特許第5674067号(P5674067)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5674067電源装置、照明器具及び照明器具調光システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5674067
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】電源装置、照明器具及び照明器具調光システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20150205BHJP
   H02M 3/28 20060101ALI20150205BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20150205BHJP
【FI】
   H05B37/02 J
   H02M3/28 H
   H01L33/00 J
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-97789(P2013-97789)
(22)【出願日】2013年5月7日
(62)【分割の表示】特願2010-196338(P2010-196338)の分割
【原出願日】2008年3月24日
(65)【公開番号】特開2013-214515(P2013-214515A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2013年5月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142664
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 昌俊
(72)【発明者】
【氏名】大武 寛和
(72)【発明者】
【氏名】平松 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】西家 充彦
【審査官】 宮崎 光治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−234415(JP,A)
【文献】 特開平02−284381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B37/00−39/10
H02M3/00−3/44
H01L33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調光手段の調光信号発生部からの調光信号に応じて直流電力を出力する直流出力生成手段と、
前記調光手段からの前記調光信号の出力後に、前記調光信号に応じて前記直流出力生成手段から出力される前記直流電力を制御して前記調光信号に従った半導体発光素子の点灯制御を開始する制御手段と、
を具備し、
前記調光手段および電源装置への電源投入が行われると、前記調光手段から前記電源装置に対して前記調光信号が出力される前に、前記電源装置が駆動を開始して前記半導体発光素子に点灯できない程度の出力を供給するとともに、前記電源装置の前記制御手段は、少なくとも電源投入直後から前記電源装置に対して前記調光手段から前記調光信号が出力されるまでの間は前記半導体発光素子が消灯するように前記直流出力生成手段を制御するとともに、前記調光手段からの前記調光信号の出力後に前記半導体発光素子が消灯した状態から前記調光信号に応じた点灯状態に移行することを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記電源装置の前記制御手段は、前記調光手段からの前記調光信号の出力後に前記半導体発光素子が灯した状態から前記調光信号に応じた点灯状態にフェードインすることにより移行することを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電源装置と、
前記直流出力生成手段から出力された前記直流電力が供給されて発光される半導体発光素子と、
を具備する照明器具。
【請求項4】
調光操作部と、調光操作部の操作により調光信号を発生する調光信号発生部とを有する調光手段と、
請求項3に記載の照明器具と、
を具備する照明器具調光システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば発光ダイオードなどの半導体発光素子の駆動に最適な電源装置及び照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、発光ダイオードなどの半導体発光素子の電源として、スイッチング手段を用いた直流の電源装置が多く用いられている。
【0003】
ところで、この種の電源装置は、店舗などの照明用として光源の光量を任意に調整可能にした調光機能を有する照明器具に用いられることがある。このような照明器具は、一般的に調光方式として4線式調光方式が用いられている。これは店舗などでは照明器具の使用個数が多いためで、位相制御による調光方式のような入力電流の高調波の問題がないことと、多数の器具を一斉に操作するのに向いているからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
