特許第5673903号(P5673903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5673903
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】粒状植物性蛋白質素材
(51)【国際特許分類】
   A23J 3/16 20060101AFI20150129BHJP
   A23J 3/26 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
   A23J3/16 501
   A23J3/26 501
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-535440(P2014-535440)
(86)(22)【出願日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】JP2014066220
【審査請求日】2014年9月18日
(31)【優先権主張番号】特願2013-176196(P2013-176196)
(32)【優先日】2013年8月28日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236768
【氏名又は名称】不二製油株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 友則
【審査官】 西村 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/047644(WO,A1)
【文献】 特開昭64−067153(JP,A)
【文献】 特表2007−534777(JP,A)
【文献】 特表2001−501826(JP,A)
【文献】 特表2010−505424(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/143057(WO,A1)
【文献】 特公昭47−033147(JP,B1)
【文献】 特開2001−054367(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/113655(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/105352(WO,A1)
【文献】 特開昭57−099161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23J
A23D
CA(STN)
Thomson Innovation
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆蛋白質を乾燥重量で40〜70重量%含有し、吸水時の硬さが2000〜6000gである、HLBが5〜10のコハク酸モノグリセライド、及び/又はジアセチル酒石酸モノグリセライドを原材料に含有させ製造される、粒状植物性蛋白質素材。
【請求項2】
HLBが5〜10のコハク酸モノグリセライド、及び/又はジアセチル酒石酸モノグリセライドを原材料中に0.7〜3重量%含有させ製造される、請求項1記載の粒状植物性蛋白質素材。
【請求項3】
HLBが5〜10のコハク酸モノグリセライド、及び/又はジアセチル酒石酸モノグリセライドを原材料に含有させ製造される、大豆蛋白質を乾燥重量で40〜70重量%含有し、吸水時の硬さが2000〜6000gである粒状植物性蛋白質素材の製造法。
【請求項4】
HLBが5〜10のコハク酸モノグリセライド、及び/又はジアセチル酒石酸モノグリセライドを原材料中に0.7〜3重量%含有させ製造される、請求項記載の粒状植物性蛋白質素材の製造法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状植物性蛋白質素材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粒状植物性蛋白質素材は、植物性蛋白質素材を主な原料とし、二軸エクストルーダー等の押出成形機により加工することで製造される場合が多い。このうち、大豆に由来する原料を使用する粒状大豆蛋白質素材は、肉様食感を示す等の特徴により、近年その用途が拡大している。
