(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
軌道上を走行可能な車体と、前記車体に少なくとも昇降動自在に設けられた昇降装置と、前記昇降装置の先端部に取り付けられて前記昇降装置の作動により昇降移動可能な作業台と、前記昇降装置を作動させる昇降アクチュエータと、前記車体の走行方向における前記車体の前部及び後部の少なくともいずれかに設けられた連結手段とを備えた軌道走行車両であって、前記連結手段により軌道上を走行可能な他車両を連結させた状態で軌道上を走行し、且つ軌道上において高所作業が可能な前記軌道走行車両において、
前記他車両は、前記他車両の位置を得るための情報を含む車両情報を有しており、
前記連結手段により前記他車両が連結された連結状態において、前記車両情報を前記他車両から取得する車両情報取得手段と、
前記車両情報取得手段により取得された前記車両情報に基づいて、前記昇降アクチュエータの作動による移動によって前記昇降装置及び前記作業台が前記他車両と干渉する虞のある干渉領域を設定する干渉領域設定手段と、
前記干渉領域設定手段により設定された干渉領域への前記昇降装置及び前記作業台の移動を規制するように前記昇降アクチュエータの作動を制御するアクチュエータ作動制御手段とを有して構成されることを特徴とする軌道走行車両。
軌道上を走行可能な車体と、前記車体に起伏、伸縮、旋回等の作動が自在に設けられたブームと、前記ブームを作動させるブームアクチュエータと、前記車体の走行方向における前記車体の前部及び後部の少なくともいずれかに設けられた連結手段とを備えた軌道走行車両であって、前記連結手段により軌道上を走行可能な他車両を連結させた状態で軌道上を走行し、且つ軌道上において高所作業が可能な前記軌道走行車両において、
前記他車両は、前記他車両の位置を得るための情報を含む車両情報を有しており、
前記連結手段により前記他車両が連結された連結状態において、前記車両情報を前記他車両から取得する車両情報取得手段と、
前記車両情報取得手段により取得された前記車両情報に基づいて、前記ブームアクチュエータの作動による移動によって前記ブームが前記他車両と干渉する虞のある干渉領域を設定する干渉領域設定手段と、
前記干渉領域設定手段により設定された干渉領域への前記ブームの移動を規制するように前記ブームアクチュエータの作動を制御するアクチュエータ作動制御手段とを有して構成されることを特徴とする軌道走行車両。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、起伏、伸縮、旋回等が可能なブームの先端に作業台が取り付けられて構成される車両や、ブームの先端に屈伸等が可能なアームが取り付けられ当該アームの先端に首振り動自在に作業台が取り付けられて構成される車両を上記のような連結手段により連結させて作業を行う場合、ブームを伸長等させることにより自車両のブーム又は作業台等が連結された他車両に干渉する虞が生じる。このように、ブーム等が設けられた軌道走行車両を連結させて作業を行う場合に備えて、複数の車両を連結可能な軌道走行車両に対しても干渉防止策を講じる必要があるという課題があった。
【0005】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、複数の車両を連結可能な軌道走行車両において、ブーム及び作業台と連結された他車両との干渉を未然に防止することが可能な軌道走行車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、第1の発明に係る軌道走行車両は、軌道上を走行可能な車体(例えば、実施形態における車体102)
と、車体に少なくとも昇降動自在に設けられた昇降装置(例えば、実施形態における昇降ポスト111)と、昇降装置の先端部に取り付けられて昇降装置の作動により昇降移動可能な作業台と、昇降装置を作動させる昇降アクチュエータ(例えば、実施形態における昇降シリンダ113)と、車体の走行方向における車体の前部及び後部の少なくともいずれかに設けられた連結手段とを備えた軌道走行車両であって、連結手段により軌道上を走行可能な他車両を連結させた状態で軌道上を走行
し、且つ軌道上において高所作業が可能な軌道走行車両において、
他車両は、他車両の位置を得るための情報を含む車両情報を有しており、連結手段により他車両が連結された
連結状態において、車両情報を
他車両から取得する車両情報
取得手段(例えば、実施形態における連結棒70及び連結手段80)と、車両情報
取得手段により
取得された
車両情報に基づいて、昇降
アクチュエータの作動に
よる移動によって昇降装置及び作業台が他車両
と干渉する虞のある干渉領域を設定する干渉領域設定手段(例えば、実施形態における干渉領域設定部164)と、干渉領域設定手段により設定された干渉領域への昇降装置及び作業台の移動を規制するように昇降アクチュエータの作動を制御するアクチュエータ作動制御手段(例えば、実施形態における作動制御部161)とを有して構成される。
上述の第1の発明に係る軌道走行車両において、昇降装置は車体の上部に設けられ、昇降アクチュエータの作動により作業台を車体の上部に対して垂直方向に昇降移動させる構成であることが好ましい。
【0007】
