(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図6に用いられている支持部材18は、下向きに開口する単純な倒コ字状である。そして、上面には、多様な取り付けピッチに対応するためのスロット24やスリット26が形成されている。
このため、支持部材18の断面係数が低下し、支持部材18自体の剛性がなくなっていた。このことにより、設置場所が限定されるという問題点があった。強度を上げようとすると、多くの止め具22を必要とし、コストアップにつながっていた。
【0007】
図7と
図8の支持材はアルミ押し出し材でできており、断面係数の低下は防げる。しかし、次のような問題点があった。
まず、細かいボルトとナットを扱うため、屋根上で落とす可能性があった。そして、その取り付けに手間がかかり、特に、横方向からは、とても施工しづらかった。
また、支持材は、溝を複数形成したり貫通孔をあけたりして複雑な形状となるため、高価な部材となっていた。
【0008】
図7の場合には、上記の記載に加え、次のような問題点もあった。
図7の支持部材2は、側面一側に形成された調整溝21に、棒状材2aを嵌合保持する。このため、外設部材1が載置されたときに、支持部材2に均等に力がかからず、強固な固定になりにくかった。
また、調整溝21に棒状材2aを嵌合保持させる位置が限定されるので、軒棟方向の高さ調整がしにくかった。
【0009】
図8の場合には、下固定金具26に対する、縦桟31の貫通孔32の位置決めに時間がかかり、貫通ボルト29を挿入してナットで締め付けるのにも手間がかかっていた。
さらに、リボンナット35・ボルト36・貫通ボルト29といった細かい部品や、各屋根材に取り付ける下固定金具26と、部材点数も多かった。
【0010】
本願は、折り曲げ加工品であっても、比較的強度の高い支持材を用い、その支持材を支持材受け具に載置して、支持材固定具を用いて固定する。
これにより、低コストで強度が高い、屋根上設置物用支持材の固定構造を提供することを目的とする。また、作業性のよい固定構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の屋根上設置物用支持材の固定構造は、支持材受け具に屋根上設置物用支持材が載せられ、その支持材が、支持材固定具を用いて固定される構造である。
本願の屋根上設置物用支持材の固定構造には、次のような部材を用いる。
支持材は、支持材受け具に載置される基底部と、立面部と、支持材上面部を有している。そして、支持材上面部には、開口部が形成されている。
前記支持材を載置する支持材受け具は、支持材を載せるための受支面と、支持材受け具が載る載置面とを有している。
前記支持材を固定する支持材固定具は、当接部と、締め付け部を有している。
【0012】
そして、各部材が次のように施工された固定構造である。支持材受け具が、軒棟方向に所定の間隔で取り付けられている。そこで、複数の支持材受け具の受支面に支持材を架け渡し、該支持材の前記開口部に、支持材固定具の当接部を挿入する。次に、支持材固定具を用いて支持材を固定する。このとき、支持材上面部の開口部の左右端縁に前記当接部が当接していることを特徴とする屋根上設置物用支持材の固定構造である。
【発明の効果】
【0013】
本願の支持材は、基底部と、立面部と、支持材上面部を有している。このため、比較的簡易な形状で安価な折り曲げ加工品であっても、
図6とは異なり、剛性の高い支持材となっている。これにより、風荷重が大きい場所にも使用することが可能である。
また、支持材が固定されたときに、締め付け部によって支持材の角部が締め付けられている。そして、支持材上面部の開口部から挿入された当接部が、開口部の左右端縁に当接している。支持材が締め付けられるとともに、当接部によって支持材の左右の動きが規制されるので、支持材が強固に固定される構造である。
さらに、
図7や
図8の構造とは異なり、横方向から、細かいボルトやナットを用いた施工をしなくて済む。このため、作業性のよい固定構造となっている。
【実施例】
【0015】
本願の屋根上設置物用支持材の固定構造について、まず、
図1と
図2により説明する。
図1(ア)(イ)は、本願の屋根上設置物用支持材の固定構造の実施例を示す説明図である。(ア)は正面から見た状態であり、(イ)は側面から見た状態を示している。
図2は、本願に用いる部材の実施例を示す説明図である。
【0016】
図1と
図2では、横葺き屋根材(図示せず)に取り付け金具4を固定し、その取り付け金具4に対して、支持材6を固定した場合を示している。
