特許第5673560号(P5673560)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5673560
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】持続性口腔用殺菌消毒液
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/26 20060101AFI20150129BHJP
   A61K 33/30 20060101ALI20150129BHJP
   A61K 33/34 20060101ALI20150129BHJP
   A61K 33/24 20060101ALI20150129BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20150129BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20150129BHJP
   A61K 31/7012 20060101ALI20150129BHJP
   A61K 38/00 20060101ALI20150129BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
   A61K33/26
   A61K33/30
   A61K33/34
   A61K33/24
   A61K31/375
   A61K31/198
   A61K31/7012
   A61K37/00
   A61P1/02
【請求項の数】16
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2011-551632(P2011-551632)
(86)(22)【出願日】2010年1月29日
(86)【国際出願番号】JP2010051203
(87)【国際公開番号】WO2011092835
(87)【国際公開日】20110804
【審査請求日】2012年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】506426100
【氏名又は名称】パナセア ディシンフェクタント カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(72)【発明者】
【氏名】秦 忠世
(72)【発明者】
【氏名】秦 知世
(72)【発明者】
【氏名】利森 仁
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 俊之
【審査官】 伊藤 清子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/133616(WO,A1)
【文献】 特開2007−070365(JP,A)
【文献】 特開2009−149537(JP,A)
【文献】 米国特許第04405599(US,A)
【文献】 特開昭60−013707(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第1252993(CN,A)
【文献】 特開平05−000944(JP,A)
【文献】 特開2000−109428(JP,A)
【文献】 特開平03−101623(JP,A)
【文献】 特開2004−300043(JP,A)
【文献】 特開昭62−138420(JP,A)
【文献】 特開昭63−211219(JP,A)
【文献】 PUTT, M.S. et al,Evaluation of an alum-containing mouthrinse in children for plaque and gingivitis inhibition during 4 weeks of supervised use,Pediatr. Dent.,1996年,Vol.18, No.2,p.139-144
【文献】 平井三耶子他,にがり水を用いた口腔ケアの試み−イソジンガーグル液との比較−,岩見沢市立総合病院医誌,2005年,Vol.31, No.1,p.51
【文献】 光井 武夫,新化粧品学(第2版第1刷),2001年,p.532-534
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 33/26
A61K 31/198
A61K 31/375
A61K 31/7012
A61K 33/24
A61K 33/30
A61K 33/34
A61K 38/00
A61P 1/02
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌作用を有する金属イオン、L−システイン、L−アスコルビン酸、非イオン系を除く界面活性剤、増粘剤収斂剤並びにシアル酸5〜10ppm及び/又はプロテイン10〜20ppmを含有することを特徴とする口腔用殺菌消毒液。
【請求項2】
抗菌作用を有する金属イオンがIII価の鉄イオン(Fe3+)、II価の鉄イオン(Fe2+)、亜鉛イオン(Zn2+)、銅イオン(Cu2+)、コバルトイオン(Co2+)、ニッケルイオン(Ni2+)及び銀イオン(Ag+)からなる群より選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載の口腔用殺菌消毒液。
【請求項3】
抗菌作用を有する金属イオンの濃度が、III価の鉄イオンでは50〜200ppm、II価の鉄イオンでは110〜400ppm、亜鉛イオンでは7.5〜125ppm、銅イオンでは15〜60ppm、コバルトイオンでは180〜300ppm、ニッケルイオンでは85〜175ppm、及び銀イオンでは1〜3ppmである請求項2に記載の口腔用殺菌消毒液。
【請求項4】
L−システインの濃度が100〜1000ppm及びL−アスコルビン酸の濃度が100〜500ppmである請求項1〜3のいずれかに記載の口腔用殺菌消毒液。
【請求項5】
非イオン系を除く界面活性剤が、アルキルベンゼンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、塩化ステアリルジメチルベンゼンアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼントニウム、塩化アルキルジアミノエチルグリシン及び塩酸アルキルポリアミノエチルグリシンからなる群より選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜4のいずれかに記載の口腔用殺菌消毒液。
【請求項6】
非イオン系を除く界面活性剤の濃度が20〜100ppmである請求項1〜5のいずれかに記載の口腔用殺菌消毒液。
【請求項7】
増粘剤がコーンスターチ、寒天、アルギン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸塩及びヒアルロン酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜6のいずれかに記載の口腔用殺菌消毒液。
【請求項8】
