【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできる可動荷台付き棚を提案するものであって、請求項1に記載の本発明に係る可動荷台付き棚は、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、棚の奥行き方向に長い荷収納空間(1A)の底部に、棚奥側が高くなるよう
に傾斜する荷台支持用レール(5a,5b)が架設され、前記荷収納空間(1A)の入り口に隣接する位置には固定荷台部(2)が設けられ、前記荷台支持用レール(5a,5b)上に移動自在に支
持された可動荷台(3)が前記固定荷台部(2)の上に重なる前進限位置まで重力により滑動
できるように構成された棚
であって、前記荷台支持用レール(5a,5b)上を滑動した前記可動荷台(3)が前記前進限位置に達したとき、当該可動荷台(3)に設けられた被係合部(26a,26b)に可動荷台移動方向に係合して当該可動荷台(3)の荷台支持用レール(5a,5b)からの浮き上がりを抑制する係合部(27a,27b)が棚側に設けられ
ている可動荷台付き棚において、前記被係合部(32,37,40)は、前記可動荷台(3)の棚奥側の端部に設けられ、前記係合部(33,43)は、前記固定荷台部(2)の棚奥側の端部に設けられた構成になっている。
【0007】
上記本発明を実施する場合、具体的には請求項2に記載のように、前記被係合部(26a,26b,32,37,40)は、前記可動荷台(3)から下向きに突設され且つ可動荷台移動方向に貫通する貫通孔(29,36,42a,42b)を備えた部材(28,35,38,41)から構成し、前記係合部(27a,27b,33,43)は、可動荷台移動方向と平行で且つ前記荷収納空間(1A)の入り口側のみが棚側に支持された片持ち状の棒状部材(30,12a,45a,45b)から構成し、この棒状部材(30,12a,45a,45b)が前記被係合部(26a,26b,32,37,40)の貫通孔(29,36,42a,42b)に挿通されるように構成することが出来る。更に、
請求項3に記載のように、前記前進限位置に可動荷台(3)が達したとき、互いに当接する棚側の制止面と可動荷台側の当接面の内、可動荷台(3)側の当接面を緩衝部材(31)で構成し、この緩衝部材(31)を可動荷台(3)に取り付けるための緩衝部材取付け板を側方に延出させ、この延出部に前記被係合部(26a,26b)を設けることが出来る。
【0008】
又、
請求項4に記載のように、前記被係合部(26a,26b)と係合部(27a,27b)は、前記可動荷台(3)に対して左右対称に一対設けることが出来るが、場合によっては、前記可動荷台(3)に対して左右巾方向の中央位置一カ所にのみ設けることも出来る。
【0009】
請求項1〜4の何れか1項に記載の構成を採用する場合には、
請求項5に記載のように、前記固定荷台部(2)を構成する可動荷台移動方向と平行な荷支持用棒状部材(12)の棚奥側の端部を、当該荷支持用棒状部材(12)を支持する左右横方向の梁部材(10a)より棚奥側に突出させ、この荷支持用棒状部材(12)の突出端部(12a)で前記係合部(33)を構成することが可能である。この場合、
請求項6に記載のように、前記被係合部(37)は、前記可動荷台(3)の棚奥側の端部に上下揺動自在に支持されて垂下する揺動部材(縦長の矩形枠状部材38)から構成することが出来る。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の本発明の構成によれば、可動荷台上から荷を搬出するときは、荷収納空間の入り口に隣接する固定荷台部上の荷が搬出されて、可動荷台が重力で前記固定荷台部上に重なる前進限位置に達している状況にあるから、この状況では必ず可動荷台側の被係合部と棚側の係合部とが可動荷台移動方向に互いに係合しており、当該被係合部と係合部との間の遊び代を超えるような可動荷台の浮き上がりは、前記被係合部と係合部との係合により確実に防止されている。従って、例えば先に説明したようなパレット下面の滑り止めゴムが可動荷台の表面に張り付いて密着しているような状況でも、荷をフォークリフトで持ち上げたときに可動荷台がその荷と一緒に持ち上がるような現象を生じさせないで済むので、大きな異音の発生や、可動荷台の車輪が傾斜レール上から外れるというような危険な事態を回避することが出来る。
【0011】
尚、可動荷台が固定荷台部上に重なる前進限位置に達している状況では、荷収納空間の入り口側端部に必ず存在する、棚側の傾斜レール端部を支持する左右横方向の梁部材と、前記可動荷台の前端とが互いに隣接する状態にあるので、
本発明の構成によれば、フォークリフトで荷を可動荷台上から持ち上げるとき、荷の後端(棚奥側の端部)が前端よりも先行して持ち上がるように荷を傾斜させて持ち上げる操作を行った場合でも、可動荷台の後端部(棚奥側の端部)が荷と一緒に持上げられて浮き上がるのを効果的に防止出来る。
【0012】
可動荷台側の被係合部と棚側の係合部の構成は、特に限定されるものではない。例えば、可動荷台側の被係合部として水平前方に延出する板状部材を設け、棚側の係合部として、可動荷台が前進限位置に達したときに前記被係合部の板状部材の上に被さるように水平後方に延出する板状部材を設けることも出来るが、
請求項2に記載の構成によれば、前進限位置にある可動荷台を左右横方向に関して位置決めする位置決め効果も同時に得ることが出来る。
【0013】
又、
請求項3に記載の構成によれば、可動荷台を前進限位置で停止させたときの衝撃を和らげる緩衝部材を当該可動荷台に取り付けるために必要な緩衝部材取付け板を大きくするだけで、可動荷台側に必要な被係合部を設ける部材を前記緩衝部材取付け板で兼用させることが出来、被係合部を設ける専用の部材を別途準備しなければならない場合と比較して、コストダウンを図ることが出来る。
【0014】
前記被係合部と係合部は、可動荷台の任意の一カ所に対応して設けることが出来るが、
請求項4に記載の構成によれば、可動荷台に対して左右対称に一対設けられている前記被係合部と係合部により、当該可動荷台の浮き上がりを効果的に行えると共に、
請求項3に記載の構成と組み合わせて実施するときには、前進限位置での可動荷台の停止も、当該可動荷台の水平方向の傾動を生じさせないで安定良く停止させることが出来る。
【0015】
尚、前記被係合部を可動荷台の後端部に設ける場合には、
請求項5に記載の構成によれば、前記固定荷台部を構成する可動荷台移動方向と平行な荷支持用棒状部材の棚奥側の端部を利用して棚側の係合部を構成することが出来、頑丈な係合部を構成出来るにもかかわらず、別部材から成る係合部を棚側に取り付ける作業も不要になることによりコストダウンも期待出来る。この場合、
請求項6に記載の構成によれば、仮に前記荷支持用棒状部材の棚奥側の端部の位置が、前進限位置の可動荷台の後端部より後方に大きく離れることになるような状況においても、当該可動荷台の後端部側に取り付けられる前記被係合部を当該可動荷台の後端部から後方に長く突出させておく必要がなくなり、被係合部の構成が容易になる。