特許第5673308号(P5673308)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5673308タイヤ状態取得装置およびタイヤ状態監視システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5673308
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】タイヤ状態取得装置およびタイヤ状態監視システム
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/04 20060101AFI20150129BHJP
   B60C 23/02 20060101ALI20150129BHJP
   G01L 17/00 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
   B60C23/04 G
   B60C23/02 B
   B60C23/04 N
   G01L17/00 301L
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-82879(P2011-82879)
(22)【出願日】2011年4月4日
(65)【公開番号】特開2012-218465(P2012-218465A)
(43)【公開日】2012年11月12日
【審査請求日】2014年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】三好 雅章
【審査官】 梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−005986(JP,A)
【文献】 特許第4623228(JP,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0139178(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/02−23/04
G01L 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの状態に関する情報を検出して送信するタイヤ状態取得装置において、
タイヤの空間内に配置されていて、前記タイヤのホイールに装備されているバルブに取り付けられるケースと、
前記ケース内に配置されていて、タイヤの状態に関する情報を検出するセンサと、
前記ケースの内に配置されていて、前記センサが検出したタイヤ情報を送信する送信機と、
を備え、
前記ケースには、前記バルブに取り付けるための取付部と、前記バルブから吐出された空気やパンク修理剤などの流体を前記タイヤの空間内に注入する注入口と、前記注入口と前記バルブとの間の注入路と、前記タイヤの空間内と前記ケースの空間内とを連通する連通孔と、がそれぞれ設けられていて、
前記注入口の前記流体を前記タイヤの空間内に注入する方向の軸は、タイヤの周方向に向けて、前記バルブの前記流体を吐出する方向の軸に対して傾斜していて、
前記連通孔は、前記バルブの流体吐出方向の軸を基準として、前記注入口の流体注入方向と反対側に位置する、
ことを特徴とするタイヤ状態取得装置。
【請求項2】
前記注入口の流体注入方向の軸と前記バルブの流体吐出方向の軸との傾斜角度は、30°〜100°である、
ことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ状態取得装置。
【請求項3】
前記注入路は、管路形状をなす、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ状態取得装置。
【請求項4】
前記ケースの外面の前記連通孔の周縁のうち、少なくとも、前記注入口の流体注入方向側の箇所には、壁が突設されている、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ状態取得装置。
【請求項5】
前記壁の高さは、3mm以上10mm以下である、
ことを特徴とする請求項4に記載のタイヤ状態取得装置。
【請求項6】
前記ケースの外面の前記連通孔の周縁のうち、少なくとも、前記注入口の流体注入方向側の箇所には、多数本の細突起が突設されている、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のタイヤ状態取得装置。
【請求項7】
前記細突起壁の太さは、1mm以下である、
ことを特徴とする請求項6に記載のタイヤ状態取得装置。
【請求項8】
タイヤの状態を監視するタイヤ状態監視システムにおいて、
各タイヤにそれぞれ装備されている前記請求項1〜7のいずれか1項に記載のタイヤ状態取得装置と、
車両に装備されていて、前記タイヤ状態取得装置から送信されたタイヤの状態に関する情報を受信して、車両に装備されている各タイヤの状態を監視する監視装置と、
を備える、
ことを特徴とするタイヤ状態監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に装備されている各タイヤの状態に関する情報を検出して送信するタイヤ状態取得装置に関するものである。また、この発明は、車両に装備されている各タイヤの状態を監視するタイヤ状態監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤ状態取得装置およびタイヤ状態監視システムは、従来からある(たとえば、特許文献1参照)。タイヤ状態取得装置は、センサによりタイヤの状態に関する情報を検出し、送信機によりセンサが検出したタイヤ情報を送信するものである。タイヤ状態監視システムは、監視装置により、タイヤ状態取得装置から送信されたタイヤの状態に関する情報を受信してタイヤの状態を監視するものである。
【0003】
