(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5674311
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】接続領域により一体的に取り付けられる第1部分領域及び第2部分領域を有する据え付け具、特に自動車用の据え付け具。
(51)【国際特許分類】
B60R 21/04 20060101AFI20150205BHJP
B60R 13/02 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
B60R21/04 A
B60J5/00 501B
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2009-536661(P2009-536661)
(86)(22)【出願日】2007年11月16日
(65)【公表番号】特表2010-510115(P2010-510115A)
(43)【公表日】2010年4月2日
(86)【国際出願番号】EP2007009914
(87)【国際公開番号】WO2008058747
(87)【国際公開日】20080522
【審査請求日】2010年6月30日
【審判番号】不服2013-18704(P2013-18704/J1)
【審判請求日】2013年9月27日
(31)【優先権主張番号】102006054443.9
(32)【優先日】2006年11月16日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102007017090.6
(32)【優先日】2007年4月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502156098
【氏名又は名称】ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】シメオニディス、 アントニオス
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド、 フランク
(72)【発明者】
【氏名】マンケ、 ユルグ
【合議体】
【審判長】
鳥居 稔
【審判官】
出口 昌哉
【審判官】
大熊 雄治
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−16556(JP,A)
【文献】
特開平8−188052(JP,A)
【文献】
特開平10−100824(JP,A)
【文献】
特開2005−343255(JP,A)
【文献】
特開平7−205658(JP,A)
【文献】
特開平6−247199(JP,A)
【文献】
特開平8−276808(JP,A)
【文献】
米国特許第5356177(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/04
B60J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用の、第1部分領域(1)及び第2部分領域(4)を有する据え付け具(10)であって、前記第1部分領域(1)が、接続領域(6)により第2部分領域(4)に一体的に接続される据え付け具(10)において、
前記第1部分領域(1)が、前記接続領域(6)により前記第2部分領域に対して事前取り付けされ得るように提供され、
前記第1部分領域(1)及び/又は前記第2部分領域(4)は、前記第2部分領域(4)に対して前記第1部分領域(1)を事前取り付けするための締結要素(3)を含み、
事前取り付けの後で前記第1部分領域(1)及び前記第2部分領域(4)の不可逆な相互配置が解除されることを避けるために、前記締結要素(3)により前記第1部分領域(1)を前記第2部分領域(4)に対して締結することによって前記事前取り付けのされた状態において、前記締結要素(3)は前記第1部分領域(1)と前記第2部分領域(4)との不可逆な接続及び不可逆な相互配置をもたらすように構成され、
前記第2部分領域(4)は、前記締結要素(3)により前記第1部分領域(1)が前記第2部分領域(4)に対して締結されたときに前記第1部分領域(1)の面(2)に面する一側面に皿型構造によって取り囲まれるハニカム構造(5)を有し、
前記ハニカム構造(5)及び前記ハニカム構造(5)を取り囲む皿型構造は、前記第1部分領域(1)及び前記第2部分領域(4)の事前取り付け後に視界から隠されることを特徴とする、据え付け具(10)。
【請求項2】
前記接続領域(6)により、前記第1部分領域(1)が、前記第2部分領域(4)に対して折り畳み可能に提供されることを特徴とする、請求項1に記載の据え付け具(10)。
【請求項3】
