(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5673638
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】熱源ユニットおよび給湯システム
(51)【国際特許分類】
F24F 1/22 20110101AFI20150129BHJP
F25B 30/02 20060101ALI20150129BHJP
F24H 1/00 20060101ALI20150129BHJP
F24H 9/00 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
F24F1/22
F25B30/02 F
F24H1/00 611F
F24H9/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-216719(P2012-216719)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-70786(P2014-70786A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2014年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100122286
【弁理士】
【氏名又は名称】仲倉 幸典
(74)【代理人】
【識別番号】100176463
【弁理士】
【氏名又は名称】磯江 悦子
(72)【発明者】
【氏名】濱中 徹
(72)【発明者】
【氏名】平井 隆之
【審査官】
小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−014368(JP,A)
【文献】
特開2011−158174(JP,A)
【文献】
特開2012−042209(JP,A)
【文献】
特開2001−102159(JP,A)
【文献】
実開昭61−161531(JP,U)
【文献】
特開2003−074893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/22
F24H 1/00
F24H 9/00
F25B 30/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレン水を受ける底フレーム(32)と、
上記底フレーム(32)上に配置された水熱交換器(8)と、
上記水熱交換器(8)を覆う断熱材(36)と、
上記断熱材(36)の側方に配置され、上記ドレン水の凍結を防止するためのヒータ(40)と
を備え、
上記ヒータ(40)は、
発熱領域の水平部(41b,42b)と、
非発熱領域の立ち上がり部(41a,42a)と
を有し、
上記ヒータ(40)は、上記立ち上がり部(41a,42a)が上記断熱材(36)の側面に接触して、上記断熱材(36)の側面に支えられることを特徴とする熱源ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の熱源ユニットにおいて、
上記ヒータ(40)の上記水平部(41b,42b)と上記底フレーム(32)の間に位置して上記ヒータ(40)を支持する支持部材(50)を備えることを特徴とする熱源ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の熱源ユニットにおいて、
上記断熱材(36)の側面には、上下方向に延在する凹部(36a)を設け、
この凹部(36a)の内面に、上記ヒータ(40)の上記立ち上がり部(41a,42a)が接触することを特徴とする熱源ユニット。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一つに記載の熱源ユニット(1)と、
上記熱源ユニット(1)で加熱された温水を貯留する貯湯タンク(2)と
を備えることを特徴とする給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱源ユニットおよび給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱源ユニットとしては、特開2010−14368号公報(特許文献1)に記載されたものがある。この熱源ユニットは、ドレン水を受ける底フレームと、上記底フレーム上に配置された水熱交換器および空気熱交換器とを備えている。
【0003】
ところで、上記従来の熱源ユニットを、気温の低いところで使用すると、底フレーム内のドレン水が凍結する問題があった。そこで、底フレーム上にヒータを設けて、ドレン水の凍結を防止することが考えられる。