増粘剤の濃度が単独添加の場合にはコーンスターチでは20000〜35000ppm、寒天では1000〜1500ppm、アルギン酸ナトリウムでは5000〜8000ppm、コンドロイチン硫酸塩では8000〜15000ppm、ヒアルロン酸では3000〜5000ppmである請求項7に記載の口腔用殺菌消毒液。
【請求項9】
収斂剤がミョウバン類、カテキン類、にがり類又はホップエキスである請求項1〜8のいずれかに記載の口腔用殺菌消毒液。
【請求項10】
収斂剤の濃度がミョウバン類では8000〜12000ppm、カテキン類では5000〜10000ppm、にがり類では8000〜20000ppm、ホップエキスでは10000〜15000ppmである請求項9に記載の口腔用殺菌消毒液。
【請求項11】
ソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、安息香酸塩及びパラオキシ安息香酸エステルからなる群より選ばれる1種又は2種以上をさらに含む請求項1〜10のいずれかに記載の口腔用殺菌消毒液。
【請求項12】
ソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、安息香酸塩及びパラオキシン安息香酸エステルの濃度の総量が50〜100ppmである請求項11に記載の口腔用殺菌消毒液。
【請求項13】
ーブエキス又は精油100〜200ppmをさらに含む請求項1〜12のいずれかに記載の口腔用殺菌消毒液。
【請求項14】
ハーブエキス又は精油がユーカリ、ミント、カモミール、ラベンダー、オレガノ、グローブ、ローズマリー、タイム、ネロリ、パイン、ベルガモット、シダーウッド、ヒノキチオール、及びティートリーオイルからなる群より選ばれる1種又は2種以上である請求項13記載の口腔用殺菌消毒液。
【請求項15】
pHが2.5乃至4.0の範囲内に調整された請求項1〜14のいずれかに記載の口腔用殺菌消毒液。
【請求項16】
オストワルド相対粘度計による測定で、水道水の粘度を1とした場合の相対粘度が1.5〜2.2である請求項1〜15のいずれかに記載の口腔用殺菌消毒液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は上気道感染症や歯科の分野を含む口腔内感染症の予防や炎症の緩和に、さらには治療のサポートとして多目的に使用し得、殊にインフルエンザや風邪の予防に優れた効果を示す持続性口腔用殺菌消毒液に関わる。
【背景技術】
【0002】
30数億年前に誕生し、それ以来数十万種もの多種多様に拡がった微生物は、人間社会のあらゆる場面に、そして自然界の何れの場所にも良きにつけ悪しきにつけ影響を及ぼしている。その一つに共生関係があり、反芻動物の胃内とセルロース分解菌、マメ科植物と根粒バクテリア等は典型例として知られる。最近の例ではビタミンB群供給源としてのWolbachia(ボルバキア菌)があり、さらには細菌とインフルエンザウイルスの共同作業による感染の成立も一種の共生関係として注目されるところとなった。
この発見のきっかけは高齢の要介護者を対象に口腔内疾患による誤嚥性肺炎の予防を目的に某歯科大の研究グループが口腔ケアに参加、専門の歯科衛生士による積極的な指導を1回/週、半年間実施したところ、日常生活の中で最も頻度の高い疾患である上気道感染症(90%は風邪症候群)のうち、その施設ではインフルエンザの発症率が従来の1/10に激減した。その理由を分析した結果、口腔内に存在するプロテアーゼ(蛋白分解酵素)活性の強い常在菌(一例:ブドウ球菌)や外来の菌が上気道の粘膜を覆う蛋白の膜を破壊することによってウイルスのレセプター(受容体:シアル酸)が露出、ウイルス表面に棘のようにあるHA(ヘマグリチオン)という糖蛋白がそれに吸着、融合して細胞内に浸入するという感染メカニズムを丁寧な歯磨きによる除菌が妨害しているものと推論した(非特許文献1)。この細菌学の新説は理論的整合性が高く、今後上記事例について幅広い年齢層を対象に大規模な臨床検証を進める必要があろうが昔から風邪の予防に推奨される「うがい」は歯磨きと同様、喉の粘膜に張り付いた細菌とウイルス並びに細菌の繁殖の温床たる口中の栄養分を洗い流すため、理に適った方法の一つであることは間違いなかろう。うがい液が単なる水より消毒効果があればなお一層望ましいことは言うまでもない。
何故かなればインフルエンザウイルスの遺伝子変異はそれが季節性、新型を問わず殊の外早くヒトの2000万倍とも言われワクチンの効果を否定するものではないが、その製造には毎年の流行の型の予測を含めて紆余曲折がしばしばで、その点、消毒液による予防措置は容易かつ簡単明瞭で広範囲に有効性を発揮し得る。
【0003】
しかしながら「うがい」の効果を疑問視する専門家も少なくない。その理由としてうがい液が何であれ、
(1)単なるうがい程度では口腔内やのどに定着、生息している菌が多少減少するにしてその場限りでほどなく復元する。
(2)ウイルスはのどの上皮細胞(粘膜)に吸着したならば10分〜15分で細胞内に侵入する。つまり四六時中うがいをしなければ感染を防ぎ切れない。これは非現実的である。
(3)仮に頻繁にうがいを行ったとしても度々のうがいは粘膜の上皮細胞を機械的に荒らしてしまいそれはプロテアーゼの作用に等しい。
(4)また防衛機能の要の粘液をも同時に拭い去り、病原体の感染を容易にする。
(5)従来から消毒用うがい液の副作用の問題がある。例えば汎用されるヨード系のうがい液は優れたものではあるが粘膜の細胞の障害性が認められ体質によってはアレルギー反応を起す。また甲状腺に疾患のある人には禁忌である。歯や衣服に着色性があり味覚の点でも不快に感じる人は少なくない。市販される他のうがい液についても程度の差はあれ副作用の問題が指摘されている。
【0004】
ところで、本発明者等は、これに先立ち病原菌・ウイルスに対して有効な殺菌・抗菌作用を有する万能殺菌消毒液を開発している(特許文献1)。「万能殺菌消毒液」とは生命の基本物質であり、その根源でもある「アミノ酸、ビタミン、及びミネラル」を主成分とし、安全性が極めて高い上、一般細菌、抗酸菌、真菌、芽胞及びウイルスにいたる迄の広範囲な抗菌スペクトルを有し、皮膚、粘膜、傷口を始め排泄物、器具、器材、環境はては植物にまでその消毒対象は広く利便性豊かな消毒液である。下記表1に万能殺菌消毒液と公知の消毒剤との消毒効果の結果の概略を示す。
【0005】
【表1】
【0006】
また、前記万能殺菌消毒液の毒性については、近畿大学医学部免疫学教室での試験の結果、以下の成績を得ている。
(1) マウスに於けるLD50は経口投与(p.o)1mL 推定10mL・・・人に換算18L
(2) 腹腔投与(i.p):4mL・・・人に換算7.2L
(3) 動物細胞(サル腎CV−1及び人リンパ球)は10倍希釈で約半数の細胞は何ら障害を受けず増殖する
(4) 長期にわたり皮膚に塗布しても何ら異常は認められない
上記試験成績から「万能殺菌消毒液」の安全性は普通の飲用水やミネラル水に等しいと言っても過言ではない。
【0007】
特許文献1の実施例4では、万能殺菌消毒液をうがい水として用いた場合に、従来汎用されるポピヨンヨードと比べて同等の消毒効果を有しており、さらに60分間はうがいの効果が持続している点、また安全性の点でより優れたものであることを確認していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2009/133616号パンフレット
