特許第5673978号(P5673978)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5673978
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】バッテリケース及び電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20150129BHJP
   H01M 2/12 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
   H01M2/10 A
   H01M2/10 S
   H01M2/12 101
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-223729(P2013-223729)
(22)【出願日】2013年10月28日
(62)【分割の表示】特願2010-62884(P2010-62884)の分割
【原出願日】2010年3月18日
(65)【公開番号】特開2014-17270(P2014-17270A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2013年10月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100128532
【弁理士】
【氏名又は名称】村中 克年
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】河村 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 亨
【審査官】 宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−004193(JP,A)
【文献】 特開2008−276997(JP,A)
【文献】 特開2000−149887(JP,A)
【文献】 実開昭61−093679(JP,U)
【文献】 実開昭54−041922(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0292436(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 2/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両に搭載されるバッテリが収容されるバッテリケースであって、
前記バッテリを支持するトレイ部材と、
前記トレイ部材の上に重ねられて当該トレイ部材に固定されるカバー部材と、を有し、
前記カバー部材の上面には、
所定領域の全面に設けられて前記カバー部材の他の部分よりも剛性が低い脆弱部を有し内部圧力の上昇に伴う前記脆弱部の変形によって前記所定領域が開口する圧力開放部が設けられ、
前記圧力開放部は、
前記カバー部材上面の前記所定領域に形成された開口部と、
前記開口部の外周部の少なくとも一部で前記カバー部材に固定されて前記開口部を封止する封止部材と、を備え、
前記封止部材は一方向における一端部が前記カバー部材に固定されていると共に、他端部が前記カバー部材に対して取り外し可能に保持されていることを特徴とするバッテリケース。
【請求項2】
前記圧力開放部が、前記カバー部材の上面の複数ヶ所に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のバッテリケース。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のバッテリケース内に前記バッテリが複数収容されてなることを特徴とする電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両の底部に搭載される電池パックに関し、特に、電池パックを構成するバッテリケースの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気自動車やハイブリッド自動車などの電動車両に搭載される電池パックは、複数のバッテリセルで構成されるバッテリを複数備えている。これら複数のバッテリは樹脂材料等で形成されるバッテリケース内に収容されている。
【0003】
電池パックを構成する各バッテリセルは、例えば、製造不良や、車両の衝突事故による変形等に起因して内部短絡が生じると、発熱すると共にガスが発生し、発生したガスがバッテリケース内に充満して内部圧力が上昇すると、バッテリケースが変形してしまう虞がある。
【0004】
