特許第5673786号(P5673786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5673786
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/51 20110101AFI20150129BHJP
【FI】
   H01R12/51
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-239192(P2013-239192)
(22)【出願日】2013年11月19日
【審査請求日】2013年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】第一精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】椋木 淳
(72)【発明者】
【氏名】松下 大介
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−326439(JP,A)
【文献】 特開平07−106028(JP,A)
【文献】 特開2007−73304(JP,A)
【文献】 特開2012−221859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続相手の電気コネクタがプリント基板の面方向に沿って前方から挿入される嵌合穴を有するハウジングと、前記プリント基板の金属パッドに接合して、前記ハウジングを前記プリント基板に固定する固定用部材とを備えた表面実装用の電気コネクタにおいて、
前記ハウジングは、前記ハウジングの底面が、前記プリント基板に接した状態で搭載され、
前記ハウジングの床部に、前記固定用部材を開口側から挿入するためのスロット部が形成され、
前記固定用部材は、前記スロット部に挿入されて保持され、前記金属パッドとの接合部が、前記ハウジングの床部から前方へ前記プリント基板に向かって突出して、前記金属パッドに接合する電気コネクタ。
【請求項2】
前記床部には、前記固定用部材が設けられた開口縁部に、凹部が形成され、
前記固定用部材が、前記凹部から突出している請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記床部は、前記スロット部が形成された範囲が周囲面より高く形成されている請求項記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記床部は、前記嵌合穴の開口縁部からスロット部までが、周囲面より低くなるように厚みが薄く形成され、
前記スロット部は、前記厚みが薄い部分に高さ位置を合わせて、開口部が形成されている請求項記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記接合部が、前記床部から前記プリント基板に向かって下り傾斜で折り曲げられている請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記接合部が、前記嵌合穴の前記床部の開口縁部から突出している請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記嵌合穴の天井部の開口縁部に、前記固定用部材を視認するための切り欠き部または貫通孔が形成されている請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記固定用部材が、前記床部の開口縁部に複数設けられている請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記ハウジングの奥壁部を挟んで、前記固定用部材とは反対側に、前記プリント基板の信号端子とした金属パッドに接合する半田接続部が形成された、コネクタ端子の外部リードが突出している請求項1からのいずれかの項に記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続相手の電気コネクタがプリント基板の面方向に沿って挿入される嵌合穴を有するハウジングと、プリント基板の金属パッドに接合して、ハウジングをプリント基板に固定する固定用部材とを備えた表面実装用の電気コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント基板に実装される表面実装用の電気コネクタとして、特許文献1に記載されたものが知られている。
