特許第5673806号(P5673806)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5673806
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】自動倉庫
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20150129BHJP
   H01L 21/673 20060101ALI20150129BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   H01L21/68 T
   B65G1/00 521D
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-513063(P2013-513063)
(86)(22)【出願日】2012年3月13日
(86)【国際出願番号】JP2012001733
(87)【国際公開番号】WO2012150644
(87)【国際公開日】20121108
【審査請求日】2013年9月6日
(31)【優先権主張番号】特願2011-103242(P2011-103242)
(32)【優先日】2011年5月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】雁部 政彦
【審査官】 杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−509784(JP,A)
【文献】 特開2004−265947(JP,A)
【文献】 特開平07−050334(JP,A)
【文献】 特開平10−157847(JP,A)
【文献】 特開2008−030914(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/046580(WO,A1)
【文献】 特表2004−537867(JP,A)
【文献】 特開平11−024750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/67 − 21/687
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物をケースに収納して入出庫する自動倉庫であって、
複数の前記荷物を保管する保管棚と、
前記ケースを保持し、保持された前記ケースに対して前記荷物を出し入れするための出し入れ空間を有するロードポートと、
前記荷物を保持するための空間であって、清浄状態に保たれている保持空間を有し、前記保持空間と前記保管棚及び前記出し入れ空間に保持された前記ケースとの間で前記荷物を移載する移載装置と、
前記保持空間を閉鎖し、前記移載装置と一体となって移動する第1のシールドとを備え、
前記ロードポートは、前記移載装置の前記保持空間と前記出し入れ空間とが連通するように、前記移載装置と一体となって移動し、
前記第1のシールドは、連通する前記保持空間及び前記出し入れ空間を閉鎖することによって、連通する前記保持空間及び前記出し入れ空間を清浄状態に保つ
自動倉庫。
【請求項2】
荷物をケースに収納して入出庫する自動倉庫であって、
複数の前記荷物を保管する保管棚と、
前記ケースを保持し、保持された前記ケースに対して前記荷物を出し入れするための出し入れ空間を有するロードポートと、
前記荷物を保持するための空間であって、清浄状態に保たれている保持空間を有し、前記保持空間と前記保管棚及び前記出し入れ空間に保持された前記ケースとの間で前記荷物を移載する移載装置と、
前記保持空間を閉鎖し、前記移載装置と一体となって移動する第1のシールドとを備え、
前記第1のシールドは、内部に前記移載装置を旋回可能な状態で収容する円筒部と、前記円筒部の側面の前記ロードポートに対面する位置に第1の開口部と、前記円筒部の側面の前記保管棚に対面する位置に第2の開口部とを備え、
前記移載装置は、
前記保持空間の開口部と前記第1の開口部とが対面する位置まで旋回した状態で、前記保持空間と前記ロードポートとの間で前記荷物を移載し、
前記保持空間の開口部と前記第2の開口部とが対面する位置まで旋回した状態で、前記保持空間と前記保管棚との間で前記荷物を移載し、
前記保持空間の開口部と前記円筒部の内側壁面とが対面する位置まで旋回し、前記保持空間が閉鎖された状態で前記第1のシールドと一体となって移動する
自動倉庫。
【請求項3】
前記移載装置は、さらに、前記円筒部の内部で上下方向に移動可能であり、
前記円筒部の内部で旋回するのに先立って、前記保持空間の開口部と前記第1及び第2の開口部とが対面しない位置まで上昇又は降下する
請求項に記載の自動倉庫。
【請求項4】