【0004】
しかしながら、上記水熱交換器は、発泡断熱材によって、覆われているため、上記ヒータが、この発泡断熱材に接触すると、発泡断熱材が溶ける問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−14368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明の課題は、水熱交換器を覆う断熱材をヒータの熱で劣化させない熱源ユニットおよび給湯システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の熱源ユニットは、
ドレン水を受ける底フレームと、
上記底フレーム上に配置された水熱交換器と、
上記水熱交換器を覆う断熱材と、
上記断熱材の側方に配置され、上記ドレン水の凍結を防止するためのヒータと
を備え、
上記ヒータは、
発熱領域の水平部と、
非発熱領域の立ち上がり部と
を有し、
上記ヒータは、上記立ち上がり部が上記断熱材の側面に接触して、上記断熱材の側面に支えられることを特徴としている。
【0008】
ここで、上記水平部とは、底フレームに対して略平行に延在する部分をいい、部分的に、底フレームに対して傾斜する部分を含んでいてもよい。上記立ち上がり部とは、底フレームに対して略直交するように延在する部分をいう。
【0009】
この発明の熱源ユニットによれば、上記ヒータの非発熱領域の立ち上がり部を、上記断熱材の側面に接触させているので、断熱材は、ヒータの熱で劣化しない。
【0010】
また、上記ヒータの立ち上がり部を、上記断熱材の側面で支えているので、ヒータは、断熱材によって、水平方向を拘束される。これにより、ヒータの水平方向のぐらつきを防止できて、発熱領域の水平部が断熱材に接触することを防止できる。
【0011】
また、一実施形態の熱源ユニットでは、上記ヒータの上記水平部と上記底フレームの間に位置して上記ヒータを支持する支持部材を備える。
【0012】
この実施形態の熱源ユニットによれば、上記支持部材は、ヒータの水平部と底フレームの間に位置してヒータを支持するので、ヒータは、支持部材によって、上下方向を拘束される。これにより、ヒータの上下方向のぐらつきを防止できて、水平部の断熱材への接触を一層確実に防止できる。
【0013】
また、一実施形態の熱源ユニットでは、
上記断熱材の側面には、上下方向に延在する凹部を設け、
この凹部の内面に、上記ヒータの上記立ち上がり部が接触する。
【0014】
この実施形態の熱源ユニットによれば、上記ヒータの立ち上がり部は、断熱材の上下方向の凹部内に接触するので、ヒータは、凹部によって、水平方向を拘束される。これにより、ヒータの水平方向のぐらつきを一層確実に防止できて、水平部の断熱材への接触を一層確実に防止できる。
【0015】
また、一実施形態の給湯システムでは、
上記熱源ユニットと、
上記熱源ユニットで加熱された温水を貯留する貯湯タンクと
を備える。
【0016】
この実施形態の給湯システムによれば、上記熱源ユニットを備えるので、耐久性を向上できる。
【発明の効果】
【0017】
この発明の熱源ユニットによれば、上記ヒータは、上記立ち上がり部が上記断熱材に接触して、上記断熱材に支えられるので、断熱材をヒータの熱で劣化させない。
【0018】
この発明の給湯システムによれば、上記熱源ユニットを備えるので、耐久性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態の給湯システムを示す簡略構成図である。
【
図5】
図4のB部分の後方側からみた拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0021】
図1は、この発明の一実施形態の給湯システムを示す簡略構成図である。
図1に示すように、この給湯システムは、熱源ユニット1と、この熱源ユニット1で加熱された温水を貯留する貯湯タンク2とを備える。
【0022】
上記熱源ユニット1は、圧縮機13と、水熱交換器8(凝縮器)と、膨張弁(減圧機構)14と、空気熱交換器(蒸発器)15とを有する。圧縮機13、水熱交換器8、膨張弁14および空気熱交換器15は、冷媒通路16を介して、順に接続される。冷媒として、例えば、CO
2冷媒を用いる。空気熱交換器15に対向して、ファン20と、このファン20を駆動するモータ21が配置されている。
【0023】
