【文献】
Tuncer Baykas et al.,IEEE P802.19 Wireless Coexistence,IEEE 802.19-10/0055r3,2010年 3月
【文献】
Paivi,P802.19.1 System Architecture,IEEE 802.19-10/46r3,IEEE,2010年 3月17日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態の概要)
以下、図面を参照して、実施形態に係る無線装置およびシステムについて詳細に説明する。
図1に示すように、この実施形態のシステムは、免許を要し正式に所定の周波数(帯)が割当てられたプライマリシステムPSが使用する周波数帯と重複する周波数帯を用いている。プライマリシステムPSは、例えば正規に免許されたテレビ放送システムなどであり、電波を送信する送信装置PS
TXと、当該電波を受信する受信装置PS
CLとにより構成されている。プライマリシステムPSが実際に利用する周波数(帯)あるいは監督官庁によりプライマリシステムPSに割当てられている周波数(帯)は、TVWSデータベース(TVWS−DB)により管理され、インターネットなどのネットワークNWを介して一般に提供されている。
【0011】
実施形態に係る二次システムSS(Secondary System)は、例えばアクセスポイントとして機能するAP装置SS1
APと、AP装置SS1
APと通信するクライアント装置SS1
CLにより構成されている。AP装置SS1
APおよびクライアント装置SS1
CLは、プライマリシステムPSと重複する周波数帯を使用するが、電波監理上プライマリシステムPSに対して混信を与えてはならない。そのため、AP装置SS1
APおよびクライアント装置SS1
CLは、プライマリシステムPSが実際に使用していない(あるいは割当てられていない)周波数(帯)を選択して使用している。AP装置SS1
AP(およびクライアント装置SS1
CL)は、TVWS−DBにアクセスして、プライマリシステムPSが実際には使用していない(あるいは割当てられていない)周波数(帯)を選択し使用する。
【0012】
ところで、二次システムSSは、単一のシステムのみが存在するとは限らない。
図1に示すように、二次システムSS1と互換性のない二次システムSS2が、それぞれ重複する周波数帯を使用する可能性が考えられる。この場合、二次システムSS1とSS2とが共通する無線システムであれば、二次システム相互間で直接通信することができるから、予め混信を生じない周波数(帯)を選択する制御が可能である。しかし、二次システムSS1とSS2とが異なる無線システムである場合、例えば、二次システムSS1がIEEE802.11に準拠した無線LAN(WLAN)、二次システムSS2がIEEE802.22に準拠した地域無線ネットワーク(WRAN:Wireless Regional Area Network)であるような場合、各々の二次システム間で通信することができない。
図1に示す例では、AP装置SS2
APと通信(図中実線矢印)するクライアント装置SS2
CLが、二次システムSS1の通信圏内に位置しているため、AP装置SS1
APからの電波(同点線矢印)により混信を受けている。
【0013】
このような場合、二次システム間で情報交換をすることができれば、予め混信しない周波数(帯)を選択することが可能になる。そこで、実施形態のシステムでは、共存マネージャ(Coexistence Manager:CM)、共存イネーブラ(Coexistence Enabler:CE)、共存発見情報サーバ(Coexistence Discovery and Information Server:CDIS)をネットワーク上に配置し、二次システム相互間の通信を可能としている。
【0014】
共存マネージャCMは、二次システムによるプライマリシステムとの共存要求(利用周波数の共有要求)や共存許可(利用周波数の共有許可)などの制御通信を行う管理装置である。共存マネージャCMは、少なくとも一つの二次システムを収容し、当該収容した二次システムがプライマリシステムの周波数帯と重複する周波数(帯)を使用する場合に、TVWS−DBや他の共存マネージャと情報の授受および調整を行うインタフェースとして機能する。共存マネージャCMは、インターネットなどのネットワークNW上に配設されるが、共存マネージャとしての機能を実現するソフトウェアを無線装置個々に導入して実現してもよい。
図1に示す例では、共存マネージャCM1は、二次システムSS1を収容し、共存マネージャCM2は、二次システムSS2を収容している。
【0015】
