(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、パワー半導体等を使用する装置において、近年小型化の要求が強まっている。このため、実装高さについても低くできることが好ましい。
【0008】
そこで、本発明は、素子で生じた熱を放出し易くでき、かつ、基板からの実装高さを低くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、第1の態様に係るモジュールは、一方主面(20a)と、この一方主面とは反対側の他方主面(20b)と、貫通孔(22)とを有する基板
(220)と、前記貫通孔を塞ぐように配設され、前記基板の一方主面よりも前記他方主面側に凹む実装面
(232)を有する熱伝導部
(230)と、前記実装面上に固定された素子(40)と、を備え、前記基板の一方主面に第2の配線(28)が形成され、前記熱伝導部
(230)は導電性を有しており、前記素子は、前記熱伝導部を介して前記第2の配線に電気的に接続され、前記基板
(220)の他方主面であって前記貫通孔の開口周縁部に、前記貫通孔の内周面に形成された内周配線を介して前記第2の配線に電気的に接続された介在配線(229)が形成され、前記熱伝導部
(230)は、前記基板の他方主面側で前記貫通孔の開口を閉塞する
と共に前記介在配線を覆う程度に広がる板状の本体部(234)を有し、前記熱伝導部の本体部が、前記介在配線に電気的に接続された状態で、前記基板の他方主面であって前記貫通孔の開口部に配設され
、前記素子は、前記実装面のうち前記内周配線内に向けて露出する部分に実装されているものである。
【0010】
第2の態様に係るモジュールは、第1の態様に係るモジュールであって、前記熱伝導部のうち前記実装面とその反対側の面間の厚み寸法(H1、H3)は、前記基板の厚み寸法(H2)よりも小さいものである。
【0011】
第3の態様に係るモジュールは、第1又は第2の態様に係るモジュールであって、前記基板の一方主面に第1の配線(24)が形成され、前記素子がワイヤ(26)を介して前記第1の配線に電気的に接続され、前記ワイヤを封止するように絶縁部材(50)が設けられたものである。
【発明の効果】
【0012】
この第1の態様に係るモジュールによると、素子で生じた熱は熱伝導部を介して素子とは反対側に伝導される。したがって、素子で生じた熱を放出し易くできる。また、熱伝導部は、前記基板の一方主面よりも前記他方主面側に凹む実装面を有しており、この実装面に素子が固定される。このため、素子の高さを、基板の一方主面等に固定した場合よりも低くでき基板からの実装高さを低くすることができる。また、熱伝導部を利用して、素子と第2の配線とを電気的に接続することができる。さらに、熱伝導部の本体部を、基板の他方主面であって前記貫通孔の開口部に配設することで、熱伝導部と第2の配線とを容易に電気的に接続することができる。
【0013】
また、第2の態様によると、前記熱伝導部のうち前記実装面とその反対側の面間の厚み寸法は、前記基板の厚み寸法よりも小さいので、熱伝導部の体積を減少させることができ、軽量化及びコスト低減を図ることができる。
【0014】
また、第3の態様のように、前記基板の一方主面に第1の配線が形成され、前記素子がワイヤを介して前記第1の配線に電気的に接続されている場合、素子の高さを、基板の一方主面等に固定した場合よりも低くできるので、ワイヤの高さも低くできる。このため、絶縁部材の高さも低くでき、封止用の絶縁部材の使用量を削減できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の各実施形態によって開示されるモジュールに共通する概括的な構成は、基板に形成された貫通孔に、当該貫通孔を塞ぐように熱伝導部を配設すると共に、当該熱伝導部の実装面を基板よりも凹むように形成し、当該実装面に素子を固定した点である。
【0017】
これにより、素子で生じた熱は熱伝導部を介して素子とは反対側に伝導され、効率よく放熱できる。また、素子の高さを低くすることができ、基板からの実装高さを低くすることができる。
【0018】
以下、各実施形態により具体的な構成を説明する。
【0019】
{第1実施形態}
以下、第1実施形態に係るモジュール10について説明する。
図1は本実施形態に係るモジュール10を示す平面図であり、
図2は
図1のII−II線断面図であり、
図3は本実施形態に係るモジュール10の底面図である。
【0020】
このモジュール10は、基板20と、熱伝導部30と、素子40とを備えている。
