(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LEDベアチップは点光源でかつ輝度が高いことが知られている。そのため、面状光源として使用される特許文献1のLED光源では、一個一個のLEDベアチップとこれを覆う封止樹脂とからなる発光部が高輝度の点として「つぶつぶ」状に視認される。このため、輝度むらに伴う不快グレアが生じ易い。
【0007】
特に、テーパー状の孔を有する反射板を備えた特許文献1のLED光源では、この反射板の孔で発光部が発した全ての光の投光方向が規定され、下方へ直接的に投光される。そのため、なおさら輝度むらが顕著である。その結果、輝度むらに伴う不快グレアが生じ易い。
【0008】
又、反射板を用いない特許文献1のLED光源では、前記輝度むらに伴う不快グレアを改善できるかどうか不明である。なぜなら、特許文献1の記載の技術は、金属ベースプリント基板に形成された導体パターンの露出部位を、LEDベアチップを封止した封止樹脂で覆うとともに、前記露出部位以外の導体パターンの部位をプリント基板から露出させないものである。そしてこの構成により、防湿性を向上させたものである。つまり、特許文献1は、輝度むらに伴う不快グレアの改善については一切言及されていない。
【0009】
更に、反射板を用いない特許文献1のLED光源では、一個一個のLEDベアチップを覆う封止樹脂の使用量が同じであっても、封止した状態での形状を同じにする工夫がない。そのため、個々のLEDベアチップを封止した封止樹脂が様々に型崩れして形状や高さ等が同じになる保証がない。そのため、この封止樹脂に蛍光体粉末を混ぜたLED光源として実施する場合、各発光部の発光色は同系色ではあるが夫々に異なる。各発光部の形状や高さの違いは、色むらとなって視認される。
【0010】
既述のような輝度むらや色むらを生じ易いLED光源が組込まれた照明装置の見栄えは良くない。従って、この点を改善して照明装置の商品性を向上できるようにすることが望まれている。
【0011】
ところで、照明装置は、LED光源の充電部(配線パターン及びLEDベアチップ)等に人が触れることがないようにするために、ガードとして透光性の照明カバーを備えることが好ましい。そのため、LED光源による不快グレアが問題視される用途においては、その用途に適合する拡散度の照明カバーを用いることで、輝度むらや色むらを改善することが可能である。
【0012】
すなわち、例えば拡散度が最も高い乳白色の照明カバーを用いることで、この照明カバーでの光拡散作用により発光部の「つぶつぶ」感をぼかして輝度むらを緩和することができる。しかし、乳白色の照明カバーを用いると、透明な照明カバーを用いた場合の器具光束に比較して照明装置の光束が約10%減少し、同様に照明装置の効率が低下することは避けられない。
【0013】
本発明の目的は、複数の点状発光部を原因とする輝度むらを緩和し見栄えを良くできる光源モジュールおよび照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明は、モジュール基板と;前記モジュール基板の表側の面に所定のパターンで設けられた金属導体と;前記金属導体に電気的に接続され、前記モジュール基板の表側の面に実装された複数の半導体発光素子と;前記半導体発光素子が配置される複数の孔を有し、前記半導体発光素子の厚みよりも薄く形成され、前記モジュール基板の表側の面に積層された白色の拡散反射層と;前記半導体発光素子を埋めて前記拡散反射層から突出した封止部材であって、その半径が高さに比べて大きい扁平した球面を有し蛍光体が混ぜられた透光性の封止部材と;を具備し、前記モジュール基板の前記
表側の面における前記半導体発光素子を実装した部分は、前記モジュール基板に向き合う前記拡散反射層の面よりも前記モジュール基板側に位置し、前記半導体発光素子は、前記拡散反射層の前記モジュール基板とは反対側の面よりも前記積層の方向に突出し、
前記封止部材が前記拡散反射層の孔で堰き止められていることを特徴と
している。
【0015】
この発明で、モジュール基板には、金属のベース層に絶縁層を積層した金属ベース基板を用いることができる。絶縁層は、例えば合成樹脂等の絶縁材からなる。金属のベース層には、例えばアルミニウム等の熱伝導性が良好な材料を用いることも可能である。またモジュール基板には、セラミックスのような無機材料や合成樹脂等の絶縁材からなる単層若しくは複層の基板等を用いることもできる。モジュール基板の一例として、熱伝導性が比較的低いが比較的安価であるガラスエポキシ樹脂を主体とした樹脂基板や、同様に比較的安価な紙フェノール材やガラスコンポジット等の非金属製の基板も使用可能である。またモジュール基板は、半導体発光素子を所望の間隔で配設するために四角形例えば正方形や長方形に形成することが好ましい。なお、モジュール基板は、六角形等の多角形状、円形や楕円形状等の形状であってもよい。
【0016】
この発明で、「モジュール基板の表側の面」とは、照明装置の正面側に位置される下面を指している。この面は、当該光源モジュールが照明カバーを有した照明装置に実装される場合、照明カバーで覆われるとともに、照明カバーの内面(裏面)に対向する。またこの面は、当該光源モジュールが照明カバーを有しない照明装置に実装される場合、装置本体の開放部を通して視認可能となる。
【0017】
この発明で、半導体発光素子にはチップ状のLED(発光ダイオード)を用いることができる。より具体的には、半導体発光素子として例えば青色ないし紫外光を発するチップ状青色LEDを好適に用いることができる。例えば、白色発光をするために、蛍光体と青色LEDとを組み合わせることが好ましい。なおこれに代えて、赤色発光をするチップ状の赤色LEDと、青色発光をするチップ状の青色LEDと、緑色発光をするチップ状の緑色LEDを組み合わせて白色を発光させるチップ群を用いることも可能である。この発明で、半導体発光素子又は前記チップ群は、例えばCOB(Chip on board)技術を用いて、モジュール基板全体に点在してマトリックス状に配置されていることが好ましい、なお、半導体発光素子の配置は、マトリックス状には制約されず、モジュール基板の形状に合わせて全基板体に点在して千鳥状や放射状等に配置することも可能である。
【0018】