特許文献1に記載のコネクタ1000は、図14および図15に示すように、その絶縁ハウジング1001をプリント基板1100上に半田付けによって固定するための固定金具(固定用部材)1002を具備している。この固定金具1002は、プリント基板1100に半田付けされる基板固定部1003と、連結部1004と、左右一対の立直部1005と、絶縁ハウジング1001に固定されるハウジング固定部1006とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−73304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この特許文献1に記載のコネクタ1000では、連結部1004が、基板固定部1003から前方に突出し、さらに、その途中で上向きに180°転回して後方に延びる形状を有しており、基板固定部1003が絶縁ハウジング1001の底壁1007の下方に底壁1007と平行な状態で配置されている。
【0005】
従って、基板固定部1003が底壁1007の下方に位置することで、絶縁ハウジング1001から、基板固定部1003が突出する長さは小さいものの、基板固定部1003の厚み分ほど、絶縁ハウジング1001の高さ位置が高くなってしまう。
電気コネクタは、プリント基板に対する占有面積を小さくして、高密度実装を図りつつ、高さについても低背化が望まれている。
【0006】
そこで本発明は、高密度実装を図りつつ、低背化を図ることが可能な表面実装用の電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気コネクタは、接続相手の電気コネクタがプリント基板の面方向に沿って前方から挿入される嵌合穴を有するハウジングと、前記プリント基板の金属パッドに接合して、前記ハウジングを前記プリント基板に固定する固定用部材とを備えた表面実装用の電気コネクタにおいて、前記ハウジングは、前記ハウジングの底面が、前記プリント基板に接した状態で搭載され、前記ハウジングの床部に、前記固定用部材を開口側から挿入するためのスロット部が形成され、前記固定用部材は、前記スロット部に挿入されて保持され、前記金属パッドとの接合部が、前記ハウジングの床部から前方へ前記プリント基板に向かって突出して、前記金属パッドに接合することを特徴とする。
【0008】
本発明の電気コネクタによれば、ハウジングの底面がプリント基板に接した状態で搭載され、固定用部材がハウジングの床部に設けられ、金属パッドとの接合部が床部からプリント基板に向かって突出しているため、電気コネクタの側方に隣接させて他の電気部品をプリント基板に搭載することができ、接合部がハウジングの下方でプリント基板と接合しないので、ハウジングの高さ位置を抑えることができる。
前記床部に、前記固定用部材を開口側から挿入するためのスロット部が形成され、前記固定用部材は、前記スロット部に挿入されて保持されている。固定用部材の支持部を、床部に形成されたスロット部に挿入することで、簡単な操作で、固定用部材をハウジングに取り付けることができる。
【0009】
前記床部には、前記固定用部材が設けられた開口縁部に、凹部が形成され、前記固定用部材が、前記凹部から突出していることが望ましい。固定用部材の接合部が、床部の開口縁部に形成された凹部から突出しているため、接合部の突出開始位置を、嵌合穴の開口縁部より奥側とすることができるので、接合部の突出長さを短いものとすることができる。
【0011】
前記床部は、前記スロット部が形成された範囲が周囲面より高く形成されていることが望ましい。接続相手として異なる種類の電気コネクタを挿入しようとするときや、上下を反転させて挿入しようとすることを防止するためのキーとして、このスロット部を機能させることができる。
【0012】
前記床部は、前記嵌合穴の開口縁部からスロット部までが、周囲面より低くなるように厚みが薄く形成され、前記スロット部は、前記厚みが薄い部分に高さ位置を合わせて、開口部が形成されていることが望ましい。スロット部の開口部が、床部の厚みが薄い部分に高さ位置を合わせて形成されているため、プリント基板まで近い位置から固定用部材を突出させることができるので、固定用部材の長さを短く形成することができる。
【0013】
前記接合部が、前記床部から前記プリント基板に向かって下り傾斜で折り曲げられていることが望ましい。接合部の下り傾斜部分に弾性を持たせることができるので、床部からプリント基板までの高さに合わせて固定用部材を折り曲げて加工する際に、折り曲げ角度に少しずれがあっても、固定用部材を弾性変形させてプリント基板に固定することで、接合部の下り傾斜部分で、固定用部材における折り曲げ角度のずれを吸収させることができる
【0014】
前記接合部が、前記嵌合穴の前記床部の開口縁部から突出していることが望ましい。プリント基板に実装した状態を検査する画像検査において、金属パッドと接合部との接合状態を視認しやすい。
【0015】
前記嵌合穴の天井部の開口縁部に、前記固定用部材を視認するための切り欠き部または貫通孔が形成されていることが望ましい。嵌合穴の天井部の開口縁部に切り欠き部が形成されていると、固定用部材の接合部と金属パッドとの接合状態を、ハウジングの上方から幅広く視認することができる。
【0016】
前記固定用部材が、前記床部の開口縁部に複数設けられていることが望ましい。嵌合穴の間口が広い電気コネクタあっても、ハウジングの床部がしっかりとプリント基板に固定されているため、ハウジングが持ち上がってしまうことを防止することができる。
