(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5673754
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】画像投影システム、画像投影装置、画像投影方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G09G 5/00 20060101AFI20150129BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20150129BHJP
G09G 5/38 20060101ALI20150129BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
G09G5/00 510B
G09G5/36 520P
G09G5/36 520G
G09G5/38 A
G09G5/00 550C
G09G5/00 550X
H04N5/74 Z
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-159673(P2013-159673)
(22)【出願日】2013年7月31日
(65)【公開番号】特開2015-31752(P2015-31752A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2013年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】390002761
【氏名又は名称】キヤノンマーケティングジャパン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】312000206
【氏名又は名称】キヤノンMJアイティグループホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】301015956
【氏名又は名称】キヤノンソフトウェア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189751
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 友輔
(74)【代理人】
【識別番号】100188938
【弁理士】
【氏名又は名称】榛葉 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 彰浩
【審査官】
中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−234060(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/121729(WO,A1)
【文献】
特開2013−114467(JP,A)
【文献】
特開2013−156324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 − 5/42
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像をそのまま表示しない投影面の領域の位置および幅に関する情報を記憶する記憶手段と、
前記幅の領域を除く投影面の領域に前記入力画像が投影されるように、前記記憶手段に記憶された前記情報に基づいて入力画像を区分けし、当該区分けされた入力画像の間に前記幅の領域を加えて、出力画像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段で生成された出力画像を投影手段によって投影面に投影させるべく出力する出力手段と、
前記画像生成手段で出力画像を生成する際に入力画像の縮小が必要かを判断する判断手段と、を有し、
前記判断手段は、前記区分けされた入力画像の間に前記幅の領域を加えた画像の大きさが、前記投影手段によって投影可能な画像サイズより大きい場合に、入力画像の縮小が必要であると判断し、前記区分けされた入力画像の間に前記幅の領域を加えた画像の大きさが、前記投影手段によって投影可能な画像サイズ以下の場合に、入力画像の縮小が必要でないと判断することを特徴とする画像投影システム。
【請求項2】
前記判断手段で入力画像の縮小が必要であると判断された場合に、前記画像生成手段は、前記区分けされた画像ごとに画像サイズを縮小することで前記出力画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の画像投影システム。
【請求項3】
前記判断手段で入力画像の縮小が必要ないと判断された場合には、前記画像生成手段は、画像サイズを縮小することなく前記区分けされた画像ごとに座標位置を移動させることで前記出力画像を生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像投影システム。
【請求項4】
検出用画像が投影された投影面の画像を取得する取得手段と、
前記取得された画像から前記入力画像をそのまま表示しない投影面の領域の位置および幅に関する情報を解析する解析手段と、をさらに有し、
前記記憶手段は、前記解析手段で解析された情報を記憶していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像投影システム。
【請求項5】
前記検出用画像は、投影面全域に対して一様の強度で投影された画像であることを特徴とする請求項4に記載の画像投影システム。