このような問題を解決するために、例えば、ケース本体と、ケース本体の開口を封止する蓋と、を有する電池ケースにおいて、ケース本体と蓋との結合部分に、結合力を低下させた削落部を形成し、ガスの発生により電池ケースの内部圧力が上昇した際に、この削落部でケース本体と蓋との結合が解除され、これらケース本体と蓋との隙間から外部にガスが排出されるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−146812号公報(図9等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記構造では、ケース本体と蓋との隙間からガスを外部に排出させているため、例えば、バッテリケース(電池ケース)内においてガスの発生量が急激に増加した場合には、発生したガスを外部に十分に排出することができず、バッテリケースが変形してしまう虞がある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、バッテリの異常によってバッテリケース内でガスが発生した場合に、そのガスを外部に良好に排出することができるバッテリケース及び電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、電動車両に搭載されるバッテリが収容されるバッテリケースであって、前記バッテリを支持するトレイ部材と、前記トレイ部材の上に重ねられて当該トレイ部材に固定されるカバー部材と、を有し、前記カバー部材の上面には、所定領域の全面に設けられて前記カバー部材の他の部分よりも剛性が低い脆弱部を有し内部圧力の上昇に伴う前記脆弱部の変形によって前記所定領域が開口する圧力開放部が設けられ、前記圧力開放部は、前記カバー部材上面の前記所定領域に形成された開口部と、前記開口部の外周部の少なくとも一部で前記カバー部材に固定されて前記開口部を封止する封止部材と、を備え、前記封止部材は一方向における一端部が前記カバー部材に固定されていると共に、他端部が前記カバー部材に対して取り外し可能に保持されていることを特徴とするバッテリケースにある。
【0009】
かかる本発明の第1の態様では、バッテリ異常等によりバッテリケース内にガスが発生してバッテリケース内の圧力が上昇した場合に、圧力開放部が開口してバッテリケース内のガスを良好に外部に排出させることができる。また脆弱部が所定領域の全面に設けられていることで、脆弱部が変形し易くなり、バッテリケース内の圧力が上昇した際に、圧力開放部がより確実に開口し、内部のガスが良好に外部に排出される。また開口部に対向する領域の封止部材が脆弱部として機能して、バッテリケースの内部圧力の上昇にともなって開口部が開口し、この開口部から内部のガスが良好に排出される。さらに、破断部が開口部を跨いで設けられていることで、バッテリケースの内部圧力が上昇した際に、開口部がより確実に開口する。また封止部材が破断することがないため、封止部材を繰り返して使用することも可能となる。
【0010】
本発明の第2の態様は、前記圧力開放部が、前記カバー部材の上面の複数ヶ所に設けられていることを特徴とする第1の態様のバッテリケースにある。
【0011】
かかる第2の態様では、バッテリケース内の何れの位置でバッテリ異常が発生した場合でも、バッテリケース内のガスが迅速に外部に排出される。
【0012】
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様のバッテリケース内に前記バッテリが複数収容されてなることを特徴とする電池パックにある。
【0013】
かかる第3の態様では、バッテリ異常等によりバッテリケース内にガスが発生してバッテリケース内の圧力が上昇した場合に、圧力開放部が開口してバッテリケース内のガスを良好に外部に排出させることができる。したがって、安全性を高めた車載用電池パックを実現することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明によれば、バッテリケース内にガスが発生してバッテリケース内の圧力が上昇した場合に、圧力開放部が開口してバッテリケース内のガスを良好に外部に排出させることができる。したがって、安全性を高めた車載用電池パックを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る電池パックの設置状態を示す電気自動車の概略斜視図である。
図2】本発明に係る電池パックの分解斜視図である。
図3】実施形態1に係る圧力開放部の概略構成を示す斜視図である。
図4】実施形態1に係る圧力開放部の動作の概略を示す斜視図である。
図5】実施形態1に係るバッテリカバーの変形例を示す斜視図である。
図6】実施形態2に係る圧力開放部の概略構成を示す斜視図及び断面図である。
