特許第5673531号(P5673531)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ライオン株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5673531
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】眼科用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/203 20060101AFI20150129BHJP
   A61K 31/232 20060101ALI20150129BHJP
   A61K 47/34 20060101ALI20150129BHJP
   A61K 47/44 20060101ALI20150129BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20150129BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20150129BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20150129BHJP
   A61P 27/04 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
   A61K31/203
   A61K31/232
   A61K47/34
   A61K47/44
   A61K47/22
   A61K47/10
   A61K9/08
   A61P27/04
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-520919(P2011-520919)
(86)(22)【出願日】2010年6月29日
(86)【国際出願番号】JP2010061005
(87)【国際公開番号】WO2011001951
(87)【国際公開日】20110106
【審査請求日】2013年1月21日
(31)【優先権主張番号】特願2009-154862(P2009-154862)
(32)【優先日】2009年6月30日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100114513
【弁理士】
【氏名又は名称】重松 沙織
(74)【代理人】
【識別番号】100120721
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 克成
(74)【代理人】
【識別番号】100124590
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100157831
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 克彦
(72)【発明者】
【氏名】小高 明人
(72)【発明者】
【氏名】井上 智恵子
(72)【発明者】
【氏名】服部 学
(72)【発明者】
【氏名】田淵 照人
【審査官】 ▲高▼岡 裕美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−117656(JP,A)
【文献】 特開2008−308450(JP,A)
【文献】 特開2008−094839(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/150812(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/150378(WO,A1)
【文献】 Selek et al.,'Evaluation of retinoic acid ophthalmic emulsion in dry eye',European Journal of Ophthalmology,Vol.10, No.2 (2000),pp.121-127
【文献】 Waring et al.,'Double-masked evaluation of a poloxamer artificial tear in keratoconjunctivitis sicca',Symposium on Ocular Therapy,Vol.11 (1979),pp.127-140
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/80
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ビタミンAと、(B)エチレンオキシドの平均重合度が20〜200及びプロピレンオキシドの平均重合度が20〜70のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール0.1〜0W/V%と、(C)ヒマシ油、ダイズ油、ゴマ油、オリーブ油、アルモンド油、小麦胚芽油、コーン油、ナタネ油、ヒマワリ油及び精製ラノリンからなる群より選ばれる油性成分0.01〜5W/V%と、(D)抗酸化剤と、(E)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル0.001〜1.0W/V%とを含有し、(B)成分及び(E)成分の合計含有量が、1.1W/V%以上である眼科用組成物。