【請求項6】
前記検出用画像は、入力画像であり、
前記解析手段は、前記取得手段で取得された画像と、入力画像とを比較することで、前記情報を解析することを特徴とする請求項5に記載の画像投影システム。
【請求項7】
前記入力画像をそのまま表示しない投影面の領域の位置および幅に関する情報を設定する画面を表示する表示手段と、
前記表示手段によって表示された画面に基づいて、画像をそのまま表示しない領域の位置および幅に関する情報の設定を受け付ける受付手段と、をさらに有し、
前記記憶手段は、前記受付手段で受け付けた情報を記憶していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像投影システム。
【請求項8】
前記表示手段は、投影面に当該画面を投影することで前記画面を表示することを特徴とする請求項7に記載の画像投影システム。
【請求項9】
前記画像生成手段は、前記区分けされた画像のうち隣り合う2画像の一部の領域は同じ画像となるように生成することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像投影システム。
【請求項10】
入力画像をそのまま表示しない投影面の領域の位置および幅に関する情報を記憶する記憶手段と、
前記幅の領域を除く投影面の領域に前記入力画像が投影されるように、前記記憶手段に記憶された前記情報に基づいて入力画像を区分けし、当該区分けされた入力画像の間に前記幅の領域を加えて、出力画像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段で生成された出力画像を投影手段によって投影面に投影させるべく出力する出力手段と、
前記画像生成手段で出力画像を生成する際に入力画像の縮小が必要かを判断する判断手段と、を有し、
前記判断手段は、前記区分けされた入力画像の間に前記幅の領域を加えた画像の大きさが、前記投影手段によって投影可能な画面サイズより大きい場合に、入力画像の縮小が必要であると判断し、前記区分けされた入力画像の間に前記幅の領域を加えた画像の大きさが、前記投影手段によって投影可能な画面サイズ以下の場合に、入力画像の縮小が必要でないと判断することを特徴とする画像投影装置。
【請求項11】
入力画像をそのまま表示しない投影面の領域の位置および幅に関する情報を記憶手段に記憶する記憶工程と、
前記幅の領域を除く投影面の領域に前記入力画像が投影されるように、前記記憶手段に記憶された前記情報に基づいて区分けした入力画像を用い、当該区分けされた入力画像の間に前記幅の領域を加えた出力画像を生成する画像生成工程と、
前記画像生成工程で生成された出力画像を投影手段によって投影面に投影させるべく出力する出力工程と、
前記画像生成工程で画像を生成する際に入力画像の縮小が必要かを判断する判断工程と、を有し、
前記判断工程は、前記区分けされた入力画像の間に前記幅の領域を加えた画像の大きさが、前記投影手段によって投影可能な画面サイズより大きい場合に、入力画像の縮小が必要であると判断し、前記区分けされた入力画像の間に前記幅の領域を加えた画像の大きさが、前記投影手段によって投影可能な画面サイズ以下の場合に、入力画像の縮小が必要でないと判断することを特徴とする画像投影方法。
【請求項12】
入力画像をそのまま表示しない投影面の領域の位置および幅に関する情報を記憶する記憶手段を有する画像投影装置に搭載可能なプログラムであって、
前記画像投影装置を、
前記幅の領域を除く投影面の領域に前記入力画像が投影されるように、前記記憶手段に記憶された前記情報に基づいて入力画像を区分けし、当該区分けされた入力画像の間に前記幅の領域を加えて、出力画像を生成する画像生成手段、
前記画像生成手段で生成された出力画像を投影手段によって投影面に投影させるべく出力する出力手段、
前記画像生成手段で出力画像を生成する際に入力画像の縮小が必要かを判断する判断手段、として機能させ、
前記判断手段として機能させる際には、前記区分けされた入力画像の間に前記幅の領域を加えた画像の大きさが、前記投影手段によって投影可能な画面サイズより大きい場合に、入力画像の縮小が必要であると判断し、前記区分けされた入力画像の間に前記幅の領域を加えた画像の大きさが、前記投影手段によって投影可能な画面サイズ以下の場合に、入力画像の縮小が必要でないと判断することを特徴とするプログラム。
【請求項13】
入力画像をそのまま表示しない投影面の領域の位置および幅に関する情報を記憶する記憶手段を有する画像投影システムに搭載可能なプログラムであって、
前記画像投影システムを、
前記幅の領域を除く投影面の領域に前記入力画像が投影されるように、前記記憶手段に記憶された前記情報に基づいて入力画像を区分けし、当該区分けされた入力画像の間に前記幅の領域を加えて、出力画像を生成する画像生成手段、
前記画像生成手段で生成された出力画像を投影手段によって投影面に投影させるべく出力する出力手段、
前記画像生成手段で出力画像を生成する際に入力画像の縮小が必要かを判断する判断手段、として機能させ、