近年、従来のスペアタイヤに代わって、パンク修理剤を含むパンク修理キットが車両に搭載される傾向にある。タイヤがパンクした場合には、液体式のパンク修理剤をタイヤ内に注入することにより、タイヤのパンクを応急に修理することができる。ここで、液体式のパンク修理剤をタイヤ内に注入すると、パンク修理剤がタイヤの内面に当たって飛散する。このために、タイヤ状態取得装置およびタイヤ状態監視システムにおいては、タイヤ状態取得装置のセンサを液体式のパンク修理剤や水分などの異物から保護する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−62730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、タイヤ状態取得装置およびタイヤ状態監視システムにおいて、タイヤ状態取得装置のセンサを液体式のパンク修理剤や水分などの異物から確実に保護することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(請求項1にかかる発明)は、タイヤの空間内に配置されていてタイヤに装備されているバルブに取り付けられるケースと、ケース内に配置されていてタイヤの状態に関する情報を検出するセンサと、ケースの内に配置されていてセンサが検出したタイヤ情報を送信する送信機と、を備え、ケースには、バルブに取り付けるための取付部と、バルブから吐出された空気やパンク修理剤などの流体をタイヤの空間内に注入する注入口と、注入口とバルブとの間の注入路と、タイヤの空間内とケースの空間内とを連通する連通孔と、がそれぞれ設けられていて、注入口の流体をタイヤの空間内に注入する方向の軸がバルブの流体を吐出する方向の軸に対して傾斜していて、連通孔がバルブの流体吐出方向の軸を基準として注入口の流体注入方向と反対側に位置する、ことを特徴とする。
【0007】
この発明(請求項2にかかる発明)は、注入口の流体注入方向の軸とバルブの流体吐出方向の軸との傾斜角度が30°〜100°である、ことを特徴とする。
【0008】
この発明(請求項3にかかる発明)は、注入路が管路形状をなす、ことを特徴とする。
【0009】
この発明(請求項4にかかる発明)は、ケースの外面の連通孔の周縁のうち少なくとも注入口の流体注入方向側の箇所には壁が突設されている、ことを特徴とする。
【0010】
この発明(請求項5にかかる発明)は、壁の高さが3mm以上10mm以下である、ことを特徴とする。
【0011】
この発明(請求項6にかかる発明)は、ケースの外面の連通孔の周縁のうち少なくとも注入口の流体注入方向側の箇所には多数本の細突起が突設されている、ことを特徴とする。
【0012】
この発明(請求項7にかかる発明)は、細突起壁の太さが1mm以下である、ことを特徴とする。
【0013】
この発明(請求項8にかかる発明)は、各タイヤにそれぞれ装備されている前記請求項1〜7のいずれか1項に記載のタイヤ状態取得装置と、車両に装備されていてタイヤ状態取得装置から送信されたタイヤの状態に関する情報を受信して車両に装備されている各タイヤの状態を監視する監視装置と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
この発明(請求項1にかかる発明)のタイヤ状態取得装置は、注入口の流体注入方向の軸がバルブの流体吐出方向の軸に対して傾斜していて、連通孔がバルブの流体吐出方向の軸を基準として注入口の流体注入方向と反対側に位置するものであるから、バルブから吐出された流体を、注入路を経て注入口からバルブの流体吐出方向の軸に対して傾斜させて連通孔と反対側の方向に、タイヤの空間内に注入させることができる。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)のタイヤ状態取得装置は、タイヤの空間内に注入された流体がタイヤの内面に当たって連通孔と反対側の方向に飛散する。これにより、この発明(請求項1にかかる発明)のタイヤ状態取得装置は、液体式のパンク修理剤や水分などの異物が連通孔に注がれるのを防止することができるので、異物が連通孔を通してケース内に浸入することを防止することができ、これにより、センサを異物から確実に保護することができる。
【0015】
しかも、この発明(請求項1にかかる発明)のタイヤ状態取得装置は、センサを異物から確実に保護することができるので、センサがタイヤの状態に関する情報を正確に検出することができる。
【0016】
この発明(請求項2にかかる発明)のタイヤ状態取得装置は、注入口の流体注入方向の軸とバルブの流体吐出方向の軸との傾斜角度を30°〜100°とすることにより、センサを異物から確実に保護することができ、かつ、タイヤの空間内に液体式のパンク修理剤や空気などの流体をスムーズに(円滑に)注入することができる。
【0017】
この発明(請求項3にかかる発明)のタイヤ状態取得装置は、注入口とバルブとの間の注入路を管路形状(たとえば、トンネル形状)とすることにより、流体を連通孔と反対側の方向に確実に注入することができるので、センサを異物からさらに確実に保護することができる。
【0018】
この発明(請求項4にかかる発明)のタイヤ状態取得装置は、壁により、注入口からタイヤの空間内にほぼ上方向に注入されてタイヤの内面に当たってほぼ下方向に飛散した流体が連通孔に注がれるのを防ぐことができるので、センサを異物からさらに確実に保護することができる。
【0019】
この発明(請求項5にかかる発明)のタイヤ状態取得装置は、壁の高さが3mm以上10mm以下であるから、注入口からタイヤの空間内にほぼ上方向に注入されてタイヤの内面に当たってほぼ下方向に飛散した流体が連通孔に注がれるのをさらに確実に防ぐことができるので、センサを異物からさらに確実に保護することができる。
【0020】