【0017】
前記ハウジングの奥壁部を挟んで、前記固定用部材とは反対側に、前記プリント基板の信号端子とした金属パッドに接合する半田接続部が形成された、コネクタ端子の外部リードが突出していていることが望ましい。固定用部材がハウジングの開口縁部の持ち上がりを防止するため、コネクタ端子の外部リード部に過度な負担が掛かったり、半田接続部が剥離したりすることを防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の電気コネクタは、電気コネクタの側方に隣接させて他の電気部品をプリント基板に搭載することができ、接合部がハウジングの下方でプリント基板と接合しないので、ハウジングの高さ位置を抑えることができる。従って、本発明の電気コネクタは、高密度実装と、低背化とを図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態1に係る電気コネクタを示す斜視図である。
図2図1に示す電気コネクタの正面図である。
図3図1に示す電気コネクタの平面図である。
図4図2に示す電気コネクタのA−A断面図である。
図5A図1に示す電気コネクタの固定用部材の斜視図である。
図5B図5Aに示す固定用部材の平面図である。
図5C図5Aに示す固定用部材の右側面図である。
図6】本発明の実施の形態2に係る電気コネクタを示す斜視図である。
図7図6に示す電気コネクタの正面図である。
図8図6に示す電気コネクタの平面図である。
図9図7に示す電気コネクタのB−B断面図である。
図10】本発明の実施の形態3に係る電気コネクタを示す斜視図である。
図11図10に示す電気コネクタの正面図である。
図12図10に示す電気コネクタの平面図である。
図13図11に示す電気コネクタのC−C断面図である。
図14】従来の電気コネクタを示す斜視図である。
図15図14に示す従来の電気コネクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る電気コネクタを図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においての「前後」という表現は、電気コネクタ同士を嵌合させる側を「前」とし、その反対方向を「後」として表現したものである。また、電気コネクタが表面実装されるプリント基板側を「下」、その反対方向を「上」として表現したものである。
【0021】
図1から図4に示すように、電気コネクタ1は、プリント基板P1に実装されて、接続相手の電気コネクタ(図示せず)と接続する表面実装用の電気コネクタである。
電気コネクタ1は、ハウジング2と、コネクタ端子30と、固定用部材40とを備えている。
【0022】
ハウジング2は、接続相手の電気コネクタ(図示せず)がプリント基板P1の面方向に沿って挿入される嵌合穴21を有し、天井部22と、床部23と、側壁部24,24と奥壁部25とにより、前面が開口した箱状に形成されている。ハウジング2は、底面が、プリント基板P1に接した状態で搭載されている。
【0023】
ハウジング2は、コネクタ端子30の後述する半田接続部を保護するための立壁部26が、後端部である奥壁部25の両側に、コネクタ端子30の半田接続部を挟んで形成されている。
ハウジング2には、天井部22の開口縁部に、上方から固定用部材40を視認するための切り欠き部22aが形成されている
天井部22の切り欠き部22aの両側には、直線状凸部22bが形成されている。この直線状凸部22bは、接続相手として異なる種類の電気コネクタを挿入しようとするときや、上下を反転させて挿入しようとすることを防止するためのキーとして機能する。
【0024】
床部23には、固定用部材40を開口側から挿入するためのスロット部23aが形成されている。床部23は、このスロット部23aが形成された範囲が、周囲面より高く形成されている。また、床部23は、嵌合穴21の開口縁部からスロット部23aまでのスロット部23aの前方部分が、周囲面より低くなるように厚みが薄く形成されていることで、スロット部23aの前方部分とその周囲面と境界に段差部23bが形成されている。スロット部23aは、厚みが薄い部分に高さ位置を合わせて開口部が形成されている。
【0025】
コネクタ端子30は、ハウジング2の嵌合穴21内に、3本が横一列に設けられている。コネクタ端子30は、針状のピン部31と、端子本体部32と、プリント基板P1の金属パッドPAに接合する外部リード部33とを備えている。
【0026】
ピン部31は、相手側の電気コネクタの雌側の端子に挿入されて接触する。端子本体部32は、ハウジング2の端子収容孔に収容される部分である。