【0021】
基板20は、一方主面20aとこれとは反対側を向く他方主面20bとを有する板状部材に形成されている。この基板20としては、例えば、樹脂基板が用いられる。
【0022】
基板20には、その厚み方向に沿って貫通する貫通孔22が形成されている。貫通孔22は、内部に素子40を収容配置可能な程度に十分に大きさの開口形状に形成されている。貫通孔22は、略円形状に開口していても、略多角形状に開口していてもよい。ここでは、貫通孔22は、略方形状孔に形成されている。
【0023】
また、基板20の一方主面20aには、銅箔等によって第1の配線24及び第2の配線28が形成されている。第1の配線24は、上記貫通孔22から離れた領域に形成されている。第2の配線28は、貫通孔22の開口周縁部及びそこから一側外方に延出する領域に形成されている。また、第2の配線28は、貫通孔22の内周面に沿って形成された内周配線29に対しても電気的に接続された態様で一体化されている。
【0024】
図4は熱伝導部30を示す斜視図である。
図1〜
図4に示すように、熱伝導部30は、上記貫通孔22と略同じ又はそれよりも大きな広がりを有する形状に形成され、当該貫通孔22を塞ぐようにして配設可能に構成されている。また、熱伝導部30のうち上記基板20の一方主面20aと同じ方向を向く一主面は、平坦な実装面32に形成されている。そして、上記貫通孔22を塞ぐようにして熱伝導部30を配設した状態で、実装面32が基板20の一方主面20aより他方主面20b側に凹むようになっている。
【0025】
より具体的には、熱伝導部30は、貫通孔22を閉塞するように広がる板状の本体部34と、当該本体部34から貫通孔22の内周面に沿って立上がるように延びる側壁部36とを有している。ここでは、本体部34は、貫通孔22の開口形状に対応する略方形板状に形成されており、その4辺のそれぞれから立上がるようにして4方を囲うように側壁部36が形成されている。また、各側壁部36には、その上側の端縁部から外方に向けて突出する鍔状縁部37が形成されている。本体部34の底面と鍔状縁部37の底面との間の距離寸法は、基板20の厚み寸法に第2の配線28の厚み寸法を付加した寸法と略同一に設定されている。
【0026】
そして、本熱伝導部30を貫通孔22内に基板20の一方主面側から挿入配置し、本体部34の底面と基板20の他方主面とを面一状に揃えるように配設した状態で、鍔状縁部37の底面が基板20の一方主面に面接触状に当接するようになっている。また、このような配設状態で、各側壁部36の外面と内周配線29とが接触すると共に、鍔状縁部37の底面と第2の配線28とが接触するようになっている。
【0027】
また、熱伝導部30のうち上記実装面32とその反対側の面間の厚み寸法H1、即ち、上記本体部34の厚み寸法H1は、基板20の厚み寸法H2よりも小さくなっている。したがって、熱伝導部30の体積を、貫通孔22内全体の空間体積よりも小さくすることができる。
【0028】
なお、熱伝導部30は、後述するように放熱部材60に対して隙間を介在させることなく近接配置することができるため、当該放熱部材60を介して効率よく放熱することができる。このため、熱伝導部30に要求される熱の拡散性はそれほどには要求されず、上記のように熱伝導部30の厚みを薄くしても問題は無い。
【0029】
また、上記本体部34のうち基板20の一方主面20aと同一方向を向く面が実装面32とされている。そして、本体部34の底面と基板20の他方主面とが面一状に揃っており、かつ、本体部34の厚み寸法H1が基板20の厚み寸法H2よりも小さいので、実装面32は基板20の一方主面よりも凹んでいる。
【0030】
また、本熱伝導部30は、熱伝導性と導電性とを有している。このような熱伝導部30は、例えば、銅や銅合金等をプレス加工等することにより形成される。そして、本熱伝導部30は、各側壁部36の外面と内周配線29との接触部分又は鍔状縁部37の底面と第2の配線28との接触部分を介して、第2の配線28に電気的に接続されることになる。
【0031】
もっとも、上記鍔状縁部37は、4つの側壁部36のうちの少なくとも1つに設けられていてもよく、また、4つの側壁部36のうちの少なくとも1つに部分的に設けられていてもよく、さらには、4つの鍔状縁部37が全て省略されていてもよい。鍔状縁部37が全て省略された場合、側壁部36が内周配線29に接触することで、素子40が熱伝導部30の本体部34及び側壁部36から内周配線29を介して第2の配線28に電気的に接続される。これらの全ての場合が、熱伝導部30が側壁部36を介して第2の配線28に電気的に接続された態様に含まれる。