共存イネーブラCEは、二次システムに属する無線装置と、対応する共存マネージャCMとの間の通信を実現するインタフェースとして機能する機能要素である。共存イネーブラは、二次システムに属する無線装置内や当該二次システム内に配設される。すなわち、共存イネーブラCEは、対応する二次システムに属する無線装置等と有線または無線により直接接続される。
図1に示す例では、共存イネーブラCE1は、二次システムSS1に属するAP装置SS1
AP内に配設され、共存イネーブラCE2は、二次システムSS2に属するAP装置SS2
AP内に配設されている。
【0016】
共存発見情報サーバ(Coexistence Discovery and Information Server:CDIS)は、プライマリシステムPSと利用する周波数(帯)が重複し当該プライマリシステムPSよりも当該周波数(帯)を利用する優先順位が低いシステム、すなわち二次システムを登録したデータベースサーバである。共存発見情報サーバは、例えばインターネットなどと接続され、共存マネージャCMからの問い合わせに応じて、対応する無線装置の位置等におけるプライマリシステムPSの周波数利用状況を回答する機能を有する。すなわち、共存発見情報サーバは、プライマリシステムPSの周波数帯と重複する周波数(帯)を利用する二次システムの情報を蓄積し、問い合わせに応じて当該情報を提供する機能を有している。
図1に示す例では、共存発見情報サーバは、ネットワークNWを介して共存マネージャCM1やCM2と接続されている。
【0017】
図1に示す例では、二次システムSS1に属するAP装置SS1
APと、二次システムSS2に属するAP装置SS2
APとは、互いに互換性がないため直接通信することができない。二次システムSS1およびSS2は、プライマリシステムPSとの関係では、プライマリシステムPSが利用していない(割当てられていない)周波数(帯)を利用周波数(帯)として選択する。しかし、二次システムSS1およびSS2相互間は、互いに直接通信することができず、混信を生じない周波数(帯)を選択することが難しい。
【0018】
そこで、二次システムSS1は、共存イネーブラCE1を介して共存マネージャCM1やCM2などと通信し、二次システムSS1の位置と近接する二次システムSS2に対し情報を提供または交換する。
【0019】
具体的には、まず二次システムSS1に属するAP装置SS1
APは、対応する共存イネーブラCE1を介して共存マネージャCM1にアクセスし、近接する二次システムSS2に属するAP装置SS2
APへの情報提供または情報交換を要求する。共存マネージャCM1は、共存イネーブラCE1の要求に応じて、二次システムSS2に対応する共存マネージャCM2と通信し、二次システムSS2への情報提供または情報交換についてリンク設定等を行う。そして、共存イネーブラCE1は、二次システムSS1に属するAP装置SS1
APの所定の情報を読出し、共存マネージャCM1、同CM2、共存イネーブラCE2を介して、二次システムSS2に属するAP装置SS2
APに送り届ける。さらに、情報交換の場合は、共存イネーブラCE2がAP装置SS2
APの所定の情報を読出し、マネージャCM2、同CM1、共存イネーブラCE1を介して、二次システムSS1に属するAP装置SS1
APに送り届ける。ここで「情報」は、無線通信に関する情報であり、例えばネットワークIDやネットワークタイプなどのID情報、所在地を例えば地球上の緯度・経度・標高等の地理座標などで示した位置情報、内部時刻情報、スロット時間、プリアンブル長およびTPCリンクマージンなどのデータフォーマット情報、送信電力や最大送信電力などの電力情報、許容干渉電力情報、運用チャネルや可能チャネルリストなどの利用周波数情報、アンテナ情報、スペクトラム利用スケジュール、ターゲットビットエラーレートおよびスループットなどの運用情報の各種情報うち少なくとも1つを含んでいる(以下の説明においてこれらの情報を「無線通信に関する情報」と称する)。こうした無線通信に関する情報を利用することにより、AP装置SS1
APやSS2
APは、互いに混信を与えないように自ら利用する周波数(帯)を選択することが可能となる。
【0020】
(実施形態の構成)
続いて、
図1および
図2を参照して、実施形態に係るシステムの機能構成を詳細に説明する。
図2に示すように、この実施形態のシステムでは、無線装置10および40、共存マネージャ20および30、無線局サーバ50および周波数サーバ60が、インターネットなどのネットワークNWを介して相互に接続されている。
【0021】
[無線装置]
無線装置10は、プライマリシステムPSの周波数帯と重複した周波数(帯)を利用する二次システムSS1に属するWLANのアクセスポイント装置である。無線装置10は、受信部11、送信部12、インタフェース部(I/F部)13およびアクセスポイント管理部(AP管理部)14を備えており、
図1のAP装置SS1