外部リード部33は、ハウジング2の奥壁部25を挟んで、固定用部材40とは反対方向に突出している。外部リード部33の先端部には、プリント基板P1の信号端子である金属パッドPAと接合材料である半田により接合する半田接続部33aが形成されている。因みに、ハウジング2に挿入される前のコネクタ端子30の形状は、ピン部31から端子本体部32,外部リード部33にかけて一直線状になっているが、ハウジング2に挿入した後に、一直線状の外部リード部33に対応する部分を、下方に向けて折り曲げると共に、水平方向に折り曲げることで、外部リード部33がクランク状に形成される。
【0027】
固定用部材40は、プリント基板P1の金属パッドPAに接合して、ハウジング2をプリント基板P1に固定するためのものである。固定用部材40は、ハウジング2の床部23に設けられている。
図5Aから図5Cに示すように、固定用部材40は、スロット部23aに挿入されて支持する支持部41と、スロット部23aへ圧入する際の押圧位置を確保する幅広部42と、プリント基板P1の金属パッドPAと接合する接合部43とを備えている。
【0028】
支持部41は、挿入方向側の斜辺が反対側の斜辺より長い台形状の突起部41aが、スロット部23aの壁部に係止させるために、両側部の2ヵ所に突出している。
幅広部42は、矩形状の突起部が両側部から突出して、スロット部23aの開口部の開口幅より幅広く形成されていることで、スロット部23aへ挿入するための押圧位置を確保している。
接合部43は、幅広部42からプリント基板P1側になだらかな傾斜の後に、プリント基板P1の金属パッドPAと半田を介在して接合できるように折り曲げられている。
【0029】
このように本発明の実施の形態1に係る電気コネクタ1は、ハウジング2の底面がプリント基板P1に接した状態で搭載され、固定用部材40がハウジング2の床部23に設けられ、金属パッドPAとの接合部43が床部23からプリント基板P1に向かって突出しているため、接合部43がハウジング2の下方で接合しないので、ハウジング2の高さ位置を抑えることができる。従って、電気コネクタ10は、高密度実装と、低背化とを図ることが可能である。
【0030】
また、固定用部材40が、嵌合穴21の床部23の開口縁部に設けられているため、電気コネクタ1の側壁部24,24の側方に隣接させて他の電気部品をプリント基板P1に搭載することができる。電気コネクタ1の前方は、接続相手となる電気コネクタを挿抜操作するためのスペースが必要であるため、固定用部材40の有無に無関係に、他の電気部品の実装禁止領域となる。
従って、固定用部材40が金属パッドPAに接合するための面積は、プリント基板P1上での占有面積の実質的な増加とはならない。
【0031】
また、接続相手の電気コネクタを、電気コネクタ1の前方から嵌合穴21に挿入するときや、嵌合穴21から抜き取るときに、接続相手の電気コネクタを持ち上げるようにして操作しても、固定用部材40により、ハウジング2の床部23の開口縁部がしっかりとプリント基板P1に固定されているため、ハウジング2が持ち上がってしまうことを防止することができる。
【0032】
本実施の形態1では、固定用部材40は、接合部43が床部23からプリント基板P1に向かって下り傾斜で折り曲げられているが、床部23からプリント基板P1に向かって真っ直ぐ直角に折り曲げ、プリント基板P1の金属パッドPAに到達した位置から、プリント基板P1の面方向に沿って直角に折り曲げて、接合部をクランク状に形成してもよい。しかし、接合部の中間位置として、ハウジング2の床部23の厚み分を確保するためには、正確に折り曲げる必要がある。
本実施の形態1の接合部43では、接合部43が床部23からプリント基板P1に向かって下り傾斜で折り曲げられているため、接合部43の下り傾斜部分に弾性を持たせることができるので、床部23からプリント基板P1までの高さに合わせて固定用部材40を折り曲げて加工する際に、折り曲げ角度に少しずれがあっても、固定用部材40を弾性変形させてプリント基板P1に固定することで、接合部43の下り傾斜部分で、固定用部材40における折り曲げ角度のずれを吸収させることができる。
【0033】
スロット部23aの開口部が、床部23の厚みが薄い部分に高さ位置を合わせて形成されているため、プリント基板P1まで近い位置から固定用部材40を突出させることができるので、床部23の厚みが厚い部分と同じ高さ位置にスロット部の開口部が形成されたものと比較して、固定用部材40の突出長さを短く形成することができる。
【0034】
本実施の形態1に係る電気コネクタ1では、コネクタ端子30が、ハウジング2の奥壁部25を挟んで、固定用部材40とは反対側に、プリント基板P1の信号端子とした金属パッドに接合する外部リード部33の半田接続部33aが突出している。従って、固定用部材40がハウジング2の開口縁部の持ち上がりを防止でき、コネクタ端子30の外部リード部33に過度な負担が掛かったり、半田接続部33aが剥離したりすることを防止することができる。
【0035】
固定用部材40は、金属パッドPAとの接合部43が、嵌合穴21の開口縁部から突出しているため、プリント基板P1に実装した状態を検査する画像検査において、金属パッドPAと接合部43との接合状態を視認しやすい。
【0036】