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】足立三枝子等、老年歯科医学第22巻第2号83−88頁、2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、前記特許文献1の万能殺菌消毒液を使ったうがい効果について、さらに時間を追って試験したところ、うがい前の菌数を100%とした場合、うがいをした後3時間程度で30%位まで菌数が回復しているという知見を得たことで、前記万能殺菌消毒液をうがい水として使用するには、消毒効果の持続性についてさらに検討の余地があることがわかった。
【0011】
したがって、本発明は、上記した従来のうがい液の欠点を解消し、さらに新説に基づくインフルエンザの感染システムのブロックを始めとして上気道感染症、口腔内感染症及び歯科領域の感染症に到るまでの予防や治療に、また炎症の緩和、口臭の除去に有効かつ多目的に極めて安全性に使用することができる、優れた消毒効果を有し、かつ消毒効果の持続性に優れた口腔用殺菌消毒液を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、鋭意検討した結果、特許文献1に記載の万能殺菌消毒液に増粘剤と収斂剤とを混合することで、万能殺菌消毒液よりもウイルスや細菌に対する消毒効果を向上させ、しかも、消毒効果の持続性を飛躍的に高めることに成功し、本発明を完成させた。
【0013】
すなわち、本発明は、
[1]抗菌作用を有する金属イオン、L−システイン、L−アスコルビン酸、非イオン系を除く界面活性剤、増粘剤収斂剤並びにシアル酸5〜10ppm及び/又はプロテイン10〜20ppmを含有することを特徴とする口腔用殺菌消毒液、
[2]抗菌作用を有する金属イオンがIII価の鉄イオン(Fe3+)、II価の鉄イオン(Fe2+)、亜鉛イオン(Zn2+)、銅イオン(Cu2+)、コバルトイオン(Co2+)、ニッケルイオン(Ni2+)及び銀イオン(Ag+)からなる群より選ばれる1種又は2種以上である前記[1]に記載の口腔用殺菌消毒液、
[3]抗菌作用を有する金属イオンの濃度が、III価の鉄イオンでは50〜200ppm、II価の鉄イオンでは110〜400ppm、亜鉛イオンでは7.5〜125ppm、銅イオンでは15〜60ppm、コバルトイオンでは180〜300ppm、ニッケルイオンでは85〜175ppm、及び銀イオンでは1〜3ppmである前記[2]に記載の口腔用殺菌消毒液、
[4]L−システインの濃度が100〜1000ppm及びL−アスコルビン酸の濃度が100〜500ppmである前記[1]〜[3]のいずれかに記載の口腔用殺菌消毒液、
[5]非イオン系を除く界面活性剤が、アルキルベンゼンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、塩化ステアリルジメチルベンゼンアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼントニウム、塩化アルキルジアミノエチルグリシン及び塩酸アルキルポリアミノエチルグリシンからなる群より選ばれる1種又は2種以上である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の口腔用殺菌
消毒液、
[6]非イオン系を除く界面活性剤の濃度が20〜100ppmである前記[1]〜[5]のいずれかに記載の口腔用殺菌消毒液、
[7]増粘剤がコーンスターチ、寒天、アルギン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸塩及びヒアルロン酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上である前記[1]〜[6]のいずれかに記載の口腔用殺菌消毒液、
[8]増粘剤の濃度が単独添加の場合にはコーンスターチでは20000〜35000ppm、寒天では1000〜1500ppm、アルギン酸ナトリウムでは5000〜8000ppm、コンドロイチン硫酸塩では8000〜15000ppm、ヒアルロン酸では3000〜5000ppmである前記[7]に記載の口腔用殺菌消毒液、
[9]収斂剤がミョウバン類、カテキン類、にがり類又はホップエキスである前記[1]〜[8]のいずれかに記載の口腔用殺菌消毒液、
[10]収斂剤の濃度がミョウバン類では8000〜12000ppm、カテキン類では5000〜10000ppm、にがり類では8000〜20000ppm、ホップエキスでは10000〜15000ppmである前記[9]に記載の口腔用殺菌消毒液、
[11]ソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、安息香酸塩並びにパラオキシ安息香酸エステルからなる群より選ばれる1種又は2種以上をさらに含む前記[1]〜[10]のいずれかに記載の口腔用殺菌消毒液、
[12]ソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、安息香酸塩及びパラオキシン安息香酸エステルの濃度が50〜100ppmである前記[11]に記載の口腔用殺菌消毒液、
[13]ハーブエキス又は精油100〜200ppmをさらに含む前記[1]〜[12]のいずれかに記載の口腔用殺菌消毒液、
[14]ハーブエキス又は精油がユーカリ、ミント、カモミール、ラベンダー、オレガノ、グローブ、ローズマリー、タイム、ネロリ、パイン、ベルガモット、シダーウッド、ヒノキチオール、及びティートリーオイルからなる群より選ばれる1種又は2種以上である前記[13]記載の口腔用殺菌消毒液、
[15]pHが2.5乃至4.0の範囲内に調整された前記[1]〜[14]のいずれかに記載の口腔用殺菌消毒液、
[16]オストワルド相対粘度計による測定で、水道水の粘度を1とした場合の相対粘度が1.5〜2.2である前記[1]〜[15]のいずれかに記載の口腔用殺菌消毒液
に関する。

【発明の効果】
【0014】
本発明の口腔用殺菌消毒液は、安全性に優れ、ウイルスや細菌に対する殺菌消毒性に優れ、その効果の持続性にも優れることから、うがいや口ゆすぎを1回行うことで、ウイルスまたは細菌が経口や上気道感染することで発症する様々な疾患を長時間、予防することが可能になる。したがって、1日に3〜4回程度、定期的にうがいや口ゆすぎをすることで、効率的に前記疾患の感染を予防することができる。
また、口腔内に存在する虫歯の原因菌などの殺菌を可能にすることで、虫歯防止、口臭防止など口腔ケアも可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、前記のとおり、特許文献1をベースにして開発されたものであり、特許文献1に記載される以下の成分は本発明に全て取り込むことができる。
【0016】
(1)抗菌作用を有する金属イオン
抗菌作用を有する金属イオンとしては、前記特許文献1で使用される金属イオンであればよく、例えば、III価の鉄イオン(Fe3+)、II価の鉄イオン(Fe2+)、亜鉛イオン(Zn2+)、銅イオン(Cu2+)、コバルトイオン(Co2+)、ニッケルイオン(Ni2+)又は銀イオン(Ag+)が挙げられる。これらの金属イオンは単独でも併用してもよい。