【0032】
なお、鍔状縁部37が存在する場合、熱伝導部30は基板20に対して一方主面20a側から貫通孔22内に挿入する必要がある。これに対して、鍔状縁部37全てが省略された場合、熱伝導部30は基板20に対して一方主面20a側及び他方主面20b側のいずれからでも挿入できる。この場合、基板20の他方主面20bと本体部34の他方主面とが面一状に配設されるように位置決めするとよい。
【0033】
また、側壁部36は、4つ全て存在する必要はなく、少なくとも1つある構成であってもよい。さらには、側壁部36が全て省略された構成であってもよい。側壁部36が全て省略された構成であっても、本体部34の外周部が内周配線29に接触することで、素子40が熱伝導部30から内周配線29を介して第2の配線28に電気的に接続される。このような場合も、熱伝導部30が熱伝導部30を介して第2の配線28に電気的に接続された態様に含まれる。
【0034】
素子40は、パワー半導体(例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor))等のベアチップ等、発熱し易い素子であり、上記実装面32上に固定されている。この素子40のうち実装面32側の部分に少なくとも1つの端子が設けられている。そして、素子40が実装面32に固定された状態で、素子40の当該実装面32側の少なくとも1つの端子が熱伝導部30にはんだ付け等で電気的に接続されている。そして、熱伝導部30は上記態様にて第2の配線28に電気的に接続されているので、素子40は、熱伝導部30を介して第2の配線28に電気的に接続されている。
【0035】
ここでは、素子40は、熱伝導部30の側壁部36を介して第2の配線28に電気的に接続される。より具体的には、素子40の前記少なくとも1つの端子は、熱伝導部30の本体部34から側壁部36及び鍔状縁部37の底面を介して第2の配線28に電気的に接続されている。
【0036】
また、素子40のうち実装面32側とは反対側の部分に少なくとも1つの他の端子が設けられている。この少なくとも1つの端子は、屈曲容易な線状配線材であるワイヤ26を介して第1の配線24に電気的に接続されている。より具体的には、ワイヤ26の一端部が前記少なくとも1つの端子に接合されると共に、ワイヤ26の他端部が第1の配線24に接合されており、ワイヤ26の中間部は基板20や素子40の上方を迂回して通るように配設されている。
【0037】
そして、当該ワイヤ26及び素子40を封止するようにして絶縁樹脂等の絶縁部材50が設けられている(断面図でのみ図示)。ここでは、絶縁部材50は、ワイヤ26及び素子40を封止し得る程度になだらかな丘状を成す程度に盛られているが、封止形状はかかる形状に限られない。
【0038】
図5は上記モジュール10に放熱部材60を取付けた状態を示す図である。放熱部材60は、フィン構造等放熱容易な構造を有する部材であり、上記基板20の他方主面20b側に露出する熱伝導部30の面に、側絶縁シート等の絶縁部材62を介して取付けられている。そして、素子40で生じた熱が熱伝導部30を通って素子40とは反対側の面に伝わると、そこからさらに放熱部材60に伝わって効率よく放出される。
【0039】
このように構成されたモジュール10によると、素子40で生じた熱は熱伝導部30を介して素子40とは反対側に伝わる。したがって、素子40で生じた熱を効率よく放出できる。
【0040】
また、熱伝導部30は、基板20の一方主面20aよりも基板20の他方主面20b側に凹む実装面32を有しており、この実装面32に素子40が固定されている。このため、素子40の高さを、基板20の一方主面20aに固定した場合よりも低くでき、基板20からの実装高さを低くすることができる。
【0041】
しかも、熱伝導部30の底面は基板20の他方主面と面一状に揃っているため、モジュール10全体の高さ寸法も、基板20の一方主面に素子を固定した場合よりも小さくできる。このため、より一層モジュール10の小型化に寄与する。
【0042】
さらに、熱伝導部30のうち実装面32とその反対側の面間の厚み寸法H1が、基板20の厚み寸法H2よりも小さいので、貫通孔内の空間を全て埋めるようにした従来例と比べて、熱伝導部30の体積を減少させることができ、軽量化及びコスト低減を図ることができる。
【0043】
