲を通過する際に冷却され、その後、天井ダクト3Cに供給され、ハニカム7に設けた吹出口7aから吹き出される。したがって、陳列室4の内部の温度は、所望の温度に保たれ、冷凍食品、生鮮食品等の商品を所望の温度に保持することができる。
【0032】
上述した本発明の実施の形態であるショーケース1において、ドレーンパン2およびファン61を掃除する場合は、作業者は、デッキパン4Aの上に商品を陳列したままデッキパン4Aを開放位置に移動させた後、支持金具91を取り出して、支持金具91にデッキパン4Aの下面を支持させればよい。すると、支持金具91は、側板12Dの上面とデッキパン4Aの下面との間に介在して、デッキパン4Aは開放状態を持続する。このように、デッキパン4Aが開放状態を持続すると、作業者は、デッキパン4Aを手で支える必要がなくなり、両手を使ってドレーンパン2およびファン61を掃除できる。また、ドレーンパン2に水を流して掃除しても、ドレーンパン2に跳ね返った水はデッキパン4Aの下面で受け止められ、ショーケース1を設置した店舗の床に飛び散ることはない。
【0033】
上述した本発明の実施の形態であるショーケースは、デッキパン4Aが、ドレーンパン2およびファン61にアクセス不能な閉鎖位置からアクセス可能な開放位置に移動するように、後端縁まわりに回動可能に支承され、かつ、デッキパン4Aが開放位置に移動した場合に取り出し可能となり、取り出された場合に開放位置に移動したデッキパン4Aを支持する支持金具91を備えたので、デッキパン4Aの上に商品を陳列したままデッキパン4Aを開放位置に移動させ、支持金具91にデッキパン4Aを支持させれば、デッキパン4Aの開放状態が維持され、ドレーンパン2およびファン61にアクセス可能となる。これにより、デッキパン4Aの上に陳列された商品を取り除くことなく、ドレーンパン2やファン61を掃除できる。
【符号の説明】
【0034】
1 ショーケース
11 台座
12 ケース本体
12A 船底壁部
12B 背壁部
12C 天井部
12D 側板
2 ドレーンパン
2a ドレーン
3 通風路
3A 底面ダクト
3B 背面ダクト
3C 天井ダクト
4 陳列室
4A デッキパン
4A1 貫通孔
4B 背面パネル
4C 天井パネル
5 リターングリル
5a 吸込口
6 ファンダクト
61 ファン
62 蒸発器
7 ハニカム
7a 吹出口
8 照明装置
81 フロントパネル
82 蛍光灯
83 スイッチ
9 支持手段
91 支持金具
図1
図2
図3
図4
図5