4線式調光方式のものは、壁面に配置される所謂壁スイッチに調光操作部が一体に設けられるものが一般的であり、調光操作部の機械スイッチに負荷への送り端子を介して調光信号発生部が接続され、この調光信号発生部から調光信号が出力され、この信号が各照明器具に送られるようになっている。この場合、調光操作部の機械スイッチは、ユーザがオンを操作することで、照明器具の電源をオンにし、同時に調光信号発生部の電源もオンにする。
【0005】
ところが、機械スイッチのオン操作により照明器具の電源オン(電源投入)と調光信号発生部の電源オン(電源投入)が同時に行われ調光信号が直ちに出力されるのであれば問題ないが、調光信号が出力される前に照明器具が点灯されることがあると、調光信号により所望する光量に制御される前に調光信号が入力されない状態で照明器具が点灯される期間が生じる。このことは、一般に照明器具は、調光信号が入力されない場合は、全光状態で点灯するような設定になっているので、一瞬だけ全光状態で点灯し、その後に調光状態に移行するようになる
【0006】
このようなことは、これまでの放電灯の点灯回路では、電源投入直後に事前予熱の状態があり、多少の時間であれば回路が意図的にランプを点灯しないように設定されているため、あまり問題とならないが、最近の光源として発光ダイオードを用いた照明器具では、調光信号の遅れが原因で起動直後に一瞬だけ全光状態になる現象が起こり易く、照明器具として点灯移行が不自然になり、商品性を著しく損ねるという問題を生じる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、半導体発光素子に安定した点灯状態を得られる電源装置、照明器具及び照明器具調光システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の電源装置は、調光手段の調光信号発生部からの調光信号に応じて直流電力を出力する直流出力生成手段と、前記調光手段からの前記調光信号の出力後に、前記調光信号に応じて前記直流出力生成手段から出力される前記直流電力を制御して前記調光信号に従った半導体発光素子の点灯制御を開始する制御手段と、を具備し、前記調光手段および電源装置への電源投入が行われると、前記調光手段から前記電源装置に対して前記調光信号が出力される前に、前記電源装置が駆動を開始して前記半導体発光素子に点灯できない程度の出力を供給するとともに、前記電源装置の前記制御手段は、少なくとも電源投入直後から前記電源装置に対して前記調光手段から前記調光信号が出力されるまでの間は前記半導体発光素子が灯するように前記直流出力生成手段を制御するとともに、前記調光手段からの前記調光信号の出力後に前記半導体発光素子が灯した状態から前記調光信号に応じた点灯状態に行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電源投入直後から調光信号の出力遅れが原因で起動直後に一瞬だけ全光状態になるような現象を回避できる電源装置、照明器具及び照明器具調光システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施の形態にかかる電源装置が適用される照明器具を示す斜視図。
図2】第1の実施の形態にかかる電源装置が適用される照明器具の断面図。
図3】第1の実施の形態にかかる電源装置の概略構成を示す図。
図4】第1の実施の形態にかかる電源装置の動作を説明するための図。
図5】本発明の第2の実施の形態にかかる電源装置の要部のみを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に従い説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)まず、本発明の電源装置が適用される照明器具について簡単に説明する。図1及び図2において、1は器具本体で、この器具本体1は、アルミニウムのダイカスト製のもので、両端を開口した円筒状をしている。この器具本体1は、内部を仕切り部材1a、1bにより上下方向に3分割され、下方開口と仕切り部材1aの間の空間は、光源部2に形成されている。この光源部2には、半導体発光素子としての複数のLED2aと反射体2bが設けられている。複数のLED2aは、仕切り部材1a下面に設けられた円盤状の配線基板2cの円周方向に沿って等間隔に配置され実装されている。
【0013】
器具本体1の仕切り部材1aと1bの間の空間は電源室3に形成されている。この電源室3は、仕切り部材1a上部に配線基板3aが配置されている。この配線基板3aには、前記複数のLED2aを駆動するための本発明の電源装置を構成する各電子部品が設けられている。この直流電源装置と複数のLED2aは、リード線4により接続されている。
【0014】
