(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述のようなフィルタにより空気を清浄化するタイプの空気清浄機では、空気清浄能力は風量の増加に比例して大きくなる。よって、通常、フィルタの通風量を大きくすると空気清浄能力が向上する。しかし、特許文献1のように蒸発器によって除湿する場合には、風量を大きくすると、蒸発器の温度が露点温度以上に高くなって除湿量が減少する場合がある。すなわち、空気清浄能力と除湿能力とは、同時に向上されにくい。
【0004】
そこで、本発明の課題は、空気清浄能力及び除湿能力に優れた除湿機能付き空気清浄機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る除湿機能付き空気清浄機は、ケーシングと、ファンと、集塵フィルタと、冷凍サイクル装置と、を備える。ファンは、ケーシング内に流入してケーシング外へ流出する空気流を生成する。集塵フィルタは、空気流が通過するようにケーシング内に配設され、空気流に含まれる塵埃を吸着する。また、集塵フィルタは、集塵効率が70パーセント以上である。冷凍サイクル装置は、蒸発器を含む。蒸発器は、第1空気流の一部である第2空気流を、露点温度以下に冷却して除湿する。第1空気流は、空気流のうち集塵フィルタを通過した空気流である。また、蒸発器は、第2空気流が通過し、かつ、第3空気流が通過しないように、ケーシング内において集塵フィルタより下流側に配設される。第3空気流は、第1空気流のうち第2空気流を除く空気流である。
冷凍サイクル装置は、放熱器をさらに含む。放熱器は、ケーシング内に流入した空気を加熱する。また、放熱器は、第4空気流が通過するように、ケーシング内において集塵フィルタより下流側に配設される。第4空気流は、第3空気流の少なくとも一部である。放熱器は、第5空気流が通過しないように配設される。第5空気流は、第3空気流のうち第4空気流を除く空気流である。
【0006】
なお、集塵フィルタの集塵効率は、計数法などの測定方法によって計測される集塵フィルタの集塵性能を示す値であり、集塵フィルタの初期の(すなわち集塵フィルタが目詰まり等しておらず正常に機能する状態における)集塵効率をさす。
【0007】
本発明の第1観点に係る除湿機能付き空気清浄機では、蒸発器は、第2空気流が通過し、かつ、第3空気流が通過しないように、配設される。これにより、第3空気流は、蒸発器と熱交換しない。このため、蒸発器の温度が露点温度以上に高くなって除湿量が減少することが抑制される。よって、集塵フィルタを通過する空気流の風量を大きく確保しても、蒸発器の温度が露点温度以下に保たれやすい。したがって、空気清浄能力と除湿能力とを同時に向上できる。
【0008】
また、放熱器は、第4空気流が通過するように配設される。これにより、放熱器がケーシング内に配設される除湿機能付き空気清浄機において、集塵フィルタを通過する空気流の風量を大きく確保しても、蒸発器の温度が露点温度以下に保たれやすい。
【0009】
また、第5空気流が通過しないように放熱器が配設される。これにより、第5空気流は放熱器と熱交換しない。したがって、除湿機能付き空気清浄機において、空気流の吹出し温度が上昇しすぎることを抑制できる。
【0010】
本発明の第2観点に係る除湿機能付き空気清浄機は、第1観点に係る除湿機能付き空気清浄機であって、冷凍サイクル装置は、冷媒を圧縮する圧縮機をさらに含む。圧縮機は、回転数が一定である。
【0011】
ここで、圧縮機の回転数が可変の場合においては、圧縮機の回転数を可変に制御する機器を必要とするためコストはかかるが、状況に応じて圧縮機の回転数を変化させることで蒸発器を流通する液冷媒の流量をリアルタイムに調整できることから、蒸発器の温度を露点温度以下に保つことは難しくない。一方、圧縮機の回転数が一定である場合においては、圧縮機の回転数を可変に制御する機器を必要としないためコストは抑えられるが、圧縮機の回転数を変化させることで蒸発器を流通する液冷媒の流量をリアルタイムに調整できないことから、蒸発器の温度を露点温度以下に保つことが容易ではない。しかし、本発明の第2観点に係る除湿機能付き空気清浄機では、回転数が一定である低コストの圧縮機を採用した除湿機能付き空気清浄機において、集塵フィルタを通過する空気流の風量を大きく確保しても、蒸発器の温度が露点温度以下に保たれやすい。したがって、コスト増大を抑えつつ、空気清浄能力と除湿能力とを同時に向上できる。
【0012】
本発明の第3観点に係る除湿機能付き空気清浄機は、第1観点または第2観点に係る除湿機能付き空気清浄機であって、冷凍サイクル装置は、キャピラリーチューブをさらに含む。キャピラリーチューブは、蒸発器に流入する冷媒を膨張させる。
【0013】
ここで、膨張手段としてキャピラリーチューブを採用した場合、低コストで高圧の液冷媒を膨張させて減圧することができるが、通過させる液冷媒の流量を変えることはできない。換言すると、キャピラリーチューブは、安価な反面、蒸発器に流入する冷媒の流量をリアルタイムに調整することはできない。すなわち、冷凍サイクル装置の膨張手段として例えば膨張弁などを採用した場合においては、コストはかかるが、状況に応じて蒸発器に流入する冷媒の流量をリアルタイムに調整できるため、蒸発器の温度を露点温度以下に保つことは難しくない。一方、冷凍サイクル装置の膨張手段としてキャピラリーチューブを採用した場合においては、コストは抑えられるが、蒸発器に流入する冷媒の流量をリアルタイムに調整できないため、蒸発器の温度を露点温度以下に保つことが容易ではない。しかし、本発明の第3観点に係る除湿機能付き空気清浄機では、冷凍サイクル装置の膨張手段として低コストのキャピラリーチューブを採用した除湿機能付き空気清浄機において、集塵フィルタを通過する空気流の風量を大きく確保しても、蒸発器の温度が露点温度以下に保たれやすい。したがって、コスト増大を抑えつつ、空気清浄能力と除湿能力とを同時に向上できる。
【0014】
本発明の第4観点に係る除湿機能付き空気清浄機は、第1観点から第3観点のいずれかに係る除湿機能付き空気清浄機であって、ファンは、空気流の風量を切り換えられる。空気流は、最大風量に切り換えられた時の風量が、最小風量に切り換えられた時の風量の5倍以上である。
【0015】