該自動倉庫は、さらに、前記円筒部の外側壁面に取り付けられて、前記移載装置及び前記第1のシールドと一体となって移動すると共に、前記保管棚に対面する位置に移動したときに、前記保管棚の前記荷物の出し入れ口を閉鎖する第2のシールドを備え、
前記第2のシールドは、前記第1のシールドの前記第2の開口部と、前記保管棚の出し入れ口のうち前記荷物を移載する部分のみとを選択的に連通させる連通孔を備える
請求項又はに記載の自動倉庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫に関し、特に、清浄空間内で荷物を保持する自動倉庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から電子部品の製造等に用いられるレチクルは、クリーンルーム内に設置されたクリーンストッカに保管されている(例えば、特許文献1参照)。このようなクリーンストッカでは、レチクルをポッドから取り出した状態で保管するので、筐体の内部を揮発性不純物を除去した雰囲気に保っておく必要がある。
【0003】
そこで、特許文献1に開示されているクリーンストッカは、筐体の内部への揮発性不純物の侵入を防止するために、筐体の上部に設置されたクリーンガス供給部からクリーンガスを供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−30914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の構成では、ポッドから取り出されたレチクルを保持又は搬送するための空間、すなわち、ポッドオープナー内部、回転棚内部、及びポッドオープナーと回転棚との間の空間(レチクルの搬送経路)の全てにクリーンガスを供給する必要が生じる。
【0006】
ここで、上記のクリーンガス供給部に用いられるケミカルフィルタは、非常に高額な消耗品であり、その寿命は、送風量が多い程短くなる。すなわち、上記の全ての空間にクリーンガスを供給しようとすると、短期間でケミカルフィルタを交換せねばならず、結果として、保管コストが増大する。また、筐体の内部を、揮発性不純物に加えてさらに水分をも除去した雰囲気(以下、「清浄空間」と標記する)に保とうとすると、さらに保管コストが増大する。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、荷物を清浄空間内で効率よく保管することのできる自動倉庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る自動倉庫は、荷物をケースに収納して入出庫する。具体的には、複数の前記荷物を保管する保管棚と、前記ケースを保持し、保持された前記ケースに対して前記荷物を出し入れするための出し入れ空間を有するロードポートと、前記荷物を保持するための空間であって、清浄状態に保たれている保持空間を有し、前記保持空間と前記保管棚及び前記出し入れ空間に保持された前記ケースとの間で前記荷物を移載する移載装置と、前記保持空間を閉鎖し、前記移載装置と一体となって移動する第1のシールドとを備える。
【0009】
上記構成によれば、荷物の搬送経路全体ではなく、保持空間のみを清浄状態に保っておけばよい。その結果、清浄化容積を小さくすることができるので、保管コストを抑制し、効率良く荷物を保管することができる。
【0010】
なお、本明細書中の「閉鎖」とは、不純物が空間内に侵入するのを防止できる状態であれば、必ずしも空間を密閉していなくてもよい。例えば、上記の例では、第1のシールドが保持空間の開口部を密閉して、不純物の侵入を防止してもよい。又は、第1のシールドが保持空間の開口部と僅かな隙間を隔てて配置され、その隙間から保持空間内のクリーンガスを常時流出させることによって、不純物の侵入を防止するものであってもよい。
【0011】
一形態として、前記ロードポートは、前記移載装置の前記保持空間と前記出し入れ空間とが連通するように、前記移載装置と一体となって移動してもよい。前記第1のシールドは、連通する前記保持空間及び前記出し入れ空間を閉鎖することによって、連通する前記保持空間及び前記出し入れ空間を清浄状態に保ってもよい。
【0012】
上記構成によれば、ロードポートでケースから取り出された荷物を、清浄空間から取り出すことなく保管棚まで搬送することが可能となる。その結果、清浄化容積を小さくすることができると共に、荷物の汚染を有効に防止することができる。
【0013】