この発明(請求項6にかかる発明)のタイヤ状態取得装置は、多数本の細突起により、注入口からタイヤの空間内にほぼ上方向に注入されてタイヤの内面に当たってほぼ下方向に飛散した流体が連通孔に注がれるのを防ぐことができるので、センサを異物からさらに確実に保護することができる。
【0021】
この発明(請求項7にかかる発明)のタイヤ状態取得装置は、細突起壁の太さが1mm以下であるから、注入口からタイヤの空間内にほぼ上方向に注入されてタイヤの内面に当たってほぼ下方向に飛散した流体が連通孔に注がれるのをさらに確実に防ぐことができるので、センサを異物からさらに確実に保護することができる。
【0022】
この発明(請求項8にかかる発明)のタイヤ状態監視システムは、前記の請求項1〜7のいずれか1項に記載のタイヤ状態取得装置を使用するので、前記の請求項1〜7のいずれか1項に記載のタイヤ状態取得装置と同様の効果、すなわち、センサを液体式のパンク修理剤や水分などの異物から確実に保護することができ、かつ、タイヤの状態に関する情報を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、この発明にかかるタイヤ状態監視システムの実施形態1を示す概略構成の模式的な説明図である。
図2図2は、同じく、タイヤ状態監視システムの監視装置の電気回路を示すブロック図である。
図3図3は、同じく、タイヤ状態監視システムのタイヤ状態取得装置の電気回路を示すブロック図である。
図4図4は、この発明にかかるタイヤ状態取得装置の実施形態1を示す使用状態の説明図である。
図5図5は、同じく、タイヤ状態取得装置およびバルブを示す斜視図である。
図6図6は、同じく、図5におけるVI−VI線断面図である。
図7図7は、同じく、図4におけるVII−VII線断面図である。
図8図8は、同じく、タイヤ状態取得装置およびバルブを示す平面図である。
図9図9は、同じく、流体が飛散する方向を示す説明図である。
図10図10は、この発明にかかるタイヤ状態取得装置の実施形態2を示すタイヤ状態取得装置およびバルブの平面図である。
図11図11は、この発明にかかるタイヤ状態取得装置の実施形態3を示すタイヤ状態取得装置およびバルブの平面図である。
図12図12は、この発明にかかるタイヤ状態取得装置の実施形態4を示すタイヤ状態取得装置およびバルブの平面図である。
図13図13は、同じく、流体が飛散する方向を示す説明図である。
図14図14は、この発明にかかるタイヤ状態取得装置の実施形態5を示すタイヤ状態取得装置およびバルブの平面図である。
図15図15は、同じく、流体が飛散する方向を示す説明図である。
図16図16は、従来例と比較例と実施例との効果の差異を示す説明図である。
図17図17は、従来例のタイヤ状態取得装置が装備されているタイヤの断面図(図7、すなわち、図4におけるVII−VII線断面図に対応する断面図)である。
図18図18は、従来例のタイヤ状態取得装置およびバルブを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明にかかるタイヤ状態取得装置の実施形態のうちの5例およびこの発明にかかるタイヤ状態監視システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0025】
「実施形態1」
図1図3は、この発明にかかるタイヤ状態監視システムの実施形態1を示す。図4図9は、この発明にかかるタイヤ状態取得装置の実施形態1を示す。以下、実施形態1におけるタイヤ状態監視システムおよび実施形態1におけるタイヤ状態取得装置についてそれぞれ説明する。
【0026】
「タイヤ状態監視システム3の説明」
図1において、符号1は、車両であって、この例では、4輪の普通乗用車である。前記車両1の前後左右には、それぞれ、タイヤ2が装備されている。前記車両1には、実施形態1におけるタイヤ状態監視システム3が装備されている。
【0027】
前記タイヤ状態監視システム3は、図1に示すように、前記各タイヤ2(前記車両1の前後左右にそれぞれ装備されている各タイヤ2)にそれぞれ装備されているタイヤ状態取得装置4と、前記車両1に装備されていて、前記タイヤ状態取得装置4から送信されたタイヤの状態に関する情報を受信して、前記各タイヤ2の状態を監視する監視装置5と、を備える。
【0028】
「タイヤ状態取得装置4の説明」
前記タイヤ状態取得装置4は、回路ユニット6(図6参照)を備えている。前記タイヤ状態取得装置4の前記回路ユニット6は、図2に示すように、基板7(図6参照)と、前記基板7に設けられているセンサとしてのセンサユニット8および送信機9および処理ユニット10および電源部11およびアンテナ12と、を備える。
【0029】
前記センサユニット8は、空気圧センサ13と、A/D変換器14と、を備える。前記空気圧センサ13は、ケース15(図6参照)の内部の空間16(図6参照)の空気圧を検出して、圧力信号(空気圧信号、検出信号)を出力する。前記A/D変換器14は、前記空気圧センサ13から出力された圧力信号をデジタル変換して圧力データ(空気圧データ、検出データ)を出力する。
【0030】
前記処理ユニット10は、中央処理部17と、記憶部18と、を備える。前記中央処理部17は、前記記憶部18の半導体メモリに格納されているプログラムに基づいて動作する。前記中央処理部17は、電力が供給されて駆動すると、前記センサユニット8から送られてくる圧力データを所定時間間隔、たとえば5分毎に、前記送信機9を介して前記監視装置5に空気圧の情報である圧力データを送信するように制御する。前記記憶部18には、前記タイヤ状態取得装置4の固有の識別情報が予め記憶されている。前記中央処理部17は、圧力データと共に前記タイヤ状態取得装置4の固有の識別情報を前記監視装置5に送信するように制御されている。
【0031】
前記記憶部18は、前記中央処理部17を動作するプログラムが記録されているROMと、たとえばEEPROM等の書き換え可能な不揮発性のメモリと、を備える。前記タイヤ状態取得装置4の固有の識別情報は、前記記憶部18の書き換え不可領域に記憶されている。