また、半導体発光素子が青色LEDである場合、白色発光をするために、青色の光で励起されて黄色の光を放射する黄色蛍光体を組み合わせることが好ましい。なお、演色性等を向上するために赤色蛍光体や緑色蛍光体が黄色蛍光体に混じっていてもよい。更に、こうした青色LEDと蛍光体との組み合わせにおいて、蛍光体が混ぜられた透明シリコーン樹脂等の透光性封止部材は、すべての青色LEDを埋めてモジュール基板に積層される蛍光体層をなして設けてもよい。或いは、例えば一個の青色LED毎または前記チップ群毎にこれらを埋めて蛍光体が混ぜられた透光性封止部材を設けてもよい。後者の場合は、蛍光体及び透光性封止部材の使用量が前者の場合に比較して少なく、コストを低減できる点で有利である。
【0019】
この発明で、白色の拡散反射層は、予め孔を有していて、モジュール基板の表側の面に貼り付けられたシートであってもよく、或いはスクリーン印刷等により孔に相当する部分を残してモジュール基板の表側の面に塗布された印刷層、例えば白色のレジスト層等を用いることができる。拡散反射層が白色であるとは、白色系であることを指している。なお拡散反射層の反射率は85%以上であることが、輝度むらを改善する上で好ましい。更に、拡散反射層の孔の形状は問わない。
【0020】
この発明で、封止部材には、透光性の合成樹脂例えば耐紫外線性及び耐熱性に優れる透明なシリコーン樹脂を好適に用いることができる。なお、封止部材として、上記以外の透光性封止材料を用いることも可能である。また封止部材は、円柱状、角柱状、半球状等様々な形状とすることができる。また封止部材は、拡散反射層の孔より大きくても差し支えない。つまり、封止部材は、必ずしも孔の中に封入されている必要はなく、孔の外側に広がっていてもよい。すなわち、封止部材は、拡散反射層の上まで食み出していてもよい。
【0021】
この発明で、封止部材に混ぜられた蛍光体は、半導体発光素子が発した光で励起されて、半導体発光素子が発した光の波長とは異なる波長の光を放射する物質である。例えば半導体発光素子が青色LEDである場合、白色光を得るために黄色蛍光体を好適に用いることができる。なお蛍光体としては、黄色蛍光体以外の蛍光体でもよく、或いは演色性を改善するために緑色蛍光体や赤色蛍光体が混ぜられた黄色蛍光体を用いることも可能である。
【0022】
請求項1の発明の光源モジュールの点灯中、半導体発光素子の発光層が発した光の一部が封止部材を透過して蛍光体を励起する。そして、励起された光と発光層が発した光の内で蛍光体を励起しなかった光とが混ざり合って、例えば白色の光が作られる。その白色の光が光の利用方向に出射され、例えば透光性照明カバーを通ってその下方を照明する。
【0023】
この照明において半導体発光素子の発光層は光を全方向に放射する。そのため、この照明装置では、発光層から水平方向及び斜め上向きに出射した光を基に作られて封止部材から出射された白色の光が、拡散反射層に照射される。その照射された光は、拡散反射層で光の利用方向である下方向に拡散反射される。
【0024】
これにより、半導体発光素子とこれが埋まっている封止部材を有した各発光部の近傍の輝度が周辺に比べて著しく高くなることを抑制できる。つまり、前記拡散反射される分だけ発光部の真下の輝度が高くなり難くなるととともに、各発光部の周囲で拡散反射された光により発光部の周囲の輝度が高くなり、その部分の輝度比が小さくなる。したがって、光源モジュールの輝度むらが緩和され、それに伴い不快グレアも改善されて見栄えが良くなる。
【0025】
請求項1の発明において、前記半導体発光素子が、その先端が前記拡散反射層よりも下方に突出したことを特徴としている。なお「半導体発光素子の高さ」とは、モジュール基板の下面から半導体発光素子の先端(つまり下端)までの寸法をいう。例えば半導体発光素子が何らかの固定部材(例えばダイボンド材)などによりモジュール基板に固定される場合、半導体発光素子の高さは、例えば半導体発光素子の厚みと、この半導体発光素子を固定する固定部材(例えばダイボンド材)の厚みとの合計となる。
【0026】
請求項
1の発明の光源モジュールでは、半導体発光素子が拡散反射層よりも下方まで突出しているため、拡散反射層による反射、光吸収の影響を受けることが少なく、半導体発光素子から水平方向付近にも青色光が放射可能になる。これにより、発光部の真下や斜め下方の領域と同様に、発光部の水平方向付近の領域でも、青色光と黄色光とが混ざり、白色光が出射される。そのため、発光部の真下や斜め下方に出射される光の色と、水平方向付近に出射される光の色とが略同じになり、角度色差の発生が抑制される。
【0027】
また、請求項
1の発明は
、前記封止部材が前記拡散反射層の孔で堰き止められていることを特徴としている。この発明で、拡散反射層の孔は円形であることが好ましいが、円形でなくても良い。
【0028】
この請求項
1の発明の光源モジュールでは、封止部材がポッティングにより設置される場合、ポッティングされた未硬化の封止部材を、拡散反射層の孔でそれ以上広がることが堰き止められた状態で硬化させることができる。このため、各封止部材が拡散反射層の表面に沿って広がって形崩れし難く、これら封止部材が同一形状に作られ易い。これにより、各発光部において蛍光体を励起する条件がばらつき難く、各発光部相互の関係での色むらを生じ難い。その結果、色むらの緩和に伴い照明装置の見栄えを一層良くすることができる。
【0031】
請求項
3の発明は、請求項1
又は2のいずれかに記載の光源モジュールと;ベース壁部及びこの壁部の下方に下面開放部を有し、前記ベース壁部の下面に前記光源モジュールが固定された装置本体と;前記下面開放部を塞ぐとともに前記光源モジュールを下方から覆って前記装置本体に支持された透光性の照明カバーとを具備したことを特徴としている。
【0032】
この発明で、透光性の照明カバーには、照明装置の使用環境に応じて透明な照明カバー、又は半透明な照明カバー、或いは乳白色の照明カバー等を用いることができる。例えば、輝度むらがさほど問題視されない使用環境では透明照明カバーを用いればよい。輝度むらを問題とする程度が軽い使用環境では半透明照明カバーを用いればよい。輝度むらを問題とする程度が重い使用環境では乳白色照明カバーを用いればよい。
【0033】
この請求項
3の発明の照明装置では、上記のように光源モジュール自体の構成で、このモジュールが有した複数の点状発光部を原因とする輝度むらを緩和できる。そのため、輝度むらの緩和を透光性の照明カバーで専ら担う必要がなくなり、照明カバーに要求される輝度むらの緩和性能を軽減できる。そのため、輝度むらを問題とする使用環境で用いられる照明装置においては、拡散度が低い照明カバーを使用することが可能となる。その結果、器具効率の低下を軽減できる。
【発明の効果】
【0034】
請求項1の発明の光源モジュールによれば、光源モジュール自体の構成でこのモジュールが有した複数の発光部を原因とする輝度むらを緩和できるので、見栄えが良くなる。
【0035】
請求項
