【実施例】
【0025】
以下、本発明の実施例を示す。尚、特に示さない限り、部,%等は重量基準による。
【0026】
○高温浸漬の有無による比較(実施例1,比較例1)
・高温浸漬した豆乳(実施例1)
脱皮脱胚軸した大豆1部に熱水(90℃)4部を加え、30分間浸漬を行い、十分に吸水した脱皮・脱胚軸大豆1部に対し、熱水(90℃)6部を加えたものを「コミトロール」プロセッサー(URSCHEL社製)を用いて湿式粉砕し、さらに、ホモゲナイザー(APV社製)に供給し、150kgf/cm
2で均質化処理し、粒子径20〜30μmの大豆懸濁液を得た。得られた大豆懸濁液を連続遠心分離機に供給し、3000×g,3分で遠心分離を行い、豆乳とおからに分離した。
【0027】
・高温浸漬していない豆乳(比較例1)
脱皮脱胚軸した大豆1部に水4部を加え、30分間浸漬を行い、十分に吸水した脱皮・脱胚軸大豆1部に対し、冷水(5℃)6部を加えたものをコミトロールを用いて湿式粉砕し、さらに、ホモゲナイザー(APV社製)に供給し、150kgf/cm
2で均質化処理し、粒子径20〜30μmの大豆懸濁液を得た。得られた大豆懸濁液を連続遠心分離機に供給し、3000×g,3分で遠心分離を行い、豆乳とおからに分離した。
【0028】
上記方法にて得られた豆乳をガスクロマトグラフ-質量分析法にてn-ヘキサナールの分析を行った。
【0029】
次に、水58重量部を60〜70℃に加熱しながら燐酸二カリウム0.4重量部を溶解させ、上記方法により得られた豆乳20.8重量部と、シュガーエステル(DXエステルF160、第一工業製薬)0.7部および有機酸モノグリセリドであるジアセチル酒石酸エステル(サンソフト641D、太陽化学)0.5部(平均HLB12.5)を加えて攪拌した。豆乳と乳化剤を溶解あるいは分散させた後、この溶液に精製やし油20重量部を添加し、予備乳化を行った。
予備乳化後、ホモゲナイザーを用いて30〜150kgf/cm
2にて均質化させた後、スチームインジェクション方式の直接高温加熱装置(TANAKA FOOD MACHINERY社製)に供給し、144℃,4秒で殺菌した。殺菌後、ホモゲナイザーを用いて30〜150kgf/cm
2にて均質化させた後、これらを冷却し、各実施例のコーヒーホワイトナーを得た。
【0030】
上記のようにして得られた各コーヒーホワイトナーを酸度の高いコーヒーの1つであるキリマンジャロコーヒー(pH5.07)に添加して、その分散状態(フェザーリング)を調べると共に風味確認を行い、これらの結果を下記の表1に示した。
なお、各コーヒーホワイトナーのフェザーリングについては、コーヒー中に凝集物が形成された場合を5、コーヒー中にフェザーリングが激しく認められた場合を4、コーヒー中にフェザーリングが認められた場合を3、コーヒー中にフェザーリングがやや認められた場合を2、コーヒー中にフェザーリングが認められず良好である場合を1として評価した。また各コーヒーホワイトナーの風味については、8名にて行い、コーヒーの風味を損ねていない場合を良好、コーヒーの風味を損ねた場合を不良と評価した。
【0031】
○(表1)高温浸漬の有無による比較
【0032】
どちらの豆乳を使用しても、製造直後においてコーヒーへの分散状態はフェザーリングが認められなかった。しかし、高温浸漬していない豆乳の場合、5℃にて、1週間保存した後において、コーヒーに添加した場合フェザーリングが確認された。また、風味においては、高温浸漬していない豆乳を使用したコーヒーホワイトナーは、コーヒーに添加した場合、コーヒーにおいて青臭味を感じ、コーヒーの風味を損ねていたという評価であった。一方、高温浸漬した豆乳を使用したコーヒーホワイトナーは、コーヒーに添加した場合、コーヒーの風味を損ねないという評価であった。
以上より、高温浸漬した豆乳は、コーヒーホワイトナーにしても、フェザーリングをおこさず、またコーヒーの風味を損ねないことが確認できた。
【0033】
○各種乳化剤による比較(実施例2〜4,比較例2〜6)
実施例1に従って、高温浸漬した豆乳を用いてコーヒーホワイトナーを調製した。ただし、乳化剤を表2のように変更した。尚、クエン酸エステルはサンソフト621B、乳酸エステルはサンソフト661AS(以上、太陽化学製)、ポリグリセリン脂肪酸エステルはMS310(坂本薬品工業製)、ソルビタン脂肪酸エステルはエマゾールL10F(花王製)、シュガーエステルはDXエステルF90(第一工業製薬製)をそれぞれ用いた。
【0034】
○(表2)各種乳化剤による比較
【0035】
次に、上記のようにして得られた実施例2〜4及び比較例2〜6の各コーヒーホワイトナーを、前述のキリマンジャロコーヒーに添加して、その分散状態を実施例1に従って評価した。また、乳化安定性については、上記の各コーヒーホワイトナーを40℃で2時間保存した後、4℃で22時間保存させた場合における各コーヒーホワイトナーの粘度状態の変化から、ボテ状態となっていない場合を1、若干ボテ状態となった場合を2、ボテ状態となった場合を3と評価した。
また、最終評価として、分散状態(フェザーリング)において1または2でかつ乳化安定性が1のものを良(○)と、同じく乳化安定性が2または3のものを可(△)、他を不良(×)と判断した。
【0036】
コーヒー中におけるコーヒーホワイトナーの分散状態(フェザーリング)において、乳化剤として、有機酸モノグリセリドとシュガーエステルを併用した実施例2〜4において、フェザーリングは殆ど確認されなかった。しかし、乳化安定性において、HLB3の有機酸モノグリセリドを使用した実施例4においては、実施例2と3とは異なり乳化安定性がやや不安定であった。有機酸モノグリセリドを用いない比較例2〜6は、いずれも分散性が悪く安定性にも欠けるものだった。以上より、HLBの高いシュガーエステルと有機酸モノグリセリド、好ましくはHLBの高い有機酸モノグリセリドを併用することにより、分散状態(フェザーリング)と乳化安定性の良好なコーヒーホワイトナーができることが判った。
【0037】
○乳化剤の混合比による比較(実施例5,6,比較例7)
実施例2において使用したものと同じ乳化剤を使用し、表3のように添加量を変更し、それ以外は上記実施例2の場合と同様にして各コーヒーホワイトナーを得、同様の評価を行なった。
【0038】
乳化剤としてHLB15のシュガーエステルとHLB9のジアセチル酒石酸エステルを併用させた実施例2,5,6,比較例7の各コーヒーホワイトナーを比較した場合、この2種類の乳化剤の平均HLBが12.5と11.5である実施例2と6の各コーヒーホワイトナーは分散状態(フェザーリング),乳化安定性共に良好であった。しかし、平均HLBが14.5の比較例7においては、分散性と乳化安定性が悪くなった。HLBの高いシュガーエステルとHLBの高い有機酸モノグリセリドを併用させた場合において、2種類の乳化剤の平均HLBが9〜14とすることにより、分散状態(フェザーリング)と乳化安定性の良好なコーヒーホワイトナーとなることが、また平均HLBが10.0の実施例5は、フェザーリングがやや認められたことより、平均HLBが11〜13とすることにより、更に好ましいことが判った。
【0039】
○(表3)乳化剤の混合比による比較