本発明の第4観点に係る除湿機能付き空気清浄機では、空気流は、最大風量時の風量が最小風量時の風量の5倍以上である。すなわち、空気流の風量を大きく切り換えることができる除湿機能付き空気清浄機において、空気流の風量が最大風量に切り換えられた場合に、集塵フィルタを通過する空気流の風量が最小風量時と比較して大きく増加しても、蒸発器の温度が露点温度以下に保たれやすい。したがって、集塵フィルタを通過する空気流の風量が大きいために除湿性能の確保が難しい場合においても、除湿性能が確保され、空気清浄能力と除湿能力とを同時に向上できる。
【0016】
本発明の第5観点に係る除湿機能付き空気清浄機は、第1観点から第4観点のいずれかに係る除湿機能付き空気清浄機であって、ファンは、第1空気流の風量が7.0m
3/min以上となるような空気流を生成可能である。
【0017】
本発明の第5観点に係る除湿機能付き空気清浄機では、ファンは、第1空気流の風量が7.0m
3/min以上となるような空気流を生成可能である。すなわち、大きい風量の空気流を生成可能な除湿機能付き空気清浄機において、集塵フィルタを通過する空気流の風量が7.0m
3/min以上となっても、蒸発器の温度が露点温度以下に保たれやすい。したがって、集塵フィルタを通過する空気流の風量が大きいために除湿性能の確保が難しい場合においても、除湿性能が確保され、空気清浄能力と除湿能力とを同時に向上できる。
【0018】
本発明の第
6観点に係る除湿機能付き空気清浄機は、
第1観点から第5観点のいずれかに係る除湿機能付き空気清浄機であって、蒸発器と、放熱器と、は第1空気流に対して並列に配設される。
【0019】
これにより、除湿機能付き空気清浄機において、外形のコンパクト化を実現できる。
【0020】
本発明の第
7観点に係る除湿機能付き空気清浄機は、
第1観点から第6観点のいずれかに係る除湿機能付き空気清浄機であって、加湿フィルタをさらに備える。加湿フィルタは、空気流を加湿する。また、加湿フィルタは、第5空気流の少なくとも一部が通過するように、ケーシング内において蒸発器より下流側に配設される。
【0021】
本発明の第
7観点に係る除湿機能付き空気清浄機では、加湿フィルタは、第5空気流の少なくとも一部が通過するように配設される。これにより、加湿フィルタがケーシング内に配設される除湿機能付き空気清浄機において、集塵フィルタを通過する空気流の風量を大きく確保しても、蒸発器の温度が露点温度以下に保たれやすい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1観点に係る除湿機能付き空気清浄機では、集塵フィルタを通過する空気流の風量を大きく確保しても、蒸発器の温度が露点温度以下に保たれやすい。したがって、空気清浄能力と除湿能力とを同時に向上できる。
【0023】
本発明の第2観点または第3観点に係る除湿機能付き空気清浄機では、コスト増大を抑えつつ、空気清浄能力と除湿能力とを同時に向上できる。
【0024】
本発明の第4観点または第5観点に係る除湿機能付き空気清浄機では、集塵フィルタを通過する空気流の風量が大きいために除湿性能の確保が難しい場合においても、除湿性能が確保され、空気清浄能力と除湿能力とを同時に向上できる。
【0025】
本発明の第
6観点に係る除湿機能付き空気清浄機では、外形のコンパクト化を実現できる。
【0026】
本発明の第
7観点に係る除湿機能付き空気清浄機では、加湿フィルタがケーシング内に配設される場合において、集塵フィルタを通過する空気流の風量を大きく確保しても、蒸発器の温度が露点温度以下に保たれやすい。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。また、以下の説明において、上、下、左、右、正面(前)、背面(後)といった方向を示す語句を用いているが、これらの方向は、特にことわりのない限り、
図1に示す方向を意味する。
【0029】
(1)除加湿空気清浄機100
(1−1)概要
図1は、本発明の一実施形態に係る除加湿空気清浄機(以下、除加湿空清機と記載)100の正面斜視図である。除加湿空清機100は、床置きタイプで、室内の床などに設置される。
【0030】
除加湿空清機100は、空気清浄モード、除湿モード、加湿モードなどの複数の運転モードを備えており、これらのモードを個別にまたは組み合わせて選択されて運転される。具体的には、除加湿空清機100は、空気清浄モードが選択されると、室内空間の空気を取り込み、塵埃などを除去して室内空間に排出する空気清浄運転を行う。また、除加湿空清機100は、除湿モードが選択されると、室内空間の空気を取込んで除湿して室内空間に排出する除湿運転を行う。また、除加湿空清機100は、加湿モードが選択されると、室内空間の空気を取込んで加湿して室内空間に排出する加湿運転を行う。
【0031】
除加湿空清機100は、最大風量モード、強風量モード、中風量モード、弱風量モード及び最小風量モードからなる5段階の風量モードを備えており、ユーザは後述する操作パネル15aを介して風量モードの切換えが可能である。
【0032】
除加湿空清機100には、室内の空気を内部に取り込む下吸込口101、左側方吸込口102a及び右側方吸込口102bが形成されており、清浄化した空気を吹出す吹出口103が形成されている。下吸込口101は、正面部分の下端近傍において左右方向に延びるように形成されている。左側方吸込口102aは、左側面部分において上下方向に延びるように形成されている。右側方吸込口102bは、右側面部分において左側方吸込口102aと同様の態様により形成されている。なお、説明の便宜上、以下の説明においては、左側方吸込口102a及び右側方吸込口102bを併せて側方吸込口102と記載する。吹出口103は、天井部分において形成されている。
【0033】
(1−2)空気の流れ
図2は、除加湿空清機100の運転時における空気の流れを表した概念図である。除加湿空清機100の空気の流れの概要は、次のとおりである。
【0034】
