【実施例】
【0021】
本実施例のキャップ付き容器は、染毛剤(1液と2液)を容器内に収納してキャップを装着してから、容器の胴部を手で持って30回以上シェイクする(上下に連続的に強く振る)ことで、染毛剤の1液と2液を充分に混合させ且つ空気も混合させて泡立てた後、キャップを取り外して染毛剤を手で取り出すような容器であって、キャップ付き容器を構成する容器本体とキャップは、何れも、高密度ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエステル樹脂等の適宜の熱可塑性樹脂から形成されている。
【0022】
図1に示すように、本実施例のキャップ付き容器1は、容器本体2とキャップ3とからなり、容器本体2は、底部21と胴部22と口部23とが一体的に形成されたもので、胴部22は、開口部を大きくして内容物を取り出し易くし、且つ、手が小さくても握り易くするために、開口部側から底部側に向かって径が小さくなるテーパー壁面に形成されている。また、口部23は、上端の開口部から下方に10〜20mmの長さ(高さ)で延びる円筒状で、且つ、胴部22の上端の外径と略同じような外径の円筒状に形成されている。即ち、泡立てられた染毛剤を手で取り出すことを考慮して、口部23は、具体的には、外径が60mm以上(60〜130mm、好ましくは80〜110mmの範囲内)となるように形成されている
。
【0023】
容器本体2とキャップ3は、何れも、使用する樹脂材料を削減するために薄肉化されており、具体的には、使用する樹脂の材質によっても若干相違するが、ネジ部や係止部のような突出部分を除いて全体的に肉厚が1mm以下(容器の堅牢性をも考慮して、好ましくは、0.7〜1mmの範囲内)となるように薄肉化されていて、それにより、容器本体2の胴部22は、消費者が容器をシェイクするために手で握ったときにフィットするような可撓性を有している。
【0024】
そのような広口で薄肉化された容器本体の口部23の外周面には、容器本体2側のネジ部である雄ネジ部24が形成され、その下方に、容器本体2側の係止部である凸条部25が形成されている。また、本実施例では、容器本体2にキャップ3を装着した際に、キャップ3のスカート部33の下端を支えるために、口部23の下端に、口部23の外周面から外方に突出した厚肉部分となる環状の鍔部26が形成されている。
【0025】
容器本体2の口部23の外周面に形成される雄ネジ部24は、複数条(本実施例では8条)のネジ山からなるものであり、雄ネジ部24よりも下方に、係合のための係止部として、円周方向で間隔を置いて複数個(本実施例では8個)の凸条部25が形成されている。これに対して、キャップ3のスカート部33の内周面には、図示していないが、容器本体2の口部23の雄ネジ24と螺合するための複数条(本実施例では4条)のネジ山からなる雌ネジ部が形成されており、雌ネジよりも下方に、容器本体2の口部23の凸条部25を係合するための係止部として、本実施例では、円周方向に連続して延びる凹溝部(
図2に示す「凹溝部35」)が形成されている。
【0026】
キャップ3は、ドーム部31と環状外周部32からなる頂部の外縁(環状外周部32の外縁)から下方に延びるように円筒状のスカート部33が一体的に形成されたもので、図示していないが、キャップ3の頂部(ドーム部31と環状外周部32)の内面側には、ドーム部31の下端と環状外周部32の内端の連結部から下方に垂下するように、円筒状のインナープラグ部が一体的に形成されていて、スカート部33の内側に間隔をおいて同心的に配置されたインナープラグ部の外周面は、容器本体2にキャップ3が装着された状態(両者の螺合が完了した状態)で、容器本体2の口部23の内周面と密接するようになっている。
【0027】
ところで、上記のような容器本体2とキャップ3とからなる本実施例のキャップ付き容器1において、容器本体2の口部23に形成された複数条のネジ山からなる雄ネジ部24では、
図2に示すように、複数条のネジ山のうちで隣り合うネジ山24(a)、(b)、(c)同士が、一つのネジ山24(b)の長手方向で見て左端部側(上下方向で見て下端部側)と、左隣りのネジ山24(a)の長手方向で見て右端部側(上下方向で見て上端部側)とが、上下方向で二重に重なり、また、一つのネジ山24(b)の長手方向で見て右端部側(上下方向で見て上端部側)と、右隣りのネジ山24(c)の長手方向で見て左端部側(上下方向で見て下端部側)とが、上下方向で二重に重なるというように、複数条のネジ山のうちで隣り合うネジ山の端部側同士が上下方向で二重に重なるようになっている。
