【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、それぞれの独立請求の範囲の特徴を備えた、対象物の非破壊試験のための装置および方法によって達成される。
【0007】
対象物の非破壊試験のための装置は、放射源を受けるためのコリメータを試験対象物に向かって(すなわち、対象物に接してまたは対象物のすぐ近くで)位置決めするための第1の位置決め手段と、記録担体を試験対象物に向かって位置決めするための第2の位置決め手段とを含む。第1の位置決め手段は、下側端部が静止面上にある状態で固定または設置されていてもよく、コリメータは、第1の位置決め手段の対向する上側端部に取付けられている。
【0008】
これによって、枠組を組立て、撤去する必要なしに、試験される配管の写真を撮ることが可能となる。その上、狭い空間で、縦穴貫通孔の中で、または届きにくい場所に向かって写真を撮ることができる。
【0009】
好ましくは、放射源は、放射能のある放射源、好ましくは放射能物質含有体である。よって、記録担体中の記録媒体で試験対象物のX線写真を撮ることができ、この記録媒体は
、放射能のある放射に対して感受性がある。
【0010】
この発明の好ましい実施例において、放射源は、伝達管を介してコリメータまで導かれ、好ましくはケーブル牽引によってコリメータから取除かれてもよい。これによって、放射源は、コリメータ中に位置しないとき、遮蔽されたアイソトープ容器または蓄積容器中に蓄積され、蓄積容器は、コリメータから距離をおいて配置されている。放射源の外側ケーシングは、おおよそ円筒形の丸剤またはカプセルの形状を有する。伝達管は、好ましくは、第1の位置決め手段に固定されているが、別個のロッドによって案内され、保持されてもよい。放射源を伝達管を通して空気中に吹き込むことによって空気圧伝達することも可能であるが、安全上の理由から好ましくない。
【0011】
この発明は、ケーブル牽引の使用に限定されない。この発明のさらなる実施例において、この発明は、放射源を所与の位置に伝達するための他の手段、またはたとえば規定の場所に遮蔽されて位置する放射源を活性化するための手段も含んでもよい。
【0012】
好ましくは、装置の部品、特にすべての外部または触ることができる部品は、火花を生じない材料、特に真鍮、アルミニウム、および/またはプラスチックで製造されている。これはとりわけ2つの位置決め装置の支持管およびロッドに関するが、ロッドを接続しロックするためのナット、ねじ、またはボルト、およびそれ以上の小さな部品も含む。そのような小さな部品は、鋼から製造されているため、プラスチックまたはゴムなどの火花を生じない別の材料で完全にまたは部分的に被覆されていてもよい。枠組が車輪上に組立てられる場合、好ましくは静電防止、すなわち導電性車輪材料が用いられる。これによって、爆発の危険性がある環境で作業が可能となる。
【0013】
好ましくは、第1の位置決め手段および第2の位置決め手段の長さは、1メートル半または2メートルを超え、たとえば、6または9メートルまでである。この長さは、第1の位置決め手段が載る底部とコリメータとの間の距離であり、同様に、第2の位置決め手段の脚部と記録担体との間の距離である。これによって、伝達管の長さも少なくとも2から5メートル以上であり、すなわちしたがって1からたとえば5メートル長い。なぜなら、伝達管は、実用上の理由により第1の位置決め手段の脚部から距離をおいていなくてはならないためである。
【0014】
第2の位置決め手段は、好ましくは、記録担体を試験対象物に対して位置決めするための保持管を含み、第2の位置決め手段は、取外し可能な接続によって記録担体のさまざまな場所に締結されていてもよい。取外し可能な接続は、たとえば、保持管の接続プレートと記録担体との間の面ファスナー接続である。これによって、記録担体が傾斜して離れることなしに、記録担体を試験対象物に立てかけるまたは押付けることも可能となる。このために、記録担体の表面上での保持管と記録担体との間の接続場所は、記録担体が所望の位置で試験対象物に安定してもたれかかるように選択される。