図7】実施形態2に係る圧力開放部の動作の概略を示す斜視図である。
図8】実施形態3に係る圧力開放部の概略構成を示す斜視図及び断面図である。
図9】実施形態3に係る圧力開放部の動作の概略を示す斜視図及び断面図である。
図10】他の実施形態に係る圧力開放部の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1に示すように、本発明に係る車載用電池パック10は、例えば、電気自動車等の電動車両1の底部(フロア下)に搭載され、電動車両1の走行用モータ等に電力を供給する。
【0017】
電池パック10は、図2に示すように、複数のバッテリ20と、これら複数のバッテリ20が収容されるバッテリケース30とを備える。バッテリケース30は、複数のバッテリ20を収容する容器であり、トレイ部材であるバッテリトレイ40及びカバー部材であるバッテリカバー50とで構成されている。バッテリトレイ40はバッテリケース30の下部を構成し、バッテリカバー50がバッテリケース30の上部を構成している。すなわち、これらバッテリトレイ40とバッテリカバー50とで形成される空間内に複数のバッテリ20が保持されている。
【0018】
各バッテリ20は、並設された複数のバッテリセル(図示なし)で構成されており、例えば、本実施形態では、このような複数のバッテリ20が、バッテリケース30の長手方向に沿って2列に並設されている。なおバッテリケース30内におけるバッテリ20の配置は特に限定されるものではない。
【0019】
ここで、バッテリカバー50は、繊維によって強化された合成樹脂の一体成形品からなる。バッテリカバー50の前部には、図示しない電源遮断装置のサービスプラグの脱着操作を行うためのサービスプラグ用開口部51と、冷却風導入口52とが形成されている。
【0020】
サービスプラグ用開口部51には、蛇腹状のゴム製ブーツ53の一端側が取り付けられている。また図示しないが電動車両のフロアパネルにはブーツ取付口が形成されており、このブーツ取付口はキャップ部材によって封止されている。ゴム製ブーツ53の他端側は上記のブーツ取付口に取り付けられている。つまりバッテリカバー50に設けられたサービスプラグ用開口部51とフロアパネルに設けられたブーツ取付口とがゴム製ブーツ53によって接続されている。
【0021】
このような構成により、電池パック10の点検等を行うにあたり、電動車両のフロアパネルから上記のキャップ部材を取り外すことによって、バッテリケース30内に配置されている電源遮断装置のサービスプラグを車室側から容易に脱着することができる。
【0022】
また冷却風導入口52にも蛇腹状のゴム製ブーツ54が取り付けられている。図示は省略するが、冷却風導入路の一端側がこのゴム製ブーツ54に接続されており、冷却風導入路の他端側は車他前部に配置される熱交換ユニットに接続されている。すなわち、熱交換ユニットで冷却された冷却風が冷却風導入管及びゴム製ブーツ54を介して冷却風導入口52からバッテリケース30内に導入されるようになっている。
【0023】
またバッテリカバー50の上面には、このように導入された冷却風の一部を流すためのバイパス流路部55と、冷却ファンを収容するための冷却ファン収容部56等が設けられている。
【0024】
さらに本発明に係るバッテリカバー50の上面には、バッテリケース30の内部圧力の上昇に伴って開口する圧力開放部60が設けられている。本実施形態では、バッテリカバー50に形成されているバイパス流路部55上に圧力開放部60を設けている。
【0025】
圧力開放部60は、バッテリカバー50の上面の所定領域の少なくとも外周部を囲って設けられてバッテリカバー50の他の部分よりも剛性の低い脆弱部61を備えている。そして圧力開放部60は、バッテリケース30の内部圧力の上昇に伴って脆弱部61が変形することで上記所定領域が開口するようになっている。
【0026】
本実施形態では、圧力開放部60を構成する脆弱部61が、バッテリカバー50の所定領域の全面に設けられている。具体的には、図3に示すように、圧力開放部60は、バッテリカバー50の上面の所定領域に形成された開口部62と、この開口部62を封止する封止板(封止部材)63と、で構成されている。
【0027】
封止板63は、例えば、ステンレス鋼やアルミニウム等の薄板で構成されており、バッテリカバー50よりも剛性が低く変形し易い。すなわち本実施形態では、この封止板63で封止された開口部62内の全域が脆弱部61となっている。
【0028】
本実施形態では、封止板63は、一方向における両端部が開口部62の外周部でバッテリカバー50に固定されている。封止板63の固定方法は、特に限定されないが、例えば、ボルト及びナット等の締結部材70によってバッテリカバー50に固定すればよい。