1の発明の光源モジュールによれば
、更に、発光部の水平方向付近にも青色光を放射することができるので、角度色差を小さくすることができる。
【0036】
請求項
2の発明の光源モジュールによれば、請求項
1の発明において、更に、各発光部相互の関係での色むらも緩和できるので、一層見栄えを良くできる。
【0037】
請求項
3の発明の光源モジュールによれば、請求項1
または2の発明において、更に、相関色温度差を所定以下に収めることができるので、角度色差を小さくできる。
【0038】
請求項
4の発明の照明装置によれば、請求項1乃至請求項
3のいずれかの発明において、更に、光源モジュールの輝度むらを透光性の照明カバーで更に緩和する場合、拡散度が低い透光性照明カバーを使用できるので、この照明カバーによる効率の低下を軽減できる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1〜
図16を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1〜
図4中の符号1は照明装置を示している。照明装置1は、ベースライトと通称される照明器具として実現されている。照明装置1は、屋内外の天井部に直付け又は埋め込んで例えば全般照明用として設置される。この照明装置1は、装置本体2と、点灯装置10と、一以上例えば複数の光源モジュール11と、透光性の照明カバー27を具備している。
【0041】
装置本体2は、本体ベース3と、一対の端板5と、本体ハウジング7を備えており、これらは何れも金属製である。この装置本体2の大きさは、例えば
図2において上下方向の寸法(縦寸法)が約280mm、
図2において左右方向の寸法(横方向)が850mmである。
【0042】
図1〜
図4に示すように本体ベース3は、ベース壁部3a、側壁部3b、及びベース下縁部3cを有している。ベース壁部3aは、四角形例えば長方形で平板状をしている。側壁部3bは、ベース壁部3aの両側縁から斜め下方に折り曲げられている。ベース下縁部3cは、側壁部3bの下端から水平状に折り曲げられている。
【0043】
ベース壁部3aには、例えば四角形状の部品通し孔3dが例えば複数開けられている。部品通し孔3dは、後述する光源モジュール11と同数で、かつ、これら光源モジュール11の配設間隔と同じ間隔で本体ベース3の長手方向に間隔的に設けられている。
【0044】
一対の側壁部3bの内面は、反射面であり、互いに対向している。これら側壁部3bは、これら内面間の間隔がベース壁部3aから遠ざかるに従い次第に大きくなるように傾斜されている。ベース下縁部3cは、互いに近づく方向に折り曲げられている。
【0045】
端板5は、本体ベース3の長手方向両端部にねじ6で夫々固定されていて、この本体ベース3の長手方向の端を閉じている。これら端板5も、その内面は反射面であり、かつ、これら内面間の間隔がベース壁部3aから遠ざかるに従い次第に大きくなるように傾斜されている。これらの端板5の下端から水平状に折り曲げられた端板下縁部5aは、互いに近づく方向に折り曲げられている。これら端板下縁部5aとベース下縁部3cは、互いに連続していて、ベース壁部3aに対向する開放部、例えばベース壁部3aに下方から対向する下面開放部4(
図3及び
図4参照)を形成している。
【0046】
図1及び
図4に示すように、本体ハウジング7は、下面が開放された長方形の箱形状をなしている。この本体ハウジング7は、本体ベース3の上面に固定されている。詳しく述べると、
図2及び
図4に示すように、ベース壁部3aの上面に、このベース壁部3aの長手方向と同方向に延びる一対の連結金具8が固定されている。これら連結金具8の間に本体ハウジング7が配置されている。本体ハウジング7の下縁部は、夫々ねじ9で連結金具8に固定されている。
【0047】
本体ハウジング7の天井壁内面に、光源モジュール11を点灯させる点灯装置10が固定されている。
【0048】
複数の光源モジュール11は、ベース壁部3aの下面にねじ12(
図3参照)により固定されている。隣接する光源モジュール11は、互いに接して隙間なく連続している。それにより、各光源モジュール11は、
図2及び
図3に示すようにベース壁部3aの略全域にわたって配設されている。このように並べられた各光源モジュール11によって面状の光源部が形成されている。
【0049】
各光源モジュール11は、COB(Chip on board)モジュールである。各光源モジュール11は、モジュール基板14、金属導体15、白色の拡散反射層17、複数の半導体発光素子例えば青色LED(青色発光ダイオード)19、及び透光性の封止部材24を備えている。
【0050】
モジュール基板14は、四角形例えば
図5に示すように長方形をなしている。このモジュール基板14は、複層基板である。モジュール基板14は、例えば
図8、
図9、
図10に示すように、表側絶縁層31と、裏側絶縁層32と、熱拡散層33とを有している。
【0051】
表側絶縁層31は、モジュール基板14の表側の面を形成する部材である。表側絶縁層31は、絶縁材料、例えば合成樹脂、より具体的にはガラスエポキシ樹脂の板で作られている。裏側絶縁層32は、モジュール基板14の裏側の面を形成する部材である。裏側絶縁層32は、表側絶縁層31と同様に、絶縁材料、例えば合成樹脂、より具体的にはガラスエポキシ樹脂で作られている。裏側絶縁層32は、表側絶縁層31と同じ大きさでかつ同じ厚みの板で作られている。
【0052】
熱拡散層33は、モジュール基板14の厚み方向の中間部に配置された部材である。本実施形態では表側絶縁層31及び裏側絶縁層32の片面全域に熱拡散層33が夫々積層されている。これら熱拡散層33同士を積層させることによって、熱拡散層33が表側絶縁層31と裏側絶縁層32との間に挟設されている。そのため、熱拡散層33は、モジュール基板14の略全域にわたって設けられている。
【0053】
この熱拡散層33は、表側絶縁層31及び裏側絶縁層32と同じ大きさの金属層、例えば表側絶縁層31及び裏側絶縁層32よりも薄い銅箔からなる。又、表側絶縁層31とこれに積層された熱拡散層33からなる積層体と、裏側絶縁層32とこれに積層された熱拡散層33からなる積層体とは同一である。
【0054】
モジュール基板14の長手方向両端部に、夫々二個の端部固定孔14aが開けられている。また、モジュール基板の中央部に、一個の中央固定孔14bと、この両側に位置する通孔14cとが開けられている。中央固定孔14bと二個の通孔14cは一列に並んでいる。これら中央固定孔14bと二個の通孔14cは、モジュール基板14を必要に応じて二つに折って分断する場合の分断基点として用いられる。
