特許第5673517号(P5673517)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5673517
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】電子機器の筐体構造
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20150129BHJP
【FI】
   H01M2/10 K
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-273885(P2011-273885)
(22)【出願日】2011年12月14日
(65)【公開番号】特開2013-125654(P2013-125654A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2014年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100117097
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 充浩
(72)【発明者】
【氏名】蓑田 真平
【審査官】 松本 陶子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−274751(JP,A)
【文献】 特開2010−123486(JP,A)
【文献】 特開平11−274758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーパックを装着するためのバッテリー装着部が形成されるとともに、前記バッテリー装着部に装着されたバッテリーパックに係合して所定の装着状態に保持するためのロック爪を備えたロック機構を筐体の底部に備えてなる電子機器の筐体構造において、
前記ロック機構は、前記筐体の底部において前記バッテリー装着部側に向かって開口するスライド溝開口部が形成されたスライド溝と、前記スライド溝の内部を摺動可能なロック部材とから構成され、
前記ロック部材は、前記スライド溝開口部の一部のロック爪通過領域を通って前記バッテリー装着部へ出没可能な前記ロック爪を備え、
前記バッテリー装着部に対面する前記筐体の背面に配設されたシャーシの一部は、前記スライド溝開口部の内の前記ロック爪通過領域を除く部分の少なくとも一部を塞ぐように延設されて、シャーシ延設部が形成され、
外部からの衝撃によって前記ロック部材が前記スライド溝から前記バッテリー装着部側へ飛び出して脱落することを、前記シャーシ延設部によって防止するように構成され
前記ロック部材には突出部を設けるとともに、前記シャーシ延設部には前記突出部が挿入される挿入孔を設け、前記突出部が前記挿入孔に挿入された状態では、前記シャーシ延設部によって、前記突出部の周囲を覆うように構成されていることを特徴とする電子機器の筐体構造。
【請求項2】
前記シャーシ延設部は、前記筐体の底部の近傍まで延長されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器の筐体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯可能なトランシーバ等の電子機器に装着するバッテリーパックの装着状態を保持する構造(ロック機構)を構成するロック部材が、落下等の衝撃により脱落することを防止する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯可能なトランシーバ等の電子機器は、交換可能なバッテリーパックを備えているものがあり、かかるバッテリーパックを装着した状態では、前記バッテリーパックが前記電子機器の本体から脱落しないように、バッテリーパックの装着状態を保持する構造、いわゆるロック機構を備えた筐体構造が、特許文献1等に記載されている。
従来例として、特許文献1に記載された筐体構造を、図8を参照して説明する。
図示された筐体構造は、電子機器としての携帯型トランシーバ100に備えられロック機構を備えたものであり、前記携帯型トランシーバ100の本体110の背面に形成されたバッテリー装着部120に、底面方向からバッテリーパック200を矢印F100の方向にスライドさせて装着して、ロック機構300を操作して、ロック部材310に設けられたロック爪320を、前記バッテリーパック200に設けられた係合穴210に差し込んで、前記バッテリーパック200が前記矢印F100の逆方向に戻らないように保持するように構成されている。
【0003】
前記バッテリー装着部120には、丈夫な金属製のシャーシ130が配設され、前記金属製のシャーシ130は、樹脂製の筐体140に覆われている。
