特許第5674230号(P5674230)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5674230液体の遮蔽効果を利用した水中放射能探査装置
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  • 特許5674230-液体の遮蔽効果を利用した水中放射能探査装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5674230
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】液体の遮蔽効果を利用した水中放射能探査装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/169 20060101AFI20150205BHJP
   G01V 5/00 20060101ALI20150205BHJP
   G01T 7/00 20060101ALI20150205BHJP
   G01T 1/167 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   G01T1/169 A
   G01V5/00 C
   G01T7/00 A
   G01T1/167 C
【請求項の数】1
【全頁数】4
(21)【出願番号】特願2014-71063(P2014-71063)
(22)【出願日】2014年3月31日
【審査請求日】2014年3月31日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】714002866
【氏名又は名称】池田 和隆
(72)【発明者】
【氏名】池田 和隆
【審査官】 藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−271636(JP,A)
【文献】 特開2003−207574(JP,A)
【文献】 特開2013−257159(JP,A)
【文献】 特開2008−058113(JP,A)
【文献】 特開2003−090884(JP,A)
【文献】 実開平04−101796(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/16
G01T 1/167
G01T 1/169
G01T 7/00
G01V 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出器の周囲を半球形のタンクで囲み、タンクの底面中央に検出器を配置し、タンクの中に液体を充填して、液体を遮蔽体として利用する構造を有する水中放射能探査装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中放射能探査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水中で放射能探査を行う場合、水による減衰が大きく662KeVのCs-137のガンマ線では地表面(海底、湖底)から約8cm離れると、半分の放射線強度になる。すなわち検出器からの計数率は地表面から数cm離れるだけで大幅に変化する。したがって、検出器は地表面に接した状態で測定する方が望ましい。その際、検出器が軟らかい泥の中に埋まってしまうと、ジオメトリーが変わり、放射線強度が大幅に変化する。
【0003】
そこで、海外の海底資源探査では、検出器を保護ホースの中に入れ、接地面積を大きくして検出器が軟らかい泥の中に埋まらないようにして、曳航する方法がとられている。また、日本ではソリや無人潜水機などに検出器を載せ、検出器が埋まらないように地表面から離して測定している。
【0004】
しかし、これらの方法でも検出器のジオメトリーが一定であるという保証はない。また測定装置が地表面に到達した時や曳航した時に、軟泥質の物質が舞い上がって、放射線強度が変化することに対する対策はなされていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】実用新案 第3181739号 曳航式水中放射能測定システム
【非特許文献2】D.G. Jones (2001): Development and application of marine gamma-ray measurements: a review, Journal of Environmental Radioactivity, 53, 313-333
【非特許文献3】加賀谷一茶, 木下正高, 服部陸男, 岡野眞治(2000): 海洋γ線測定システム用船上表示装置の開発と試験, JAMSTEC深海研究, 16, 131-140
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
水中放射能探査の測定精度を上げるためには、検出器のジオメトリーを一定にし、かつ測定装置が地表面(海底、湖底)に到達した時や曳航した時に、軟泥質の物質が舞い上がって、放射線強度が変化することを抑える必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
図1のように検出器の周囲をタンクで囲み、タンクの中に水や燃料などの液体を充填する。タンク内の液体を遮蔽体として利用する構造が本発明である。
【発明の効果】
【0008】
液体の遮蔽効果により、舞い上がった軟泥質の物質からの放射線は減衰する。更にタンクによって底面積が広くなって軟泥質中に埋もれにくくなり、たとえ軟泥質中にめり込んでも遮蔽効果によって検出器のジオメトリーは一定に保たれ、検出器底面が接する地表面の放射線強度のみを測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】液体の遮蔽効果を利用した水中放射能探査装置の基本構造
【発明を実施するための形態】
【0010】
遮蔽体の材料費が発生せず、耐水耐圧構造は検出器を含めた電子回路部分のみでよいため、装置を安価に作製できる。また液体の遮蔽体は測定開始時にタンク内に取り入れ、測定終了後にタンクから抜き出すことができるので、装置を軽量化できる。
【実施例】
【0011】
実機を製作する予定である。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明は、新しい水中放射能探査装置の基本構造である。福島第一原発事故によって引き起こされた溜め池などの放射能汚染調査や海底資源探査に利用できる。
【符号の説明】
【0013】
1 検出器
2 タンク
3 液体の遮蔽体
4 海水
5 海底
【要約】
【課題】 水中放射能探査の測定精度を上げるためには、検出器のジオメトリーを一定にし、かつ測定装置が地表面(海底、湖底)に到達した時や曳航した時に、軟泥質の物質が舞い上がって、放射線強度が変化することを抑える必要がある。
【解決手段】 検出器の周囲をタンクで囲み、タンクの中に水や燃料などの液体を充填する。タンク内の液体が遮蔽体となり、舞い上がった軟泥質の物質からの放射線は減衰する。更にタンクによって底面積が広くなって軟泥質中に埋もれにくくなり、たとえ軟泥質中にめり込んでも遮蔽体によって検出器のジオメトリーは一定に保たれ、検出器底面が接する地表面の放射線強度のみを測定することができる。
【選択図】図1
図1