【0055】
中央固定孔14b及び端部固定孔14aの夫々には、ベース壁部3aに螺合されるねじ12が上向きに通されている。これらのねじ12の締付けによって、モジュール基板14がベース壁部3aに固定されている。
【0056】
具体的には、モジュール基板14は、表側絶縁層31を下側にして、ベース壁部3aの下面に固定されている。この固定によりモジュール基板14の裏側絶縁層32は、ベース壁部3aに密接されている。これにより、光源モジュール11から装置本体2への放熱が可能となっている。
【0057】
なお、
図5、
図6、
図10中の符号33aは、第1の逃げ孔を示す。第1の逃げ孔33aは、ねじ12と熱拡散層33との接触等による導通を防止するために熱拡散層33に開口されている。
図9中の符号33bは、第2の逃げ孔を示す。第2の逃げ孔33bは、後述するスルーホールと熱拡散層33との接触等による導通を防止するために熱拡散層33に開口されている。
【0058】
モジュール基板14の表側の面(すなわち、下面)14dに、金属導体(
図7及び
図8参照)15が所定のパターンで設けられている。金属導体15は、下面14dに装着された銅箔上に金をメッキして、又はニッケルと金とをこの記載順にメッキして形成されている。
図7に示すように金属導体15は、素子実装部15aと、延出部15bと、絶縁溝部15cとを有している。素子実装部15aは、例えば略六角形状をなしている。延出部15bは、素子実装部15aから一体に延出した線状をしている。絶縁溝部15cは、素子実装部15aに設けられている。
【0059】
絶縁溝部15cの幅は、延出部15bの幅よりも広い。絶縁溝部15cの先端は、素子実装部15aの略中央部に達している。この絶縁溝部15cは、隣接して配置された金属導体15の延出部15bが挿入するように設けられている。各金属導体15の素子実装部15aは、
図5に示すように、モジュール基板14に対して縦横に整列してマトリックス状に配設されている。
【0060】
電気絶縁性の拡散反射層17は、例えば白色のレジスト層からなり、モジュール基板14の下面14dに印刷により塗布して設けられている。拡散反射層17の厚みは、モジュール基板14よりも遥かに薄いだけではなく、後述する青色LED19の厚みよりも薄い。この拡散反射層17の反射率は、85%以上であることが好ましい。更に、この拡散反射層17には低い濡れ性を付与することが望ましい。
【0061】
図7及び
図8に示すように、拡散反射層17は、各素子実装部15aと同数の孔17aを有している。これらの孔17aは、各素子実装部15aの配置と同じ配置に設けられていて、素子実装部15aの中央部に対向している。したがって、金属導体15は、各孔17aに対向した部位を除いて拡散反射層17で覆われている。各孔17aは、例えば円形の孔からなる。これらの孔17aに、
図7に示すように、延出部15b及び絶縁溝部15cの各先端部が位置されている。
【0062】
図8に示すように、青色LED19は、電気絶縁性のサファイア等からなる素子基板19aの一面に発光層19bを設けて作られている。発光層19bには、図示しない一対の素子電極が設けられている。青色LED19の厚みは、拡散反射層17の厚みよりも大きい。
【0063】
これら青色LED19は、各金属導体15の素子実装部15aにダイボンド材20によりダイボンドされている。こうしてモジュール基板14の下面14dに実装された青色LED19は、各孔17aの中央部に一個ずつ配置されている。したがって、各青色LED19は、前記下面14dの略全領域にわたるように各孔17aの配置に応じて縦横に整列してマトリックス状に設けられている。
【0064】
各青色LED19は、拡散反射層17の厚みよりも大きな高さを有する。なお「青色LED19の高さ」とは、モジュール基板14の下面14dから青色LED19の先端(つまり下端)までの寸法をいう。つまり、青色LED19の高さは、例えば青色LED19の厚みとダイボンド材20の厚みとの合計となる。各青色LED19の先端は、拡散反射層17の表面(下面)よりも下方に突出している。各青色LED19の発光層19bは拡散反射層17の表面(下面)よりも下方に配置されている。
【0065】
各青色LED19は、それが配置された孔17a内で金属導体15に電気的に接続されている。すなわち、
図7及び
図8に示すように、青色LED19の一方の素子電極と素子実装部15aとが第1のボンディングワイヤ21を介して接続されている。また青色LED19の他方の素子電極と延出部15bとが第2のボンディングワイヤ22を介して接続されている。こうした接続によって、
図5中の左側二列の青色LED19群が直列接続され、
図5中の中央の二列の青色LED19群が直列接続され、
図5中の右側二列の青色LED19群が直列接続されている。これらの直列回路は、図示しない回路によって電気的に並列に接続されているとともに、前記点灯装置10により給電されるようになっている。そのため、照明装置1の使用時に各青色LED19は一斉に発光して照明を供される。
【0066】
又、
図5に示すように、モジュール基板14の長手方向に列をなして並んだ青色LED19列は、モジュール基板14の幅方向(長手方向と直交する方向)に沿って一定のピッチPで設けられている。隣接する光源モジュール11同士が接して連続する縁、例えばモジュール基板14の幅方向の側縁14eと、この側縁14eに最も近く配置されている青色LED19列との間の距離Lは、前記ピッチPの1/2の長さである。
【0067】
この構成により、隣接して連続した光源モジュール11同士の関係において、モジュール基板14の側縁14eの両側に位置された青色LED19列が、前記ピッチPと同じ距離を隔てて配置される。これにより、互いに連続された複数の光源モジュール11全体にわたり青色LED19列が同一ピッチPで配設される(
図3参照)。
【0068】
このため、青色LED19列間が不揃いとなっている場合と比較して、後述の透光性照明カバー27や照明エリアの明るさに差が生じることを抑制できる利点がある。これとともに、後述の照明カバー27が透明で各光源モジュール11が視認される場合、及び照明カバー27が半透明又は乳白色でかつこのカバーに後述の発光部18が輝点となって微妙に映り込み、それが視認される場合であっても、照明装置1の見栄え上、青色LED19列同士の間隔が不揃いとなって視認されることがない点で好ましい。
【0069】