【0032】
前記送信機9は、発振回路19と、変調回路20と、増幅回路21と、を備える。前記発振回路19は、搬送波信号、たとえば315MHz帯の周波数のRF信号を生成する。前記変調回路20は、前記中央処理部17から送られた圧力データと前記タイヤ状態取得装置4の固有の識別情報とを用いて、搬送波信号を変調して送信信号を生成する。変調方式は、振幅偏移変調(ASK)、周波数変調(FM)、周波数偏移変調(FSK)、位相変調(PM)、位相偏移変調(PSK)等の方式を用いることができる。前記増幅回路21は、前記変調回路20で生成された送信信号を増幅し、前記アンテナ12を介して、送信信号を前記監視装置5に無線で送信する。
【0033】
前記電源部11は、たとえば二次バッテリが用いられ、略半永久的に前記センサユニット8および前記送信機9および前記処理ユニット10に電力を供給する。
【0034】
「監視装置5の説明」
前記監視装置5は、たとえば、車両1の運転席の位置に配置されていて、ドライバーに前記各タイヤ2の空気圧の情報を報知する。前記監視装置5は、図3に示すように、アンテナ22と、受信部23と、受信バッファ24と、中央処理部25と、記憶部26と、操作部27と、スイッチ28と、表示制御部29と、表示部30と、電源部31と、を備える。
【0035】
前記アンテナ22は、前記タイヤ状態取得装置4の前記送信機9の送信周波数と同じ周波数に整合され、前記受信部23に接続されている。前記受信部23は、前記タイヤ状態取得装置4の前記送信機9から送信された所定の周波数の送信信号を受信し、復調処理をして圧力データと識別情報のデータを取り出す。このデータは、前記受信バッファ24に出力される。前記受信バッファ24は、前記受信部23から出力された圧力データと識別情報のデータを一時的に格納する。格納された圧力データと識別情報のデータは、前記中央処理部25からの指示に従って、前記中央処理部25に出力される。
【0036】
前記中央処理部25は、主にCPUで構成され、前記記憶部26に記憶されているプログラムに基づいて動作する。前記中央処理部25は、受信した圧力データと識別情報のデータに基づいて、識別情報毎に前記各タイヤ2の空気圧を監視する。具体的には、圧力データに基づいて、前記各タイヤ2の異常の有無を判定し、判定結果を報知する。前記各タイヤ2の異常の有無を判定するとは、たとえば、空気圧が異常に低くなり、あるいは短時間に急激に低下して、前記各タイヤ2がパンクしているか否かを判定することをいう。
【0037】
前記中央処理部25は、判定結果を前記表示制御部29に出力し、前記表示制御部29を介して判定結果を前記表示部30に出力させる。前記中央処理部25は、前記操作部27からの情報や前記スイッチ28からの情報に応じて、前記タイヤ状態取得装置4の前記送信機9との間で通信方式等の初期設定を行う。前記操作部27からの情報により、前記中央処理部25において前記各タイヤ2の異常の有無の判定を行うための判定条件を設定することもできる。
【0038】
前記記憶部26は、前記中央処理部25のCPUを動作するプログラムが記憶されたROMと、EEPROM等の不揮発性メモリとを有する。前記記憶部26には、製造段階で、前記タイヤ状態取得装置4の前記送信機9との間の通信方式のテーブルが記憶されている。前記タイヤ状態取得装置4と前記監視装置5とは、初期段階において、上記通信方式で通信する。通信方式テーブルには、前記タイヤ状態取得装置4のそれぞれの固有の識別情報に対応して、通信プロトコル、転送ビットレート、データフォーマット等の情報が含まれている。これらの情報は、前記操作部27からの入力により自在に設定変更をすることができる。
【0039】
前記操作部27は、キーボード等の入力デバイスを含み、各種情報や条件を入力するために用いられる。前記スイッチ28は、初期設定の開始を前記中央処理部25に指示するために用いられる。前記表示制御部29は、前記中央処理部25からの判定結果に応じて、前記タイヤ2の前記車両1への装着位置(前記車両1の前後左右)に対応させて前記各タイヤ2の空気圧を前記表示部30に表示させるように制御する。その際、前記表示制御部29は、前記タイヤ2がパンク状態にあるといった判定結果も、前記表示部30に同時に表示させるように制御する。前記電源部31は、前記車両1に搭載されているバッテリ(図示せず)から供給された電力を、前記監視装置5の各部分に適した電圧に制御して電力を供給する。
【0040】
「タイヤ状態取得装置4の構成の説明」
前記タイヤ2は、図4図7に示すように、タイヤ本体32と、リム33を有するホイール34と、から構成されている。前記タイヤ2の内部には、前記タイヤ本体32と前記ホイール34の前記リム33とにより区画されている空間35が形成されている。前記ホイール34の前記リム33の取付孔には、バルブ(タイヤバルブ、バルブステム、TPMSバルブ)36がグロメットなどを介して気密に取り付けられている。前記バルブ36は、前記タイヤ2の前記空間35内と、前記タイヤ2の外部空間との間を貫通している。前記バルブ36は、前記タイヤ2の空気圧調整用のバルブである。前記タイヤ2の前記空間35内の空気圧を調整する場合には、空気が前記バルブ36を通って前記タイヤ2の前記空間35内に注入される。
【0041】
前記タイヤ状態取得装置4は、図4図8に示すように、前記バルブ36の一端に取り付けられている。前記タイヤ状態取得装置4は、前記タイヤ2の前記空間35内に配置されている。前記タイヤ状態取得装置4は、図6に示すように、前記ケース15と、前記回路ユニット6と、を備える。前記回路ユニット6は、前記の図2図6に示すように、前記基板7と、前記基板7の一面(上面)に設けられている前記センサユニット8および前記送信機9および前記処理ユニット10および前記電源部11および前記アンテナ12と、を備える。前記回路ユニット6の各部品の構成作用は、前記の通りである。