前記判断手段として機能させる際には、前記区分けされた入力画像の間に前記幅の領域を加えた画像の大きさが、前記投影手段によって投影可能な画面サイズより大きい場合に、入力画像の縮小が必要であると判断し、前記区分けされた入力画像の間に前記幅の領域を加えた画像の大きさが、前記投影手段によって投影可能な画面サイズ以下の場合に、入力画像の縮小が必要でないと判断することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像投影システム、画像投影装置、画像投影方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタなどの画像投影システムを用いて画像を投影する際に用いる投影面としては、専用のスクリーンを使用することが理想であるが、専用スクリーンのかわりに教室や会議室等の壁面をスクリーンとして用いて画像を表示することがよく行われている。しかし、このような壁面に絵画や広告物等の何らかの障害物がある場合には、障害物の凹凸の影響を受けて投影画像を識別しにくくなってしまうため、壁面に障害物があったとしても画像を良好に投影できる技術が求められている。
【0003】
特許文献1には、このような壁面に障害物があったとしても良好に表示することができる投影型画像表示システムが開示されている。特許文献1では、投影されたキャリブレーション画像をセンシングして投影可能領域を決定し、該投影可能領域のうち実際に投影する領域を選択し、この投影する領域に表示できるように画像の調整を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−323084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年の会議室は多種多様の会議形態に対応するためにパーティションによって区切られるように設けられていることが多いが、このような会議室の壁面には縦や横にスリット状の継ぎ目が存在することになる。そして、このようなスリット状の継ぎ目の上に画像を投影すると、文字などは判別が困難であったり、別の文字として認識されてしまう可能性が生じることになる。
【0006】
この際に特許文献1のようにスリット状の継ぎ目を全て回避するように画像の調整を行ってしまうと、投影画像が小さくなりすぎてしまい文字の識別や、写真やイラスト等の画像の確認が困難となってしまう可能性がある。
【0007】
本願発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、スリット状の継ぎ目があるような会議室であっても、良好に画像を投影できる画像投影システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を解決できる本願発明に係る画像投影システムは、入力画像をそのまま表示しない投影面の領域の位置および幅に関する情報を記憶する記憶手段と、
前記幅の領域を除く投影面の領域に前記入力画像が投影されるように、前記記憶手段に記憶された前記情報に基づいて入力画像を区分けし、
当該区分けされた入力画像の間に前記幅の領域を加えて、出力画像を生成する画像生成手段と、前記画像生成手段で生成された出力画像を
投影手段によって投影面に投影させるべく出力する出力手段と、
前記画像生成手段で出力画像を生成する際に入力画像の縮小が必要かを判断する判断手段と、を有し、前記判断手段は、前記区分けされた入力画像の間に前記幅の領域を加えた画像の大きさが、前記投影手段によって投影可能な画像サイズより大きい場合に、入力画像の縮小が必要であると判断し、前記区分けされた入力画像の間に前記幅の領域を加えた画像の大きさが、前記投影手段によって投影可能な画像サイズ以下の場合に、入力画像の縮小が必要でないと判断することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
このように設けることにより、スリット状の継ぎ目があるような会議室であっても、スリットの幅を加味した画像の生成が行えるため、文字や画像の識別を行える良好に識別できる画像の投影を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】会議室の壁面に画像を投影する際の模式図である。
【
図3】画像投影装置のソフトウェア構成について説明するための図である。
【
図4】(a)従来の会議室の壁面に投影された画像を示す図である。(b)本願発明を用いて会議室の壁面に投影された画像を示す図である。
【
図5】投影モードの選択を説明するためのフローチャートである。
【
図7】処理条件を決定する流れを説明するためのフローチャートである。
【
図8】(a)自動で処理条件を決定する際のフローチャートである。(b)検出されたスリットの情報の一例である。
【
図9】手動で処理条件を決定する際の画面の一例である。
【
図10】処理条件の解析を説明するためのフローチャートである。
【
図11】区分けした領域の座標と、調整後の座標を示す図である。
【
図12】入力画像の処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明に係る液晶プロジェクタ等の画像投影装置200で、パーティションで区切られた会議室の壁面100に画像を投影する様子を模式的に示したものである。壁面100には、スリット状の継ぎ目101が設けられており、壁面に投影された画像110は、継ぎ目101上にも投影されることになる。本発明を適用せずに画像を投影した例が
図4(a)である。入力された画像をそのままスリット状の継ぎ目101がある壁面に投影すると文字を正確に視認することができないことがわかる。これに対し、本発明を適用して画像を投影すると
図4(b)に示すようにスリット状の継ぎ目101の幅を加味して画像が投影されるため、文字や画像を間違えずに識別することが可能となる。以下、
図4(b)のように、良好に識別可能な画像を投影することができる画像投影システム(装置)について詳細に説明する。