【0029】
また封止板63には、開口部62に対向する領域に、封止板63の他の部分よりも破断し易い破断部80が、開口部62を跨いで設けられている。上述のように本実施形態では、封止板63は、一方向における両端部がバッテリカバー50にそれぞれ固定されている。この場合、破断部80は、上記一方向とは直交する方向に延設されていることが好ましい。例えば、本実施形態では、破断部80は、開口部62の周縁部に対応する部分に、上記一方向とは直交する方向に延設されている。勿論、破断部80を延設する方向は特に限定されるものではない。また破断部80を設ける位置も特に限定されず、例えば、開口部62の中央部であってもよい。
【0030】
本実施形態に係る破断部80は、2つのスリット状の貫通孔81が所定間隔で並設されてなる。この破断部80の構成は、封止板63の強度等を考慮して、所定圧力で破断するように適宜調整すればよい。例えば、破断部80を構成する貫通孔81の数は特に限定されず、例えば、3つ以上であってもよいし、1つであってもよい。また例えば、破断部80を貫通孔81は必ずしも封止板63を貫通していなくてもよく、封止板63の厚さ方向の一部が除去された凹部であってもよい。
【0031】
このように電池パック10を構成するバッテリカバー50に圧力開放部60が設けられていることで、例えば、バッテリ20の異常等によってガスが発生し、バッテリケース30内にガスが充満して内部圧力が上昇すると、圧力開放部60から外部にガスが良好に排出される。詳細には、バッテリケース30内の圧力が上昇すると、図4(a)に示すように、脆弱部61である、開口部62に対向する領域の封止板63、に圧力が掛かる。この圧力によって封止板63が変形することで、図4(b)に示すように破断部80が破断して開口部62が開口する。例えば、2気圧程度の圧力が掛かることで破断部80が破断して開口部62が開口する。つまりバッテリカバー50の一部が所定の面積で開口する。これにより、バッテリケース30の内部圧力が急激に上昇した場合でも、バッテリケース30内に充満したガスが開口部62から外部に良好に排出される。したがって、安全性を高めた車載用電池パック10を実現することができる。
【0032】
また圧力開放部60がバッテリケース30の上面(バッテリカバー50の上面)に設けられているため、例えば、バッテリケース30の側面等に設けるよりも、バッテリケース30の水密性が高められる。特に、圧力開放部60は、バッテリケース30の上面の比較的高い位置に形成されていることが好ましい。これにより、バッテリケース30の水密性をさらに高めることができる。
【0033】
詳しく説明すると、電池パック10は、上述のように電動車両1の底部(フロア下)に設けられている。このため、例えば、雨天時等には電池パック10が被水してしまう虞がある。そのような場合でも、圧力開放部60がバッテリケース30の上面(特に、高い位置)に形成されていることで、圧力開放部60が被水することを抑制することができる。また仮に被水した場合でも、バッテリカバー50と封止板63との微小な隙間、あるいは破断部80を構成する貫通孔81からバッテリケース30内に雨水等が侵入すること、或いはその水圧によって圧力開放部60が開口することを抑制することができる。
【0034】
なお開口部62の大きさは特に限定されないが、バッテリケース30内のガスを外部に排出するという観点からは、開口部62は可及的に大きく形成されていることが好ましい。また本実施形態では、開口部62が矩形状を有するが、開口部62の形状は特に限定されず、例えば、円形等であってもよい。
【0035】
また本実施形態では、圧力開放部60がバッテリカバー50の上面の一ヶ所に設けられているが、圧力開放部60の数は特に限定されず、図5に示すように、バッテリカバー50の複数ヶ所に圧力開放部60を設けるようにしてもよい。
【0036】
これにより、バッテリケース30内の何れの位置のバッテリ20に異常が発生しても、バッテリケース30内に溜まったガスを素早く外部に排出することができる。したがって、安全性を高めた車載用電池パックを実現することができる。
【0037】
(実施形態2)
図6は、実施形態2に係る圧力開放部を示す概略図及び断面図であり、図7は、実施形態2に係る圧力開放部の動きを説明する概略図である。
【0038】