他の形態として、前記第1のシールドは、内部に前記移載装置を旋回可能な状態で収容する円筒部と、前記円筒部の側面の前記ロードポートに対面する位置に第1の開口部と、前記円筒部の側面の前記保管棚に対面する位置に第2の開口部とを備えてもよい。そして、前記移載装置は、前記保持空間の開口部と前記第1の開口部とが対面する位置まで旋回した状態で、前記保持空間と前記ロードポートとの間で前記荷物を移載し、前記保持空間の開口部と前記第2の開口部とが対面する位置まで旋回した状態で、前記保持空間と前記保管棚との間で前記荷物を移載し、前記保持空間の開口部と前記円筒部の内側壁面とが対面する位置まで旋回し、前記保持空間が閉鎖された状態で前記第1のシールドと一体となって移動してもよい。
【0014】
上記構成によれば、移載装置を第1のシールドの内部で旋回させることにより、移載時のみ保持空間の開口部を露出させ、移動時には保持空間を閉鎖することができる。その結果、清浄化容積を小さくすることができると共に、荷物の汚染を有効に防止することができる。
【0015】
さらに、前記移載装置は、前記円筒部の内部で上下方向に移動可能であり、前記円筒部の内部で旋回するのに先立って、前記保持空間の開口部と前記第1及び第2の開口部とが対面しない位置まで上昇又は降下してもよい。これにより、移載装置を旋回させている最中に、開口部が露出するのを防止できる。
【0016】
さらに、該自動倉庫は、前記円筒部の外側壁面に取り付けられて、前記移載装置及び前記第1のシールドと一体となって移動すると共に、前記保管棚に対面する位置に移動したときに、前記保管棚の前記荷物の出し入れ口を閉鎖する第2のシールドを備えてもよい。そして、前記第2のシールドは、前記第1のシールドの前記第2の開口部と、前記保管棚の出し入れ口のうち前記荷物を移載する部分のみとを選択的に連通させる連通孔を備えてもよい。これにより、保管棚の出し入れ口の開口面積を必要最小限に留めることができるので、荷物の汚染をさらに有効に防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、荷物の搬送経路全体ではなく、保持空間のみを清浄状態に保てばよいので、清浄化容積を小さくすることができると共に、荷物の汚染を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係るクリーンストッカの概略構成図である。
図2図2は、レチクルチャンバーの一例を示す図である。
図3図3は、ロードポートにレチクル入りのポッドが搬入された状態を示す図である。
図4図4は、ポッドが上下に分離した状態を示す図である。
図5図5は、ポッドからレチクルが取り出された直後の状態を示す図である。
図6図6は、ポッドが再度結合された状態を示す図である。
図7図7は、移載装置の概略構成を示す図である。
図8A図8Aは、シールド内部における移載装置の動作例を示す図である。
図8B図8Bは、シールド内部における移載装置の動作例を示す図である。
図8C図8Cは、シールド内部における移載装置の動作例を示す図である。
図8D図8Dは、シールド内部における移載装置の動作例を示す図である。
図9図9は、移載装置とロードポートとが対面した状態を示す図である。
図10図10は、移載装置とレチクルチャンバーとが対面した状態を示す図である。
図11図11は、図10の状態からレチクルチャンバーの出し入れ口が開放された状態を示す図である。
図12図12は、本発明の実施の形態2に係るクリーンストッカの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る自動倉庫の一例であるクリーンストッカ100の概略構成図である。クリーンストッカ100は、図1に示されるように、保管棚110と、ロードポート120と、移載装置130と、第1及び第2のシールド140、150と、昇降ガイド160と、清浄処理部(ファンフィルタユニット:FFU)170とを主に備える。このクリーンストッカ100は、半導体工場又は液晶工場などのクリーンルーム内に設置されるものであり、半導体又は液晶基板の露光用のレチクル(荷物)と、レチクルを収納するポッド(ケース)とが別々に保管される。
【0021】
保管棚110は、ポッドから取り出されたレチクルを保管する。保管棚110の具体的な構成は特に限定されないが、図1の例における保管棚110は、複数のレチクルチャンバー110aによって構成されている。より具体的には、複数(図1では4個)のレチクルチャンバー110aを縦方向に並べて構成される第1列(図1の左側)と第2列(図1の右側)とが、移載装置130を囲むように配置されている。
【0022】
図2は、レチクルチャンバー110aの一例を示す図である。レチクルチャンバー110aは、図2に示されるように、円筒形状の内側カバー111と、内側カバー111より僅かに大きい円筒形状の外側カバー112とで構成される。内側カバー111及び外側カバー112の側面には、それぞれ開口部111a、112aが形成されている。
【0023】
