(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パッキンおよび前記パッキン溝は、前記ジャックハウジングおよび前記プラグハウジングが浅く嵌合したときに嵌り合う第一パッキンおよび第一パッキン溝と、前記ジャックハウジングおよび前記プラグハウジングが深く嵌合したときに嵌り合う第二パッキンおよび第二パッキン溝と、を有することを特徴とする請求項4に記載の太陽電池モジュールのコネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
所謂メガソーラーシステムと呼ばれる1MWを越える太陽光発電システムは、数十Wの発電能力を有する太陽電池モジュールを数千枚以上組み合わせる太陽電池アレイを備える。メガソーラーシステムのように大量の太陽電池モジュールを備える太陽光発電システムの場合、先ず太陽電池モジュールを支持台に設置する作業(設置作業)を数日に渡って連続して行い、この後、支持台に設置した太陽電池モジュール間のコネクタを接続して(コネクタ接続作業)太陽電池ストリングの全部または一部を組み立て、これらの作業を繰り返して太陽電池アレイを完成する。
【0010】
ところで、太陽光発電システムを海の沿岸地区に建設する場合、太陽電池モジュールが晒される雰囲気は、海塩粒子の密度が高く、かつ湿度が高い。このような場所にコネクタを未接続の太陽電池モジュールを1日ないし数日間放置(例えば、メガソーラーシステムにおける設置作業からコネクタ接続作業までの期間)すると、コネクタの内部に海塩粒子が付着し、この海塩粒子が空気中の湿度によって粘着して残存したままコネクタを接続してしまう虞がある。
【0011】
内部に海塩粒子が残存したままでコネクタを接続すると、コネクタ内の接点や、接点に接続するケーブルの導線、これらの周囲の部材に錆や腐食などの劣化が生じる。これらの劣化は、太陽電池モジュール間の導通抵抗の不良、太陽電池モジュールの絶縁抵抗の不良を招き、短絡や発熱の発生、発熱にともなう樹脂部分の劣化を生じさせる。樹脂部分の劣化が進行すると、樹脂部分の硬化、ひび割れ、炭化、これらからの水分の侵入、焼損に至る虞もある。
【0012】
一方、隣り合う太陽電池モジュール間においてコネクタを接続する以前(すなわち、コネクタ接続作業以前)、単一の太陽電池モジュールにおいて正極コネクタと負極コネクタとを接続しておくことで、コネクタの内部に対する海塩粒子の付着を防ぐことができる。なお、従来の太陽電池モジュールのコネクタは、正極コネクタと負極コネクタとを接続するとコネクタ内の接点も電気的に接続する。
【0013】
ところが、正極コネクタと負極コネクタとを接続した太陽電池モジュールは、光を受けると出力短絡の状態となる。結晶系の太陽電池を備える太陽電池モジュールの短絡電流は、太陽電池が最大電力を発生する時の最適動作電流の1.2倍程度以下であり、その大きさ自体は余り問題にならない。しかし、短絡電流が流れている状態でコネクタの接続を解除、すなわち接点間の接続を解除すると、局部的なアーク放電を発生して接点が損傷してしまい、再接続が阻害される虞がある。他方、アモルファス系の太陽電池を備える太陽電池モジュールは、最適動作電流に対する短絡電流の比が大きい場合、太陽電池自体の劣化を速める可能性があり好ましくない。
【0014】
また、海塩粒子の侵入防止のためにコネクタにコネクタキャップを装着しておくこともできるが、コネクタを接続した後、コネクタキャップは太陽電池モジュールの2倍の数量からなる廃棄物になるため、やはり好ましくない。
【0015】
そこで、本発明は、太陽電池モジュールを出力短絡の状態にすることなく、コネクタの内部に海塩粒子などの異物が侵入し難い太陽電池モジュールおよび太陽電池モジュールのコネクタ提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記の課題を解決するため本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールのコネクタは、一の太陽電池モジュールと他の太陽電池モジュールとを電気的に接続して太陽電池アレイとなる太陽電池モジュールのコネクタにおいて、電気的に接続する複数の太陽電池セルを有する太陽電池モジュールの正極または負極のいずれか一方に電気的に接続する第一接点と、前記第一接点を囲むジャックハウジングと、前記太陽電池モジュールの正極または負極のいずれか他方に電気的に接続する第二接点と、前記第二接点を囲むとともに、前記ジャックハウジングと協働して前記第一接点および前記第二接点を非導通状態かつ略
水密に覆う第一嵌合状態
と、前記第一接点および前記第二接点を導通状態かつ略