粒状大豆蛋白質素材における食感の改良についての出願としては、例えば特許文献1がある。ここでは、還元糖および有機酸を所定量添加することにより、大豆蛋白組織化物の食感の改良をおこなう旨記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2013/047644号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、蛋白質含有量の多い粒状植物性蛋白質素材において、嵩密度が低く、かつ従来よりも柔らかく、風味も良好で食しやすいものを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
粒状植物性蛋白質素材においては、その蛋白質含有量を多くすることにより、食した際の濃厚感やボリューム感を付与できる場合が多い。また、蛋白質含有量が多い場合は、澱粉等が多い場合に比べ、吸湿した際の物性が安定するため、当該性質を専ら利用した用途に適用される場面も想定される。
一方、近年は柔らかい食品が好まれる場合が多い中、粒状植物性蛋白質素材において蛋白質含有量が多い場合は、膨化が不十分となる場合があり、それにより、食感が硬くなる場合がある。そうした中、粒状植物性蛋白質素材において柔らかさを実現するためには、原材料における澱粉質や繊維質の割合を増やす等の対策が取られる場合も多かった。しかしこの場合、蛋白質の割合が低下することにより、蛋白質を多くとりたいというニーズには対応することが難しくなり、また、蛋白質含有量が多いことに由来する、食した際の濃厚感やボリューム感を感じられなくなる場合もあった。また、物性の面でも、澱粉質が多い場合は、吸湿時の物性が安定しない場合が多い。
特許文献1では、食感の改善のために還元糖の使用が必須の構成要件となっており、その結果、製造時に着色が見られる場合があった。
【0006】
粒状植物性蛋白質素材においては、柔らかさを実現するために、プロテアーゼ等の酵素により、原材料の蛋白質を部分的に加水分解することも行われる場合もあった。しかしこの場合、膨化が抑えられ、必要な嵩密度が得られない場合があった。
本発明者は、特に蛋白質含有量の多い粒状植物性蛋白質素材において、嵩密度が適度に低く、かつ従来よりも柔らかく、食しやすいものを、簡便に提供することができないか、鋭意検討を行った。そうしたところ、従来は原材料としてほとんど検討されていなかった、特定の乳化剤を用いることで、蛋白質含有量の多い粒状植物性蛋白質素材において、嵩密度が適度に低く、かつその食感を柔らかく改善することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、
(1)植物性蛋白質を乾燥重量で40〜70重量%含有し、吸水時の硬さが2000〜6000gである、HLBが5〜10の有機酸モノグリセリドから選ばれる1種以上の乳化剤を原材料に含有させ製造される、粒状植物性蛋白質素材、
(2)植物性蛋白質を乾燥重量で45〜65重量%含有する、(1)記載の粒状植物性蛋白質素材、
(3)植物性蛋白質を乾燥重量で50〜60重量%含有する、(1)記載の粒状植物性蛋白質素材、
(4)HLBが5〜10の有機酸モノグリセリドから選ばれる1種以上の乳化剤を原材料中に0.7〜3重量%含有させ製造される、(2)記載の粒状植物性蛋白質素材、
(5)HLBが5〜10の有機酸モノグリセリドから選ばれる1種以上の乳化剤を原材料中に1.7〜2.5重量%含有させ製造される、(2)記載の粒状植物性蛋白質素材、
(6)HLBが5〜10の有機酸モノグリセリドから選ばれる1種以上の乳化剤を原材料中に0.7〜3重量%含有させ製造される、(3)記載の粒状植物性蛋白質素材、
(7)HLBが5〜10の有機酸モノグリセリドから選ばれる1種以上の乳化剤を原材料中に1.7〜2.5重量%含有させ製造される、(3)記載の粒状植物性蛋白質素材、
(8)HLBが5〜10の有機酸モノグリセリドがコハク酸モノグリセライド、及び/又はジアセチル酒石酸モノグリセライドである、(4)記載の粒状植物性蛋白質素材、