【請求項2】
(A)成分が、レチノールパルミチン酸エステル、レチノール酢酸エステル又はレチノイン酸である請求項1記載の眼科用組成物。
【請求項3】
(A)成分の含有量が、50,000〜500,000単位/100mLである請求項1又は2記載の眼科用組成物。
【請求項4】
(B)成分の含有量が、0.2〜10W/V%である請求項1、2又は3記載の眼科用組成物。
【請求項5】
(D)成分が、ビタミンE又はジブチルヒドロキシトルエンである請求項1〜4のいずれか1項記載の眼科用組成物。
【請求項6】
(D)成分の含有量が、0.001〜0.5W/V%である請求項1〜5のいずれか1項記載の眼科用組成物。
【請求項7】
(B)成分及び(E)成分の合計含有量が、1.1〜7.7W/V%である請求項1〜6のいずれか1項記載の眼科用組成物。
【請求項8】
防腐剤無配合である請求項1〜7のいずれか1項記載の眼科用組成物。
【請求項9】
さらに、エデト酸ナトリウム、ホウ酸及びトロメタモールから選ばれる1種又は2種以上を含有する請求項8記載の眼科用組成物。
【請求項10】
コンタクトレンズ用点眼剤である請求項1〜9のいずれか1項記載の眼科用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビタミンAを配合し、ドライアイ治療効果を有する眼科用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エアコンの普及による室内の乾燥や、パソコン等のVDT作業の増加、コンタクトレンズ使用者の増加等、さまざまな生活・社会環境の変化に伴い、ドライアイ患者が急増している。ドライアイは、涙液の質的又は量的異常により、眼球表面上の角結膜が障害を受けた状態のことをいう。涙液は油層、水層及びムチン層の三層より構成されており、この三層構造の質的量的バランスが破壊されることで涙液が不安定となり、角膜に障害が生じ、ドライアイが惹起される。ドライアイ治療においては、この涙液の油層、水層、ムチン層の三層構造を回復させること及び角膜障害を治療することが重要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−222638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ビタミンAは、上皮細胞の増殖・分化に必須な物質として知られており、ムチン産生を促進する作用や、角膜創傷を治癒する作用がある。このように、ビタミンAは、「涙液ムチン層の回復」及び「角結膜障害の治療」に効果を発揮するドライアイ治療に有用な薬物として期待される。
【0005】
さらに、ビタミンAは脂溶性であるため、水性剤型の眼科用組成物に配合すれば、涙液の油層及び水層をも補充することができ得る。従って、ビタミンA配合眼科用組成物は、ドライアイ治療において重要である涙液の油層、水層、ムチン層の三層構造を回復させること及び角膜障害治療に対して有効で好適な点眼剤となり得る。
【0006】
しかしながら、ビタミンAのみで涙液の油層の補充に十分に足り得るかは明らかではなく、ビタミンAを眼科用組成物に多く配合すると眼刺激等の副作用の原因となる可能性があるという問題点がある。また、ビタミンAが涙液の油層を補充するのに十分でない場合には、油性成分を補助的に配合することが考えられるが、その配合には必然的に界面活性剤が増えるため、後述する眼刺激の原因となる問題点がある。
【0007】
以上のことから、ビタミンAを配合した組成物において、涙液油層の補充が十分にできる程度の油性成分を配合し、かつ眼刺激を生じないドライアイ治療に効果的な眼科用組成物の開発が望まれていた。
【0008】
一方、ビタミンAを油性点眼剤や眼軟膏剤として用いることが考えられる。涙液の油分を補充するには、油性点眼剤や眼軟膏を投与することが、最も効果的な方法である。しかしながら、油性成分を直接眼に投与すると、その特有の刺激や粘性のため、「痛み」や「ぼやけ」「かすみ」等の視界の不良、「べたつき」等の不快感が生じるという問題点がある。また、コンタクトレンズ装用者においては、油分はコンタクトレンズのくもりや汚れの原因になりやすいという問題がある。
【0009】