水密に覆う第二嵌合状態
との2つの状態で前記ジャックハウジングに嵌合可能なプラグハウジングと、
前記ジャックハウジングの外周に突出するピンと、を備え
、前記プラグハウジングは、前記ジャックハウジングの嵌合にともない前記ピンが嵌入する溝を有し、前記溝は、前記ジャックハウジングが浅い嵌合位置で一旦停止するよう前記ピンに突き当たる屈折部を有して前記第一嵌合状態を保つ第一溝部と、前記第一溝部に連続して前記ジャックハウジングを前記第二嵌合状態に導く第二溝部と、を有することを特徴とする。
また、本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールのコネクタは、一の太陽電池モジュールと他の太陽電池モジュールとを電気的に接続して太陽電池アレイとなる太陽電池モジュールのコネクタにおいて、電気的に接続する複数の太陽電池セルを有する太陽電池モジュールの正極または負極のいずれか一方に電気的に接続する第一接点と、前記第一接点を囲むジャックハウジングと、前記太陽電池モジュールの正極または負極のいずれか他方に電気的に接続する第二接点と、前記第二接点を囲むとともに、前記ジャックハウジングと協働して前記第一接点および前記第二接点を非導通状態かつ略気密に覆う第一嵌合状態と、前記第一接点および前記第二接点を導通状態かつ略気密に覆う第二嵌合状態との2つの状態で前記ジャックハウジングに嵌合可能なプラグハウジングと、前記ジャックハウジングの外周に突出するピンと、を備え、前記プラグハウジングは、前記ジャックハウジングの嵌合にともない前記ピンが嵌入する溝を有し、前記溝は、前記ジャックハウジングが浅い嵌合位置で一旦停止するよう前記ピンに突き当たる屈折部を有して前記第一嵌合状態を保つ第一溝部と、前記第一溝部に連続して前記ジャックハウジングを前記第二嵌合状態に導く第二溝部と、を有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールは、一の太陽電池モジュールと他の太陽電池モジュールとを電気的に接続して太陽電池アレイとなる太陽電池モジュールにおいて、前記太陽電池モジュールの正極または負極のいずれか一方に電気的に接続する第一接点と、前記第一接点を囲むジャックハウジングと、前記太陽電池モジュールの正極または負極のいずれか他方に電気的に接続する第二接点と、前記第二接点を囲むとともに、前記ジャックハウジングと協働して前記第一接点および前記第二接点を非導通状態かつ略気密に覆う第一嵌合状態
と、前記第一接点および前記第二接点を導通状態かつ略気密に覆う第二嵌合状態
との2つの状態で前記ジャックハウジングに嵌合可能なプラグハウジングと、
前記ジャックハウジングの外周に突出するピンと、を備え
、前記プラグハウジングは、前記ジャックハウジングの嵌合にともない前記ピンが嵌入する溝を有し、前記溝は、前記ジャックハウジングが浅い嵌合位置で一旦停止するよう前記ピンに突き当たる屈折部を有して前記第一嵌合状態を保つ第一溝部と、前記第一溝部に連続して前記ジャックハウジングを前記第二嵌合状態に導く第二溝部と、を有することを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールは、一の太陽電池モジュールと他の太陽電池モジュールとを電気的に接続して太陽電池アレイとなる太陽電池モジュールにおいて、前記太陽電池モジュールのコネクタと、前記コネクタを嵌合すると前記正極コネクタの接点を非導通状態かつ略気密に覆うよう前記太陽電池モジュールに設けられる休止キャップと、を備えたことを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る太陽電池モジュールおよび太陽電池モジュールのコネクタの実施形態について
図1から
図11を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールを備える太陽光発電システムを示した斜視図である。
【0022】
図1に示すように、太陽光発電システム1は、複数の太陽電池アレイ2を備える。
【0023】
太陽電池アレイ2は、一の太陽電池モジュール3と他の太陽電池モジュール3とを電気的に接続して構成される。太陽電池アレイ2は、地盤上に設置する支持台5と、支持台5に設置する複数の太陽電池モジュール3と、を備える。
【0024】
支持台5は、複数の鋼材からなる鉄骨構造を有する。支持台5は、行列状に整列する複数の太陽電池モジュール3を太陽に向けて支持する。
【0025】
太陽電池モジュール3は、長方形状の受光面3aで光を受けて発電する。それぞれの太陽電池モジュール3は、数十Wの発電能力を有する。
【0026】