内側カバー111は、複数のレチクルを収納する棚を内部に備え、開口部111aを移載装置130の方向に向けて固定されている。そして、内側カバー111の内部は、清浄処理部170によって清浄状態に保たれている。外側カバー112は、内側カバー111を覆うように配置され、内側カバー111の周りを回転する。
【0024】
そして、開口部111a、112aがずれた位置関係となるように外側カバー112を回転させると(図2の左側の状態)、レチクルの出し入れが不可能な状態(閉鎖状態)となる。一方、開口部111a、112aが一致するように外側カバー112を回転させると(図2の右側の状態)、レチクルの出し入れが可能な状態(開放状態)となる。つまり、開口部111a、112aを一致させることによって、レチクルチャンバー110aの出し入れ口113が形成される。
【0025】
ロードポート120は、ポッドに収納された状態のレチクルを入出庫するインタフェースとして機能すると共に、ポッドに対してレチクルを出し入れするポッドオープナー(出し入れ装置)としても機能する。
【0026】
図3図6は、出し入れ装置として機能するロードポート120の動作を説明するための図である。図3図6を参照して、ロードポート120の構成、及びポッドからレチクルを取り出す動作を説明する。なお、下記の手順を反対に実行すれば、レチクルをポッドに収納することができるので、説明は省略する。
【0027】
まず、ロードポート120の内部には、ポッドからレチクルを取り出す処理、及びポッドにレチクルを収納する処理が行われる出し入れ空間121が形成されている。また、この出し入れ空間121は、清浄処理部170によって清浄状態に保たれている。
【0028】
ポッド200は、図3に示されるように、上下に分離可能なカバー210及びドア220で構成される。また、ドア220の上面には、レチクル230を支持するための複数の突起221が設けられている。
【0029】
一方、ロードポート120には、カバー210を係止する係止部122と、ドア220を載置する載置部123とが設置されている。なお、載置部123は、ドア220が載置されている状態で上下に昇降する昇降装置として機能する。
【0030】
ロードポート120の上面には、開口が設けられている。そして、係止部122は、開口の周縁部に設けられる。また、載置部123は、ロードポート120の内部(すなわち、出し入れ空間121)で、且つ上面に設けられた開口に対面する位置に設けられている。ロードポート120の上面と載置部123の載置面(上面)とは、載置部123が最も上昇したときに、同一平面上に位置するようになる。
【0031】
そして、ポッド200は、最も上昇した状態の載置部123に載置される。これにより、ロードポート120の開口がポッド200によって閉鎖される。すなわち、出し入れ空間121とは、厳密には、ロードポート120とポッド200のカバー210とで区画される空間を指す。
【0032】
そして、ロードポート120の開口は、ドア220より僅かに大きく、且つカバー210より小さい。そのため、ポッド200を載置した状態の載置部123が降下すると、ドア220は載置部123と共に降下し、カバー210は係止部122に係止されて、図4に示されるように、カバー210とドア220とが上下に分離する。
【0033】
次に、ドア220に載置されたレチクル230が移載装置130によって取り出され、図5の状態となる。そして、載置部123がドア220を載置した状態で上昇することにより、図6に示されるように、カバー210とドア220とが再び結合される。図6に示される空のポッド200は、ポッド搬送装置(図示省略)によってロードポート120から搬出され、ポッド保管棚(図示省略)に保管される。
【0034】
移載装置130は、保管棚110とロードポート120との間でレチクルを移載する。図7は、移載装置130の構成の一例を示す図である。移載装置130は、図7に示されるように、内部にレチクル230を保持するための保持空間131を有し、開口部132を通じて保持空間131から出退するスライドフォーク133によって、保管棚110と保持空間131との間、及びロードポート120の出し入れ空間121に保持されているポッド200と保持空間131との間でレチクル230を移載する。また、保持空間131は、清浄処理部170によって清浄状態に保たれている。
【0035】
そして、この移載装置130は、図8A図8Dに示されるように、第1のシールド140の内部に収容されている。第1のシールド140は、移載装置130を収容する円筒部141と、円筒部141の側面に設けられた第1〜第3の開口部142、143、144とで構成される。
【0036】