また、油性成分は界面活性剤により水に可溶化、若しくは乳化することができる。しかしながら、それらの多くは界面活性剤を比較的少量用いて乳化した乳白色の製剤であり、この製剤においては、眼刺激が低いメリットがあるものの、長期間保存すると、油性成分が分離する等の安定性、均一性を保持することが困難という問題点がある。これに対し、多量の界面活性剤を用いて油分を可溶化した澄明な点眼剤では、点眼液中で油性成分が安定に存在するという利点があるものの、界面活性剤は角膜若しくは結膜に対して刺激性があり、ドライアイの予防又は改善には十分に効果を発揮できるとはいえなかった。また、コンタクトレンズ装着時においては、これら問題点がさらに顕著であった。以上のことから、ドライアイ改善効果を有し、眼刺激が抑制され、外観保存安定性が良好な眼科用組成物が望まれていた。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、ドライアイ改善効果を有すると共に、眼刺激が抑制され、外観保存安定性が良好な眼科用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、(A)ビタミンAの他に(C)植物油等の油性成分を配合することにより、涙液中の油層を十分に補充することで、ドライアイ改善効果を向上させると共に、眼刺激が抑制されることを知見した。また、(B)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを配合することにより、本発明の(A)成分と(C)成分とを併用した眼科用組成物を澄明にすることができ、外観保存安定性を向上させ、ドライアイ改善効果をより発揮することができることを知見した。さらに、(D)抗酸化剤を配合することにより、外観保存安定性をさらに向上させること、さらに、(E)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを適量配合することにより、眼刺激を生じることなく、澄明で外観保存安定性が良好な眼科用組成物が得られることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0012】
従って、本発明は下記眼科用組成物を提供する。
[1].(A)ビタミンAと、(B)エチレンオキシドの平均重合度が20〜200及びプロピレンオキシドの平均重合度が20〜70のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール0.1〜0W/V%と、(C)ヒマシ油、ダイズ油、ゴマ油、オリーブ油、アルモンド油、小麦胚芽油、コーン油、ナタネ油、ヒマワリ油及び精製ラノリンからなる群より選ばれる油性成分0.01〜5W/V%と、(D)抗酸化剤と、(E)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル0.001〜1.0W/V%とを含有し、(B)成分及び(E)成分の合計含有量が、1.1W/V%以上である眼科用組成物。
[2].(A)成分が、レチノールパルミチン酸エステル、レチノール酢酸エステル又はレチノイン酸である[1]記載の眼科用組成物。
[3].(A)成分の含有量が、50,000〜500,000単位/100mLである[1]又は[2]記載の眼科用組成物。
[4].(B)成分の含有量が、0.2〜10W/V%である[1]、[2]又は[3]記載の眼科用組成物。
[5].(D)成分が、ビタミンE又はジブチルヒドロキシトルエンである[1]〜[4]のいずれかに記載の眼科用組成物。
[6].(D)成分の含有量が、0.001〜0.5W/V%である[1]〜[5]のいずれかに記載の眼科用組成物。
[7].(B)成分及び(E)成分の合計含有量が、1.1〜7.7W/V%である[1]〜[6]のいずれかに記載の眼科用組成物。
[8].防腐剤無配合である[1]〜[7]のいずれかに記載の眼科用組成物。
[9].さらに、エデト酸ナトリウム、ホウ酸及びトロメタモールから選ばれる1種又は2種以上を含有する[8]記載の眼科用組成物。
[10].コンタクトレンズ用点眼剤である[1]〜[9]のいずれかに記載の眼科用組成物。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ドライアイ改善効果を有すると共に、眼刺激が抑制され、外観保存安定性が良好な眼科用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の眼科用組成物は、(A)ビタミンAと、(B)エチレンオキシドの平均重合度が20〜200及びプロピレンオキシドの平均重合度が20〜70のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール0.1〜0W/V%と、(C)ヒマシ油、ダイズ油、ゴマ油、オリーブ油、アルモンド油、小麦胚芽油、コーン油、ナタネ油、ヒマワリ油及び精製ラノリンからなる群より選ばれる油性成分0.01〜5W/V%と、(D)抗酸化剤と、(E)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル0.001〜1.0W/V%とを含有し、(B)成分及び(E)成分の合計含有量が、1.1W/V%以上である眼科用組成物である。
【0015】
(A)ビタミンA
