特許第5673307号(P5673307)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5673307
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】非水電解質二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0587 20100101AFI20150129BHJP
   H01M 2/18 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
   H01M10/0587
   H01M2/18 R
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-81870(P2011-81870)
(22)【出願日】2011年4月1日
(65)【公開番号】特開2012-216460(P2012-216460A)
(43)【公開日】2012年11月8日
【審査請求日】2014年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100100170
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 厚司
(72)【発明者】
【氏名】手嶋 稔
【審査官】 吉田 安子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−353452(JP,A)
【文献】 特開2008−262791(JP,A)
【文献】 特開2007−329077(JP,A)
【文献】 特開2005−190785(JP,A)
【文献】 特開2000−011986(JP,A)
【文献】 特開2000−285896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0587
H01M 2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と、負極と、前記正極と前記負極の間に挟まれたセパレータとを積層して巻回した発電要素を容器内に収容し、前記正極と前記負極との間に電解質を保持させた非水電解質二次電池において、前記セパレータの幅方向端部に中央部よりもポロシティが小さい少なくとも2つの領域を有し、
前記セパレータの幅方向端部の少なくとも2つの領域において、端部から中央部に向かってポロシティを段階的に変化させ、
前記セパレータの幅方向端部の少なくとも2つの領域において、端部側の領域のポロシティを中央部側の領域のポロシティよりも大きくしたことを特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項2】
前記中央部の領域のポロシティに対する前記端部の2つの領域の小さい方のポロシティの差は、20〜30%であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池などの非水電解質二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池などの非水電解質二次電池は、正極と、負極と、これらの間に挟まれたセパレータとを積層して巻回した発電要素を容器内に収容し、正極と負極との間に電解質を保持させたものである。
【0003】
非水電解質二次電池の正極と負極の間に介在するセパレータは、電解質を保持する機能のほか、正極と負極の接触による短絡を防止する機能を有している。セパレータは、高温で収縮しても、正極と負極が接触しないように、正極と負極の対向部分よりも外側に突出して設けられている。この突出代が大きいと、セパレータの幅が大きくなり、エネルギー密度が低くなるという問題があった。
【0004】
また、非水電解質二次電池では、高温放置時や充放電サイクルが繰り返されると、正極と負極の間に存在していた電解質が、容器と発電要素の間のデッドスペースに移動し、極間の電解質の絶対量が減少し、耐久性が低下するという問題があった。
【0005】
特許文献1には、容器から近い部位が遠い部位と比して空孔率が低い、すなわち巻回型で言えば、電極群の短手方向の外側に位置する部位が内側に位置する部位と比して空孔率が低いセパレータを具備した非水電解質二次電池が開示されている。
【0006】
しかし、特許文献1の構造は、セパレータによる電解質の保持機能の向上を企図したものであるが、セパレータが高温で収縮した際にセパレータの幅方向の端部から正極と負極が露出して短絡する虞がある。
【0007】
また、特許文献2に、積層型の非水電解質二次電池において、積層方向から見て、セパレータの周縁部に、周縁部以外の部位よりも空孔率の小さい低空孔率部を存在させたものが開示されている。
【0008】
しかし、特許文献2の構造は、正極と負極の活物質層間の短絡が周縁部に集中していることに鑑み、セパレータの周縁部の空孔率をそれ以外の部位よりも小さくすることで、活物質層の周縁部からの導電性粒子の脱落を抑制して正極と負極の活物質層間の短絡を防止するものであり、セパレータの高温収縮による正極と負極の短絡については何等考慮されていない。以下、セパレータの空孔率をポロシティという。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−353452号公報