【0042】
前記ケース15は、中空形状の薄い直方体形状をなす。前記ケース15は、天板部(上板部)37と、底板部(下板部)38と、前後両端板部39、39と、左右両側板部40、40と、から構成されている。前記ケース15の内部には、前記空間16が区画されている。前記空間16内には、前記回路ユニット6が配置されている。前記回路ユニット6の前記基板7の他面(下面)は、前記ケース15の前記底板部38の内面(前記空間16側の面)に固定されている。
【0043】
前記ケース15には、連通孔41と、取付部42と、注入口43と、注入路44と、がそれぞれ設けられている。
【0044】
前記連通孔41は、この例では断面小円形の小円柱形状の孔である。前記連通孔41は、前記ケース15の前記天板部37の前側(もしくは後側)でかつ右側(もしくは左側)の角部に設けられている。前記連通孔41は、前記タイヤ2の前記空間35内と前記ケース15の前記空間16内とを連通する。
【0045】
前記取付部42は、前記ケース15の前記天板部37の右側(もしくは左側)の中央部に一体に設けられている。前記取付部42には、前記バルブ36の一端が前記ケース15の端手方向に取り付けられている。すなわち、前記タイヤ状態取得装置4(前記ケース15)は、前記取付部42を介して前記バルブ36に取り付けられている。
【0046】
前記注入口43は、前記ケース15の前記天板部37の後側(もしくは前側)でかつ左側(もしくは右側)の角部に設けられている。前記注入口43は、前記バルブ36の吐出口から図8中の矢印B方向に吐出された空気やパンク修理剤などの流体45を図8中の矢印A方向に前記タイヤ2の空間35内に注入する。
【0047】
前記注入路44は、前記ケース15の前記天板部37の後側でかつ左側の角部の前記注入口43と、前記ケース15の前記天板部37の右側の中央部の前記取付部42に取り付けられている前記バルブ36と、の間に設けられている。前記注入路44は、上から見て、ほぼ4分の1円弧形状に湾曲している。前記注入路44は、管路形状(たとえば、トンネル形状)をなす。
【0048】
図8に示すように、前記注入口43の前記流体45を前記タイヤ2の空間35内に注入する方向Aの軸(たとえば、図8中の一点鎖線で示すように、前記注入口43の中心を通る中心軸)は、タイヤの周方向に向けて、前記バルブ36の前記流体45を吐出する方向Bの軸(たとえば、図8中の一点鎖線で示すように、前記注入口43の中心を通る中心軸)に対して角度θ傾斜している。前記連通孔41は、前記バルブ36の流体吐出方向Bの軸を基準として、前記注入口43の流体注入方向Aと反対側に位置する。
【0049】
前記傾斜角度θは、30°〜100°、好ましくは、40°〜90°すなわち、前記傾斜角度θが30°以下の場合には、前記注入口43から注入された前記流体45が前記連通孔41に注がれる可能性がある。前記傾斜角度θが100°以上の場合には、前記バルブ36の突出口から図8中の矢印B方向に吐出された空気やパンク修理剤などの流体45を前記注入口43から図8中の矢印A方向に前記タイヤ2の空間35内にスムーズに注入することが難しくなる。
【0050】
前記タイヤ2は、車両1が前進するときには、この例では、図8図9中の矢印C方向に回転する。
【0051】
「タイヤ状態取得装置4の作用の説明」
この実施形態1におけるタイヤ状態取得装置4は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0052】
タイヤ状態取得装置4のケース15の空間16内は、ケース15の連通孔41を通して、タイヤ2の空間35と連通する。このために、タイヤ状態取得装置4の空気圧センサ13は、ケース15の空間16内の空気圧を、タイヤ2の空間35内の空気圧として、検出する。タイヤ状態取得装置4は、検出した圧力データを識別情報のデータと共に監視装置5に送信する。監視装置5は、各タイヤ2の異常の有無の判定を行い、異常がある場合には、その異常を表示部30で表示して、ドライバーに異常を知らせる。
【0053】
ドライバーなどは、監視装置5の表示部30の異常を知らせる表示により、タイヤ2に異常(たとえば、パンク)が発生したことを知ることができる。これにより、ドライバーなどは、パンク修理キットの修理剤(流体であって、液体式のパンク修理剤)45をバルブ36を通してタイヤ2の空間35内に注入して、タイヤ2のパンクを応急に修理することができる。
【0054】
ここで、図8に示すように、液体式のパンク修理剤45は、バルブ36の吐出口から矢印B方向に吐出され、注入路44を通って、タイヤ状態取得装置4のケース15の注入口43からタイヤ状態取得装置4のケース15の連通孔41と反対方向の矢印A方向にタイヤ2の空間35内にタイヤの周方向に向けて注入される。
【0055】
「タイヤ状態監視システム3の効果およびタイヤ状態取得装置4の効果の説明」
この実施形態1におけるタイヤ状態監視システム3およびこの実施形態1におけるタイヤ状態取得装置4は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0056】
この実施形態1におけるタイヤ状態監視システム3およびこの実施形態1におけるタイヤ状態取得装置4は、注入口43の流体45の注入方向Aの軸がバルブ36の流体45の吐出方向Bの軸に対して傾斜していて、連通孔41がバルブ36の流体45の吐出方向Bの軸を基準として注入口43の流体45の注入方向Aと反対側に位置するものであるから、バルブ36から図8中の矢印B方向に吐出された流体45を、注入路44を経て注入口43からバルブ36の流体45の吐出方向Bに対して傾斜させて連通孔41と反対側の方向すなわち図8中の矢印A方向に、タイヤ2の空間35内に注入させることができる。この実施形態1におけるタイヤ状態監視システム3およびこの実施形態1におけるタイヤ状態取得装置4は、タイヤ2の空間35内にタイヤ周方向に向けて注入された流体45がタイヤ2のタイヤ本体32の内面に当たって連通孔41と反対側の方向(図9中の実線矢印方向)に飛散する。これにより、この実施形態1におけるタイヤ状態監視システム3およびこの実施形態1におけるタイヤ状態取得装置4は、液体式のパンク修理剤45や水分などの異物が連通孔41に注がれるのを防止することができるので、異物が連通孔41を通してケース15内に浸入することを防止することができ、これにより、センサユニット8を異物から確実に保護することができる。