【0028】
そして、容器本体2とキャップ3のネジ部同士の螺合(本実施例では、雌ネジ部の4条のネジ山が、雄ネジ部の8条のネジ山のうちで一つおきの4条と螺合)が完了した状態では、キャップの雌ネジ部34のネジ山の一部分(長手方向で見て右端部側、上下方向で見て上端部側)は、容器本体の雄ネジ部24の二重に重なるネジ山24(b)、(c)の間に挟持されており、また、容器本体2の係止部である凸条部25は、キャップ3の係止部である凹溝部35に係合(嵌入)された状態で、雄ネジ部24のネジ山24(a)、(b)、(c)同士が二重に重なる部分とは更に上下方向で重なるように近接している(具体的には、ネジ山が二重に重なる部分から下方に2〜10mm離れている)。
【0029】
なお、隣り合うネジ山の端部側同士が重なる部分の一つの長さについては、短すぎると補強効果や弛み止め効果が不充分となり、一方、長すぎるとキャップ着脱時の抵抗力(雄ネジ部の重なったネジ山の間を通る雌ネジの摩擦抵抗)が大きくなることから、雄ネジ部24の一本のネジ山の長さに対して1/25〜1/3の範囲とするのが好ましい。また、複数個の凸条部25の一個の長さについては、凹溝部35に係合(嵌入)された状態での係合力の強さという点から、2mm以上の長さにすることが必要であり、一方、成形(例えば、射出成形や圧縮成形)後の型抜き性という点から、16mm以下の長さにすることが必要であるが、凹溝部35との係合(嵌入)のし易さを考慮すると、4〜10mmの範囲とするのが好ましい。
【0030】
上記のような本実施例のキャップ付き容器1によれば、容器本体2の円筒状の口部23が、肉厚が1mm以下の薄肉(好ましくは0.7mm〜1.0mmの範囲内)で、外径が60mm以上の広口(60〜130mm、好ましくは80〜110mmの範囲内)に形成されていても、容器本体2の口部23では、雄ネジ部24のネジ山が二重に重なる部分で剛性が高くなり、また、係止部として形成された凸条部25の部分で剛性が高くなって、しかも、それらの部分は互いに上下方向で重なるように近接していることから、互いに補強し合うことで当該部分が一層強化された状態となっている。
【0031】
また、容器本体2にキャップ3が装着された状態(ネジ部同士の螺合が完了して係止部同士が係合された状態)で、キャップ3の雌ネジ部34のネジ山の一部分(長手方向一端側)が容器本体2の雄ネジ部24の二重に重なるネジ山の間に挟持されていることから、雄ネジ部24と雌ネジ部34による螺合が弛み難くなっていると共に、雄ネジ部24のネジ山同士が二重に重なる部分に対して更に雌ネジ部34のネジ山が重なることで、当該部分の剛性が更に強化されたものとなっている。
【0032】
その結果、容器本体2にキャップ3が装着された状態で、仮に、消費者が容器を強く握り過ぎて容器本体2の胴部22が大きく変形したとしても、容器本体2の口部23が薄肉であるにもかかわらず、雄ネジ部24と雌ネジ部34とによる螺合部分や、凸条部25と凹溝部35とによる係合部分は、それぞれ剛性が充分に強化されていることで、それらの部分が胴部の変形による影響で内方に変形するようなことはなく、また、雄ネジ部24と雌ネジ部34とによる螺合が弛み難いことから、容器本体2の口部23とキャップ3との係合が外れて螺合が弛むことで容器の中身が飛び出すようなことはない。
【0033】
なお、本実施例では、容器本体2の口部23の下端に、キャップ3のスカート部33の下端を受けるための鍔部26が、口部23の外周面から外方に突出する環状の厚肉部分として形成されていることから、それにより容器本体2の口部23は一層強化されて、胴部の変形の影響を一層受け難いものとなっている。
【0034】
以上、本発明のキャップ付き容器の一実施例について説明したが、本発明は、上記のような実施例にのみ限定されるものではなく、例えば、容器本体側とキャップ側の各ネジ部の条数(ネジ山の数)や、容器本体側の係止部として形成される凸条部の数については、実施例に具体的に示したような数に限られるものではなく、また、容器本体側の係止部である凸条部に対応して形成されるキャップ側の係止部については、実施例に示したような円周方向に連続して延びる凹溝部に限らず、円周方向に延びる複数の凹溝部(環状に配置された不連続な凹溝部
)であっても良い等、適宜に設計変更可能なものであることはいうまでもない。