【特許文献2】特開2008−140551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、セパレータの高温収縮時における正極と負極の接触を防止することができる非水電解質二次電池を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本願発明は、
正極と、負極と、前記正極と前記負極の間に挟まれたセパレータとを積層して巻回した発電要素を容器内に収容し、前記正極と前記負極との間に電解質を保持させた非水電解質二次電池において、前記セパレータの幅方向端部に中央部よりもポロシティが小さい少なくとも2つの領域を有する。
【0012】
前記セパレータの幅方向端部の少なくとも2つの領域において、端部から中央部に向かってポロシティを段階的に変化させることができる。
【0013】
前記セパレータの幅方向端部の少なくとも2つの領域のうち、ポロシティの小さい方の領域を正極と負極の対向部分よりも幅方向の端部側に形成することができる。
あるいは、前記セパレータの幅方向端部の少なくとも2つの領域において、端部側の領域のポロシティを中央部側の領域のポロシティよりも大きくすることができる。
【0014】
前記セパレータの幅方向端部の少なくとも2つの領域において、端部から中央部に向かってポロシティを連続的に変化させてもよい。
【0015】
前記中央部の領域のポロシティに対する前記端部の2つの領域の小さい方のポロシティの差は、20〜30%であることが好ましい。さらに好ましくは、23〜25%である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、セパレータの幅方向端部に中央部よりもポロシティが小さい少なくとも2つの領域を有するので、セパレータの高温時の収縮率が小さく、正極と負極の対向部分よりも外側への突出代を小さくすることができ、高エネルギー密度化を図ることができる。
【0017】
また、セパレータに保持された電解質がセパレータの幅方向の外側へ移動して容器と発電要素の間の空間に流出するのが抑制される。この結果、発電要素内部における電解質の保持能力が向上し、発電要素の外側でかつ容器内に存在する電解質が大幅に減少する。そのため、高温放置時の容量保持率が高くなり、耐久性が向上する。
【0018】
さらに、一般に、電池を高温環境で使用すると、セパレータ内の電解質が分解してガスが発生し、ガス溜まりが生じる等して発電要素内の電解質が不足し、電池容量が減少することがある。本発明では、セパレータの両端部のポロシティが小さいために毛細管現象が生じやすくなっており、容器と発電要素の両端部との間のデッドスペースにある電解質が、この毛細管現象によってセパレータの内部へ供給されるようになる結果、容量保持率が高くなり、耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係る電池の斜視図。
図2】本実施形態に係る電池の要部斜視図。
図3】発電要素の拡大斜視図。
図4図1のIV−IV線断面図。
図5】セパレータ、正極及び負極の配置関係を示す展開図。
図6】セパレータのポロシティの変化を示す図。
図7】セパレータのポロシティを変化させる手段の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「側」、「端」を含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0021】
図1は、非水電解質二次電池を示す。この非水電解質二次電池は、図2に示すように、電池容器1内に発電要素2を収容し、蓋体3で封止したものである。ここでは、電池容器1と蓋体3とで外装体を構成している。
【0022】
電池容器1は、上面が開口する直方体形状で、アルミニウムやアルミニウム合金等で構成されている。
【0023】
発電要素2は、銅箔上に負極活物質層を設けた負極4と、アルミニウム箔上に正極活物質層を設けた正極5との間に、多孔性の樹脂フィルムからなるセパレータ6を配置したものである。図3に示すように、これらはいずれも帯状で、セパレータ6に対して負極4と正極5とを幅方向の反対側にそれぞれ位置をずらした状態で、前記電池容器1に収容可能となるように扁平状に巻回されている。負極4及び正極5は、幅方向の一端部に活物質層を設けない箔露出部が存在し、この箔露出部を束ねて、図示しないクリップを介して負極集電体8、正極集電体9にそれぞれ接続されている。
【0024】
蓋体3は、金属製の板状で、中央部には安全弁10が設けられるとともに、端部に図示しない注液孔を閉鎖する栓体11が設けられている。また、蓋体3の両側には、負極外部端子12と正極外部端子13とがパッキン7を介してそれぞれ負極集電体8と正極集電体9に電気的に接続するように、取り付けられている。
【0025】
前記発電要素2のセパレータ6は、幅方向端部に中央部よりもポロシティが小さい少なくとも2つの領域を有する。