【0012】
図2は、本発明に係る画像投影装置のハードウェアブロック図である。CPU201は、システムバス204に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。ROM202には、CPU201の制御プログラムであるBIOS(Basic Input / OutputSystem)やオペレーティングシステムプログラム(以下、OS)が記憶されている。さらにROMには各サーバ或いは各PCの実行する機能を実現するために必要な各種プログラム等が記憶されている。RAM203は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。また、CPU201は、処理の実行に際して必要なプログラム等をRAM203にロードして、プログラムを実行することで各種動作を実現する。
【0013】
入力コントローラ205は、画像投影装置200に設けられたカメラなどの撮影部330で撮影された画像の入力を制御したり、操作部209からの操作を受け付ける。出力コントローラ206は、投影部314における画像の投影を制御する。 情報記憶媒体207は、ブートプログラム、ブラウザソフトウエア、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、各種データ等を記憶する。
【0014】
通信I/Fコントローラ(通信I/FC)208は、ネットワークを介して、外部機器と接続・通信するものであり、ネットワークでの通信制御処理を実行する。例えば、TCP/IPを用いたインターネット通信等が可能である。なお、CPU201は、例えばRAM203内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、投影部314上での表示を可能としている。本発明を実現するためのプログラムは情報記憶媒体207に記録されており、必要に応じてRAM203にロードされることによりCPU201によって実行されるものである。
【0015】
なお、
図2の構成は一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例があることは云うまでもない。その他の構成例として、プロジェクタが、ネットワークと接続され、通信可能な不図示のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置からプログラム生成命令を受けることによって、プログラムの生成を行うことも可能である。
【0016】
すなわち、本発明の機能が実現されるものであれば、単体の機器であっても、複数の機器からなるシステムであっても、ネットワークを介して処理が行われるシステムであっても本発明を適用することができる。また、情報記憶媒体207に記憶された情報は、それぞれデータベース(DB)等に格納されていても良い。
【0017】
次に
図3の画像投影装置200のソフトウェア構成を示す図を用いて画像投影装置200で入力された画像が壁面に投影されるまでの流れを説明する。まず最初に、画像投影装置200の外部から入力された画像信号370が信号入力部へ入力される。次に投影画像処理部311にて、画像が正確に表示することができない領域を避けて投影画像が表示されるように、画像信号の処理を行う。このように処理された画像信号を信号出力部312から投影部314に出力する。
【0018】
また、投影部314は、空間光変調器321と、空間光変調器321を駆動する駆動部320と、光源322と、レンズ323とを含んで構成されている。駆動部320は、信号出力部312からの画像信号に基づき、空間光変調器321を駆動する。そして、投影部314は、光源322からの光を、空間光変調器321およびレンズ323を介し、入力された画像信号に基づいて壁面に対して画像を投影する。このように投影画像の処理を行うことにより、スリット状の継ぎ目の幅を加味した画像を壁面に表示することができ、文字や画像を良好に識別できるようになる。
【0019】
次に、
図3の画像投影装置200のソフトウェア構成を示す図を用いて投影画像処理部311にて処理を行うために用いる、画像を正確に表示することができない幅(スリット状の継ぎ目の幅)および当該箇所の位置を取得する流れを簡単に説明する。画像投影装置200にはカメラなどの撮影部330が設けられており、あらかじめレンズ323から白色光等の光を投影面に対して一様の強度で投影した状態を撮影部330で撮影する。そして撮影部330で撮影された画像の濃度をもとに、処理条件取得部313が投影画像処理部311の処理に用いる処理条件を取得する。処理条件の取得の詳細については後述するが、撮影部330で撮影された画像から画像が正常に投影されていない領域(スリット領域とも称する)の座標を取得し、取得された座標情報に基づいて画像の処理条件を処理条件決定部302で決定する。このように、座標を取得することにより、スリット領域の位置及び幅を容易に認識させ、画像の処理条件を決定することができる。
以下、このような処理の流れをフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0020】
図5に投影モードの判断のフローを示す。スリット領域を回避するスリット回避モードで画像を表示するモードか否かを判断する(S501)。このようなモードは、
図6(a)に示すような設定メニュー601のスリット回避設定画面603で選択することができる。このような設定メニューを用いた設定は、投影画像で表示し、画像投影装置200の操作部209で操作して行うことができる。また、PCから画像投影装置200にアクセスし、PCの画面上で設定するように設けることもできる。