固定用部材40を床部23に形成されたスロット部23aに開口側から挿入して、支持部41を保持させ、スロット部23aから突出した接合部43を金属パッドPAに接合することによる簡単な操作で、固定用部材40をハウジング2に取り付けることができる。また、ハウジング2に取り付けた固定用部材40を、その状態で保持させることができると共に、金属パッドPAに固定用部材40を接合することができる。
【0037】
床部23は、スロット部23aが形成された範囲が、周囲面より高く形成されているため、接続相手として異なる種類の電気コネクタを挿入しようとするときや、上下を反転させて挿入しようとすることを防止するためのキーとして、このスロット部23aを機能させることができる。
【0038】
嵌合穴21の天井部22の開口縁部に、固定用部材40を視認するための切り欠き部22aが形成されているため、固定用部材40の接合部43と金属パッドPAとの接合状態を、ハウジング2の上方から幅広く視認することができる。
なお、本実施の形態1では、切り欠き部22aは、天井部22の開口縁部に凹部として形成されているが、固定用部材40がハウジング2の上方から視認できれば貫通孔でもよい。
【0039】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る電気コネクタを図面に基づいて説明する。なお、図6から図9においては、図1から図4と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
本実施の形態2に係る電気コネクタは、ハウジングの床部において、固定用部材が設けられた開口縁部に、凹部が形成され、固定用部材が、凹部から突出していることを特徴とするものである。
【0040】
スロット部23aの前側となる床部23の開口縁部には、プリント基板P1に向かって傾斜する固定用部材40の接合部43と、床部23とが干渉しないように、凹部23cが形成されている。
【0041】
床部23の開口縁部に凹部23cが形成されていない場合では、固定用部材が嵌合穴21から出たところで、プリント基板に向けて接合部を曲げることになる。従って、金属パッドPAとの接合面積を十分に確保しようとすると、固定用部材の突出長さを長くする必要がある。
しかし、ハウジング20では、スロット部23aが形成された床部23の開口縁部に、凹部23cが形成されているため、接合部43の突出開始位置を、嵌合穴21の開口縁部より奥側とすることができるので、接合部43の突出長さを短いものとすることができる。また、接合部43をプリント基板P1に向かって突出させて金属パッドPAに接合することで、接合部43がハウジング20の下方で接合しないので、ハウジング20の高さ位置を抑えることができる。従って、電気コネクタ10は、高密度実装と、低背化とを図ることが可能である。
【0042】
また、接合部43が、凹部23cからプリント基板P1に向かって下り傾斜で折り曲げられ、接合部43の下り傾斜を凹部23c内から開始することができるので、接合部43の突出長さを短くしても、金属パッドPAの接合面積を十分に確保することができる。
【0043】
本実施の形態2の接合部43では、接合部43が凹部23cから、実施の形態1と同様に、プリント基板P1に向かって下り傾斜で折り曲げられ、接合部43の下り傾斜部分に弾性を持たせることができるので、床部23からプリント基板P1までの高さに合わせて固定用部材40を折り曲げて加工する際に、折り曲げ角度に少しずれがあっても、固定用部材40を弾性変形させてプリント基板P1に固定することで、接合部43の下り傾斜部分で、固定用部材40における折り曲げ角度のずれを吸収させることができる。
【0044】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る電気コネクタを図面に基づいて説明する。なお、図10から図13においては、図1から図4図6から図9と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
本実施の形態3に係る電気コネクタは、固定用部材が、床部の開口縁部に、複数設けられていることを特徴とするものである。
【0045】
図10から図13に示すように電気コネクタ110は、ハウジング120に、コネクタ端子30が4本ずつを一組にして2セット設けられている。4本ずつを一組にした2セット(第1のセット130a,第2のセット130b)のコネクタ端子30は、ピン部31が嵌合穴121内に突出している。
ハウジング120は、実施の形態1に係る電気コネクタ10より、コネクタ端子30の数が増えたことに応じて、ハウジング2およびハウジング20(図1および図6参照)より幅広に形成されている。
【0046】