封止部材24は、透光性材料例えば透明シリコーン樹脂等からなり、これには図示しないが例えば黄色蛍光体が粉末の状態で混ぜられている。封止部材24は、各孔17aにポッティングにより供給されて硬化されたものである。封止部材24は、孔17a内に露出している素子実装部15aの中央部及び青色LED19を埋めて、前記下面14dに設けられている。このポッティングされた封止部材24は、その根元部が孔17aで堰き止められている。封止部材24は、例えば半球状をなして拡散反射層17の下面よりも下方に突出されている。
【0070】
封止部材24の一例は、例えば直径と高さの比が2.0〜7.8:1の略球面状に形成されている。つまり、封止部材24は、
図8に示すように、半径と高さが略同じ半球状に形成されてもよく、
図13に示すように、半径が高さに比べて比較的大きな扁平の球面状に形成されてもよい。
【0071】
図中の符号18は発光部を示している。発光部18は、封止部材24とこれに埋められた青色LED19を含んでいる。これら発光部18の配置は、青色LED19と同じである。したがって各発光部18は、モジュール基板14の全域にわたり点在してマトリックスに配設されている。各発光部18は、モジュール基板14の縦横方向に夫々5〜20mmの間隔を置いて配設されている。隣接する発光部18間の間隔寸法が5mm未満であると、青色LED19を有した発光部18が密集した状態となる。この状態では、単位面積当たりの光束が増え過ぎて平均輝度が高くなり、不快グレアを与え易くなる。
【0072】
一方で、隣接する発光部18間の間隔寸法が20mmを超えると、単位面積あたりの光束が減ることに伴い、これを補うために青色LED19の使用個数を増やす必要がある。そのため、光源モジュール11を大きくする必要を生じて、照明装置1の大型化を招く。
【0073】
図5において、左側二列の青色LED19群は、第1の直列回路の両端Eを有している。中央二列の青色LED19群は、第2の直列回路の両端Eを有している。右側二列の青色LED19群は、第3の直列回路の両端Eを有している。
図9に示すように、モジュール基板14には、この基板14を厚み方向に貫通したスルーホール34が設けられている。上記第1乃至第3の直列回路の両端Eは、スルーホール34に一体に連続されている。
【0074】
モジュール基板14の裏面をなす裏側絶縁層32には、
図9で代表する裏面導体38が所定のパターンで設けられている。この裏面導体38に半田付けされて、非発光部品である電気部品がモジュール基板14の裏面のみに実装されている。この非発光部品である電気部品の具体例は、例えば
図6に示した電気コネクタ35、コンデンサ36、定電流素子、具体的には定電流ダイオード37等である。
【0075】
これらの電気部品は、モジュール基板14の周部で囲まれた中央の一部領域を占めてまとまって配置されている。これら電気部品が配置された領域は、既述のようにベース壁部3aにモジュール基板14が固定されることで、部品通し孔3dに対向する領域である。したがって、電気コネクタ35、コンデンサ36、定電流ダイオード37等の電気部品は、
図4で代表するように、部品通し孔3dに通されている。
【0076】
このように、部品通し孔3dに電気部品を通して光源モジュール11が装置本体2のベース壁部3aに固定されている。これにより、光源モジュール11の裏面側に実装された電気部品が妨げになることなく、光源モジュール11を装置本体2のベース壁部3aに面接触させた状態に固定できる。
【0077】
以上の構成のモジュール基板14は、その長手方向を、装置本体2の長手方向と直交する方向に一致させて、ベース壁部3aにねじ止めされている。
図3及び
図4に示すように、隣接したモジュール基板14の側縁14e(
図5および
図7参照)同士は、互いに接触されている。それにより、各モジュール基板14は、装置本体2の長手方向に隙間なく連続して配設されている。
【0078】
照明カバー27は、装置本体2にその下面開放部4を塞いで支持されている。照明カバー27は、光源モジュール11を下方から覆っている。照明カバー27は、その周部を、本体ベース3のベース下縁部3c及び端板5の端板下縁部5a上に載せて装置本体2に支持されている。この照明カバー27は、拡散度が無視できるほど小さい透明な照明カバー、拡散度が高い乳白色の照明カバー、又はこの乳白色照明カバーよりも拡散度が低い半透明の照明カバーの何れでもよく、照明装置の使用環境に応じて選択される。
【0079】
前記構成の照明装置1が点灯されると、各発光部18が有した青色LED19が一斉に青色の光を発して、照明装置1の下方空間が照明される。すなわち、青色LED19の発光層19bが発した青色光の一部が、封止部材24を透過する際に、この封止部材24に含まれている黄色の蛍光体を励起する。
【0080】
そのため、励起によって生成された黄色の光と、発光層19bが発した光の内で蛍光体を励起しなかった青色の光とが混じり合って、白色の光が作られる。そして、この白色光が発光部18から下方に出射され、更に、透光性の照明カバー27を透過して、光の利用方向である照明装置1の下方を照明する。
【0081】
この照明装置1が備えたモジュール基板14は、その下面14dに被着された白色の拡散反射層17を有する。この拡散反射層17の厚みは、前記下面14dに実装された青色LED19の厚みより薄い。そして、照明装置1の点灯中、青色LED19の発光層19bから光が全方向に放射される。
【0082】
このため、発光層19bから水平方向及び斜め上向きに出射した光によって発光部18で作られた白色光は、発光部18の周囲の拡散反射層17に照射され、この拡散反射層17で光の利用方向である下方向に拡散反射される。これにより、青色LED19とこれが埋まっている封止部材24を有した各発光部18は、点光源でかつ高輝度であるにも拘らず、発光部18の近傍の輝度が周辺に比べて著しく高くなることを抑制できる。つまり、前記拡散反射される分だけ発光部18の真下の輝度が高くなり難くなる。これとともに、各発光部18の周囲で拡散反射された光により発光部18の周囲の輝度が高くなり、その部分の輝度比が小さくなる。
【0083】
したがって、複数の点状発光部18がマトリックス状に配置された光源モジュール11の輝度むらが緩和される。それに伴い不快グレアも改善されるので、照明装置1が視認された場合の見栄えが良くなる。
【0084】
更に、本実施形態では、装置本体2の側壁部3b及び端板5が傾斜した反射面となっている。このため、これら側壁部3b及び端板5には、それに近い位置に配置されている各発光部18から側方に出射された白色光が入射されて、下方に反射される。そのため、互いに連続した側壁部3b及び端板5の内面の輝度が高くなる。この点においても、本実施形態の光学モジュール11は、輝度むらの緩和に貢献できるとともに、光の利用効率を高めることができる利点がある。