なお、前記バッテリー装着部120には、装着された前記バッテリーパック200が矢印F110の方向に外れることを防止するための保持爪150が突設されている。前記保持爪150は、バッテリーパック200の装着面に設けられた保持穴220に差し込まれて、装着された前記バッテリーパック200が前記矢印F110の方向に外れることを防止するように構成されている。
【0004】
なお、前記ロック部材310は、電子機器の筐体140の底部に形成されたスライド溝に摺動可能に保持され、前記ロック爪320が形成された金属板と、この金属板に固定された樹脂製のロックツマミ340とで構成されている。
前記ロック部材310を摺動可能に保持する前記スライド溝の周辺は、前記筐体140と同様に樹脂製である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−69359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図8に示した従来例のロック機構では、ロック部材310は、前記樹脂製の筐体140の底部に配設されているが、前記スライド溝およびその周辺の筐体の材質は樹脂であるため、当該電子機器が例えば固い床面に落下した場合、前記底部が床面での落下の衝撃を受けて、前記ロック部材がスライド溝から飛び出して脱落する危険性がある。
【0007】
本発明では、前述したようなロック部材の脱落を防止する構造を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、バッテリーパックを装着するためのバッテリー装着部が形成されるとともに、前記バッテリー装着部に装着されたバッテリーパックに係合して所定の装着状態に保持するためのロック爪を備えたロック機構を筐体の底部に備えてなる電子機器の筐体構造において、前記ロック機構は、前記筐体の底部において前記バッテリー装着部側に向かって開口するスライド溝開口部が形成されたスライド溝と、前記スライド溝の内部を摺動可能なロック部材とから構成され、前記ロック部材は、前記スライド溝開口部の一部のロック爪通過領域を通って前記バッテリー装着部へ出没可能な前記ロック爪を備え、前記バッテリー装着部に対面する前記筐体の背面に配設されたシャーシの一部は、前記スライド溝開口部の内の前記ロック爪通過領域を除く部分の少なくとも一部を塞ぐように延設されて、シャーシ延設部が形成され、外部からの衝撃によって前記ロック部材が前記スライド溝から前記バッテリー装着部側へ飛び出して脱落することを、前記シャーシ延設部によって防止するように構成され、前記ロック部材には突出部を設けるとともに、前記シャーシ延設部には前記突出部が挿入される挿入孔を設け、前記突出部が前記挿入孔に挿入された状態では、前記シャーシ延設部によって、前記突出部の周囲を覆うように構成されていることを特徴としている。
【0009】
請求項2では、
前記シャーシ延設部は、前記筐体の底部の近傍まで延長されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電子機器の筐体構造によれば、
バッテリーパックを装着するためのバッテリー装着部が形成されるとともに、前記バッテリー装着部に装着されたバッテリーパックに係合して所定の装着状態に保持するためのロック爪を備えたロック機構を筐体の底部に備えてなる電子機器の筐体構造において、
前記ロック機構は、前記筐体の底部において前記バッテリー装着部側に向かって開口するスライド溝開口部が形成されたスライド溝と、前記スライド溝の内部を摺動可能なロック部材とから構成され、
前記ロック部材は、前記スライド溝開口部の一部のロック爪通過領域を通って前記バッテリー装着部へ出没可能な前記ロック爪を備え、
前記バッテリー装着部に対面する前記筐体の背面に配設されたシャーシの一部は、前記スライド溝開口部の内の前記ロック爪通過領域を除く部分の少なくとも一部を塞ぐように延設されて、シャーシ延設部が形成され、
外部からの衝撃によって前記ロック部材が前記スライド溝から前記バッテリー装着部側へ飛び出して脱落することを、前記シャーシ延設部によって防止するように構成されているので、
当該電子機器が例えば固い床面に落下した場合等において、前記電子機器が落下等の衝撃を受けた場合であっても、
前記段部の前記バッテリー装着部側への移動は、十分な強度を持つ前記シャーシ延設部によって阻止されるため、前記ロック爪を除く前記ロック部材が前記バッテリー装着部側へ飛び出ることは防止され、
前記ロック部材が前記スライド溝から脱落することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る電子機器の筐体構造の要部の斜視図である。