本実施形態は、圧力開放部の構造の変形例であり、その他の構成は実施形態1と同様である。図6に示すように、本実施形態に係る圧力開放部60Aは、バッテリカバー50に形成された開口部62と、開口部62を封止する封止板63Aとで構成されている。封止板63Aは、一方向における一端部が開口部62の外周部でバッテリカバー50に、例えば、タッピングスクリュー等の締結部材70Aによって固定されている。これに対して封止板63Aの他端部は、バッテリカバー50に対して取り外し可能に保持されている。本実施形態では、封止板63Aの他端部は、締結部材70Aの外周部に張り出して設けられるフランジ部71とバッテリカバー50の表面との間に挟持された状態で保持されている。
【0039】
このような圧力開放部60Aの構成であっても、バッテリケース30内にガスが充満して内部圧力が上昇した際に、圧力開放部60Aから外部にガスを良好に排出することができる。すなわち、バッテリケース30内の圧力が上昇すると、図7(a)に示すように、その圧力上昇に伴って開口部62に対向する領域の封止板63A(脆弱部61)が変形し、締結部材70Aのフランジ部71とバッテリカバー50の表面との間に挟持されていた封止板63Aの端部が、これらの間から外れて、図7(b)に示すようにバッテリカバー50に形成されている開口部62が開口する。これにより、バッテリケース30の内部圧力が急激に上昇した場合でも、バッテリケース30内に充満したガスが開口部62から外部に良好に排出される。
【0040】
(実施形態3)
図8は実施形態3に係る圧力開放部を示す概略を示す斜視図及び断面図であり、図9は、実施形態3に係る圧力開放部の動きを説明する概略斜視図及び断面図である。
【0041】
本実施形態は、圧力開放部の構造の変形例であり、その他の構成は実施形態1と同様である。図8に示すように、本実施形態に係る圧力開放部60Bは、バッテリカバー50に設けられた開口部62と、この開口部62を封止する蓋部材(封止部材)90とで構成されている。蓋部材90は、弾性材料、例えば、ゴム材料や樹脂材料等からなり、開口部62の周縁部に対向する部分に爪部91を備える。すなわち、蓋部材90の外周部に全周に亘って爪部91が設けられている。そして、この爪部91が開口部62の周縁部に係合することで蓋部材90がバッテリカバー50に保持され、この蓋部材90によって開口部62が封止されている。
【0042】
このような圧力開放部60Bの構成であっても、バッテリケース30内にガスが充満して内部圧力が上昇した際に、圧力開放部60Bから外部にガスを良好に排出することができる。すなわち、バッテリケース30内の圧力が上昇すると、その圧力上昇に伴って開口部62に対向する領域の蓋部材90(脆弱部61)が変形すると共にその外周部の爪部91が変形し、図9に示すように、バッテリカバー50の開口部62から蓋部材90が外れて開口部62が開口する。これにより、バッテリケース30の内部圧力が急激に上昇した場合でも、バッテリケース30内に充満したガスが開口部62から外部に良好に排出される。
【0043】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、勿論、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0044】
例えば、上述の実施形態では、圧力開放部60の脆弱部61がバッテリカバー50とは別部材で構成されている例を説明したが、脆弱部61はバッテリカバー50に一体的に設けられていてもよい。例えば、図10(a)に示すように、バッテリカバー50の所定領域の外周部を囲ってバッテリカバー50の他の部分よりも肉厚の薄い薄肉部57を形成し、この薄肉部57が圧力開放部60Cの脆弱部61として機能するようにしてもよい。さらに薄肉部57は、図10(b)に示すように、バッテリカバー50の所定領域の全面に設けられていてもよい。このようにバッテリカバー50に脆弱部61を一体的に形成した構成では、バッテリケース30内の圧力が上昇すると、この圧力上昇に伴って脆弱部61が変形して脆弱部61に亀裂が生じることで、バッテリカバー50の所定領域に開口部が形成されることになる。勿論、このような構成としても、圧力開放部60Cからバッテリケース30内に充満したガスを外部に良好に排出することができる。
【0045】
このように本発明は、その主旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0046】
10 車載用電池パック
20 バッテリ
30 バッテリケース
40 バッテリトレイ
50 バッテリカバー
51 サービスプラグ用開口部
52 冷却風導入口
53 ゴム製ブーツ
54 ゴム製ブーツ
55 バイパス流路部
56 冷却ファン収容部
57 薄肉部
60 圧力開放部
61 脆弱部
62 開口部
63 封止板
70 締結部材
71 フランジ部
80 破断部
81 貫通孔
90 蓋部材
91 爪部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10