取り付け金具4は、固定ピース41と差し込みピース42で、横葺き屋根材に挟み込んで固定されている。
【0017】
次に、取り付け金具4に組み合わせられる支持材受け具5について説明する。
支持材受け具5は、本実施例の場合には、上方に開口する略ハット形をしている。そして、取り付け金具4に支持材受け具5を載せるための載置面51と、その両側を立ち上げてから外側方向に折り曲げた受支面52・52とを有している。
本実施例の載置面51は、取り付け金具4に組み合わせるために、当該箇所を切り欠いてある。また、載置面51には、支持材固定具7と組み合わせるためのボルトS1が上向きに取り付けられている。
この支持材受け具5は、あらかじめ取り付け金具4に組み合わせておくとよい。
【0018】
支持材受け具5の受支面52・52は、支持材6を載せる面である。
支持材受け具5は、支持材6を載せるための受支面52と、支持材受け具5が載る載置面51とを有していればよい。
【0019】
支持材受け具5の受支面52・52に載置される支持材6は、次のような形状をしている。
本実施例の場合には、基底部63と、その両側を立ち上げた立面部62・62と、立面部62・62の上端縁をそれぞれ内側方向に折り曲げた支持材上面部61・61とを有している。
支持材上面部61・61の端縁の間には、間隔がある。そこで、本実施例の支持材6は、支持材上面部61の長さ方向中央部分全体を開口部Kとしている。
本実施例の支持材6は、
図6の支持部材18と異なり、働き幅に対応した長穴に左右されることはない。
図6と比べたときに、支持材6全体を軒棟方向に動かすことで容易に位置決めができる、という効果もある。
支持材上面部61の開口部Kは、
図3(ア)から(ウ)のような実施例でもよい。
図3は、口形状の支持材6の支持材上面部61を楕円形や四角形に切り欠いて形成している。
図3は、支持材6の開口部Kの形状及び幅や長さが限定されない例として示している。
【0020】
次に、前述の支持材6を固定する支持材固定具7について説明する。
図1と
図2の通り、本実施例の支持材固定具7は、上面部71と、上面部71の対向する二辺を折り下げた折り下げ面74・74を有している。この折り下げ面74・74は、支持材6の開口部Kの左右端縁に当接する当接部を有している。
上面部71の対向する他の二辺は、折り下げられて締め付け部72・72を形成している。本実施例の場合には、上面部71から斜めに折り下げられた締め付け部72・72となっている。締め付け部72・72は、上面部71から斜めに折り下げてから垂下させて形成してもよい。
また、締め付け部72・72は、それぞれ外側方向に折り曲げられて底面部73・73となっている。底面部73・73には、支持材受け具5のボルトS1を通すための穴があけられている。
【0021】
さらに、本実施例の支持材固定具7の折り下げ面74・74について説明する。本実施例の場合には、折り下げ面74・74は、中央部分74bと、その両脇の両脇部分74a・74aとから成っている。
本実施例の場合には、中央部分74bが支持材6の開口部Kにはまり、両脇部分74a・74aの下側端縁が支持材上面部61・61に載るように形成されている。
【0022】
続いて、これまで述べた部材を用いた固定構造について説明する。
あらかじめ、支持材受け具5が、軒棟方向に、所定の間隔で複数取り付けられている。そこで、軒棟方向に隣り合う複数の支持材受け具5の受支面52・52に、支持材6を架け渡す。
【0023】
こうして支持材6を架け渡したのち、上から支持材固定具7をはめる。このとき、支持材上面部61・61間の開口部Kに支持材固定具7の折り下げ面74・74の中央部分74bをはめる。また、底面部73・73の穴に、支持材受け具5から突出しているボルトS1・S1を通す。そして、ナットS2・S2で締め付けて、支持材6を固定する。
このようにして固定された支持材6の上に、太陽光発電パネル等の屋根上設置物を取り付ける。
本実施例では、締め付け具Sとして、ボルトS1やナットS2等を用いている。しかし、支持材固定具7を用いて、支持材受け具5の受支面52に支持材6を固定することができればよく、その手段は限定されない。
【0024】
本願の固定構造の効果について、さらに説明する。
本実施例の支持材固定具7の締め付け部72・72は、上面部71から斜めに折り下げられている。または、斜めに折り下げられた面を有している。