【0015】
面ファスナー接続の代わりに、基本的に、別の種類の接続も選択してもよく、この接続は、記録担体上での接続プレートの本質的に自由な位置決めを可能にする。例えば:
・磁石によって。
【0016】
・接続プレートが異なる場所で捩じ込まれてもよい穴パターンを備えた、記録担体に締結されたプレートによって。
【0017】
・記録担体の後ろ側にわたって架かり、その下側に接続プレートがさまざまな場所で押されてもよい一連のゴムケーブルによって。
【0018】
しかしながら、面ファスナー接続は、面ファスナーは軽量である、記録担体が面ファスナーで周囲すべておよび側面すべてを被覆されてもよいことにより緩衝材としても機能する、および案内体も面ファスナーで締結されてもよい、という利点を有する。
【0019】
第1の位置決め手段は、好ましくは、第2の位置決め手段とは別々に移動可能であり、独立に位置決めされてもよい。
【0020】
好ましくは、その上記録担体は、第2の位置決め手段の保持管に対して、保持管の軸に垂直な軸の周りを回転されてもよい。これによって、記録担体は、試験対象物に寄りかかる際、さらにより安定した位置に回転してもよい。この位置は、対象物の幾何学的配置により、たとえば表面または管または管の平面に平行である。
【0021】
この発明のもう1つの好ましい実施例に従って、記録担体は、記録担体を試験対象物上で支持し、案内するための案内体を含む。これによって、案内体は、記録担体の側面に調節可能に締結されてもよく、この側面は、保持管から遠い(よって試験対象物に面する側にある)。案内体は、好ましくは、記録担体上に好ましくは面ファスナー接続によって締結可能である。これによって、試験対象物に対する記録担体の位置は、記録担体の位置決め前に試験対象物上の所望される位置に従って記録担体上に置かれている案内体によって規定されてもよい。
【0022】
上述の装置の使用方法において、以下のステップが実行される。
・第1の位置決め手段を、コリメータが試験対象物の一方の側にある状態で設置するステップ。
【0023】
・第2の位置決め手段を、記録担体が試験対象物のコリメータと対向する側にある状態で設置するステップ。
【0024】
・放射源を活性化させることにより撮影をトリガするステップ。
これによって、撮影をトリガするステップは、好ましくは以下のステップを含む。
【0025】
・放射能のある放射源をコリメータまで伝達管によって伝達するステップ。
・放射源をコリメータから遮蔽された容器まで伝達管によって戻すよう伝達するステップ。
【0026】
第1の位置決め手段を設置するステップは、好ましくは以下のステップを含む
・機械的案内部を調節することによって、また任意選択的に、コリメータの第1の位置決め手段上の位置決めを選択することにもよって、コリメータと試験対象物との間の計画された距離を設定し、固定するステップ。
【0027】
・任意選択的に、コリメータが所望の高さにあるようになるまで伸縮式ロッドを延長させるステップ。
【0028】
・機械的案内部が試験対象物を所望の位置で圧迫するまで、第1の位置決め手段を好ましくは手で移動させるステップ。
【0029】
これによって、この方法の好ましい変形例は、以下のステップを含む。
・ロッドと延長アーム(または単なるアーム)との間の計画された角度を機械的案内部で設定し、固定するステップ。
【0030】
・ロッドを試験対象物の付近まで好ましくは手で延長させるまたは持上げるステップ。
・機械的案内部が試験対象物にもたれかかるまで、ロッドを試験対象物に対して回転点または回転軸の周りを好ましくは手で傾斜させるステップ。
【0031】
上述の距離および角度を設定し、固定するステップは、好ましくは手動で行なわれる。第1の位置決め手段の移動または傾斜は、同様に好ましくは、第1の位置決め手段の下側端部を保持し、移動させることによって上側端部に配置された案内部およびコリメータを所望の測定位置に移動させる1人以上の人によって、行なわれる。