APに対応するアクセスポイント機能を提供する。併せて、無線装置10は、情報提供部15、情報取得部16、情報交換部17、情報収集部18および記憶部19を備えており、
図1の共存イネーブラCE1に対応するインタフェース機能を提供する。
【0022】
受信部11は、クライアント装置SS1
CLからの電波をアンテナANTを介して受信し、所定の方式で復調してインタフェース部13を介してネットワークNWに送る。一方、ネットワークNWからの情報は、インタフェース部13を介して送信部12に送られ、送信部12は、当該情報を無線信号に変換してアンテナANTを介してクライアント装置SS1
CLに送信する。すなわち、受信部11、送信部12およびインタフェース部13は、クライアント装置SS1
CLを収容するWLANのアクセスポイントとして機能し、アクセスポイント管理部14は、これらの機能を制御する。
【0023】
受信部11および送信部12は、例えば、IEEE802.11規格に準拠したシステムを用いて実現することができる。なお、受信部11および送信部12が使用する周波数帯は、プライマリシステムPSが使用する周波数帯と少なくとも一部が重複している。そのため、AP管理部14は、プライマリシステムPSが実際には使用していないか割当てのない周波数(帯)を利用周波数として選択する。また、アクセスポイント管理部14は、プライマリシステムPSに妨害を与えないため、送信部12の周波数(帯)および送信電力を制御する機能をも有している。
【0024】
情報提供部15は、無線装置10の例えば送受信に関する情報を他の無線装置(無線装置40)に提供する情報処理ユニットである。情報提供部15は、主として送信部12の送信周波数(帯)や送信電力、受信部11の受信周波数(帯)を決定するに際して、他の無線装置に自己の無線通信に関する情報を参考情報として提供し、予め混信を予防する作用をする。
【0025】
情報取得部16は、他の無線装置(無線装置40)の例えば送受信に関する情報を取得する情報処理ユニットである。情報取得部16は、主として送信部12の送信周波数(帯)や送信電力、受信部11の受信周波数(帯)を決定するに際して、他の無線装置における無線通信に関する情報を参考情報として取得し、予め混信を予防する作用をする。
【0026】
情報交換部17は、無線装置10における無線通信に関する情報を他の無線装置(無線装置40)に提供するとともに、他の無線装置(無線装置40)における無線通信に関する情報を取得する情報処理ユニットである。すなわち、情報交換部17は、主として送信部12の送信周波数(帯)や送信電力、受信部11の受信周波数(帯)を決定するに際して、他の無線装置(無線装置40)と各種情報の交換について交渉し、条件が整った情報を提供するとともに取得する機能を有する。
【0027】
情報収集部18は、情報提供部15や情報交換部17の指示に基づき、他の無線装置に提供する無線通信に関する情報を受信部11、送信部12、インタフェース部13およびAP管理部14などから収集する情報処理ユニットである。この実施形態では、無線装置10が共存イネーブラの機能を併せ持っているが、例えばAP装置SS1
APと共存イネーブラCE1とが別体として実現される場合は、情報収集部18がAP装置SS1
APとのインタフェースとして機能する。
【0028】
記憶部19は、情報提供部15や情報交換部17が提供する情報を一時的に格納したり、情報取得部16が取得した情報を格納したりするメモリである。記憶部19は、例えばフラッシュメモリやハードディスクドライブなどにより実現することができる。
【0029】
無線装置40は、プライマリシステムPSの周波数帯と重複した周波数(帯)を利用する二次システムSS2に属するWRANのアクセスポイント装置である。すなわち、無線装置40は、無線装置10とは異なる無線システムに属している。無線装置40は、無線装置10の受信部11、送信部12、インタフェース部13およびアクセスポイント管理部14にそれぞれ対応し共通の機能を有する受信部41、送信部42、インタフェース部(I/F部)43およびアクセスポイント管理部(AP管理部)44を備えており、
図1のAP装置SS2
APに対応するアクセスポイント機能を提供する。併せて、無線装置40は、無線装置10の情報提供部15、情報取得部16、情報交換部17、情報収集部18および記憶部19に対応し共通の機能を有する情報提供部45、情報取得部46、情報交換部47、情報収集部48および記憶部49を備えており、
図1の共存イネーブラCE2に対応するインタフェース機能を提供する。
【0030】
無線装置10および無線装置40は、基本的に共通の構成を有しているが、異なる無線システムに属している。この実施形態では、無線装置10の受信部11および送信部12は、例えば、IEEE802.11規格に準拠したシステムを用いて実現することができるが、無線装置40の受信部41および送信部42は、例えばIEEE802.22規格に準拠したシステムを用いて実現することができる。すなわち、無線装置10および無線装置40は、どちらも使用する周波数帯がプライマリシステムPSが使用する周波数帯と少なくとも一部が重複しているが、互いに直接通信することができない。