器具本体1の仕切り板1bと上方開口の間の空間は、電源端子室5に形成されている。この電源端子室5は、仕切り板1bに電源端子台6が設けられている。この電源端子台6は、電源室3の電源装置に商用電源の交流電力を供給するための端子台で、電絶縁性の合成樹脂で構成されたボックス6aの両面に電源ケーブル用端子部となる差込口6b、送りケーブル用端子部となる差込口6c及び電源線及び送り線を切り離すリリースボタン6dなどを有している。
図3は、このように構成された照明器具の電源室3に組み込まれる本発明の電源装置の概略構成を示している。
【0015】
図3において、11は交流電源で、この交流電源11は、不図示の商用電源からなっている。この交流電源11には、コンデンサ12、インダクタ13を有するフィルタ回路14を介して全波整流回路15の入力端子が接続されている。全波整流回路15は、交流電源11からの交流電力を全波整流した出力を発生する。
【0016】
全波整流回路15の正負極の出力端子間には、リップル電流平滑用コンデンサ16が接続されている。また、このリップル電流平滑用コンデンサ16の両端には、フライバックトランスであるスイッチングトランス17の一次巻線17aとスイッチング手段としてのスイッチングトランジスタ18の直列回路が接続されている。スイッチングトランス17は、一次巻線17aと磁気的結合された二次巻線17b及び三次巻線17cを有している。
【0017】
スイッチングトランス17の一次巻線17a両端には、コンデンサ19と抵抗20の並列回路と図示極性のダイオード21の直並列回路からなるスナバ回路22が接続されている。このスナバ回路22は、スイッチングトランス17の一次巻線17aに発生するフライバック電圧をコンデンサ19による充電と抵抗20の放電により吸収し、スイッチングトランス17のリーケージインダクタンスにより発生するリンギング電圧をコンデンサ19により吸収する。
【0018】
スイッチングトランス17の二次巻線17bには、整流平滑手段として図示極性のダイオード23と平滑コンデンサ24からなる整流平滑回路25が接続されている。この整流平滑回路25は、スイッチングトランジスタ18、スイッチングトランス17とともに直流出力生成手段を構成し、スイッチングトランス17の二次巻線17bより発生する交流出力をダイオード23で整流し、この整流出力を平滑コンデンサ24により平滑して直流出力として発生する。
【0019】
整流平滑回路25の平滑コンデンサ24両端には、負荷として、半導体発光素子である複数個(図示例では4個)直列に接続された発光ダイオード26〜29(図2で述べたLED2aに相当する。)が接続されている。
【0020】
スイッチングトランス17の三次巻線17cには、ダイオード30とコンデンサ31の直列回路が接続されている。ダイオード30は、三次巻線17cより発生する交流出力を整流し、コンデンサ31は、ダイオード30の整流出力を平滑して直流出力として発生する。
【0021】
コンデンサ31には、抵抗32とフォトカプラ33のフォトトランジスタ332の直列回路が接続されている。フォトカプラ33は、発光ダイオード331とフォトトランジスタ332を同一パッケージに収容したもので、発光ダイオード331より発生する光をフォトトランジスタ332で受光し出力を発生する。この場合、発光ダイオード331は、調光操作部34に設けられている。調光操作部34は、不図示の調光信号発生部からの調光信号を整流回路35を介して発光ダイオード331より光信号として出力する。この場合の調光信号は、パルス状信号のデューティ比を変えることで異なる調光深度を得られるようにしている。
【0022】
コンデンサ31には、コンデンサ36と抵抗37の直列回路が接続されている。このコンデンサ36と抵抗37の直列回路は、微分回路を構成するもので、コンデンサ31の出力により所定時間Tだけコンデンサ36と抵抗37の接続点に出力を発生する。この場合の所定時間Tは、電源オン時に調光信号が出力されるまでの最大遅れ時間TDより長く設定される。抵抗37には、図示極性のダイオード38が接続されている。このダイオード38は、コンデンサ36の充電電荷を放電するためのものである。
【0023】
コンデンサ36と抵抗37の接続点には、スイッチング素子としてトランジスタ39のベースが接続されている。このトランジスタ39は、エミッタが接地され、コレクタをオペアンプ40の正極側入力端子に接続されており、コンデンサ36と抵抗37の接続点に発生する出力により所定時間Tだけオン動作される。
【0024】
抵抗32とフォトトランジスタ332の接続点aは、抵抗41とコンデンサ42の直列回路を介して接地されている。そして、これら抵抗41とコンデンサ42の接続点bは、オペアンプ40の正極側入力端子に接続されている。この場合、抵抗32とフォトトランジスタ332の接続点aには、発光ダイオード331より出力されフォトトランジスタ332により受光される図4(b)に示す調光信号(V
DIM)が出力され、抵抗41とコンデンサ42の接続点bには、調光信号(V DIM)をコンデンサ42で平滑した図4(c)に示す調光出力(Vdet)が出力される。
【0025】