また、上記目的を達成するため、第2の発明に係る軌道走行車両は、軌道上を走行可能な車体(例えば、実施形態における走行体10)と、車体に起伏、伸縮、旋回等の作動が自在に設けられたブームと、ブームを作動させるブームアクチュエータ(例えば、実施形態におけるブーム旋回モータ23、ブーム起伏シリンダ24、及びブーム伸縮シリンダ31)と、車体の走行方向における車体の前部及び後部の少なくともいずれかに設けられた連結手段とを備えた軌道走行車両であって、連結手段により軌道上を走行可能な他車両を連結させた状態で軌道上を走行
し、且つ軌道上において高所作業が可能な軌道走行車両において、
他車両は、他車両の位置を得るための情報を含む車両情報を有しており、連結手段により他車両が連結された
連結状態において、車両情報を
他車両から取得する車両情報
取得手段(例えば、実施形態における連結棒70及び連結手段80)と、車両情報
取得手段により
取得された
車両情報に基づいて、ブーム
アクチュエータの作動に
よる移動によってブームが他車両
と干渉する虞のある干渉領域を設定する干渉領域設定手段(例えば、実施形態における干渉領域設定部64)と、干渉領域設定手段により設定された干渉領域へのブームの移動を規制するようにブームアクチュエータの作動を制御するアクチュエータ作動制御手段(例えば、実施形態における作動制御部61)とを有して構成される。
【0008】
また、第2の発明に係る軌道走行車両において、ブームの先端部に作業台が設けられ、干渉領域設定手段は、ブーム
アクチュエータの作動に
よる移動によってブーム及び作業台が他車両
と干渉する虞のある干渉領域を設定し、アクチュエータ作動制御手段は、干渉領域設定手段により設定された干渉領域へのブーム及び作業台の移動を規制するようにブームアクチュエータの作動を制御することが好ましい。
また、第2の発明に係る軌道走行車両において、ブームに、吊り上げ作業が可能な吊り上げ装置が設けられ、干渉領域設定手段は、ブームアクチュエータの作動による移動によってブーム及び吊り上げ装置が他車両と干渉する虞のある干渉領域を設定し、アクチュエータ作動制御手段は、干渉領域設定手段により設定された干渉領域へのブーム及び吊り上げ装置の移動を規制するようにブームアクチュエータの作動を制御することも好ましい。
【0009】
また、第1又は第2の発明に係る軌道走行車両において、
他車両(例えば、実施形態における軌陸作業車200)
は、軌道上を走行可能な車体と、車体に少なくとも昇降動自在に設けられた昇降装置と、昇降装置の先端部に取り付けられた作業台とを備えて構成され、車両情報取得手段は、連結状態において他車両の昇降装置の昇降作動情報を取得し、干渉領域設定手段は、車両情報取得手段により取得された他車両の昇降装置の昇降作動情報に基づいて、干渉領域を設定することが好ましい。
また、上記他車
両は、
軌道上を走行可能な車体と、車体に起伏、伸縮、旋回等の作動が自在に設けられたブー
ムとを備えて構成され、車両情報
取得手段は、連結
状態において他車両のブームの
起伏、伸縮、旋回等の作動情報を
取得し、干渉領域設定手段は、車両情報
取得手段により
取得された他車両のブームの
作動情報に基づいて、干渉領域を設定すること
も好ましい。
【0010】
そして、第1又は第2の発明に係る軌道走行車両において、
他車両は、走行方向における前部及び後部のいずれもが連結手段により連結可能に構成されており、車両情報
取得手段は、連結手段により連結された他車両の
自車両に対する向きを
取得し、干渉領域設定手段は、車両情報
取得手段により
取得された
他車両の自車両に対する向きに基づいて、干渉領域を設定することが好ましく、さらには、連結手段は、前後に延びた直線形状の連結部材(例えば、実施形態における連結棒70)を有し、連結部材により他車両を連結させるように構成され、干渉領域設定手段は、連結部材の前後方向の長さに基づいて、干渉領域を設定することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
以上、第1の発明に係る軌道走行車両では、連結手段により他車両が連結されたとき車両情報検出手段が他車両の車両情報を検出し、当該他車両の車両情報を基に干渉領域設定手段が干渉領域を設定し、当該干渉領域への作業台の移動を規制するように昇降装置作動制御手段が昇降装置の作動を制御するように構成されるため、自車両の作業台と連結された他車両との干渉を未然に防止することができる。
【0012】
また、第2の発明に係る軌道走行車両では、連結手段により他車両が連結されたとき車両情報検出手段が他車両の車両情報を検出し、当該他車両の車両情報を基に干渉領域設定手段が干渉領域を設定し、当該干渉領域へのブームの移動を規制するようにアクチュエータ作動制御手段がブームアクチュエータの作動を制御し、ブームの先端部に作業台が設けられる場合は、当該干渉領域へのブーム及び作業台の移動を規制するようにアクチュエータ作動制御手段がブームアクチュエータの作動を制御するように構成されるため、自車両のブームと連結された他車両との干渉を未然に防止することができる。
【0013】
また、第1又は第2の発明において、干渉領域設定手段が、他車両のブームの起伏量、伸縮量、及び旋回量、並びに作業台の位置に基づいて干渉領域を設定する場合、車両の向きに基づいて干渉領域を設定する場合、または連結部材の前後方向の長さに基づいて干渉領域を設定する場合は、干渉領域の設定の精度を高めることが可能になるため、例えば、作動を規制される干渉領域を狭めることができ、実際には他車両に干渉しない無駄な干渉領域を無くすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。本実施形態における第1の軌陸作業車1及び第2の軌陸作業車100(