(9)HLBが5〜10の有機酸モノグリセリドがコハク酸モノグリセライド、及び/又はジアセチル酒石酸モノグリセライドである、(5)記載の粒状植物性蛋白質素材、
(10)HLBが5〜10の有機酸モノグリセリドがコハク酸モノグリセライド、及び/又はジアセチル酒石酸モノグリセライドである、(6)記載の粒状植物性蛋白質素材、
(11)HLBが5〜10の有機酸モノグリセリドがコハク酸モノグリセライド、及び/又はジアセチル酒石酸モノグリセライドである、(7)記載の粒状植物性蛋白質素材、
(12)植物性蛋白質が大豆蛋白質である、(1)〜(11)いずれか1つに記載の粒状植物性蛋白質素材、
(13)HLBが5〜10の有機酸モノグリセリドから選ばれる1種以上の乳化剤を原材料に含有させ製造される、植物性蛋白質を乾燥重量で40〜70重量%含有し、吸水時の硬さが2000〜6000gである粒状植物性蛋白質素材の製造法、
(14)植物性蛋白質を乾燥重量で45〜65重量%含有する、(13)記載の粒状植物性蛋白質素材の製造法、
(15)植物性蛋白質を乾燥重量で50〜60重量%含有する、(13)記載の粒状植物性蛋白質素材の製造法、
(16)HLBが5〜10の有機酸モノグリセリドから選ばれる1種以上の乳化剤を原材料中に0.7〜3重量%含有させ製造される、(14)記載の粒状植物性蛋白質素材の製造法、
(17)HLBが5〜10の有機酸モノグリセリドから選ばれる1種以上の乳化剤を原材料中に1.7〜2.5重量%含有させ製造される、(14)記載の粒状植物性蛋白質素材の製造法、
(18)HLBが5〜10の有機酸モノグリセリドから選ばれる1種以上の乳化剤を原材料中に0.7〜3重量%含有させ製造される、(15)記載の粒状植物性蛋白質素材の製造法、
(19)HLBが5〜10の有機酸モノグリセリドから選ばれる1種以上の乳化剤を原材料中に1.7〜2.5重量%含有させ製造される、(15)記載の粒状植物性蛋白質素材の製造法、
(20)HLBが5〜10の有機酸モノグリセリドがコハク酸モノグリセライド、及び/又はジアセチル酒石酸モノグリセライドである、(16)記載の粒状植物性蛋白質素材の製造法、
(21)HLBが5〜10の有機酸モノグリセリドがコハク酸モノグリセライド、及び/又はジアセチル酒石酸モノグリセライドである、(17)記載の粒状植物性蛋白質素材の製造法、
(22)HLBが5〜10の有機酸モノグリセリドがコハク酸モノグリセライド、及び/又はジアセチル酒石酸モノグリセライドである、(18)記載の粒状植物性蛋白質素材の製造法、
(23)HLBが5〜10の有機酸モノグリセリドがコハク酸モノグリセライド、及び/又はジアセチル酒石酸モノグリセライドである、(19)記載の粒状植物性蛋白質素材の製造法、
(24)植物性蛋白質が大豆蛋白質である、(13)〜(23)いずれか1つに記載の粒状植物性蛋白質素材の製造法、
に関するものである。
換言すると、
(1)植物性蛋白質を乾燥重量で40〜70重量%含有し、吸水時の硬さが2000〜6000gである、HLBが5〜10の有機酸モノグリセリドから選ばれる1種以上の乳化剤を原材料に含有させ製造される、粒状植物性蛋白質素材、
(2)HLBが5〜10の有機酸モノグリセリドがコハク酸モノグリセライド、及びジアセチル酒石酸モノグリセライドである、(1)記載の粒状植物性蛋白質素材、
(3)HLBが5〜10の有機酸モノグリセリドから選ばれる1種以上の乳化剤を原材料に含有させ製造される、植物性蛋白質を乾燥重量で40〜70重量%含有し、吸水時の硬さが2000〜6000gである粒状植物性蛋白質素材の製造法、
(4)該乳化剤を、原材料中に乾燥重量として合計で0.7〜3重量%含有させ、押出成形機で調製することを特徴とする、(3)記載の粒状植物性蛋白質素材の製造法、
(5)該乳化剤がコハク酸モノグリセライド、及びジアセチル酒石酸モノグリセライドである、(4)記載の粒状植物性蛋白質素材の製造法、