図2図1に示した電子機器の筐体構造に用いられるロック部材の斜視図である。
図3図1のX−X線断面を示したものであり、ロック解除状態(A)と、ロック状態(B)を説明する側面断面図である。
図4図1の状態からシャーシとロック部材を取り除いた状態を説明する斜視図である。
図5】本発明に係る電子機器の筐体構造の他の実施形態の要部の斜視図である。
図6図5に示した電子機器の筐体構造に用いられるロック部材の斜視図である。
図7図5のY−Y線断面を示したものであり、ロック解除状態(A)と、ロック状態(B)を説明する側面断面図である。
図8】従来例のロック機構の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る電子機器の筐体構造を実施するための形態を、図面を参照して説明する。
本発明に係る電子機器の筐体構造の要部の斜視図を示した図1において、
1は電子機器としての携帯型トランシーバの本体であり、前記本体1の背面側(図上では上側)の空間には、従来と同様に、バッテリーパックを装着するための空間としてバッテリー装着部12が形成されている。
前記バッテリー装着部12に対面する前記本体1の背面には、十分な強度の金属板製のシャーシ2が配設されている。前記シャーシ2の周囲は、前記バッテリー装着部12に対面する側の一面を除いて樹脂製の筐体3で覆われている。なお、前記バッテリー装着部12は、装着されたバッテリーパックが占める空間であり、前記シャーシ2を含むものではない。
【0014】
前記本体1の底部11には、ロック機構4が設けられている。以下において、図1、2、3、4を参照して前記ロック機構4を説明する。
前記ロック機構4は、前記筐体3の内部に形成されたスライド溝41と、当該スライド溝41に沿って摺動可能に保持されているロック部材42とから構成され、前記ロック部材42は、ロック爪431が形成された金属板43と、この金属板43に固定された樹脂製のロックツマミ44とで構成されている。
前記金属板43には、前記ロック爪431が2つ突設されており、前記2つのロック爪431の間の金属板部分に、前記樹脂製のロックツマミ44が固定されている。前記ロックツマミ44は樹脂で成型されており、一部には樹脂が比較的に薄い部分441が成型されている。
【0015】
前記スライド溝41は、前記シャーシ2に対して直交する方向に設けられており、前記ロック部材42を、前記シャーシ2と直交する矢印F1の方向に摺動させることができる。なお、前記ロック部材42をバッテリー装着部12側に摺動させる方向を「ロック方向」とし、逆方向を「ロック解除方向」とする。図3(A)には、前記ロック部材42をロック解除方向に摺動させたロック解除状態の断面図を示し、図3(B)には、前記ロック部材42をロック方向に摺動させたロック状態の断面図を示している。
【0016】
前記スライド溝41は、前記ロック部材42の前記2つのロック爪431と、前記ロックツマミ44の一部の前記薄い部分441とが摺動可能な断面形状を備え、図4に示したように、前記バッテリー装着部12側へ開口したスライド溝開口部410が形成され、前記スライド溝開口部410は、中央開口領域413と、前記中央開口領域413の両側のロック爪通過領域414とから構成されている。
【0017】
前記シャーシ2を組み付けた状態では、図1に示したように、
前記スライド溝開口部410の内の2つのロック爪通過領域414は、ロック爪出没開口部411として前記バッテリー装着部12へ開口し、前記スライド溝開口部410の内の前記中央開口領域413の一部は、前記シャーシ2の一部が延設されたシャーシ延設部21によって塞がれている。
このような構造によって、前記2つのロック爪431は、前記スライド溝41の内部を摺動して前記2つのロック爪出没開口部411から前記バッテリー装着部12へ出没可能に構成されている。
前記スライド溝41の一部は、前記筐体の底部11にも開口し、前記ロックツマミ44の頭部が前記筐体の底部11へ露出して操作できるように、ツマミ操作孔412が形成されている。
【0018】
また、前記スライド溝41には、前記ロック部材42を、前記ロック方向に付勢するバネ等の付勢手段415が設けられている。また、前記スライド溝41の内部には、前記ロック部材42の摺動可能な範囲を、図3(A)の状態と図3(B)の状態の間の範囲に規制する規制手段が構成されている。
前記規制手段は、前記ロック部材42の裏面に形成された係合突起46と、前記スライド溝41の内面に前記筐体3から突設された規制突起31とから構成されており、前記係合突起46と前記規制突起31によって、前記ロック部材42が図3(B)の状態の範囲を越えて、前記バッテリー装着部12側へ移動しないように規制している。