図3等参照)は、乗用自動車が通る道路と電車等が通る軌道の両方を走行可能に構成され、軌道上の保線作業等を行うための作業用の車両である。まず、
図1を参照しながら第1の軌陸作業車1の構成について説明する。第1の軌陸作業車1は、タイヤ車輪(道路走行用車輪)11、運転者が搭乗する運転キャブ12、及び運転キャブ12の後方に設けられる車台13を有して構成されるトラック式の走行体10と、車台13上に設けられた旋回台20と、旋回台20から上方に延びて設けられた支柱21の上部にフートピン22を介して基端部が支持されたブーム(伸縮ブーム)30と、ブーム30の先端部に取り付けられた作業者搭乗用の作業台40とを有して構成される。
【0016】
走行体10の前後左右4箇所で各タイヤ車輪11の後方には前方鉄輪支持部材14及び後方鉄輪支持部材15が上下揺動自在に取り付けられており、これら前方及び後方鉄輪支持部材14,15の各々には前方鉄輪16及び後方鉄輪17が回転自在に取り付けられている。これら両鉄輪16,17は、車台13下部と前方鉄輪支持部材14及び後方鉄輪支持部材15との間に各々設けられた図示しない鉄輪張出格納用シリンダの作動により、下方への張り出し及び上方への格納が可能になっている。
【0017】
走行体10の下部には、走行体10を道路と軌道Rとの間で載せ換え移動するための転車台18が下方に突出して設けられている。この転車台18は内蔵された転車台張出格納用シリンダ(不図示)により下方への張り出し及び上方への格納が可能になっている。また、走行体10の前後左右4箇所には、高所作業時に走行体10を安定支持するアウトリガ19が設けられている。このアウトリガ19は下部操作装置(不図示)の操作により、各アウトリガ19内に設けられたジャッキシリンダを伸縮作動させて下方へ張り出させ、或いは上方へ格納させることができる。
【0018】
旋回台20は、運転キャブ12の後方位置に上下軸まわりに回動自在に取り付けられている。走行体10の内部には、ブーム旋回モータ(油圧モータ)23が設けられており、このブーム旋回モータ23を回転作動させることにより、図示しないギヤを介して旋回台20を水平旋回動させることができる。ブーム30は、基端ブーム30a、中間ブーム30b、及び先端ブーム30cが入れ子式に構成されており、内部に設けられたブーム伸縮シリンダ(油圧シリンダ)31の伸縮作動により各ブーム30a,30b,30cを相対的に移動させてブーム30全体を軸方向に伸縮動させることができる。また、基端ブーム30aと旋回台20の支柱21との間には、ブーム起伏シリンダ(油圧シリンダ)24が跨設されており、このブーム起伏シリンダ24を伸縮作動させることによりブーム30全体を起伏動させることができる。
【0019】
ブーム30(先端ブーム30c)の先端部には、作業台支持部材32が設けられている。この作業台支持部材32は、ブーム30の先端部に下端部が枢支された垂直部32aと、この垂直部32aの上部から水平に延びた水平部32bとからなり、垂直部32aが図示しないレベリング機構によりブーム30の起伏角度によらず常に垂直姿勢が保持されることにより、水平部32bの上面が常時水平姿勢となるようになっている。
【0020】
作業台支持部材32における水平部32bの上面には、作業台旋回プレート33が回動自在に設けられており、作業台40は、この作業台旋回プレート33の上面側に取り付けられている。作業台40は、作業台旋回プレート33に固定された床部41と、床部41の周囲から上方に延びて設けられた保護柵42とを有して構成されている。作業台旋回プレート33の内部には、作業台旋回モータ(油圧モータ)43が設けられており、この作業台旋回モータ43を回転作動させることにより作業台旋回プレート33を作業台支持部材32に対して旋回させて、作業台40全体を旋回動させることができる。ここで、上記のように作業台支持部材32の水平部32bは、レベリング機構によって常時水平姿勢が保たれるため、結果として作業台40の床部41はブーム30の起伏角度によらず常時水平姿勢に保持される。
【0021】
作業台40には、上部操作装置45が設けられており、ここにはブーム操作レバー46と作業台旋回レバー47とが設けられている(
図2参照)。ブーム操作レバー46は、前後及び左右方向への傾動操作と軸回り左右方向への捻り操作が可能であり、ブーム操作レバー46の前後方向への傾動操作により出力された操作信号はブーム30の起伏操作信号として、ブーム操作レバー46の左右方向への傾動操作により出力された操作信号はブーム30の伸縮操作信号として、またブーム操作レバー46の軸回り左右方向への捻り操作により出力された操作信号はブーム30の旋回操作信号として、それぞれ走行体10内に設けられたコントローラ60の作動制御部61に入力される。また、作業台旋回レバー47は、左右方向への傾動操作が可能であり、作業台旋回レバー47の左右方向への傾動操作により出力された操作信号は作業台40の旋回操作信号として作動制御部61に入力される。
【0022】