【0057】
特に、この実施形態1におけるタイヤ状態監視システム3およびこの実施形態1におけるタイヤ状態取得装置4は、図9中の実線矢印方向に示すように、流体45をタイヤ周方向に向けて注入するので、たとえば、図9中の破線矢印方向に示すように、流体45をタイヤ径方向に向けて注入する場合と比較して、液体式のパンク修理剤45や水分などの異物が連通孔41に注がれるのを確実に防止することができる。
【0058】
しかも、この実施形態1におけるタイヤ状態監視システム3およびこの実施形態1におけるタイヤ状態取得装置4は、センサユニット8を異物から確実に保護することができるので、センサユニット8がタイヤ2の状態に関する情報を正確に検出することができる。
【0059】
この実施形態1におけるタイヤ状態監視システム3およびこの実施形態1におけるタイヤ状態取得装置4は、注入口43の流体45の注入方向Aの軸とバルブ36の流体45の吐出方向Bの軸との傾斜角度を30°〜100°とすることにより、センサユニット8を異物から確実に保護することができ、かつ、タイヤ2の空間35内に液体式のパンク修理剤45や空気などの流体をスムーズに(円滑に)注入することができる。
【0060】
この実施形態1におけるタイヤ状態監視システム3およびこの実施形態1におけるタイヤ状態取得装置4は、注入口43とバルブ36との間の注入路44を管路形状(たとえば、トンネル形状)とすることにより、流体45を連通孔41と反対側の方向(図8中の矢印A方向)に確実に注入することができるので、センサユニット8を異物からさらに確実に保護することができる。
【0061】
特に、この実施形態1におけるタイヤ状態監視システム3およびこの実施形態1におけるタイヤ状態取得装置4は、注入路44が注入口43とバルブ36との間に上から見て、ほぼ4分の1円弧形状に湾曲しているので、液体式のパンク修理剤45や空気などの流体を注入路44を経て注入口43からタイヤ2の空間35内にスムーズに(円滑に)注入することができる。
【0062】
「実施形態2」
図10は、この発明にかかるタイヤ状態取得装置の実施形態2を示す。以下、この実施形態2におけるタイヤ状態取得装置について説明する。図中、図1図9と同符号は、同一のものを示す。
【0063】
この実施形態2におけるタイヤ状態取得装置4のケース15の注入路46の形状が前記の実施形態1におけるタイヤ状態取得装置4のケース15の注入路44の形状と異なる。すなわち、注入路46は、図10に示すように、ケース15の天板部37の左側の中央部と、ケース15の天板部37の右側の中央部の取付部42に取り付けられているバルブ36と、の間に設けられている。注入路46は、上から見て、ケース15の端手方向に直線形状をなしている。注入路46は、管路形状(たとえば、トンネル形状)をなす。注入路46の左側端部の後側には、注入口43が設けられている。
【0064】
この実施形態2におけるタイヤ状態取得装置4は、以上のごとき構成からなるので、前記の実施形態1におけるタイヤ状態取得装置4とほぼ同等の作用効果を達成することができる。
【0065】
特に、この実施形態2におけるタイヤ状態取得装置4は、注入路46が上から見てケース15の端手方向に直線形状をなしているので、ケース15の構造が簡単であり、製造コストを安価にできる。
【0066】
「実施形態3」
図11は、この発明にかかるタイヤ状態取得装置の実施形態3を示す。以下、この実施形態3におけるタイヤ状態取得装置について説明する。図中、図1図10と同符号は、同一のものを示す。
【0067】
この実施形態3におけるタイヤ状態取得装置4のケース15の注入路47の構造が前記の実施形態1、2におけるタイヤ状態取得装置4のケース15の注入路44、46の構造と異なる。すなわち、注入路47は、図11に示すように、溝構造、たとえば、U字溝、凹溝などの溝構造をなす。
【0068】
この実施形態3におけるタイヤ状態取得装置4は、以上のごとき構成からなるので、前記の実施形態1、2におけるタイヤ状態取得装置4とほぼ同等の作用効果を達成することができる。
【0069】
特に、この実施形態3におけるタイヤ状態取得装置4は、注入路47が溝構造をなすので、ケース15の構造が簡単であり、製造コストを安価にできる。
【0070】
「実施形態4」
図12図13は、この発明にかかるタイヤ状態取得装置の実施形態4を示す。以下、この実施形態4におけるタイヤ状態取得装置について説明する。図中、図1図11と同符号は、同一のものを示す。
【0071】
この実施形態4におけるタイヤ状態取得装置4は、図12図13に示すように、ケース15の天板部37の外面の連通孔41の周縁のうち、少なくとも、注入口43の流体45の注入方向A側の箇所には、半円の壁48が突設されている。壁48は、連通孔41の注入口43の流体45の注入方向A側の周囲を囲う。ここで、タイヤ2の停止位置により、タイヤ状態取得装置4は、図9に示す位置、あるいは、図13に示す位置、あるいは、図示しない位置に位置する。
【0072】
この実施形態4におけるタイヤ状態取得装置4は、以上のごとき構成からなるので、前記の実施形態1〜3におけるタイヤ状態取得装置4とほぼ同等の作用効果を達成することができる。
【0073】