【0021】
S501でスリット回避モードが無効であると判断された場合には、ユーザーにスリット回避モードが無効(No)であることを通知し、入力された画像信号がそのまま投影面に投影する(S502)。ユーザーに通知する方法としては、プロジェクタを起動時に投影面である壁面に投影する方法を採用してもよいし、プロジェクタに接続されたPCなどに表示させる方法を採用してもよい。S501でスリット回避モードが有効(Yes)であると判断された場合には、あらかじめ定められた処理条件に基づいて投影画像の調整処理を行う(S503)。そして処理された投影画像を投影面に投影する(S504)。
【0022】
次に、S503の投影画像の画像生成処理で用いられる処理条件の設定について説明する。このような処理条件の設定は、会議開始前などの画像投影装置で投影する壁面が決まった際に適宜行うことが好ましい。また、画像投影装置を設置する位置ごとに(例えば会議室ごとに)記憶させておき、いずれかの条件を選択して投影画像を生成できるようにしてもよい。
【0023】
図7に処理条件の決定フローを示す。まず入力画像をそのまま投影しない領域であるスリット領域の検出を自動で行う自動検出モードか手動検出モードであるかを判断する(S701)。このようなモードの選択は、
図6(b)に示すような設定メニュー601のスリット条件設定画面602で選択することができる。手動検出モードと自動検出モードの両方を設けておくことにより自動では正確にスリット領域を検出できない場合にも良好な画像の調整を行うことができる。すなわち様々な壁面の状態に応じた画像の処理を行うことができる。
【0024】
S701で自動検出モード(Yes)であると判断された場合には、自動でスリット領域の検出を行いスリット領域の情報を取得する(S702)。S701で自動検出モードでない(No)と判断された場合には、S703で手動でスリット領域の設定を受け付ける。そして、S704でS702またはS703で取得されたスリット領域の情報に基づいて、投影画像を処理するために用いる処理条件を解析する。また、処理条件の精度を高めるために自動で取得された処理情報の一部を手動で調整できるように設けてもよい。
【0025】
次に、S702で行われる自動スリット領域の検出について
図8(a)のフローチャートを用いて詳細に説明する。まず、スリット検出用画像を投影面に投影する(S802)。このような検出用の画像は、白色光等の光を投影面全域に対して一様の強度で投影することが好ましい。一様の強度とすることで、文字や画像を良好に識別することができない領域をより信頼性高く検知することができる。
【0026】
次に、このような検出用画像が投影されている壁面を撮影部330で撮影する(S802)。そして撮影部330で撮影された壁面の画像の解析を行い、スリット領域の数と座標を取得する(S803)。具体的には、壁面の画像のうち濃度が所定以下となる領域をスリット領域とすることで、スリット領域の数と座標を求めることができる。なお、ここでは壁面に投影された画像を撮影する例を示したが、壁面から反射される光の強度をそのまま検出可能な検出手段を設け、この検出手段でスリットの位置および幅を取得してもよい。 このように取得されたスリットの座標の例を
図8(b)に示す。ここには壁面の画像のうち濃度が低い領域が解析されて取得されている。
【0027】
このような入力画像をそのまま投影しない領域を示す情報である座標情報は、画像投影装置200の情報記憶媒体207に一時的に記憶させておくことができる。ここではスリットが縦に設けられた例を用いて説明したが、スリットが横もしく斜めに設けられている場合や投影領域に部分的に存在している場合にも適用することができる。
【0028】
また、S702で投影面に投影する検出用画像として白色光等の光を投影面全域に投影する以外に、投影に用いる入力画像をそのまま用いてもよい。このような場合には、撮影部330で撮影された画像と入力画像とを比較し、濃度の差が生じている領域をスリット領域と判断することができる。
【0029】
次に、S703で行われるスリット条件のユーザー設定について、
図9の設定画面を用いて説明する。このような設定画面は、投影画像として表示し画像投影装置200の操作部209で操作して行うことができる。また、PCから画像投影装置200にアクセスし、PCの画面上で設定するように設けることもできる。
【0030】
設定画面では、縦スリットの追加を行う選択釦904、横スリットの追加を行う選択釦905等を用いて投影領域900上にスリット901、902、903を表示させることができる。さらに、スリットのいずれかを選択した状態でスリット調整釦906を操作することで、スリットの位置・幅を調整することができる。また不要となるスリットはスリット削除釦907を操作することで削除することもできる。スリット条件の設定が完了した場合には、OK釦908を操作しスリット条件の設定を終了する。また、キャンセル釦909を操作して設定をキャンセルすることもできる。このように設定された条件には、
図8(b)に示すようなスリット領域情報が含まれている。そしてOK釦908が操作されることで、このような入力画像をそのまま投影しない領域を示す情報である座標情報を画像投影装置200の情報記憶媒体207に一時的に記憶させておくことができる。なお、ここでは縦や横にスリットを設定可能な例を用いて説明したが、スリットが斜めに存在するような条件や、投影領域に部分的に存在するような条件も設定することができる。