図2に示すように、ブーム旋回モータ23には第1制御バルブv1経由で、ブーム起伏シリンダ24には第2制御バルブv2経由で、ブーム伸縮シリンダ31には第3制御バルブv3経由で、作業台旋回モータ43には第4制御バルブv4経由で、走行体10に設けられた油圧ポンプPから吐出された圧油が供給されるようになっている。第1〜第4制御バルブv1〜v4は、いずれも電磁比例式の方向流量制御バルブであり、作動制御部61は上部操作装置45に備えられたブーム操作レバー46の操作により出力された上記操作信号に基づいて第1〜第3制御バルブv1〜v3の各スプール(不図示)を駆動するため、ブーム旋回モータ23、ブーム起伏シリンダ24、及びブーム伸縮シリンダ31は、それぞれブーム操作レバー46の各方向への操作状態に応じた方向及び速度で作動する。
【0023】
また、作動制御部61は、上部操作装置45に備えられた作業台旋回レバー47の操作により出力された操作信号に基づいて第4制御バルブv4のスプール(不図示)を駆動するため、作業台旋回モータ43は、作業台旋回レバー47の操作状態に応じた方向及び速度で作動する。このような構成により、作業台40に搭乗した作業者は、ブーム操作レバー46を操作してブーム30を旋回、起伏、及び伸縮させ、或いは作業台旋回レバー47を操作して作業台40を旋回させることで、自身が搭乗する作業台40を所望の位置に移動させることができる。
【0024】
また、本実施形態における第1の軌陸作業車1は、位置検出手段50を備え、この位置検出手段50によりブーム30及び作業台40の位置を検出することが可能となっている。位置検出手段50は、ブーム30の旋回台20に対する旋回角度を検出するブーム旋回角センサ51と、ブーム30の車台13に対する起伏角度を検出するブーム起伏角センサ52と、ブーム30の伸長量を検出するブーム伸長センサ53と、作業台40の作業台支持部材32に対する旋回角度(首振り角度)を検出する作業台旋回角センサ54とを備えて構成される。
【0025】
また、コントローラ60は、第1の軌陸作業車1の作動を統括的に制御する制御装置であり、
図2に示すように、上述した作動制御部61と、位置算出部62と、記憶部63と、干渉領域設定部64とを備えて構成される。ブーム旋回角センサ51、ブーム起伏角センサ52、ブーム伸長センサ53、及び作業台旋回角センサ54により検出された検出値は、位置算出部62に送信され、位置算出部62は、上記各センサ51〜54による検出値に基づいて走行体10に対するブーム30及び作業台40の位置を算出する。記憶部63は、後述する連結手段80を介して得た情報を記憶するために設けられる。なお、干渉領域設定部64は、後述する連結棒70及び連結手段80を介して第1の軌陸作業車1に連結される相手車両に干渉する虞がある干渉領域を設定するために設けられるが、干渉領域設定部64の機能及び作用については後に詳述する。
【0026】
ところで、第1の軌陸作業車1は、
図1に示すように軌道R上で1台のみで作業を行うことも当然可能であるが、軌道上で行う架線の延線・巻取りのような作業を行う場合は、例えば
図3に示すように、他の軌陸作業車を連結させた状態で作業を行うことが多い。第1の軌陸作業車1には、様々な車種の軌陸作業車を連結させることが可能であるが、以下では、後述するドラム駆動装置120を備えた第2の軌陸作業車100を第1の軌陸作業車1に連結させる例について説明する。まず、第2の軌陸作業車100の構成について以下で説明する。
【0027】
第2の軌陸作業車100は、車体102に設けられた運転キャブ102aを有するトラック車両をベースとして構成されており、車体102の前後左右の4箇所に取り付けられたタイヤ車輪103により道路上を走行することができる。また、各タイヤ車輪103の後側には、軌道走行用の鉄輪104が、車体102に揺動自在に支持されており、鉄輪張出格納シリンダ(不図示)の伸縮作動に鉄輪104を揺動させて下方に張り出したり上方に格納したりできるように構成されている。また、第2の軌陸作業車100は、前側の2つ(左右)の鉄輪104にそれぞれ接続された鉄輪駆動油圧モータ108により鉄輪104を回転駆動して軌道R上を自走可能に構成されている。なお、車体102の中央下部には、第1の軌陸作業車1の転車台18と同様、第2の軌陸作業車100を軌道R上へ載せ換え移動させるための転車台106が設けられている。
【0028】
車体102の上部には、高所作業装置110、ドラム駆動装置120、及び中央キャビン130が設けられている。高所作業装置110は、運転キャブ102aの後側で垂直に立設された入れ子式に伸縮自在な昇降ポスト111と、この昇降ポスト111の上部に取り付けられた作業者搭乗用の作業台112とを有し、昇降ポスト111に内蔵された
図4に示す昇降シリンダ113の伸縮作動により作業台112を昇降移動させることができる。作業台112内には、作業台112の昇降移動を操作するための昇降操作装置114が設けられている。なお、
図4に示すように、昇降シリンダ113には第5制御バルブv5経由で、車体102に設けられた油圧ポンプP′から吐出された圧油が供給されるようになっている。第5制御バルブv5は電磁比例式の方向流量制御バルブであり、後述する作動制御部161が昇降操作装置114の操作により出力された操作信号に基づいて第5制御バルブv5の各スプール(不図示)を駆動するため、昇降シリンダ113は昇降操作装置114の操作状態に応じた速度で作動する。
【0029】
ドラム駆動装置120は、外周部に架線を巻き付けるドラム121を回転駆動して架線の繰出し・巻取りを行うように構成される。ドラム駆動装置120では、第2の軌陸作業車100が前方に走行しながらドラム121を巻取り方向(