【0085】
そして、光源モジュール11での輝度むらの緩和に伴い、この照明装置1の照明カバー27が拡散性を有する場合、一個一個の発光部18が高輝度の点として照明カバー27に明確に映り込むことが抑制される。言い換えれば、各発光部18が照明カバー27を通して「つぶつぶ」状に視認され難くなる。このため、照明装置1の見栄えを良くできる。
【0086】
しかも、以上のように既述の光源モジュール11自体の構成でこの光源モジュール11が有した複数の点状発光部18を原因とする輝度むらを緩和できるので、この緩和を透光性の照明カバー27で専ら担う必要がない。このため、照明カバー27に要求される輝度むらの緩和性能を軽減できる。そのため、輝度むらを問題とする使用環境で用いられる照明装置1においても、拡散度が低い照明カバー27を使用することが可能となる。それに伴い、照明カバー27での光量の損失が軽減されて、照明カバー27による照明装置1の効率の低下を軽減できる。
【0087】
ちなみに、前記一実施形態の照明装置1の光源モジュール11の大きさは、
図5において縦寸法200mm、横寸法100mmである。光源モジュール11は、一列あたり16個の発光部18を6列備えている。この構成の光源モジュール11は、800lmの光束を発光できる性能を有している。そして、照明装置1の面状光源部は、前記光源モジュール11を8個連続して並べて形成されている。そのため、この照明装置1全体のランプ光束は、(800×8)lm、つまり6400lmである。
【0088】
前記構成の面状光源部に対して半透明の照明カバー27を組み合わせた構成の照明装置1では、その器具光束(照明装置1の光束)が、測定の結果、6100lmであった。つまり、この照明装置1(照明装置1の効率)は95%であった。又、同じ面状光源部に対して乳白色の照明カバー27を組み合わせた構成の照明装置1では、その器具光束(照明装置1の光束)が、測定の結果、6750lmであった。つまり、この照明装置1(照明装置1の効率)は90%であった。
【0089】
これに対して、従来技術で説明した構成の照明装置で、半透明の照明カバー27を組み合わせた構成での器具効率は90%、乳白色の照明カバー27を組み合わせた構成の照明装置1での器具効率は85%である。つまり、本実施形態の照明装置1は器具効率が5%改善されていることが確かめられた。このことにより、本実施形態と従来技術の照明装置での輝度むらの緩和度を同じとした条件では、本実施形態の照明装置1が備える照明カバー27の拡散度を低くできる。
【0090】
そして、以上のように光源モジュール11が有した複数の点状発光部18を原因とする輝度むらを光源モジュール11の構成で緩和できる。このため、拡散性の照明カバー27を備えた照明装置1においては、面状光源部にその下方から対向して配設された照明カバー27を、光源部により近付けて配設可能である。これにより、照明装置1を薄型にできる。なお、こうした薄型化を図らないで、面状光源部から照明カバー27を大きく離して配設する場合には、複数の発光部18の照明カバー27への映り込みが更にぼかされる。このため、照明カバー27での輝度むらによる「つぶつぶ」感をより緩和できる。
【0091】
次に、上記構成による角度色差の低減作用について説明する。比較のため、
図12は、青色LED19の高さが拡散反射層17の厚さよりも小さい光源モジュールを示す。
図12に示すように、青色LED19は、拡散反射層17の下方に突出していない。このような構成では、角度色差が生じてしまう。
【0092】
図12中の実線の矢印は、青色LED19から放射された青色光、すなわち蛍光体を励起せずに封止部材24を抜ける光を示す。一方で、
図12中の破線の矢印は、黄色光、すなわち封止部材24の蛍光体で反射された光を示す。前述したように、この青色光と黄色光が混じり合うことで白色光が作られている。
【0093】
ここで先に「出射角度」について説明する。出射角度とは、鉛直下方を基準(0°)とし、この基準に対して光が出射される方向がなす角度をいう。つまり水平方向は、出射角度90°になる。
【0094】
図12中に示すように、青色光は、青色LED19を起点に放射状に放射される。そして、例えば真下(出射角度0°)や斜め下方に向けて放射された青色光は、そのまま外部に向かう。一方で、例えば水平方向(出射角度90°)付近に放射された青色光は、拡散反射層17の側面による反射、光吸収の影響を受け、外部に放射されない。つまり、水平方向付近の領域A2には、青色光は放射されない。
【0095】
一方で、黄色光は、封止部材24の蛍光体の粒子で反射して放射された光である。そのため、黄色光は、青色LED19の高さに関係なく、封止部材24の略全体から封止部材24の全方位に放射される。つまり、黄色光は、真下や斜め下方と同様に、水平方向付近にも放射される。
【0096】
そのため
図12に示すように、発光部18の真下や斜め下方の領域A1では、青色光と黄色光の両方が存在することになり、この両者が混ざり合って白色光が出射される。一方で、発光部18の水平方向付近の領域A2では、黄色光のみが存在するため、黄色光がそのまま出射されることになる。なお
図12中のラインSは、青色LED19の発光層19bと孔17aの下端とを結ぶ線である。
【0097】
このため、
図12の構成では、出射角度0°付近と、水平方向(出射角度90°)付近では、出射される光の色が異なり、色差が生じる。このような角度色差があると、例えば照明カバー27を取り付けた場合、照明カバー27に例えば白と黄色の色ムラが現れる。また、照明カバー27を取り付けない場合であっても、角度色差があると、位置が異なる2つの照明器具(例えば利用者の直上にある照明器具と、斜め上方にある照明器具と)で照明の色が違って見えてしまう。
【0098】
一方で、本実施形態の構成では、
図11に示すように、青色LED19の高さが拡散反射層17の厚さよりも大きく、青色LED19が拡散反射層17よりも下方に突出している。
【0099】
この構成では、青色LED19から水平方向(出射角度90°)付近に放射された青色光は、拡散反射層17の側面による反射、光吸収の影響を受けることが少なく、外部に放射される。そのため、水平方向付近にも、青色光が存在する。
【0100】
これにより、発光部18の真下や斜め下方の領域と同様に、発光部18の水平方向付近の領域にも、青色光と黄色光の両方が存在し、この両者が混じり合って白色光が出射される。つまり、出射角度によらず発光部18の略全方位に白色光が出射される。このため出射角度0°付近と、水平方向(出射角度90°)付近で色差が生じにくく、角度色差の発生が抑制されている。