図2に示すように、シロッコファン50が駆動すると、空気流AFが生成される。空気流AFは、除加湿空清機100内に流入して除加湿空清機100外に流出する空気の流れである。空気流AFが生成されると、室内の空気が、下吸込口101及び側方吸込口102を介して除加湿空清機100内に取り込まれる。除加湿空清機100内に取り込まれた室内の空気は、フィルタユニット30を通過して塵埃や臭い成分などが取り除かれる。そして、空気流AFは、冷凍サイクルユニット60及び加湿ユニット70を通過し、除加湿空清機100が除湿モードにある場合には除湿され、除加湿空清機100が加湿モードにある場合には加湿される。その後、吹出口103を介して除加湿空清機100外へ吹き出されて室内へ戻される。
【0035】
また、空気流AFの一部は、除加湿空清機100外へ吹き出されずに支流BFとしてストリーマ放電ユニット80を通過する。ストリーマ放電ユニット80を通過した支流BFは、活性種を含んで鉛直風通路部材410に流入し、放出口41aを介してフィルタユニット30を通過する空気流AFに合流する。
【0036】
(2)除加湿空清機100の詳細
以下、
図1から
図3を参照して除加湿空清機100の詳細について説明する。
図3は、除加湿空清機100の分解図である。
【0037】
(2−1)本体ケーシング10
除加湿空清機100の外郭は、略直方体状の本体ケーシング10(特許請求の範囲記載の「ケーシング」に相当)によって構成されている。本体ケーシング10は、主として、底面部11、背面部12、左側壁部13、左側方吸込口形成部14a、右側方吸込口形成部14b、天井部15及び前面パネル16からなるケーシング部材によって構成されている。
【0038】
底面部11は、平面視において左右方向に長い略長方形状を呈しており、除加湿空清機100の底面部分を構成している。
【0039】
背面部12は、除加湿空清機100の背面部分及び右側面の背面側部分を構成している。背面部12は、下端部分が平面視において略L字状を呈しており、当該下端部分において底面部11に固定される。
【0040】
左側壁部13は、除加湿空清機100の左側面部分を構成している。左側壁部13には、把持部13aが形成されている。把持部13aは、指を差し込んで掴める程度の窪みである。把持部13aに指を差し込んで左方向に引っ張ると、左側壁部13は取り外されるようになっている。また、左側壁部13は、その内面において、加湿ユニット70の水タンク73を固定されている。水タンク73内の水の入れ換えをする際には、左側壁部13の着脱を行うことにより、水タンク73の着脱が行えるようになっている。
【0041】
左側方吸込口形成部14aは、除加湿空清機100の左側面の正面側部分を構成している。右側方吸込口形成部14bは、除加湿空清機100の右側面の正面側部分を構成している。なお、以下の説明においては、説明の便宜上、左側方吸込口形成部14a及び右側方吸込口形成部14bを併せて側方吸込口形成部14と記載する。側方吸込口形成部14は、縦長の板状部材であり、その下端において底面部11に固定される。側方吸込口形成部14には、上下に長い開口が形成されており、当該開口が側方吸込口102として機能している。
【0042】
天井部15は、除加湿空清機100の天井部分を構成しており、背面部12及び側方吸込口形成部14に固定される。天井部15は、正面方向に下り勾配がつけられるように傾斜して配設される。天井部15には、ユーザが指示を入力する操作パネル15aが配設されている。ユーザは操作パネル15aに設けられた入力キー等を押下することにより、除加湿空清機100の運転状態(運転開始、運転停止、運転モード及び風量モードなど)を切り換えることができる。
【0043】
天井部15は、背面部12の上端部分との間に開口を形成するように配設される。すなわち、平面視において天井部15と背面部12との間には開口が形成されており、当該開口が除加湿空清機100の吹出口103として機能している。吹出口103は、除加湿空清機100が運転停止状態にある時には、吹出口羽根151によって覆われている。吹出口羽根151は、図示しない駆動部によって開閉する。吹出口103は、除加湿空清機100が運転状態にある時には、吹出口羽根151が開いて露出される。なお、吹出口103には、物体の落下を防止するために、格子103aが設けられている。
【0044】
前面パネル16は、除加湿空清機100の正面部分を構成している。前面パネル16は、側方吸込口形成部14及び天井部15に固定されており、正面方向に引っ張ることにより取り外しが可能である。前面パネル16の下端と底面部11との間には、隙間が形成されており、当該隙間が下吸込口101として機能している。なお、前面パネル16と底面部11との間にこのような隙間を形成せずに、前面パネル16に開口を形成して当該開口を下吸込口101としてもよい。
【0045】
以上のように構成される本体ケーシング10の内部には、放電ユニット20、フィルタユニット30、フレーム40、シロッコファン50、冷凍サイクルユニット60、加湿ユニット70及びストリーマ放電ユニット80等が収納されている。なお、本体ケーシング10は、上述のように、背面部12、左側壁部13、左側方吸込口形成部14a、右側方吸込口形成部14b、天井部15及び前面パネル16などから構成されたが、これらを一体に成形して構成してもよい。
【0046】
(2−2)放電ユニット20
放電ユニット20は、主として、縦長の筒状の形状をした左側方放電ユニット20a及び右側方放電ユニット20bを含む。左側方放電ユニット20aは、左側方吸込口102aの近傍に設けられる。よって、左側方吸込口102aから取り込まれた空気は、左側方放電ユニット20aを通過する。また、右側方放電ユニット20bは、右側方吸込口102bの近傍に設けられる。よって、右側方吸込口102bから取り込まれた空気は右側方放電ユニット20bを通過する。
【0047】
左側方放電ユニット20a及び右側方放電ユニット20bは、正極であるタングステン製のイオン化線と、負極であるステンレス金属製の板状の電極とを有する。正極であるイオン化線に高電圧を印加すると、正極と負極電極間に電位差が生じコロナ放電が生じる。この放電によって、左側方放電ユニット20a及び右側方放電ユニット20bを通過する空気中の塵埃が帯電される。
【0048】
(2−3)フィルタユニット30
フィルタユニット30は、下吸込口101及び側方吸込口102から本体ケーシング10内に取り込まれた空気流AFが通過するように、本体ケーシング10内に配設される。なお、以下の説明においては、空気流AFのうちフィルタユニット30を通過した空気流を、第1空気流AF1と称する。フィルタユニット30は、