ビタミンAとしては、ビタミンAそれ自体の他に、ビタミンA油等のビタミンA含有混合物、ビタミンA脂肪酸エステル等のビタミンA誘導体等を用いることができ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。具体的には、レチノールパルミチン酸エステル、レチノール酢酸エステル、レチノール、レチノイン酸、レチノイド等が挙げられる。中でも、レチノールパルミチン酸エステル、レチノール酢酸エステル、レチノイン酸が好ましい。レチノールパルミチン酸エステルは通常100万〜180万国際単位(以下、単位又はI.U.と略記する)のものが市販されており、具体的には、ロッシュ・ビタミン・ジャパン株式会社製レチノールパルミチン酸エステル(170万I.U./g)等がある。
【0016】
(A)成分の含有量は、眼科用組成物全量に対して50,000〜500,000単位/100mLが好ましく、50,000〜300,000単位/100mLがより好ましく、100,000〜200,000単位/100mLがさらに好ましい。W(質量)/V(体積)%(g/100mL)で表すと、配合するビタミンAの単位にもよるが、上記ビタミンAを含む成分として0.03〜0.3W/V%が好ましく、0.03〜0.18W/V%がより好ましく、0.06〜0.12W/V%がさらに好ましい。ビタミンAは、角膜・結膜損傷治療効果、ドライアイ改善、疲れ目・かすみ目の改善効果を有しているが、50,000単位/100mL未満だと、角膜・結膜損傷の改善が不十分となるおそれがあり、ドライアイ治療効果も不十分となるおそれがある。一方、500,000単位/100mLを超えると、副作用の問題が発生するおそれがある。
【0017】
(B)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは特に限定されるものではなく、医薬品添加物規格(薬添規)に記載されたものを用いることができる。エチレンオキシドの平均重合度は4〜200が好ましく、20〜200がより好ましく、プロピレンオキシドの平均重合度は5〜100が好ましく、20〜70がより好ましく、ブロック共重合体でもランダム重合体でもよい。(B)成分は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。(B)成分の特定の界面活性剤を使用することで、本発明の(A)成分と(C)成分とを併用した眼科用組成物を澄明にすることができ、外観保存安定性を向上させ、ドライアイ改善効果をより発揮することができる。また、(B)成分の量を多く配合しても、目刺激を生じにくい。
【0018】
具体的には、ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレン(70)グリコール:Lutrol F127(BASF社製)、ユニルーブ70DP−950B(日本油脂(株)製)等、ポリオキシエチレン(120)ポリオキシプロピレン(40)グリコール(プルロニックF−87)、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(プルロニックF−68、別名ポロクサマー188):プロノン#188P(日本油脂(株))等、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール(プルロニックP123、別名ポロクサマー403)、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコール(プルロニックP85):プロノン#235P(日本油脂(株))等、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール(プルロニックL−44)、テトロニック等が挙げられる。中でも、ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレン(70)グリコール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコールが好ましい。
【0019】
(B)成分の含有量は、眼科用組成物全量に対して0.1〜20W/V%が好ましく、0.2〜15W/V%がより好ましく、0.5〜10W/V%がさらに好ましく、1.1〜10W/V%が特に好ましく、3〜10W/V%が最も好ましい。0.1W/V%未満だと、油性成分の可溶化が困難となり、20W/V%を超えると眼刺激が生じるおそれがあるが、(B)成分は量を多く配合しても、目刺激を生じにくい。また、(B)成分を可溶化剤として単独で配合する場合、0.4W/V%以上にすることにより、油性成分の可溶化が容易となる。
【0020】
(C)油性成分
油性成分としては、ヒマシ油、ダイズ油、ゴマ油、ラッカセイ油、オリーブ油、アルモンド油、小麦胚芽油、コーン油、ナタネ油、ヒマワリ油、精製ラノリン及びゲル炭化水素からなる群より選ばれる油性成分が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、ヒマシ油、ゴマ油、オリーブ油、ダイズ油、ラッカセイ油が好ましく、ヒマシ油、ゴマ油、ダイズ油、ラッカセイ油がより好ましく、ヒマシ油、ゴマ油、ダイズ油がさらに好ましい。(A)ビタミンAと(C)油性成分とを併用することにより、ドライアイ改善効果が向上する。
【0021】