オペアンプ40は、負極側入力端子を出力端子に接続され、この出力端子が図示極性のダイオード43を介して制御回路44に接続されている。また、制御回路44には、図示極性のダイオード45を介して基準信号Vrefが接続されている。この場合、ダイオード43、45は、アンド回路を構成し、これらの接続点cには、図4(e)に示すようにオペアンプ40及び基準信号Vrefのうち大きい方の信号を制御信号Vcontとして制御回路44に出力する。
【0026】
制御回路44は、制御信号Vcontに応じた動作によりスイッチングトランジスタ18をオンオフさせてスイッチングトランス17をスイッチング駆動し発光ダイオード26〜29に供給される出力を制御する。
次に、このように構成した照明器具調光システムの作用を説明する。
【0027】
この場合、調光操作部34は、調光信号発生部より所定の調光深度の調光信号を出力可能な状態にあり、また、基準信号Vrefは、図4(d)に示すように発光ダイオード26〜29を、例えば最小光量で点灯させるのに必要なレベルに設定されているものとする。
【0028】
この状態で、調光操作部34でスイッチ操作すると、照明器具の電源オン(電源投入)と同時に、不図示の調光信号発生部の電源もオンとなる。この場合、照明器具の電源オンにより交流電源11の交流電力が全波整流回路15に供給され、全波整流回路15の出力によりリップル電流平滑用コンデンサ16に図4(a)に示す出力が発生する。この出力は、スイッチングトランス17及びスイッチングトランジスタ18に供給される。
【0029】
また、これと同時に、図4(d)に示す基準信号Vrefが同図(e)に示す制御信号Vcontとして制御回路44に入力される。これにより、制御回路44は、駆動を開始し、制御回路44によるスイッチングトランジスタ18のオンオフによりスイッチングトランス17がスイッチング駆動され、スイッチングトランジスタ18のオンでスイッチングトランス17の一次巻線17aに電流を流してエネルギーを蓄積し、スイッチングトランジスタ18のオフで、一次巻線17aに蓄積したエネルギーを二次巻線17bを通して放出する。これにより整流平滑回路25を介して直流出力が発生し、この直流出力により発光ダイオード26〜29が点灯される。この場合、発光ダイオード26〜29は、基準信号Vrefにより最小光量で点灯される。
【0030】
一方、スイッチングトランス17の三次巻線17cに出力が発生すると、ダイオード30を介してコンデンサ31の両端に直流出力が発生する。これにより、微分回路を構成するコンデンサ36と抵抗37の接続点に所定時間Tだけ出力が発生し、この間トランジスタ39がオン動作される。
【0031】
また、上述した調光操作部34のスイッチ操作により照明器具の電源オンより遅れて調光信号発生部(不図示)より調光信号が発生すると、例えば、リップル電流平滑用コンデンサ16の図4(a)に示す出力に対し、同図4(b)に示すように遅れ時間TDの後に、調光信号(V
DIM)が抵抗32とフォトトランジスタ332の接続点aに発生すると、この調光信号(V
DIM)により抵抗41とコンデンサ42の接続点bに調光出力(Vdet)が発生しようとする。しかし、この場合、トランジスタ39が所定時間Tだけオン動作しているので、この間、調光出力(Vdet)はキャンセルされ(図4(c)参照)、オペアンプ40より調光出力が発生しない。これにより、発光ダイオード26〜29は、基準信号Vrefが与えられる制御回路44の動作により、最小光量で点灯される。
【0032】
その後、所定時間Tが経過すると、コンデンサ36と抵抗37の接続点の出力がなくなり、トランジスタ39がオフする。すると、抵抗32とフォトトランジスタ332の接続点aの調光信号(V
DIM)により抵抗41とコンデンサ42の接続点bに調光出力(Vdet)が発生し(図4(c)参照)、この出力がオペアンプ40を介して発生する。この場合、調光出力(Vdet)は、図4(d)に示す基準信号Vrefより大きいので、今度は、この調光出力(Vdet)が制御回路44に入力される。これにより、制御回路44の動作により調光出力(Vdet)に応じた光量により発光ダイオード26〜29が点灯される。
【0033】
したがって、このようにすれば、電源オン直後から所定時間Tだけ調光信号をキャンセルして発光ダイオード26〜29を所定の光量(例えば最小光量)で点灯させ、所定時間Tの経過後に調光信号のキャンセルを解除して調光信号が指示する光量で発光ダイオード26〜29を点灯させるようにした。これにより、電源オン直後から所定時間Tだけ調光信号の影響を確実に排除することができるので、調光信号の出力遅れが原因で起動直後に一瞬だけ全光状態になるような現象を回避でき、照明器具としての違和感のない点灯状態を得られ、商品性の向上を図ることができる。
【0034】
(変形例1)上述した実施の形態では、電源投入直後から所定時間Tだけ発光ダイオード26〜29を所定の光量(例えば最小光量)で点灯させ、所定時間Tの経過後に調光信号が指示する光量で発光ダイオード26〜29を点灯させるようにしたが、例えば、基準信号Vrefのレベルを更に小さくして発光ダイオード26〜29が点灯できない程度の信号レベル(制御回路44の動作のみ可能なレベル)に設定すれば、電源投入直後から所定時間T、発光ダイオード26〜29を消灯させ、所定時間Tの経過後に調光信号が指示する光量で発光ダイオード26〜29を点灯させるようにできる。