図2に示されるように、主として、プレフィルタ31と、静電集塵フィルタ32と、脱臭フィルタ33とで構成される。
【0049】
本体ケーシング内に流入した空気流AFは、まず、プレフィルタ31によって大きな塵埃が取り除かれる。
【0050】
次に、プレフィルタ31よりも集塵性能が高い静電集塵フィルタ32によって、放電ユニット20を通過して帯電した微細な塵埃や菌などが取り除かれる。除加湿空清機100が運転状態にある場合、静電集塵フィルタ32は、放電ユニット20を通過する塵埃とは、反対の極性に帯電される。例えば、放電ユニット20を通過する塵埃などがプラスの電荷によって帯電される場合には、静電集塵フィルタ32はマイナスの電荷によって帯電される。これにより、放電ユニット20及びプレフィルタ31を通過した空気流AFに含まれる微細な塵埃や菌などは、静電集塵フィルタ32に吸着されるようになっている。
【0051】
なお、本実施形態における静電集塵フィルタ32は、日本電機工業会規格(JEM1467)に規定される「初期の集塵効率が70パーセント以上であって、かつ、適用面積の測定値から算出される集塵能力P値が、表示する適用床面積(畳数)から算出する集塵能力P値に対して10パーセントを下回ってはならない」という要件を満たすものである。すなわち、計数法などの測定方法によって計測される静電集塵フィルタ32の初期の(すなわち集塵フィルタが目詰まり等しておらず正常に機能する状態における)集塵効率は、70パーセント以上である。
【0052】
さらに、静電集塵フィルタ32を通過した空気は、活性炭などから構成される脱臭フィルタ33によってホルムアルデヒドや臭い成分などを分解され、または吸着される。
【0053】
(2−4)フレーム40
フレーム40は、例えば合成樹脂製のフレーム部材である。フレーム40は、主として、前フレーム41、中央フレーム42及び後フレーム43から構成される。
【0054】
前フレーム41は、その正面部分において、フィルタユニット30を固定される。また、前フレーム41には、左右両端部において、鉛直方向である上下方向に沿って、鉛直風通路部材410が配設されている。鉛直風通路部材410には、複数の放出口41aが、上下方向に並ぶように形成されている。さらに、前フレーム41は、上部においてストリーマ放電ユニット80を固定される。
【0055】
中央フレーム42は前フレーム41の背面側に設けられる。中央フレーム42は、正面側において、冷凍サイクルユニット60を固定される。すなわち、前フレーム41と中央フレーム42との間に、冷凍サイクルユニット60が配設される。また、中央フレーム42は、背面側において、加湿ユニット70を配設される。さらに、中央フレーム42は、底部分において、除湿運転時に結露した水を貯水する除湿タンク42aを収容される。
【0056】
後フレーム43は、中央フレーム42の背面側に設けられている。中央フレーム42と後フレーム43との間に、加湿ユニット70が配設されている。後フレーム43は、その上部において、除加湿空清機100の駆動を制御する電装品箱90を固定される。後フレーム43は、背面側において、シロッコファン50を配設される。また、後フレーム43は、中央部分において、ベルマウス形状のファンベルマウス431を設けられる。このファンベルマウス431を介して、空気流AFがシロッコファン50に流入する。
【0057】
(2−5)シロッコファン50
シロッコファン50(特許請求の範囲記載の「ファン」に相当)は、本体ケーシング10内に流入し本体ケーシング10外へ流出する空気流AFを生成する。シロッコファン50は、主として、ファンロータ51と、ファンロータ51を収容するスクロールケーシング52とを含む。
【0058】
ファンロータ51は、ファンロータ51の背面側に配設されたファンモータM50の回転軸と接続されており、ファンモータM50が駆動することにより回転する。ファンモータM50が駆動すると、ファンロータ51は、空気を回転軸が延びる方向から吸い込み、径方向に吹き出す。
【0059】
ファンモータM50は、その回転速度を段階的に切り換えられる。ファンモータM50の回転速度は、最大風量モード時において最高出力に切り換えられ、最小風量モード時において最低出力に切り換えられる。ファンモータM50の回転数は、最高出力に切り換えられた時における風量が、最低出力に切り換えられた時における風量の5倍となるように設定されている。すなわち、除加湿空清機100は、最大風量モードを選択された時における風量が、最小風量モードを選択された時における風量の5倍以上である。なお、本実施形態においては、最大風量モード時において静電集塵フィルタ32を通過する第1空気流AF1の風量は、7.0m
3/minとなるように設定されている。
【0060】
スクロールケーシング52は、ファンが収容されるスクロール湾曲部を有する合成樹脂製のケーシング部材である。スクロールケーシング52は、後フレーム43の背面部分に固定されている。
【0061】
スクロールケーシング52の正面側には、正面方向から見た面積がファンロータ51と略同一面積の開口が形成されており、当該開口がシロッコファン50の吸入口50a(
図6及び
図7参照)として機能する。また、スクロールケーシング52の上部には、開口が形成されており、当該開口がシロッコファン50の排出口50b(
図7参照)として機能する。排出口50bは、吹出口103と接続されており、吹出口103が露出すると排出口50bも露出するようになっている。
【0062】
スクロールケーシング52の内部には、空気が流れるスクロール流路及び排出流路が形成される。具体的には、スクロール流路は、スクロール湾曲部においてファンロータ51の外周面の外側に形成され、舌部から離れるにしたがって流路面積が大きくなるように形成される。排出流路は、スクロール流路と連通して排出口50bまで延びている。排出流路へと導かれた空気は、排出口50bから排出される。
【0063】
(2−6)冷凍サイクルユニット60
以下、
図1から
図8を参照して冷凍サイクルユニット60(特許請求の範囲記載の「冷凍サイクル装置」に相当)について説明する。