【0101】
このような構成では、照明カバー27に例えば白と黄色の色ムラが生じにくい。また、照明カバー27を取り付けない場合であれば、位置が異なる2つの照明器具で照明の色が違って見えてしまうことが抑制される。
【0102】
又、前記構成の各発光部18が有する封止部材24は、拡散反射層17の孔17aで堰き止められている。封止部材24は、ポッティングにより設置されている。つまり、製造においてポッティングされた未硬化の封止部材24を、拡散反射層17の孔17aでそれ以上広がることを堰き止めた状態で硬化させることができる。すなわち、各封止部材24が拡散反射層17の表面に沿って広がらないようにできる。このため、封止部材24が形崩れし難い。
【0103】
特に、拡散反射層17に低い「濡れ性」が与えられている場合には、孔17a及びその周囲での濡れ性により、未硬化の封止部材24と拡散反射層17との親和性が低下していることから、未硬化の封止部材24が拡散反射層17の表面に沿って広がり難い。そのため、より確実に形崩れを防止して封止部材24を硬化させることができる利点がある。
【0104】
なお、拡散反射層17に低い「濡れ性」を与えるには、拡散反射層17を形成する材料中に低濡れ性付与材、例えばフッ素系材料、より具体的には例えば四弗化エチレン樹脂粉末を混入すればよい。或いは、拡散反射層17の表面に、グリース状のフッ素系材料を塗布し、若しくはフッ素系材料を噴霧して被着させることでも「低い濡れ性」を与えることができる。
【0105】
こうした拡散反射層17に低い「濡れ性」を与えない場合での光源モジュール11の製造上の歩留まりは90%である。これに対して、グリース状フッ素系材料を拡散反射層17の表面に塗布した場合の光源モジュール11の製造上の歩留まりは95%、フッ素系材料を拡散反射層17の表面に噴霧して被着した場合の光源モジュール11の製造上の歩留まりは94%と、いずれも歩留まりを向上できることが確かめられた。
【0106】
以上のように各発光部18の封止部材24が同一形状に作られ易いので、各発光部18において蛍光体を励起する条件(例えば蛍光体を含んだ封止部材24の厚み等)がばらつき難い。したがって、各発光部18で白色光が作られる条件が略同じとなり、各発光部18相互の関係での色むらを生じ難い。こうした色むらの緩和は、照明装置1の見栄えを一層良くする。
【0107】
更に、孔17aが円形であるので、ポッティングにより設置された封止部材24は、半球状の形状を呈して硬化されている。このため、個々の発光部18において、その青色LED19の発光層19bからこれを埋めている封止部材24の各部の表面までの光路の長さ、つまり、個々の発光部18の各部での光路長に差を生じ難い。その結果、一個の発光部18内での色むらも生じ難い。したがって、こうした発光部18毎に色むらの緩和に伴い、照明装置1の見栄えをより一層良くすることができる。
【0108】
又、前記構成の照明装置1は、蛍光体に黄色蛍光体を用いている。このため、この蛍光体及びこれが混ぜられた透光性の封止部材24を有してなる各発光部18は黄色い。しかし、各発光部18は、マトリックス状に点在してモジュール基板14全体にわたり分散して配設されている。そのため、モジュール基板14全体が黄色を呈することがない。このため、透光性の照明カバー27を通してモジュール基板14が視認された場合に、消灯状態等において照明装置1が黄色味を強く帯びて視認されることがない。その結果、照明装置1の商品性を向上できる利点がある。
【0109】
さらに、黄色蛍光体が混ぜられた透光性の封止部材24で光源モジュール11の下面全体を覆う構成では、蛍光体の使用量及び封止部材24の使用量が共に多くなる。これらの材料はコスト的に廉価ではない。そのため、照明装置1のコストが高くなる。しかし、本実施形態の構成では、既述のように各発光部18はマトリックス状に点在してモジュール基板14全体にわたり分散して配設されている。このため、蛍光体の使用量及び封止部材24の使用量が大幅に減少され、コストを低減できる。
【0110】
光源モジュール11の角度色差は、封止部材24の形状からも影響を受ける。本実施形態の構成では、封止部材24が、例えば直径と高さの比が2.0〜7.8:1の略球面状に形成されている。このような構成によれば、光源モジュール11の角度色差をさらに低減することができる。この内容について、
図14乃至
図16を参照して詳しく説明する。なお、相関色温度差が小さいことは、角度色差が小さいことを意味する。
【0111】
図16は、径/高さの比率が異なるいくつかの場合の、出射角度と相関色温度との関係を示す。なお、本明細書でいう「径」とは、封止部材24の直径のことである。すなわち、径/高さの比率が2.0である場合、封止部材24は半球状をしている。そして、径/高さの比率が大きくなるに従い、封止部材24はより扁平状になる。「出射角度」は、前述したように、鉛直下方を基準(0°)とし、この基準に対して光が出射される方向がなす角度である。
【0112】
図14は、径/高さの比と、相関色温度差との関係を示す。「相関色温度差」とは、出射角度が0°から所定角度(例えば75°)までにおける相関色温度の最大値と最小値との差のことである。例えば
図14中におけるA点は、径/高さの比が約2.08のときに相関色温度差が約1000Kであることを示す。これは
図16中において、径/高さの比が2.08のグラフ線において最大値と最小値との差dが約1000Kであることから求められている。
【0113】
なお、利用者に届く光の大部分が出射角度75°以下で出射される光であるので、出射角度が0°〜75°の範囲の相関色温度差が重要になる。ここで、相関色温度差が1000Kを超えると、色むらが比較的目立ち始める。すなわち、利用者が違和感ない相関色温度差の最大許容値は、1000Kであるといえる。
【0114】
図14に示すように、封止部材24の直径と高さの比が2.0〜7.8:1となる範囲では、相関色温度差が1000K以下に収まる。この範囲であれば、利用者は角度色差が気になりにくい。
【0115】
ここで、各照射角度における相関色温度は、青色LED19から封止部材24の表面までの光路の長さ、つまり、個々の発光部18の各部での光路長によるものと一般的に考えられている。その場合、封止部材24が半球状(すなわち直径/高さが2.0)のときに、各部での光路長が等しくなるため、最も角度色差が少なくなるはずである。
【0116】
それにも関わらず、上記分析結果は、封止部材24が扁平状のときに角度色差が最も少なくなることを示している。例えば封止部材24の直径と高さの比が4.4〜6.2:1となる範囲では、相関色温度差が600Kを下回るので、より角度色差を小さくすることができる。