【0032】
第2の位置決め手段を設置するステップは、好ましくは以下のステップを有する。
・第2の位置決め手段の接続プレートを、記録担体上で記録担体の第1の表面上の自由に選択されてもよい位置に位置決めし、接続プレートを、取外し可能な接続によって固定するステップ。
【0033】
・任意選択的に、案内体を記録担体の第2の表面上に位置決めするステップ。
・試験対象物を圧迫する案内体によって行なわれる案内に任意選択的によって、記録担体を移動させ、試験対象物に対してもたせかけるステップ。
【0034】
これによって、記録担体上での接続プレートの位置決めは、これが試験対象物上で離れて傾斜しないように選択される。記録担体は、好ましくは、記録担体が安定した位置で試験対象物を圧迫するように、第2の位置決め手段のロッドに対して軸の周りを自由に回転する。
【0035】
第2の位置決め手段の移動および静止は、同様に好ましくは、第2の位置決め手段の第1の、典型的には下側端部を保持し、移動させることによって第2の、典型的には上側端部に配置された記録担体を所望の測定位置に移動させる1人以上の人によって行なわれる。
【0036】
もう1つの好ましい実施例において、記録担体は、可撓性で曲げやすいことによって容器の内壁または外壁に押付けられてもよい。この押すことまたは圧力印加により、記録担体は変形し、容器の凹または凸形状に適合し、壁を圧迫する。内側を押す際は、既に説明した第2の位置決め手段が適用されてもよい。
【0037】
容器の外側に締結する際は、この発明の好ましい実施例において、記録担体を固定するための磁石が用いられる。磁石は、別個の部品であってもよく、記録担体に対して外側から当てられてもよく、または磁石は、記録担体中に固定されて設置されてもよい。この発明の別の実施例において、記録担体は、端縁取付具としての少なくとも2つの別個のロッドで外側に押付けられている。
【0038】
よって、記録担体を位置決めするための対応する方法は
・記録担体を容器の外壁に磁石によって位置決めし、固定するステップまたは
・記録担体を容器の外壁に端縁取付具によって位置決めし、固定するステップを含む。
【0039】
この発明のもう1つの実施例に従った記録担体は、端縁取付具としての弾性的に広げることができるフォーク状部に締結されてもよい。フォーク状部は、記録担体の外側端縁まで届き、記録担体の左および右端縁に回転可能に締結されている。よって記録担体は、曲げることができ、フォーク状部の端部間に配置されている。凸状体を押す際、フォーク状部はわずかに閉じ、記録担体はフォーク状部に対して撓み、よって凸状体を圧迫する。
【0040】
この発明の好ましい実施例における第1の位置決め手段は、機械的案内部を含み、この機械的案内部は、試験対象物に対して押付けられることによって、コリメータを試験対象
物に対してセンタリングするためのものである。この案内は、Y字形に広がったフォーク状部であってもよく、または別の方法で試験対象物の幾何学的配置に適合してもよい。その上、機械的案内部は、コリメータが試験対象物まで距離をおくようにもし、よって、コリメータと試験対象物との間の距離を正確に設定することを可能にする。これによって、距離は、機械的案内部を対象物に対してずらすことによって設定されてもよく、そこにコリメータは締結される。
【0041】
この、正確に距離をおくことは、適用される測定原理によっては有利である。たとえば、配管の横方向のX線写真に関して、画像すなわちX線フィルムへの投影の幾何学的配置は、一方でコリメータと配管との間の設定可能な距離と、記録担体が配管に押付けられていることとを考慮すると分かる。たとえば、X線写真中の壁の厚みを測定することができ、配管の実際の壁の厚みは、分かっている幾何学的配置のおかげで算出することができる。
【0042】
好ましくは、コリメータおよび機械的案内部は、ロッドに締結されており、コリメータは、機械的案内部の上方または下方に選択的に締結可能である。これによって、コリメータと案内部との間の相対的位置は、試験対象物の幾何学的配置に適合させることができる。