(C)成分の含有量は、ドライアイ改善と外観安定性の点から、眼科用組成物全量に対して0.01〜5W/V%が好ましく、0.05〜3W/V%がより好ましい。0.01W/V%未満だと、良好な使用感を得ることが困難であり、5W/V%を超えると澄明な点眼剤を得ることができない場合がある。
【0022】
(D)抗酸化剤
ビタミンAの保存安定性向上及び外観保存安定性向上の点から、抗酸化剤を配合することが好ましい。抗酸化剤としては、d−α−トコフェロール、d−β−トコフェロール、d−γ−トコフェロール、d−δ−トコフェロール、dl−α−トコフェロール、酢酸d−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、酢酸dl−β−トコフェロール、酢酸dl−γ−トコフェロール、酢酸dl−δ−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール等のビタミンE及びその誘導体、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等の脂溶性抗酸化剤、ビタミンC、ヒドロキノン、システイン、グルタチオン等の水溶性抗酸化剤等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、ビタミンE等の脂溶性抗酸化剤が好ましく、酢酸d−α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエンがより好ましく、酢酸d−α−トコフェロールがさらに好ましい。
【0023】
(D)成分の含有量は、眼科用組成物全量に対して0.001〜0.5W/V%が好ましく、0.005〜0.3W/V%がより好ましい。
【0024】
(E)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
本発明の眼科用組成物には、外観保存安定性向上の点から、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを配合するとよい。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(E.O.)5、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油100等が挙げられ、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(ポリソルベート60)、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート(ポリソルベート65)等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60が好ましい。
【0025】
(E)成分は眼刺激の生じない範囲で配合することができる。その含有量は、眼科用組成物全量に対して0.001〜0.5W/V%が好ましく、0.01〜0.4W/V%がより好ましく、0.05〜0.3W/V%がさらに好ましい。
【0026】
(B)成分及び(E)成分の合計含有量は、外観保存安定性向上の点から1.1W/V%以上が好ましく、2W/V%以上がより好ましい。眼刺激の点から、25W/V%以下が好ましい。また、上述したように、ドライアイ改善及び眼刺激抑制から(E)成分は0.5W/V%以下が好ましい。
【0027】
本発明の眼科用組成物には、前記成分の他、眼科用組成物に配合する各種成分を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。これらの成分としては、多価アルコール、(B)成分及び(E)成分以外の界面活性剤、緩衝剤、粘稠剤、糖類、pH調整剤、防腐剤、等張化剤、安定化剤、清涼化剤、薬物、水等が挙げられる。これらは、それぞれ1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができ、適量を配合することができる。
【0028】
多価アルコールとしては、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。多価アルコールの含有量は、眼科用組成物中0.01〜5W/V%が好ましく、より好ましくは0.05〜3W/V%である。
【0029】
(B)成分及び(E)成分以外の界面活性剤を併用してもよく、例えば、アルキルジアミノエチルグリシン等のグリシン型両性界面活性剤、アルキル4級アンモニウム塩(具体的には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等の陽イオン界面活性剤等が挙げられる。これらの含有量は、眼科用組成物中0.0001〜10W/V%が好ましく、より好ましくは0.005〜5W/V%である。
【0030】