図3における時計回り)に回転させて第2の軌陸作業車100の前方上方からの架線をドラム121に巻き取るように作動する。また、架線を繰出すときには、架線が巻き付けられたドラム121を繰出し方向の逆方向(
図3における反時計回り)に回転させて、架線をドラム121から第2の軌陸作業車100の後方上方に繰出すように作動する。
【0030】
また、中央キャビン130は、高所作業装置110とドラム駆動装置120の間に設けられ作業者が搭乗可能な操作室であり、その内部には第2の軌陸作業車100の軌道R上での走行操作を行うための走行操作装置(不図示)と、高所作業装置110やドラム駆動装置120等車体102上に配設された各装置の作業操作を行うための作業操作装置(不図示)とが配設されている。
【0031】
また、第2の軌陸作業車100は、
図4に示すように、上述した昇降シリンダ113及び昇降操作装置114のほか、昇降シリンダ伸長量検出センサ150及びコントローラ160を備える。なお、
図4は、第2の軌陸作業車100と上述した第1の軌陸作業車1とを後に詳述する連結棒70及び連結手段80により連結させた際におけるブロック図である。コントローラ160は、第1の軌陸作業車1のコントローラ60と同様、作動制御部161、位置算出部162、記憶部163、及び干渉領域設定部164を備えて構成される。また、昇降シリンダ伸長量検出センサ150により検出された昇降シリンダ113の伸長量の値は位置算出部162に送信され、位置算出部162は受信した伸長量に基づいて車体102に対する作業台112の高さ位置を算出する。なお、干渉領域設定部164は、後述する連結棒70及び連結手段80を介して第2の軌陸作業車100に連結される他車両に干渉する虞がある干渉領域を設定するために設けられるが、干渉領域設定部164の機能及び作用については後に詳述する。
【0032】
以上のように構成される第2の軌陸作業車100と第1の軌陸作業車1とは、連結棒70及び各作業車の前後に配設された連結手段80を用いて連結される。連結棒70は、容易に曲がったり伸縮したりしない金属製の棒状部材からなり、第1の軌陸作業車1に設けられた連結手段80と第2の軌陸作業車100に設けられた連結手段80とに架設して固定される。連結棒70の内部には、車両間にて各々の車両情報を相互通信可能とするための通信ケーブル(不図示)が設けられており、連結棒70を用いて第1の軌陸作業車1と第2の軌陸作業車100とが連結されると、この通信ケーブルを介して第1の軌陸作業車1は第2の軌陸作業車100の車両情報を、第2の軌陸作業車100は第1の軌陸作業車1の車両情報を、それぞれ取得することができる。このように連結棒70及び連結手段80を介して得られる車両情報としては、車種に関する情報(例えば作業台を備えた高所作業車なのかクレーン車なのか等を示す情報)や、車両の大きさに関する情報が含まれる(後に詳述)。また、第1の軌陸作業車1と第2の軌陸作業車100とを連結棒70及び連結手段80により連結させたときには、上記連結させた車両に関する車両情報に加え、連結棒70の前後方向の長さを含む連結棒70の種類に関する情報が連結棒70から第1の軌陸作業車1及び第2の軌陸作業車100に送信される。なお、第1の軌陸作業車1が連結手段80を介して得た情報は、コントローラ60の記憶部63に保存され、第2の軌陸作業車100が連結手段80を介して得た情報は、コントローラ160の記憶部163に保存される(
図4参照)。
【0033】
連結手段80は、連結棒70を固定するための固定金具(不図示)と、この固定金具に連結棒70が取り付けられて他車両が連結されたか否かを検出する連結検出器(不図示)とを有して構成され、第1の軌陸作業車1及び第2の軌陸作業車100の前部及び後部にそれぞれ設けられている。連結検出器は、上記通信ケーブルと接続可能な連結コネクタ82(
図5参照)を有して構成され、このコネクタに通信ケーブルが接続されると、他車両が連結された旨の検出信号(車両連結信号)が自車両に出力されるようになっている。連結コネクタ82は、
図5に示すように、自車両の前後に他車両の前部及び後部のいずれが連結されているか(自車両の前後連結状態)を検出するために、前部検出用の第1ポートAと、後部検出用の第2ポートBと、その他の情報通信用の第3ポートCとを有して構成されている。この3つのポートに対応して連結棒70内の通信ケーブルも3本の信号線を備えている。
【0034】
コントローラ60及び160は、車両前後の連結検出器から入力される車両連結信号に基づいて、当該連結手段80において他車両が連結されているか否かを認識するとともに、連結を認識すると他車両のコントローラに対して連結認識信号を出力する。このとき、車両前部の連結手段80においては連結コネクタ82の第1ポートAを介して連結認識信号が他車両に出力され、車両後部の連結手段80においては連結コネクタ82の第2ポートBを介して連結認識信号が他車両に出力されるようになっている。このポートの違いにより、第1の軌陸作業車1及び第2の軌陸作業車100は、相手の車両の前後のいずれが連結されているかを認識することができる。
【0035】
以上、連結棒70及び連結手段80を用いて第1の軌陸作業車1及び第2の軌陸作業車100には他車両を連結させることが可能であるが、第1の軌陸作業車1は、上述したように、起伏、伸縮、及び旋回が自在なブーム30と作業台40とを備え、例えば、