第1の開口部142は、ロードポート120に対面する位置に設けられている。第2の開口部143は、保管棚110の第1列に属する各レチクルチャンバー110aに対面する位置に設けられている。第3の開口部144は、保管棚110の第2列に属する各レチクルチャンバー110aに対面する位置に設けられている。なお、図8A図8Dの例では、第2の開口部143は第1の開口部142に対して時計回りに90°の位置に、第3の開口部144は第1の開口部142に対して時計回りに180°の位置に、それぞれ設けられている。
【0037】
移載装置130は、円筒部141の内部で旋回することができる共に、円筒部141の内部で上下に移動することができる状態で、円筒部141に収容されている。また、第1のシールド140は、移載装置130と一体となって、図1に示される昇降ガイド160に沿って上下に移動することができる。
【0038】
第2のシールド150は、図9に示されるように、第1のシールド140の円筒部141の外側壁面に取り付けられて、移載装置130及び第1のシールド140と一体となって移動する。この第2のシールド150は、図11に示されるように、レチクルチャンバー110aに対面する位置に移動したときに、レチクルの出し入れ口113を閉鎖すると共に、第1のシールド140の第2及び第3の開口部143、144と、レチクルチャンバー110aの出し入れ口113のうちレチクルを移載する部分のみとを選択的に連通させる連通孔151を備える。
【0039】
清浄処理部170は、例えば、ファンフィルタユニット(FFU)である。この清浄処理部170は、外部に設置されたCDA(Clean Dry Air)精製機で精製されたCDAをチューブ等を介して保管棚110の内部、及びロードポート120の出し入れ空間121等に供給する。これによって、保管棚110の内部及出し入れ空間121が清浄状態に保たれる。また、移載装置130の保持空間には、清浄処理部170から直接CDAが供給されるわけではないが、保管棚110又は出し入れ空間121と連通する際に、これらからCDAが供給されて清浄状態に保たれる。すなわち、本実施の形態に係る「清浄処理部170によって清浄状態に保たれている」とは、外部から供給されるCDAが、FFUである清浄処理部170を通じて、直接又は間接的に各部に供給されることを指す。
【0040】
ここで、図8A図8D、及び図9図11を参照して、ロードポート120のレチクルを保管棚110に移載する際の移載装置130の動作の一例を説明する。図8A図8Dは、第1のシールド140の内部における移載装置130の動作例を示す図である。図9図11は、第1及び第2のシールド140、150とレチクルチャンバー110aとの位置関係を示す図である。なお、下記の手順を反対に実行すれば、保管棚110のレチクルをロードポート120に移載することができるので、説明は省略する。
【0041】
まず、図9に示されるように、移載装置130と第1及び第2のシールド140、150(以下、「移載装置130等」と表記する。)とを、第1のシールド140の第1の開口部142とロードポート120(図9では図示省略)とが対面する位置まで昇降ガイド160に沿って移動させる。
【0042】
次に、図8Aに示されるように、保持空間131の開口部132と第1のシールド140の第1の開口部142とが対面する位置まで、円筒部141の内部で移載装置130を旋回させる。これにより、第1の開口部142を通じて、ロードポート120の出し入れ空間121と移載装置130の保持空間131とが連通する。そして、移載装置130は、スライドフォーク133によってロードポート120内のレチクルを取得し、保持空間131内に収納する。
【0043】
次に、図8Bに示されるように、保持空間131の開口部132と第1〜第3の開口部142、143、144とが対面しない位置まで、円筒部141の内部で移載装置130を上方向に移動させる。これにより、保持空間131の開口部132は、第1のシールド140の内側壁面によって閉鎖された状態となる。
【0044】
次に、図8Cに示されるように、図8Bの状態から時計回りに90°だけ、円筒部141の内部で移載装置130を旋回させる。なお、旋回に先立って移載装置130を上昇させておくことにより、保持空間131の開口部132を円筒部141の内側壁面で閉鎖したまま旋回させることができる。その結果、清浄処理部170から供給されているCDAが保持空間131から流出するのを防止することができる。
【0045】
次に、図10に示されるように、第1のシールド140の第2の開口部143とレチクルチャンバー110aとが対面する位置まで、移載装置130等を昇降ガイド160に沿って移動させる。より具体的には、第2のシールド150の連通孔151と、これからレチクルを載置しようとしているレチクルチャンバー110aの棚の位置とが対面するようにする。