緩衝剤としては、例えば、ホウ酸又はその塩(ホウ砂等)、クエン酸又はその塩(クエン酸ナトリウム等)、リン酸又はその塩(リン酸一水素ナトリウム等)、酒石酸又はその塩(酒石酸ナトリウム等)、グルコン酸又はその塩(グルコン酸ナトリウム等)、酢酸又はその塩(酢酸ナトリウム等)、各種アミノ酸等(イプシロン−アミノカプロン酸、アスパラギン酸カリウム、アミノエチルスルホン酸、グルタミン酸、グルタミン酸ナトリウム等)、トロメタモール等が挙げられる。中でも、低刺激、かつ組成物の防腐効果の点から、トロメタモールが好ましい。さらに、ホウ酸、ホウ砂を併用すると、特に高い防腐効果が得られる。なお、本発明においては、ホウ酸、トロメタモール、クエン酸又はその塩を配合すると、さらにビタミンAの安定性が向上する。緩衝剤の含有量は、眼科用組成物中0.001〜10W/V%が好ましく、より好ましくは0.01〜5W/V%である。
【0031】
粘稠剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。これらを配合することにより、滞留性が高まり角膜・結膜損傷治癒効果がより向上する。粘稠化剤の配合量は、例えば、0.001〜10W/V%、好ましくは0.001〜5W/V%、さらに好ましくは0.01〜3W/V%である。
【0032】
糖類としては、グルコース、シクロデキストリン、キシリトール、ソルビトール、マンニトール等が挙げられる。なお、これらは、d体、l体又はdl体のいずれでもよい。糖類の配合量は、例えば、0.001〜10W/V%、好ましくは0.005〜5W/V%、さらに好ましくは0.01〜3W/V%である。
【0033】
pH調整剤としては、無機酸又は無機アルカリ剤を使用することが好ましい。例えば、無機酸としては(希)塩酸が挙げられる。無機アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。この中でも、塩酸、水酸化ナトリウムが好ましい。本発明の眼科用組成物のpH(20℃)は、4.0〜9.0が好ましく、より好ましくは5.0〜8.0であり、さらに好ましくは6.0〜8.0である。なお、pHの測定は20℃でpH浸透圧計(HOSM−1,東亜ディーケーケー(株))を用いて行う。pH調整剤の配合量は、例えば、0.00001〜10W/V%、好ましくは0.0001〜5W/V%、さらに好ましくは0.001〜3W/V%である。
【0034】
防腐剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ソルビン酸又はその塩、パラオキシ安息香酸エステル(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン等)、グルコン酸クロルヘキシジン、チメロサール、フェニルエチルアルコール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、塩酸ポリヘキサニド、塩化ポリドロニウム等が挙げられる。防腐剤は本発明の効果を損なわない範囲で配合することもできるが、本発明の眼科用組成物は、眼刺激の点から防腐剤を含有しない防腐剤無配合とすることが好ましい。
【0035】
なお、本発明においては、ドライアイ改善の点からは、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムから選ばれるカチオン性界面活性剤(一部はカチオン性防腐剤)、パラオキシ安息香酸エステル(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン等)及びクロロブタノールから選ばれる疎水性防腐剤の含有量を、0.004W/V%以下とすることが好ましく、0.003W/V%以下がより好ましく、これらを含有せず、無配合とすることがさらに好ましい。これらが角膜・結膜損傷治療効果を阻害する機構は明らかではないが、下記のようにも考えられる。(B)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは、EO鎖を外側、PO鎖を内側にしてビタミンAを包み込みミセルを形成する。このミセルが角膜表面に吸着し、角膜内部にビタミンAが吸収される。カチオン性界面活性剤は界面活性能により、また疎水性防腐剤は疎水性が高いことにより、ミセル表面の状態を変えてしまうことから、ビタミンAの角膜への吸着が阻害され、その結果、角膜・結膜損傷治療効果及びドライアイ改善を阻害することが考えられる。一方、ソルビン酸又はその塩等の親水性が高いものは、ミセル表面の状態に影響を与えないため、ビタミンAの吸収促進効果を阻害しない。なお、上記成分は防腐剤の一部であるが、防腐剤無配合にした場合の防腐力は、エデト酸ナトリウム、ホウ酸及びトロメタモールから1種以上、好適には2種以上組み合わせ配合するとよい。また、ユニットドーズ容器、フィルター付容器にした場合にも、防腐剤無配合とすることができる。
【0036】
等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられる。等張化剤の配合量は、例えば、0.001〜5W/V%、好ましくは0.01〜3W/V%、さらに好ましくは0.1〜2W/V%である。
【0037】