図4は、冷凍サイクルユニット60の概略構成図である。
図5は、前面パネル16、放電ユニット20、フィルタユニット30及び前フレーム41を取り外した状態における除加湿空気清浄機100の正面図である。
図6は、蒸発器61、凝縮器63、加湿ロータ71及びファンベルマウス431の正面視における位置関係を表した模式図である。
図7は、
図1のVII-VII線断面図である。
図8は、除加湿空清機100の概略構成及び第1空気流AF1から第7空気流AF7を表した模式図である。
【0064】
冷凍サイクルユニット60は、除加湿空清機100が除湿運転時に駆動する。冷凍サイクルユニット60は、主として、蒸発器61、圧縮機62、凝縮器63、キャピラリーチューブ64及び冷媒配管65から構成されて、冷媒回路を形成している。なお、冷媒としては、例えば、R134a、CO
2などの様々な冷媒が選択される。
【0065】
(2−6−1)蒸発器61
蒸発器61は、例えばクロスフィン型式の熱交換器であって、前フレーム41の背面側に位置するように配設される。すなわち、蒸発器61は、フィルタユニット30の下流側に位置する。よって、第1空気流AF1の少なくとも一部は、蒸発器61を通過するようになっている。以下の説明においては、説明の便宜上、第1空気流AF1のうち蒸発器61を通過する空気流を第2空気流AF2と称する(
図8参照)。蒸発器61は、第2空気流AF2と熱交換することにより、蒸発器61内を流通する液冷媒を蒸発させ、第2空気流AF2を露点温度以下に冷却して除湿する。なお、第2空気流AF2が蒸発器61を通過する際に結露したドレン水は、除湿タンク42aに導かれて貯水される。
【0066】
ここで、蒸発器61は、その正面方向から見た面積が、静電集塵フィルタ32の面積よりも小さい。本実施形態において、正面方向から見た蒸発器61の面積と、静電集塵フィルタ32の面積の比率は、概ね1:2.6である。このことから、第1空気流AF1の全てが蒸発器61を通過することはなく、第1空気流AF1の一部は、蒸発器61をバイパスするようになっている。以下の説明においては、当該第1空気流AF1の一部(すなわち第1空気流AF1のうち第2空気流AF2を除いた残りの空気流)を、説明の便宜上、第3空気流AF3と称する(
図8参照)。
【0067】
以上のように、蒸発器61は、第2空気流AF2が通過し、かつ、第3空気流AF3が通過しないように、本体ケーシング10内において静電集塵フィルタ32より下流側に配設されている。
【0068】
(2−6−2)圧縮機62
圧縮機62は、例えばロータリ式やスクロール式の密閉型圧縮機である。圧縮機62は、内蔵される圧縮機用モータM62が駆動することにより運転状態となり、流入するガス冷媒を圧縮する。本実施形態において、圧縮機用モータM62はノンインバータ方式で駆動し、圧縮機62はその回転数が一定である。すなわち、本実施形態においては、圧縮機62の回転数を変更することによって、圧縮機62から流出するガス冷媒の流量をリアルタイムに調整することはできない。圧縮機62は、アキュームレータ621を備えており、液冷媒が流入することを抑制している。
【0069】
(2−6−3)凝縮器63
凝縮器63(特許請求の範囲記載の「放熱器」に相当)は、例えばクロスフィン型式の熱交換器であって、蒸発器61の背面側に近接して配設される。凝縮器63は、
図5及び
図6に示すようにその正面方向から見た面積が、蒸発器61の面積よりも大きい。本実施形態において、正面方向から見た凝縮器63の面積は、蒸発器61の面積の約1.4倍である。具体的には、凝縮器63は蒸発器61よりも上下方向の長さが大きい。よって、正面視において、蒸発器61は、凝縮器63の下部と重畳しているが、凝縮器63の上部とは重畳していない。このことから、第2空気流AF2が凝縮器63を通過し、また、第3空気流AF3の一部も凝縮器63を通過するようになっている。
【0070】
なお、以下の説明においては、上記第3空気流AF3の一部(すなわち、第3空気流AF3のうち凝縮器63を通過する空気流)を説明の便宜上、第4空気流AF4と称する(
図8参照)。凝縮器63は、第2空気流AF2及び第4空気流AF4と熱交換することにより、凝縮器63内を流通するガス冷媒を凝縮させ、第2空気流AF2及び第4空気流AF4を加熱する。
【0071】
また、凝縮器63は、その正面方向から見た面積が、静電集塵フィルタ32の面積よりも小さい。本実施形態において、正面方向から見た凝縮器63の面積と、静電集塵フィルタ32の面積と、の比率は概ね1:1.9である。このことから、第3空気流AF3の全てが凝縮器63を通過することはなく、第3空気流AF3の一部は、凝縮器63をバイパスするようになっている。以下の説明においては、当該第3空気流AF3の一部(すなわち第3空気流AF3のうち第4空気流AF4を除いた残りの空気流)を、説明の便宜上、第5空気流AF5と称する(
図8参照)。
【0072】
以上のように、凝縮器63は、第2空気流AF2及び第4空気流AF4が通過し、かつ、第5空気流AF5が通過しないように、本体ケーシング10内において静電集塵フィルタ32より下流側に配設されている。すなわち、凝縮器63は、第2空気流AF2及び第4空気流AF4とは熱交換するが、第5空気流AF5とは熱交換しない。そして、第2空気流AF2及び第4空気流AF4は、吹出口103から吹出される前に、凝縮器63をバイパスした第5空気流AF5と合流する。よって本実施形態では、吹出口103から室内に吹き出される空気流AFの温度の上昇が抑制される。
【0073】
(2−6−4)キャピラリーチューブ64、冷媒配管65
キャピラリーチューブ64は、蒸発器61に流入する液冷媒を膨張させる膨張手段である。すなわち、キャピラリーチューブ64は、凝縮器63から流出する高圧の液冷媒を、通過させることで膨張させて減圧する。なお、キャピラリーチューブ64は、通過する液冷媒の流量を変えることはできない。言い換えると、キャピラリーチューブ64を通過する液冷媒の流量は、主としてキャピラリーチューブ64の内径によって決定され、キャピラリーチューブ64は、蒸発器61に流入する液冷媒の流量をリアルタイムに調整することはできない。
【0074】
冷媒配管65は、冷媒が流通する銅製の管である。冷媒配管65は、蒸発器61、圧縮機62、凝縮器63及びキャピラリーチューブ64を接続している。