特に、この実施形態4におけるタイヤ状態取得装置4は、壁48で連通孔41の注入口43の流体45の注入方向A側の周囲を囲うので、タイヤ状態取得装置4が図13に示す位置に位置している場合において、注入口43からタイヤ2の空間35内にほぼ上方向に注入されてタイヤ2のタイヤ本体32の内面に当たってほぼ下方向に飛散した流体(液体式のパンク修理剤)45が連通孔41に注がれるのを防ぐことができる。これにより、この実施形態4におけるタイヤ状態取得装置4は、センサユニット8を異物からさらに確実に保護することができる。
【0074】
この実施形態4におけるタイヤ状態取得装置4の壁48は、高さを3mm以上10mm以下とする。高さが3mm以下であると、タイヤ状態取得装置4が図13に示す位置に位置している場合において、流体45が上から下に飛散した際に、流体45が連通孔41に注がれるのを防ぐことが難しい。また、高さが10mm以上であると、車両1の走行中に、タイヤ2の空間35内の流体45が飛散して壁48に付着し易くなる。この結果、壁48の高さを3mm以上10mm以下とする。
【0075】
なお、壁48は、連通孔41の注入口43の流体45の注入方向A側の周囲を囲う半円形であるが、図12中の二点鎖線に示すように、連通孔41の周囲全体を囲う円環状の壁であっても良い。
【0076】
「実施形態5」
図14図15は、この発明にかかるタイヤ状態取得装置の実施形態5を示す。以下、この実施形態5におけるタイヤ状態取得装置について説明する。図中、図1図13と同符号は、同一のものを示す。
【0077】
この実施形態5におけるタイヤ状態取得装置4は、図14図15に示すように、ケース15の天板部37の外面の連通孔41の周縁のうち、少なくとも、注入口43の流体45の注入方向A側の箇所には、多数本の細突起49がブラシ状に半円形状に突設されている。多数本の細突起49は、連通孔41の注入口43の流体45の注入方向A側の周囲を囲う。ここで、タイヤ2の停止位置により、タイヤ状態取得装置4は、図9に示す位置、あるいは、図15に示す位置、あるいは、図示しない位置に位置する。
【0078】
この実施形態5におけるタイヤ状態取得装置4は、以上のごとき構成からなるので、前記の実施形態1〜4におけるタイヤ状態取得装置4とほぼ同等の作用効果を達成することができる。
【0079】
特に、この実施形態5におけるタイヤ状態取得装置4は、多数本の細突起49で連通孔41の注入口43の流体45の注入方向A側の周囲を囲うので、タイヤ状態取得装置4が図15に示す位置に位置している場合において、注入口43からタイヤ2の空間35内にほぼ上方向に注入されてタイヤ2のタイヤ本体32の内面に当たってほぼ下方向に飛散した流体(液体式のパンク修理剤)45が連通孔41に注がれるのを防ぐことができる。これにより、この実施形態5におけるタイヤ状態取得装置4は、センサユニット8を異物からさらに確実に保護することができる。
【0080】
この実施形態5におけるタイヤ状態取得装置4の多数本の細突起49は、太さを1mm以下とする。この結果、ブラシ状の多数本の細突起49は、フレキシブル性(可撓性)を有するので、多数本の細突起49の動きにより、多数本の細突起49に付着した流体(液体式のパンク修理剤)45の硬化を促進することができる。この結果、多数本の細突起49に付着した流体(液体式のパンク修理剤)45が硬化して連通孔41を通ってケース15内に進入するのを確実に防止することができ、センサユニット8を異物からさらに確実に保護することができる。
【0081】
なお、ブラシ状の多数本の細突起49は、連通孔41の注入口43の流体45の注入方向A側の周囲を囲う半円形であるが、図14中の二点鎖線に示すように、連通孔41の周囲全体を囲う円環状のブラシ状の多数本の細突起49であっても良い。
【実施例】
【0082】
図16は、従来例と比較例と実施例との効果の差異を示す説明図である。従来のタイヤ状態取得装置400は、図17図18に示すように、ケース150と、ケース150内に配置されている回路ユニット(図示せず)とを備える。ケース150には、連通孔410と、取付部420と、注入口430と、注入路440とがそれぞれ設けられている。注入口430の流体45の注入方向Aと、バルブ36の流体45の吐出方向Bとが一致している。また、注入口430の流体45の注入方向Aは、タイヤ幅方向ないしタイヤ径方向に向けられている。
【0083】
従来のタイヤ状態取得装置400は、注入口430の流体45の注入方向Aと、バルブ36の流体45の吐出方向Bとが一致していて、かつ、注入口430の流体45の注入方向Aがタイヤ幅方向ないしタイヤ径方向に向けられているので、注入口430から注入された液体式のパンク修理剤45がタイヤ2のタイヤ本体32の内面に当たって従来のタイヤ状態取得装置400側に飛散する。
【0084】
従来例と比較例と実施例との効果の差異を、図16に示すように、バルブの角度(注入口43、430の流体45の注入方向Aの軸と、バルブ36の流体45の吐出方向Bの軸とのなす傾斜角度θ)と、トンネル形状(注入路44、46の管路形状がトンネル形状有り、注入路47、440の溝構造がトンネル形状無し)と、突起の有無と、突起高さと、突起形状と、ブラシ太さと、に基づいて、連通孔41の内部への修理液の付着時間(h)について確認した。
【0085】
試験タイヤは、195/65R15を使用した。空気圧は、200kPaである。30km/hにてドラム走行試験を行った。走行試験は、パンク修理液を試験タイヤ内に注入後、30分走行を1ステップとし、1ステップ毎に停止させて、パンク修理液が連通孔41、410の内部に付着しているか否かを確認する。付着していなければ、再度ドラム走行を実施する。そして、パンク修理液が連通孔41、410の内部に付着するまでドラム走行を実施する。パンク修理液が連通孔41、410の内部に付着した時点のステップ数をカウントして、パンク修理液を試験タイヤ内に注入してからパンク修理液が連通孔41、410の内部に付着するまでの時間(h)について確認する。パンク修理液が連通孔41、410の内部に付着するまでの時間(h)が長ければ長いほど、センサを異物から保護する効果が大きい。