【0031】
[共存マネージャ]
共存マネージャ20は、無線装置10に対応する共存イネーブラCE1を収容する共存管理装置である。共存マネージャ20は、インタフェース部(I/F部)21、共存マネージャリンク(CMリンク部)部22、解析部23、情報管理部24および記憶部25を備えており、
図1の共存マネージャCM1に対応する管理機能を提供する。
【0032】
インタフェース部21は、共存マネージャ20をネットワークNWと接続するためのインタフェースである。共存マネージャリンク部22は、無線装置10からの要求に基づき、無線装置10が通信しようとする他の無線装置(無線装置40)を収容する他の共存マネージャ(共存マネージャ30)を探索してリンクを構築する接続処理ユニットである。
【0033】
解析部23は、ネットワークNWを介して受けた無線装置10からの要求を解析し、要求内容を抽出する機能を有する演算ユニットである。情報管理部24は、探索した他の共存マネージャに提供または交換する情報について管理する機能を有する演算ユニットである。記憶部25は、通信可能な他の共存マネージャのネットワークアドレスや、提供または交換する情報を一時的に格納するメモリである。
【0034】
共存マネージャ30は、無線装置40に対応する共存イネーブラCE2を収容する共存管理装置である。共存マネージャ30は、共存マネージャ20のインタフェース部21、共存マネージャリンク部22、解析部23、情報管理部24および記憶部25に対応し共通の機能を有するインタフェース部31、共存マネージャリンク部(CMリンク部)32、解析部33、情報管理部34および記憶部35を備えており、
図1の共存マネージャCM2に対応する管理機能を提供する。
【0035】
共存マネージャ20および共存マネージャ30は、基本的に共通の構成を有しており、各々異なる無線システム(およびその共存イネーブラ)を収容している。
【0036】
[サーバ群]
無線局サーバ40は、プライマリシステムPSの周波数帯と重複する周波数(帯)についてプライマリシステムPSよりも利用の優先順位の低い二次システムに関する情報を管理するデータベースサーバである。無線局サーバ40は、ネットワークNWと接続するインタフェース部(I/F部)51、データベースエンジンとして機能するアクセス部52および二次システムに関する情報を格納した無線局データベース52を備えており、
図1の共存発見情報サーバ(CDIS)に対応するサーバ機能を提供する。
【0037】
周波数サーバ(TVWS−DB)60は、プライマリシステムPSおよび当該プライマリシステムPSに割当てられた周波数(帯)を管理するデータベースサーバである。周波数サーバ60は、ネットワークNWと接続するインタフェース部61、データベースエンジンとして機能するアクセス部62およびプライマリシステムPSおよび割当てられた周波数等を格納した周波数データベース63を備えており、
図1のTVWS−DBに対応するサーバ機能を提供する。
【0038】
(実施形態の動作例1)
次に、
図1ないし
図3を参照して、実施形態に係るシステムの動作を詳細に説明する。
【0039】
実施形態に係る無線装置10のAP管理部14は、周波数サーバ60を用いて、無線装置10が位置する領域の周辺に存在するプライマリシステムPSの存在および周波数(帯)を取得する。すなわち、無線装置10は、プライマリシステムPSが実際には使用していないか割り当てられていない周波数(帯)を利用周波数(帯)候補として設定する。
【0040】
次いで、無線装置10のAP管理部14は、プライマリシステムPSより優先度が低く、無線装置10の周囲に存在し二次システムSS2に属する無線装置40に対して自己の無線通信に関する情報を提供する。この場合、AP管理部14は、無線装置10における無線通信に関する情報を共有(送信)する共有イベントを情報提供部15に送る(ステップ100。以下「S100」のように称する。)。
【0041】
共有イベントを受けると(S101)、情報提供部15は、周囲の無線装置に対する共有要求信号(送信要求信号)を生成し(S102)、インタフェース部13を介して自己を収容する共存マネージャ20に送信する(S103)。
【0042】
共存マネージャ20は、収容する無線装置の共存イネーブラからの共有要求や他の共存マネージャからのリンク要求に対して常に待機している状態にある。無線装置10の情報提供部15からインタフェース部21を介して共有要求信号を受けると(S104)、解析部23は、共有要求信号の内容を解析し共有情報の内容や共有先などを抽出する(S105)。このとき、情報管理部24は、必要に応じて送られてきた共有要求が真正な要求であるかどうかや、共有情報の適否などを判定し、適切でない供給要求をエラーとして情報提供部15に返してもよい。