また、上記のように実装面32に固定された素子40の高さ寸法を低くすることができるので、基板20の一方主面20aに対するワイヤ26の高さ寸法をも低くすることができる。このため、ワイヤ26を封止するように設けた絶縁部材50の高さ寸法も低くすることができる。このため、封止用の絶縁部材50の使用量を削減することができ、この点からも軽量化及びコスト低減を図ることができる。
【0044】
かかる効果は、例えば、インバータ回路が構成される場合等に、基板20に複数の貫通孔22が形成され、それぞれに熱伝導部30が配設されると共に素子40が固定された構成において、当該複数の素子40及びワイヤ26を封止するように絶縁部材50が設けられている場合に、特に有効となる。実装面32で凹んでいる領域よりも、当該実装面32よりも突出している基板20の一方主面の領域の割合が多くなり、絶縁部材50の使用量削減効果が大きいからである。
【0045】
また、熱伝導部30が導電性を有しており、素子40は熱伝導部30を介して第2の配線28に電気的に接続されているため、当該素子40と基板20上の第2の配線28とを容易に電気的に接続することができる。
【0046】
特に、熱伝導部30は貫通孔22の内周面に沿って立上がるように延びる側壁部36を有しているため、当該側壁部36を利用して熱伝導部30と第2の配線28とを容易に電気的に接続できる。
【0047】
{第2実施形態}
第2実施形態に係るモジュール110について説明する。
図6は本実施形態に係るモジュール110を示す平面図であり、
図7は
図6のVII−VII線断面図であり、
図8は本実施形態に係るモジュール110の底面図である。なお、本実施形態の説明において、第1実施形態で説明したものと同様構成のものについては、同一符号を付してその説明を省略する。また、
図6〜
図8では、第1の配線24及びワイヤ26を省略している。
【0048】
このモジュール110では、基板120はスルーホール123を有している。スルーホール123は、基板120を貫通する孔123aの内周面にメッキ等による導体部123bを形成した構成とされている。このスルーホール123は、第2の配線28の外周囲の位置、ここでは、鍔状縁部37の外周囲の2箇所の位置に形成されている。また、導体部123bは、第2の配線28に電気的に接続されている。スルーホール123は、少なくとも1つあればよい。もっとも、熱伝導部130をバランスよく保持するためには、少なくとも2つあり、熱伝導部130周りで回転対称位置に存在していることが好ましい。また、スルーホール123の形状は、角穴状であっても丸孔状であってもよい。ここでは、スルーホール123は、角穴状に形成されている。
【0049】
また、熱伝導部130は、上記熱伝導部30と同様に本体部34と側壁部36と鍔状縁部37とを有し、さらに、挿入端子部138を有している。挿入端子部138は、上記各スルーホール123に対応する位置で、鍔状縁部37の外側縁部から本体部34側に向けて突出している。挿入端子部138は、スルーホール123に挿入可能なピン状、ここでは、角柱ピン状に形成されている。そして、挿入端子部138がスルーホール123に挿入されることで、上記導体部123bに電気的に接続される。なお、挿入端子部138はスルーホール123に挿入された状態で、はんだ付けされることが好ましい。
【0050】
なお、ここでは、側壁部36の先端部に設けられた鍔状縁部37に挿入端子部138を設けているが、このように側壁部36の先端部に、他の機能要素を介して挿入端子部138が設けられている場合も、側壁部36の先端部に挿入端子部138が設けられた構成に含まれる。もっとも、鍔状縁部37を省略し、側壁部36の先端部に直接的に挿入端子部138を設けてもよい。
【0051】
そして、本熱伝導部130が上記熱伝導部30と同様態様で基板120に貫通孔22を閉塞するように配設されると、挿入端子部138が基板120の一方主面20a側よりスルーホール123に挿入される。これにより、挿入端子部138とスルーホール123の導体部123bとが電気的に接続され、素子40が熱伝導部130の本体部34から側壁部36及び挿入端子部138、導体部123bを介して第2の配線28に電気的に接続される。つまり、熱伝導部130が側壁部36を介して第2の配線28に電気的に接続され、素子40が熱伝導部130を介して第2の配線28に電気的に接続される。
【0052】
このように構成されたモジュール110によると、上記第1実施形態と同様の効果に加えて、挿入端子部138をスルーホール123に挿入することで、熱伝導部130と第2の配線28とを容易に電気的に接続することができると共に、熱伝導部130を強固に固定できるという効果を得ることができる。
【0053】