本発明の口腔用殺菌消毒液中の前記金属イオンの量としては、所望の殺菌力が得られるように適宜調整すればよいが、例えば、鉄イオンでは50〜200ppm、II価の鉄イオンでは110〜400ppm、亜鉛イオンでは7.5〜125ppm、銅イオンでは15〜60ppm、コバルトイオンでは180〜300ppm、ニッケルイオンでは85〜175ppm及び銀イオンでは1〜3ppmであることが好ましい。
【0017】
また、前記金属イオンとしては、例えば、水に可溶し、イオンとなる前記各種化合物を使用すればよい。例えばFe3+イオンについては塩化第二鉄、硝酸第二鉄・六水和物、硝酸第二鉄・九水和物、硝酸第二鉄・n水和物、リン酸第二鉄・n水和物、クエン酸第二鉄・n水和物等、Fe2+イオンについては塩化鉄・四水和物、グルコン酸鉄、クエン酸鉄、蓚酸鉄等、Zn2+についてはクエン酸亜鉛・二水和物、グルコン酸亜鉛等、Cu2+については塩化銅・二水和物、塩化二アンモニウム銅・二水和物、硝酸銅・三水和物等、Co2+についてはグルコン酸コバルト三水和物、水酸化コバルト、クエン酸コバルト等、Ni2+については硝酸ニッケル等並びにAg+については硫酸銀、リン酸銀等が挙げられる。
【0018】
(2)L−システイン
L−システインは含硫アミノ酸の一種で皮膚の代謝に不可欠な成分でコラーゲンの生成を助けL−アスコルビン酸と協働してメラニンの発生を抑制する。皮膚、爪、髪の主要構成成分で体内に広く分布している。そして意外にもL−システインそのものも用い方次第で抗菌作用を発現するのみならず、分子構造中にSH基(硫黄と水素の結合したチオール基)と抗菌性の金属イオンとが結合、活性を増幅して強い殺菌性を発現、DNA阻害、酵素の失活、代謝機能の阻害、蛋白の変性またフリーラジカルの発生により菌体破壊を促進せしめる。強い抗酸化作用と還元作用で構成成分の安定性に寄与し、生体親和性が高く病原体に強く付着してひいては浸透性を助長しうる役割を担う。その至適濃度は含有する金属イオンの種類とその濃度により若干異なるが、イオン濃度の数倍程度が好ましい。例えば、本発明の殺菌消毒液中におけるL−システインの含有量は、100〜1000ppmが好ましい。
【0019】
(3)L−アスコルビン酸
L−アスコルビン酸の作用については前記の通りである。本発明の口腔用殺菌消毒液中におけるL−アスコルビン酸の含有量は、100〜500ppmであることが好ましい。
【0020】
(4)非イオン系を除く界面活性剤
非イオン系を除く界面活性剤としては、前記特許文献1で使用される界面活性剤であればよく、例えば、以下の陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
(陰イオン系界面活性剤)
アルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS系)、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS系)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(AES系)、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、高級アルコール硫酸エステル塩(AS)
(陽イオン系界面活性剤)
塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼントニウム
(両性界面活性剤)
塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、塩酸アルキルポリアミノエチルグリシン
前記非イオン系を除く界面活性剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
本発明の口腔用殺菌消毒液では、上記非イオン系を除く界面活性剤を20〜100ppm量含有することにより殺菌作用は増幅されかつ殺菌時間が著しく短縮される。
【0022】
(5)その他
本発明の口腔用殺菌消毒液は、ソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、安息香酸塩、及びパラオキシ安息香酸エステル類からなる群より選ばれる1種以上を含有することで、殺菌力を向上することが可能になる。
前記ソルビン酸塩としては、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウムが挙げられる。
また、安息香酸塩としては、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸アンモニウム、安息香酸亜鉛が挙げられる。
また、パラオキシ安息香酸エステル類としては、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピルが挙げられる。
前記ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸、安息香酸塩、及びパラオキシ安息香酸エステル類の口腔用殺菌消毒液中の濃度は、50〜100ppmが好ましい。
【0023】
次いで、本発明の口腔用殺菌消毒液を開発するに当たり、特許文献1で記載した万能殺菌消毒液に追加する成分の検討を行った。
【0024】
<万能殺菌消毒液の製造>
製造例A
溶液I:塩化第二鉄・六水和物(FeCl3・6H2O) 0.96gを精製水200mlに溶解する。
溶液II:L−システイン1g、L−アスコルビン酸0.1g、ソルビン酸カリウム0.05g、ラウリル硫酸ナトリウム0.1gを精製水800mlに溶解する。
次に溶液Iと溶液IIとを混和せしめ1規定の塩酸0.6mlを添加してpH3.0に調整して万能殺菌消毒液を製造した。
【0025】
【表2】
【0026】
以下、同様の製造方法で各種の万能殺菌消毒液を作製し製造例B、C、D、Eとした。
【0027】
【表3】
【0028】
前記の組成から明らかように「万能殺菌消毒液」は安全性のある成分から構成されており、しかも広範囲な抗菌スペクトルを有している。そこで、この抗菌スペクトルを維持しながら、消毒効果を持続させることを目的として以下のように検討を行った。
【0029】
(1)粘性の付与
従来のうがいでは細菌、ウイルスや塵埃だけでなく、外敵からの防衛機能の要である粘膜付着の粘液をも洗い流し、粘膜があらわになってしまい、うがいをすることで返って感染のチャンスを与えているのではとの指摘がされていた。例えばカエルの体表面の粘液を洗剤などで綺麗に取り去ればたちまちツボカビ類に感染し程なく衰弱死することが知られているがこれに似た現象が従来のうがいでも生じている疑いがある。
【0030】
そこで、本発明者等は、この粘液の流出はうがい液に粘性を付与することで粘液の代替にならずとも一部解決するのではと推察した。何故かなれば本来存在する粘液をうがい液に置き換えて粘膜を覆うことにより、従来のその時限りのうがいの効果を持続しつつ外敵であるウイルスや細菌を粘液で捕捉しえると推察されるからである。
【0031】
(殺菌性の人口粘液)
実験に先立ち、どの程度の粘性までなら違和感や抵抗感がなくうがいをなし得るかを老若男女20人にモニターを依頼した。
【0032】