【0019】
前記ロック部材42をロック方向に摺動させると、前記ロック爪431の先が、前記シャーシ2から突出せずに前記筐体3の内部に埋没していた状態(図3(A)の状態)からバッテリー装着部12へ突出する状態(図3(B)の状態)となり、前記ロック部材42をロック解除方向に摺動させると、前記ロック爪431の先が、前記シャーシ2から突出した状態(図3(B)の状態)から、前記シャーシ2から突出せずに前記筐体3の内部に埋没する状態(図3(A)の状態)となる。
【0020】
図3(A)の状態から、前記バッテリー装着部12にバッテリーパックBを装着する場合には、バッテリーパックBを前記シャーシ2に沿わせて、前記本体1の底部11側から矢印F2の方向(「装着方向」とする。)へ摺動させる。このとき、前記ロック爪431はバッテリーパックBに押されて埋没する。(図3(A)参照。)
そして、バッテリーパックBが所定の装着位置であるバッテリー装着部12に到達すると、前記ロック爪431の位置は、バッテリーパックBに形成された係合穴B1の位置に一致するので、前記ロック部材42は前記付勢手段415に押されて前記スライド溝41に沿ってロック方向に摺動し、前記ロック爪431は前記係合穴B1に差し込まれる。(図3(B)参照。)
【0021】
バッテリーパックBを取り外す場合には、前記ロックツマミ44を操作して、前記ロック解除方向に摺動させて、前記ロック爪431を前記係合穴B1から引き抜いてから、バッテリーパックBを前記バッテリー装着部12から前記本体1の底部側への矢印F3の方向(「取り外し方向」とする。)へ摺動させる。
【0022】
前記バッテリー装着部12にバッテリーパックBが装着された状態では、前記ロック部材42は、前記付勢手段415によってロック方向に付勢されているので、前記ロック爪431の先がバッテリーパックBに形成された係合穴B1に差し込まれた係合状態が保持され、前記バッテリーパックBが、取り外し方向(矢印F3の方向)へずれてしまうことは禁止され、バッテリーパックBがバッテリー装着部12に保持されて外れない状態(ロック状態)となる。
そして、バッテリー装着部12に保持されたバッテリーパックBを取り外すときには、前記ロック部材42をロック解除方向に摺動させて、前記ロック爪431の先を前記バッテリーパックBの係合穴B1から引き抜くことによって、バッテリーパックBを取り外し方向(矢印F3の方向)へ摺動させることが可能となるので、バッテリーパックBをバッテリー装着部12から取り外すことができるようになる。
【0023】
次に、シャーシ延設部を、図1、3、4を参照して説明する。
前記シャーシ2の一部は、前記スライド溝開口部410の内の前記ロック爪431が通過する前記ロック爪通過領域414を除いた前記中央開口領域413の少なくとも一部を塞ぐように、底部11側へ延設されて、シャーシ延設部21が形成されている。
前記シャーシ延設部21は、前記ロック部材42の一部に形成された段部47を塞ぐ位置まで延設されて、前記スライド溝41の一部の前記中央開口領域413の一部を塞ぐように配設されて、前記ロック部材42の前記段部47と前記バッテリー装着部12との間に介在し、前記シャーシ延設部21で前記段部47を前記バッテリー装着部12側から覆うように形成されている。
【0024】
前記シャーシ延設部21は、前記ロック爪431が出没するために通過する前記通過領域414を除いた部分を塞いでいるので、前記ロック爪431は、ロックツマミ44の操作に応じて、バッテリー装着部12へ出没することができる。
このように、前記シャーシ延設部21は、前記通過領域414を除いて、前記ロック部材42の一部に形成された段部47を塞ぐ位置まで延設されているので、
落下の衝撃等により前記ロック部材42が前記バッテリー収納部12側へ飛び出そうとしても、前記ロック部材42の一部の前記段部47が前記シャーシ延設部21によって阻止されるので、前記ロック部材42が前記スライド溝41から飛び出して脱落することを防止することができる。(図3(B)参照。)なお、前記シャーシ延設部21は、前記ロックツマミ44の段部47ではなく、前記ロック爪431を除いた部分を覆ってもよい。
【0025】
以上の構成によって、電子機器としての携帯型トランシーバの本体1が落下して床面等に当たって衝撃を受けた場合でも、前記ロック機構4を構成する前記ロック部材42が、その衝撃によって、図3(B)の状態から、さらに前記バッテリー装着部12側へ飛び出さないように阻止され、前記ロック部材42が前記スライド溝41から飛び出して脱落することを防止することができる。
【0026】