なお、本実施形態において、貫通孔22の内周面に形成された内周配線29を省略してもよい。
【0054】
{第3実施形態}
第3実施形態に係るモジュール210について説明する。
図9は本実施形態に係るモジュール210を示す平面図であり、
図10は
図9のX−X線断面図であり、
図11は同モジュール210を示す底面図である。なお、本実施形態の説明において、第1実施形態で説明したものと同様構成のものについては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0055】
このモジュール210は、基板220と、熱伝導部230と、素子40とを備えている。
【0056】
基板220は、次の相違点を除いて上記基板20と同様構成とされている。基板20との相違点として、基板220は、その他方主面20bであって貫通孔22の開口周縁部に、第2の配線28に電気的に接続された介在配線229を有している。より具体的には、介在配線229は、銅箔等によって形成されており、基板220の他方主面に、貫通孔22の開口周縁部を囲うように形成されている。この介在配線229は、貫通孔22の内周面に形成された内周配線29を介して第2の配線28に電気的に接続されている。もっとも、介在配線229は、貫通孔22の開口周縁部周り全体に形成されている必要はなく、部分的に形成されていてもよい。また、介在配線229は、必ずしも内周配線29を介して第2の配線28に電気的に接続される必要はなく、他のスルーホール等を介して第2の配線28に電気的に接続されていてもよい。
【0057】
また、熱伝導部230は、熱伝導性及び導電性を有する材料で形成されており、基板220の他方主面20b側で貫通孔22の開口を閉塞するように広がる板状の本体部234を有している。ここでは、本体部234は、基板220の他方主面20b側における貫通孔22の開口よりも大きく、上記介在配線229を覆う程度に広がる板状に形成されている。
【0058】
そして、熱伝導部230の本体部234が介在配線229に電気的に接続された状態で、基板220の他方主面20bであって貫通孔22の開口部に配設されている。例えば、本体部234は、介在配線229にはんだ付けされることによって、当該介在配線229に電気的に接続された状態で、基板220に取付固定される。これにより、熱伝導部230は、介在配線229を介して第2の配線28に電気的に接続される。このように、介在配線229と第2の配線28との間に内周配線29等のように他の配線が介在する場合も、熱伝導部230が介在配線229を介して第2の配線に電気的に接続される態様に含まれる。
【0059】
なお、上記態様で、基板20の他方主面20bで、熱伝導部230の他方主面が当該他方主面20bよりも突出して露出している。このため、放熱部材60を熱伝導部30に対して隙間無く接触させることができ、熱伝導部30から放熱部材60へも熱が伝わり易く、放熱部材60による効率のよい放熱が可能となる。
【0060】
また、熱伝導部230の本体部234のうち、基板220の一方主面20aと同方向を向く面は、実装面232とされている。この実装面232は、基板220の他方主面20bと同一面状に位置しており、したがって、基板220の一方主面20aよりも凹んでいる。そして、この実装面232に素子40が固定されている。
【0061】
また、熱伝導部230のうち実装面232とその反対側の面間の厚み寸法H3は、基板220の厚み寸法H2よりも小さい。したがって、熱伝導部230の体積を、貫通孔22内部の空間体積よりも小さくすることができる。
【0062】
また、この素子40は、上記第1実施形態で説明したのと同様態様にて、熱伝導部230に電気的に接続されている。そして、素子40は、熱伝導部230を介して第2の配線28に電気的に接続されている。より具体的には、素子40は、熱伝導部230から介在配線229及び内周配線29を介して第2の配線28に電気的に接続されている。
【0063】
さらに、素子40は、上記第1実施形態で説明したのと同様態様にて、ワイヤ26を介して第1の配線24に電気的に接続されている。そして、ワイヤ26及び素子40を封止するようにして、絶縁樹脂等の絶縁部材50が設けられている。
【0064】
このように構成されたモジュール210によると、上記第1実施形態で述べたのと同様の理由により、素子40で生じた熱を効率よく放出できると共に、素子40の実装高さを比較的低くすることができる。
【0065】
特に、実装面232の位置は基板220の他方主面20bと同一高さ位置にあるため、素子40の高さ位置をより低くして、絶縁部材50の高さをより低くすることができる。