【0043】
共有先などが抽出されると、共存マネージャリンク部22は、共有先の無線装置40を収容する共存マネージャ30を記憶部25から検索する。共存マネージャ30のネットワークアドレスが得られると、共存マネージャリンク部22は、共存マネージャ30にリンク確立の要求信号を送る(S106)。なお、共存マネージャリンク部22は、共有先の無線装置40を収容する共存マネージャ30のアドレス等を、無線局サーバ50から取得してもよい。
【0044】
共存マネージャ30は、共存マネージャ20と同様に、収容する無線装置の共存イネーブラからの共有要求や他の共存マネージャからのリンク要求に対して常に待機している状態にある。共存マネージャ20からのリンク要求をインタフェース部31を介して受けると(S107)、解析部33は、共存マネージャ20からのリンク要求の適否を判定する(S108)。リンク要求の適否は、例えば予めリンクを拒否するよう設定された共存マネージャであるかどうかや、他の共存マネージャを介して情報の共有を受付しない設定にあるかどうかなどを基準に判定することができる。
【0045】
判定の結果、共存マネージャ20からのリンク要求の受け入れが可能であれば、共存マネージャリンク部32は、リンク許可信号を生成し、インタフェース部31を介して共存マネージャ20に返答する(S109)。
【0046】
共存マネージャ20は、インタフェース部21を介してリンク許可信号を受け取る(S110)。リンク許可信号を受けると、解析部23はリンク許可の内容を確認し、情報管理部24は、リンク許可の内容に応じて共有許可信号を生成して(S111)、インタフェース部21を介して無線装置10に送る(S112)。
【0047】
情報提供部15は、共有要求信号を送信後、共有許可信号の受信を待機している(S113)。共有許可信号を受けると、情報提供部15は、共有許可の内容を確認し、情報収集部18は、確認された共有許可の内容に応じて受信部11、送信部12およびAP管理部14から共有先である無線装置40へ送る無線通信に関する情報を集める(S114)。AP管理部14は、無線通信に関する情報として、周波数サーバ60へのアクセス結果に基づきプライマリシステムPSとの関係で決定した送受信周波数(帯)や送信電力などを含めてもよい。AP管理部14は、情報収集部18の収集処理に応じて無線通信に関する情報を提供する(S115)。共有する情報が集まると、情報提供部15は、共有情報を共存マネージャ20に送信する(S116)。
【0048】
共存マネージャ20は、共有許可信号を送信後、共有情報の受信を待機している。インタフェース部21を介して共有情報を受信すると(S117)、解析部23は、共有情報と共有許可の内容とを確認し(S118)、情報管理部24は、共存マネージャ30に共有情報を送信する(S119)。
【0049】
共存マネージャ30は、リンク許可信号を送信後、共有情報の受信を待機している。インタフェース部31を介して共有情報を受信すると(S120)、解析部33は、共有情報とリンク許可の内容とを確認する(S121)。解析部33による確認が終わると、情報管理部34は、共有情報およびリンク許可の内容を無線装置40へ送信する(S122)。
【0050】
無線装置40の情報取得部46は、共存マネージャ30からの信号の受信を常に待機している。インタフェース部43を介して共存マネージャ30から共有情報を受け取ると(S123)、共存マネージャ30のリンク許可の内容を確認する(S124)。リンク許可の内容が確認されると、情報取得部46は、受け取った共有情報を記憶部49に格納するとともに、AP管理部44へ送る(S125)。
【0051】
無線装置10からの共有情報を受け取ると(S126)、AP管理部44は、当該共有情報を用いて自己の利用周波数(帯)や送信電力の設定を行う。
【0052】
このように、この実施形態のシステムでは、プライマリシステムPSに対して優先度の低い二次システム相互を管理する共存マネージャを介して情報を提供・取得するので、互いに規格の異なる二次システム相互間で情報の受け渡しをすることができる。これにより、二次システム相互間で混信を予め回避することが可能になる。
【0053】
(実施形態の動作例2)
次に
図1、
図2および
図4を参照して、実施形態に係るシステムの他の動作例を詳細に説明する。この実施形態の動作例は、
図3に示す動作をベースとして、共存マネージャ相互の間に共存発見情報サーバを介して通信を行うものである。そこで、
図3と共通する動作については共通する符号を付して示し、重複する説明を省略する。
図4に示す動作例では、