に関するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、蛋白質含有量の多い粒状植物性蛋白質素材において、嵩密度が適度に低く、かつ従来よりも柔らかく、食しやすいものを、簡便に提供することができるようになった。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明でいう粒状植物性蛋白質素材とは、植物性蛋白質素材を主な原料とし、エクストルーダー等の押出成形機により成形されたものである。なお、本素材は食品であるので、食品としての基本的な性質、すなわち、異味などがないものである。
植物性蛋白質としては、大豆蛋白質、グルテンを挙げることができ、より望ましくは大豆蛋白質である。大豆蛋白質はアミノ酸スコアが他の植物性蛋白質に比べ優れており、また、比較的廉価である点から、粒状植物性蛋白質素材の原料として好適に使用できる。
【0009】
また、大豆に由来する、粒状植物性蛋白質素材を製造する上で用いられる原料としては、脱脂大豆、分離大豆蛋白、濃縮大豆蛋白、豆乳粉末をあげることが出来るが、より望ましくは脱脂大豆、分離大豆蛋白であり、さらに好ましくは脱脂大豆である。脱脂大豆は他の素材に比べ廉価に入手することができるからである。
【0010】
また、蛋白質素材は、酵素等により部分分解されていることを要件としない。すなわち、本発明は、酵素等により部分分解された植物性蛋白質素材を用いずとも、蛋白質含量が多く、かつ柔らかい食感の粒状植物性蛋白質素材を得ることができることを特徴とするものである。無論、原材料の一部として、酵素等により部分分解された植物性蛋白質素材を用いた場合であっても、本発明の思想に反しない。
【0011】
本発明における粒状植物性蛋白質素材に含まれる植物性蛋白質の含有量は、乾燥重量換算で、40〜70重量%である必要があり、この量は、より望ましくは45〜65重量%であり、さらに望ましくは50〜60重量%である。植物性蛋白質の含有量が少なすぎると、蛋白質を多く摂取したいというニーズに対応することが難しくなる場合があり、また多すぎると、食感が硬くなりすぎる場合がある。また、本発明は、比較的蛋白質含有量が多いにもかかわらず、吸水時の硬さが低いことに特徴を有するものである。なお、ここでいう蛋白質の含有量は、粗蛋白質(crude protein; CP)の含有量である。
【0012】
本発明における粒状植物性蛋白質素材は、嵩密度が0.2〜0.6g/mlであることが望ましく、より望ましくは0.3〜0.55g/mlであり、さらに望ましくは0.35〜0.5g/mlである。嵩密度が高すぎると、食感が硬くなりすぎる場合があり、また低すぎると、食した際の濃厚感が低下する場合がある。また、蛋白質素材の代わりに澱粉を用いた場合は、物性へ影響する場合もある。
【0013】
本発明においては、吸水時の硬さが2000〜6000gである必要があり、より望ましくは2500〜5500gであり、さらに望ましくは3000〜5000gである。吸水時の硬さが硬すぎると、本発明の本来の目的である、柔らかく食しやすい粒状植物性蛋白質素材を提供することとならないし、また、柔らかすぎる場合は、肉様食感が感じられなくなる場合がある。
本発明でいう、吸水時の硬さとは、粒状植物性蛋白質素材を粉砕機を用いて所定の大きさに粉砕後、熱湯加水により水戻しし、円筒形容器に所定量の粒状植物性蛋白質素材を入れ、テクスチャーアナライザーにより所定条件の下、最大荷重を測定し求めるものである。具体的な測定方法は、実施例に記載する。
【0014】
また本発明における粒状植物性蛋白質素材は、HLBが5〜10の有機酸モノグリセリドから選ばれる1種以上の乳化剤を原材料に含有し製造されることが必要である。このような乳化剤が植物性蛋白質と作用し、エクストルーダー等の押出成形機による組織化時に原料物性へ影響を与え、結果として、粒状植物性蛋白質素材において、蛋白質含有量が多く、かつ、従来よりも柔らかく、食しやすい食感を発現させているものと想定される。
HLBが5〜10の有機酸モノグリセリドとしては、コハク酸モノグリセライド、及びジアセチル酒石酸モノグリセライドが風味等の点から望ましい。
【0015】