したがって、前記係合突起46と前記規制突起31による前記規制手段とともに、前記シャーシ延設部21の裏面と前記ロック部材42の段部47とによって、前記ロック部材が、図3(B)の状態から、さらに前記バッテリー装着部12側へ飛び出して脱落することは防止されるのである。
【0027】
上記構成において、特許請求の範囲に記載された電子機器の筐体構造は、前記シャーシ延設部21と前記ロック機構4を備えた筐体構造に対応している。
【0028】
以上の説明においては、シャーシ延設部21が、ロック部材42の一部を覆う構成を説明したが、以下に説明するように、ロック部材の一部を囲んで覆う構成を採用することも可能である。
図5、7に示したように、
シャーシ2Aの一部を、前記筐体の底部11Aの近傍まで延長して、スライド溝41Aのスライド溝開口部の一部を塞ぐように形成したシャーシ延設部21Aには、ロック部材42Aの一部に形成された突出部45Aを挿入するための挿入孔22Aが設けられている。
【0029】
前記ロック部材42Aには、図6に示したように、2つのロック爪431Aと、前記挿入孔22Aに挿入し得る大きさの前記突出部45Aが設けられている。前記突出部45Aの基部の一部には、前記挿入孔22Aを通過できないように、前記突出部45Aの断面形状より広い断面形状を持った段部47Aが形成されている。
また、前記シャーシ延設部21Aはスライド溝41Aの一部を塞ぐように延設されているが、前記2つのロック爪431Aが前記バッテリー装着部12Aへ出没できるように、前記シャーシ延設部21Aの両側にロック爪出没開口部411Aは塞がずに開口している。
【0030】
図7(A)には、前記ロック部材42Aをロック解除方向に摺動させたロック解除状態の断面図を示し、図7(B)には、前記ロック部材42Aをロック方向に摺動させたロック状態の断面図を示している。
【0031】
前記ロック部材42Aをロック方向に摺動させると、前記ロック爪431Aの先が、前記シャーシ2Aから突出せずに前記筐体3の内部に埋没していた状態(図7(A)の状態)から、前記ロック爪出没開口部411Aを通ってバッテリー装着部12A側へ突出する状態(図7(B)の状態)となり、前記ロック部材42Aをロック解除方向に摺動させると、前記ロック爪431Aの先が、前記シャーシ2Aから突出した状態(図7(B)の状態)から、前記シャーシ2Aから突出せずに前記筐体3の内部に埋没する状態(図7(A)の状態)となる。
【0032】
以上の構造によって、図7(B)に示したように、前記突出部45Aが前記挿入孔22Aに挿入された状態では、前記挿入孔22Aの近傍部分の前記シャーシ延設部21Aによって、前記スライド溝41Aの一部が塞がれるとともに、前記突出部45Aの周囲が覆われて、前記バッテリー装着部12A側への移動が阻止されているので、
前記ロック部材42Aの前記突出部45Aの基部の一部に形成された段部47Aは、前記挿入孔22Aの周囲の前記シャーシ延設部21Aによって覆われて、前記ロック部材42Aが、図7(B)に示した状態以上、前記バッテリー装着部12A側へ飛び出さないように構成されている。
【0033】
このように、前記ロック部材42Aが、図7(B)に示した状態以上、前記バッテリー装着部12A側へ飛び出すことが阻止されるので、外部からの衝撃を受けた場合でも、前記ロック部材42Aが飛び出して脱落することは防止される。
図5、7に示したように、前記シャーシ延設部21を、前記筐体の底部11Aの近傍まで延長することにより、外部からの衝撃を受けた場合でも、その衝撃を十分な強度を備えたシャーシ2で受け止めることができるので、前記ロック部材42Aの脱落を防止することに加えて、筐体の変形や損傷を防ぐ効果も得られる。
なお、他の部分の説明は、図1、3、4に関する説明と同様であるので省略した。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明に係る電子機器の筐体構造は、トランシーバ等の電子機器に限らず、バッテリーパックを着脱自在に備える各種機器に広く応用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 電子機器の本体
12 バッテリー装着部
2 シャーシ
21 シャーシ延設部
3 筐体
4 ロック機構
41 スライド溝
410 スライド溝開口部
411 ロック爪出没開口部
413 中央開口領域
414 ロック爪通過領域
42 ロック部材
43 金属板
431 ロック爪
47 段部
B バッテリーパック
B1 挿入穴
12A バッテリー装着部
2A シャーシ
21A シャーシ延設部
22A 挿入穴
411A ロック爪出没開口部
42A ロック部材
431A ロック爪
45A 突出部
47A 段部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8