【0075】
(2−7)加湿ユニット70
図3に示すように、加湿ユニット70は、主として、加湿ロータ71(特許請求の範囲記載の「加湿フィルタ」に相当)、貯留部72及び水タンク73を含む。
【0076】
加湿ロータ71は、例えばリング状フレームに気化フィルタが取り付けられた構造を有する。加湿運転時には、気化フィルタから水が気化することによって加湿が行われる。加湿ロータ71は、図示しない加湿ユニットモータと接続されており、加湿ユニットモータが駆動することによって回転する。貯留部72は、水タンク73から供給される水を貯水する。水タンク73は、貯留部72に供給する水を貯水するためのタンクであり、左側壁部13の内面部分に固定されている。加湿ロータ71は、リング状フレームに柄杓部(図示省略)が設けられており、加湿ロータ71が回転すると、柄杓部が貯留部
72から水をくみ上げて気化フィルタに水を供給するように構成されている。
【0077】
加湿ロータ71は、
図5から
図7に示すように、蒸発器61及び凝縮器63の背面側(空気流AFの下流側)に位置している。加湿ロータ71は、正面方向から見て、その大部分において凝縮器63と重畳している。このことから、第2空気流AF2及び第4空気流AF4が加湿ロータ71を通過し、また、第5空気流AF5の一部も加湿ロータ71を通過するようになっている。なお、以下の説明においては、上記第5空気流AF5の一部(すなわち、第5空気流AF5のうち加湿ロータ71を通過する空気流)を説明の便宜上、第6空気流AF6と称する(
図8参照)。
【0078】
また、加湿ロータ71は、正面方向から見て、その上端及び左端近傍部分において凝縮器63と重畳しないように配設されている。このことから、第5空気流AF5のうち第6空気流AF6を除いた残りの空気流は、加湿ロータ71をバイパスするようになっている。なお、以下の説明においては、第5空気流AF5のうち第6空気流AF6を除いた残りの空気流(すなわち、第5空気流AF5のうち加湿ロータ71をバイパスする空気流)を第7空気流AF7と称する。
【0079】
以上のように、加湿ロータ71は、第2空気流AF2、第4空気流AF4及び第6空気流AF6が通過し、かつ、第7空気流AF7が通過しないように、本体ケーシング10内において静電集塵フィルタ32より下流側に配設されている。なお、加湿ロータ71による圧力損失は無視できない大きさであるため、第2空気流AF2、第4空気流AF4及び第5空気流AF5(すなわち第1空気流AF1のすべて)が加湿ロータ71を通過するように加湿ロータ71が配設されると、ファンロータ51によって生成される空気流AFの風量が低減する。このような事態を回避すべく、本実施形態では、加湿ロータ71は、第7空気流AF7にバイパスされるように配設される。
【0080】
加湿ロータ71は、加湿運転時において、第2空気流AF2、第4空気流AF4及び第6空気流AF6に通過される際、気化した水分を第2空気流AF2、第4空気流AF4及び第6空気流AF6に含ませて加湿する。
【0081】
(2−8)ストリーマ放電ユニット80
ストリーマ放電ユニット80は、正極であるタングステン製の針状の電極と、当該電極に対向する板状の電極(対向電極)と、を有する。針状電極に高電圧を印加するとプラズマ放電の一種であるストリーマ放電が発生する。このストリーマ放電発生の際に酸化分解力の高い活性種が生成される。当該活性種は、ストリーマ放電ユニット80を通過する支流BFに乗って鉛直風通路部材410に流入する。そして鉛直風通路部材410に流入した支流BF及び活性種は、放出口41aから放出され、空気流AFと合流してフィルタユニット30を通過する。この際、活性種は、静電集塵フィルタ32に吸着された塵埃や細菌などを分解して浄化する。
【0082】
(3)空気流AF及び除加湿空清機100の機能
以下、
図8を参照して、空気流AFについて説明する。
【0083】
上述のように、除加湿空清機100においては、空気流AFの上流側から下流側に向かって、フィルタユニット30、蒸発器61、凝縮器63、加湿ロータ71、シロッコファン50の順に配置されている。除加湿空清機100の運転が開始され空気流AFが生成されると、本体ケーシング10内において第1空気流AF1がフィルタユニット30を通過する。
【0084】
フィルタユニット30を通過した第1空気流AF1のうち、第2空気流AF2は、蒸発器61を通過する。この際、除加湿空清機100が除湿モードで運転している時には、蒸発器61内において冷媒が流通している状態であるため、第2空気流AF2は蒸発器61を通過する際に露点温度以下に冷却されて除湿される。一方、フィルタユニット30を通過した第1空気流AF1のうち、第3空気流AF3は、蒸発器61を通過せずにバイパスする。
【0085】
蒸発器61を通過した第2空気流AF2は、凝縮器63を通過する。また、蒸発器61をバイパスした第3空気流AF3の一部である第4空気流AF4も、凝縮器63を通過する。一方、第3空気流AF3のうち、第4空気流AF4を除いた残りの空気流である第5空気流AF5は、凝縮器63を通過せずにバイパスする。
【0086】
凝縮器63を通過した第2空気流AF2及び第4空気流AF4は、加湿ロータ71を通過する。また、第5空気流AF5の一部である第6空気流AF6も加湿ロータ71を通過する。この際、除加湿空清機100が加湿モードで運転している時には、第2空気流AF2、第4空気流AF4及び第6空気流AF6は加湿される。一方、第5空気流AF5のうち第6空気流AF6を除いた残りの空気流である第7空気流AF7は、加湿ロータ71を通過せずにバイパスする。
【0087】
加湿ロータ71を通過した第2空気流AF2、第4空気流AF4及び第6空気流AF6と、加湿ロータ71をバイパスした第7空気流AF7と、はシロッコファン50に取り込まれる。そして、シロッコファン50に取り込まれた空気流AFは、吹出口103を介して本体ケーシング10外へ排出される。また、空気流AFの一部は、本体ケーシング10外へ排出されることなく、支流BFとなってストリーマ放電ユニット80へ送られる。ストリーマ放電ユニット80へ送られた支流BFは、活性種を含んで鉛直風通路部材410に流入し、放出口41aを介してフィルタユニット30を通過する空気流AFに合流する。
