【実施例1】
【0015】
本発明によるステッピングモータは、
図1(A)の外観斜視図で示すように、円筒形状に形成され上部ハウジング1aと下部ハウジング1bとで上下に分割されたハウジング1の中央部に回転軸2を設け、ハウジング1からは後述する第一コイル12及び第二コイル13に接続される配線15が導出されている。また、ハウジング1の上面一側には、円弧状のガイド孔1cが設けられ、同ガイド孔1cからは、ステータ間調整レバー6aが突設されている。
【0016】
回転軸2は、
図1(B)の断面図で示すように、ハウジング1の上下に備えられた上部軸受5a及び下部軸受5bにより回動自在に軸支されるとともに、ハウジング1内の中央部に、樹脂材からなる円環状のスリーブ3を介して永久磁石からなるロータマグネット4を固着しており、同ロータマグネット4は周方向において複数のN極とS極とに分割されている。
【0017】
ハウジング1の内周面にはロータマグネット4の外周面と所定の隙間を介して、第一ステータ6と第二ステータ7とが上下に配設されている。上部に設けられた第一ステータ6は、第一ステータコア8と、同第一ステータコア8の内周面に被着される断面コ字状に形成された第一ボビン10と、同第一ボビン10に巻回された第一コイル12とからなり、第一ステータコア8の上面には上記したステータ間調整レバー6aが設けられている。第二ステータ7は、第二ステータコア9と、同第二ステータコア9の内周面に被着される断面コ字状に形成された第二ボビン11と、同第二ボビン11に巻回された第二コイル13とからなっている。
【0018】
配線15を介して第一コイル12と第二コイル13とに駆動パルスが印加されると、第一ステータ6及び第二ステータ7とロータマグネット4との間に磁気回路が形成され、ロータマグネット4を固着した回転軸2がパルス数に従って正転方向及び逆転方向に回転するようになっている。
【0019】
また、第一ステータ6と第二ステータ7との間には円環状に形成された非磁性体からなるスペーサ14が設けられている。第一ステータ6及び第二ステータ7の端部からは夫々漏れ磁束が発生し互いの後述するステータコアとロータマグネット4との間に存在する磁束を打ち消す方向に作用することによりロータマグネット4の回転負荷となるディテントトルクが生じる。スペーサ14はこの漏れ磁束の影響を低減するために設けられている。
【0020】
第一ステータ6を構成する第一ステータコア8は、
図2の分解斜視図で示すように、上下に分割された上部ステータコア8aと下部ステータコア8bとからなっており、同様に、第二ステータ7を構成する第二ステータコア9は、上下に分割された上部ステータコア9aと下部ステータコア9bとからなっている。
【0021】
上部ステータコア8aは円環状に形成され、内周縁側に先細状の複数の磁極歯8cを下方に向けて垂下させており、下部ステータコア8bも円環状に形成され、内周縁側に先細状の複数の磁極歯8dを立設しており、第一ステータコア8は上部ステータコア8aの磁極歯8cと下部ステータコア8bの磁極歯8dとを噛み合わせるよう交互に配置して組み合わされている。同様に、上部ステータコア9aは円環状に形成され、内周縁側に先細状の複数の磁極歯9cを下方に向けて垂下させており、下部ステータコア9bも円環状に形成され、内周縁側に先細状の複数の磁極歯9dを立設しており、第二ステータコア9は上部ステータコア9aの磁極歯9cと下部ステータコア9bの磁極歯9dとを噛み合わせるよう交互に配置して組み合わされている。
【0022】
円環状に形成されたスペーサ14の上面には、ステータ間調整突起14aが略120度の間隔で3箇所に設けられている。また、
図4に示すように、第一ステータコア8を構成する下部ステータコア8bの下面には、スペーサ14の上面に設けられたステータ間調整突起14aに対応する調整突起受部8eが略120度の間隔で3箇所に設けられている。
【0023】
図3は、スペーサ14と、下部ステータコア8b及び上部ステータコア9aとを示す分解斜視図であり、これらが組合わさった側面図を
図4(A)に示す。
図4(A)に示すように、スペーサ14の上面に設けられたステータ間調整突起14aは下部ステータコア8bの下面に設けられた複数の調整突起受部8eに噛み合い、スペーサ14と、第一ステータコア8を構成する下部ステータコア8bとの距離を調整するようになっている。