【0031】
次に、S704で行われる処理条件の解析について
図10のフローチャートを用いて説明する。S1001では、S702またはS703で受付られたスリット領域の数と座標に基づいて、入力された投影画像(入力画像)をいくつに区分けすることでスリット領域を回避することができる画像の区分け数を算出する。
【0032】
そして自動または手動で設定された
図8(b)に示すようなスリット数及びスリットの幅と入力画像とに基づいて、区分けされた画像のサイズ変更を行う必要があるか判断する(S1002)。入力画像とスリット領域とから算出される出力画像の大きさが画像投影装置で投影可能な画像サイズ以下の場合には、画像のサイズ変更を行う必要がないためS1006に進み、座標を移動するための区分け座標を算出する。
【0033】
サイズ変更を行う必要がない場合には
図11(a)に示すように、画像を投影可能な投影面の幅に対応した幅となるように画像を区分けする。そして、S1007に進み、区分けされた画像をサイズ変更することなく、画像を投影できない投影面のスリット領域の幅分座標位置をシフトさせ、移動後の座標を算出する(
図11(a)参照)。その後、S1008でこれらの情報を処理情報として情報記憶媒体207に記憶する。
【0034】
一方、入力画像とスリット領域とから算出される出力画像の大きさが画像投影装置で投影可能な画像サイズより大きい場合には、画像のサイズ変更を行う必要があるためS1003に進み、サイズ変更用の区分け座標を算出する。この一例を
図11(b)に示す。
図11(b)に示すように、スリット領域の中央で区分けされるように画像を区分けする。そして、S1004に進み、入力画像の大きさと出力画像の大きさとが一致するようにサイズ変更したのちの座標を算出する(
図11(b)参照)。さらに、S1005で入力画像の各区分け画像の大きさと出力画像の各区分け画像の大きさとから縮小率を算出する。その後、S1008でこれらの情報を処理情報として情報記憶媒体207に記憶する。
【0035】
なおS1003のスリット領域の区分け位置はスリット領域の中央以外でもよく、他のスリット領域の幅及び区分け領域の幅に応じて設定することもできる。その際には各区分け領域の縮小率が略均一となるようにすることが好ましい。
【0036】
次に、以上のように求めた処理情報をもとに行う投影画像の生成処理(S503)について、
図12のフローチャートを用いて説明する。S1008で登録された処理情報の区分け領域の座標情報に基づいて、入力された投影画像を区分けする(S1201)。次に処理情報の調整後の座標に基づいて、投影画像の調整を行う。すなわち、区分け画像のサイズ変更が必要ない場合には調整後の座標に基づいて処理を行い、区分け画像のサイズ変更が必要である場合には調整後の座標及び縮小率に基づいて処理を行う。これにより、スリット領域を除く投影面の領域に、入力された投影画像が区分けして表示されるような出力画像を生成することが可能となる。スリット領域に対しては投影面に対しては隙間ができたように画像が投影されないように設けてもよいし、白色光が投影されるように設けてもよいし、区分けされた部分の画像を引き延ばして表示するように設けてもよい。
【0037】
このように調整して生成された投影画像(生成画像)を用いて投影を行うことで、スリット状の継ぎ目があるような会議室であっても、スリットの幅を加味した画像の生成が行えるため、文字や画像の識別を行える良好に識別できる画像の投影を行うことができる。
【0038】
なお、本実施形態においては1つの画像を複数の画像として分けて表示する場合について説明を行った。しかし、隣接する画像の端部の所定領域において、重複した画像が表示されるように設けてもよい。
【0039】
以上、実施形態について示したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記録媒体等としての実施態様をとることが可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0040】
前述した実施形態の機能を実現するプログラムを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0041】
この場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0042】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、EEPROM、シリコンディスク、ソリッドステートドライブ等を用いることができる。
【0043】
また、コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0044】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0045】
さらに、本発明を達成するためのプログラムをネットワーク上のサーバ、データベース等から通信プログラムによりダウンロードして読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。なお、上述した各実施形態およびその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0046】
100 壁面
101 スリット
207 記憶手段
314 投影部
330 撮影部