【0088】
空気流AFが上述のような態様で本体ケーシング10内を通過するように、静電集塵フィルタ32及び蒸発器61等が配設されたことで、静電集塵フィルタ32を通過させる風量が大きい場合(例えば7.0m
3/minである場合)に、蒸発器61の温度が露点温度以上に上昇することが抑制されて露点温度以下に保たれやすいようになっている。よって、除加湿空清機100は、除湿モードで運転した場合においても、塵埃の捕集能力に優れ、かつ、除湿能力にも優れている。
【0089】
(4)特徴
(4−1)
上記実施形態に係る除加湿空清機100では、蒸発器61は、第2空気流AF2が通過し、かつ、第3空気流AF3が通過しないように配設される。これにより、第3空気流AF3は、蒸発器61と熱交換しない。このため、蒸発器61の温度が露点温度以上に高くなって除湿量が減少することが抑制されている。よって、静電集塵フィルタ32を通過する第1空気流AF1の風量を大きく確保しても、蒸発器61の温度が露点温度以下に保たれやすい。したがって、空気清浄能力と除湿能力とを同時に向上できている。
【0090】
(4−2)
上記実施形態に係る除加湿空清機100では、圧縮機62の回転数が一定である。すなわち、圧縮機62の回転数が一定である場合においては、圧縮機62の回転数を可変に制御するインバータなどの機器を必要としないためコストは抑えられるが、圧縮機62の回転数を変化させることで蒸発器61を流通する液冷媒の流量をリアルタイムに調整できないことから、蒸発器61の温度を露点温度以下に保つことが容易ではない。しかし、上記実施形態に係る除加湿空清機100では、回転数が一定である低コストの圧縮機62を採用した場合において、静電集塵フィルタ32を通過する第1空気流AF1の風量を大きく確保しても、蒸発器61の温度が露点温度以下に保たれやすいようになっている。したがって、コスト増大を抑えつつ、空気清浄能力と除湿能力とを同時に向上できている。
【0091】
(4−3)
上記実施形態に係る除加湿空清機100では、冷媒の膨張手段がキャピラリーチューブ64である。すなわち、冷凍サイクル
ユニット60の膨張手段としてキャピラリーチューブ64を採用した場合においては、コストは抑えられるが、蒸発器61に流入する冷媒の流量をリアルタイムに調整できないため、蒸発器61の温度を露点温度以下に保つことが容易ではない。しかし、上記実施形態に係る除加湿空清機100では、冷凍サイクル
ユニット60の膨張手段として低コストのキャピラリーチューブ64を採用した場合において、静電集塵フィルタ32を通過する第1空気流AF1の風量を大きく確保しても、蒸発器61の温度が露点温度以下に保たれやすいようになっている。したがって、コスト増大を抑えつつ、空気清浄能力と除湿能力とを同時に向上できている。
【0092】
(4−4)
上記実施形態に係る除加湿空清機100では、最大風量モードを選択された時における空気流AFの風量が、最小風量モードを選択された時における空気流AFの風量の5倍以上である。すなわち、生成する風量を大きく切り換えることができる場合において、最大風量モードを選択されて、静電集塵フィルタ32を通過する第1空気流AF1の風量が最小風量モードと比較して大きく確保されても、蒸発器61の温度は露点温度以下に保たれやすいようになっている。したがって、静電集塵フィルタ32を通過する第1空気流AF1の風量が大きいために蒸発器61の除湿性能の確保が難しい場合においても、蒸発器61の除湿性能が確保されている。
【0093】
(4−5)
上記実施形態に係る除加湿空清機100では、シロッコファン50は、最大風量モード時において第1空気流AF1の風量が7.0m
3/min以上となるような空気流AFを生成可能である。すなわち、大きい風量の空気流AFを生成可能な場合において、静電集塵フィルタ32を通過する第1空気流AF1の風量が7.0m
3/min以上に大きく確保されても、蒸発器61の温度は露点温度以下に保たれやすいようになっている。したがって、静電集塵フィルタ32を通過する第1空気流AF1の風量が大きいために蒸発器61の除湿性能の確保が難しい場合においても、蒸発器61の除湿性能が確保されている。
【0094】
(4−6)
上記実施形態に係る除加湿空清機100では、凝縮器63は、第2空気流AF2及び第4空気流AF4が通過するように、本体ケーシング10内において静電集塵フィルタ32より下流側に配設されている。凝縮器63をこのような態様によって配設したことにより、凝縮器63を本体ケーシング10内に配設する場合において、静電集塵フィルタ32を通過する第1空気流AF1の風量を大きく確保しても、蒸発器61の温度が露点温度以下に保たれやすいようになっている。
【0095】
(4−7)
上記実施形態に係る除加湿空清機100では、凝縮器63は、第5空気流AF5が通過しないように配設されている。凝縮器63がこのような態様によって配設されたことにより、第5空気流AF5は、凝縮器63と熱交換しない。よって、吹出口103から吹出されて室内に戻る空気流AFの温度が上昇することを抑制できている。
【0096】
(4−8)
上記実施形態に係る除加湿空清機100では、加湿ロータ71は、第5空気流AF5の一部である第6空気流AF6が通過するように、本体ケーシング10内において静電集塵フィルタ32より下流側に配設されている。加湿ロータ71をこのような態様によって配設したことにより、加湿ロータ71を本体ケーシング10内に配設する場合において、静電集塵フィルタ32を通過する第1空気流AF1の風量を大きく確保しても、蒸発器61の温度が露点温度以下に保たれやすいようになっている。
【0097】
(5)変形例
(5−1)変形例1A
上記実施形態では、除加湿空清機100は床置きタイプであったが、これに限定されない。すなわち、第1空気流AF1の風量を大きく確保した場合に蒸発器61の温度を露点温度以下に保つように、静電集塵フィルタ32及び蒸発器61が本体ケーシング10内に配設されれば、除加湿空清機100は、どのようなタイプであってもよく、例えば壁掛けタイプや吊下げタイプであってもよい。すなわち、静電集塵フィルタ32を通過する第1空気流AF1の風量を大きく確保した場合に、蒸発器61の温度が露点温度以下に保たれる程度に第2空気流AF2の風量を抑えられるのであれば、本発明の目的を達成することができる。