図3に示すステップ107から109のリンク要求受付からリンク許可の手順を省略し、共存マネージャ20から共存マネージャ30への共有情報転送の間に共存発見情報サーバとして機能する無線局サーバ50を経由させている。
【0054】
実施形態に係る無線装置10のAP管理部14は、周波数サーバ60を用いて、無線装置10が位置する領域の周辺に存在するプライマリシステムPSの存在および周波数(帯)を取得する。すなわち、無線装置10は、プライマリシステムPSが実際には使用していないか割り当てられていない周波数(帯)を利用周波数(帯)候補として設定する。次いで、無線装置10のAP管理部14は、プライマリシステムPSより優先度が低く、無線装置10の周囲に存在し二次システムSS2に属する無線装置40に対して自己の無線通信に関する情報を提供する。この場合、AP管理部14は、無線装置10における無線通信に関する情報を共有(送信)する共有イベントを情報提供部15に送る(S100)。以後、共存マネージャ20が共有要求信号を受信するまでは
図3に示す動作例と共通する(S101〜S103)。
【0055】
無線装置10の情報提供部15からインタフェース部21を介して共有要求信号を受けると(S104)、解析部23は、共有要求信号の内容を解析し共有情報の内容や共有先などを抽出する(S105)。このとき、情報管理部24は、必要に応じて送られてきた共有要求が真正な要求であるかどうかや、共有情報の適否などを判定し、適切でない供給要求をエラーとして情報提供部15に返してもよい。
【0056】
共有先などが抽出されると、共存マネージャリンク部22は、共有先の無線装置40を収容する共存マネージャ30を記憶部25から検索する。共存マネージャ30のネットワークアドレスが得られると、共存マネージャリンク部22は、当該ネットワークアドレスを記憶部25に格納するとともに、共有許可信号を生成してインタフェース部21を介して無線装置10に送る(S206)。なお、共存マネージャリンク部22は、共有先の無線装置40を収容する共存マネージャ30のアドレス等を、無線局サーバ50から取得してもよいし、無線局サーバ50を介して共存マネージャ30にリンク要求からリンク許可返答までの手順(
図3のステップ107〜109)を含めてもよい。
【0057】
情報提供部15は、共有要求信号を送信後、共有許可信号の受信を待機している(S113)。共有許可信号を受けると、情報提供部15は、共有許可の内容を確認し、情報収集部18は、確認された共有許可の内容に応じて受信部11、送信部12およびAP管理部14から共有先である無線装置40へ送る無線通信に関する情報を集める(S114)。AP管理部14は、無線通信に関する情報として、周波数サーバ60へのアクセス結果に基づきプライマリシステムPSとの関係で決定した送受信周波数(帯)や送信電力などを含めてもよい。AP管理部14は、情報収集部18の収集処理に応じて無線通信に関する情報を提供する(S115)。共有する情報が集まると、情報提供部15は、共有情報を共存マネージャ20に送信する(S116)。
【0058】
共存マネージャ20は、共有許可信号を送信後、共有情報の受信を待機している。インタフェース部21を介して共有情報を受信すると(S117)、解析部23は、共有情報と共有許可の内容とを確認し(S118)、情報管理部24は、無線局サーバ50に共有情報等を送信する(S119a)。
【0059】
無線局サーバ50のアクセス部52は、インタフェース部51を介して共有情報等を受け取ると(S220)、無線局データベース53を検索して共有先のリンク情報等を読出すとともに、受け取った共有情報等を無線局データベース53に記録する(S221)。無線局データベース53に共有情報が記録されると、アクセス部52は、共有先の無線装置40を収容するリンク先である共存マネージャ30に当該共有情報とリンク内容とを転送する(S222)。
【0060】
共存マネージャ30は、共存発見情報サーバとして機能する無線局サーバ50からの通信を常に受信可能となっている。インタフェース部31を介して共有情報等を受信すると(S120)、解析部33は、共有情報とリンクの内容(共有情報の宛先)とを確認する(S121a)。解析部33による確認が終わると、情報管理部34は、共有情報およびリンク内容を無線装置40へ送信する(S122)。
【0061】
無線装置40の情報取得部46は、共存マネージャ30からの信号の受信を常に待機している。インタフェース部43を介して共存マネージャ30から共有情報を受け取ると(S123)、共有情報の内容を確認する(S124a)。リンク許可の内容が確認されると、情報取得部46は、受け取った共有情報を記憶部49に格納するとともに、AP管理部44へ送る(S125)。
【0062】
無線装置10からの共有情報を受け取ると(S126)、AP管理部44は、当該共有情報を用いて自己の利用周波数(帯)や送信電力の決定を行う。