【0024】
ステータ間調整突起14aは、
図4(B)のA部詳細で示すように、階段状に形成されており、下部ステータコア8bに設けられた調整突起受部8eは、ステータ間調整突起14aの各階段部に嵌め合わされる方向に階段状に形成されている。
【0025】
スペーサ14の上面に設けられたステータ間調整突起14aの最上位の階段部には、断面三角状に形成された突部14cが設けられており、下部ステータコア8bに設けられた調整突起受部8eの各階段部には、突部14cに対応する断面三角形状の係合溝8fが複数設けられており、突部14cと複数の係合溝8fとで係合手段を構成するようになっている。
【0026】
スペーサ14のステータ間調整突起14aと下部ステータコア8bの調整突起受部8eとにおいて、ステータ間調整突起14aの階段部位と調整突起受部8eの階段部位とが接する面を一段ずつずらすことにより、スペーサ14と下部ステータコア8bとの距離、つまり第一ステータ6と第二ステータ7との距離が調整できるようになっている。また、ステータ間調整突起14aの突部14cが調整突起受部8eの係合溝8fに嵌入されると、スペーサ14と下部ステータコア8bとの円周方向のズレは規制されるようになっている。
【0027】
例えば、スペーサ14のステータ間調整突起14aの最上位階段部と、下部ステータコア8bの調整突起受部8eの最上位階段部とが嵌め合わされるように調整すれば、スペーサ14と下部ステータコア8bとの距離が最大となり、ステータ間調整突起14aの最上位階段部が、調整突起受部8eで最も低い最下部の階段部と嵌め合わされるように調整すれば、スペーサ14と下部ステータコア8bとの距離が最小となる。このように一段ずつずらしてスペーサ14と下部ステータコア8bとの距離調整を行うことにより、スペーサ14と下部ステータコア8bと位置決めを、つまりスペーサ14と下部ステータコア8bとの距離設定を行い易くなっている。
【0028】
調整作業を行う最は、第一ステータコア8の上部ステータコア8aの上面に設けられ、ハウジング1のガイド孔1cから突設されたステータ間調整レバー6aを上方に引き上げることにより、調整突起受部8eと、スペーサ14のステータ間調整突起14aとを離間させる。次に、ステータ間調整レバー6aをガイド孔1cに沿って移動させることにより、第一ステータコア8を回動させ、調整突起受部8eの階段部とステータ間調整突起14aの階段部とが嵌め合わされる位置をずらしてステータ間調整レバー6aを下ろす。
【0029】
以上、説明したように、スペーサ14に設けられたステータ間調整突起14aが階段状に形成され、下部ステータコア8bに設けられた調整突起受部8eがステータ間調整突起14aに対応して階段状に形成され、ステータ間調整突起14aと調整突起受部8eとの階段部を段階的にずらすことによりスペーサ14と下部ステータコア8bと位置決めが行い易く、スペーサ14と第一ステータコア8bとの距離設定が行い易くなっている。これにより、第一ステータ6と第二ステータ7との距離設定が的確に行える一方、ステータ間調整突起14aの突部14cが調整突起受部8eの係合溝8fcに嵌入されると、スペーサ14と下部ステータコア8bとの円周方向のズレは規制され、ステッピングモータに衝撃力あるいは振動が加わったとしても、設定した第一ステータ6と第二ステータ7間の距離を的確に保持でき、ディテントトルクの抑制を維持することができるようになっている。
【0030】
尚、本発明においては、スペーサ14の上面にステータ間調整突起14aを設け、第一ステータ6に備えられた下部ステータコア8の下面に調整突起受部8eを設けているが、これに限定されるものではなく、スペーサ14の下面にステータ間調整突起14aと同様なステータ間調整突起を設け、第二ステータ7に備えられた上部ステータコア9aの上面に、調整突起受部8eと同様な調整突起受部を設けてもよく、また、これら両者を同時に設けても良い。また、ステータ間調整突起14aと調整突起受部8eを共に階段状に形成しているが、これに限定されるものではなく、いずれか一方を階段状に形成し、他方を直方体状に形成して相互に噛み合わせてもよい。