例えば、図5に示すように、セパレータ6の幅方向端部の2つの領域をA,B、中央部の領域をCとすると、図6(a)に示すように、端部の領域A,Bのポロシティを中央部の領域Cのポロシティより小さくし、かつ、領域Aと領域Bのポロシティを中央部の領域Cに向かって段階的に変化させることができる。
また、図6(b)に示すように、端部側(最端部)の領域Aのポロシティを中央部側の領域Bのポロシティよりも大きくしてもよい。
さらに、図6(c)に示すように、領域Aと領域Bのポロシティを中央部の領域Cに向かって連続的に変化させてもよい。
端部の2つの領域A,Bのうち、ポロシティの小さい方の領域は、正極と負極の対向部分よりも幅方向の端部側にあることが好ましい。この構成により、正極と負極の対向部分に十分な電解質が保持されるので、高温放置時の容量保持率が高くなり、耐久性が向上する。
【0026】
中央部の領域(C)のポロシティに対する幅方向端部の2つの領域(A,B)の小さい方のポロシティの差は、20〜30%であることが好ましい。中央部のポロシティに対する端部のポロシティの差が20%以下であると、ポロシティの差が少なく、電解質の保持能力の向上が見込まれず、30%以上であると、端部から中央部への毛細管現象による電解質の取り込みの機能が薄れる。好ましくは、23〜25%である。
【0027】
このように、セパレータの幅方向端部に中央部の領域Cよりもポロシティが小さい少なくとも2つの領域A,Bを有することで、ポロシティが一定のセパレータよりも、高温時の収縮率が小さくなり、正極と負極の対向部分の縁から外側への突出代を小さくすることができ、高エネルギー密度化を図ることができる。
【0028】
また、セパレータ6の幅方向端部のポロシティを中央部のポロシティより小さくすることで、負極4と正極5の間のセパレータ6に保持された電解質がセパレータ6の幅方向の外側へ移動して容器1と発電要素2の間の空間に流出するのが抑制される。この結果、発電要素2内部における電解質の保持能力が向上し、また発電要素2の外側でかつ容器1内に存在する電解質が大幅に減少する。そのため、高温放置時の容量保持率が高くなり、耐久性が向上する。
【0029】
さらに、一般に、電池を高温環境で使用すると、セパレータ内の電解質が分解してガスが発生し、ガス溜まりが生じる等して発電要素内の電解質が不足し、電池容量が減少することがあるが、本発明では、セパレータの両端部のポロシティが小さいために毛細管現象が生じやすくなっており、この毛細管現象によって容器1と発電要素2の両端部との間のデッドスペースにある電解質がセパレータ6の内部に供給される結果、容量保持率が高くなり、耐久性が向上する。
【0030】
セパレータ6のポロシティを変化させる手段としては、巻回前にセパレータ6に加温状態で物理的な力を加えること(以下、事前加温プレスという。)により、本来備わっているポロシティを小さくすることができる。
【0031】
図7は、この事前加温プレスの概略を示す。断面が三角や四角等の多角形状をしたローラ16a、16bを備えたプレス機にセパレータ6を通し、セパレータ6の端部の2つの領域A、Bをローラ16a、16bの各面で所定時間押さえる。なお、多角形の角部は面取りされていることが好ましい。これにより、図8に示すように、セパレータ6a,6bの幅方向端部の2つの領域A,Bのポロシティを中央部の領域Cのポロシティよりも小さくすることができる。このように予めプレスしたセパレータ6を、巻回機により正極及び負極とともに巻き取る。なお、巻回機にセパレータを供給する過程で、前述のような事前加温プレスの時間が十分に確保できれば、前述のようなローラ16a、16bを備えたプレス機を巻回機の一部に組み込んでもよい。また、事前加温プレスの時間や圧力、温度を適宜調整することにより、断面が円状のローラを用いることも可能である。
【実施例】
【0032】
本発明の効果を確認するため、幅方向端部の2つの領域A,Bと中央部の領域Cでポロシティを変更した本発明の実施例と比較例における高温収縮率と容量保持率を比較した。
【0033】
<正極の作製>
正極活物質であるLiCo1/3Ni1/3Mn1/3を86質量%と、導電助剤であるアセチレンブラック6質量%と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)8質量%と、溶媒であるN−メチルピロリドンとを含む正極合剤ペーストを調整した。この正極合剤ペーストを厚さ20μmのアルミニウム集電箔の両面に塗布して真空乾燥した後、ロールプレスで圧縮成型して、正極を得た。
【0034】
<正極の作製>
負極活物質として、層間距離d002=0.379nm、平均粒径d50=9μmのハードカーボンを用いた。この負極活物質であるハードカーボン95質量%と、PVdF5質量%と、溶媒であるN−メチルピロリドンとを含む負極合剤ペーストを調整した。この負極合剤ペーストを厚さ10μmの銅集電箔の両面に塗布して真空乾燥した後、ロールプレスで圧縮成型して、正極を得た。
【0035】
<電解液の作製>
エチレンカーボネート(EC)と、ジメチルカーボネート(DMC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比30:20:50で混合した混合溶液に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を0.8mol/lとなるように溶解し、1,3−プロペンスルトンを0.2質量%添加したものを用いた。