安定化剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム、シクロデキストリン、亜硫酸塩、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。なお、本発明においては、安定化剤を配合すると、さらにビタミンAの安定性が向上する。安定化剤の配合量は、例えば、0.001〜5W/V%、好ましくは0.01〜3W/V%、さらに好ましくは0.1〜2W/V%である。
【0038】
清涼化剤としては、例えば、メントール、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、リナロール等が挙げられる。清涼化剤の含有量は、眼科用組成物中、化合物の総量として、0.0001〜5W/V%が好ましく、0.001〜2W/V%がより好ましく、0.005〜1W/V%がさらに好ましく、0.007〜0.8W/V%が特に好ましい。
【0039】
薬物(薬学的有効成分)としては、例えば、充血除去剤(例えば、塩酸ナファゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸フェニレフリン、エピネフリン、塩酸エフェドリン、dl−塩酸メチルエフェドリン、硝酸テトラヒドロゾリン、硝酸ナファゾリン等)、消炎・収斂剤(例えば、メチル硫酸ネオスチグミン、ε−アミノカプロン酸、アラントイン、塩化ベルベリン、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、塩化リゾチーム、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸アンモニウム、グリチルレチン酸、サリチル酸メチル、トラネキサム酸、アズレンスルホン酸ナトリウム等)、抗ヒスタミン剤(例えば、塩酸イプロヘプチン、塩酸ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン、塩酸イソチペンジル、マレイン酸クロルフェニラミン等)、抗アレルギー剤(例えば、クロモグリク酸ナトリウム等)、水溶性ビタミン(活性型ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12等)、アミノ酸(例えば、L−アスパラギン酸カリウム、L−アスパラギン酸マグネシウム、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、グルタチオン等)、サルファ剤、殺菌剤(例えば、イオウ、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオール等)、局所麻酔剤(例えば、リドカイン、塩酸リドカイン、塩酸プロカイン、塩酸ジブカイン等)、散瞳剤(例えば、トロピカミド等)を適宜配合することができる。
【0040】
眼科用組成物中のこれらの成分の配合量は製剤の種類、薬物の種類等に応じて適宜選択され、各種成分の配合量は当該技術分野で既知である。例えば、製剤全体に対して0.0001〜30W/V%、好ましくは0.001〜10W/V%程度の範囲から選択できる。より具体的には、各成分の含有量は、例えば眼科用組成物について以下の通りである。
【0041】
充血除去剤であれば、例えば、0.0001〜0.5W/V%、好ましくは0.0005〜0.3W/V%、さらに好ましくは0.001〜0.1W/V%である。消炎・収斂剤であれば、例えば、0.0001〜10W/V%、好ましくは0.0001〜5W/V%である。抗ヒスタミン剤であれば、例えば、0.0001〜10W/V%、好ましくは0.001〜5W/V%である。水溶性ビタミンであれば、例えば、0.0001〜1W/V%、好ましくは0.0001〜0.5W/V%である。アミノ酸であれば、例えば、0.0001〜10W/V%、好ましくは0.001〜3W/V%である。サルファ剤、殺菌剤であれば、例えば、0.00001〜10W/V%、好ましくは0.0001〜10W/V%である。局所麻酔剤であれば、例えば、0.001〜1W/V%、好ましくは0.01〜1W/V%である。
【0042】
本発明の眼科用組成物は、そのまま液剤としてもよく、懸濁剤、ゲル剤等に調製してもよい。眼科用組成物としては、点眼剤、洗眼剤等が挙げられ、コンタクトレンズ用として好適である。なお、「コンタクトレンズ用」とは、コンタクトレンズ装着中に使用するものをいう。より具体的には、点眼剤(コンタクトレンズ装用中に点眼可能なコンタクトレンズ用点眼剤を含む)、洗眼剤(コンタクトレンズ装用中に洗眼可能なコンタクトレンズ用洗眼剤を含む)が挙げられ、コンタクトレンズ用点眼剤が好ましい。コンタクトレンズとしては特に制限されず、ハードコンタクトレンズ、酸素透過性ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ、使い捨てコンタクトレンズ、シリコンハイドロゲルコンタクトレンズ等が挙げられる。
【0043】