本発明の粒状植物性蛋白質素材は、HLBが5〜10の有機酸モノグリセリドから選ばれる1種以上の乳化剤を、原材料中に乾燥重量として合計で0.7〜3重量%含有させ製造されることが望ましい。HLBが高すぎても、低すぎても、求める物性の粒状植物性蛋白質素材が得られない場合があるし、風味に悪影響を及ぼす場合がある。この乳化剤の量は、より望ましくは1.2〜2.8重量%であり、さらに望ましくは1.7〜2.5重量%である。乳化剤の量が少なすぎると、本発明にかかる食感が得られない場合があり、また、多すぎる場合は、乳化剤に由来する異味が感じられる場合がある。
なお、原材料に含まれる乳化剤は、押出成形機による加工の際に、分解される場合がある。そのため、本発明に係る粒状植物性蛋白質素材においては、最終的に得られた製品中における乳化剤量で規定することは困難であり、原材料段階における乳化剤の種類及び量で規定するものである。
【0016】
本発明に係る粒状植物性蛋白質素材は、所定の原料に水を添加したスラリーを、押出機(エクストルーダー)等で加圧加熱を施し、常圧下に押し出す方法によって原料の組成物を膨化させ、調製される。その際に用いる水は特に制限されるものではなく、膨化の程度や風味等に影響のない添加範囲で醤油や発酵調味料等の水溶液も用いることができる。水の配合量は製品の膨化の程度と嵩密度に影響し、適当な嵩密度となるように適宜調整することができる。一般には原料スラリー中の水分が、5〜60重量%となるような範囲で添加することができる。水分が不足すると膨化は十分にしているものの、焦げの発生原因となる場合がある。水分が多過ぎると膨化に必要なエネルギーが不足して、殆ど膨化せず、目的の粒状組成物を得ることができない場合がある。
【0017】
本発明に係る粒状植物性蛋白質素材を製造するために用いる押出機としては、公知の押出機を使用することができ、一軸押出機でも良いが、混練が強く安定的に膨化させやすい二軸以上の軸を有する押出機を用いる方が好ましい。押出機は、原料供給口,バレル内をスクリューにおいて原料を送り、混合,圧縮,温度調節機構を有し、更に先端バレルに装着されたダイを有するものであれば利用することができる。
以下、実施例により本発明の実施形態をより具体的に記載する。
【実施例】
【0018】
○検討1 乳化剤の種類の検討
実施例1〜2、比較例1〜9
表1の配合により、以下に記載する「粒状植物性蛋白質素材の製造法」に従い、粒状植物性蛋白質素材を調製した。
得られた粒状植物性蛋白質素材の嵩密度、吸水時の硬さを、以下に示す「粒状植物性蛋白質素材の嵩密度測定法」、「粒状植物性蛋白質素材の吸水時の硬さ測定法」に従い、測定し、併せて表1に記載した。
また、嵩密度、吸水時の硬さ評価、官能評価を行った。
【0019】
「粒状植物性蛋白質素材の製造法」
1 配合に従い、脱脂大豆粉と乳化剤を粉体混合した。
2 幸和工業(株)製二軸エクストルーダーを用いて組織化した。
水の添加量はダイから押し出される組織化物が膨化するようにバルブを調整し、原料中の水分を約7〜30重量%の間で調整した。
スクリュー回転数は200rpmとした。
先端バレル温度は160〜180℃であった。先端バレルの圧力は3〜20kg/cm2の間で変化させた。
3 得られた膨化物は、長さ20mm程度となるようダイス出口直後にカッターで切断した。
4 粉砕機にて粒子径0.1〜3mm程度に粉砕後、タバイ(株)製ESPEC PV-221乾燥機にて水分8重量%となるよう80℃の熱風で乾燥を行った。
【0020】
「粒状植物性蛋白質素材の嵩密度測定法」
1 粒状植物性蛋白質素材を粉砕機(ツインバード社製KC-4811ミルミキサー)を用い、粉砕した。
2 10M(目開き1.68mm)パス、20M(目開き0.85mm)オンの粒度のものを集めた。
3 100mlメスシリンダーへ100ml容量入れ、その重さを測定し、容量1mlあたりの重さを計算し「嵩密度」とした。
【0021】
「粒状植物性蛋白質素材の吸水時の硬さ測定法」
1 「粒状植物性蛋白質素材の嵩密度測定法」で得られた、粒度をそろえたサンプル5gに熱湯(90℃)を3倍量添加し、水戻しした。
2 室温になるまで、室温に放置した。
3 ダッシュポット(内径24mm、高さ40mm)へ、サンプルをWETで5.0g入れ、φ18mm円筒形プランジャーを押し込みスピード10mm/sにて挿入し、最大荷重を測定した(クリアランス 3mm)。測定装置は英弘精機社製「テクスチャーアナライザーTA・XT2」を使用した。