【0036】
<セパレータの作製>
セパレータとして、幅150mm、厚さ0.025mmのポリオレフィン製微多孔膜を用いた。
【0037】
<電池の作製>
負極と正極をセパレータを介して扁平状に巻回して発電要素を作製した。この発電要素を予め集電体を組付けておいた蓋と溶接し、アルミニウム製の電池容器に収納した。電池容器と蓋とをレーザ溶接した後、電解液を注液孔から注入し、注液孔を封止溶接して、所定の電池容量を有する非水電解質二次電池を作製した。
【0038】
<ポロシティの変更>
発電要素の作製時に、セパレータのポロシティを種々変更して、実施例及び比較例を作製した。
実施例1は、事前加温プレスにより、幅方向端部の2つの領域A,Bのポロシティを中央部の領域Cのポロシティより小さくし、かつ、端部側の領域Aのポロシティを中央部側の領域Bのポロシティより小さくした。領域Aは、幅4mmとし、60℃で5MPaの力を30秒間加え、領域Bは幅4mmとし、40℃で5MPaの力を30秒間加えた。
実施例2は、事前加温プレスにより、幅方向端部の2つの領域A,Bのポロシティを中央部の領域Cのポロシティより小さくし、かつ、端部側の領域Aのポロシティを中央部側の領域Bのポロシティより大きくした。領域Aは幅4mmとし、25℃で5MPaの力を30秒間加え、領域Bは幅4mmとし、38℃で5MPaの力を30秒間加えた。
比較例1として、ポロシティ変更を行わない発電要素を作製した。
比較例2は、事前加温プレスにより、幅方向端部の1つの領域Aのポロシティを中央部の領域Cのポロシティより小さくし、領域Bは中央部の領域Cのポロシティと同じにした。領域Aは幅4mmとし、65℃で5MPaの力を30秒間加え、領域B、Cは事前加温プレスを行わなかった。
【0039】
<ポロシティの測定>
実施例1、2と比較例1,2のポロシティは、事前加温プレス後、各領域を所定の寸法に裁断して、測定用試料を作製し、ASTM−D−1622に準拠した方法で測定した。なお、ポロシティは、セパレータの肉厚、幅、長さ及び比重から求めた重量に対する実際の重量の百分率で求めることもできる。
【0040】
<高温時収縮率の測定>
セパレータを所定のサイズ(例えば、100mm×100mm)に切り取り、テンションのかからない状態で支持(洗濯バサミのようなもので吊るすか、平坦な台の上にセパレータの一部をテープなどで固定する)して120℃のオーブンに一定時間曝す。オーブンから取り出した後のセパレータの幅方向のサイズを測定し、オーブンに入れる前の値と比較して、縮んだ割合を高温時収縮率とする。
【0041】
<容量保持率の測定>
前述のように作製した発電要素を、80%充電状態(SOC)にて60℃の高温で120日間保存した後の電池容量保持率を以下の方法より測定した。
具体的には、各実施例1、2及び比較例1,2の電池を1CAの定電流にて4.2Vまで充電し、その後4.2Vにて総充電時間が3時間となるように定電圧充電した後、1CAの定電流にて2.4Vまで放電した。このときの放電容量を高温保存前の放電容量とした。なお、1CAとは、満充電時の電池を1時間で放電するときの電流値である。
次に、各実施例1、2及び比較例1,2の電池を1CAの定電流にてSOC80%に相当する電圧まで充電し、その後、その電圧にて総充電時間が3時間となるように定電圧充電した後、60℃の恒温槽中で保存する試験を120日間行った。
その後、室温にて1CAの定電流にて4.2Vまで充電し、その後、4.2Vにて総充電量が3時間となるように定電圧充電した後、1CAの定電流にて2.4Vまで放電した。このときの放電容量を保存後の放電容量とした、保存後の放電容量を保存前の放電容量で除することにより、保存後の容量保持率を算出した。
【0042】
これらの実施例1、2と比較例1,2のポロシティと、高温時収縮率、容量保持率の測定結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1から明らかなように、中央部の流域(C)のポロシティに対する端部(A,B)の小さい方のポロシティの差は、23〜25%であった。
幅方向端部に中央部の領域Cよりもポロシティが小さい2つの領域A,Bを有する実施例1、2の容量保持率は、全て90%以上であり、幅方向端部に中央部の領域Cよりもポロシティが小さい1つの領域Aを有する比較例2の保持率89%と大差はないが、ポロシティが一定の比較例1の保持率83%よりも大きくなっていることが確認された。
【0045】
なお、本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、前記実施例は巻回扁平型であるが、巻回円筒型、積層扁平型の非水電解質二次電池にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、リチウムイオン電池のほか、鉛蓄電池等、種々の電池に採用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 電池容器
2 発電要素
3 蓋
4 負極
5 正極
6 セパレータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7