前記第1部分領域(1)が、前記第1部分領域(1)の前面を被覆する機能を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の据え付け具(10)。
【請求項4】
前記第1部分領域(1)が、前記事前取り付けのされた状態において前記第2部分領域(4)から離れた側面に、可視側面を有することを特徴とする、請求項1乃至3の1つに記載の据え付け具(10)。
【請求項5】
前記第2部分領域(4)が、衝撃又は音響振動の吸収機能を有することを特徴とする、請求項1乃至4の1つに記載の据え付け具(10)。
【請求項6】
前記接続領域(6)が、フィルムヒンジとして提供されることを特徴とする、請求項1乃至5の1つに記載の据え付け具(10)。
【請求項7】
前記第1部分領域(1)及び前記第2部分領域(4)が、同時に成形されることを特徴とする、請求項1乃至6の1つに記載の据え付け具(10)を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続領域により第1部分領域が第2部分領域に一体的に接続される、第1部分領域及び第2部分領域を有する据え付け具、特に自動車用の据え付け具に関する。
【背景技術】
【0002】
このような据え付け具は、特に、車両室内裏張り用に一般的に知られている。例えば、自動車の側部領域の衝撃保護装置用の補強部品が、独国公開特許出願DE102004034124A1から知られており、補強部品は、互いに接続される棒から構成される骨組みを備える。棒は、この接続において、樹脂から作られ、且つハニカム構造に設計される。従来技術の欠点は、据え付け具と共にハニカム構造を製造する場合、少なくとも直接的に、ハニカム構造が前面(すなわち、ハニカム構造から離れた据え付け具の側面)に可視であることが避けられない点である。
【0003】
それ故、複数の機能、特に視覚的に審美的な機能に加えて制振(damping)機能を果たすことが可能であり、且つ軽量化、費用節減、軽量で且つ単純な態様で製造することが可能な据え付け具であって、第1部分領域及び一体的に接続される第2の部分領域を有する据え付け具、特には自動車用の据え付け具を提供することが本発明の目的である。
【発明の概要】
【0004】
目的は、第1部分領域が接続領域により第2部分領域に一体的に接続され、且つ第1部分領域が接続領域により第2部分領域に対して事前取り付けされ得るように提供される、第1部分領域及び第2部分領域を有する据え付け具、特には自動車用の据え付け具によって達成される。
【0005】
結果として、本発明によれば特に費用効率の優れた態様で、複数の異なる機能、特にこうした異なる機能を実装するために提供される事前取り付け、すなわち、自動車及び/又は自動車構成部品に据え付け具を取り付けるために、第2部分領域を折り畳むこと、を実現させる一体的構成部品を提供することが可能である。
【0006】
本発明によれば、接続領域によって、第1部分領域が、第2部分領域に対して移動可能に、特には折り畳み可能に提供されることが好ましい。結果として、特に単純且つ直感的な態様で、第1部分領域が第2部分領域に対して事前取り付けされることが可能であり、互いに対する部分領域の誤った位置決め及び/又は事前取り付けが、不可能であり且つ/又は最大限に可能な限り排除される。
【0007】
さらに、本発明によれば、第1部分領域及び/又は第2部分領域は、第2部分領域に対して第1部分領域を事前取り付けするために締結要素を備えることが好ましい。結果として、事前取り付けは、極めて単純且つ信頼性のある態様で行われることが可能であると共に、据え付け具の機能の全種類が実装されることが可能である。
【0008】
さらに、本発明によれば、事前取り付け状態において、第1部分領域が第2部分領域に対して不可逆的に配置されることが好ましい。結果として、事前取り付け後の第2部分領域に対する第1部分領域の配置のさらなる解除により引き起こされ得る機能不良が、他の場合には起こり得るが、実質的に回避され得る。さらに、結果として、据え付け具の取り付け中の誤りの可能性がさらに低減され、すなわち据え付け具の部分領域の誤使用及び/又は誤配置の可能性が著しく低減される。図示の第2部分領域に対する第1部分領域の不可逆接続及び/又は配置の代替として、本発明によれば、また必然的に好ましくは、部分領域が互いに対して可逆的に配置されることが提供され得る。これは、例えば、据え付け具の置換又は据え付け具の解体を必要とする、例えば修復作業等の場合に有利である。
【0009】
さらに、本発明によれば、第1部分領域が、主として被覆機能を有することが好ましい。結果として、据え付け具は特定の視覚的及び/又は審美的機能を果たさなければならず、特に少なくとも据え付け具の1側面及び/又は1側面の部分領域が、いわゆる可視面として提供され、すなわち、このような側面は、ユーザが車両内又は車両外の通常の場所に位置する場合に、当該ユーザ、特に車両ユーザにより観察され得るものである。