【0063】
このように、この実施形態の無線装置、無線システムでは、プライマリシステムPSに対して優先度の低い二次システム相互を管理する共存マネージャを介して情報を提供・取得するので、互いに規格の異なる二次システム相互間で情報の受け渡しをすることができる。これにより、二次システム相互間で混信を予め回避することが可能になる。
【0064】
また、
図4に示す動作例では、共有情報の伝送経路に共存発見情報サーバとして機能する無線局サーバ50が介在するので、共有先のリンク情報を確実に得ることができるとともに、共有情報の発信元である無線装置10の情報を無線局データベース53に記録することが可能となる。これは、共存マネージャ20が相手の共存マネージャを知らなくても情報提供が可能になることを意味する。また、二次システムに属する他の無線装置(無線装置40以外の無線装置)が利用周波数(帯)を決定する際、無線局サーバ50にアクセスすることで無線装置10の情報を得ることを可能になる。すなわち、共有情報を特定の相手たる無線装置40だけでなく広く共有させることが可能になる。
【0065】
(実施形態の動作例3)
次に、
図1、
図2および
図5を参照して、実施形態に係るシステムのさらに他の動作を詳細に説明する。この動作例は、無線装置10から無線装置40への無線通信に関する情報の転送(送信)だけでなく、無線装置40から無線装置10への無線通信に関する情報の転送(送信)を行うものである。
【0066】
実施形態に係る無線装置10のAP管理部14は、周波数サーバ60を用いて、無線装置10が位置する領域の周辺に存在するプライマリシステムPSの存在および周波数(帯)を取得する。すなわち、無線装置10は、プライマリシステムPSが実際には使用していないか割り当てられていない周波数(帯)を利用周波数(帯)候補として設定する。
【0067】
次いで、無線装置10のAP管理部14は、プライマリシステムPSより優先度が低く、無線装置10の周囲に存在し二次システムSS2に属する無線装置40に対して自己の利用周波数(帯)を提供するとともに、当該無線装置40の利用周波数(帯)を取得する。この場合、AP管理部14は、無線装置10に関する情報と無線装置40に関する情報とを交換する交換イベントを情報交換部17に送る(S300)。
【0068】
交換イベントを受けると(S301)、情報交換部17は、周囲の無線装置に対する交換要求信号を生成し(S302)、インタフェース部13を介して自己を収容する共存マネージャ20に送信する(S303)。
【0069】
共存マネージャ20は、収容する無線装置の共存イネーブラからの交換要求や他の共存マネージャからのリンク要求に対して常に待機している状態にある。無線装置10の情報交換部17からインタフェース部21を介して交換要求信号を受けると(S304)、解析部23は、交換要求信号の内容を解析し交換情報の内容や交換先などを抽出する(S305)。このとき、情報管理部24は、必要に応じて送られてきた交換要求が真正な要求であるかどうかや、交換情報の適否などを判定し、適切でない交換要求をエラーとして情報交換部17に返してもよい。
【0070】
交換先などが抽出されると、共存マネージャリンク部22は、交換先の無線装置40を収容する共存マネージャ30を記憶部25から検索する。共存マネージャ30のネットワークアドレスが得られると、共存マネージャリンク部22は、共存マネージャ30に情報交換およびリンク確立の要求信号を送る(S306)。なお、共存マネージャリンク部22は、共有先の無線装置40を収容する共存マネージャ30のアドレス等を、無線局サーバ50から取得してもよいし、無線局サーバ50を介して共存マネージャ30にリンク要求からリンク許可返答までの手順(
図3のステップ107〜109)を含めてもよい。
【0071】
共存マネージャ30は、共存マネージャ20と同様に、収容する無線装置の共存イネーブラからの交換要求や他の共存マネージャからのリンク要求に対して常に待機している状態にある。共存マネージャ20からインタフェース部31を介してリンク要求等を受けると(S307)、解析部33は、共存マネージャ20からの情報交換やリンク要求の適否を判定する(S308)。情報交換やリンク要求の適否は、例えば予めリンクを拒否するよう設定された共存マネージャであるかどうかや、他の共存マネージャを介して情報の交換を受付しない設定にあるかどうかなどを基準に判定することができる。
【0072】
判定の結果、共存マネージャ20からの情報交換要求やリンク要求の受け入れが可能であれば、共存マネージャリンク部32は、交換要求信号を生成し、インタフェース部31を介して無線装置40に送る(S309)。
【0073】