図3に示すように第1の軌陸作業車1の後方に第2の軌陸作業車100を連結させて作業を行う場合において、第1の軌陸作業車1のブーム30及び作業台40を後方に起伏及び伸長させた場合、第1の軌陸作業車1のブーム30又は作業台40が後方の第2の軌陸作業車100に干渉する虞があるという問題がある。また、例えば
図6(b)に示すように、第1の軌陸作業車1のブーム30及び作業台40を後方に伸長等させた状態においてその後方に第2の軌陸作業車100を連結させた場合、第2の軌陸作業車100の作業台112が、その上下移動により前方の第1の軌陸作業車1のブーム30等に干渉する虞があるという問題もある。
【0036】
そこで、本実施形態における第1の軌陸作業車1は、連結された他車両に干渉する虞がある干渉領域を設定し、当該干渉領域へのブーム30及び作業台40の侵入を規制し、第2の軌陸作業車100も第1の軌陸作業車1と同様の干渉領域を設定し、当該干渉領域への作業台112の侵入を規制することにより上記の問題を解決している。具体的には、連結棒70及び連結手段80により得られ記憶部63及び163に記憶される他車両の情報を用いて、干渉領域設定部64及び164が連結された他車両に干渉する虞のある3次元領域である干渉領域を設定する。そして、作動制御部61が設定された干渉領域内へのブーム30及び作業台40の移動を規制するように第1〜第4制御バルブv1〜v4の作動をコントロールし、作動制御部161が設定された干渉領域内への作業台112の移動を規制するように第5制御バルブv5の作動をコントロールする。
【0037】
このため、例えば第1の軌陸作業車1の後方に第2の軌陸作業車100を連結させた場合においては、上述したように第1の軌陸作業車1は第2の軌陸作業車100の車両情報を、第2の軌陸作業車100は第1の軌陸作業車1の車両情報をそれぞれ取得するが、取得した車両情報には、連結された相手車両の運転キャビンや車台の位置、大きさ等干渉領域の設定に必要な車両の外観に関する情報が含まれる。そして、第1の軌陸作業車1は取得した第2の軌陸作業車100の車両情報を記憶部63に、第2の軌陸作業車100は取得した第1の軌陸作業車1の車両情報を記憶部163に記憶させる。その後、干渉領域設定部64は記憶部63に記憶されている作業台112及び車体102等の位置情報を含む車両情報に基づいて例えば
図5(a)又は(b)に示すように干渉領域W1を設定し、干渉領域設定部164は記憶部163に記憶されているブーム30、作業台40、及び走行体10の位置情報を含む車両情報に基づいて例えば
図5(a)又は(b)に示すように干渉領域W2を設定する。
【0038】
そして、第1の軌陸作業車1の作動制御部61はブーム操作レバー46及び作業台旋回レバー47の操作に応じて各アクチュエータ(ブーム旋回モータ23、ブーム起伏シリンダ24、ブーム伸縮シリンダ31、及び作業台旋回モータ43)の作動をコントロールするが、このとき、各アクチュエータの作動のうちブーム30又は作業台40を干渉領域W1内に侵入させるアクチュエータの作動を規制する。例えば
図5(a)又は(b)に示す状態である場合、ブーム30の伸長作動、及びブーム30の縮小を伴わないブーム30の倒伏作動を規制する。
【0039】
また、第2の軌陸作業車100の作動制御部161は昇降操作装置114の操作に応じて昇降シリンダ113の作動をコントロールするが、設定された干渉領域W2が作業台112の移動範囲内に含まれる場合、作業台112を干渉領域W2内に侵入させる昇降シリンダ113の作動を規制する。例えば
図5(b)に示すように作業台112の上方に干渉領域W2が存在する場合、作業台112の上方移動を規制する。このため、第1の軌陸作業車1のブーム30や作業台40が連結された第2の軌陸作業車100に干渉したり、第2の軌陸作業車100の作業台112が第1の軌陸作業車1に干渉したりする事態を未然に防止することができる。
【0040】
以上のように、本実施形態の第1の軌陸作業車1及び第2の軌陸作業車100においては、連結棒70及び連結手段80を介して取得した連結された相手車両の車両情報に基づいて干渉領域設定部64及び164が干渉領域W1及びW2を設定し、作動制御部61が干渉領域W1へのブーム30及び作業台40への侵入を規制し、作動制御部161が干渉領域W2への作業台112の侵入を規制することにより、干渉する事態を防止して車両連結時における作業の安全性を高めることができる。しかし、干渉領域設定部64及び164による干渉領域の設定方法は上記に限定されない。そこで、以下で上記干渉領域の設定方法の変形例について第1〜第3変形例を挙げて説明する。まずは、第1変形例について説明する。第1変形例は、第1の軌陸作業車1と同様の構成、すなわち、起伏、伸縮、旋回等の作動が可能なブーム230と、作業台240とを備えた軌陸作業車200を例に挙げて、
図6(c)に示すように、軌陸作業車200を第1の軌陸作業車1に連結させる場合を例として説明する。
【0041】
軌陸作業車200は、
図7に示すように、第1の軌陸作業車1と同様、ブーム操作レバー246、作業台旋回レバー247、各アクチュエータ(ブーム旋回モータ223、ブーム起伏シリンダ224、ブーム伸縮シリンダ231、及び作業台旋回モータ243)、位置検出手段250(ブーム旋回角センサ251、ブーム起伏角センサ252、ブーム伸長センサ253、及び作業台旋回角センサ254)、並びにコントローラ260を備える。そして、コントローラ260は、第1の軌陸作業車1と同様、作動制御部261、位置算出部262、記憶部263、及び干渉領域設定部264を備えて構成される。作動制御部261は、ブーム操作レバー246及び作業台旋回レバー247の操作に応じて上記各アクチュエータの作動をコントロールする。