上記貯湯タンク2の底部には、給水源Eに接続される給水流路5から分岐した一方の入水流路5aが、接続されている。これにより、給水源Eから供給される市水が、入水流路5aを介して、貯湯タンク2の底部に導入される。また、貯湯タンク2の底部には、循環路6の一端が、接続されている。この循環路6には、循環ポンプ7および上記水熱交換器8が接続されている。
【0024】
上記貯湯タンク2の頂部には、上記循環路6の他端が接続されている。また、貯湯タンク2の頂部には、出湯経路12を介して、混合弁11が接続されている。この混合弁11には、給水流路5から分岐した他方の入水流路5bと、給湯端末Tとが接続されている。これにより、貯湯タンク2の頂部から出湯された温湯を、給水源Eから供給される水と混合することが可能となり、給湯端末Tにおいて、所望の温度の温湯を供給できる。
【0025】
上記構成の給湯システムでは、上記圧縮機13および上記循環ポンプ7を駆動させると、貯湯タンク2内の水が、貯湯タンク2の底部から循環路6を流れる。このとき、循環路6を流れる水は、水熱交換器8によって加熱され(沸き上げられ)、貯湯タンク2の頂部に返流される。このような動作を継続して行うことによって、貯湯タンク2に高温の温湯を貯留することができる。貯湯タンク2内の温湯は、給湯端末Tに供給される。
【0026】
図2は、熱源ユニットの正面図を示す。
図3は、
図2のA−A断面図を示す。
図2と
図3に示すように、上記熱源ユニット1は、ケーシング30を有し、このケーシング30は、図示しない天井パネル、図示しない前面パネル、側面パネル31および底フレーム32から構成される。なお、
図2では、天井パネルおよび前面パネルを取り外した状態を示す。
【0027】
上記ケーシング30の内部には、上下方向に沿って配置された仕切板33が設けられ、この仕切板33によって、ケーシング30内は、左右に、圧縮機室30aと熱交換器室30bに区画されている。上記圧縮機室30aには、圧縮機13および図示しない膨張弁14が配置されている。圧縮機13は、カバー部材35で覆われている。
【0028】
上記熱交換器室30bには、水熱交換器8、空気熱交換器15、ファン20およびモータ21が配置されている。水熱交換器8は、断熱材36で覆われている。空気熱交換器15は、平面視略L字状に形成され、ケーシング30の側面および後面から露出している。モータ21は、取付台30を介して、空気熱交換器15に支持される。
【0029】
図4は、熱源ユニットの簡略平面図を示す。なお、
図4では、冷媒配管や水配管を省略して描いている。
【0030】
図4に示すように、上記底フレーム32は、空気熱交換器15で発生した結露水等のドレン水を、受ける。底フレーム32には、この後端辺(ケーシング30の後面側)の近傍に、ドレン孔32aが設けられる。ドレン孔32aは、空気熱交換器15の直下に位置する。ドレン水は、ドレン孔32aから排出される。
【0031】
上記底フレーム32上に上記水熱交換器8が配置され、水熱交換器8を覆う断熱材36の側方には、ヒータ40が配置される。断熱材36は、例えば、発泡スチロールからなる。ヒータ40は、例えば、シーズヒータである。
【0032】
上記ヒータ40は、平面視略L字状に形成され、略L字状の空気熱交換器15の直下に配置される。ヒータ40は、平面視、空気熱交換器15の下面の略全領域に対向している。ヒータ40の大部分は、底フレーム32の上面と非接触で離隔している。
【0033】
そして、上記空気熱交換器15から落下した結露水は、上記ヒータ40に接触し加熱されて、底フレーム32に到達する。底フレーム32に到達した結露水は、ドレン孔32aから外部に排出される。このように、ヒータ40は、底フレーム32のドレン水の凍結を防止する。
【0034】
図5は、
図4のB部分の後方側からみた拡大図である。
図4と
図5に示すように、上記ヒータ40は、底フレーム32の後端辺から側端辺に沿って延在する往路部41と、この往路部41から折り返して底フレーム32の側端辺から後端辺に沿って延在する復路部42とを有する。往路部41は、復路部42よりも、底フレーム32の内側に位置している。
【0035】
上記ヒータ40の両端部分に、底フレーム32に対して略直交するように延在する立ち上がり部41a,42aを有する。つまり、上記往路部41の始端部分に、立ち上がり部41aを有し、上記復路部42の終端部分に、立ち上がり部42aを有する。ヒータ40の両端には、図示しない電源コネクタが接続される。
【0036】
上記ヒータ40の両端部分を除く部分に、底フレーム32に対して略平行となるように延在する水平部41b,42bを有する。つまり、上記往路部41の始端部分を除く部分に、水平部41bを有し、上記復路部42の終端部分を除く部分に、水平部42bを有する。往路部41の水平部41bは、復路部42の水平部42bよりも、高い位置にある。