【0010】
本発明によれば、特に、事前取り付けされた状態の第2部分領域から離れた側面に、第1部分領域が可視面を有することがさらに好ましい。結果として、本発明によれば、ある程度は、互いに一体的に接続される2つの部分領域を製造すると共に視覚的に魅力的な可視面をも製造することが共に可能である。
【0011】
さらに、本発明によれば、第2部分領域が、主として吸収機能及び/又は制振機能を有することが特に好ましい。結果として、据え付け具の視覚的審美的機能とは別に、一体的な態様で安全機能が組み込まれてもよく、よって非常に費用効率が良く、その結果、自動車の安全性のレベルが全体的に、費用効率の良い態様で容易に増強され得る。
【0012】
第2部分領域は、ハニカム構造を有し且つ/又は接続領域は、フィルムヒンジとして提供されることが特に好ましい。結果として、吸収機能及び/又は制振機能並びに第2部分領域の容易な事前取り付けのための能力が、特に単純な態様で実装され得る。
【0013】
本発明のさらなる主題は、本発明による据え付け具を製造するための方法であって、第1部分領域及び第2部分領域が、実質的に同時に成形される。結果として、据え付け具の製造中の費用が特に節減されることが可能であり、さらに複数の機能を有する据え付け具が提供されることが可能である。さらに、この複数の機能を生成することにより、単一の据え付け具(一体的製造)によって、複数の部品数等の結果としての、何らかの不必要な運搬上の複雑さを必要としないことが保証され、しかし、機能を実装するために必要な構成部品数ひいては費用が低減され得る。
【0014】
本発明の例示的な実施形態が、図面で示されると共に、以下の記載でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】互いに対する第1位置における第1部分領域及び第2部分領域を有する本発明による据え付け具を示す。
【
図2】異なる部分視における、互いに対する2つの部分領域の異なる相対的な位置を示す。
【
図3】互いに対する部分領域の事前取り付けされた状態及び/又は事前取り付けされた調整位置における据え付け具を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1、2及び3では、第1部分領域1及び第2部分領域4を有する1つの各々の据え付け具10が示される。部分領域1、4は接続領域6によって互いに一体的に接続され、且つ部分領域1、4は、接続領域6によって互いに対して事前取り付けされ、特に折り畳まれることが可能なように提供される。結果として、本発明によれば、特に単純な態様で且つ比較的に費用効率良く、特に自動車の室内に、据え付け具10を提供することが可能であり、それは通常の座位又は観測及び/若しくは観察位置における自動車のユーザによって視認可能な前面並びに座席ユーザ及び/又は自動車ユーザの視界から隠された後面2を有し、据え付け具10の取り付け後、補強要素4が据え付け具10の第2部分領域4として後面2の領域に提供される。例えば、衝撃又はさらに音響振動等を吸収するための、補強又は制振要素が、事故の場合又は本体壁若しくは他の付属品及び/若しくは後部における、すなわち後面2に面する他の車両構造からの音響的干渉の場合にさえ、据え付け具10を、例えば支持し及び/又は音響的に絶縁し得る。この接続において、据え付け具10は、後面2に反対するその前面及び/又は可視面上に構造を有し、並びに/又は触覚に関する快適要件及び/若しくは座席ユーザ及び/若しくは車両ユーザの視覚的側面及び/若しくは美学に関する快適及び/若しくは審美的要件が考慮に入れられ得るように相応じて設計される。補強要素4(車両ユーザに視認可能でない)は、こうした審美的要件を満たす必要はないが、安定性、制振性等に関する他の要件を満たさなければならない。本発明によれば、構成部品の数を減らし且つ運搬要件及び取り付け費用を単純化するために、ひいては全体として自動車及び/又は自動車座席の費用効率の良い製造のために、据え付け具10は、第2部分領域4において補強要素4を一体的に取り囲む一体化された及び/又は一体的な据え付け具10として提供されることになる。この接続において、例えば、射出成形、ダイキャスト鋳造法等による樹脂部品の一体的な製造方法が参照されてもよい。取り付け状態において提供される第2部分領域4の位置における、本発明とは対照的に提供される、第2部分領域4の直接的取り付け及び/又は位置決めは、例えば、特に補強要素4及び/又は第2部分領域4の領域において、第1部分領域1の前面の視覚的品質が、スキンマーク、フローマーク又は他の模様により損なわれることにより、この場合は著しくより高費用又は複雑になり得る。
【0017】