【0042】
また、連結棒70及び連結手段80を介して第1の軌陸作業車1に軌陸作業車200を連結させた場合は、
図7に示すように、第1の軌陸作業車1は軌陸作業車200の記憶部263の情報を、軌陸作業車200は記憶部63の情報を、それぞれ取り込むことができるように構成されている。そして、第1の軌陸作業車1の干渉領域設定部64は、軌陸作業車200の位置検出手段250により検出され連結棒70及び連結手段80を介して記憶部63に取り込まれたブーム230及び作業台240の位置情報に基づいて、例えば
図6(c)に示すように干渉領域W1を設定する。一方、軌陸作業車200の干渉領域設定部264は、第1の軌陸作業車1の位置検出手段50により検出され連結棒70及び連結手段80を介して記憶部263に取り込まれたブーム30及び作業台40の位置情報に基づいて、干渉領域W2を設定する。そして、第1の軌陸作業車1は、ブーム30及び作業台40を干渉領域W1内に侵入させるアクチュエータの作動を規制し、軌陸作業車200は、ブーム230及び作業台240を干渉領域W2内に侵入させるアクチュエータの作動を規制する。
【0043】
以上、第1変形例の場合、第1の軌陸作業車1及び軌陸作業車200が、
図6(c)に示すように、互いにブーム及び作業台の位置を検出して、この検出したブーム及び作業台の位置に基づいて互いに干渉領域を設定する。従って、連結された相手車両のブーム及び作業台の位置も考慮に入れて干渉領域を設定することが可能となり、より精度の高い干渉領域の設定ができる。なお、相手車両のブーム及び作業台の位置情報の取り込み及び干渉領域の設定については所定時間毎に行ってもよいし、また、車両連結時に相手車両のブームの起伏範囲、伸縮範囲、及び旋回範囲、並びに作業台の旋回範囲に関する情報を取り込んで、当該情報に基づいて連結直後に干渉領域の設定を行うようにしてもよい。後者の場合、干渉領域が広くなるため自車両のブーム及び作業台の移動範囲が狭くなるが、より安全性を高めることが可能になるとともに、随時位置情報の取り込み及び干渉領域の設定を行う必要がなくなるため、コントローラ60,260の負荷の増大を抑制させることができるという利点が得られる。
【0044】
また、干渉領域の設定方法の第2変形例について説明する。第2変形例は、連結された相手車両の車両の向きに基づいて干渉領域を設定する例である。第2変形例も第1変形例と同様第1の軌陸作業車1に軌陸作業車200を連結させる例を用いて説明する。上述したように第1の軌陸作業車1は連結手段80における連結コネクタ82のポートの違いにより、相手車両の前後のいずれが連結されているかを認識することができる。すなわち、第1の軌陸作業車1と軌陸作業車200との連結時において、第1の軌陸作業車1は軌陸作業車200の車両の向きに関する情報を連結棒70及び連結手段80を介して記憶部63に取り込み、軌陸作業車200は第1の軌陸作業車1の車両の向きに関する情報を連結棒70及び連結手段80を介して記憶部263に取り込む。また、第1の軌陸作業車1の干渉領域設定部64は記憶部63に記憶されている軌陸作業車200の向き及び位置情報に基づいて干渉領域W1を設定し、軌陸作業車200の干渉領域設定部264は記憶部263に記憶されている軌陸作業車1の向き及び位置情報に基づいて干渉領域W2を設定する。そして、互いの作動制御部61,261は、自車両のブーム及び作業台を干渉領域W1又はW2へ侵入させるアクチュエータの作動を規制する。
【0045】
以上、第2変形例の場合、第1の軌陸作業車1及び軌陸作業車200が、互いに相手車両の車両の向きを検出して、この検出した相手車両の向き及び位置情報に基づいて干渉領域を設定する。従って、相手車両の作動装置の作動範囲が車両の向きにより異なることも考慮に入れて干渉領域を設定することが可能となる。具体的には、例えば、第1の軌陸作業車1の後部と軌陸作業車200の前部を連結させた場合と、第1の軌陸作業車1の後部と軌陸作業車200の後部を連結させた場合とでは、相手車両のブーム及び作業台の作動範囲が異なる。そこで、第2変形例を採用した場合は、
図6(c)及び(d)に示すように、相手車両の向きにより異なる干渉領域W1及びW2を設定することができ、干渉領域の設定の精度を上げることが可能となる。
【0046】
さらに、干渉領域の設定方法の第3変形例について説明する。第3変形例は、連結棒70の前後方向の長さに基づいて干渉領域を設定する例である。第3変形例も第1及び第2変形例と同様、第1の軌陸作業車1に軌陸作業車200を連結させる例について説明する。上述したように第1の軌陸作業車1は連結棒70の前後方向の長さを認識することができる。すなわち、連結棒70による車両連結時において、第1の軌陸作業車1及び軌陸作業車200は、連結棒70の長さに関する情報を自車両の記憶部63及び263に取り込む。また、第1の軌陸作業車1の干渉領域設定部64は記憶部63に記憶されている連結棒70の長さ及び軌陸作業車200の位置情報に基づいて干渉領域W1を設定し、軌陸作業車200の干渉領域設定部264は記憶部263に記憶されている連結棒70の長さ及び第1の軌陸作業車1の位置情報に基づいて干渉領域W2を設定する。そして、互いの作動制御部61,261は、自車両のブーム及び作業台を干渉領域W1又はW2へ侵入させるアクチュエータの作動を規制する。