【0098】
(5−2)変形例1B
上記実施形態では、フィルタユニット30は、主として、プレフィルタ31、静電集塵フィルタ32及び脱臭フィルタ33から構成されたが、必ずしもこのような構成には限定されない。例えば、脱臭フィルタ33については省略してもよい。また、静電集塵フィルタ32の代わりに電気集塵方式ではないHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)等を用いてもよい。すなわち、集塵効率が70パーセント以上であれば、どうような方式のフィルタであってもよい。なお、静電集塵フィルタ32に代えて電気集塵方式ではないフィルタを採用する場合、放電ユニット20については省略してもよい。
【0099】
(5−3)変形例1C
上記実施形態では、ファンモータM50の回転数は、最高出力に切り換えられた時における風量が、最低出力に切り換えられた時における風量の5倍となるように設定されていたが、これに限定されない。例えば、ファンモータM50の回転数は、最高出力に切り換えられた時における風量が、最低出力に切り換えられた時における風量の3倍となるように設定されてもよく、あるいは7倍となるように設定されてもよい。すなわち、除加湿空清機100は、最大風量モードを選択された時における風量が、例えば最小風量モードを選択された時における風量の3倍あるいは7倍となるように構成されてもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、ファンモータM50の回転数は、最大風量モード時において第1空気流AF1の風量が7.0m
3/minとなるように設定されていた。しかし、これに限定されず、これと異なる数値となるように設定されてもよい。例えば、ファンモータM50の回転数は、最大風量モード時において第1空気流AF1の風量が6.5m
3/minとなるように設定されてもよく、または8.0m
3/minとなるように設定されてもよい。
【0101】
(5−4)変形例1D
また、上記実施形態では、蒸発器61は、正面方向から見た蒸発器61の面積と、静電集塵フィルタ32の面積の比率が概ね1:2.6となるように配設されたが、これと異なる比率となるように配設されてもよい。すなわち、静電集塵フィルタ32を通過する第1空気流AF1の風量を大きく確保した場合に、蒸発器61の温度が露点温度以下に保たれる程度に第2空気流AF2の風量を抑えられるのであれば、上記比率と異なるように蒸発器61が配設されてもよい。例えば、蒸発器61及び静電集塵フィルタ32は、正面方向から見た蒸発器61の面積と静電集塵フィルタ32の面積の比率が1:2や1:3となるように、配設されてもよい。
【0102】
(5−5)変形例1E
上記実施形態では、圧縮機用モータM62はノンインバータ方式で駆動し、圧縮機62はその回転数が一定であった。しかし、必ずしもこれに限定されず、圧縮機用モータM62をインバータで駆動し、圧縮機62の回転数を可変に構成してもよい。
【0103】
(5−6)変形例1F
上記実施形態では、凝縮器63は、蒸発器61よりも上下方向の長さが大きく、凝縮器63の上部は、正面視において蒸発器61と重畳していなかった。しかし、これに限定されず、例えば凝縮器63は、蒸発器61と上下方向の長さを同一としてもよく、正面視における面積を蒸発器61の面積と同一としてもよい。
【0104】
また、上記実施形態では、凝縮器63は、蒸発器61の背面側に近接して配設された。しかし、凝縮器63は、必ずしも蒸発器61の背面側に配設される必要はない。例えば、除加湿空清機100は、
図9に示す除加湿空清機100aのように構成されてもよい。
【0105】
除加湿空清機100aにおける本体ケーシング10aは、本体ケーシング10よりも奥行き方向の長さが短い。蒸発器61aは、蒸発器61と同一である。凝縮器63aは、凝縮器63よりも上下方向の長さが短い。
【0106】
除加湿空清機100aでは、凝縮器63aは、蒸発器61aの上方に配設されている。つまり、蒸発器61aと凝縮器63aとは、第1空気流AF1´に対して並列に配設されている。このような態様で凝縮器63aが配設されることにより、除加湿空清機100aでは、本体ケーシング10aの薄型化が実現されている。すなわち、除加湿空清機100aでは、静電集塵フィルタ32を通過する第1空気流AF1´の風量を大きく確保しても、蒸発器61aの温度が露点温度以下に保たれやすいようになっており、かつ、外形のコンパクト化が実現されている。
【0107】
なお、除加湿空清機100aにおける第1空気流AF1´、第2空気流AF2´、第3空気流AF3´、第4空気流AF4´、第5空気流AF5´、第6空気流AF6´及び第7空気流AF7´は、第6空気流AF6´が蒸発器61aと凝縮器63aとの間を通過する点などを除いて、第1空気流AF1〜第7空気流AF7と同一である。また、除加湿空清機100aは、上述の点を除いて除加湿空清機100と同一である。
【0108】
(5−7)変形例1G
上記実施形態では、冷凍サイクルユニット60は、膨張手段としてキャピラリーチューブ64が採用されたが、膨張手段はこれに限定されない。例えば、キャピラリーチューブ64に代えて膨張弁などを膨張手段としてもよい。
【0109】
(5−8)変形例1H
上記実施形態では、加湿ユニット70は、気化フィルタを含む加湿ロータ71によって第2空気流AF2、第4空気流AF4及び第6空気流AF6を加湿していた。しかし、加湿ユニット70は、このような態様で加湿を行うものには限定されず、いかなる方式により加湿を行うものであってもよい。例えば、加湿ユニット70は、ヒータを利用する蒸気加湿方式や、超音波振動子を利用するいわゆる超音波振動加湿方式によって加湿を行うものであってもよい。また、加湿ユニット70を省略してもよい。
【0110】
(5−9)変形例1I
上記実施形態では、加湿ユニット70の加湿ロータ71は、正面方向から見てその上端及び左端近傍部分において凝縮器63と重畳しないように配設されていた。しかし、これに限定されず、加湿ロータ71は、正面視における面積が凝縮器63と同一となるように配設されてもよく、正面方向から見て凝縮器63と重畳するように配設されてもよい。