本発明によれば、第1部分領域1及び第2部分領域4を有して費用効率良く且つ容易に製造することが出来る据え付け具10は、部分領域1、4が互いに接続されて接続領域6によって確実にされることにより製造されるが、製造中に比較的長い間隔である第1部分領域1及び第2部分領域4の位置のために、部分領域1、4を製造するための処理パラメータは、果たされる個々の部分領域1、4の機能性及び/又は機能と各々最適な態様で適合させられることが出来るように選択されても良い。特に、結果として、第1及び/又は第2部分領域1、4の成形がより大きな柔軟性を有して、例えば、第1部分領域1のアンダーカットが、第2部分領域4の近くに、後に位置決めされることが出来ることも可能であり、それは第1部分領域1に対する第2部分領域4の後の位置の厳密な点において第2部分領域4を製造する場合には不可能であろう。
【0018】
好ましくは、接続領域6の柔軟性のために、第2部分領域4は第1部分領域1に折り畳み可能に固定され、その結果第2部分領域4を折り畳むことによって第1部分領域1上に第2部分領域4の事前取り付けが可能になる。これは、複数の部分画像を参照して
図2に示される。
図2aでは、例えば、据え付け具10の成形工程中及び/又は製造工程中の場合における、互いに対する2つの部分領域の位置決めが示される。
図2b、2c及び2dでは、続いて、例示ではフィルムヒンジとして構成される、接続領域6についての第2部分領域4の折り畳みが示される。
図2a〜2dでは、
図2eに示される第1部分領域1に対する第2部分領域4のラッチ位置及び/又は事前取り付け位置において、第1部分領域1への第2部分領域4の締結、特にラッチが行われるように、それぞれ第1部分領域1又は第2部分領域4又は両方の部分領域1、4に配置される、複数の締結要素3が特に明確に観察出来る。第1部分領域1に対する第2部分領域4のこの事前取り付け状態は、
図3においても再度示され、さらに拡大される。第2部分領域4及び/又は補強要素4は、例えば、
図1に示されるハニカム構造5を有してもよく、それにより、例えば事故の場合に、エネルギーが変形により消散され得る。さらに、補強要素4及び/又は第2部分領域4は、ハニカム構造5の周囲に皿型構造を有しても良い。しかし、本発明によれば、ハニカム構造5が皿型構造に結合されないことも可能である。さらに、本発明によれば、後の第2部分領域4に対応する樹脂成形型の(不図示)の一部は、インサート並びに/又は補強及び/若しくは制振及び/若しくは吸収層並びに/又は対応材料が、第2部分領域4の事前取り付け状態における第1部分領域1に面する側、又は反対側(第2部分領域4の後面)上のいずれかに配置されるように、例えば制振材から作られ又は任意の他の機能を有するインサート等を備える。特に、第1部分領域1の後面2上の据え付け具10の製造及び/又は成形工程の間に形成されるハニカム構造5と共に、特にカバーの態様で設計される第1部分領域の比較的小さな厚みを有するこのハニカム構造5は、第1部分領域1の前側及び/又は可視側に突出するであろう。
【0019】
本発明によれば、据え付け具10の補強要素4及び/又は第2部分領域4は、フィルムヒンジとして構成される接続領域6によって第1部分領域1及び/又はカバー1に接続される。これは、射出成形によって、例えば、射出成形型(不図示)における、補強要素4のためのキャビティによって製造中に行われ、それはカバー1及び/又は第1部分領域のためのキャビティに隣接した位置、及び後の取り付け位置に対して180度回転された位置に配置され、両方のキャビティはフィルムヒンジ及び/又は接続領域6のための薄い凹所により接続される。このように型から製造された据え付け具を取り除いた後、補強要素4及び/又は第2部分領域4は(
図2aから
図2eによる動作順序に示されるように)、接続領域6のフィルムヒンジを折り曲げることにより、第1部分領域1の後面2上に折り畳まれ、且つ特に、ラッチフックとして構成される締結要素3によりそこにラッチされ得る。この状態で、第2部分領域4は、事前取り付けされ、このように事前取り付けされた据え付け具10は、続いて車両座席に及び/又は車両の任意の他の場所に結合されてもよい。
【0020】
本発明による据え付け具10の構造によって、特に単純且つ柔軟な態様で、据え付け具10の異なる領域の異なる機能的要件が考慮され、さらに据え付け具10の単純且つ費用効率の優れた製造能力が確保されることが可能であり、第1部分領域1に対する第2部分領域4の事前組み立て中の誤りの可能性が、例えば、1つのみの折り畳み方向及び/又は折り畳み動作が可能であることにより、さらに回避されることが可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 第1部分領域/カバー
2 後面
3 締結要素/ラッチフック
4 第2部分領域/補強要素
5 ハニカム構造
6 接続領域/フィルムヒンジ
10 据え付け具