得られた数値は、2000〜6000gを合格範囲とした。
【0022】
「官能評価」
1 「粒状植物性蛋白質素材の吸水時の硬さ測定法」で得た、水戻しした粒状植物性蛋白質素材を、室温に戻した後、パネラー5名により試食し官能評価を行った。
以下の評価基準により、パネラーの合議により、評点を決定した。
5点 苦味等の異味がなく、良好なもの。また、濃厚感、ボリューム感、柔らかさが良好なもの。
4点 苦味等の異味がほとんどなく、食品として使用可能と思われるもの。また、濃厚感、ボリューム感、柔らかさが良好なもの。
3点 弱い苦味等の異味があるが、食品として使用可能と思われるもの。また、濃厚感、ボリューム感、柔らかさが食品として使用可能と思われるもの。
2点 苦味等の異味があり、食品としての使用には困難があるもの。もしくは、濃厚感、ボリューム感、柔らかさが食品としての使用には困難があるもの。
1点 強い苦味等の異味があり、食品としては使用できないと思われるもの。もしくは、濃厚感、ボリューム感、柔らかさが食品としては使用できないと思われるもの。
3点以上を合格とした。
【0023】
表1 乳化剤の種類の検討
「脱脂大豆」は、粗蛋白質含量54重量%のものを使用した。水分は7重量%であった。
「ステップSS」は花王株式会社製コハク酸モノグリセライドであった。
「ホ゜エムW-60」は理研ビタミン株式会社製ジアセチル酒石酸モノグリセライドであった。
「エマルシ゛ーP-100」は理研ビタミン株式会社製グリセリン脂肪酸エステルであった。
「ホ゜エムPR-100」は理研ビタミン株式会社製ポリグリセリン脂肪酸エステルであった。
「エマソ゛ールL-10」は花王株式会社製ソルビタン脂肪酸エステルであった。
「エマソ゛ールS-30V」は花王株式会社製ソルビタン脂肪酸エステルであった。
「エマルハ゜ーN」はカーギル製レシチンであった。
「S-070」は三菱化学フーズ株式会社製シュガーエステルであった。
「S-1670」は三菱化学フーズ株式会社製シュガーエステルであった。
「パームエース10」は不二製油株式会社製スーハ゜ーハ゜ームオレインであった。
【0024】
考察
乳化剤のうち、コハク酸モノグリセライド、もしくはジアセチル酒石酸モノグリセライドを使用したものは、吸水時の硬さも低く、また官能評価も良好であった。
一部の乳化剤を使用した場合に、吸水時の硬さが低くなるものもあったが、官能評価の評点が低く、合格とはならなかった。
比較例1は硬すぎるため不合格であった。
以上より、HLBが5〜10の有機酸モノグリセリドを使用した場合に、本発明の課題を解決する粒状植物性蛋白質素材が得られることが明らかとなった。
【0025】
○検討2 乳化剤の量の検討
実施例3、比較例10〜14
表2の配合により、既出の「粒状植物性蛋白質素材の製造法」に従い、粒状植物性蛋白質素材を調製した。
得られた粒状植物性蛋白質素材の嵩密度、吸水時の硬さを、既出の「粒状植物性蛋白質素材の嵩密度測定法」、「粒状植物性蛋白質素材の吸水時の硬さ測定法」に従い、測定し、併せて表2に記載した。
また、嵩密度、吸水時の硬さの他、官能評価もあわせ、既出の「判定法」に従い、最終的な判定を行った。
【0026】
表2 乳化剤の量の検討
比較例14においては、粒状植物性蛋白質素材の調製を試みたが、組織化することが出来ず、評価不能であった。
【0027】
考察
比較例10〜13は硬すぎるため、不合格であった。
特定の乳化剤を原材料中に0.7〜3重量%含有させて粒状植物性蛋白質素材を調製することにより、本発明の課題を解決する粒状植物性蛋白質素材が得られることが明らかとなった。
【要約】
本発明は、蛋白質含有量の多い粒状植物性蛋白質素材において、従来よりも柔らかく、食しやすいものを提供することを課題とする。
粒状植物性蛋白質素材の製造時に、特定の乳化剤を原材料に添加し、二軸エクストルーダー等により押出成形することにより、蛋白質含量が多いにもかかわらず、吸水時に柔らかく、食しやすい粒状植物性蛋白質素材を得ることができることを見出し、課題を解決した。