【0066】
また、上記第1実施形態で述べたのと同様の理由により、熱伝導部230の体積を小さくすることができ、軽量化及びコスト低減を図ることができる。さらに、封止用の絶縁部材50の使用量を削減することができ、この点からも軽量化及びコスト低減を図ることもできる。
【0067】
また、上記第1実施形態で述べたのと同様の理由により、素子40は熱伝導部230を介して第2の配線28に電気的に接続されているため、当該素子40と基板220上の第2の配線28とを容易に電気的に接続することができる。
【0068】
特に、熱伝導部230は、板状の本体部234を有する構成であればよいため、熱伝導部230の構成を簡易なものとすることができる。
【0069】
{第4実施形態}
第4実施形態に係るモジュール310について説明する。
図12は本実施形態に係るモジュール310を示す平面図であり、
図13は
図12のXIII−XIII線断面図であり、
図14は本実施形態に係るモジュール310の底面図である。なお、本実施形態の説明において、第3実施形態で説明したものと同様構成のものについては、同一符号を付してその説明を省略する。また、
図12〜
図14では、第1の配線24及びワイヤ26を省略している。
【0070】
このモジュール310では、基板320は、スルーホール323を有している。スルーホール323は、基板320を貫通する孔323aの内周面にメッキ等による導体部323bを形成した構成とされている。このスルーホール323は、第2の配線28の外周囲の位置、ここでは、熱伝導部330の本体部234の外周囲の2箇所の位置に形成されている。また、導体部323bは、第2の配線28に電気的に接続されている。スルーホール323は、少なくとも1つあればよい。もっとも、熱伝導部330をバランスよく保持するためには、少なくとも2つあり、熱伝導部330周りで回転対称位置に存在していることが好ましい。また、スルーホール323の形状は、角穴状であっても丸孔状であってもよい。ここでは、スルーホール323は、角穴状に形成されている。
【0071】
また、熱伝導部330は、上記熱伝導部230と同様構成の本体部234を有し、さらに、挿入端子部338を有している。挿入端子部338は、上記各スルーホール323に対応する位置で、本体部234の外周縁部から当該本体部234に対して略直交する方向に沿って突出している。挿入端子部338は、スルーホール323に挿入可能なピン状、ここでは、角柱ピン状に形成されている。そして、挿入端子部338がスルーホール323に挿入されることで、上記導体部323bに電気的に接続される。なお、挿入端子部338はスルーホール323に挿入された状態で、はんだ付けされることが好ましい。
【0072】
なお、ここでは、上記挿入端子部338は、本体部234の外周囲から外方にはみ出る位置で突出形成されているが、本体部234の外周囲内で突出形成されていてもよい。
【0073】
そして、本熱伝導部330が上記熱伝導部230と同様態様で基板320に貫通孔22を閉塞するように配設されると、挿入端子部338が基板320の他方主面20b側よりスルーホール323に挿入される。これにより、挿入端子部338とスルーホール323の導体部323bとが電気的に接続され、素子40が熱伝導部330の本体部234から挿入端子部338及びスルーホール323の導体部323bを介して第2の配線28に電気的に接続される。つまり、熱伝導部330が挿入端子部338を介して第2の配線28に電気的に接続され、素子40が熱伝導部330を介して第2の配線28に電気的に接続される。なお、本実施形態において介在配線229を省略してもよい。
【0074】
このように構成されたモジュール310によると、上記第3実施形態と同様の効果に加えて、挿入端子部338をスルーホール323に挿入することで、熱伝導部330と第2の配線28とを容易に電気的に接続することができると共に、熱伝導部330を強固に固定できるという効果を得ることができる。
【0075】
なお、第3実施形態及び第4実施形態において、基板220、320の他方主面20b側に、上記熱伝導部230、330の本体部234全体を嵌め込み可能な凹部を形成しておき、当該凹部に本体部34を嵌め込むようにしてもよい。これにより、熱伝導部230,330をより確実に位置決め保持できると共に、基板220、320の他方主面20bと本体部234との面一状にすることができ、基板220、320と放熱部材60との取付安定性を向上させることができる。