【0047】
以上、第3変形例の場合、第1の軌陸作業車1及び軌陸作業車200が、互いに連結棒70の長さを検出して、この検出した連結棒70の長さ及び相手車両の位置情報に基づいて互いに干渉領域を設定する。従って、相手車両の作動装置の相対位置が連結棒の長さにより異なることも考慮に入れて干渉領域を設定することが可能となる。具体的には、例えば、
図6(d)に示すように第1の軌陸作業車1及び軌陸作業車200を連結棒70で連結させる場合と、
図6(e)に示すように連結棒70より所定量だけ長い連結棒70′で連結させる場合とでは、相手車両のブーム及び作業台の相対位置が異なる。そこで、第3変形例を採用した場合は、連結棒の前後方向の長さにより異なる干渉領域W1及びW2を設定することができ、干渉領域の設定の精度を上げることが可能となる。
【0048】
以上、干渉領域の設定方法の第1〜第3変形例について説明したが、これらの変形例は単独で採用することもできるし、または共に採用することもできる。ただし、第1〜第3変形例を全て採用した場合は、相手車両のブーム及び作業台の位置、車両の向き、並びに連結棒の長さの全てを基礎として干渉領域を設定することができるため、干渉領域の設定の精度を高めることが可能となる。また、上記では第1〜第3変形例について、第1の軌陸作業車1と軌陸作業車200とを連結させた例として説明したが、第1〜第3変形例を採用可能な車種は上記に限定されることはなく、例えば第2の軌陸作業車100と軌陸作業車200とを連結させる場合でも採用可能である。
【0049】
以上、上述した実施形態においては、第1の軌陸作業車1と第2軌陸作業車100とを、また、第1の軌陸作業車1と軌陸作業車200とを、連結棒70及び連結手段80を介して連結させて、相手車両の位置情報等に基づいて干渉領域を設定し当該干渉領域へのブーム及び作業台の侵入を規制することにより、自車両のブーム及び作業台が連結された他車両へ干渉する問題の発生を未然に防止することができる。しかし、本発明の適用対象となる軌陸作業車の種類は、起伏、伸縮、旋回等の作動が可能なブーム、及び作業台を備えた軌陸作業車1又は200や、上下に昇降可能な作業台112を備えた軌陸作業車100に限定されることはなく、例えば、ブームの先端部にブームに対して屈伸動自在な屈伸アームを備え当該屈伸アームの先端部に作業台が取り付けられる構成の軌陸作業車、軌道走行のみを行う軌道走行用車両、又は軌道走行が可能な作業台を有さないクレーン車等に対しても応用可能である。
【0050】
ここで、例えば
図6(f)に示すように、車体に対して起伏及び伸縮等が可能なブーム171と、ブーム171に沿って張られたワイヤの一端に取り付けられたフック172と、ブーム171の基端部に設けられワイヤの他端の巻き取り或いは繰り出しを行うウインチ173とを備え、軌道上を走行可能なクレーン車170にも本発明を応用させることができる。すなわち、クレーン車170について、第1の軌陸作業車1におけるブーム30及び作業台40の位置検出手段50と同様に、上記ワイヤの巻き取り或いは繰り出し量からフック172の車体に対する位置を検出し、当該フックの位置情報を連結車両間で連結棒70を介して相互通信することも可能である。そして、例えば
図6(f)に示すように、第2の軌陸作業車100をクレーン車170に連結させたときに、第2の軌陸作業車100の干渉領域設定部164がフック172の位置情報に基づいて干渉領域W3を設定することも可能であり、また、クレーン車170が第2の軌陸作業車100の車両情報に基づいて干渉領域W4を設定し、フック172の干渉領域W4への侵入を規制するように、ウインチ173の作動を制御することも可能である。なお、クレーン車170と第1の軌陸作業車1とを連結させた場合にも、上記同様の効果を得ることができる。
【0051】
なお、上記では第1の軌陸作業車1の後方に第2の軌陸作業車100又は軌陸作業車200を連結させる例、またクレーン車170の後方に第2の軌陸作業車100を連結させる例についてのみ説明したが、軌陸作業車の前方、又は前後両方に他の軌陸作業車を連結させる場合でも本発明は適用可能であり、連結させる車両の向き、台数によらず上記同様の効果が得られる。
【0052】
また、上述した実施形態では、記憶部に記憶される相手車両のブーム及び作業台等の位置情報、相手車両の向き、及び連結棒の前後方向の長さに基づいて干渉領域を設定する例について説明したが、干渉領域を設定する基礎とする情報は上記に限定されない。すなわち、例えばブームに対して屈伸動が可能な屈伸アームを備えた軌陸作業車を連結させる場合は、アームの屈伸量等も干渉領域の設定の基礎とすることができる。また、連結対象の車両の車種とそれに対応する干渉領域を予め記憶部に記憶させておき、連結時に相手車両の車種のみに基づいて干渉領域を設定するようにしてもよく、この場合車種のみを通信させることで容易に干渉領域を設定できるため、コントローラの負荷の増大を抑制させることができる。
【0053】
そして、上述した実施形態では、作動制御部が自車両のブーム及び作業台の干渉領域への侵入を規制する例について説明したが、ブザー又はランプ等の警報手段をブーム操作レバー及び作業台旋回レバーの近傍等に設けて、上記侵入を規制するとともに、自車両のブーム又は作業台等が干渉領域の近くに移動したときに警報手段により作業者に注意を促すようにしてもよい。