粘度の測定にはオストワルド相対粘度計を採用した。原理は一定温度下で試料液を吸い上げ自重によって流下する液面が刻線L1からL2を通過する時間を測る事で相対的な粘度を測定するもので、水道水の粘度を1として計測した。ちなみに「万能殺菌消毒液」の粘度は水道水に等しく1を示した。結果、個人差はあれど相対粘度2.2以下であれば特に不快感なくうがいを行えるとの結論が得られた。なお、粘度調整については食品用増粘剤(デンプン類、食物繊維等)を用い、前記万能殺菌消毒液に添加していくことで行った。
【0033】
次に上記万能殺菌消毒液の代表例A、B、及びCを製造する際に使用する精製水の代わりに各種食品に添加される増粘剤(デンプン類、食物繊維など)で相対粘度2.2に調整した液を使って作製した試験消毒液a1、b1、及びc1の殺菌消毒効果を検証することにした。
【0034】
供試菌としてグラム陽性(+)菌の代表にS.aureus209Pを、グラム陰性(−)菌の代表としてE.coli O−157を採択した。夫々の菌の懸濁液(1×109cells/生食水)を上記の粘性ある試験消毒液a1、b1、c1に1重量%となるように滴下して、経時的に一白金耳釣菌し普通ブイヨンに植菌し、37℃、好気性で攪拌培養を行った。そして、菌の増殖の有無により殺菌消毒効果の程度を判定した。その成績を以下の表4に記載した。
【0035】
尚、精製水で作製した万能殺菌消毒液A、B、Cの殺菌力を便宜上「+++」で表現した。
+++ : 万能殺菌消毒液と試験消毒液との殺菌力との間に有為の差はない
++ : 試験消毒液の殺菌力が下落し、殺菌には時間を要する
+ : 試験消毒液の殺菌力がかなり下落。使用不可
− : 試験消毒液の殺菌力が失活
【0036】
【表4】
【0037】
表4に示す結果から明らかなように、添加する増粘剤の種類によっては殺菌力の低下が見られた。この低下は芽胞やウイルスの崩壊作用の弱化にも深く関与している事が確認された。
【0038】
表記以外にも多種にわたる増粘剤について試験を作ったところ、コーンスターチ、寒天、アルギン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸塩、ヒアルロン酸が万能殺菌消毒液の増粘剤として適していること及びこれらを組合せて使用しても何ら問題がないことが実証された。
【0039】
次に消毒液の粘膜への付着の程度を見た。
前記万能殺菌消毒液Aに寒天を0.15%含有する、相対粘度2.2を示す試験消毒液で1回15秒3回うがいを行い唾液による流出が比較的少ない上の歯肉部から15分毎に白金耳で釣菌するという簡易な細菌検査をした所、30分程度はほぼ無菌状態でその後は菌が徐々に増加していく様子が観察された。すなわち粘性を有する本液は僅かずつ粘膜から遊離していくものの1時間程度は殺菌能力を充分維持している状態で歯肉に付着していることを物語っていた。
【0040】
尚、より簡便な検査方法を探索した結果、前記試験消毒液に食品添加物の色素青色2号を0.05%添加してうがいを行い、歯肉や口腔内粘膜に付着した青色が時間の経過に伴なって退色していく様子を肉眼的観察することにより実際に細菌検査をした場合とおおよそパラレルな関係であることを見出し、以降、各種テストをするに当っては青色2号の添加を採用した。テストの要所に於いては細菌検査も併行して実施した。尚、上記テスト法により相対粘度の下限を求めた所、1.5は必要との結論が得られた。したがって、前記相対粘度としては、1.5〜2.2が好ましい。
実験の結果、上記粘性を示す各種増粘剤の濃度の範囲は以下の表5の通りである。
【0041】
【表5】
【0042】
しかしながら、後記するように粘性を付与せしめるだけでは、うがいによる殺菌消毒効果の持続性が一段も二段も向上したとは言い難い成績であった。
【0043】
(2)収斂作用の付与
収斂作用とは、粘膜や皮膚の表面付近の蛋白質を一時的又は継続して可逆的に凝固、変性せしめることで、水不溶性物が生じ、その水不溶性物が被膜となって粘膜や皮膚の表面に緻密なバリアを張ることで、外部からの刺激を緩和し、防腐、鎮痛、食感等を向上する作用効果を示す。殊に喉はひだ状の粘膜に覆われて収斂作用を強く受ける。
【0044】
収斂作用を有する食品や食品添加物としては、ミョーバンやカテキン(タンニン)、にがり、ホップエキス等が挙げられる。
【0045】
前記万能殺菌消毒液A、B及びCに種々の濃度の収斂剤を添加して得られた試験消毒液a2、b2、c2について、口腔内や喉に違和感や不快感のない濃度を20人でモニターし、上限の濃度を添加した時の殺菌力について表4と同様に検証した。
【0046】
【表6】
【0047】
表6の結果から明らかな様に、収斂剤はその種類を問わず殺菌力には殆ど影響を及ぼさなかった。
次に該試験消毒液a2でうがいを行った場合、粘膜上に於ける殺菌持続時間を計測することにした。青色2号を0.05%量添加して上部の歯肉部で観察した所、収斂剤の種類により多少異なるがミョーバンでは約1.5時間、カテキンでは約2時間、にがりとホップエキスでは1時間強程度有効であった。結果を表7に示す。
【0048】
【表7】
【0049】
表7は試験消毒液a2の成績であるが試験消毒液b2及びc2も類似の成績を示した。
【0050】
また、色素での判定だけでなく実際に時間の経過と併に上部の歯肉部の場所を変えながら滅菌ガーゼで拭き取り菌の消長を常法に従い測定したが上表に類似の成績であった。例えば、カテキンに於いては約90分まではほぼ無菌状態、以降菌の出現が徐々に認められるが180分を経過してもうがい前の10〜15%の菌数に止まった。うがいによる消毒効果が持続するメカニズムは、収斂作用により粘膜が縮む時に消毒液を抱き込み、そして不溶性の薄い膜で覆うことで粘膜上に2重の強固なバリアが生じて、ウイルスや細菌などの病原体が、粘膜や皮膚表面に付着することをブロックしているものと推察される。
【0051】
尚、収斂剤としては、異種を混和して添加するよりは単独での使用が殺菌力及びその持続力が優れていること及びその至適濃度はミョーバン類で8000〜12000ppm、カテキン類で5000〜10000ppm、にがり類で8000〜20000ppm、ホップエキスで10000〜15000ppmであることが確認された。
【0052】
また、ミョーバン類やカテキン類としては数種類以上の化合物が存在するが何れであっても効果に大きな差ないことが分かった。また、にがり類とは海水を煮つめて抽出した塩の後に残る苦い液でその主成分は硫酸マグネシウム、他に塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が含まれる。一般的には豆腐の凝固に使用されるが脂肪の吸収抑制作用や血糖値の抑制作用などがあることが解明されて、現在は様々な食品や化粧品にも応用されている。ついでながらカテキン類には、抗菌力、抗ウイルス作用を始め、抗酸化力、抗癌作用、解毒作用など様々な薬理効果が確認されている。
【0053】
(3)粘性と収斂性との組み合わせ
以上の試験成績を踏まえて粘性と収斂性とを付与した場合の効果を検証してみることにした。
【0054】
万能殺菌消毒液Eに、有効な各種増粘剤と収斂剤とを複合添加して得られる口腔用殺菌消毒液Eについての成績の一部を表8に記載した。
【0055】
【表8】
【0056】
上記組合せ試験の結果、増粘剤単独添加でのうがいによる殺菌力の持続時間は1時間程度、収斂剤単独では2時間程度であったものが、両者を混合することで持続時間が飛躍的に延びるという相乗効果が発現した。なお、口中の菌は全て死滅するわけではないが粘膜上では5〜7時間にわたり殺菌効果が持続した。また、唾液中の菌数は、うがい前の10〜15%になるには優に6時間は要した。