太陽電池ストリング6は、複数の太陽電池モジュール3を電気的に直列に接続して構成する。太陽電池アレイ2は、複数の太陽電池ストリング6を電気的に並列に接続して構成する。
【0027】
図2は、本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールの概略的な構成を示した背面図である。
【0028】
図3は、本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールの概略的な構成を示した断面斜視図である。
【0029】
図2および
図3に示すように、太陽電池モジュール3は、行列状に並ぶ平板形状の太陽電池セル11と、太陽電池セル11の受光面11a側にある透明な表面保護板12と、太陽電池セル11の非受光面側にあり接着封止性に優れる接着性樹脂封止層13と、接着性樹脂封止層13を覆う保護層14と、外枠15と、を備える。
【0030】
表面保護板12は、太陽電池モジュール3の受光面3aでもあり、ガラス板などの無機系材料または透明アクリル板などの有機系材料からなる平板である。
【0031】
接着性樹脂封止層13は、例えばEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂)を熱融着封止してなる層である。
【0032】
保護層14は、例えばアルミ箔の両面に一弗化エチレンを接着してなる金属箔入り樹脂であり、フッ素系フィルムなどの有機系フィルム、有機系フィルムと金属箔を貼り合せた複合材料、金属板やガラス板などの金属・無機系材料でも良い。
【0033】
外枠15は、例えばアルミニウム合金を成形した構造材である。外枠15は、太陽電池セル11、表面保護板12、接着性樹脂封止層13および保護層14の縁部を嵌め込む溝を有し、これらを保持する。
【0034】
また、太陽電池モジュール3は、太陽電池セル11の正極に電気的に接続する正極リード線16と、太陽電池セル11の負極に電気的に接続する負極リード線17と、保護層14に設けられて正極リード線16および負極リード線17のそれぞれの末端を収容する端子箱18と、正極リード線16に電気的に接続して端子箱18外に延びる正極ケーブル21と、正極ケーブル21の先端にある正極コネクタ22と、負極リード線17に電気的に接続して端子箱18外に延びる負極ケーブル25と、負極ケーブル25の先端にある負極コネクタ26と、を備える。
【0035】
端子箱18は、太陽電池モジュール3の非受光面3b側にある。端子箱18は、正極リード線16と正極ケーブル21とを電気的に接続する正極端子(図示省略)と、負極リード線17と負極ケーブル25とを電気的に接続する負極端子(図示省略)と、正極端子および負極端子を保持する端子台27と、を収容する。
【0036】
正極ケーブル21および負極ケーブル25は、太陽電池モジュール3で太陽電池ストリング6を構成する際に、隣り合う太陽電池モジュール3間で直列に接続可能なケーブル長さを有する。
【0037】
図4は、本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールを備える太陽電池アレイの接続状態を示した模式図である。
【0038】
図4に示すように、太陽電池アレイ2の太陽電池ストリング6は、一の太陽電池モジュール3(3’)の端子箱18から延びる正極ケーブル21と他の太陽電池モジュール3(3”)の端子箱18から延びる負極ケーブル25とを互いに近づけて、正極コネクタ22と負極コネクタ26とを次々に接続したものである。
【0039】
また、太陽電池アレイ2は、太陽電池ストリング6の正極端にある正極コネクタ22を電気的に束ね、他方、太陽電池ストリング6の負極端にある負極コネクタ26を電気的に束ねたものである。
【0040】
太陽電池アレイ2の発電能力は、太陽電池ストリング6を構成する太陽電池モジュール3の直列段数および太陽電池ストリング6の並列段数によって調整される。
【0041】
次に、太陽電池モジュール3のコネクタ22、26について詳述する。
【0042】
図5は、本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールのコネクタの概略的な構成を示した断面図である。
【0043】
図5に示すように、太陽電池モジュール3のコネクタ22、26は、太陽電池モジュール3の正極に電気的に接続するピンインサート31と、ピンインサート31を囲むジャックハウジング32と、太陽電池モジュール3の負極に電気的に接続するソケットインサート35と、ソケットインサート35を囲むプラグハウジング36と、を備える。
【0044】