【0046】
また、図11に示されるように、開口部111a、112aを一致させるようにレチクルチャンバー110aの外側カバー112を回転させて、出し入れ口113を形成する。ここで、レチクルチャンバー110aの出し入れ口113は、連通孔151の位置を除いて第2のシールド150によって閉鎖されているので、レチクルチャンバー110aから流出するCDAの量を少なくすることができる。
【0047】
そして、図8Dに示されるように、保持空間131の開口部132と第1のシールド140の第2の開口部143とが対面する位置まで、円筒部141の内部で移載装置130を下方向に移動させる。これにより、第1の開口部142及び連通孔151を通じて、レチクルチャンバー110aと移載装置130の保持空間131とが連通する。そして、移載装置130は、スライドフォーク133によって、保持空間131内のレチクルを保管棚110に移載する。
【0048】
上記構成によれば、清浄処理部170によって清浄状態に保たれる空間を、レチクルチャンバー110aの内部、ロードポート120の出し入れ空間121、及び移載装置130の保持空間131に限定することができる。つまり、従来のクリーンストッカのように、レチクルの搬送経路全体を清浄状態に保っておく必要がなくなるので、清浄化容積を小さくすることができる。その結果、保管コストを低減し、レチクルの汚染を効率良く防止することができる。
【0049】
なお、上記の説明は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、上記の各処理の順序を一部入れ替えてもよい。具体的には、移載装置130等をレチクルチャンバー110aの位置まで上昇させてから、第1のシールド140内の移載装置130を、図8Bの状態から図8Cの状態まで旋回させてもよい。また、図8Bでは移載装置130を円筒部141の内部で上昇させ、図8Dでは移載装置130を円筒部141の内部で降下させる例を示したが、移載装置130を旋回させる前に降下させ、旋回させた後に上昇させてもよい。
【0050】
(実施の形態2)
図12は、本発明の実施の形態1に係る自動倉庫の一例であるクリーンストッカ100の概略構成図である。なお、実施の形態1との共通点の説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0051】
図12に示されるクリーンストッカ100においては、ロードポート120と移載装置130とが一体として移動する。また、ロードポート120の出し入れ空間121と、移載装置130の保持空間131とは、互いに連通している。また、第1のシールド140は、互いに連通する出し入れ空間121及び保持空間131を閉鎖するように、ロードポート120及び移載装置130全体を覆っている。そして、清浄処理部170(図12では図示省略)は、連通する出し入れ空間121及び保持空間131にCDAを供給することにより、これらの空間を清浄状態に保つ。
【0052】
上記構成によれば、ロードポート120でケースから取り出されたレチクルを、清浄空間から取り出すことなく保管棚110まで搬送することが可能となる。また、実施の形態1と比較して、各構成要素の構造を簡略化することができる。つまり、第1のシールド140を円筒形状とし、その内部で移載装置130を旋回させる必要もない。また、保管棚110は、従来と同様に回転棚であってもよい。
【0053】
なお、上記の各実施の形態1、2では、レチクルを保管するクリーンストッカ100の例を示したが、本発明はこれに限定されない。つまり、本発明は、清浄空間内で保管する必要のあるあらゆる荷物を保管する自動倉庫に適用することができる。
【0054】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、清浄空間内で荷物を保持する自動倉庫に有利に利用される。
【符号の説明】
【0056】
100 クリーンストッカ
110 保管棚
110a レチクルチャンバー
111 内側カバー
111a,112a,132 開口部
112 外側カバー
113 出し入れ口
120 ロードポート
121 出し入れ空間
122 係止部
123 載置部
130 移載装置
131 保持空間
133 スライドフォーク
140 第1のシールド
141 円筒部
142 第1の開口部
143 第2の開口部
144 第3の開口部
150 第2のシールド
151 連通孔
160 昇降ガイド
170 清浄処理部
200 ポッド
210 カバー
220 ドア
221 突起
230 レチクル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11
図12