無線装置40の情報交換部47は、共存マネージャ30からの信号の受信を常に待機している。インタフェース部43を介して共存マネージャ30から交換要求信号を受け取ると(S310)、情報収集部48は、交換情報の内容を解析し、AP管理部44に対して情報交換が可能かどうか確認する(S311)。AP管理部44は、情報収集部48からの問い合わせに応じて、無線装置10が要求する交換情報が交換可能か判定してその可否を回答する(S312)。交換情報の交換が可能である場合、情報交換部47は、交換可能な情報を含む交換情報を共存マネージャ30へ回答する(S313)。
【0074】
インタフェース部31を介して無線装置40から交換情報を受けると(S314)、共存マネージャ30の情報管理部34は、受け取った交換情報に基づいて交換同意信号を生成して(S315)、共存マネージャ20に送信する(S316)。
【0075】
インタフェース部31を介して交換同意信号を受けると(S317)、共存マネージャ20の情報管理部24は、受け取った交換同意信号を無線装置10へ転送する(S318)。
【0076】
インタフェース部13を介して交換同意信号を受けると(S319)、無線装置10の情報収集部18は、交換同意信号が示す交換可能な交換情報に基づきAP管理部14から対応する無線通信に関する情報を収集する(S320)。AP管理部14は、無線通信に関する情報として、周波数サーバ60へのアクセス結果に基づきプライマリシステムPSとの関係で決定した送受信周波数(帯)や送信電力などを含めてもよい。AP管理部14は、情報収集部18の収集処理に応じて無線通信に関する情報を提供する(S321)。交換する情報が集まると、情報交換部17は、交換情報を共存マネージャ20に送信する(S322)。
【0077】
共存マネージャ20は、インタフェース部21を介して交換情報を受け取る(S323)。共存マネージャ20の情報管理部24は、受け取った交換情報を共存マネージャ30へ転送する(S324)。
【0078】
共存マネージャ30は、インタフェース部31を介して交換情報を受け取る(S325)。共存マネージャ30の情報管理部34は、受け取った交換情報を無線装置40へ転送する(S326)。
【0079】
無線装置40の情報交換部47は、共存マネージャ30からの信号の受信を常に待機している。インタフェース部43を介して共存マネージャ30から交換情報を受け取ると(S327)、情報交換部47は、受け取った交換情報を記憶部49に格納するとともに、AP管理部44へ送る(S328)。
【0080】
AP管理部44は、無線装置10からの交換情報を受け取ると(S329)、当該共有情報を用いて自己の利用周波数(帯)や送信電力の決定を行う。併せて、AP管理部44は、ステップ312にて交換可能と判定した無線通信に関する情報を交換情報として情報収集部48に送る(S330)。情報収集部48が交換情報を受け取ると(S331)、情報交換部47は、交換情報を共存マネージャ30に送信する(S332)。
【0081】
共存マネージャ30は、インタフェース部31を介して交換情報を受け取る(S333)。共存マネージャ30の情報管理部34は、受け取った交換情報を共存マネージャ20へ転送する(S334)。
【0082】
共存マネージャ20は、インタフェース部21を介して交換情報を受け取る(S335)。共存マネージャ20の情報管理部24は、受け取った交換情報を無線装置10へ転送する(S336)。
【0083】
無線装置10の情報交換部17は、共存マネージャ20からの信号の受信を常に待機している。インタフェース部13を介して共存マネージャ20から交換情報を受け取ると(S337)、情報交換部17は、受け取った交換情報を記憶部19に格納するとともに、AP管理部44へ送る(S338)。
【0084】
無線装置40からの交換情報を受け取ると(S339)、AP管理部14は、当該交換情報を用いて自己の利用周波数(帯)や送信電力の修正等を行う。
【0085】
このように、この実施形態の無線装置、無線システムでは、プライマリシステムPSに対して優先度の低い二次システム相互を管理する共存マネージャを介して情報を交換するので、互いに規格の異なる二次システム相互間で情報の受け渡しをすることができる。これにより、二次システム相互間で混信を予め回避することが可能になる。
【0086】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、
図3や
図4に示す動作例では、リンク要求に対する許可に応じて提供情報を送信しているが、これには限定されない。
図5の動作例のステップ310〜313に示すように、無線装置40がリンク要求の可否をも判定・回答してもよい。さらに、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。そして、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。