【0117】
なお、
図14乃至
図16の分析の実験条件は、蛍光体重量密度10%、相関色温度5000Kである。なお、相関色温度を一定に設定する場合において、異なる蛍光体密度を採用する場合、封止部材24の形状を相似的に大小変化させることになる。そのため、蛍光体重量密度が異なっても、角度色差に関しては上記実験条件と同じ傾向が得られる。また、白色といわれる色温度の全て(例えば4000〜6000K)で上記実験条件と同じ傾向が得られることが本発明者らにより確認されている。すなわち封止部材24の直径と高さの比を2.0〜7.8:1の範囲にすることで角度色差の低減を図ることができるのは、上記実験条件に限定されるものではない。
【0118】
なお
図15は、径/高さの比と、発光効率との関係を示す。
図15に示すように、径/高さの比を大きく変化させても、発光効率はほとんど変わらない。すなわち、相関色温度差をより小さくするために、封止部材24の形状を変更しても、発光モジュール11の発光効率はほとんど低下しない。
【0119】
なお、発光効率を考慮すると、封止部材24の直径と高さの比が2.0〜5.2:1となる範囲が、わずかであるが発光効率も高く維持されるので好ましいともいえる。またロバスト性を考慮すると、封止部材24の直径と高さの比が5.2〜7.8:1となる範囲が好ましい。例えば直径4mm、高さ0.675mmの場合、径/高さの比は5.93である。この場合において、径および高さがそれぞれ±0.1mmの範囲で変化しても、比率のばらつきは5.29〜6.78であり、変動が小さく抑えられる。
【0120】
なお表1は、封止部材の形状と、発光効率との関係を示す。表1中において「SMD」は、カップ状の凹部に蛍光体を含んだ封止部材を流し込んだ場合を示す。「ベタ塗り」は、蛍光体を含んだ封止部材で光源モジュール11の下面全体を平面状に覆った場合である。「ドーム」は、本実施形態のように、蛍光体を含んだ封止部材を略球面状に形成した場合である。
【0122】
なお、本実施形態の構成において、ベース壁部3aを含んだ装置本体2は、光源モジュール11から伝導される熱を放出するために、金属製であることが好ましい。装置本体2の下面開放部4は、開放されたままであってもよく、装置本体2に支持される透光性の照明カバー27で塞がれていてもよい。後者の場合、照明カバー27は透明材料で作られていても、或いは、光源モジュール11から発した光を拡散し発光部が目立ち難くする拡散性の材料で作られていてもよい。
【0123】
本実施形態の構成では、複数の半導体発光素子(例えば青色LED19)とこれら素子以外の発光しない電気部品(例えば電気コネクタ35、コンデンサ36、定電流ダイオード37)とは、モジュール基板14の同じ面に配置されていない。上記電気部品は、モジュール基板14の表側の面に配置された各青色LED19の配置領域に重なるような位置関係でモジュール基板14の裏側の面に配置されている。そのため、各青色LED19と上記電気部品とをモジュール基板14の同一面に配置する場合に比較して、モジュール基板14の大きさを小さくできる。したがって、照明装置1の小型化を図る場合に有利である。
【0124】
更にこの構成では、モジュール基板14の表側の面に対する複数の青色LED19の配置が、モジュール基板14の裏側の面に対する電気部品、つまり、電気コネクタ35、コンデンサ36、定電流ダイオード37の配置の影響を受けることがない。すなわち、上記電気部品の配置の影響を受けることなく、モジュール基板14の略全域に点在して各青色LED19を配設できる。このため、上記電気部品の配置を原因として暗くなるところを生じないようになる。その結果、均一な明るさで光源モジュール11を面状に発光させることができる。
【0125】
更に、上記構成では、光源モジュール11を支持する装置本体2のベース壁部3aの部品通し孔3dに上記電気部品が通されて光源モジュール11が装置本体2に固定されている。このため、光源モジュール11の裏面側に実装された電気部品が妨げになることがなく、モジュール基板11の裏側の面をベース壁部3aに密接させることができる。
【0126】
照明装置1の点灯中、各青色LED19は発熱する。この熱の大部分は、素子実装部15aに伝わってこの素子実装部15aの面積に対応して拡散される。そしてこの熱は、素子実装部15aから表側絶縁層31を通って熱拡散層33に伝わり、熱拡散層33によりモジュール基板14の全域にわたり拡散される。そしてこの熱は、裏側絶縁層32を通ってこの裏側絶縁層32に面接触されているベース壁部3aに伝わり、装置本体2の各部から外部に放出される。この場合、既述のように光源モジュール11の裏面側の電気部品が妨げになることがなく、モジュール基板14の裏側の面が受熱面であるベース壁部3aの下面に密接されているので、この面接触によりモジュール基板14から装置本体2への良好な放熱性能を確保できる。
【0127】
このように各青色LED19の熱を、熱拡散層33を有したモジュール基板14を経由して金属製の装置本体2に効率よく放出できるので、各青色LED19の温度過昇が抑制され、各青色LED19での発光効率の低下及び発光色の変化を抑制できる。
【0128】
更に、上記構成では、モジュール基板11が、青色LED19が実装された表側絶縁層31と、上記電気部品が実装された裏側絶縁層32と、モジュール基板14の略全域にわたる大きさでかつ両絶縁層31,32の間に設けられた熱拡散層33とを有している。
【0129】
この構成で、表側絶縁層31と裏側絶縁層32には、ガラスエポキシ樹脂等の樹脂基板、紙フェノール材やガラスコンポジット等の非金属製基板、又はセラミックスのような無機材料製の基板等を用いることが可能である。これとともに、この発明で、熱拡散層33は、金属層で形成でき、例えば銅箔等で好適に形成できる。
【0130】
受熱面としてのベース壁部3aが上記電気部品を逃がすための部品通し孔3dを有した構成では、モジュール基板14の部品通し孔3dに対向する領域の放熱性能は、他より劣る。しかし、上記構成ではモジュール基板14がその略全域にわたる大きさの熱拡散層33を有している。このため、部品通し孔3dに対向する領域に実装された半導体発光素子(例えば青色LED19)からモジュール基板14に放出された熱を、熱拡散層33によりモジュール基板14全体に拡散させ、ベース壁部3aに伝導させて外部に放出できる。こうした放熱によって、各半導体発光素子の温度差が抑制されるので、半導体発光素子毎の発光色のばらつきを原因とする光源モジュール11の色むらを抑制できる。