換言すると、正極コネクタ22は、ピンインサート31と、ジャックハウジング32と、を備え、負極コネクタ26は、ソケットインサート35と、プラグハウジング36と、を備える。なお、ピンインサート31、ジャックハウジング32、ソケットインサート35およびプラグハウジング36は、正極側と負極側の組合せを任意に交換できる。具体的には、正極コネクタ22としてピンインサート31とプラグハウジング36とを組合せ、負極コネクタ26としてソケットインサート35とジャックハウジング32とを組み合わせても良い。また、正極コネクタ22としてソケットインサート35とプラグハウジング36とを組合せ、負極コネクタ26としてピンインサート31とジャックハウジング32とを組み合わせても良い。
【0045】
ピンインサート31およびソケットインサート35は、着脱自在に嵌合して電気的に接続する接点であり、いずれか一方が第一接点であり、いずれか他方が第二接点である。ピンインサート31およびソケットインサート35は、それぞれ正極ケーブル21および負極ケーブル25の芯線のいずれかに圧着して接合する。
【0046】
ジャックハウジング32は、ナイロンなどの硬質な樹脂製の筒である。ジャックハウジング32は、嵌入するピンインサート31(またはソケットインサート35)の基端部を保持するインサート保持孔37を有する仕切壁38を備える。仕切壁38は、ジャックハウジング32の中空部分を二分割に区切る。
【0047】
仕切壁38が区切る中空部分の一方は、ピンインサート31(またはソケットインサート35)に接続する正極ケーブル21(または負極ケーブル25)を囲んで保持する。ジャックハウジング32と正極ケーブル21(または負極ケーブル25)との隙間は接着剤(図示省略)やシール材(図示省略)によって塞がる。仕切壁38が区切る中空部分の他方は、インサート保持孔37から突出して延びるピンインサート31を囲む。
【0048】
また、ジャックハウジング32は、外周に突出するピン39を備える。ピン39は、プラグハウジング36に嵌入するジャックハウジング32の先端部分近傍の外周に位置してジャックハウジング32の径方向へ延びる。
【0049】
プラグハウジング36は、ジャックハウジング32を浅く嵌合するとジャックハウジング32と協働してピンインサート31およびソケットインサート35を非導通状態かつ略気密に覆う待機嵌合状態(第一嵌合状態)、さらにジャックハウジング32を深く嵌合するとピンインサート31およびソケットインサート35を導通状態かつ略気密に覆う完全嵌合状態(第二嵌合状態)でジャックハウジング32に嵌合可能である。プラグハウジング36は、ナイロンなどの硬質な樹脂製の筒である。プラグハウジング36は、嵌入するソケットインサート35(またはピンインサート31)の基端部を保持するインサート保持孔41を有する仕切壁42を備える。仕切壁42は、ソケットインサート35が倒れ込まないよう補助的に支持するスリーブ43を備えるとともに、プラグハウジング36の中空部分を二分割に区切る。
【0050】
仕切壁42が区切る中空部分の一方は、ソケットインサート35(またはピンインサート31)に接続する負極ケーブル25(または正極ケーブル21)を囲んで保持する。プラグハウジング36と負極ケーブル25(または正極ケーブル21)との隙間は接着剤(図示省略)やシール材(図示省略)によって塞がる。仕切壁42が区切る中空部分の他方は、インサート保持孔41の周縁部から延びるスリーブ43を囲む。スリーブ43は、インサート保持孔41から突出して延びるソケットインサート35を囲む。
【0051】
また、プラグハウジング36は、ジャックハウジング32の嵌合にともないピン39が嵌入する溝45を有する。溝45は、仕切壁42に区切られた中空部分の他方側の内周に位置する。溝45は、ジャックハウジング32が浅い嵌合位置で一旦停止するようピン39に突き当たる屈折部46を有する第一溝部45aと、第一溝部45aに連続してジャックハウジングを深い嵌合位置に導く第二溝部45bと、を有する。
【0052】
第一溝部45aは、プラグハウジング36に嵌合するジャックハウジング32の進行方向(
図5中、実線矢)へ直線状に延びる溝である。第二溝部45bは、屈折部46に連続してプラグハウジング36に嵌合するジャックハウジング32の進行方向(
図5中、実線矢)へ螺旋状に延びる溝である。
【0053】
ピン39と溝45とは、正極コネクタ22と負極コネクタ26とを待機嵌合状態または完全嵌合状態にロックするロック機構である。
【0054】