表8の結果は、万能殺菌消毒液Eをベースにした時の成績であるが万能殺菌消毒液A〜Dをベースにした時も類似の好成績が得られた。
【0057】
以上のことから、本発明の口腔用殺菌消毒液に使用される増粘剤としては、コーンスターチ、寒天、アルギン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸塩及びヒアルロン酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。また、増粘剤の濃度として単独添加の場合にはコーンスターチでは20000〜35000ppm、寒天では1000〜1500ppm、アルギン酸ナトリウムでは5000〜8000ppm、コンドロイチン硫酸塩では8000〜15000ppm、ヒアルロン酸では3000〜5000ppmであることが好ましい。
【0058】
また、本発明の口腔用殺菌消毒液に使用される収斂剤としては、ミョウバン類、カテキン類、にがり類及びホップエキスからなる群より選ばれる1種であることが好ましい。また、収斂剤の濃度としては、ミョウバン類では8000〜12000ppm、カテキン類では5000〜10000ppm、にがり類では8000〜20000ppm、ホップエキスでは10000〜15000ppmであることが好ましい。
【0059】
(4)口腔用殺菌消毒液の力価のさらなる向上について
(I)粘膜親和性の向上
口腔用殺菌消毒液の主成分は生体の基本構成成分たるアミノ酸、ビタミン、ミネラルであり、元来生体や粘膜に対して親和性を有しているがより高い親和性を付与せしめることを鋭意追及した結果、或る種のハーブのエキスや精油が有効であることを突き止めた。
前記ハーブエキス又は精油としては、ユーカリ、ミント、カモミール、ラベンダー、オレガノ、グローブ、ローズマリー、タイム、ネロリ、パイン、ベルガモット、シダーウッド、ヒノキチオール及びティートリーオイルからなる群れより選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0060】
前記ハーブエキスや精油を口腔用殺菌消毒液に含有させることで、粘膜への親和性の向上だけでなく抗菌活性をも有し、優れた消炎性も発揮する利点がある。さらに、ハーブエキスや精油の芳香は、粘膜を経緯して直接大脳辺縁系に到達し、それが視床下部に伝達され自律神経系やホルモン系を刺激し、夫々に関与する神経化学物質が分泌され、心と身体のバランスを調整し免疫系を刺激せしめる効果も期待できる。また肺に吸入されたものは拡散しながら全身の毛細血管に送られ特有の薬効をもたらすことが科学的に確認されている。
【0061】
これらハーブのエキスや精油を適量(100〜200ppm)添加することで、味覚、嗅覚に伴って消炎作用を始めとする幾多の生理作用に連動、利便性豊かとなり付加価値の一段の向上に寄与しえた。さらには粘膜への親和性の向上により殺菌効果の持続性は、平均1〜1時間半延び、中でもユーカリやミントを添加したものは優に8時間を超えた。
尚、ハーブの香りそのものは、うがい後の約30分程で口中から自然消失する。
【0062】
(II)インフルエンザウイルスの感染防禦物質の添加
(イ)インフルエンザはウイルスの表面に幾つもの棘のようにある赤血球凝集素(HA)が粘膜の上皮細胞に存在するシアル酸に吸着することから感染が始まる。従って、口腔用殺菌消毒液の中に微量のシアル酸(5〜10ppm)を含有せしめることによりウイルスが気道に多量に侵入して来てもこのシアル酸に先ず吸着し、粘性の口腔用殺菌消毒液にからみ取られウイルスは数分で失活してしまうという利点がある。仮にうがい後時間が経過してうがい水の効力が落ちたとしても含まれるシアル酸にウイルスが吸着したならば粘膜細胞までたどり着くのは容易ではない。
【0063】
(ロ)プロテインの添加
口腔内の或る種の細菌が産生する活性の強いプロテアーゼが喉の上皮細胞を荒らすことでウイルスの感染が容易となる。この作用の妨害にプロテインを口腔用殺菌消毒液に含有せしめることにより、存在のプロテアーゼは先ずこの含有のプロテインを分解して失活、消失して、ウイルス感染を困難にするという利点がある。プロテインの種類は特に選ばず10〜20ppmの微量で充分でこの濃度は口腔用殺菌消毒液の殺菌効果には全く影響しない。
【0064】
なお、本発明の口腔用殺菌消毒液は、前記各種成分を水又は加熱水に添加、混合することで調製することができる。添加の順番は特に限定はない。また、媒体として使用する水についても、水道水、イオン交換水、純水、精製水等が挙げられ、使用目的に応じて適宜選択すればよい。
【0065】
また、本発明の口腔用殺菌消毒液では、酸性に調整することで、殺菌消毒液の構成成分の力価の維持と安定性に貢献すると同時に、病原体内部への浸透をサポートする。本発明の殺菌消毒液のpHは2.5〜4.0であることが好ましい。なお、pHの調整には、公知のpH調整剤を使用することができる。
【0066】
なお、本発明にいう殺菌消毒とは、口腔内に存在する菌を死滅させることをいう。また、本発明での殺菌消毒は、その効果が持続する点で、従来品とは一線を画する顕著な効果を奏するといえる。ここで、従来のうがい薬を用いてうがいをすると、口腔内の菌数は一度低減しても時間がたつと回復していく。これに対して、本発明では、うがい後の口腔内の菌数の回復を顕著に遅らせることができる。
【0067】
また、本発明にいう病原体とは、経口や上気道からの感染により疾患を引き起こすことができるウイルスや細菌をいい、腸管感染症、呼吸器感染症等各種感染症の原因菌である、サルモネラ菌(Salmonella spp.) 、赤痢菌(Shigella spp.) 、腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus) 、コレラ菌(Vibrio choreae)、大腸菌O−157(Escherichia coli O-157)、カンピロバクター(Campylobacter jejuni)、偽膜性大腸炎菌(Clostridium difficile) 、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens) 、エルシニア腸炎菌(Yersinia enterocolitica) 、ピロリ菌(Helicobacter pylori) 、アメーバ赤痢菌(Entemoeba histolytica) 、セレウス菌(Bacillusu cereus)、ブドウ球菌(Staphilococcus spp.) 、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum) 、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、クラミデア肺炎菌(Chlamidia pneumoniae)、レジオネラ肺炎菌(Legionella pneumoniae) 、ブランハメラ菌(Branhamella catarrhalis) 、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae) 、A型溶連菌(Storeptcoccus pyogenes)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae) 、百日咳菌(Bordetella pertussis)、オーム病菌(Chramidia psittaci)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin resistant Staphylococcus aureus,MRSA) 、大腸菌(Escherichia coli)、肺炎捍菌(Klebsiella pneumoniae) 、エンテロバクター(Enterobacter spp.) 、プロテウス(Proteus spp.)、アシネトバクター(Acinetobacter spp.)、腸球菌(Enterococcus faecalis) 、ブドウ球菌(Staphylococcus saprophyticus)、B型溶連菌(Storeptcoccus agalactiae)等、を例示することができる。