【0043】
この発明のもう1つの好ましい実施例において、第1の位置決め手段は、傾斜可能に設置されてもよいロッドを含むことよって、回転軸または回転点の周りで傾斜されてもよい。好ましくはこのために、ロッドは、軸の周りを回転可能に継手脚部に締結されているか、または二脚スタンドに締結されている。その上、第1の位置決め手段は、さらに、ロッドと延長アームとの間に調節可能な継手を含み、この手段により、延長アームに締結された機械的案内部は、試験対象物に対して選択可能な角度で移動可能であり、試験対象物にもたせ掛けられてもよい。これによって、ロッドを施設内の制限された状態においても適用することが可能である。傾斜させることによって生じるロッドの傾いた位置は、延長アームがコリメータが試験対象物に対して予め規定された配向にある状態で位置決めされるように、ロッドと延長アームとの間にある継手によって補償される。ロッドと延長アームとの間の角度は、たとえば、延長アームが持上げられ、試験対象物まで導かれ、案内部が試験対象物に接した状態で適用される前に、手で設定または固定される。
【0044】
少ない数の構成要素でコリメータと記録担体とを位置決めするための説明された装置は、多数の異なる状態への柔軟な適合を可能にする。
【0045】
第1の位置決め手段は基本的に、試験ヘッド保持具として試験ヘッドを他の測定原理で位置決めするのにも適している。そのようなものは、たとえば、超音波測定ヘッド、渦電流試験ヘッド、温度測定ヘッド、カメラ(ビデオまたは静止画)、または内視鏡である。これによって、第2の位置決め手段なしに測定を行なうこともできる。この発明の対応するもう1つの好ましい実施例において、この実施例はこういった測定原理に特に適しており、よって第1の位置決め手段は、試験ヘッドを試験対象物に対して位置決めするために設計されている。このために、第1の位置決め手段は、
・試験ヘッドを位置決めするためのロッドと、
・試験ヘッドを試験対象物に対してセンタリングするための機械的案内部と、
・ロッドを第1の端部で試験ヘッドおよび機械的案内部に調節可能かつ締結可能に接続する調節可能な接続装置、特に継手装置とを含み、
・試験ヘッドの位置合わせは、接続装置によって、少なくともロッドの方向に垂直な角度とロッドに平行な角度の間でロッドの第2の端部の方向に設定されてもよい。
【0046】
これによって、試験ヘッドを、制限された状態において障害物の周りを試験対象物の予
め規定された場所まで導くことが可能となる。この装置は、ロッドと試験ヘッドとの間の角度を設定することによって、各場合に存在する障害物に適合されてもよい。
【0047】
好ましくは、継手装置は、それぞれ少なくとも約90°回転させることができ、ロックすることができる2つの継手を含み、これらの90°継手の回転軸は、互いに平行に延びている。これによって、単純で頑強な設計で、非常に高い使用柔軟性が可能となる。
【0048】
好ましくは、試験ヘッドをセンタリングするための機械的案内部は、試験対象物を向いている案内部の長手方向の軸の周りを回転可能に調節可能である。これによって、装置は、試験対象物の異なる配向に適合されてもよい。
【0049】
試験ヘッド保持具として設計された装置の使用方法において、以下のステップが実行される。
【0050】
・試験ヘッドとロッドとの間の計画された相互位置を接続装置を調節することによって設定し、固定するステップ。
【0051】
・機械的案内部が試験対象物を所望の位置で圧迫するまで、装置を好ましくは手で移動させるステップ。
【0052】
装置の移動は、好ましくは、ロッドの下側端部を保持することによって上側端部に配置された接続装置を試験ヘッドとともに所望の測定位置に移動させる1人以上の人によって行なわれる。
【0053】
さらなる好ましい実施例は、従属特許請求項から推論されるべきである。これによって、方法請求項の特徴は、内容に関して装置請求項と組合されてもよく、逆もまた同様である。