ハウジング120の天井部122の外側面には、第1のセット130aに対応させて、3本の直線状凹部122aが形成され、コネクタ端子30の第2のセット130bに対応させて2本の直線状凹部122bが形成されている。ハウジング120のような成形品は、成形時に溶融樹脂が収縮して、成形品の表面にヒケと称される凹部が発生することがある。このヒケは、成形するための樹脂量が多ければ多いほど、収縮度合いが高くなるため、発生度合いが高くなる。本実施の形態3に係るハウジング120では、直線状凹部122aと直線状凹部122bを「肉抜き」として、天井部122の外側面に形成することで、ヒケの発生の防止を図っている。また、直線状凹部122aと直線状凹部122bとは、ハウジング120の前後方向の撓み強度を向上させることができる。
【0047】
また、ハウジング120の天井部122の内側面には、コネクタ端子30の各セット(第1,第2のセット130a,130b)の両端となる位置に対応して、直線状凹部122cが形成されていると共に、コネクタ端子30の第2のセット130b側には、更にもう1本の直線状凹部122dが形成されている。
また、天井部122の内側面には、第1のセット130aと第2のセット130bとを隔てるように、1対の直線状凸部122eが形成されている。
【0048】
ハウジング120の床部123には、実施の形態1と同様に、スロット部23aが、2ヵ所に、コネクタ端子30の各セットに対応させて形成されている。スロット部23aには、固定用部材40がそれぞれ挿入されている。
【0049】
電気コネクタ110は、コネクタ端子30が横一列に幅広く配置され、嵌合穴121の間口が広い電気コネクタ110であっても、固定用部材40が、床部123の開口縁部に、複数設けられていることで、ハウジング20の床部23がしっかりとプリント基板P2に固定されているため、ハウジング20が持ち上がってしまうことを防止することができる。従って、電気コネクタ110は、コネクタ端子30の外部リード部33に過度な負担が掛かったり、半田接続部33aが剥離したりすることを防止することができる。
【0050】
また、4本ずつのコネクタ端子30がセットして配置された位置に対応させて、床部123の開口縁部に、スロット部23aが形成され、固定用部材40がスロット部23aごとに設けられているため、コネクタ端子30の半田接続部33aに対応して、剥離強度を向上させることができる。
【0051】
なお、本実施の形態3では、2セットのコネクタ端子30を有する電気コネクタ110であり、固定用部材40が2本設けられていたが、コネクタ端子30は3セット以上あってもよいし、固定用部材40が3本以上設けられていてもよい。また、コネクタ端子30は、その間隔が均等に配置されていてもよし、上下方向に複数列配置されていてもよい。
更に、電気コネクタ110においては、天井部122の開口縁部に、実施の形態1に係る電気コネクタ10と同様に、固定用部材40を視認するための切り欠き部22aが形成されていてもよいし、切り欠き部の代わりに貫通孔としてもよい。また、床部123において、スロット部23aが形成された範囲が、周囲面より高く形成さていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、各種電気・電子機器用の電気コネクタ、または車載用の電気コネクタに使用でき、電気・電子産業や自動車産業などの分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1,10,110 電気コネクタ
2,20,120 ハウジング
21,121 嵌合穴
22,122 天井部
22a 切り欠き部
22b 直線状凸部
23,123 床部
23a スロット部
23b 段差部
23c 凹部
24 側壁部
25 奥壁部
26 立壁部
30 コネクタ端子
130a 第1のセット
130b 第2のセット
31 ピン部
32 端子本体部
33 外部リード部
33a 半田接続部
40 固定用部材
41 支持部
41a 突起部
42 幅広部
43 接合部
122a,122b,122c,122d 直線状凹部
122e 直線状凸部
130a,130b セット
P1,P2 プリント基板
PA 金属パッド
【要約】
【課題】高密度実装を図りつつ、低背化を図ることが可能な表面実装用の電気コネクタを提供する。
【解決手段】表面実装用の電気コネクタ10は、接続相手の電気コネクタがプリント基板P1の面方向に沿って挿入される嵌合穴21を有するハウジング20と、プリント基板P1の金属パッドPAに接合して、ハウジング20をプリント基板P1に固定する固定用部材40とを備えている。この固定用部材40は、金属パッドPAとの接合部43が、床部23の凹部23cからプリント基板P1に向かって突出して、金属パッドPAに接合する。接合部23をプリント基板P1に向かって突出させて金属パッドPAに接合しており、接合部がハウジングの下方で接合しないので、ハウジング20の高さ位置を抑えることができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
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図15
図14