また、本発明でいうウイルスとは、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、RSウイルス、鳥インフルエンザウイルス、ノロウイルス、肝炎ウイルス、エイズウイルス、ロタウイルス等を例示することができる。
【0068】
本発明においては、ヒトにおいて、うがい、ゆすぎなどにより本発明の口腔用殺菌消毒液で口腔及び喉などの粘膜を殺菌消毒することで、前記病原体の経口や気道からの感染を予防することが可能になる。また、本発明の口腔用殺菌消毒液は、刺激性の少ない成分からなるものであり、別の感染経路である鼻腔内の殺菌消毒にも使用することができる。
また、非ヒト動物においても、本発明の口腔内殺菌消毒液を口腔に含ませたり、鼻腔内の殺菌消毒することで、前記病原体の感染を予防することが可能である。
口腔内や鼻腔内の消毒手法としては、常法に従えばよいが、例えば、うがい、ゆすぎの他、口腔内殺菌消毒液をスプレーしたり、口腔内殺菌消毒液を含ませた綿棒等で口腔又は鼻腔の表面に接触させればよい。
なお、非ヒト動物としては、ネコ、イヌ、ウサギ、ニワトリ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマ等の家畜が挙げられる。
【0069】
なお、予防の薬学的な利益を確実にするのに適当な口腔内殺菌消毒液の用量は、ヒト又は非ヒト動物の齢、性別、体重などの当業者にとって公知のパラメータにしたがって選択される。
【0070】
以上のように、本発明の口腔用殺菌消毒液は、安全性に優れた成分から構成されるものであり、優れた殺菌消毒性に加えて、粘性と収斂性とが相俟って感染のターゲットとなる粘膜や皮膚の表面に不溶性のバリアを張り、粘膜や皮膚の表面に粘性の口腔用殺菌消毒液を封じ込めることで、ウイルス、細菌などの病原体の感染を阻止すると推測される。
【0071】
これだけでも強固な2重のバリアが存在する上に、シアル酸及び/又はプロテインを口腔用殺菌消毒液に含有させることで、感染防禦をより強固にできる。さらに、ハーブエキス又は精油を口腔用殺菌消毒液に含有させることで、ハーブエキス又は精油の粘膜親水性と生理作用とが相乗って、都合5重の防衛システムを構築、病原体を生きたまま上皮細胞に寄せ付けない、近づけない防衛機能を発揮することで、従来のうがい水と比べて、うがいによる殺菌効果の持続性を顕著に伸ばすことが可能となる。
【0072】
以下具体的な製造例並びに実施例について説明を加える事とするが本発明の趣旨はこれ等に限定されるものではない。本発明の構成成分とその濃度との組合せにより多様に本発明のうがい水が製造可能であるが、ここではその内代表的な例に止めてそれを後述の実施例に採用した。
【0073】
なお、基本的な製造方法は金属イオンを含有する溶液〔α〕と金属イオン以外の成分を含有する〔β〕とを別個に製造し、両者を混和するという方法が好ましい(溶液〔α〕+溶液〔β〕=各成分の設定濃度)、尚溶液〔β〕に含有の増粘剤は予め単独で加温溶解し、その液に他の成分を添加溶解せしめる事が好ましい。
【0074】
溶液〔α〕と溶液〔β〕の夫々の容量は等量ずつでもよいが好ましくは1:9又は2:8程度が成分の析出のトラブルを未然に防ぐ事が出来る。pHの調整(2.5〜4.0)には希塩酸が好ましい。
【実施例】
【0075】
〔製造例1〕
<溶液α>:塩化第二鉄・六水和物0.96gを水200mlに溶解する。
<溶液β>:水800mlにアルギン酸ナトリウム8gを添加、加湿溶解する。
該液にL−システイン1g、L−アスコルビン酸0.1g、ソルビン酸カリウム0.05g、ラウリル硫酸ナトリウム0.1g、ミョーバン(硫酸アルミニウムカリウム)8g、L−メントール0.2g、シアル酸5mg、蛋白粉末(大豆由来)10mgを添加して溶解する。
【0076】
次に<溶液α>と<溶液β>とを混和して1規定の塩酸0.6mlを添加して作製した。
以下同様の方法で本発明の口腔用殺菌消毒液(本うがい水と略す)を製造し製造例を2〜8として表9−1、表9−2にまとめた。
【0077】
【表9-1】
【0078】
【表9-2】
【0079】
<試験例1>
うがいをした時、その効果の概略を唾液中に存在する生菌数の消長で見る事にした。製造例1及び2、その比較としての水のみでのうがい、汎用されるヨード系うがい薬、万能消毒液Aについてもテストした。夫々の試験区各3名、1回20秒うがいを3回行いその直後、30分後、1時間後、以降1時間毎に唾液を0.5ml採取、唾液1ml中に存在する生菌数を常法に従い計測した。結果を表10に示す。表中の数値は夫々3名の平均値の概算を記載したものである。尚、括弧内はうがい前の菌数を100とした場合の菌数の割合を示す。測定時間中は正確を期する為に飲食物を一切口にする事は禁じた。
【0080】
【表10】
【0081】
表10に示す成績から明らかなように水道水でうがいをするだけでも直後の菌数は僅か5%になる。しかし時間の経過とともに意外に早く元の菌数に復する事がわかった。
対してうがい薬として推奨されるポピドンヨードの場合、直後2%まで減少するがその後は徐々に増加、1時間後には30%のレベルに、5時間後には元に戻った。万能消毒液を使用した時は直後2%、1時間後にも15%の水準を保っていたが8時間を経て元の菌数になった。
これらに対して本うがい水を採用した場合は15分後まで菌は検出されず30分後に初めて出現、1時後経過でも3〜5%その後も同じレベルをしばらく維持、6時間後から徐々に増え始め、8時間後に20%前後(万能殺菌消毒液の1〜1.5時間経過と同レベル)、元の菌数に復活するには12時間以上を要した。
唾液中の菌数と粘膜上の菌数とは異なるとは言え、本うがい水の効果は少なくとも8時間は保持できるといえる。したがって、本うがい水を用いて、例えば、一日あたり、朝、昼、晩の3回、うがいを行うことで、経口や上気道からの感染を起す病原体に対して、きわめて有効な感染予防効果が得られると推測される。
【0082】
<試験例2>
次に製造例3で作成したうがい水でうがいをした時、被験者3名の粘膜上に存在する生菌数の推移を調査した。粘膜には唾液も付着し、試験例1に準じた結果になるのではとの推測の元、唾液の影響を受けにくい上部の歯肉部から採取場所を変えながら経時的に1辺5mmの滅菌ガーゼで拭い、常法(ワプス法)に従い計測した。その結果を表11に示す。