そして、その面が、支持材6の支持材上面部61と立面部62の角部に当接する。締め付け具Sで締め付けられたときには、支持材6の角部を支持材固定具7が押圧する。このため、支持材6を強く締め付けることができる。
【0025】
さらに、本実施例の折り下げ面74の場合には、中央部分74bの小口が支持材6の開口部Kの左右端縁に当接する。また、支持材上面部61・61に、両脇部分74a・74aの下側端縁が当接する。
このため、締め付け具Sで支持材6が締め付けられたときには、支持材6と支持材固定具7とに、反発し合う力が働く。しかも、当接するのは小口である。
従って、
図1(ア)に支持材6を破線で描いた通り、開口部Kの左右端縁に折り下げ面74・74が食い込むようになり、強固な固定構造となるのである。
たとえ、本実施例の支持材6の基底部63に長穴があいていたとしても、倒コ字状である
図6の
支持部材18とは構成が異なり、高い強度が得られる。
【0026】
図4(ア)から(オ)は、折り下げ面74の他の実施例を示している。
(ア)は、支持材固定具7の上面部71において、対向する二辺を折り下げて折り下げ面74・74を形成した例である。本実施例の折り下げ面74・74は、
図1(ア)の折り下げ面74・74から、両脇部分74a・74aを無くしたものである。
この実施例の場合には、支持材上面部の開口部の左右端縁に対して、折り下げ面74・74の小口が当接部となる。
(イ)は、支持材固定具7の上面部71において、端縁から切り込みを入れ、さらに切り込みの先端を対向させて、L字状の切り込みとする。そして、切り離された箇所を折り下げることで、折り下げ面74・74を形成している。
この実施例の場合には、支持材上面部の開口部の左右端縁に対して、折り下げ面74・74の小口ではなく、折り下げられた面が当接部となる。
(ウ)は、支持材固定具7の上面部71において、上面部71の中央部分に切り込みを入れてから折り下げることで、折り下げ面74・74を形成している。
この実施例の場合にも、支持材上面部の開口部の左右端縁に対して、折り下げ面74・74の小口ではなく、折り下げられた面が当接部となる。
(エ)は、上面部71にコ字状の切り込みを入れ、その面を折り下げて折り下げ面74・74を形成している。上面部71からの折り下げ箇所は、一カ所でもよい。
この実施例の場合には、支持材上面部の開口部の左右端縁に対して、折り下げ面74・74の小口が当接部となる。
(オ)は、支持材上面部の開口部の左右端縁への当接部として、折り下げ面74・74にくびれ部を形成している。
(ア)から(オ)のいずれも、支持材上面部の開口部の左右端縁に、折り下げ面74のいずれかの箇所が当接する。締め付け具Sを用いて支持材6を締め付けたときに、小口または面が当接するので、強固な固定ができる。これにより、支持材6の動きが規制されるので、高い強度が得られる。
このように、折り下げ面74は、支持材の開口部に合わせ、開口部に挿入し、その左右端縁に当接する当接部を形成すればよい。
【0027】
図5(ア)から(ウ)は、本願に用いる各部材の他の実施例を示している。
(ア)の支持材6は、
図3(ア)のように、支持材上面部61を切り欠いて開口部Kを形成した例を示している。また、支持材受け具5が、倒コ字状をしていて、載置面51を兼ねる受支面52となっている。
支持材受け具5は、このように、支持材受け具5を載置する金具に合わせて形成すればよい。また、その支持材受け金具5に、支持材6の基底部63を受支できればよい。
(イ)は、支持材6がハット形をしていて、支持材上面部61を切り欠いて開口部Kを形成した例である。
(ウ)は、
図1(ア)と同じ断面形状の支持材6を、上下逆にしたものである。そして、支持材上面部61を切り欠いて開口部Kを形成している。
このように、支持材上面部61の形成方法は、いろいろ考えられる。
また、当接部も、これまで述べた以外にも、開口部Kに挿入することができ、その左右端縁に当接して、支持材6の動きを規制できるように形成すればよい。
【0028】
これまで、本願の屋根上設置物用支持材の固定構造について、横葺き屋根材に対して取り付けられた部材で説明してきた。しかし、次のような場合にも応用することができる。
たとえば、屋根材が馳折板であり、左右に隣り合う馳部に取り付けられた金具に対して、本願に係る各部材を用いる場合である。
その場合には、まず、取り付け金具に対して、支持材受け具を組み合わせて固定する。次に、左右に隣り合う支持材受け具に、横支持材を架け渡す。そして、横支持材に支持材固定具をかぶせて、支持材受け具に固定する。
このときの作用効果は、これまで述べた実施例と同じである。