そして、太陽光発電システム1は、先ず太陽電池モジュール3を支持台5に設置する作業(設置作業)を数日に渡って連続して行い、この後、支持台5に設置した太陽電池モジュール3間のコネクタ22、26を接続して(コネクタ接続作業)太陽電池ストリング6の全部または一部を組み立て、これらの作業を繰り返して太陽電池アレイ2を完成する。すなわち、太陽電池モジュール3のコネクタ22、26は、設置作業(あるいは、それ以前の搬入時)からコネクタ接続作業までの期間、ピンインサート31、ソケットインサート35、仕切壁38、42が区切る中空部分を雰囲気に晒す虞がある。
【0055】
そこで、本実施形態に係る太陽電池モジュール3は、コネクタ接続作業までの期間、あるいは出荷時から同一の太陽電池モジュール3内において正極コネクタ22と負極コネクタ26とを嵌合しておく。
【0056】
図6は、本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールのコネクタの待機嵌合状態を示した断面図である。
【0057】
図6に示すように、コネクタ22、26は、プラグハウジング36にジャックハウジング32をまっすぐ嵌合すると(
図6中の実線矢方向)、ピン39が溝45の第一溝部45aを進んで屈折部46に突き当たり、ジャックハウジング32が浅い嵌合位置で一旦停止して待機嵌合状態になる(第一嵌合状態)。
【0058】
コネクタ22、26は、待機嵌合状態にあるとき、ピンインサート31およびソケットインサート35が互いに接しない状態、すなわち太陽電池モジュール3の正極側と負極側とが非導通状態になるとともに、プラグハウジング36に浅く嵌合するジャックハウジング32がピンインサート31およびソケットインサート35の周囲をコネクタ22、26の雰囲気に対して略気密に閉ざす。なお、プラグハウジング36とジャックハウジング32との嵌め合い部分は、ピンインサート31およびソケットインサート35の周囲を略気密に閉ざして海塩粒子の侵入を防ぐ嵌合寸法を有する。
【0059】
図7は、本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールのコネクタの完全嵌合状態を示した断面図である。
【0060】
図7に示すように、コネクタ22、26は、待機嵌合状態からジャックハウジング32を捻り込んで嵌合を進めると(
図7中に実線と破線矢で描く方向)、ピン39が溝45の第二溝部45bに沿って進み、ジャックハウジング32が深い嵌合位置に至り完全嵌合状態になる(第二嵌合状態)。
【0061】
コネクタ22、26は、完全嵌合状態にあるとき、ソケットインサート35にピンインサート31が嵌合する状態、すなわち太陽電池モジュール3の正極側と負極側とが導通状態になるとともに、プラグハウジング36に深く嵌合するジャックハウジング32がピンインサート31およびソケットインサート35の周囲をコネクタ22、26の雰囲気に対して略気密に閉ざす。
【0062】
図8および
図9は、本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールのコネクタの他の例における概略的な構成を示した断面図である。
【0063】
なお、コネクタ22A、26Aにおいてコネクタ22、26と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0064】
図8および
図9に示すように、正極コネクタ22Aは、ジャックハウジング32の外周の周方向に巻き付くパッキン47を備える。
【0065】
他方、負極コネクタ26Aのプラグハウジング36は、パッキン47が嵌ってジャックハウジング32およびプラグハウジング36の隙間を気密に塞ぐパッキン溝48を有する。
【0066】
なお、パッキン47は、プラグハウジング36の内周の周方向に巻き付くものでも良い。この場合、パッキン溝48は、ジャックハウジング32に形成される。
【0067】
パッキン47およびパッキン溝48は、ジャックハウジング32およびプラグハウジング36が浅く嵌合したときに嵌り合う第一パッキン47aおよび第一パッキン溝48aと、ジャックハウジング32およびプラグハウジング36が深く嵌合したときに嵌り合う第二パッキン47bおよび第二パッキン溝48bと、を有する。
【0068】
より詳しくは、パッキン47は、ジャックハウジング32の先端側に位置する第一パッキン47aと、その後側に位置する第二パッキン47bと、である、パッキン溝48は、プラグハウジング36の開口側に位置する第一パッキン溝48aと、その後側に位置する第二パッキン溝48bと、である。
【0069】
ジャックハウジング32およびプラグハウジング36が浅く嵌合すると、先ず、第一パッキン47aが第一パッキン溝48aに嵌り込んでジャックハウジング32およびプラグハウジング36の隙間を気密に塞ぐ。そして、ジャックハウジング32およびプラグハウジング36が深く嵌合すると、先ず、第一パッキン47aが第二パッキン47bに嵌り込み、第二パッキン47bが第一パッキン溝48aに嵌り込んでジャックハウジング32およびプラグハウジング36の隙間を気密に塞ぐ。