また、本発明はビタミンAを高濃度で配合することにより、角膜損傷治療用眼科用組成物や、ドライアイ治療剤として好適である。なお、ドライアイとは、涙液の質的又は量的異常により、眼球表面上の角結膜が障害を受けた状態のことをいう。涙液は油層、水層及びムチン層の三層より構成されており、この三層構造の質的量的バランスが破壊されることで涙液が不安定となり、角膜に障害が生じ、ドライアイが惹起される。ドライアイ治療においては、この涙液の油層、水層、ムチン層の三層構造を回復させること及び角膜障害を治療することが重要となる。また、コンタクトレンズ使用者はドライアイになりやすいため、本発明の眼科用組成物は、コンタクトレンズ用点眼剤、コンタクトレンズをはずした後に使用する洗眼剤、コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズ取り外し液等として好適である。ドライアイ治療剤として用いる場合は、1回30〜60μL、1日3〜6回を点眼することにより、その効果をより発揮することができる。
【0044】
本発明によれば、眼科用組成物を澄明にすることができる。なお、本発明において「澄明」とは、濁りがなく透き通っていることである。
【0045】
本発明の眼科用組成物は液状であって、その粘度は、点眼剤の場合、1〜50mPa・sが好ましく、1〜20mPa・sがより好ましく、1〜5mPa・sがさらに好ましい。なお、粘度測定は20℃でE型粘度計(VISCONIC ELD−R,東京計器(株))を用いて行う。
【0046】
本発明の眼科用組成物は、その調製方法については特に制限されるものではないが、例えば、ビタミンAをポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールにより精製水に可溶化し、次いで、各配合成分を加えてpHを調整して得ることができる。その後、適当な容器、例えばポリエチレンテレフタレート製の容器等に無菌充填することができる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例、参考例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、表中の量は、その他は成分の純分量である。
【0048】
[実施例1〜17、参考例1〜2、比較例1〜4]
表1〜8に示す組成の眼科用組成物(点眼剤)を下記方法で調製した。ビタミンA、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール及び油成分(必要に応じて抗酸化剤)を85℃で予備溶解した。この予備溶解物を85℃に加温した精製水に可溶化した。冷却後、水溶性配合成分を加えた。得られた眼科用組成物(点眼剤)について、下記に示す評価を行った。結果を表中に併記する。また、眼科用組成物のpH(20℃)を、pH浸透圧計(HOSM−1,東亜ディーケーケー(株))を用いて行い、結果を表中に示す。なお、実施例及び参考例の眼科用組成物は全て澄明であった。
【0049】
<外観安定性>
眼科用組成物20mLをガラス製アンプル(20mL用)に充填し、70℃・7日間保存後の外観の変化を観察し、下記の評価基準に従い評価した。
<評価基準>
5:液は澄明であり、変色がほとんどない
4:液は澄明ではあるが、やや変色している
3:液は澄明ではあるが、わずかに変色している
2:液が澄明でない
1:液が分離又は沈殿等を生じている
【0050】
<ドライアイ改善1>
ドライアイ症状(重症度レベル1:The Ocular Surface, Vol5, No.2, 2007参照)を訴える者に対し、眼科用組成物を50μL点眼し(2時間間隔で3回)、3回目点眼30分後のドライアイ改善の程度(目の乾燥感)を下記の評価基準に従い評価した。
<評価基準>
5:非常に改善
4:改善
3:やや改善
2:どちらともいえない
1:改善しない
【0051】
<ドライアイ改善2>
ドライアイ症状(重症度レベル4)を訴える者(3名)に対し、眼科用組成物を50μL点眼し(2時間間隔で3回)、3回目点眼30分後のドライアイ改善の程度(目の乾燥感)を下記の評価基準に従い評価した。結果は、3名の平均値(小数点第1位を四捨五入)を示す。
<評価基準>
7:きわめて改善
6:非常に改善
5:かなり改善
4:改善
3:やや改善
2:どちらともいえない
1:改善しない
【0052】
<眼刺激性>
眼科用組成物5mLを洗眼用カップにとり、30秒間洗眼した。洗眼中に感じる眼刺激を以下の基準により評価した。なお、洗眼は仰向けの状態で、洗眼液が洗眼用カップからこぼれ落ちないように行い、5秒に1回の間隔でまばたきをし、洗眼液が眼表面全体を覆うような条件にて行った。
<評価基準>
5:刺激を感じない
4:どちらともいえない
3:刺激をやや感じる
2:刺激を感じる
1:非常に刺激を感じる
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
【表7】
【0060】
【表8】
【0061】
上述したように、本発明の眼科用組成物はドライアイ症状(重症度レベル4)と重い症状に特に顕著な効果を示すものであった。
【0062】
実施例及び参考例で使用した原料を下記に示す。
*1:ユニルーブ70DP−950B、薬添規、日油(株)又はLutrol F127,薬添規、BASF
*2:プロノン#188P、薬添規、日油(株)
*3:プロノン#235P、薬添規、日油(株)