【0037】
上記水平部41b,42bは、発熱する発熱領域であり、上記立ち上がり部41a,42aは、発熱しない非発熱領域である。
【0038】
上記水平部41b,42bは、平面視、空気熱交換器15の下面に対向し、空気熱交換器15の下面からはみ出ない。一方、上記立ち上がり部41a,42aは、空気熱交換器15の側面に対向している。
【0039】
上記水平部41b,42bは、断熱材36の側面から離隔している。一方、上記立ち上がり部41a,42aは、断熱材36の側面に接触して、ヒータ40は、断熱材36の側面に支えられる。つまり、断熱材36の側面に、上下方向に延在する凹部36aを設け、この凹部36aの内面に、上記立ち上がり部41a,42aが接触する。凹部36aの内面は、円弧状に形成されている。
【0040】
上記立ち上がり部41a,42aが接触する断熱材36の被接触部分361は、上記仕切板33(
図2参照)の下方に接続されて、圧縮機室30aと熱交換器室30bを仕切る仕切壁となる。
【0041】
図6は、
図5のC−C断面図を示す。
図4〜
図6に示すように、上記ヒータ40の下側には、複数の支持部材50が設けられる。この支持部材50は、ヒータ40の低い方の水平部42bと底フレーム32の間に位置して、ヒータ40を支持する。支持部材50は、耐熱性のある弾性体からなる。
【0042】
具体的に述べると、上記底フレーム32は、底部321と、この底部321の周縁部に立設された周壁部322とを有する。上記支持部材50は、座部50aと背部50bを有する。座部50aは、ヒータ40の水平部42bと底フレーム32の底部321との間に位置する。背部50bは、ヒータ40の水平部42bと底フレーム32の周壁部322との間に位置する。
【0043】
上記構成の熱源ユニット1によれば、上記ヒータ40の非発熱領域の立ち上がり部41a,42aを、上記断熱材36の側面に接触させているので、断熱材36は、ヒータ40の熱で劣化しない。
【0044】
また、上記ヒータ40の立ち上がり部41a,42aを、上記断熱材36の側面で支えているので、ヒータ40は、断熱材36によって、水平方向を拘束される。これにより、ヒータ40の水平方向のぐらつきを防止できて、発熱領域の水平部41b,42bが断熱材36に接触することを防止できる。
【0045】
また、上記支持部材50は、ヒータ40の水平部42bと底フレーム32の間に位置してヒータ40を支持するので、ヒータ40は、支持部材50によって、上下方向を拘束される。これにより、ヒータ40の上下方向のぐらつきを防止できて、水平部41b,42bの断熱材36への接触を一層確実に防止できる。
【0046】
また、上記ヒータ40の立ち上がり部41a,42aは、断熱材36の上下方向の凹部36a内に接触するので、ヒータ40は、凹部36aによって、水平方向を拘束される。これにより、ヒータ40の水平方向のぐらつきを一層確実に防止できて、水平部41b,42bの断熱材36への接触を一層確実に防止できる。
【0047】
上記構成の給湯システムによれば、上記熱源ユニット1を備えるので、耐久性を向上できる。
【0048】
なお、この発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、ヒータ40は、1本の棒状であったが、複数に分割された構造であってもよい。このとき、分割された部材のそれぞれの立ち上がり部が、断熱材36の側面に接触するようにすればよい。
【0049】
上記実施形態では、支持部材50は、低い方の水平部42bを支持していたが、高い方の水平部41bを支持するようにしてもよい。また、支持部材50は、背部50bを有していたが、座部50aのみであってもよい。
【0050】
上記実施形態では、断熱材36の凹部36aの内面は、両方の立ち上がり部41a,42aが接触する円弧状であったが、各立ち上がり部41a,42aが嵌め込まれる嵌合溝であってもよい。
【0051】
上記実施形態では、貯湯タンク2は、1つであったが、2つ以上としてもよい。また、支持部材50の数量の増減は、自由である。また、支持部材50を省略してもよく、また、断熱材36の凹部36aを省略してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 熱源ユニット
2 貯湯タンク
8 水熱交換器
13 圧縮機
14 膨張弁
15 空気熱交換器
20 ファン
32 底フレーム
32a ドレン孔
36 断熱材
36a 凹部
361 被接触部分
40 ヒータ
41 往路部
42 復路部
41a,42a 立ち上がり部
41b,42b 水平部
50 支持部材