尚、うがい前の菌数を100として表した。また、♂は男性、♀は女性を示す。
【0083】
【表11】
【0084】
表11の結果より、歯肉に付着の細菌は唾液中に存在する細菌の復元よりさらに遅れ6時間後経過した時点でも5%に満たなかった。このデータと実施例1とのデータとを勘案すれば粘膜上でうがい前の菌数になるにはほぼ丸1日かかるのではと推測された。
【0085】
<試験例3>
口唇は粘膜ではないが、唾液の影響は殆ど受けない為、口唇に製造例5で作製した本うがい水を塗布、口唇上の菌の消長を検査した。
塗布前の上唇左半分に付着の菌数を測定、塗布し、4時間後に上唇右半分、8時間後下唇左半分、12時間後下唇右半分に付着している菌数をワプス法にて測定した。その間食事はゼリー状の栄養食(大塚製薬(株)製、「エネルゲン」(登録商標))をストローにて吸い込むに止め、極力外部から受ける影響を排除した。
結果を表12に示す。
【0086】
【表12】
【0087】
表12に示す結果から、環境中に多数浮遊する細菌に常時さらされている口唇に関わらず10時間程はほぼ無菌状態にあった。その理由として唇の表面に本うがい水によるコーティングが出来それが唾液で洗い流されない為、強固に付着した状態で効果が長く続くからと推測された。
【0088】
<試験例4>
自他共に口臭に悩んでいる10名に対して各種製造法で作製したうがい水で1回20秒3回(計1分間)2回/日1週間口うがいを行った。食事は臭いの強い食物(にんにく、にら等)を除いては自由摂食とした。
無臭性の高いポリエステル素材からなる匂い袋(2L)に毎朝起床時(歯磨き前)に息を吹き込み、シリコン詮にて密封、臭いに敏感なモニター3名によって口臭の増減と性質の官能テストを行った。その結果の一部を表13に示した。
尚、臭い感覚の強さは6段階法によって表示
0・・・無臭
1・・・やっと僅かに臭いが感じられる
2・・・楽に感じる臭い(臭いの性質が想像しうる)
3・・・明らかに感じる臭い
4・・・強い臭い
5・・・耐えられない程強く感じる臭い
【0089】
また不快表示法として
0・・・快でも不快でもない
−1・・・やや不快
−2・・・不快
−3・・・非常に不快
−4・・・極端に不快
【0090】
【表13】
【0091】
表13から明らかなように口臭がかなり強い人でも本うがい水を用いて口うがいを行うことで、急激に減臭し5〜7日間のうがいの継続で殆ど臭わなくなった。また元々、臭いの弱い人では1〜2日後にはほぼ無臭となった。
臭いの性質を表現する不快さはより急減するか又は消失し、まだ臭いが少々感じられる人でも不快さは全くなくなった。
【0092】
<試験例5>
(1)歯周病が進行し、治療に難渋する8名(何れも歯周ポケットが深い)に対して製造例3で作製した本うがい水で毎日2回口腔内だけのうがいを2ヶ月間継続して行った。
何れも歯周病原性の高いPoryphyromonas gingivalis、Prevotella intermedia及びActinobacillus actinomycetemcomitansが多数存在し程度の差はあれ歯肉が腫れて口臭が強く歯のぐらつきが見られた。
代表例の3名の治療成績について表14に記載した。
【0093】
【表14】
【0094】
表14に示す治験は、本うがい水が歯周病の治療のサポートとして有効である事を反映していた。歯周ポケットの奥深く、歯槽膿漏に潜む歯周病原菌もうがいにより次第に減少、2ヶ月も続ければ殆ど検出されなくなった。
歯周ポケットの開口部はさほど変わりはないものの歯肉が盛り上がり色調も2ヵ月後にはピンク〜赤色に戻り強い口臭も全員消失した。
K.T氏に於いては歯のぐらつきもなくなり、固いピーナッツなどもかめる迄になった。
このまま継続してうがいを行えば幾人かは特別な治療をせずとも完全治癒に到るのではとの希望を抱かせるに充分な治療成績であった。
【0095】
(2)虫歯となってその部位が黒褐色となっている5人に製造例7で作製したうがい水で2回/日口腔内のみのうがいを数ヶ月にわたり実施した所、実施直後から虫歯への進行は止まり、不思議にも痛みも軽減、2ヶ月も続ければ黒ずみは淡くなりC1程度の虫歯であれば徐々に石灰が沈着するのか一見すれば虫歯が治ったかのような錯覚を受けた。
尚、虫歯が深いC3のケースでは若干色調が薄くなる程度で症状には変わりがなかった。
【0096】
<試験例6>
慢性副鼻腔炎に羅患している5名に対して製造例6で作製したうがい水で、毎日1回鼻洗浄(鼻うがい)を3ヶ月間行った。自覚症状並びに病理学的所見により診断した結果5人全員2週間を過ぎた頃から症状の軽減が見られ、2ヵ月後には病理学的検査でもレントゲン検査でもそれが確認された。4ヵ月後には5名中3名が完治したとの報告を受けた。
【0097】
<試験例7>
口内炎やのどの炎症で腫脹や痛みのある3名に製造例2のうがい水で2回/日うがいを行った。
何れも1〜2日後長くとも3日後にはこれら不快な症状は消滅した。これは汎用される消炎酵素剤を服用したケースと類似の治療成績であった。
【0098】
<試験例8>
SPF有精卵で培養したH1N1型のインフルエンザウイルス液の1mlを1000mlの水で希釈した。
製造例4で作製したうがい水でうがいをした直後と、1時間後、以降1時間毎に有志の人7名に該ウイルス希釈液を喉内に1〜1.5秒スプレーにて噴霧したが、何れもインフルエンザに羅患しなかった。
【0099】
尚各製造例で作成した本うがい水でうがいを励行している約100人(全員ワクチン未投与)の内、インフルエンザに羅患した人は誰一人もいなかった。(通常なら5〜6%の羅患率)
【産業上の利用可能性】
【0100】
近代医学が始まって以来、医療の現場は治療医学が中心で予防医学は軽んじられて来た。しかし名実共に高齢化社会に突入した日本では膨大化する一方の医療費の抑制に「予防医学」と「代替医療」の実践が重要視されるようになり、人々の間にも漸次このような考え方が受け入れられ浸透、定着して来た。
心疾患や糖尿病などいわゆる生活習慣病を除けば病気の中で占める感染症の割合は大きく、その病原体の大半は気道や口から侵入する事により感染が成立する。それを未然に防ぐには感染症に対する正しい知識、衛生的な環境や日常の手洗いとうがいの励行が基本線である事は間違いのない所であろう。
手洗いは別としても従来のうがいはその場限りであり、またそうかと言って過度のうがいは喉に障害を与え感染を助長するだけである。
本発明のうがい水はこれ等の欠点を一掃し利便性豊かに改良したもので、感染症が地球上から絶滅しない限り用途は無限であろう。
一例を上げれば公衆衛生先進国の日本に於いてさえインフルエンザに毎年1000万人が感染し2009年は豚由来の新型インフルエンザが年少者を中心に猛威を振るっている。さらには時間の問題とも言われる高病原性の鳥インフルエンザウイルス(H1N5型)の変異によるパンデミック(世界的大流行:死者は推定1億人)の防衛と封じ込めにも本うがい水によるうがいは簡便かつ廉価に行えるという点からもその利用価値は高い。
【0101】
本発明は、その好ましい態様を参照して、詳細に示され、かつ記載されているが、形態および詳細における種々の変更が、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱せずに、本明細書中でなされ得ることは、当業者によって理解される。