【0070】
コネクタ22A、26Aは、ジャックハウジング32とプラグハウジング36との嵌合部分をパッキン47およびパッキン溝48によって塞ぎ、嵌合寸法の精度にかかわらずピンインサート31およびソケットインサート35の周囲を雰囲気に対して気密に閉ざす。
【0071】
図10は、本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールの他の例における概略的な構成を示した背面図である。
【0072】
なお、太陽電池モジュール3Aにおいて太陽電池モジュール3と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0073】
図10に示すように、太陽電池モジュール3Aは、端子箱18から延びる正極ケーブル21(または負極ケーブル25)を備えるものの、負極ケーブル25(または正極ケーブル21)が端子箱18の外に延びておらず、端子箱18に一体化して固定された負極コネクタ26(または正極コネクタ22)を備える。太陽電池モジュール3Aの正極ケーブル21(または負極ケーブル25)は、隣り合う太陽電池モジュール3Aの負極コネクタ26(または正極コネクタ22)に接続可能なケーブル長さを有する。
【0074】
図11は、本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールのさらに他の例における概略的な構成を示した背面図である。
【0075】
なお、太陽電池モジュール3Bにおいて太陽電池モジュール3と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0076】
図11に示すように、太陽電池モジュール3Bは、コネクタ22、26を嵌合するとピンインサート31またはソケットインサート35を非導通状態かつ略気密に覆うよう太陽電池モジュール3Bに設けられる休止キャップ51、52を備える。
【0077】
休止キャップ51、52は、それぞれ正極コネクタ22または負極コネクタ26を着脱自在に嵌合可能なキャップである。休止キャップ51、52は、太陽電池モジュール3Bの非受光面3bまたは外枠15の何れかの場所に固定され、または一体成形される。
【0078】
本実施形態に係る太陽電池モジュール3Bは、コネクタ接続作業までの期間、あるいは出荷時から同一の太陽電池モジュール3内において正極コネクタ22と負極コネクタ26とを休止キャップ51、52に嵌合して休止状態におく。
【0079】
本実施形態に係る太陽電池モジュール3、3Aおよびコネクタ22、26、22A、26Aは、正極側と負極側の接点を非導通状態かつ気密に閉ざす待機嵌合状態と、正極側と負極側の接点を導通状態かつ気密に閉ざす完全嵌合状態を有することで、海塩粒子の付着、粘着を防ぎ、接点や正極ケーブル21、負極ケーブル25あるいはこれらの周囲を錆や腐食などの劣化から護り、太陽電池モジュール3、3A間の導通抵抗、太陽電池モジュール3、3Aの絶縁抵抗を良好に維持できる。この海塩粒子の付着、粘着防止機能は、太陽光発電システム1を海の沿岸地区に建設する場合に特に有効である。
【0080】
また、本実施形態に係る太陽電池モジュール3Bは、正極側と負極側の接点を非導通状態かつ気密に閉ざす休止キャップ51、52によって、海塩粒子の付着、粘着を防ぎ、接点や正極ケーブル21、負極ケーブル25あるいはこれらの周囲を錆や腐食などの劣化から護り、太陽電池モジュール3B間の導通抵抗、太陽電池モジュール3Bの絶縁抵抗を良好に維持できる。
【0081】
さらに、本実施形態に係る太陽電池モジュール3、3A、3Bおよびコネクタ22、26、22A、26Aは、待機嵌合状態または休止状態を有することで、太陽電池モジュール3、3A、3Bの出力短絡状態を回避し、太陽電池自体の劣化や、局部的なアーク放電の発生による当外部周囲の焼損を防ぐ。
【0082】
さらにまた、本実施形態に係る太陽電池モジュール3Bは、コネクタ22、26、22A、26Aを休止状態におく休止キャップ51、52を太陽電池モジュール3Bに固定または一体成形することで、廃棄物の発生を防ぐ。
【0083】
そこで、本発明は、
したがって、本実施形態に係る太陽電池モジュール3、3A、3Bおよびコネクタ22、26、22A、26Aによれば、太陽電池モジュール3、3A、3Bを出力短絡の状態にすることなく、コネクタ22、26、22A、26Aの内部に海塩粒子などの異物が侵入し難い。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。