【0086】
図16に示すように、従来例(図17図18に示す従来のタイヤ状態取得装置400)は、バルブの角度θが0°であり、トンネル形状が無く、突起が無い例である。この従来例の場合は、パンク修理液が連通孔410の内部に付着するまでの時間(h)が2.8時間である。
【0087】
比較例1は、バルブの角度θが25°であり、トンネル形状が無く、突起が無い例である。この比較例1の場合は、パンク修理液が連通孔410の内部に付着するまでの時間(h)が8時間である。
【0088】
比較例2は、バルブの角度θが0°であり、トンネル形状が有り、突起が無い例である。この比較例2の場合は、パンク修理液が連通孔410の内部に付着するまでの時間(h)が6時間である。
【0089】
これに対して、実施例1は、バルブの角度θが30°であり、トンネル形状が無く、突起が無い例である。この実施例1の場合は、パンク修理液が連通孔41の内部に付着するまでの時間(h)が52時間である。
【0090】
実施例2は、バルブの角度θが100°であり、トンネル形状が無く、突起が無い例である。この実施例2の場合は、パンク修理液が連通孔41の内部に付着するまでの時間(h)が73時間である。
【0091】
実施例3は、バルブの角度θが70°であり、トンネル形状が無く、突起が無い例である。この実施例3の場合は、パンク修理液が連通孔41の内部に付着するまでの時間(h)が98時間である。
【0092】
実施例4は、バルブの角度θが70°であり、トンネル形状が無く、突起が有り、突起の高さが8mmであり、突起の形状が壁型である例である。この実施例4の場合は、パンク修理液が連通孔41の内部に付着するまでの時間(h)が122時間である。
【0093】
実施例5は、バルブの角度θが70°であり、トンネル形状が無く、突起が有り、突起の高さが1mmであり、突起の形状が壁型である例である。この実施例5の場合は、パンク修理液が連通孔41の内部に付着するまでの時間(h)が100時間である。
【0094】
実施例6は、バルブの角度θが70°であり、トンネル形状が有り、突起が有り、突起の高さが8mmであり、突起の形状がブラシ状であり、ブラシの太さが0.5mmである例である。この実施例6の場合は、パンク修理液が連通孔41の内部に付着するまでの時間(h)が130時間である。
【0095】
実施例7は、バルブの角度θが70°であり、トンネル形状が無く、突起が有り、突起の高さが8mmであり、突起の形状がブラシ状であり、ブラシの太さが3mmである例である。この実施例7の場合は、パンク修理液が連通孔41の内部に付着するまでの時間(h)が100時間である。
【0096】
図16から明らかなように、実施例1〜7は、前記の効果を達成することができる。これにより、注入口43の流体注入方向Aの軸とバルブ36の流体吐出方向Bの軸となす傾斜角度θは、30°〜100°、好ましくは、40°〜90°となる。また、壁の高さは、3mm以上10mm以下となる。さらに、細突起壁の太さは、1mm以下となる。
【0097】
「実施形態1〜5以外の例の説明」
なお、前記の実施形態1〜5においては、タイヤ2の空間35内の空気の圧力をタイヤの情報に関する情報として検出するものである。ところが、この発明においては、タイヤの情報として、タイヤ2の空間35内の空気の圧力以外に、タイヤ2の空間35内の空気の温度、タイヤ2の歪、車輪の加速度、などであっても良い。
【0098】
また、前記の実施形態1〜5においては、連通孔41の断面形状が円形である。ところが、この発明においては、連通孔41の断面形状を円形以外の形状たとえば三角形、多角形、楕円形、長円形などの形状であっても良い。
【0099】
さらに、前記の実施形態1〜5においては、連通孔41をケース15の天板部37に、回路ユニット6をケース15の底板部38に、それぞれ設けるものである。ところが、この発明においては、連通孔41を、ケース15の天板部37以外、すなわち、ケース15の底板部37、前後両端板部39、39、左右両側板部40、40に設けても良いし、回路ユニット6を、ケース15の底板部38以外、すなわち、ケース15の天板部37、前後両端板部39、39、左右両側板部40、40に設けても良い。
【0100】
さらにまた、前記の実施形態1〜5においては、タイヤ状態取得装置4をバルブ36の一端に取り付けているものである。ところが、この発明においては、タイヤ状態取得装置4をタイヤ2に既に装備されているバルブ36の一端に後付で取り付けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0101】
1 車両
2 タイヤ
3 タイヤ状態監視システム
4 タイヤ状態取得装置
5 監視装置
6 回路ユニット
7 基板
8 センサユニット(センサ)
9 送信機
10 処理ユニット
11 電源部
12 アンテナ
13 空気圧センサ
14 A/D変換器
15 ケース
16 空間
17 中央処理部
18 記憶部
19 発振回路
20 変調回路
21 増幅回路
22 アンテナ
23 受信部
24 受信バッファ
25 中央処理部
26 記憶部
27 操作部
28 スイッチ
29 表示制御部
30 表示部
31 電源部
32 タイヤ本体
33 リム
34 ホイール
35 空間
36 バルブ
37 天板部
38 底板部
39、39 前後両端板部
40、40 左右両側板部
41 連通孔
42 取付部
43 注入口
44 注入路
45 液体式のバンク修理剤(流体、異物)
46 注入路
47 注入路
48 壁
49 細突起
A 注入口の流体の注入方向
B バルブの流体の吐出方向
C タイヤの回転方向
θ 傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18