【0035】
(変形例2)また、基準信号Vrefの設定レベルを可変できるようにすれば、電源投入直後から所定時間Tで点灯される発光ダイオード26〜29の光量を任意に調整できる調光機能を持たせることができる。
【0036】
(変形例3)さらに、上述の抵抗41とコンデンサ42による時定数を大きく設定し、抵抗32とフォトトランジスタ332の接続点aの調光信号(V
DIM)により抵抗41とコンデンサ42の接続点bに出力される調光出力(Vdet)が増加していく過程で、この調光出力(Vdet)が上述した所定時間Tの経過後に発光ダイオード26〜29を点灯させるのに必要な最小レベルに達するようにすれば、その後の調光出力(Vdet)の増加にともなう制御信号Vcontにより発光ダイオード26〜29の明るさをフェードインさせるようにもできる。この場合は、調光信号をキャンセルするための回路を構成するコンデンサ36と抵抗37の直列回路とトランジスタ39を省略することができる。
(第2の実施の形態)次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
図5は、本発明の第2の実施の形態の概略構成の要部のみ示す図で、図3と同一部分には、同符号を付している。
【0037】
この場合、全波整流回路15の正極出力端子とリップル電流平滑用コンデンサ16の接続点には、コンデンサ51と抵抗52の直列回路が接続されている。このコンデンサ51と抵抗52の直列回路は、微分回路を構成するもので、リップル電流平滑用コンデンサ16の出力により所定時間だけコンデンサ51と抵抗52の接続点に出力を発生する。コンデンサ51と抵抗52の接続点には、トランジスタ53のベースが接続されている。このトランジスタ53は、エミッタが接地され、コレクタをコンデンサ36に接続されており、コンデンサ51と抵抗52の接続点に発生する出力により所定時間だけオン動作される。
【0038】
このようにすると、照明器具の電源オンにより交流電源11の交流電力が全波整流回路15に供給され、全波整流回路15の出力によりリップル電流平滑用コンデンサ16に出力が発生すると、コンデンサ51と抵抗52の接続点に所定時間だけ出力が発生し、この間トランジスタ53がオン動作される。これにより、コンデンサ36の残留電荷がダイオード38、トランジスタ53を介して図示矢印方向dに強制的に放出され、コンデンサ36と抵抗37より構成される微分回路がリセットされる。
【0039】
このようにすれば、電源オンの直後に、コンデンサ36と抵抗37より構成される微分回路を強制的にリセットするようにしたので、コンデンサ36と抵抗37の微分回路による所定時間Tを正確に設定することができ、電源投入直後から所定時間Tだけ調光信号をキャンセルするための動作を安定して得ることができる。
【0040】
なお、上述した実施の形態では、電源オンの直後に、コンデンサ36と抵抗37より構成される微分回路を強制的にリセットするようにし、このような動作は、電源オフや外部信号による消灯の際に行わせるようにしても良い。
【0041】
その他、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、実施段階では、その要旨を変更しない範囲で種々変形することが可能である。例えば、上述した実施の形態では、半導体発光素子として発光ダイオードの例を述べたが、レーザダイオードなど他の半導体発光素子を用いた場合にも適用できる。また、上述した実施の形態では、交流電源11を備えたものを述べているが、交流電源11は、装置外部に設けられるものでもよい。さらに上述した実施の形態では、アナログ回路の例を述べたが、マイコンやデジタル処理を用いた制御方式を採用することもできる。
【0042】
さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示されている複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出できる。例えば、実施の形態に示されている全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題を解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出できる。
【符号の説明】
【0043】
1…器具本体、2…光源部、2a…LED、3…電源室、5…電源端子室、11…交流電源、15…全波整流回路、16…リップル電流平滑用コンデンサ、17…スイッチングトランス、18…スイッチングトランジスタ、22…スナバ回路、25…整流平滑回路、26〜29…発光ダイオード、31…コンデンサ、33…フォトカプラ、34…調光操作部、36…コンデンサ、37…抵抗、38…ダイオード、39…トランジスタ、40…オペアンプ、41…抵抗、42…コンデンサ、44…制御回路、51…コンデンサ、52…抵抗、53…トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5